JP2015143718A - 高分子材料の微細構造の分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】走査型電子顕微鏡により高分子材料の相分離構造、ラメラ構造および結晶の配向状態を解析することが可能な高分子材料の微細構造の分析方法を提供する。
【解決手段】本発明の高分子材料の微細構造の分析方法は、高分子材料を所定の大きさに成形し、当該高分子材料を観察用の試料とする工程Aと、前記試料を透明樹脂で包埋する工程Bと、クロスセクションポリッシャーにより、前記透明樹脂および前記試料を研磨し、前記試料の観察面の面出しを行う工程Cと、前記面出しされた観察面に、導電膜を形成する工程Dと、走査型電子顕微鏡により、前記導電膜が形成された観察面の、相分離構造、ラメラ構造及び結晶配向からなる群から選択されるいずれか一種以上の微細構造を観察する工程Eと、前記導電膜が形成された観察面の前記微細構造に対し、エネルギー分散型X線分光器による元素分析を行う工程Fと、を備えたことを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の高分子材料の微細構造の分析方法は、高分子材料を所定の大きさに成形し、当該高分子材料を観察用の試料とする工程Aと、前記試料を透明樹脂で包埋する工程Bと、クロスセクションポリッシャーにより、前記透明樹脂および前記試料を研磨し、前記試料の観察面の面出しを行う工程Cと、前記面出しされた観察面に、導電膜を形成する工程Dと、走査型電子顕微鏡により、前記導電膜が形成された観察面の、相分離構造、ラメラ構造及び結晶配向からなる群から選択されるいずれか一種以上の微細構造を観察する工程Eと、前記導電膜が形成された観察面の前記微細構造に対し、エネルギー分散型X線分光器による元素分析を行う工程Fと、を備えたことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、高分子材料の微細構造の観察方法に関する。
高分子材料には、種々のスケールの高次構造が存在する。主な構造としては、結晶性高分子のラメラ構造や球晶組織、ブロックコポリマーやブレンド材料におけるミクロからマクロな相分離構造、無機フィラーとの複合材料におけるフィラーの分散粒径や配列状態などが挙げられる。
高分子材料を高性能化するためには、その構造を制御する必要がある。そこで、近年、高分子材料の構造を制御する方法などが研究され、多くの実例が開示されている。このような高分子材料の構造の制御に関する研究では、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)や走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)によって、その構造の観察が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
M.Kita,H.Tanaka,T.Shimada:Sen−I Gakkaishi,40,411(1984)
透過型電子顕微鏡による観察では、高分子材料に電子線を透過させる必要があるため、厚さが数nmの薄片状の試料を作製する必要がある。高分子材料は柔らかいため、クライオミクロトームを用いて、液体窒素により低温に冷却しながら、高分子材料を切削する必要がある。しかしながら、このクライオミクロトームを用いた切削方法は、高度な熟練を必要としていた。
また、高分子材料は電子密度が低いため、透過型電子顕微鏡による高分子材料の観察では、コントラストの高い画像を得ることが困難であった。そのため、高分子材料に染色法やエッチング法などの前処理を施して、その構造の変化を強調する必要がある。この高分子材料に対する前処理としては、種々の溶媒を用いて、混在する成分を抽出して、除去する溶剤エッチング法、種々の無機酸を用いて、分子鎖を分解、切断する方法などが挙げられる。しかしながら、これらの方法では、溶剤の洗い流しや乾燥が必要となるため、作業環境に対する配慮が必要であるばかりでなく、高度な熟練を必要としていた。
一方、走査型電子顕微鏡による観察は、クライオミクロトームによる切削によって生じたアーティファクトも観察されてしまうという欠点がある。そのため、高分子材料における表面の凹凸を観察する二次電子像からでは、高分子材料に関する微細な相分離構造やラメラ構造、さらには、結晶の配向状態を解析することは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、走査型電子顕微鏡により高分子材料の相分離構造、ラメラ構造および結晶の配向状態を解析することが可能な高分子材料の微細構造の観察方法を提供することを目的とする。
