JP2015146370A - 磁気抵抗素子 - Google Patents

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裕行 内田
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和宏 別所
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Yutaka Higo
豊 肥後
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一陽 山根
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Abstract

【課題】参照層が、十分に高い外部磁界耐性、スピントルク耐性を有する磁気抵抗素子を提供する。【解決手段】磁気抵抗素子10は、複数の固定層30、非磁性体から成る中間層22、及び、記憶層21から成る積層構造体20を有し、複数の固定層30は非磁性層34を介して積層されており、複数の固定層30は、少なくとも第1固定層31及び第2固定層32を有し、中間層22に隣接する第1固定層31の、中間層22に対向する部分31Aの面積をS1、第1固定層以外の固定層の内、最も面積の小さい固定層の面積をS2としたとき、S1>S2を満足する。【選択図】 図1

Description

本開示は、磁気抵抗素子、より具体的には、例えば記憶素子から成る磁気抵抗素子に関する。
MRAM(Magnetic Random Access Memory)は、磁性体の磁化方向に基づきデータ記憶を行うので、高速、且つ、ほぼ無限(1015回以上)の書換えが可能であり、既に産業オートメーションや航空機等の分野で使用されている。そして、MRAMは、その高速動作と高い信頼性から、今後、コードストレージやワーキングメモリへの展開が期待されているが、現実には、低消費電力化、大容量化に課題を有している。これは、MRAMの記録原理、即ち、配線から発生する電流磁界により磁化を反転させるという方式に起因する本質的な課題である。この問題を解決するための1つの方法として、電流磁界によらない記録方式、即ち、磁化反転方式が検討されており、中でも、スピン注入による磁化反転を応用したスピン注入型磁気抵抗効果素子が注目されている。
スピン注入による磁化反転とは、磁性体を通過してスピン偏極した電子が、他の磁性体に注入されることにより、他の磁性体において磁化反転が生じる現象である。スピン注入型磁気抵抗効果素子にあっては、スピン注入による磁化反転を利用することにより、外部磁界に基づき磁化反転を行うMRAMと比較して、素子の微細化が進んでも書込み電流が増大しないという利点、書込み電流値が素子体積に比例して減少するためスケーリングが可能であるという利点、セル面積を縮小できるといった利点を有するし、MRAMで必要とされる記録用電流磁界発生用のワード線が不要であるため、デバイス構造、セル構造が単純になるという利点もある。
ところで、信頼性の高いスピン注入型磁気抵抗効果素子を実現するためには、磁化の方向をピニング(pinning)する参照層(固着層とも呼ばれる)が、記憶層よりも十分に高いスピントルク耐性を有することが必要とされる。加えて、外部磁界に起因した不必要な参照層の磁化反転を避けるために、参照層は十分に高い外部磁界耐性を有することが必要とされる。参照層のスピントルク耐性を強化するために、特開2012−248688においては、記憶層に対して参照層の面積を大きくして体積を増加させている。
特開2012−248688
しかしながら、上記の特許公開公報に開示された技術にあっては、参照層が単層構成であるが故に、外部磁界に対する耐性が低い。更には、記憶層に対して参照層の面積を大きくしなければならないが故に、外部磁界に対する耐性が一層低くなってしまう。外部磁界耐性の強化には、複数の磁性体を非磁性体を介して反並行に結合させる合成反強磁性結合(SAF:Synthetic Antiferromagnet)構造が知られているが、参照層の面積が大きい場合、その効果は不十分である。
従って、本開示の目的は、参照層が、十分に高い外部磁界耐性を有し、且つ、記憶層よりも十分に高いスピントルク耐性を有する構成、構造を有する磁気抵抗素子を提供することにある。
上記の目的を達成するための本開示の磁気抵抗素子は、
複数の固定層、非磁性体から成る中間層、及び、記憶層から成る積層構造体を有し、
複数の固定層は非磁性層を介して積層されており、
複数の固定層は、少なくとも第1固定層及び第2固定層を有し、
中間層に隣接する第1固定層の、中間層に対向する部分の面積をS1、第1固定層以外の固定層の内、最も面積の小さい固定層の面積をS2としたとき、S1>S2を満足する。尚、第1固定層が、従来の技術における参照層に該当する。第1固定層を、便宜上、『参照層』と呼ぶ場合があるし、第1固定層以外の固定層を、便宜上、『磁化固定層』と呼ぶ場合がある。
本開示の磁気抵抗素子にあっては、複数の固定層が設けられており、中間層に隣接する第1固定層(参照層)の、中間層に対向する部分の面積をS1、第1固定層以外の固定層(磁化固定層)の内、最も面積の小さい固定層の面積をS2としたとき、S1>S2を満足するので、固定層(より具体的には、第1固定層)は、十分に高い外部磁界耐性を有するし、記憶層よりも十分に高いスピントルク耐性を有する。それ故、情報の書込み時の動作の安定化を図ることができる。尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また、付加的な効果があってもよい。
図1A及び図1Bは、実施例1の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の模式的な一部断面図である。 図2は、選択用トランジスタを含む実施例1の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の模式的な一部断面図である。 図3A及び図3Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の模式的な一部断面図である。 図4A及び図4Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の変形例の模式的な一部断面図である。 図5A及び図5Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図6A及び図6Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図7A及び図7Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図8A及び図8Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図9A及び図9Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図10A及び図10Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図11A及び図11Bは、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図12は、実施例2の磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図13は、第2固定層の大きさと形状磁気異方性を含む異方性磁界Hkとの関係を求めたグラフである。 図14は、実施例1、比較例1A、比較例1Bについて、固定層が反転する外部磁界の大きさと第2固定層の大きさの関係を求めたグラフである。 図15A及び図15Bは、それぞれ、比較例1A及び比較例1Bの磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の模式的な一部断面図である。 図16A及び図16Bは、それぞれ、スピン注入磁化反転を適用したスピン注入型磁気抵抗効果素子の概念図、及び、ダブル・スピンフィルター構造を有するスピン注入型磁気抵抗効果素子の概念図である。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の磁気抵抗素子、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の磁気抵抗素子)
