(第1実施形態)
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の第1実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図3等に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する固定枠としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に遊技盤取付枠としての内枠12が開閉可能に支持されている。尚、図3では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠としての前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137等を省略して示している。
外枠11は、図6等に示すように、上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている(図1参照)。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。そして、外枠11の内側に形成される空間部に内枠12等が収容される。
また、右辺枠構成部11dには、その幅方向後端部近傍から外枠11内側へ向け突出した延出壁部83が形成されている。延出壁部83は、内枠12の右側部背面側に設けられる施錠装置600(図6参照)に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆っている(図5参照)。加えて、図3に示すように、延出壁部83の前面側には、施錠装置600の係止部材が係止される上下一対の受部84,85が設けられている。また、下側の受部85には、後述する内枠開放検知スイッチ92に当接する押圧部86が、外枠11内側に向けて突設されている。
さらに、下辺枠構成部11bには樹脂製の幕板飾り87が取着されている。幕板飾り87の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。
図3に示すように、内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。尚、前面枠セット14は、内枠12を介してではなく、外枠11に直接開放可能に支持されるように構成してもよい。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
図1、図2に示すように、前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。加えて、下皿15の左部には、LEDが内蔵された演出ボタン125が設けられており、演出ボタン125を押圧操作することで、後述する装飾図柄表示装置42等において対応する演出が行われたり、演出内容が変更されたりする。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下「ハンドル18」と称する)が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段(可変抵抗器)が設けられている。そして、ハンドル18が右回りに回動操作されると、回動操作量に応じた強さで、後述する発射手段としての発射装置60によって遊技球が発射される。また、ハンドル18には、ハンドル18を握った右手の親指で押圧操作可能な発射禁止ボタン18aが設けられている。当該発射禁止ボタン18aを押圧した状態においては、ハンドル18を握っていたとしても、発射装置60による遊技球の発射が禁止される。このため、遊技球の発射を禁止しつつハンドル18の回動操作を行ったり、ハンドル18を握った状態で、一時的に遊技球の発射を止めたりすることができる。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する発射装置60の方へ案内する球受皿である。尚、上皿19が遊技球で満杯になった状態では、払出される遊技球は、後述する下皿連通路71及び排出口16を介して、下皿15へと案内される。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技ホール等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
さらに、上皿19には、球抜きボタン123が設けられている。球抜きボタン123が押圧操作されることで、上皿19の球案内路の下流側に設けられ、下皿15に連通する連通孔(図示略)が開口し、上皿19に貯留されていた遊技球が下皿15へと案内される(落下する)。つまり、遊技者は、球抜きボタン123を操作することで、上皿19にある遊技球をいつでも下皿15に移すことができる。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、遊技状態の変化等に応じて発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられている。また、該環状電飾部102の両側部には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。尚、環状電飾部102のうち各エラー表示ランプ104の上方部位には、前面枠セット14の背面に設けられるスピーカSP(図3参照)に対応して細かな透孔が多数形成されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対をなして別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
次に、内枠12について図4を参照して説明する。上述した通り、内枠12には、窓孔39の後側において、遊技盤30が樹脂ベース38の裏側に当接した状態で装着されている。従って、遊技盤30前面の略中央部分が窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の前面下部、すなわち窓孔39の下方位置には、発射装置60及び当該発射装置60によって発射された直後の遊技球を案内する発射レール61が取付けられている。本実施形態では、発射装置60としてソレノイド式発射装置を採用している。さらに、発射装置60の上方には、上皿19から案内される遊技球を、内蔵された駆動手段(例えばソレノイド)の駆動により、1球ずつ発射装置60の発射位置へと案内する球送り装置63が設けられている。