本発明の高分子材料の微細構造の分析方法は、高分子材料を所定の大きさに成形し、当該高分子材料を観察用の試料とする工程Aと、前記試料を透明樹脂で包埋する工程Bと、クロスセクションポリッシャ(登録商標)により、前記透明樹脂および前記試料を研磨し、前記試料の観察面の面出しを行う工程Cと、前記面出しされた観察面に、導電膜を形成する工程Dと、走査型電子顕微鏡により、前記導電膜が形成された観察面の、相分離構造、ラメラ構造及び結晶配向からなる群から選択されるいずれか一種以上の微細構造を観察する工程Eと、前記導電膜が形成された観察面の前記微細構造に対し、エネルギー分散型X線分光器による元素分析を行う工程Fと、を備えたことを特徴とする。
前記クロスセクションポリッシャにおいて、前記透明樹脂および前記試料に照射するアルゴンイオンビームのイオン加速電圧を2kV〜3kVとすることが好ましい。
前記アルゴンイオンビームの照射時間を12時間〜24時間とすることが好ましい。
本発明の高分子材料の微細構造の観察方法によれば、クロスセクションポリッシャーにより、高分子材料からなる試料の観察面の面出しを行うので、試料の観察面に高分子材料の相分離構造、ラメラ構造および結晶の配向状態が現れ、走査型電子顕微鏡により、それらを観察することが可能になる。
本発明の高分子材料の微細構造の観察方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の高分子材料の微細構造の観察方法の一実施形態を概略して示すフローチャートである。
まず、観察の対象となる高分子材料を所定の大きさに成形し、その成形した高分子材料を観察用の試料とする(工程A)。
まず、観察の対象となる高分子材料を所定の大きさに成形し、その成形した高分子材料を観察用の試料とする(工程A)。
高分子材料としては、特に限定されず、本発明は、高分子材料全般に適用することができる。
高分子材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは、複数の高分子材料が配合された複合材料などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの結晶性樹脂、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、ポリメタクリル酸(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)などの非晶性樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
高分子材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは、複数の高分子材料が配合された複合材料などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの結晶性樹脂、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、ポリメタクリル酸(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)などの非晶性樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの高分子材料を、走査型電子顕微鏡の観察に適した大きさ、すなわち、走査型電子顕微鏡の試料台に設置するのに適した大きさに切り出すなどして、所定の大きさに成形する。
高分子材料の切り出しには、ナイフ、ハサミ、カッター、ピンセットなどが用いられる。
高分子材料の切り出しには、ナイフ、ハサミ、カッター、ピンセットなどが用いられる。
工程Aの後、必要に応じて、走査型電子顕微鏡による観察の障害となる汚染物質を除去するために、試料を洗浄する。
試料を洗浄するには、純水、試料の高分子材料を溶解しない有機溶剤などを洗浄液として用いて、これらの洗浄液で試料の表面を洗浄する。
試料を洗浄するには、純水、試料の高分子材料を溶解しない有機溶剤などを洗浄液として用いて、これらの洗浄液で試料の表面を洗浄する。
次いで、工程Aにて所定の大きさに成形された試料を、透明樹脂で包埋する(工程B)。