3.実施例2(実施例1の変形)、その他
[本開示の磁気抵抗素子、全般に関する説明]
本開示の磁気抵抗素子において、複数の固定層は、上述したとおり、少なくとも第1固定層及び第2固定層を有する。即ち、複数の固定層は、最低、第1固定層及び第2固定層を有し、場合によっては、第1固定層、第2固定層及び第3固定層を有し、あるいは又、第1固定層、第2固定層、・・・・、第N固定層(但し、Nは3以上の自然数)を有する。第1固定層の側面が傾斜している場合もあるので、中間層に対向する第1固定層の部分の面積をS1と定義している。最も面積の小さい固定層は、固定層が2層構成の場合、第2固定層(磁化固定層)であるが、固定層が3層以上から構成されている場合、第2固定層から第N固定層までの固定層(磁化固定層)の内のいずれかである。尚、「S1>S2を満足する」とは、中間層に隣接する第1固定層(参照層)の、中間層に対向する(面する)部分の面積S1よりも小さな面積を有する固定層(磁化固定層)が存在することを意味する。
本開示の磁気抵抗素子にあっては、記憶層、中間層及び固定層の積層構造体によって、TMR効果あるいはGMR効果を有する積層構造体が構成されている構造とすることができる。そして、図16Aに概念図を示すように、反平行配置の磁化状態で、書込み電流(以下、『スピン偏極電流』と呼ぶ場合がある)を記憶層から固定層へ流すと、電子が固定層から記憶層へ注入されることで作用するスピントルクにより記憶層の磁化が反転し、記憶層の磁化方向と固定層(具体的には、第1固定層)の磁化方向と記憶層の磁化方向が平行配列となる。一方、平行配置の磁化状態で、スピン偏極電流を固定層から記憶層へ流すと、電子が記憶層から固定層へ流れることで作用するスピントルクによって記憶層の磁化が反転し、記憶層の磁化方向と固定層(具体的には、第1固定層)の磁化方向が反平行配列となる。あるいは又、図16Bに概念図を示すように、複数の固定層、中間層、記憶層、中間層、複数の固定層によって、TMR効果あるいはGMR効果を有する積層構造体が構成されている構造とすることもできる。このような構造にあっては、記憶層の上下に位置する2つの中間層の磁気抵抗の変化に差を付けておく必要がある。固定層、中間層及び記憶層によって、TMR効果を有する積層構造体が構成されるとは、磁性材料から成る固定層と、磁性材料から成る記憶層との間に、トンネル絶縁膜として機能する非磁性体膜から成る中間層が挟まれた構造を指す。尚、図16A及び図16Bにおいては、第1固定層以外の固定層(磁化固定層)の図示を省略した。
本開示の磁気抵抗素子において、複数の固定層は積層フェリ構造(積層フェリピン構造とも呼ばれる)を構成することが望ましい。積層フェリ構造については後述する。
上記の好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子にあっては、好ましくは、
1/S2≧4
を満足することが望ましい。
以上に説明した好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子において、第2固定層と対向する第1固定層の面と、第1固定層と対向する第2固定層の面との間には、段差が存在する形態とすることができる。
以上に説明した好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子は、
記憶層(磁化反転層あるいは自由層とも呼ばれる)の磁化方向は、記憶すべき情報に対応して変化し、
第1固定層(参照層)の磁化方向は、記憶層に記憶すべき情報の基準となる磁化方向であり、
積層構造体の積層方向に電流を流すことにより、記憶層の磁化方向を変化させ、記憶層において情報の記録が行われる記憶素子(具体的には、不揮発性磁気メモリ素子、より具体的には、スピン注入型磁気抵抗効果素子)から成る形態とすることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子にあっては、記憶層において、磁化容易軸は積層構造体の積層方向と平行である(即ち、垂直磁化型である)形態とすることができるし、あるいは又、記憶層において、磁化容易軸は積層構造体の積層方向に対して垂直である(即ち、面内磁化型である)形態とすることもできる。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子において、限定するものではないが、記憶層の面積は、第1固定層(参照層)の面積よりも小さいことが好ましい。具体的には、記憶層の面積をS3としたとき、
1/S3≧4
を満足することが望ましい。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子において、少なくとも第2固定層(磁化固定層)は、絶縁材料層によって囲まれている形態とすることができ、この場合、絶縁材料層は磁性を有する形態とすることができる。ここで、絶縁材料層を構成する材料として、アルミニウム酸化物(AlOX)、シリコン酸化物(SiOX)、シリコン窒化物(SiN)、酸化鉄(FeOX)、及び、これらの積層体若しくは化合物を挙げることができるし、磁性を有する絶縁材料層を構成する材料として、酸化鉄(FeOX)を挙げることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子において、第1固定層(参照層)と接する非磁性層は、第2固定層と同じ大きさを有する形態とすることができるし、あるいは又、第1固定層(参照層)と接する非磁性層は、第1固定層と同じ大きさを有する形態とすることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子において、第1固定層(参照層)以外の固定層(磁化固定層)は、並置された複数の固定層ユニットから成る形態とすることができる。
第1固定層(参照層)を構成する材料として、後述する記憶層を構成する材料(強磁性材料)を挙げることができるし、あるいは又、第1固定層(参照層)は、Co層とPt層との積層体、Co層とPd層との積層体、Co層とNi層との積層体、Co層とTb層との積層体、Co−Pt合金層、Co−Pd合金層、Co−Ni合金層、Co−Fe合金層、Co−Tb合金層、Co層、Fe層、又は、Co−Fe−B合金層から成る構成とすることができ、あるいは又、これらの材料に、Ag、Cu、Au、Al、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Hf、Ir、W、Mo、Nb等の非磁性元素を添加して磁気特性を調整したり、結晶構造や結晶性や物質の安定性等の各種物性を調整してもよく、更には、好ましくは、第1固定層(参照層)はCo−Fe−B合金層から成る構成とすることができる。第1固定層の磁化方向は情報の基準であるので、情報の記録や読出しによって磁化方向が変化してはならないが、必ずしも特定の方向に固定されている必要はなく、記憶層よりも保磁力を大きくするか、膜厚を厚くするか、あるいは、磁気ダンピング定数を大きくして、記憶層よりも磁化方向が変化し難い構成、構造とすればよい。複数の固定層から成る構造は、積層フェリ構造と呼ばれる。