次に、遊技盤30(遊技領域)の構成について図4を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1始動入賞装置33a、第2始動入賞装置33b、スルーゲート34、可変表示装置ユニット35、第1特別表示装置43L及び第2特別表示装置43R、変動特定ランプ40等が配設されている。周知の通り、一般入賞口31、可変入賞装置32、始動入賞装置33a、33b等の各種入賞口に遊技球が入球(入賞)すると、各種検出スイッチにより検出され、上皿19又は下皿15へ所定数の賞球が払い出される。
本実施形態では、一般入賞口31への入球があった場合には10個、可変入賞装置32への入球があった場合には14個、第1始動入賞装置33aへの入球があった場合には2個、第2始動入賞装置33bへの入球があった場合には1個の遊技球が払出されるように構成されている。また、遊技球が通過するだけで入球することのない(遊技盤30の裏面側に排出される)スルーゲート34に遊技球が通過しても、遊技球の払出しは行われない。
その他に、遊技盤30には、遊技領域の最下部に対応してアウト口36が設けられており、一般入賞口31等の各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
遊技領域の略中央部には、可変表示装置ユニット35が配設されている。可変表示装置ユニット35には、後述する装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
センターフレーム47の左側部には入球口151が設けられており、該入球口151に入球した遊技球は、センターフレーム47の内部に形成されたワープ流路152を介して、装飾図柄表示装置42の下方に形成されたステージ153上に案内される。ステージ153上に案内された遊技球は、ステージ153上を転動する等して、ステージ153上から前方の遊技領域に転落したり、ステージ153の中央に形成された前後に延びて遊技球を前方に案内する導出溝154に落下したりする。
可変表示装置ユニット35の下方位置には、第1始動入賞装置33aが配設されている。第1始動入賞装置33aは、遊技盤30の前面部から前方へ突出し、その上側に遊技球が常時入賞可能な入賞口が開口している。特に、上記ステージ153の導出溝154に案内される遊技球は、比較的高い確率で第1始動入賞装置33aに入球するように構成されている。尚、本実施形態の第1始動入賞装置33aには、第1始動入賞装置33aへの遊技球の入球し易さを変化させるような開閉部材は設けられていない。
第1始動入賞装置33aの下方位置には、可変入賞装置32が配設されている。可変入賞装置32は、通常、遊技球が入賞不能な閉状態になっており、大当たり状態等の際に、遊技球が入賞可能な開状態とされる。尚、可変入賞装置32の詳細については後述する。
以下、便宜上、遊技領域のうち、可変表示装置ユニット35の左側方に位置する領域を「左側方領域」といい、可変表示装置ユニット35の右側方に位置する領域を「右側方領域」という。また、左側方領域の下流側にあたり、第1始動入賞装置33aや可変入賞装置32が配置される遊技盤30の左右方向略中央部よりも左側に位置する領域を「左下部領域」といい、右側方領域の下流側にあたり、遊技盤30の左右方向略中央部よりも右側に位置する領域を「右下部領域」という。
左下部領域の下部には、遊技領域の周縁部(内レール構成部51)に沿って斜めに所定間隔で3つの一般入賞口31が配設されている。各一般入賞口31は、遊技盤30の前面部から前方へ突出し、その上側に遊技球が常時入賞可能な入賞口が開口している。
右側方領域には、スルーゲート34が配置されている。スルーゲート34は、遊技領域を流下する遊技球が1球ずつ通過可能に構成されている。詳しくは後述するが、スルーゲート34は、当該スルーゲート34を通過する遊技球を検知可能なスルーゲートスイッチ225を備えている。当該スルーゲートスイッチ225にて遊技球が検知された場合には、詳しくは後述する第2始動入賞装置33bを開状態とするか否かの入球サポート抽選が行われるとともに、普通図柄表示装置41にて当該入球サポート抽選の結果を教示するための変動表示が行われる。そして、入球サポート抽選にて当選した場合には、当該変動表示の終了後に第2始動入賞装置33bが規定時間だけ開状態とされる。
さらに、右側方領域におけるスルーゲート34の下流側には、第2始動入賞装置33bが配設されている。第2始動入賞装置33bは、遊技球が入球可能な第2始動入賞装置33bの入賞口(始動入賞口)の左右両側に隣接して、回動変位可能な一対の羽根部材37を備えており、一般的な電子チューリップと称される形状となっている。特に、本実施形態では、第2始動入賞装置33bの始動入賞口の直上方位置に遊技釘が配設されており、羽根部材37が上下に延びる閉姿勢とされている場合には、前記遊技釘と羽根部材37との間に遊技球が通過する余地はなく、第2始動入賞装置33bは、遊技球が始動入賞口に入球不可能な閉状態となっている。一方、羽根部材37が外側に開く開姿勢に変化することで、第2始動入賞装置33bは、遊技球が始動入賞口に入球可能な開状態となる。
尚、詳しくは後述するが、第1始動入賞装置33a、第2始動入賞装置33bには、それぞれ入賞した遊技球を検知する第1始動入賞スイッチ224a、第2始動入賞スイッチ224bが設けられており、当該始動入賞スイッチ224a、224bにて遊技球が検知された場合には、大当たり状態等を発生させるか否かの当否抽選が行われるとともに、後述する特別表示装置43L、43R(及び装飾図柄表示装置42)にて変動表示が行われる構成となっている。そして、当否抽選にて当選した場合には、可変入賞装置32が開放される大当たり状態等が付与される。
本実施形態では、当否抽選にて所定の確率で大当たりに当選する「低確率状態」と、当否抽選にて低確率状態よりも高確率で大当たりに当選する「高確率状態」とがある。さらに、詳しくは後述するが、第2始動入賞装置33bには、第2始動入賞装置33bの羽根部材37が比較的頻繁に開放され、遊技球を第2始動入賞装置33bへ入球させ易くなる「高入球状態」と、羽根部材37がほとんど開姿勢とされず、遊技球を第2始動入賞装置33bへ入球させ難い「低入球状態」とがある。以下、低確率状態かつ低入球状態である状態を「通常モード」と称し、低確率状態かつ高入球状態である状態を「時間短縮モード」と称し、高確率状態かつ高入球状態である状態を「確変モード」と称し、高確率状態かつ低入球状態である状態を「潜確モード」と称する。