透明樹脂としては、硬化前は液状であるが、紫外線または熱により容易に硬化して、硬化後の機械的強度が比較的高いものが用いられる。このような透明樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂が用いられる。
この工程Bでは、例えば、所定の形状をなす樹脂製の型の中に試料を配置した後、型の中に硬化前の透明樹脂を注入して、透明樹脂で試料を包囲する。その後、透明樹脂を硬化させて、試料を透明樹脂で包埋する。
そして、透明樹脂で包埋された試料を型から剥離する。
そして、透明樹脂で包埋された試料を型から剥離する。
次いで、クロスセクションポリッシャーにより、透明樹脂および試料の一部を研磨し、透明樹脂で包埋された試料の観察面の面出しを行う(工程C)。
この工程Cでは、クロスセクションポリッシャーにより、試料である高分子材料の非晶質部分をエッチングし、結晶部分を際立たせる。
この工程Cでは、クロスセクションポリッシャーにより、試料である高分子材料の非晶質部分をエッチングし、結晶部分を際立たせる。
クロスセクションポリッシャーは、試料にブロードなアルゴンイオンビームを照射して、試料をエッチングする加工方法である。
クロスセクションポリッシャーは、例えば、断面試料作製装置(商品名:SM−09010CP、日本電子社製)を用いて実施される。
クロスセクションポリッシャーは、例えば、断面試料作製装置(商品名:SM−09010CP、日本電子社製)を用いて実施される。
工程Cでは、クロスセクションポリッシャーにおいて、透明樹脂および試料に照射するアルゴンイオンビームのイオン加速電圧は2kV〜3kVであることが好ましく、より好ましくは2.5kV〜3kVである。
アルゴンイオンビームのイオン加速電圧が2kV未満では、エッチング速度が遅くなりすぎて実用的ではない。一方、アルゴンイオンビームのイオン加速電圧が3kVを超えると、試料を構成する高分子材料の微細構造が破壊されてしまい、走査型電子顕微鏡により、高分子材料の微細構造を明瞭に観察することができなくなる。
アルゴンイオンビームのイオン加速電圧が2kV未満では、エッチング速度が遅くなりすぎて実用的ではない。一方、アルゴンイオンビームのイオン加速電圧が3kVを超えると、試料を構成する高分子材料の微細構造が破壊されてしまい、走査型電子顕微鏡により、高分子材料の微細構造を明瞭に観察することができなくなる。
また、工程Cでは、クロスセクションポリッシャーにおいて、上記のイオン加速電圧で、アルゴンイオンビームを照射する時間(アルゴンイオンビームの照射時間)を12時間〜24時間とすることが好ましく、より好ましくは20時間〜24時間である。
アルゴンイオンビームの照射時間が12時間未満では、試料の観察面の面出しが不十分、すなわち、試料の非晶質部分をエッチングし、結晶との境界を明確にできないことがある。一方、アルゴンイオンビームの照射時間が24時間を超えると、試料を構成する高分子材料の微細構造が破壊されてしまい、走査型電子顕微鏡により、高分子材料の微細構造を明瞭に観察することができなくなる。
アルゴンイオンビームの照射時間が12時間未満では、試料の観察面の面出しが不十分、すなわち、試料の非晶質部分をエッチングし、結晶との境界を明確にできないことがある。一方、アルゴンイオンビームの照射時間が24時間を超えると、試料を構成する高分子材料の微細構造が破壊されてしまい、走査型電子顕微鏡により、高分子材料の微細構造を明瞭に観察することができなくなる。
工程Cの後、試料(透明樹脂を含む)を乾燥する。
試料の乾燥方法としは、一般的な走査型電子顕微鏡用の試料の乾燥に用いられる臨界点乾燥法、真空デシケーターを用いた真空乾燥法などが用いられる。
試料の乾燥方法としは、一般的な走査型電子顕微鏡用の試料の乾燥に用いられる臨界点乾燥法、真空デシケーターを用いた真空乾燥法などが用いられる。
次いで、工程Cにて面出しされた試料の観察面に、導電膜を形成する(工程D)。
工程Dでは、イオンスパッタリング、真空蒸着などにより、試料の観察面に金などの金属からなる金属の薄膜(導電膜)を形成する。
導電膜の厚さは、特に限定されないが、例えば、10nm〜20nmとする。
導電膜の厚さは、特に限定されないが、例えば、10nm〜20nmとする。
次いで、観察面に導電膜が形成された試料を走査型電子顕微鏡の試料台に設置し、その試料における導電膜が形成された観察面を、走査型電子顕微鏡により観察する(工程E)。