積層フェリ構造は、反強磁性的結合を有する積層構造であり、即ち、2つの磁性材料層の層間交換結合が反強磁性的になる構造であり、合成反強磁性結合(SAF)とも呼ばれ、非磁性層の厚さによって、2つの磁性材料層の層間交換結合が、反強磁性的あるいは強磁性的になる構造を指し、例えば、 S. S. Parkin et. al, Physical Review Letters, 7 May, pp 2304-2307 (1990) に報告されている。第1固定層(参照層)以外の固定層(磁化固定層)を構成する各層は、第1固定層(参照層)を構成する材料として挙げた材料のいずれかから成り、あるいは又、反強磁性材料から成り、あるいは又、第1固定層(参照層)を構成する材料層と反強磁性材料層の積層構造(第1固定層を構成する材料層と反強磁性材料層とが接触している構造)から成る。反強磁性材料として、具体的には、鉄−マンガン合金、ニッケル−マンガン合金、白金−マンガン合金、白金−クロム−マンガン合金、イリジウム−マンガン合金、ロジウム−マンガン合金、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、鉄酸化物(Fe23)を挙げることができる。
非磁性層を構成する材料として、ルテニウム(Ru)やその合金を挙げることができるし、あるいは又、Os、Re、Ir、Au、Ag、Cu、Al、Bi、Si、B、C、Cr、Ta、Pd、Pt、Zr、Hf、W、Mo、Nbや、これらの合金を挙げることができる。
中間層は非磁性体膜から成ることが好ましい。即ち、スピン注入型磁気抵抗効果素子において、TMR効果を有する積層構造体を構成する場合の中間層は、絶縁材料から成る非磁性体膜から構成されることが好ましい。ここで、絶縁材料から成る非磁性体膜を構成する材料として、マグネシウム酸化物(MgO)、マグネシウム窒化物、マグネシウムフッ化物、アルミニウム酸化物(AlOX)、アルミニウム窒化物(AlN)、シリコン酸化物(SiOX)、シリコン窒化物(SiN)、TiO2、Cr23、Ge、NiO、CdOX、HfO2、Ta25、Bi23、CaF、SrTiO2、AlLaO3、Al−N−O、BN、ZnS等の各種絶縁材料、誘電体材料、半導体材料を挙げることができる。一方、GMR効果を有する積層構造体を構成する非磁性体膜を構成する材料として、Cu、Ru、Cr、Au、Ag、Pt、Ta等、あるいは、これらの合金といった導電材料を挙げることができるし、導電性が高ければ(抵抗率が数百μΩ・cm以下)、任意の非金属材料としてもよいが、記憶層や第1固定層と界面反応を起こし難い材料を、適宜、選択することが望ましい。
絶縁材料から成る中間層は、例えば、スパッタリング法にて形成された金属膜を酸化若しくは窒化することにより得ることができる。より具体的には、中間層を構成する絶縁材料としてアルミニウム酸化物(AlOX)、マグネシウム酸化物(MgO)を用いる場合、例えば、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを大気中で酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムをプラズマ酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムをIPCプラズマで酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素中で自然酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素ラジカルで酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素中で自然酸化させるときに紫外線を照射する方法、アルミニウムやマグネシウムを反応性スパッタリング法にて成膜する方法、アルミニウム酸化物(AlOX)やマグネシウム酸化物(MgO)をスパッタリング法にて成膜する方法を例示することができる。
記憶層を構成する材料として、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)といった強磁性材料の合金(例えば、Co−Fe、Co−Fe−B、Co−Fe−Ni、Fe−Pt、Ni−Fe等)、あるいは、これらの合金にガドリニウム(Gd)が添加された合金を例示することができる。更には、垂直磁化型において、垂直磁気異方性を一層増加させるために、係る合金にテルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)等の重希土類を添加してもよいし、これらを含む合金を積層してもよい。記憶層の結晶性は、本質的に任意であり、多結晶であってもよいし、単結晶であってもよいし、非晶質であってもよい。また、記憶層は、単層構成とすることもできるし、上述した複数の異なる強磁性材料層を積層した積層構成とすることもできるし、強磁性材料層と非磁性材料層を積層した積層構成とすることもできる。
以上に説明した種々の層は、例えば、スパッタリング法、イオンビーム堆積法、真空蒸着法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、ALD(Atomic Layer Deposition)法に代表される化学的気相成長法(CVD法)にて形成することができる。また、これらの層のパターニングは、反応性イオンエッチング法(RIE法)やイオンミーリング法(イオンビームエッチング法)にて行うことができる。種々の層を真空装置内で連続的に形成することが好ましく、その後、パターニングを行うことが好ましい。
以上に説明した種々の好ましい形態を含む本開示の磁気抵抗素子(以下、これらを総称して、『本開示の磁気抵抗素子等』と呼ぶ)は、積層構造体の下部に電気的に接続された第1の配線、及び、積層構造体の上部に電気的に接続された第2の配線を有する形態とすることができる。積層構造体の立体形状は、円筒形、円柱形であることが、加工の容易性、記憶層における磁化容易軸の方向の均一性を確保するといった観点から望ましいが、これに限定するものではなく、三角柱、四角柱、六角柱、八角柱等(これらにあっては側辺あるいは側稜が丸みを帯びているものを含む)、楕円柱とすることもできる。第1の配線から第2の配線へと、あるいは又、第2の配線から第1の配線へと、スピン偏極電流を積層構造体に流すことによって、記憶層における磁化の方向を第1の方向(磁化容易軸と平行な方向)あるいは第2の方向(第1の方向とは反対の方向)とすることで、記憶層に情報が書き込まれる。積層構造体と配線との間には、積層構造体の配線と接する磁性層の結晶性向上のために、Ta、Cr、Ru、Ti等から成る下地膜を形成してもよい。
第1の配線や第2の配線は、Cu、Al、Au、Pt、Ti等の単層構造から成り、あるいは又、CrやTi等から成る下地層と、その上に形成されたCu層、Au層、Pt層等の積層構造を有していてもよい。更には、Ta等の単層あるいはCu、Ti等との積層構造から構成することもできる。これらの配線は、例えば、スパッタリング法に例示されるPVD法にて形成することができる。
記憶層と配線との間には、配線や接続部を構成する原子と記憶層を構成する原子の相互拡散の防止、接触抵抗の低減、記憶層の酸化防止のために、キャップ層を形成することが好ましい。キャップ層として、Ta層、Ru層、Pt層、Ti層、W層、MgO層、Ru膜/Ta膜の積層構造を挙げることができる。
本開示の磁気抵抗素子等において、積層構造体の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタを更に有しており、第2の配線(例えば、ビット線)の延びる方向は、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極の延びる方向と平行である形態とすることが好ましいが、これに限定するものではなく、第2の配線の延びる方向の射影像は、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極の延びる方向の射影像と直交する形態とすることもできる。また、場合によっては、選択用トランジスタは不要である。