さらに、本実施形態では、通常モード、確変モード、及び、潜確モードは、大当たり状態が発生するまで継続されるのに対し、時間短縮モードは大当たり状態が発生しなくても特別表示装置43L、43R及び装飾図柄表示装置42における変動表示が予め設定された規定回数行われると終了し、通常モードに移行する構成となっている。
尚、確変モードや時間短縮モードにおいては、第2始動入賞装置33bの羽根部材37が比較的頻繁に開放されて入球し易くなっている一方で、第1始動入賞装置33aについては入球し易くなるわけではないことから、遊技者は、確変モードや時間短縮モードになると、右側方領域に向けて遊技球を発射させる(所謂、「右打ち」をする)こととなる。また、かかる右打ちのタイミングに際しては、装飾図柄表示装置42等において、右打ちを促すアナウンスが行われるようになっている。
本実施形態では、第1始動入賞装置33a(所謂、「へそ」)に遊技球が入球した場合に行われる当否抽選にて大当たり又は小当たりに当選した場合と、第2始動入賞装置33b(所謂、「電子チューリップ、電チュー」)に遊技球が入球した場合に行われる当否抽選にて大当たり又は小当たりに当選した場合とで、付与される当たりの種別が変化する(当たり状態の種別を決定する際に参照される種別判定テーブルが異なる)ように構成されている。
さて、本実施形態では、可変入球装置としての可変入賞装置32に特徴がある。以下、可変入賞装置32について、図8、図9を参照して説明する。尚、可変入賞装置32は、第1始動入賞装置33aの下方に配置されている。また、図9は、後述する回転電動役物404の流入口421が真上を向いた状態とした場合の可変入賞装置32の断面図である。
図9に示すように、可変入賞装置32は、遊技盤30のうち第1始動入賞装置33aの下方位置に形成された取付用開口部401に対応して遊技盤30に取付けられ、遊技領域を移動する遊技球を遊技盤30の裏面側に排出する特定入賞口としての大入賞口402を有する装置本体403と、大入賞口402に入球した遊技球を検知する特定入球検知手段としてのカウントスイッチ223と、遊技領域において回転可能に設けられ、大入賞口402への遊技球の入球を不可能にする閉位置と、大入賞口402への遊技球の入球を可能にする開位置との間を回転変位可能な可変電動役物としての回転電動役物404と、回転電動役物404を回転させる大入賞モータ405とを備えている。
装置本体403は、遊技盤30の取付用開口部401に内嵌する略円筒状のベース部411と、ベース部411の前縁部下部から前方に延出する断面円弧状の支持部412と、支持部412の前縁部からベース部411の内周側(上方)に突出する抜け止め部413と、ベース部411の後縁部からベース部411の外周側に突出する取付部414とを備えている。本実施形態では、略円筒状のベース部411の前部によって大入賞口402が構成されている。ベース部411の内周面の下部は、後方に向けて下方傾斜しているとともに、カウントスイッチ223の設置部416が形成されている。
取付部414は、遊技盤30の後面と当接状態とされ、ねじ417で遊技盤30に固定されている。これにより、可変入賞装置32は、遊技盤30の前面側においては、ベース部411、ひいては、取付用開口部401よりも外周側に突出するような部位が存在しなくなり、結果として、回転電動役物404により近接して遊技釘等を配置できるようになっている。さらに、本実施形態では、ベース部411の前縁部は、遊技盤30の前面と略面一となっている。
回転電動役物404は、遊技領域を移動する遊技球が入球可能な流入口421と、大入賞口402に連通する流出口422とを有し、大入賞口402に入球する遊技球は必ず回転電動役物404の流入口421及び流出口422を通過するように構成されている。より具体的に、回転電動役物404は、大入賞口402に連通する流出口422が形成された略円盤状の後壁部424と、後壁部424の前方に対向配置される略円盤状の前壁部425と、前壁部425の外周縁と後壁部424の外周縁との間を連結する連結壁426と、前壁部425の中央部と後壁部424の中央部とを連結するようにして設けられ、後方に開口する穴を有する軸固定部427とを備え、透明なポリカーボネートにより構成されている。前壁部425と後壁部424との間の距離、換言すれば、連結壁426の前後幅は、遊技球の直径よりも長く構成されている。また、連結壁426は、前後に貫通する円筒体のうち正面視で3割程度の範囲を切り欠いたような断面略C字状をなしており、本実施形態では、連結壁426の開口部によって流入口421が構成されている。
図8に示すように、前壁部425には、流入口421の開口範囲に対応する部位に目印429が形成されている。本実施形態の目印429は、前壁部425の前面に貼着された半透明のシールのうち「OPEN」の文字がプリントされた部位とによって構成されている。
本実施形態の回転電動役物404は、停止位置として3つ設定されており、図8(a)に示すように、流入口421が真下を向く閉位置と、図8(b)に示すように、流入口421が左上方を向く第1開位置と、図8(c)に示すように、流入口421が右上方を向く第2開位置との間を回動変位可能に構成されている。
また、図9に示すように、連結壁426の内周面は、後方に向けて回転電動役物404の外周側に傾斜している。このため、回転電動役物404が第1開位置及び第2開位置にある場合には、流入口421から入球した遊技球を受けて後方の流出口422へと案内する。本実施形態では、遊技球が流入口421に入球してから流出口422から排出されるまでの回転電動役物404の内部空間全体が案内路を構成し、連結壁426の内周面が案内路の案内面として構成されている。
さらに、後壁部424の前面は、ベース部411の前縁部と略面一となっている。これにより、遊技盤30の前面に沿って移動してきた遊技球が、ベース部411の外周縁や、後壁部424の外周縁に衝突して、可変入賞装置32から離間する方向に弾き飛ばされてしまうことが回避されるように構成されている。