走査型電子顕微鏡としては、汎用走査型電子顕微鏡、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)などが用いられるが、高分解能で、ラメラ層まで見えるという観点、あるいは、添加剤と母材の境界を明確にするという観点から、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡が好ましい。
また、走査型電子顕微鏡による観察において、試料の観察面に照射する電子線の加速電圧は、特に限定されないが、例えば、10kV〜15kVである。
本実施形態の高分子材料の微細構造の観察方法によれば、クロスセクションポリッシャーにより、高分子材料からなる試料と、それを包埋する透明樹脂とを研磨し、試料の観察面の面出しを行うので、試料の観察面に高分子材料の相分離構造、ラメラ構造および結晶の配向状態が現れ、走査型電子顕微鏡により、それらを観察することが可能になる。例えば、試料の観察面に高分子材料のラメラ構造や添加剤が現れ、走査型電子顕微鏡により、そのラメラ構造や添加剤を観察することが可能になる。これは、結晶部と非晶部のエッチング速度の相違を利用して、ラメラ構造の観察が可能になったものであり、ポリマーアロイでは、高分子の種類によって、エッチング速度が異なることから組成像が微細な表面凹凸として観察できると考えられる。また、クロスセクションポリッシャーを用いることにより、高分子材料からなる試料の微細加工が可能であり、かつ、エッチング速度の制御が容易であるので、走査型電子顕微鏡により、容易に試料の微細構造の観察が可能となる。
さらに、クロスセクションポリッシャーを用いれば、廃液処理などを必要とせず、無公害である。
さらに、クロスセクションポリッシャーを用いれば、廃液処理などを必要とせず、無公害である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
架橋ポリエチレンケーブル(試料1)を所定の形状に切り出した後、その試料1をエポキシ樹脂(商品名:エポキシ樹脂(G−2)、二液系熱硬化性樹脂、GATAN社製)で包埋して、所定の形状とした。
次いで、ダイヤラップ研磨システムで研磨し、試料の観察面を覆っている透明樹脂を完全に除去した後、アルゴンイオンビームを用いたクロスセクションポリッシャーにより、エポキシ樹脂で包埋した試料1の観察面を面出しした。
次いで、イオンスパッタリングにより、試料1の観察面に、金からなる厚さ15nmの導電膜を形成した。
次いで、観察面に導電膜が形成された試料1を走査型電子顕微鏡の試料台に設置し、その試料1の観察面を、走査型電子顕微鏡(商品名:FE−SEM JSM−7000F、日本電子社製)により観察した。
図2に、実施例1の試料1の走査型電子顕微鏡像を示す。
図2の走査型電子顕微鏡像では、筋状の形態が観察された。この筋状の形態は、幅約20μmであり、結晶の幅とほぼ一致していた。すなわち、試料1の観察面には、結晶のラメラ形態が露出していることが分かった。
架橋ポリエチレンケーブル(試料1)を所定の形状に切り出した後、その試料1をエポキシ樹脂(商品名:エポキシ樹脂(G−2)、二液系熱硬化性樹脂、GATAN社製)で包埋して、所定の形状とした。
次いで、ダイヤラップ研磨システムで研磨し、試料の観察面を覆っている透明樹脂を完全に除去した後、アルゴンイオンビームを用いたクロスセクションポリッシャーにより、エポキシ樹脂で包埋した試料1の観察面を面出しした。
次いで、イオンスパッタリングにより、試料1の観察面に、金からなる厚さ15nmの導電膜を形成した。
次いで、観察面に導電膜が形成された試料1を走査型電子顕微鏡の試料台に設置し、その試料1の観察面を、走査型電子顕微鏡(商品名:FE−SEM JSM−7000F、日本電子社製)により観察した。
図2に、実施例1の試料1の走査型電子顕微鏡像を示す。
図2の走査型電子顕微鏡像では、筋状の形態が観察された。この筋状の形態は、幅約20μmであり、結晶の幅とほぼ一致していた。すなわち、試料1の観察面には、結晶のラメラ形態が露出していることが分かった。
「比較例1」
実施例1と同じ架橋ポリエチレンケーブル(試料2)を所定の形状に切り出した後、その試料2をエポキシ樹脂(商品名:エポック812セット、応研商事社製)で包埋して、所定の形状とした。
次いで、ウルトラクライオミクロトームでダイヤモンドナイフにて70nm厚の薄片を作製し、銅メッシュに載せた。
次いで、試料2を透過型電子顕微鏡の試料台に設置し、その試料2の観察面を、透過型電子顕微鏡(商品名:FE−TEM JEM−2100F、日本電子社製)により観察した。