磁気抵抗素子における好ましい構成にあっては、上述したとおり、積層構造体の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタを更に有しているが、より具体的な構成として、例えば、限定するものではないが、
半導体基板に形成された選択用トランジスタ、及び、
選択用トランジスタを覆う下層絶縁層、
を備えており、
下層絶縁層上に第1の配線が形成されており、
第1の配線は、下層絶縁層に設けられた接続孔(あるいは接続孔とランディングパッド部や下層配線)を介して選択用トランジスタに電気的に接続されており、
絶縁材料層を含む層間絶縁層は、下層絶縁層及び第1の配線を覆い、積層構造体を取り囲んでおり、
第2の配線は層間絶縁層上に形成されている構成を例示することができる。
選択用トランジスタは、例えば、周知のMIS型FETやMOS型FETから構成することができる。第1の配線と選択用トランジスタとを電気的に接続する接続孔は、不純物がドーピングされたポリシリコンや、タングステン、Ti、Pt、Pd、Cu、TiW、TiNW、WSi2、MoSi2等の高融点金属や金属シリサイドから構成することができ、CVD法や、スパッタリング法に例示されるPVD法に基づき形成することができる。また、下層絶縁層を構成する材料として、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、SiON、SOG、NSG、BPSG、PSG、BSGあるいはLTOを例示することができる。
実施例1は、本開示の磁気抵抗素子に関する。図1A及び図2に模式的な一部断面図を示すように、実施例1の磁気抵抗素子10は、
複数の固定層30、中間層22、及び、記憶層21から成る積層構造体20を有し、
複数の固定層30は非磁性層34を介して積層されており、
複数の固定層30は、少なくとも第1固定層31及び第2固定層32を有し、
中間層22に隣接する第1固定層(参照層)31の、中間層22に対向する部分31Aの面積をS1、第1固定層31以外の固定層(磁化固定層)の内、最も面積の小さい固定層の面積をS2としたとき、S1>S2、好ましくは、
1/S2≧4
を満足する。即ち、中間層22に隣接する第1固定層31の、中間層22に対向する(面する)部分31Aの面積S1よりも小さな面積を有する磁化固定層が存在する。尚、実施例1の磁気抵抗素子にあっては、第1固定層31以外の固定層(磁化固定層)は、第2固定層32の1層から構成されている。積層構造体20は、具体的には、第2固定層32、非磁性層34、第1固定層31、中間層22及び記憶層21から構成されている。また、記憶層21の面積は、第1固定層31の面積よりも小さく、第1固定層31と接する非磁性層34は、第2固定層32と同じ大きさを有する。具体的には、記憶層21の面積をS3としたとき、
1/S3≧4
を満足する。
尚、図1Bに示すように、第1固定層31と接する非磁性層34は、第1固定層31と同じ大きさを有する形態とすることもできる。
そして、第2固定層32と対向する第1固定層31の面31Bと、第1固定層31と対向する第2固定層32の面32Aとの間には、段差33が存在する。
実施例1の磁気抵抗素子10は、具体的には、
記憶層(磁化反転層あるいは自由層とも呼ばれる)21の磁化方向は、記憶すべき情報に対応して変化し、
第1固定層(参照層)31の磁化方向は、記憶層21に記憶すべき情報の基準となる磁化方向であり、
積層構造体20の積層方向に電流を流すことにより、記憶層21の磁化方向を変化させ、記憶層21において情報の記録が行われる記憶素子(具体的には、不揮発性磁気メモリ素子、より具体的には、スピン注入型磁気抵抗効果素子)から成る。即ち、記憶層21の磁化方向と第1固定層(参照層)31の磁化方向の相対的な角度によって、情報「0」及び情報「1」が規定される。
積層構造体20において、固定層30が下側に位置し、記憶層21が上側に位置しているが、これに限定するものではない。また、積層構造体20の立体形状は、円筒形(円柱形)あるいは四角柱であるが、これに限定するものではない。第1の配線51が、積層構造体20に下部に電気的に接続されており、第2の配線52が、積層構造体20の上部に電気的に接続されている。より具体的には、第1の配線51は、固定層30の下端(より具体的には、第2固定層32)に接続されており、第2の配線52は、キャップ層23を介して記憶層21に接続されている。
実施例1において、記憶層21における磁化容易軸は、積層構造体20の積層方向と平行である。即ち、記憶層21は、磁化方向が積層構造体20の積層方向に自由に変化する磁気モーメントを有する強磁性材料、より具体的には、Co−Fe−B合金[Co20Fe808020]から構成されている。非磁性体から成る中間層22は、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)として機能する絶縁層、具体的には、MgO層から成る。中間層22をMgO層から構成することで、磁気抵抗変化率(MR比)を大きくすることができ、これによって、スピン注入の効率を向上させることができ、記憶層21の磁化方向を反転させるために必要な電流密度を低減させることができる。第1固定層(参照層)31における磁化容易軸は、積層構造体20の積層方向と平行である。即ち、第1固定層(参照層)31は、磁化方向が積層構造体20の積層方向に自由に変化する磁気モーメントを有する強磁性材料、より具体的には、Co−Fe−B合金[Co20Fe808020]から構成されている。更には、第2固定層(磁化参照層)32は、Co−Pt合金層から構成され、ルテニウム(Ru)から構成された非磁性層34を介して、第1固定層(参照層)31と磁気的に結合する積層フェリ構造を構成している。また、少なくとも第2固定層32は、具体的には、実施例1にあっては、第2固定層32及び非磁性層34は、窒化シリコン(SiN)若しくはSiO2、Al23から成る絶縁材料層(埋込み層)42によって囲まれている。また、絶縁材料層42上には、アルミニウム酸化物から成る層間絶縁層43が形成されており、第1固定層31、中間層22、記憶層21及びキャップ層23は層間絶縁層43によって囲まれている。また、第2固定層32及び絶縁材料層42は、例えば、Ta層とRu層の2層構造から成る下地層41上に形成されている。下地層41は、SiO2から成る下層絶縁層69上に形成されている。以上のとおり、実施例1の磁気抵抗素子はMTJ素子から構成されている。
図2に示すように、積層構造体20の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタTRが設けられている。具体的には、
半導体基板60に形成された選択用トランジスタTR、及び、
選択用トランジスタTRを覆う下層絶縁層68,69、
を備えており、
下層絶縁層69上に第1の配線51が形成されており、
第1の配線51は、下層絶縁層68,69に設けられた接続孔(あるいは接続孔とランディングパッド部や下層配線)67を介して選択用トランジスタTRに電気的に接続されており、
絶縁材料層42を含む層間絶縁層43は、下層絶縁層69及び第1の配線51を覆い、積層構造体20を取り囲んでおり、
第2の配線52は層間絶縁層43上に形成されている。