また、軸固定部427には、金属製の回転軸431が相対変位不可能に嵌入されている。回転軸431にはピニオン432が固定されており、当該ピニオン432が、大入賞モータ405の駆動軸433に固定されたギア434と噛み合って、大入賞モータ405の駆動力を回転電動役物404に伝達するようになっている。尚、図示は省略するが、可変入賞装置32の装置本体403は、回転軸431を回転電動役物404もろとも軸支する軸支部を備えている。また、回転電動役物404が、その回転等に伴って、万一、中心軸が若干傾くような姿勢等となった場合には、回転電動役物404(連結壁426)の外周面が装置本体403の支持部412によって支持され、前壁部425が抜け止め部413によって支持されるようになっている。
尚、本実施形態では、可変表示装置ユニット35の左方を通り、第1役物としての第1始動入賞装置33aに入球可能な左ルートが第1ルートに相当し、可変表示装置ユニット35の右方を通り、第2役物としての第2始動入賞装置33b及びスルーゲート34に入球(通過)可能な右ルートが第2ルートに相当する。また、左ルートを通った遊技球が第2始動入賞装置33bやスルーゲート34に入球(通過)することはなく、右ルートを通った遊技球が第1始動入賞装置33aに入球することは稀(基本的に右ルートを通った遊技球が第1始動入賞装置33aに届くような遊技釘の配置になっていない)である。
図8に示すように、本実施形態では、回転電動役物404の上方には、回転電動役物404に近接して、遊技釘(以下、「間口釘408」とも称する)が配設されている。間口釘408が、左右方向において回転電動役物404の中心よりもやや左に位置している。特に、本実施形態では、間口釘408は、鉛直方向に並ぶようにして配置された2つの遊技釘によって構成され、可変入賞装置32と第1始動入賞装置33aとの間を遊技球が左右に往来することができないようになっている。従って、基本的に、本実施形態では、左打ちした遊技球が第1開位置にある回転電動役物404の流入口421に入球し、右打ちした遊技球が第2開位置にある回転電動役物404の流入口421に入球するようになっている(図4参照)。
さらに、間口釘408は、回転電動役物404が第1開位置にある場合に、流入口421の開口範囲に位置している。このため、流入口421のうち、左打ちされた遊技球が実質的に入球可能な開口面積が全体の約80%程度に限定されてしまう。
その一方で、回転電動役物404が第2開位置にある場合、間口釘408は流入口の開口範囲に位置しないようになっている。このため、流入口421の全開口範囲が、右打ちされた遊技球が実質的に入球可能な領域となる。
また、遊技球を左打ちした場合に当該遊技球が可変入賞装置32に到達する割合と、遊技球を右打ちした場合に当該遊技球が可変入賞装置32に到達する割合とが、ほぼ同じ(例えば、3球乃至7球に1球程度)となっている。以上のような構成により、可変入賞装置32は、回転電動役物404が第1開位置にある場合よりも、第2開位置にある方が、流入口421ひいては大入賞口402へ遊技球が入球し易い状態とされる。つまり、回転電動役物404が第1開位置とされ、遊技球を左打ちして可変入賞装置32に入球させる大当たり状態よりも、回転電動役物404が第2開位置とされ、遊技球を右打ちして可変入賞装置32に入球させる大当たり状態の方が、遊技球を効率的に可変入賞装置32へ入球させ易く、結果的に、大当たり状態における遊技者の手持ちの遊技球の増加率(大当たり状態において、可変入賞装置32への入球に応じて払い出された賞球総数と、その間に発射させた遊技球の総数との差)が高くなる可能性が高い。
また、本実施形態では、間口釘408以外の遊技釘は、可変入賞装置32(回転電動役物404等)との間に遊技球が下方に通過可能な間隔を隔てて配設されている。これにより、遊技釘と可変入賞装置32との間に遊技球が引っ掛かり、滞留してしまうといった事態が抑制される。
尚、左ルートを通った遊技球が、第1始動入賞装置33aを通り越して右下領域にまで流れる場合もあるが、左ルート経由では、右ルート経由に比べ、遊技球が第2開位置にある回転電動役物404の流入口421に到達する可能性は低くなっている。また、右打ちをすることでも遊技を進行させることのできる状態(回転電動役物404が第2開位置とされる大当たり状態や、第2始動入賞装置33bを頻繁に開放させることのできる確変モード、時間短縮モード)では、右打ちを行うことが遊技者にとって有利になる。
加えて、回転電動役物404の後方には、複数のLED435が、第1開位置にある回転電動役物404の流入口421に対応する位置、及び、第2開位置にある回転電動役物404の流入口421に対応する位置に配置されており、大当たり等に際して対応するLED435が適宜発光するようになっている。上記のように回転電動役物404は基本的に透明であるため、回転電動役物404の裏面側のLED435が発光すると、回転電動役物404が光って見えるようになっている。
また、本実施形態では、第1始動入賞装置33aへの入球に基づいて、すなわち、基本的には、通常モード及び潜確モード中において、当たり状態終了後に通常モード、潜確モード、又は、時間短縮モードが付与される大当たり又は小当たりに当選した場合、回転電動役物404が第1開位置とされる当たり状態が発生する。さらに、第1始動入賞装置33aへの入球に基づいて(通常モード及び潜確モード中において)、当たり状態終了後に確変モードが付与される大当たりに当選した場合、回転電動役物404が第1開位置とされる大当たり状態、又は、回転電動役物404が第2開位置とされる大当たり状態のどちらかが発生するようになっている。つまり、通常モード及び潜確モード中に大当たりした場合に、回転電動役物404が第2開位置で停止された場合には、当該大当たり状態終了後に確変モードが付与されることが教示されることとなる。
より具体的には、第1始動入賞装置33aへの入球に基づいて大当たり状態に当選した場合の大当たり種別としては、16ラウンド確変大当たり(以下「16RS」と言う)と、8ラウンド確変大当たり(以下「8RS」と言う)と、8ラウンド通常大当たり(以下「8RN」)と、2ラウンド確変大当たり(以下「2RS」と言う)とがある。「16RS」に関しては、可変入賞装置32が30秒間、第2開位置とされる(開放される)こと、又は、可変入賞装置32が開放されてから可変入賞装置32の大入賞口402に8個の遊技球が入球することを1ラウンド(以下、かかる終了条件を有するラウンドのことを「ノーマルラウンド」とも称する)として、それが16回繰り返されてから、大当たり状態が終了する。
