JP2015143477A - 圧縮機及び空気調和機の室外機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ケース底部に潤滑油と共に液冷媒が存在する場合においても、コストと電気代の上昇を招くことなく、潤滑油を軸受や摺動部に供給することができ、信頼性に優れた圧縮機、及びこれを備えた空気調和機の室外機を提供する。【解決手段】冷媒を圧縮する圧縮機構部と、該圧縮機構部を回転軸を介して駆動する電動機部と、前記回転軸を回転自在に支持する軸受部と、これらが内部に配置された密閉容器と、前記密閉容器の底部に形成される油溜り部と、前記油溜り部の潤滑油を前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、を備えた圧縮機において、前記潤滑油供給手段は、前記油溜り部の潤滑油を吸込む上側の第1吸込部と下側の第2吸込部とがそれぞれ形成されるとともに、移動可能に構成された移動部材が配置され、かつ、前記移動部材が上側に移動した場合に前記第1吸込部が開口するように構成される。【選択図】 図5
Description
本発明は、冷凍用や空調用などの冷凍サイクルに使用される圧縮機及び空気調和機の室外機に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2008−169694号公報(特許文献1)がある。この公報には、「作動流体を圧縮する圧縮機部と、前記圧縮機部を駆動するクランクシャフトと、前記クランクシャフトを軸支する軸受と、インナーロータ及びアウターロータを有して油を前記軸受へ給油する給油ポンプと、前記圧縮機部、前記クランクシャフト及び前記給油ポンプを収納したケーシングとを備え、前記ケーシングは、内部空間を吸込み圧力にすると共に、当該内部空間に油を貯留する貯油部を設け、前記圧縮機部は、鏡板とそれに立設する渦巻体とを有する固定スクロールと、鏡板とそれに立設する渦巻体とを有する旋回スクロールと、前記両スクロールを噛み合わせて形成され容積が縮小することにより作動流体を圧縮する圧縮室と、前記旋回スクロールの背面に設けられ吸込み圧力より高く吐出圧力より低い中間圧力空間となる背圧室とを備え、前記クランクシャフトは、回転駆動源により回転駆動されて前記旋回スクロールを旋回駆動すると共に、前記軸受への給油通路となる給油穴を備え、給油ポンプは、前記貯油部の油を昇圧して前記クランクシャフトの給油穴及び前記軸受を通して前記背圧室に供給するように前記クランクシャフトの反旋回スクロール側の端部に設けたスクロール圧縮機において、前記給油ポンプは、前記インナーロータ及び前記アウターロータのサイド面を覆うカバーを、前記クランクシャフトのスラスト力により前記インナーロータのサイド面または前記アウターロータのサイド面の少なくとも何れか一方に付勢するように設けたことを特徴とする、スクロール圧縮機」と記載されている(請求項1参照)。
上記特許文献1のスクロール圧縮機は、定常運転時には高性能で信頼性の高い圧縮機であるが、ケース底の油溜りに液冷媒が存在する場合については特に考慮されていなかった。例えば、真冬の朝など外気温の低い場合には、圧縮機内の冷媒が液化して、ケース底の油溜りに潤滑油と共に溜まることとなる。一般的に液冷媒の密度は潤滑油の密度より大きいため、ケース底に溜まる際には液冷媒が下となり、その上に潤滑油の層ができることになる。つまり給油ポンプの吸込口の周りは液冷媒となる。このまま圧縮機を始動すると、粘度の低い液冷媒が軸受や摺動部に流れ込むこととなり、軸受や摺動部が損傷したり焼き付いたりする可能性があった。
そこで本発明は、ケース底部に潤滑油と共に液冷媒が存在する場合においても、コストと電気代の上昇を招くことなく、潤滑油を軸受や摺動部に供給することができ、信頼性に優れた圧縮機、及びこれを備えた空気調和機の室外機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、
「冷媒を圧縮する圧縮機構部と、該圧縮機構部を回転軸を介して駆動する電動機部と、前記回転軸を回転自在に支持する軸受部と、これらが内部に配置された密閉容器と、前記密閉容器の底部に形成される油溜り部と、前記油溜り部の潤滑油を前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、を備えた圧縮機において、前記潤滑油供給手段は、前記油溜り部の潤滑油を吸込む上側の第1吸込部と下側の第2吸込部とがそれぞれ形成されるとともに、移動可能に構成された移動部材が配置され、かつ、前記移動部材が上側に移動した場合に前記第1吸込部が開口するように構成されること」を特徴とする。