図3に、比較例1の試料2の透過型電子顕微鏡像を示す。
図3の透過型電子顕微鏡では、筋状の形態が観察された。この筋状の形態は、幅約20μmであり、結晶の幅とほぼ一致していた。
実施例1と同じ架橋ポリエチレンケーブル(試料2)を所定の形状に切り出した後、その試料2をエポキシ樹脂(商品名:エポック812セット、応研商事社製)で包埋して、所定の形状とした。
次いで、ウルトラクライオミクロトームでダイヤモンドナイフにて70nm厚の薄片を作製し、銅メッシュに載せた。
次いで、試料2を透過型電子顕微鏡の試料台に設置し、その試料2の観察面を、透過型電子顕微鏡(商品名:FE−TEM JEM−2100F、日本電子社製)により観察した。
図3に、比較例1の試料2の透過型電子顕微鏡像を示す。
図3の透過型電子顕微鏡では、筋状の形態が観察された。この筋状の形態は、幅約20μmであり、結晶の幅とほぼ一致していた。
実施例1と比較例1を比べると、実施例1における走査型電子顕微鏡像は、比較例1における透過型電子顕微鏡像と同等の解像度が得られていた。
「実施例2」
エチレンプロピレンゴム(試料3)を用いた以外は実施例1と同様にして、走査型電子顕微鏡用の試料を作製し、その試料3の観察面を、走査型電子顕微鏡により観察した。
図4に、実施例2の試料3の走査型電子顕微鏡像を示す。
図4の走査型電子顕微鏡像では、様々な形状の粒状のものが観察された。この粒状のものは添加剤であり、様々な種類の添加剤が母材であるゴムに添加されていることが分かった。
エチレンプロピレンゴム(試料3)を用いた以外は実施例1と同様にして、走査型電子顕微鏡用の試料を作製し、その試料3の観察面を、走査型電子顕微鏡により観察した。
図4に、実施例2の試料3の走査型電子顕微鏡像を示す。
図4の走査型電子顕微鏡像では、様々な形状の粒状のものが観察された。この粒状のものは添加剤であり、様々な種類の添加剤が母材であるゴムに添加されていることが分かった。
「比較例2」
エチレンプロピレンゴム(試料4)を用いた以外は比較例1と同様にして、透過型電子顕微鏡用の試料を作製し、その試料4の観察面を、透過型電子顕微鏡により観察した。
図5に、比較例2の試料4の透過型電子顕微鏡像を示す。
図5の透過型電子顕微鏡像では、様々な形の粒状のものが観察された。この粒状のものは添加剤であり、様々な種類の添加剤が母材であるゴムに添加されていることが分かった。
エチレンプロピレンゴム(試料4)を用いた以外は比較例1と同様にして、透過型電子顕微鏡用の試料を作製し、その試料4の観察面を、透過型電子顕微鏡により観察した。
図5に、比較例2の試料4の透過型電子顕微鏡像を示す。
図5の透過型電子顕微鏡像では、様々な形の粒状のものが観察された。この粒状のものは添加剤であり、様々な種類の添加剤が母材であるゴムに添加されていることが分かった。
実施例2と比較例2を比べると、実施例2における走査型電子顕微鏡像は、比較例2における透過型電子顕微鏡像と同等の解像度が得られていた。
また、実施例1では結晶のラメラ形態が高解像度で観察され、実施例2では様々な形状の粒状添加剤が観察できることから、走査型電子顕微鏡に付設されているエネルギー分散型X線分光器による元素分析を行うことにより、それぞれの試料(試料1、試料3)の劣化の兆候を検出することができると示唆された。
Claims (3)
- 高分子材料を所定の大きさに成形し、当該高分子材料を観察用の試料とする工程Aと、
前記試料を透明樹脂で包埋する工程Bと、
クロスセクションポリッシャ(登録商標)により、前記透明樹脂および前記試料を研磨し、前記試料の観察面の面出しを行う工程Cと、
前記面出しされた観察面に、導電膜を形成する工程Dと、
走査型電子顕微鏡により、前記導電膜が形成された観察面の、相分離構造、ラメラ構造及び結晶配向からなる群から選択されるいずれか一種以上の微細構造を観察する工程Eと、
前記導電膜が形成された観察面の前記微細構造に対し、エネルギー分散型X線分光器による元素分析を行う工程Fと、
を備えたことを特徴とする高分子材料の微細構造の分析方法。 - 前記クロスセクションポリッシャにおいて、前記透明樹脂および前記試料に照射するアルゴンイオンビームのイオン加速電圧を2kV〜3kVとすることを特徴とする請求項1に記載の高分子材料の微細構造の分析方法。
- 前記アルゴンイオンビームの照射時間を12時間〜24時間とすることを特徴とする請求項2に記載の高分子材料の微細構造の分析方法。
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