また、本実施形態では、「8RS」として2種別存在し、可変入賞装置32の回転電動役物404が第1開位置とされるラウンドが8回繰り返される8ラウンド確変カモフラージュ大当たり(以下、「8RS左」と言う)と、回転電動役物404が第2開位置とされるノーマルラウンドが8回繰り返される8ラウンド確変即教示大当たり(以下、「8RS右」と言う)とが設定されている。さらに、「8RN」に関しては、回転電動役物404が第1開位置とされるノーマルラウンドが8回繰り返されてから、大当たり状態が終了する。
一方、「2RS」に関しては、可変入賞装置32が0.4秒間、第1開位置とされることを1ラウンド(以下、かかる終了条件を有するラウンドのことを「ショートラウンド」とも称する)として、それが2回繰り返されてから、大当たり状態が終了する。すなわち、「16RS」、「8RS(左)、(右)」、「8RN」に関しては、大当たり状態中に大幅な遊技球の増加が見込める大当たり(所謂、「出玉有り大当たり」)であるものの、「2RS」は、遊技球の大幅な増加が見込めない大当たり(所謂、「出玉無し大当たり」)となっている。
また、「16RS」、「8RS(左)、(右)」の大当たり状態終了後には「確変モード」が付与され、「2RS」の大当たり状態終了後には「潜確モード」が付与され、「8RN」の大当たり状態終了後には「時間短縮モード」(本例では、変動表示90回分)が付与される。つまり、「16RS」、「8RS(左)、(右)」、「8RN」の大当たり状態終了後は、第2始動入賞装置33bが開状態とされ易い高入球状態となるため、遊技者は右側方領域に向けて遊技球を発射させる(右打ちする)こととなる。本実施形態では、第1始動入賞装置33aへの入球に基づく当否抽選において大当たりに当選した場合、5%の割合で「16RS」となり、55%の割合で「8RS」(15%で「8RS右」、40%で「8RS左」)となり、30%の割合で「8RN」となり、10%の割合で「2RS」となる。
さらに、本実施形態では、第1始動入賞装置33aへの入球に基づく当否抽選において、小当たりに当選する場合がある。第1始動入賞装置33aへの入球に基づく当否抽選において、小当たりした場合には、可変入賞装置32が0.4秒間、第1開放位置とされることを1ラウンド(ショートラウンド)として、それが2回繰り返されてから、小当たり状態が終了する。つまり、可変入賞装置32に関し、外見上は、「2RS」と同じである。但し、小当たり状態が発生する前と、発生した後とで遊技モードが変化することはない。すなわち、通常モードにおいて「2RS」に当選すると潜確モードに移行するのであるが、小当たりに当選しても、通常モードが継続される。これにより、第1始動入賞装置33aへの入球に基づく当否抽選において、高確率状態が付与されない2ラウンド大当たり(2ラウンド通常大当たり)に当選するような振分けを行わなくても、可変入賞装置32が短く2回開放されることで必ず高確率状態に移行してしまったことが分かってしまうといった事態を回避することができる。
その一方で、第2始動入賞装置33bへの入球に基づく当たり、すなわち、基本的には、確変モード及び時間短縮モード中に大当たり又は小当たりとなる場合、右打ちを継続させるべく、大当たり及び小当たりの種別を問わず、回転電動役物404が第2開位置とされる当たり状態が発生する。
より具体的には、第2始動入賞装置33bへの入球に基づいて大当たり状態に当選した場合の大当たり種別としては、回転電動役物404が第2開位置とされるノーマルラウンドが16回繰り返される16ラウンド確変大当たり「16RS」と、回転電動役物404が第2開位置とされるノーマルラウンドが8回繰り返される8ラウンド確変大当たり「8RS」(8ラウンド確変即教示大当たり「8RS右」)と、回転電動役物が第2開位置とされるショートラウンドが2回繰り返される2ラウンド通常大当たり(以下「2RN」と言う)とがある。すなわち、「16RS」、「8RS(右)」に関しては、大当たり状態中に大幅な遊技球の増加が見込めるものの、「2RN」は、遊技球の大幅な増加が見込めない大当たりとなっている。
また、「2RN」の大当たり状態終了後には「時間短縮モード」が付与される。本例では、「2RN」でも3つに分かれており、変動表示30回分の時間短縮モードが付与される「2RN30」と、変動表示60回分の時間短縮モードが付与される「2RN60」と、変動表示90回分の時間短縮モードが付与される「2RN90」とがある。本実施形態では、第2始動入賞装置33bへの入球に基づく当否抽選において大当たりに当選した場合、35%の割合で「16RS」となり、35%の割合で「8RS」となり、20%の割合で「2RN30」となり、5%の割合で「2RN60」となり、5%の割合で「2RN90」となる。
さらに、本実施形態では、第2始動入賞装置33bへの入球に基づく当否抽選において、小当たりに当選する場合がある。第2始動入賞装置33bへの入球に基づく当否抽選において、小当たりした場合には、可変入賞装置32bが0.4秒間、第2開位置とされることを1ラウンド(ショートラウンド)として、それが2回繰り返されてから、小当たり状態が終了する。つまり、可変入賞装置32に関し、外見上は、「2RN」と同じである。但し、小当たり状態が発生する前と、発生した後とで遊技モードが変化することはない。すなわち、確変モード等の高確率状態は、基本的に「2RN」に当選することで低確率状態(時間短縮モード等)に移行するのであるが、確変モードで小当たりに当選しても、確変モードが継続される。これにより、第2始動入賞装置33bへの入球に基づく当否抽選において2ラウンド確変大当たり「2RS」に当選するような振分けを行わなくても、可変入賞装置32が、短く2回、第2開位置とされることで必ず低確率状態に移行してしまったことが分かってしまうといった事態を回避することができる。
また、閉位置にある回転電動役物404は、基本的に、最短距離で開位置へと変位するように構成されている。すなわち、閉位置にある回転電動役物404は時計回りに回動して第1開位置へと変位し、反時計回りに回動して第2開位置へと変位するようになっている。但し、いずれの種別の大当たり状態が付与されるかを遊技者に教示・示唆する際の演出として、最終的に第1開位置にて停止されるのであるが反時計回りに回転したり、最終的に第2開位置にて停止されるのであるが時計回りに回転したりする場合もある。