「冷媒を圧縮する圧縮機構部と、該圧縮機構部を回転軸を介して駆動する電動機部と、前記回転軸を回転自在に支持する軸受部と、これらが内部に配置された密閉容器と、前記密閉容器の底部に形成される油溜り部と、前記油溜り部の潤滑油を前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、を備えた圧縮機において、前記潤滑油供給手段は、前記油溜り部の潤滑油を吸込む上側の第1吸込部と下側の第2吸込部とがそれぞれ形成されるとともに、移動可能に構成された移動部材が配置され、かつ、前記移動部材が上側に移動した場合に前記第1吸込部が開口するように構成されること」を特徴とする。
本発明によれば、ケース底部に潤滑油と共に液冷媒が存在する場合においても、コストと電気代の上昇を招くことなく、潤滑油を軸受や摺動部に供給することができ、信頼性に優れた圧縮機、及びこれを備えた空気調和機の室外機を提供することが可能となる。
以下、本発明の具体的な実施例を図面を用いて説明する。なお、各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
本実施例が適用されるスクロール圧縮機の基本的な構造を図1〜図2を用いて説明する。図1はスクロール圧縮機の基本的な構造を説明する縦断面図、図2は図1における固定スクロールと旋回スクロールとの噛み合い状態を説明する平面図である。なお以下においてはスクロール圧縮機を一例として説明するが、本実施例はこれに限定されるものではなく、下部に油溜り部を設け、これを吸込み循環させる圧縮機であれば適用可能である。
まず、図1により、スクロール圧縮機の全体構成を説明する。スクロール圧縮機1は密閉容器(ケース)9内に、圧縮機構部2及び電動機部16などを収容して構成されている。ここで密閉容器9の上部には溶接等の固定手段によりフレーム17が固定されており、圧縮機構部2はフレーム17に固定された固定スクロール7とこの固定スクロール7に対して旋回運動を行う旋回スクロール8とを備えて構成される。また電動機部16は外側に配置される固定子16bと、この固定子16bの内側に配置され回転軸(クランクシャフト)10と一体で回転する回転子16aとを備えて構成される。
固定スクロール7は、円板状の固定側平板部(台板)7aと、この固定側平板部7aに渦巻状に立設された固定側渦巻部7bと、を備え、固定側平板部(台板)7aの固定側渦巻部7bが立設される側の表面のうち固定側渦巻部7bで囲われる箇所を固定側歯底部7cと呼ぶ。また固定側平板部7aの固定側渦巻部7bより外周側には固定側渦巻部7bを囲むように筒状の支持部7dが配置され、この支持部7dにおいて固定スクロール7は、フレームにボルト等で固定される。この支持部7dのうち固定側対向面7eは、旋回スクロール8と対向する面であり、固定側渦巻部7bの先端面と連続する面である。
次に旋回スクロール8は、円板状の旋回側平板部(鏡板)8a、この旋回側平板部8aに渦巻状に立設された旋回側渦巻部8bと、を備え、旋回側平板部(鏡板)8aの旋回側渦巻部8bが立設される側の表面のうち旋回側渦巻部8bで囲われる箇所を旋回側歯底部8cと呼び、旋回側渦巻部8bより外周側の表面を旋回側対向面8eと呼ぶ。この旋回側対向面8eが旋回運動をする際に固定側対向面7eと接する面となる。旋回側平板部8aの旋回側渦巻部8bが立設される側と反対側(背面側)の中央側には回転軸10の先端の偏心したクランク部10aを挿入するための旋回ボス部8dが設けられており、旋回ボス部8dの内周側には旋回軸受11が配置される。
回転軸10の圧縮機構部2側の先端部は偏心したクランク部10aが設けられており、このクランク部10aは、旋回ボス部8dに設けられた旋回軸受11に挿入され、回転軸10の回転に伴い、旋回スクロール8は旋回可能に構成される。具体的には、旋回スクロール8の裏側にオルダムリング12が設けられることで、旋回スクロール8を固定スクロール7に対して、自転しないように拘束しながら相対的に旋回運動させている。なお、回転軸10は上部においてフレーム17に取り付けられた主軸受5に、また下部において下部フレームに取り付けられた副軸受23に回転自在に支持され、固定スクロール7の中心軸線と同軸となっている。一方で旋回スクロール8の中心軸線は、固定スクロール7の中心軸線に対して所定距離だけ偏心した状態となる。
図1に示すように、旋回スクロール8はフレーム17内に旋回可能に設けられ、固定スクロール7に対向して配置される。そして、固定スクロール7の固定側渦巻部7bと旋回スクロール8の旋回側渦巻部8bとが噛み合わされることで、その間に圧縮室13が形成される。旋回側渦巻部8bの先端部(ラップ歯先)は固定側歯底部7cと微小すき間をもって相対する状態となっているとともに、固定側渦巻部7bの先端部(ラップ歯先)は旋回側歯底部8cと微小すき間をもって相対する状態となっている。