選択用トランジスタTRは、ゲート電極61、ゲート絶縁層62、チャネル形成領域63及びソース/ドレイン領域64を備えている。一方のソース/ドレイン領域64と第1の配線51とは、上述したとおり、接続孔67を介して接続されており、他方のソース/ドレイン領域64は、タングステンプラグ65を介して、下層絶縁層68上に形成されたセンス線66に接続されている。ゲート電極61は、所謂ワード線として機能する。
以下、実施例1の磁気抵抗素子の製造方法の概要を説明するが、実施例2の磁気抵抗素子も、基本的には同様の方法で作製することができる。
[工程−100]
先ず、周知の方法に基づき、シリコン半導体基板60に素子分離領域(図示せず)を形成し、素子分離領域によって囲まれたシリコン半導体基板60の部分に、ゲート酸化膜62、ゲート電極61、ソース/ドレイン領域64から成る選択用トランジスタTRを形成する。ソース/ドレイン領域64とソース/ドレイン領域64の間に位置するシリコン半導体基板60の部分がチャネル形成領域63に相当する。次いで、第1下層絶縁層68を形成し、他方のソース/ドレイン領域64の上方の第1下層絶縁層68の部分にタングステンプラグ65を形成し、更には、第1下層絶縁層68上にセンス線66を形成する。その後、全面に第2下層絶縁層69を形成し、一方のソース/ドレイン領域64の上方の下層絶縁層68,69の部分にタングステンプラグから成る接続孔67を形成する。こうして、下層絶縁層68,69で覆われた選択用トランジスタTRを得ることができる。その後、下層絶縁層69上に第1の配線51を形成する。
[工程−110]
その後、スパッタリング法にて、全面に、下地層41、第2固定層32、非磁性層34を連続成膜し、次いで、非磁性層34、第2固定層32、下地層41を、反応性イオンエッチング法(RIE法)に基づきエッチングする。
[工程−120]
次に、全面に絶縁材料層42を形成し、絶縁材料層42に平坦化処理を施すことで、絶縁材料層42の頂面を非磁性層34の頂面と、同じレベルとする。
[工程−130]
その後、スパッタリング法にて、全面に、第1固定層31及び中間層22を形成した後、中間層22に酸化処理を施す。次に、中間層22上に記憶層21、キャップ層23を成膜した後、キャップ層23、記憶層21、中間層22及び第1固定層31を反応性イオンエッチング法に基づきエッチングし、更に、キャップ層23及び記憶層21を反応性イオンエッチング法に基づきエッチングする。
[工程−140]
その後、全面に層間絶縁層43を形成し、キャップ層23の上方の層間絶縁層43に開口部を形成し、層間絶縁層43上に、キャップ層23まで延びる第2の配線52を形成する。こうして、図1A及び図2に示した構造の磁気抵抗素子(具体的には、スピン注入型磁気抵抗効果素子)を得ることができる。尚、RIE法によって各層をパターニングする代わりに、イオンミリング法(イオンビームエッチング法)に基づき各層をパターニングすることもできる。
ところで、情報は、一軸異方性を有する記憶層21の磁化方向の向きによって規定される。情報の書込みは、積層構造体20の積層方向に電流を流し、スピントルク磁化反転を生じさせることによって行われる。以下、スピン注入磁化反転を適用したスピン注入型磁気抵抗効果素子の概念図である図16Aを参照して、スピントルク磁化反転について簡単に説明する。電子は2種類のスピン角運動量を有する。仮にこれを上向き、下向きと定義する。非磁性体内部では両者が同数であり、強磁性体内部では両者の数に差がある。
強磁性材料から成る記憶層21と第1固定層(参照層)31とは、互いの磁気モーメントの向きが反平行状態にあると仮定する。この状態では、情報「1」が記憶層に記憶されている。記憶層21に記憶されている情報「1」を「0」に書き換えるとする。この場合、記憶層21から固定層30へとスピン偏極電流を流す。即ち、固定層30から記憶層21に向かって電子を流す。第1固定層31を通過した電子には、スピン偏極、即ち、上向きと下向きの数に差が生じる。中間層22の厚さが十分に薄く、このスピン偏極が緩和して通常の非磁性体における非偏極状態(上向きと下向きが同数の状態)になる前に、記憶層21に達すると、スピン偏極度の符号が逆になっていることにより、系全体のエネルギーを下げるために、一部の電子は、反転、即ち、スピン角運動量の向きを変えさせられる。このとき、系の全角運動量は保存されなければならないため、向きを変えた電子による角運動量変化の合計と等価な反作用が、記憶層21における磁気モーメントに与えられる。電流、即ち、単位時間に積層構造体20を通過する電子の数が少ない場合には、向きを変える電子の総数も少ないために、記憶層21における磁気モーメントに発生する角運動量変化も小さいが、電流が増えると、多くの角運動量変化を単位時間内に記憶層に与えることができる。角運動量の時間変化はトルクであり、トルクが或る閾値を超えると記憶層21の磁気モーメントは反転を開始し、その一軸異方性により180度回転したところで安定となる。即ち、反平行状態から平行状態への反転が起こり、情報「0」が記憶層に記憶される(図16Aの左手側の概念図を参照)。
次に、記憶層21に記憶されている情報「0」を「1」に書き換えるとする。この場合、スピン偏極電流を逆に固定層30から記憶層21へと流す。即ち、記憶層21から固定層30に向かって電子を流す。第1固定層(参照層)31に達した下向きのスピンを有する電子は、固定層30を通過する。一方、上向きのスピンを有する電子は、第1固定層(参照層)31で反射される。そして、係る電子が記憶層21に進入すると、記憶層21にトルクを与え、記憶層21は反平行状態へと反転する(図16Aの右手側の概念図を参照)。但し、この際、反転を生じさせるのに必要な電流量は、反平行状態から平行状態へと反転させる場合よりも多くなる。平行状態から反平行状態への反転は直感的な理解が困難であるが、第1固定層(参照層)31の磁化方向が固定されているために反転できず、系全体の角運動量を保存するために記憶層21が反転すると考えてもよい。このように、0/1の情報の記憶は、固定層30から記憶層21の方向又はその逆向きに、それぞれの極性に対応する或る閾値以上の電流を流すことによって行われる。
垂直磁化型のスピン注入型磁気抵抗効果素子における反転電流をIc_perp、面内磁化型のスピン注入型磁気抵抗効果素子における反転電流をIc_paraとすると、
垂直磁化型における平行状態から反平行状態への反転:
c_perp=(A×α×Ms×V/g(0)/P)(Hk−4πMs
垂直磁化型における反平行状態から平行状態への反転:
c_perp=−(A×α×Ms×V/g(π)/P)(Hk−4πMs
面内磁化型における平行状態から反平行状態への反転:
c_para=(A×α×Ms×V/g(0)/P)(Hk+2πMs
面内磁化型における反平行状態から平行状態への反転:
c_para=−(A×α×Ms×V/g(π)/P)(Hk+2πMs
但し、
A :定数
α :ダンピング定数
s:飽和磁化
V :素子体積
g(0):平行時にスピントルクが相手の磁性層に伝達される効率に対応する係数
g(π):反平行時にスピントルクが相手の磁性層に伝達される効率に対応する係数
P :スピン分極率
k:磁気異方性(異方性磁界)
である。尚、これらの式については、S. Mangin et al. Nature materials, Vol.5 March2006, p.210 を参照のこと。
上式において、垂直磁化型の場合の(Hk−4πMs)と面内磁化型の場合の(Hk+2πMs)とを比較すると、垂直磁化型の方が、低記録電流化により適していることが理解できる。即ち、面内磁気異方性を有する磁気抵抗素子よりも垂直磁気異方性を有する磁気抵抗素子の方が低電力化、大容量化に適している。これは、垂直磁化型の方がスピントルク磁化反転の際に超えるべきエネルギーバリアが低く、また、垂直磁化膜の有する高い磁気異方性が大容量化により微細化した記憶層(記憶担体)の熱安定性を保持するのに有利であるためである。