例えば、第1始動入賞装置33aへの入球に基づく出玉有りの大当たり状態(16RS、8RS右、8RS左、8RN)を開始する段階で(大当たり状態のオープニング期間で)、当該大当たり状態の終了後に確変モードが付与されることが、特別表示装置43L、43R以外において教示されているか否かを判別する。本実施形態では、装飾図柄表示装置42において、装飾図柄が奇数のゾロ目で揃うことや、装飾図柄表示装置42における変動表示中に特定のキャラクタが登場することや、図示しない一発告知ランプが発光すること等が確変モードの付与に対応付けられている。
当該判別で否定判別された場合には、大当たり状態の種別を示唆・教示する演出としての「回転体チャンス演出」を実行するか否かの抽選を行う。当該抽選では、例えば、50%程度の確率で当選する。そして、当該抽選にて当選した場合には、可変入賞装置32に内蔵されたLED435を発光させるとともに、当選した大当たり種別に応じて選択される演出パターンで、回転電動役物404等が駆動制御される。
16RSに当選している場合(回転体チャンス演出で確変モードの付与を教示するケース)には、回転電動役物404が反時計回りで第2開位置に至るパターン(20%)と、反時計回りで数回転してから、第2開位置に至るパターン(70%)と、時計回りで第2開位置に至るパターン(5%)と、時計回りで数回転してから第2開位置に至るパターン(5%)とがある。
8RS右に当選している場合(回転体チャンス演出で確変モードの付与を教示するケース)には、回転電動役物404が反時計回りで第2開位置に至るパターン(40%)と、反時計回りで数回転してから、第2開位置に至るパターン(30%)と、時計回りで第2開位置に至るパターン(10%)と、時計回りで数回転してから第2開位置に至るパターン(20%)とがある。
8RS左に当選している場合(回転体チャンス演出でも確変モードの付与を教示せず、付与されるモードがはっきりしないケース)には、回転電動役物404が反時計回りで第1開位置に至るパターン(20%)と、反時計回りで数回転してから、第1開位置に至るパターン(10%)と、時計回りで第1開位置に至るパターン(20%)と、時計回りで数回転してから第1開位置に至るパターン(50%)とがある。
8RNに当選している場合(付与されるモードがはっきりしないケース)には、回転電動役物404が反時計回りで第1開位置に至るパターン(10%)と、反時計回りで数回転してから、第1開位置に至るパターン(5%)と、時計回りで第1開位置に至るパターン(55%)と、時計回りで数回転してから第1開位置に至るパターン(30%)とがある。
尚、本実施形態では、回転体チャンス演出は、大当たり状態のオープニング期間(変動表示の終了後、可変入賞装置32のラウンドまでの期間)で行われるように構成されているが、例えば、装飾図柄表示装置42では装飾図柄がほぼ停止された状態(微動している)とされて、かつ、特別表示装置43L、43Rの変動表示中において行われるように構成してもよい。また、回転体チャンス演出では、回転電動役物404の動作とともに、装飾図柄表示装置42(回転電動役物404の動作中は、回転電動役物404を見るように促す表示を行う)や、スピーカSPからの効果音や、電飾によっても演出を盛り上げるように構成されており、回転電動役物404の停止と同時に、装飾図柄表示装置42、音声、電飾等の態様も、回転電動役物404の停止位置が示す結果に対応した態様をとるように構成されている。
一方、開位置にある回転電動役物404は、必ず最短距離で閉位置へと戻るように構成されている。すなわち、回転電動役物404は、第1開位置にある場合には、反時計回りで閉位置へと変位し、第2開位置にある場合には、時計回りで閉位置へと変位するようになっている。
また、第1始動入賞装置33aへの入球に基づく当否抽選の結果を教示する第1特別表示装置43L、及び、第2始動入賞装置33bへの入球に基づく当否抽選の結果を教示する第2特別表示装置43Rは、それぞれ2つのセグメント表示装置により構成され、特別図柄としての記号、文字、及び、数字等を表示可能に構成されている。この特別表示装置43L、43Rは、遊技者から視認可能な位置(本例では第2始動入賞装置33bの下方の遊技球が通過不能な位置)に設置されている。
そして、第1始動入賞装置33aへの遊技球の入球を契機として第1特別表示装置43Lにて特別図柄の切替表示(変動表示)が行われ、第2始動入賞装置33bへの遊技球の入球を契機として第2特別表示装置43Rにて特別図柄の切替表示(変動表示)が行われる構成となっている。尚、特別表示装置43L、43Rは、後述する主制御手段としての主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。
また、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて特別図柄の変動表示が行われた後、当該変動表示が停止したときの特別図柄により、当否抽選の結果、すなわち、「大当たり」、「小当たり」、又は、「外れ」であることが確定的に表示される。例えば、第1始動入賞装置33aに遊技球が入球すると、対応する第1特別表示装置43Lにて特別図柄(点灯するセグメントの組合わせ)が高速で(例えば4msec毎に)切替表示(変動表示)され、所定時間が経過すると、いずれかの特別図柄を停止表示(例えば数秒間停止)する。そして、例えば、当否抽選にて「大当たり」に当選した場合には、対応する特別図柄が変動停止時に表示され、大当たり状態が発生する。
さらに、特別表示装置43L、43Rにおいては、停止させる特別図柄によって、大当たり種別、すなわち、「16RS」、「8RS」、「8RN」、「2RS」、「2RN」のいずれであるかについても教示される。また、1つの大当たり種別を教示する特別表示装置43L、43Rの停止態様は1つではなく複数存在し、それらのいずれかが選択されて停止表示される。また、第1特別表示装置43L、第2特別表示装置43Rのどちらか一方において、変動表示又は決定表示が行われている場合には、他方が消灯状態とされており(「−」を表示しておいてもよい)、どちらにおいても変動表示及び決定表示が行われていない場合には、両方においてそれぞれ「−」が表示される。