ここで電動機部16が駆動して回転軸10が回転することで旋回スクロール8が旋回運動すると、圧縮室13の容積が減少することで圧縮動作が行われる。この圧縮動作に伴って、たとえば空調用の冷媒が吸込ポート14から図2に示す圧縮室13の入口側に形成される吸込室20へ吸込まれる。この吸込ポート14は、図1及び図2に示すように、固定スクロール7の固定側平板部7aの外周側に形成され、吸入管からの冷媒がこの吸入ポート14に流れる。
ここで電動機部16が駆動して回転軸10が回転することで旋回スクロール8が旋回運動すると、圧縮室13の容積が減少することで圧縮動作が行われる。この圧縮動作に伴って、たとえば空調用の冷媒が吸込ポート14から図2に示す圧縮室13の入口側に形成される吸込室20へ吸込まれる。この吸込ポート14は、図1及び図2に示すように、固定スクロール7の固定側平板部7aの外周側に形成され、吸入管からの冷媒がこの吸入ポート14に流れる。
吸入室20に吸込まれた冷媒は圧縮室13での圧縮行程を経て、吐出ポート15から密閉容器9内の吐出空間54に吐出される。この吐出ポート15は、最内周側の圧縮室13と連通するように、固定側平板部7aの固定側渦巻部7bの渦巻中心付近に形成されている。吐出空間54に吐出された冷媒は、固定スクロール7の外周側とフレーム17の外周側に形成された図示しない冷媒通路を通って、モータ16が配置される空間(モータ室)に流れ、その後、吐出パイプ6から密閉容器9の外部に吐出されるように構成されている。
図2は固定スクロール7と旋回スクロール8との噛み合い状態を説明する図であり、旋回スクロール8の旋回側渦巻部8bを断面図で示し、旋回スクロール8の旋回側平板部8aの外周を二点鎖線の想像線で示している。図2に示す吸込室20は、吸入ポート14からの冷媒を吸入している途中の空間であり、図2の状態から旋回スクロール8の旋回運動の位相が進んで、冷媒の閉じ込みが完了した時点から圧縮室13となる。固定側渦巻部7bと旋回側渦巻部8bとの間には三日月状の複数の圧縮室13(旋回内線側圧縮室13a、旋回外線側圧縮室13b)が形成され、旋回スクロール8が旋回運動すると、各圧縮室13は中央側に移動するに従い連続的に容積が縮小する。このように冷媒は各圧縮室13内で順次、圧縮された後、最内周側の圧縮室と連通する吐出ポート15から吐出空間54に吐出される。
回転軸10の下端には容積型または遠心式の給油ポンプ21が設けられており、回転軸10の回転と共に給油ポンプ21も回転することで、密閉容器9の底部に形成された油溜り部53に溜められた潤滑油を、給油ポンプケース22に設けられた潤滑油吸込口25から吸入して、給油ポンプ21の吐出口28から吐出する。吐出された潤滑油は回転軸10の内部に軸方向に形成されている貫通穴(給油穴)3を通ってクランク部10aの上端へ送られる。
貫通穴3を流れる潤滑油の一部は、回転軸10に設けられた横穴24を流れ副軸受23に送られ、副軸受23を潤滑した後、油溜り部53に戻る。貫通穴3を流れるその他の大部分の潤滑油は、クランク部10aの上端に達し、このクランク部10aに設けられた油溝57を通って旋回軸受11を潤滑する。この潤滑油は、その後、旋回軸受11の下部に設けられた主軸受5を潤滑した後、排油穴26a及び排油パイプ26bを通って密閉容器9の底部の油溜り部53へ戻る。
ここで、油溝57と旋回軸受11とで形成される空間、および主軸受5を収める空間を併せて第1の空間33と呼ぶことにする。なお、主軸受5を収める空間とは、フレーム17、回転軸10、フレームシール56、旋回ボス部8dに設けられたつば部34、シール部材32で形成された空間であり、この第1の空間33は吐出圧力に近い圧力を有する空間である。そしてシール部材32により吐出圧力となっている第1の空間33と、吸込圧力と吐出圧力の中間の圧力となっている背圧室(第2の空間)18とが仕切られている。このシール部材32は、フレーム17のつば部34と対向する面に設けられた円環溝31に配置されており、これを図示しない波状バネによりつば部34側に付勢する構成とすることで上記した空間のシール(密閉)が行われる。
主軸受5及び旋回軸受11の潤滑のために第1の空間33に流入した潤滑油の大部分は、排油穴26a及び排油パイプ26bを通って油溜り部53に戻る。一部の潤滑油は、旋回ボス部8dのつば部34の下端面に設けられた油漏出手段を介して、第1の空間33からシール部材32の反対側の第2の空間18に流れ、これにより、オルダムリング12の潤滑や、固定側対向面7eと旋回側対向面8eとの間の摺動部の潤滑や、それぞれの渦巻部(ラップ)の先端と向かい合う歯底とのすき間などのシールが行われる。