実施例1にあっては、特に、記憶層21が受ける実効的な反磁界の大きさが記憶層21の飽和磁化量Msよりも小さくなるように、記憶層21の組成が調整されている。具体的には、前述したように、記憶層21を構成する強磁性材料をCo−Fe−B合金とすることで、記憶層21が受ける実効的な反磁界の大きさを小さくして、記憶層21の飽和磁化量Msよりも小さくする。これにより、記憶層21の磁化方向を反転させるために必要とされる書込み電流量を低減させることができる。
実施例1、及び、後述する比較例1A、比較例1Bにあっては、積層構造体20を、以下の表1に示す各層から構成した。
[表1]
キャップ層23:膜厚5nmのTa層
記憶層21 :膜厚1.6nmの(Co20Fe808020
中間層22 :膜厚1.0nmのMgO層
第1固定層31:膜厚1.2nmの(Co20Fe808020
非磁性層34 :膜厚0.7nmのRu層
第2固定層32:膜厚2.0nmのCo−Pt合金層
下地層41 :膜厚10nmのTa層と膜厚10nmのRu層の2層構造
そして、実施例1の試料の作製にあっては、厚さ0.725mmのシリコン半導体基板の表面に、厚さ0.3μmの熱酸化膜(図示せず)を形成し、その上に、ワード線(第1の配線)として機能する膜厚0.1μmのCu層(第1の配線)51を形成し、更に、その上に、表1に示す積層構造体20の内、下地層41、第2固定層32、非磁性層34を形成した後、非磁性層34、第2固定層32をパターニングした。次いで、全面に窒化シリコン(SiN)若しくはSiO2、Al23から成る絶縁材料層(埋込み層)42を形成し、平坦化処理を施した後、全面に、第1固定層31、中間層22、記憶層21、キャップ層23を形成し、その後、キャップ層23、記憶層21、中間層22、第1固定層31のパターニングを行った。尚、中間層以外の各層は、DCマグネトロンスパッタ法を用いて成膜した。中間層は、RFマグネトロンスパッタ法若しくはDCマグネトロンスパッタ法を用いてMg層を成膜した後、酸化チャンバーでMg層を酸化することで形成した。積層構造体20を得た後、熱処理炉内で、磁場を加えながら、350゜C、1時間の熱処理を行った。その後、全面にAl23から成る層間絶縁層43を形成し、積層構造体20の上方の層間絶縁層43に開口部を形成し、層間絶縁層43上に、キャップ層23まで延びる第2の配線52を形成した。こうして、選択用トランジスタTRを除き、図1Aに示したと概ね同様の構造を得ることができた。
一方、比較例の試料の作製にあっては、厚さ0.725mmのシリコン半導体基板60の表面に、厚さ0.3μmの熱酸化膜(図示せず)を形成し、その上に、ワード線として機能する膜厚0.1μmのCu層(第1の配線)51を形成し、更に、その上に、表1に示す積層構造体20を構成する各層を形成し、次いで、各層をパターニングすることで、積層構造体20を得た後、熱処理炉内で、磁場を加えながら、350゜C、1時間の熱処理を行った。その後、全面にAl23から成る層間絶縁層44を形成し、積層構造体20の上方の層間絶縁層44に開口部を形成し、層間絶縁層44上に、キャップ層23まで延びる第2の配線52を形成した。ここで、比較例1Aにあっては、キャップ層23から第2固定層32まで、1本の円柱から構成されている(図15A参照)。一方、比較例1Bにあっては、キャップ層23と記憶層21から成る上部円柱と、中間層22から第2固定層32までの下部四角柱から構成されている(図15B参照)。
実施例1、比較例1A、比較例1Bにおいて、キャップ層23及び記憶層21の平面形状を、直径0.1μmの円柱(S3=0.0079μm2)とした。また、実施例1において、中間層22及び第1固定層31は2μm×2μm(=S1)の四角柱であり、非磁性層34及び第2固定層32は0.5μm×0.5μm(=S2)の四角柱である。また、比較例1Aにおいて、積層構造体20の全体は、直径0.1μmの1本の円柱である。更には、比較例1Bにおいて、キャップ層23及び記憶層21を除く積層構造体(中間層22から第2固定層32まで)は、2μm×2μmの四角柱である。即ち、実施例1、比較例1A、比較例1BのそれぞれにおけるS1,S2の値(単位:μm2)は、以下のとおりある。
121/S2
実施例1 4 0.25 16
比較例1A 0.01 0.01 1.00
比較例1B 4 4 1.00
こうして得られた実施例1、比較例1A、比較例1Bの試料において、磁気抵抗の測定を行った。磁気抵抗の測定においては、膜面垂直方向に対して磁場を±1.5キロエルステッド乃至3キロエルステッドの範囲で掃引し、100ミリボルトの電圧を第1の配線51と第2の配線52との間に印加した状態で、4端子法により電気抵抗値を測定した。
その結果、実施例1においては、±2キロエルステッドの磁場範囲において磁気抵抗に変化は認められず、実施例1における積層構造体は、約2.5キロエルステッドの外部磁場に対して十分な耐性を有することが判った。また、比較例1Aにおいては、±3キロエルステッドの磁場範囲において磁気抵抗に変化は認められず、比較例1Aにおける積層構造体は、外部磁界に対して十分な耐性を有することが判った。一方、比較例1Bにおいては、1.2キロエルステッド程度の磁場において磁気抵抗に変化が認められ、比較例1Bにおける積層構造体は、外部磁界に対して十分な耐性を有していないことが判った。
第1固定層(参照層)31の面積に依存した外部磁界に対する耐性の変化は次のように説明することができる。即ち、磁性体は磁化方向に対して反対方向に反磁界を有し、特に垂直磁化膜においては反磁界は垂直磁気異方性を妨げる要因となる。この反磁界は面積依存性を有し、磁性体が大きさ無限大のベタ膜で最も反磁界が大きく、磁性体の面積が小さくなるに従い、反磁界は減少していく。このような、磁性体の形状、大きさに起因して実効的に付加される磁気異方性を形状磁気異方性と呼ぶ。この形状磁気異方性は、一般的には、1μm×1μm以下の大きさまで微細化されれば、反磁界低減の効果があるとされている。磁性体の微細化した場合の、形状磁気異方性を加味した異方性磁界Hcは、以下の式(1)のように表される。ここで、Kuは異方性エネルギー、Msは飽和磁化、fは磁性体の形状によって変化する反磁界係数である。
c=2(Ku−2πMS 2f)/MS (1)
次に、上述したとおり、第2固定層(磁化固定層)32をCo−Pt合金層から構成し、第2固定層32の面積による異方性磁界の変化を計算した。ここで、
s =600emu/cm3
反磁界を含むベタ膜での異方性磁界Hk=15キロエルステッド
第2固定層32の膜厚 =2nm
としている。
図13に、微細化したW(nm)×W(nm)の大きさの第2固定層32において、形状磁気異方性を含む異方性磁界Hkの値が、第2固定層32をベタ膜としたとき(W=∞)の異方性磁界Hk_effを「1」としたとき、第2固定層32の大きさに対してどのように変化するかを示す。第2固定層(磁化固定層)32の面積が小さくなるに従い、異方性磁界Hkの値は増加し、その結果、積層フェリ構造における反強磁性的結合の結合エネルギーが強化される。加えて、第2固定層32の微細化により、第2固定層32が複数磁区の状態から単磁区構造に近づくことによっても、異方性磁界の強化が図られる。
また、実施例1、比較例1A、比較例1Bについて、固定層が反転する外部磁界の大きさと第2固定層(磁化固定層)32の大きさの関係を求めると図14のとおりとなり、実施例1において固定層の外部磁界耐性が向上していることが判る。また、反転磁界の第2固定層32のサイズ依存性は、前述した第2固定層32の異方性磁界のサイズ依存性と類似しており、本開示の効果が反映されていると考えられる。