また、第1又は第2特別表示装置43L、43Rの変動表示中に新たに遊技球が第1又は第2始動入賞装置33a、33bに入球した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では、第1始動入賞装置33aに入賞した遊技球、及び第2始動入賞装置33bに入賞した遊技球に対応して、それぞれ4回までの変動表示(合計8回の変動表示)が保留される。
さらに、第1始動入賞装置33aへの遊技球の入球に基づく変動表示(以下、「第1変動表示」と言う)の保留数は、第1特別表示装置43Lの上方に配設され、青色に発光可能な第1保留ランプ46aにて点灯表示され、第2始動入賞装置33bへの遊技球の入球に基づく変動表示(以下、「第2変動表示」と言う)の保留数は、第2特別表示装置43Rの上方に配設され、赤色に発光可能な第2保留ランプ46bにて点灯表示されるようになっている。保留ランプ46a、46bは、第1変動表示及び第2変動表示の各最大保留数と同じく4個ずつ設けられており、保留されている第1変動表示又は第2変動表示の数と同じ数だけ点灯する。当該保留ランプ46a、46bは、後述するサブ制御手段としてのサブ制御装置262によって表示内容が制御される。尚、大当たり状態中に新たに遊技球が始動入賞ユニット33a、33bに入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。また、本実施形態では、始動入賞装置33a、33bへの遊技球の入球に基づく変動表示の保留数が、装飾図柄表示装置42においても表示される(変動表示が行われている際に画面下部に表示される)ようになっている。
尚、保留された変動表示は、基本的に、保留された順番で消化されるようになっているが、第1変動表示及び第2変動表示の両方が保留されている場合(保留ランプ46a、46bがそれぞれ1つ以上点灯している場合)には、第2変動表示が優先的に消化されるようになっている。すなわち、第2始動入賞装置33bへの入賞を契機とする第2変動表示が全て消化された状態でなければ、第1始動入賞装置33aへの入球を契機とする第1変動表示が行われない構成となっている。例えば、第1保留ランプ46aが1つ点灯している状態において、第2始動入賞装置33bに遊技球が入球し、第2保留ランプ46bが1つ点灯した場合、第1変動表示が後回しにされ、先に第2変動表示が行われることとなる。
変動特定ランプ40は、装飾図柄表示装置42にて行われている変動表示が第1始動入賞装置33a、及び、第2始動入賞装置33bのうちどちらの入球に対応するものであるか(第1変動表示又は第2変動表示のどちらであるか)を示すためのものであり、遊技者から視認可能な位置(本例ではセンターフレーム47のステージ153上方位置)に配置されている。変動特定ランプ40は、発光色が青色のLED及び発光色が赤色のLEDを備えており、装飾図柄表示装置42において第1変動表示が行われている場合には青色に発光し、第2変動表示が行われている場合には赤色に発光する。
可変表示装置ユニット35には、スルーゲート34の通過を契機として変動表示する普通図柄表示装置41(センターフレーム47のステージ153上方位置)と、第1及び第2特別表示装置43L、43Rによる変動表示に合わせて変動表示する装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示可能に構成されており、遊技球がスルーゲート34を通過した場合に、例えば普通図柄を「○」→「×」→「○」→・・・という具合に高速で切換表示(変動表示)する。そして、その変動表示が「○」図柄(当選図柄)で数秒間停止した場合には、第2始動入賞装置33b(羽根部材37)が所定時間だけ開状態となる。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。
また、普通図柄表示装置41における普通図柄の変動表示中に、新たに遊技球がスルーゲート34を通過した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される普通図柄の変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留される。加えて、普通図柄の変動表示の保留回数は、可変表示装置ユニット35に配設され、白色に発光可能な保留ランプ44によって点灯表示されるようになっている。保留ランプ44は、普通図柄の変動表示の各最大保留数と同じく4個ずつ設けられており、保留されている変動表示の数と同じ数だけ点灯する。
尚、高入球状態としては、例えば、(1)普通図柄表示装置41における変動表示時間が低入球状態時よりも短い状態、(2)第2始動入賞装置33bの一回の開放時間(規定時間)が低入球状態時に比べて長い状態、(3)第2始動入賞装置33bの一回の開放につき入球可能となる遊技球の規定個数が低入球状態時に比べて多い状態、(4)入球サポート抽選の当選一回当たりの第2始動入賞装置33bの開放回数が低入球状態時に比べて多い状態、(5)入球サポート抽選の当選確率が低入球状態時よりも高い状態とすることなどが挙げられる。本実施形態における高入球状態は、上記(1)、(2)、(5)の構成を採用している。勿論、これに限らず、「高サポートモード」として、構成(1)〜(5)のいずれか1つ、又は、これら構成(1)〜(5)の任意の組合せを採用してもよい。これにより、第2始動入賞装置33bに対し遊技球が頻繁に入賞しやすくなり、当否抽選の実行される回数が増えると共に、遊技者の持ち球の減少が抑制される球持ちのよい状態となる。
装飾図柄表示装置42は、液晶表示装置によって構成されており、識別情報としての装飾図柄を変動表示可能に構成されている。また、装飾図柄表示装置42は、後述するサブ制御装置262及び表示制御装置45によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、当該決定に基づき、表示制御装置45によって表示が行われる。