上記した油漏出手段は、例えば、旋回ボス部8dのつば部34の下側端面に設けられた一つまたは複数の微小すき間であるスリット60をシール部材32を跨ぐように配置する。これにより、第1の空間33と背圧室18の圧力差により、第1の空間33から背圧室18へスリット60を通って油を流入させることができる。
なお、背圧室18と吸込室20(または圧縮室13)とは、固定スクロール7の支持部7dに設けられた冷媒流路により連通可能に構成され、この冷媒流路には前後の差圧を制御する背圧制御弁61が設けられている。この背圧制御弁61は、背圧室の圧力が所定の値以上になると開くことで冷媒流路を連通させるものであり、このとき冷媒とともに潤滑油が背圧制御弁61を通って、吸込室20(または圧縮室13)へ流入する。これにより、上記した摺動部や渦巻部先端のすき間などを潤滑すると共に、圧縮室13間などのシールを行うことができる。その後の潤滑油は冷媒とともに吐出ポート15から吐出空間54に吐出され、その一部は、冷媒と共に吐出パイプ6から冷凍サイクルへ吐出され、残りは密閉容器9内で冷媒と分離されて油溜り部53に貯留される。
以上に説明した方法によれば第1の空間33と背圧室18と油漏出手段を備えることで、各軸受部(主軸受5、副軸受23、旋回軸受11)に必要な給油量と圧縮室13に必要な給油量を独立に制御することができるため、圧縮室給油量の適正化が可能となり高効率な圧縮機を得ることができる。
なお、別の構成として、給油ポンプ21、第1の空間33及び油漏出手段を設けず、吐出圧力である油溜り部53の油を、軸受部の微小すき間での絞りを利用して減圧し、背圧室18へ導入する構造としてもよい。すなわち、高圧である油溜り部53と、高圧と低圧の中間の圧力である背圧室18との圧力差を利用して、回転軸10の下端に設けた油吸込口から各軸受部や圧縮室13へ給油する差圧給油構造を採用してもよい。この場合、各軸受部を通過した油は全て背圧室18に流入するため、各軸受部と圧縮室への給油量を独立に制御することはできない。しかし、給油ポンプ21やシール部材32などの部品が不要となるので、構造が単純で低コストのスクロール圧縮機とすることができる。
以上がスクロール圧縮機の基本的な構造であり、このような構造とすることで、各軸受部や摺動部への給油が可能となり、かつ圧縮室13や吸込室20のシールに必要な潤滑油も供給できるため、信頼性と性能の高いスクロール圧縮機を提供できる。
しかし、上述した構造のスクロール圧縮機は油溜り部53に潤滑油とともに液冷媒が存在する状態で起動する場合に、各軸受部や摺動部へ十分な給油ができない、あるいは、圧縮室13や吸込室20のシールに必要な潤滑油の給油ができず、信頼性の低下や圧縮機効率の低下を招く虞があった。以下、この点について説明する。
図3は密閉容器9の底部の油溜り部53に潤滑油と共に溜まった状態を示している。たとえば真冬の朝など外気温の低い場合には圧縮機内の冷媒が液化することで図3に示す状態となる。また一般的に液冷媒の密度は潤滑油の密度より大きいため、密閉容器9の底部に溜まる際には、図3に示すように液冷媒53bが下となり、液冷媒53bの上に潤滑油53aの層ができる。この場合、給油ポンプ21の吸込口25(差圧給油構造の場合は油吸込口)の周りは液冷媒53bとなるため、このまま圧縮機を始動すると、粘度の低い液冷媒53bが各軸受部や摺動部に流れ込むこととなる。この場合、各軸受部や摺動部が損傷したり焼き付いたりする虞があり、圧縮機の信頼性を招く虞があった。
これに対して、密閉容器9の外側に電熱ヒータを巻きつけ、スクロール圧縮機の始動前に密閉容器9の底部を温めることにより、液冷媒を蒸発させてからスクロール圧縮機を始動するといった対策が考えられるが、この場合には電熱ヒータが必要になることからコストの上昇を招くこととなる。また電熱ヒータで余計な電力を消費することから電気代の上昇を招き省エネ性が低下するという問題があった。
そこで、本実施例では、密閉容器9の底部に潤滑油と共に液冷媒が存在する場合においても、必要な潤滑油を各軸受部や摺動部に供給可能としつつ、電熱ヒータを不要としコスト上昇及び省エネ性低下の抑制を図ることが可能なスクロール圧縮機について説明する。
以下、本実施例1のスクロール圧縮機の具体的構成を、図4及び図5により説明する。図4、図5とも密閉容器9の底部を拡大した図で、図4は定常運転時で油溜り部53に潤滑油53aのみが存在する場合であり、図5は油溜り部53に潤滑油53aと液冷媒53bの両方が存在する場合である。図4、図5に示すとおり、本実施例ではフロート部71を有する移動部材(フロート部品70)を備え、軸方向(上下方向)に自在に移動できるように、あるすき間をもって固定部材(給油ポンプケース22)内に配置される。フロート部品70の少なくともフロート部71は、その密度が潤滑油より大きく液冷媒より小さい材料、例えばポリプロピレンなどの樹脂等で構成される。