しかしながら、比較例1Aのような素子構造では、第1固定層(参照層)31の面積が小さく、第1固定層31の体積が微小である。そのため、スピン注入磁化反転のために(情報の記録のために)積層構造体20に電流を流したとき、第1固定層(参照層)31が受けるスピントルクによって第1固定層(参照層)31に不必要な磁化反転が起こり、磁気抵抗素子の動作が不安定なものとなる。一方、実施例1にあっては、第2固定層(磁化固定層)32の面積は小さいが、第1固定層(参照層)31の面積は大きいので、第1固定層(参照層)31はスピン注入磁化反転時に受けるスピントルクに対しても安定である。
実施例1、比較例1A及び比較例1Bにおける外部磁界及びスピントルクに対する耐性を纏めると、以下の表2のとおりとなる。
[表2]
実施例1 比較例1A 比較例1B
第1固定層の面積 大 小 大
第2固定層の面積 小 小 大
複数の固定層の体積 中 小 大
スピントルク耐性 高 低 高
外部磁界耐性 高 高 低
以上のとおり、実施例1の磁気抵抗素子にあっては、複数の固定層が設けられており、中間層に隣接する第1固定層の、中間層に対向する部分の面積をS1、第1固定層以外の固定層の内、最も面積の小さい固定層の面積をS2としたとき、S1>S2を満足するので、固定層は、全体として十分に高い外部磁界耐性を有し、且つ、記憶層よりも十分に高いスピントルク耐性を有する。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2にあっては、積層構造体の形状の各種変形例を説明する。
模式的な一部断面図を図3A及び図3Bに示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)において、中間層22は記憶層21と同じ大きさを有する。尚、図3Aは、図1Aに示した磁気抵抗素子の変形であり、図3Bは、図1Bに示した磁気抵抗素子の変形である。
また、模式的な一部断面図を図4A及び図4Bに示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)において、第1固定層以外の固定層は、並置された複数(図示した例では3つ)の固定層ユニット32’から成る。尚、図4Aは、図1Bに示した磁気抵抗素子の変形であり、図4Bは、図3Bに示した磁気抵抗素子の変形である。
模式的な一部断面図を図5A及び図5Bに示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)において、非磁性層34の側面は、第2固定層32に向かって窄まったテーパー形状を有する。尚、図5Aは、図1Aに示した磁気抵抗素子の変形であり、図5Bは、図3Aに示した磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の変形である。
模式的な一部断面図を図6A及び図6Bに示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)において、第2固定層32の側面は、下地層41に向かって窄まったテーパー形状を有する。尚、図6Aは、図1Aに示した磁気抵抗素子の変形であり、図6Bは、図3Aに示した磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の変形である。
模式的な一部断面図を図7A及び図7Bに示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)において、第2固定層32の側面は、下地層41に向かって窄まったテーパー形状を有する。尚、図7Aは、図1Bに示した磁気抵抗素子の変形であり、図6Bは、図3Bに示した磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の変形である。
模式的な一部断面図を図8A及び図8Bに示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)において、非磁性層34の側面及び第2固定層32の側面は、下地層41に向かって窄まったテーパー形状を有する。尚、図8Aは、図1Aに示した磁気抵抗素子の変形であり、図8Bは、図3Aに示した磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の変形である。
模式的な一部断面図を図9A及び図9Bに示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)において、第2固定層32の側面は、下地層41に向かって広がったテーパー形状を有する。尚、図9Aは、図1Aに示した磁気抵抗素子の変形であり、図9Bは、図3Aに示した磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の変形である。
模式的な一部断面図を図10A及び図10Bに示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)において、非磁性層34の側面及び第2固定層32の側面は、下地層41に向かって広がったテーパー形状を有する。尚、図10Aは、図1Aに示した磁気抵抗素子の変形であり、図10Bは、図3Aに示した磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)の変形である。
模式的な一部断面図を図11A、図11B及び図12に示す磁気抵抗素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)にあっては、第1固定層31の外側に第1固定層延在部31’が設けられている。第1固定層延在部31’は、第1固定層31と同じ材料から構成してもよいし、異なる強磁性材料から構成してもよい。図11A、図11B、図12に示す磁気抵抗素子にあっては、柱状の第2固定層32、非磁性層34、第1固定層31、中間層22、記憶層21、キャップ層23を形成した後、絶縁材料層42、第1固定層延在部31’、層間絶縁層43を、順次、形成すればよい。尚、柱状の第2固定層32、非磁性層34、第1固定層31、中間層22、記憶層21、キャップ層23の形成におけるパターニングに依存して、図11A、図11B、図12に示す磁気抵抗素子を得ることができる。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した各種の積層構造、使用した材料等は例示であり、適宜、変更することができる。各実施例においては、記憶層が積層構造体の最上層に位置する構造を有するスピン注入型磁気抵抗効果素子を説明したが、各層の積層順序を逆とし、記憶層が最下層に位置する構造を有するスピン注入型磁気抵抗効果素子とすることもできる。また、実施例においては、専ら、垂直磁化型の磁気抵抗素子を例にとり説明を行ったが、記憶層において、磁化容易軸が積層構造体の積層方向に対して垂直である(即ち、面内磁化型である)形態とすることもできる。また、絶縁材料層は磁性を有する形態とすることもでき、この場合、絶縁材料層を、例えば、酸化鉄(FeOX)から構成すればよい。磁気抵抗素子として、その他、磁気ヘッドを挙げることもできる。
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《磁気抵抗素子》
複数の固定層、非磁性体から成る中間層、及び、記憶層から成る積層構造体を有し、
複数の固定層は非磁性層を介して積層されており、
複数の固定層は、少なくとも第1固定層及び第2固定層を有し、
中間層に隣接する第1固定層の、中間層に対向する部分の面積をS1、第1固定層以外の固定層の内、最も面積の小さい固定層の面積をS2としたとき、S1>S2を満足する磁気抵抗素子。
[A02]複数の固定層は、積層フェリ構造を構成する[A01]に記載の磁気抵抗素子。
[A03]S1/S2≧4を満足する[A01]又は[A02]に記載の磁気抵抗素子。