次に、フロート部品70の動作について説明する。図4に示すように定常運転時にはケース底部に潤滑油53aのみが存在しており、潤滑油53aより密度の大きいフロート部品70は底へ沈むこととなる。そしてフロート部品70の下部に設けた移動側下部吸込口72から潤滑油を吸入する。一方、図5に示すように潤滑油53aと共に液冷媒53bが存在する場合には、フロート部品70のフロート部71の周りは液冷媒53bとなり、液冷媒より密度の小さいフロート部品70は、浮力により上方へ移動する。このとき、給油ポンプケース22の上部に設けた固定側上部吸込口74及びフロート部品70の上部に設けた移動側上部吸込口73が連通し、潤滑油53aの層から潤滑油53aのみ吸入する。ここで、移動側上部吸込口73及び固定側上部吸込口74から冷媒ガスが吹き抜けると給油不可能となるため、移動側上部吸込口73及び固定側上部吸込口74は常に潤滑油53aの油面より下になるように配置する必要がある。
以上説明したように、本実施例において油溜り部53の潤滑油を軸受部(主軸受5、旋回軸受11、副軸受23)に潤滑油を供給する潤滑油供給手段は、移動可能に構成された移動部材(フロート部品70)が配置されるとともに、油溜り部53の潤滑油を吸込む上側の第1吸込部(移動側上部吸込口73、固定側上部吸込口74)と下側の第2吸込部(移動側下部吸込口72)とがそれぞれ形成され、かつ、移動部材(フロート部品70)が上側に移動した場合に第1吸込部(移動側上部吸込口73、固定側上部吸込口74)が開口するように構成されるものである。また、移動部品(フロート部品70)が移動範囲の上端に位置する場合、移動側上部吸込口73と固定側上部吸込口74とが連通することで開口して潤滑油を吸込むように構成される一方で、移動部品(フロート部品70)が移動範囲の下端に位置する場合、第2吸込部(移動側下部吸込口72)が開口して潤滑油を吸込みように構成されるものである。
換言すると、油溜り部53に溜まった潤滑油53a及び液冷媒53bの量に応じて潤滑油供給手段の潤滑油の吸込位置が変化するように構成したものである。より具体的には、潤滑油53aの密度をdoil、液冷媒53bの密度をdliq、移動部材(フロート部品70)の密度をdsolとすると、これらの関係が、doil>dsol>dliqとの関係になるように構成される。
また、本実施例の潤滑油供給手段は、内側が中空形状の固定部材(給油ポンプケース22)を備えて構成され、移動部材(フロート部品70)は、固定部材(給油ポンプケース22)の内側に移動可能に配置され、外側の形状が固定部材(給油ポンプケース22)の内側形状と略同一形状で構成される。なお、本実施例では双方とも略円筒形状により構成されているが、この形状に限定されるものではない。また移動部材(フロート部品70)は、固定部材(給油ポンプケース22)の外側に移動可能に配置され、内側の形状が固定部材の外側形状(給油ポンプケース22)と略同一形状で構成されるように構成しても良い。
このように潤滑油53aと液冷媒53bの密度差を利用して給油ポンプ21の吸込口を切り替えることで、軸受や摺動部に確実に潤滑油を供給することが可能となる。本構成は、冷凍サイクルに冷媒としてR32が70%以上、封入されている場合等において特に効果を奏する。つまり、R32はR410Aに比べて冷凍機油と分離しやすい性質をもつ冷媒であり、このような性質を持つ冷媒に対して特に有効である。
スクロール圧縮機1が始動してしばらく経つと、液冷媒53b、潤滑油53a、スクロール圧縮機1などの温度が上昇してくるため、液冷媒53bは徐々に蒸発して冷媒ガスとなる。この過渡期において、液冷媒53bの液面は下降していき、液面が給油ポンプケース22の下端より下まで下降した時点で、フロート部品70も下降を始める。ここで、フロート部71は常に液冷媒の液面直下付近にあるため、フロート部品70の下部に設けた吸込口72からは液冷媒ではなくその上の層の潤滑油を吸入することができる。
また、フロート部品70は回転方向に対して拘束されていないので、上下に移動する際に回転する可能性がある。この場合、給油ポンプケース22の上部に設けた吸込口74と、フロート部品70の上部に設けた吸込口73が周方向にずれて、潤滑油を吸入できなくなる可能性がある。これを解決するため、図6に示すように、フロート部品70の外周部に、吸込口73を通るような溝75を設ける。このようにすることで、フロート部品70が回転して、吸込口73と吸込口74の穴位置がずれた場合でも潤滑油を吸入することができる。この溝75は、フロート部品70の外周部ではなく、給油ポンプケース22の内周側に設けてもよい。つまり、移動部材(フロート部品70)又は固定部材(給油ポンプケース22)には、第1吸込部(移動側上部吸込口73、固定側上部吸込口74)に対応する位置に略円環形状の溝(75)が形成されるものである。