[A04]第2固定層と対向する第1固定層の面と、第1固定層と対向する第2固定層の面との間には、段差が存在する[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A05]記憶層の磁化方向は、記憶すべき情報に対応して変化し、
第1固定層の磁化方向は、記憶層に記憶すべき情報の基準となる磁化方向であり、
積層構造体の積層方向に電流を流すことにより、記憶層の磁化方向を変化させ、記憶層において情報の記録が行われる記憶素子から成る[A01]乃至[A04]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A06]記憶層において、磁化容易軸は積層構造体の積層方向と平行である[A01]乃至[A05]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A07]記憶層において、磁化容易軸は積層構造体の積層方向に対して垂直である[A01]乃至[A05]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A08]記憶層の面積は、第1固定層の面積よりも小さい[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の垂直磁化方式の磁気抵抗素子。
[A09]記憶層の面積をS3としたとき、
1/S3≧4
を満足する[A08]に記載の磁気抵抗素子。
[A10]少なくとも第2固定層は、絶縁材料層によって囲まれている[A01]乃至[A09]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A11]絶縁材料層は磁性を有する[A10]に記載の磁気抵抗素子。
[A12]第1固定層と接する非磁性層は、第2固定層と同じ大きさを有する[A01]乃至[A11]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A13]第1固定層と接する非磁性層は、第1固定層と同じ大きさを有する[A01]乃至[A11]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A14]第1固定層以外の固定層は、並置された複数の固定層ユニットから成る[A01]乃至[A13]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A15]第1固定層は、Co層とPt層との積層体、Co層とPd層との積層体、Co層とNi層との積層体、Co−Pt合金層、Co−Pd合金層、Co−Ni合金層、又は、Co−Fe−B合金層から成る[A01]乃至[A14]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A16]第1固定層は、Co−Fe−B合金層から成る[A15]に記載の磁気抵抗素子。
[A17]中間層は酸化マグネシウムから成る[A01]乃至[A16]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
[A18]記憶層はCo−Fe−B合金層から成る[A01]乃至[A17]のいずれか1項に記載の磁気抵抗素子。
10・・・磁気抵抗素子、20・・・積層構造体、21・・・記憶層、22・・・中間層、23・・・キャップ層、30・・・複数の固定層、31・・・第1固定層(参照層)、31A・・・第1固定層の中間層に対向する部分、31B・・・第1固定層の第2固定層と対向する面、32・・・第2固定層(磁化固定層)、32A・・・第2固定層の第1固定層と対向する面、32’・・・固定層ユニット、33・・・段差、34・・・非磁性層、41・・・下地層、42・・・絶縁材料層、43・・・層間絶縁層、51・・・第1の配線、52・・・第2の配線、60・・・半導体基板、61・・・ゲート電極、62・・・ゲート絶縁層、63・・・チャネル形成領域、64・・・ソース/ドレイン領域、65・・・タングステンプラグ、66・・・センス線、67・・・接続孔、68,69・・・下層絶縁層、TR・・・選択用トランジスタ

Claims (17)

  1. 複数の固定層、非磁性体から成る中間層、及び、記憶層から成る積層構造体を有し、
    複数の固定層は非磁性層を介して積層されており、
    複数の固定層は、少なくとも第1固定層及び第2固定層を有し、
    中間層に隣接する第1固定層の、中間層に対向する部分の面積をS1、第1固定層以外の固定層の内、最も面積の小さい固定層の面積をS2としたとき、S1>S2を満足する磁気抵抗素子。
  2. 複数の固定層は、積層フェリ構造を構成する請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  3. 1/S2≧4を満足する請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  4. 第2固定層と対向する第1固定層の面と、第1固定層と対向する第2固定層の面との間には、段差が存在する請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  5. 記憶層の磁化方向は、記憶すべき情報に対応して変化し、
    第1固定層の磁化方向は、記憶層に記憶すべき情報の基準となる磁化方向であり、
    積層構造体の積層方向に電流を流すことにより、記憶層の磁化方向を変化させ、記憶層において情報の記録が行われる記憶素子から成る請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  6. 記憶層において、磁化容易軸は積層構造体の積層方向と平行である請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  7. 記憶層において、磁化容易軸は積層構造体の積層方向に対して垂直である請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  8. 記憶層の面積は、第1固定層の面積よりも小さい請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  9. 少なくとも第2固定層は、絶縁材料層によって囲まれている請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  10. 絶縁材料層は磁性を有する請求項9に記載の磁気抵抗素子。
  11. 第1固定層と接する非磁性層は、第2固定層と同じ大きさを有する請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  12. 第1固定層と接する非磁性層は、第1固定層と同じ大きさを有する請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  13. 第1固定層以外の固定層は、並置された複数の固定層ユニットから成る請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  14. 第1固定層は、Co層とPt層との積層体、Co層とPd層との積層体、Co層とNi層との積層体、Co−Pt合金層、Co−Pd合金層、Co−Ni合金層、又は、Co−Fe−B合金層から成る請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  15. 第1固定層は、Co−Fe−B合金層から成る請求項14に記載の磁気抵抗素子。
  16. 中間層は酸化マグネシウムから成る請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  17. 記憶層はCo−Fe−B合金層から成る請求項1に記載の磁気抵抗素子。
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