また別の解決策として、図7に示すように、吸込口74と吸込口73のそれぞれを、穴76と長穴77で構成することにより、フロート部品70がいずれの向きとなっても潤滑油を吸入することができる。つまり、移動部材(フロート部品70)の移動側上部吸込口73又は固定部材(給油ポンプケース22)の固定側上部吸込口74は、第1の穴(穴76)と、第1の穴(76)よりも周方向に長い第2の穴(長穴77)とが形成されることで構成され、第1の穴(76)又は第2の穴(長穴77)は、移動部材(フロート部品70)がどのように回転しても対応する移動部材(フロート部品70)の移動側上部吸込口73と固定側上部吸込口74とが連通する大きさで構成される。
また別の解決策として、図8に示すように、フロート部品70の回転を拘束するために、給油ポンプケース22とフロート部品70の一方に突起部78を、他方にガイドとなる溝79を設けて回り止めとしてもよい。つまり、移動部材(フロート部品70)又は固定部材(給油ポンプケース22)の一方には、他方の移動部材(フロート部品70)又は固定部材(給油ポンプケース22)と向かい合う位置に突起部78が設けられるとともに、他方の移動部材(フロート部品70)又は固定部材(給油ポンプケース22)には突起部78と対応する位置に上下方向の溝79が設けられるものである。
次に、何らかの要因により、フロート部品70が上下の可動範囲のいずれかの位置で、給油ポンプケース22に対してロック(固着)した場合について説明する。フロート部品70が、その可動範囲の上端でロックした場合は、油溜りに潤滑油53aのみが存在する定常運転時および油溜りに潤滑油53aと液冷媒53bの両方が存在する時のいずれにおいても、吸込口73と吸込口74から潤滑油を吸入できる。フロート部品70が、その可動範囲の下端でロックした場合は、油溜りに潤滑油53aと液冷媒53bの両方が存在する時には、吸込口72から液冷媒53bを吸入してしまうが、図9に示すように、吸込口73を吸込口74より大きくすることで、吸込口73と74から潤滑油53aも合わせて吸入することが可能となり、液冷媒53bのみを吸入してしまう場合に比べて信頼性の低下を緩和できる。定常運転時は吸込口72および吸込口73と74から潤滑油53aを吸入できる。フロート部品70が、その可動範囲の上端と下端の中間の位置でロックした場合は、吸込口72または吸込口73、74のいずれかまたは両方から潤滑油53aを吸入することができる。
なお、これまでは給油ポンプを備えた構造について説明してきたが、給油ポンプを備えていない差圧給油構造についても同様であり、クランクシャフト下端の油吸込口を、上述した構成とすることで、潤滑油を軸受及び摺動部に確実に供給することが可能となる。
図10は本実施例の圧縮機が適用される冷凍サイクルの構成図を示す。冷媒を圧縮する圧縮機1と、冷房運転時に内部を流れる冷媒と室外送風機から送風される空気とで熱交換を行う室外熱交換器40と、冷媒を減圧させる膨張弁41とが冷媒配管により接続されて構成される空気調和機の室外機において、本実施例の圧縮機を適用することで信頼性に優れた使い勝手のよい空気調和機の室外機を提供することができる。なお、四方弁により圧縮機1の吐出される冷媒を室外熱交換器40に流すか室内熱交換器42に流すか切替可能であり、冷房運転時において、凝縮器(室外熱交換器40)、膨張弁41、蒸発器(室内熱交換器42)とが冷媒配管により接続されて冷凍サイクルが構成される。
図10は本実施例の圧縮機が適用される冷凍サイクルの構成図を示す。冷媒を圧縮する圧縮機1と、冷房運転時に内部を流れる冷媒と室外送風機から送風される空気とで熱交換を行う室外熱交換器40と、冷媒を減圧させる膨張弁41とが冷媒配管により接続されて構成される空気調和機の室外機において、本実施例の圧縮機を適用することで信頼性に優れた使い勝手のよい空気調和機の室外機を提供することができる。なお、四方弁により圧縮機1の吐出される冷媒を室外熱交換器40に流すか室内熱交換器42に流すか切替可能であり、冷房運転時において、凝縮器(室外熱交換器40)、膨張弁41、蒸発器(室内熱交換器42)とが冷媒配管により接続されて冷凍サイクルが構成される。
3:貫通穴(給油穴)、5:主軸受、6:吐出パイプ、
7:固定スクロール、7a:台板、7b:ラップ、7c:歯底、
7d:支持部、7e:鏡板面、
8:旋回スクロール、8a:鏡板、8b:ラップ、8c:歯底、
8d:ボス部、8e:鏡板面、
9:ケース(密閉容器)、
10:クランクシャフト(回転軸)、10a:クランク部、
11:旋回軸受、12:オルダムリング、
13:圧縮室、13a:旋回内線側圧縮室、13b:旋回外線側圧縮室、
14:吸込ポート、15:吐出ポート、
16:電動機部、16a:回転子、16b:固定子、
17:フレーム、
18:背圧室、20:吸込室、
21:給油ポンプ、22:給油ポンプケース、
23:副軸受、24:横穴、25:潤滑油吸込口、
26a:排油穴、26b:排油パイプ、28:給油ポンプ吐出口、
31:円環溝、32:シール部材、33:第一の空間、34:旋回ボス部材、
40:室外熱交換器、41:膨張弁、42:室内熱交換器、43:四方弁、
52:モータ室、
53:油溜り部53a:潤滑油、53b:液冷媒
54:吐出空間、
56:フレームシール、57:油溝、60:スリット、
70:フロート部材、71フロート部材のフロート部、
72:フロート部材下部の潤滑油吸込口
73:フロート部材上部の潤滑油吸込口、
74:給油ポンプケースに設けた潤滑油吸込口
75:フロート部材に設けた溝、
76:潤滑油吸込口の穴、77:潤滑油吸込口の長穴、
78:回転止めの突起部、79:回転止めのガイド溝
7:固定スクロール、7a:台板、7b:ラップ、7c:歯底、
7d:支持部、7e:鏡板面、
8:旋回スクロール、8a:鏡板、8b:ラップ、8c:歯底、
8d:ボス部、8e:鏡板面、
9:ケース(密閉容器)、
10:クランクシャフト(回転軸)、10a:クランク部、
11:旋回軸受、12:オルダムリング、
13:圧縮室、13a:旋回内線側圧縮室、13b:旋回外線側圧縮室、
14:吸込ポート、15:吐出ポート、
16:電動機部、16a:回転子、16b:固定子、
17:フレーム、
18:背圧室、20:吸込室、
21:給油ポンプ、22:給油ポンプケース、
23:副軸受、24:横穴、25:潤滑油吸込口、
26a:排油穴、26b:排油パイプ、28:給油ポンプ吐出口、
31:円環溝、32:シール部材、33:第一の空間、34:旋回ボス部材、
40:室外熱交換器、41:膨張弁、42:室内熱交換器、43:四方弁、
52:モータ室、
53:油溜り部53a:潤滑油、53b:液冷媒
54:吐出空間、
56:フレームシール、57:油溝、60:スリット、
70:フロート部材、71フロート部材のフロート部、
72:フロート部材下部の潤滑油吸込口
73:フロート部材上部の潤滑油吸込口、
74:給油ポンプケースに設けた潤滑油吸込口
75:フロート部材に設けた溝、
76:潤滑油吸込口の穴、77:潤滑油吸込口の長穴、
78:回転止めの突起部、79:回転止めのガイド溝
Claims (10)
- 冷媒を圧縮する圧縮機構部と、
該圧縮機構部を回転軸を介して駆動する電動機部と、
前記回転軸を回転自在に支持する軸受部と、
これらが内部に配置された密閉容器と、
前記密閉容器の底部に形成される油溜り部と、
前記油溜り部の潤滑油を前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、を備えた圧縮機において、
前記潤滑油供給手段は、前記油溜り部の潤滑油を吸込む上側の第1吸込部と下側の第2吸込部とがそれぞれ形成されるとともに、移動可能に構成された移動部材が配置され、かつ、前記移動部材が上側に移動した場合に前記第1吸込部が開口するように構成されることを特徴とする圧縮機。 - 冷媒を圧縮する圧縮機構部と、
該圧縮機構部を回転軸を介して駆動する電動機部と、
前記回転軸を回転自在に支持する軸受部と、
これらが内部に配置された密閉容器と、
前記密閉容器の底部に形成される油溜り部と、
前記油溜り部の潤滑油を前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、を備えた圧縮機において、
前記油溜り部に溜まった潤滑油及び液冷媒の量に応じて前記潤滑油供給手段の潤滑油の吸込位置が変化することを特徴とする圧縮機。 - 請求項1に記載の圧縮機において、
前記潤滑油の密度doilと、液冷媒の密度dliqと、前記移動部材の密度dsolとの関係が、doil>dsol>dliqとの関係になることを特徴とする圧縮機。 - 請求項3に記載の圧縮機において、
前記潤滑油供給手段は、
内側が中空形状の固定部材を備えて構成され、
前記移動部材は、
前記固定部材の内側に移動可能に配置され、外側の形状が前記固定部材の内側形状と略同一形状で構成される、又は、前記固定部材の外側に移動可能に配置され、内側の形状が前記固定部材の外側形状と略同一形状で構成されることを特徴とする圧縮機。 - 請求項2に記載の圧縮機において、
前記潤滑油供給手段は、
前記油溜り部の潤滑油を吸込む上側の第1吸込部と下側の第2吸込部とがそれぞれ形成され、かつ上下方向に移動可能に構成された移動部材と、
上部に前記油溜り部の潤滑油を吸込む吸込部が形成された固定部材と、を備え、
前記移動部品が移動範囲の下端に位置する場合、前記第2吸込部が開口して前記潤滑油を吸込みように構成されることを特徴とする圧縮機。 - 請求項5に記載の圧縮機において、
前記移動部品が移動範囲の上端に位置する場合、前記第1吸込部と前記吸込部とが連通することで開口して前記潤滑油を吸込むように構成されたことを特徴とする圧縮機。 - 請求項1又は5に記載の圧縮機において、
前記移動部材又は前記固定部材には、前記第1吸込部に対応する位置に略円環形状の溝が形成されることを特徴とする圧縮機。 - 請求項5又は6に記載の圧縮機において、
前記移動部材の前記第1吸込部又は前記固定部材の前記吸込部は、第1の穴と、該第1の穴よりも周方向に長い第2の穴とが形成されることで構成され、前記第1の穴又は前記第2の穴は、前記移動部材がどのように回転しても対応する前記移動部材の前記第1吸込部又は前記固定部材の前記吸込部と連通する大きさであることを特徴とする圧縮機。 - 請求項1又は5に記載の圧縮機において、
前記移動部材又は前記固定部材の一方には、他方の前記移動部材又は前記固定部材と向かい合う位置に突起部が設けられるとともに、
他方の前記移動部材又は前記固定部材には前記突起部と対応する位置に上下方向の溝が設けられることを特徴とする圧縮機。 - 冷媒を圧縮する圧縮機と、内部を流れる冷媒と室外送風機から送風される空気とで熱交換を行う室外熱交換器と、冷媒を減圧させる膨張弁とが冷媒配管により接続されて構成される空気調和機の室外機において、
前記圧縮機は、請求項1〜6の何れかに記載の圧縮機であることを特徴とする空気調和機の室外機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014016338A JP2015143477A (ja) | 2014-01-31 | 2014-01-31 | 圧縮機及び空気調和機の室外機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014016338A JP2015143477A (ja) | 2014-01-31 | 2014-01-31 | 圧縮機及び空気調和機の室外機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015143477A true JP2015143477A (ja) | 2015-08-06 |
Family
ID=53888680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014016338A Pending JP2015143477A (ja) | 2014-01-31 | 2014-01-31 | 圧縮機及び空気調和機の室外機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015143477A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106089646A (zh) * | 2016-08-09 | 2016-11-09 | 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 | 控油结构及变频活塞压缩机 |
-
2014
- 2014-01-31 JP JP2014016338A patent/JP2015143477A/ja active Pending
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CN106089646A (zh) * | 2016-08-09 | 2016-11-09 | 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 | 控油结构及变频活塞压缩机 |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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A711 | Notification of change in applicant |
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