装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中、下の3つの図柄表示領域が設けられ、各図柄表示領域において複数種類の装飾図柄(例えば1〜9の数字が付された数字図柄)が順次表示され(変動表示され)、その後、図柄表示領域毎に順番に(例えば、上図柄表示領域→下図柄表示領域→中図柄表示領域の順に)装飾図柄が停止表示されるようになっている。例えば、主制御装置261にて大当たり状態の発生が確定すると、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりに対応する表示がなされるとともに、装飾図柄表示装置42にて装飾図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示され(例えば、上図柄表示領域、中図柄表示領域、及び下図柄表示領域において変動表示されている装飾図柄が、所定の有効ライン上に同一の装飾図柄が並ぶようにして停止表示され)、大当たり状態が開始される。
また、装飾図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示される場合には、その前段階として、例えば、上図柄表示領域及び下図柄表示領域において同一の装飾図柄が停止表示されることとなる。このように上図柄表示領域及び下図柄表示領域にて所定の有効ライン上に同一図柄が停止表示されるとともに、中図柄表示領域において未だ変動表示が行われている状態がリーチ状態である。勿論、リーチ状態が発生したからといって必ずしも大当たりとなるわけではなく、外れる場合もある。
本実施形態では、リーチ状態が発生した後、中図柄表示領域において、上図柄表示領域及び下図柄表示領域において停止表示された装飾図柄(リーチ図柄)と同じ装飾図柄が同じ有効ライン上に停止表示された場合(ゾロ目が停止表示された場合)に、大当たり状態が付与される。また、奇数のゾロ目の場合には、大当たり状態終了後に確変モードが付与される大当たり種別に当選したこと(後述する「16RS」又は「8RS」が発生すること)が教示され、偶数のゾロ目の場合には、大当たり状態終了後に確変モード又は時間短縮モードが付与される大当たり状態に当選したこと(後述する「16RS」、「8RS」、又は「8RN」のいずれかが発生すること)が教示される。
ゾロ目以外の装飾図柄の組合わせは基本的に「外れ」を教示するものであるが、本実施形態では、大当たりであっても「2RS」、「2RN」については、装飾図柄がゾロ目の組合わせで停止表示されるのではなく、リーチ図柄となったものの外れとなる組合わせで停止表示される。加えて、「小当たり」についても、リーチ図柄となったものの外れとなる組合わせで停止表示される。
例えば、確変モードにおいては、遊技モードに対応する(滞在している遊技モードを示唆する)演出として、装飾図柄表示装置42において専用の確変ステージが表示されるが、「2RN」に当選して確変モードが終了した場合、或いは、「小当たり」に当選した場合には、かかる確変ステージが終了し、確変モードであるか否かの判別がつかない引き戻しステージが表示される。そして、「2RN」に当選していて、付与された時間短縮モードの期間も終了した場合には、かかる引き戻しステージを終了して、通常モードである(可能性が非常に高い)ことを示す通常ステージの表示を開始する。また、「小当たり」に当選していた場合には、「小当たり」の前後で遊技モードの変化がないことから、確変モードのままである。従って、引き戻しステージに移行するものの、大当たりし易く、さらには、時間短縮モードの最大限に相当する期間(特別図柄の変動表示90回分)を超えた場合には、確変モードであることを把握することができる。
尚、上記のように、特別表示装置43L、43Rにおける特別図柄の停止態様と大当たり種別との対応関係を把握しており、大当たり又は小当たりの発生を教示した特別図柄変動表示の停止態様を確認いていれば、どの種別の大当たりに当選したのかを判別することが可能である。加えて、第2始動入賞装置33bへの入球に基づいて行われる当否抽選で大当たりに当選した場合で、装飾図柄表示装置42においてゾロ目を表示する大当たり種別としては「16RS」と「8RS」しかない。このため、基本的に(保留されていた第1始動入賞装置33aへの入球に対応する変動表示が消化される場合を除く)確変モードや時間短縮モードにおいて装飾図柄表示装置42においてゾロ目で大当たりの教示が行われた場合には、確変モードの付与が確定する。
また、例えば、通常モードにおいては、遊技モードに対応する演出として、装飾図柄表示装置42において通常ステージが表示されるが、「2RS」に当選して確変モードに移行した場合、或いは、「小当たり」に当選した場合には、かかる通常ステージが終了し、確変モードであるか否かの判別がつかない前兆ステージが表示される。本実施形態では、この前兆ステージは、「小当たり」が移行契機であった場合、すなわち、通常モードに滞在している場合には、特別図柄の変動表示で、10回〜50回程度の期間で導出された後、通常ステージに戻るようになっている。その一方で、「2RS」が移行契機であった場合、すなわち、潜確モードに滞在している場合には、基本的に大当たりするまで前兆ステージとなっている。尚、前兆ステージから通常ステージに戻るか否かの抽選を行うこととしてもよいし、前兆ステージから通常ステージに戻った後、再び前兆ステージに移行するか否かの抽選(潜確モードであれば、前兆ステージに戻る確率を高くすることが望ましい)を行うこととしてもよい。加えて、第1始動入賞装置33aへの入球に基づく当否抽選において「8RN」に当選した場合、及び、「8RS」に当選したものの、その大当たり状態の終了までの間に確変モードが付与されることが教示されなかった場合には、大当たり状態終了後、引き戻しステージに移行する。
また、遊技盤30には、内レール構成部51と外レール構成部52とからなり、発射装置60から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は発射レール61及びレール50を通じて、遊技盤30とガラスユニット137との間に形成される遊技領域内に案内される。
内レール構成部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技領域へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、外レール構成部52の略先端部(図4の右上部)には、返しゴム54が取着されている。所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって例えば遊技盤30の略中央部側へ戻されることとなる。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、発射装置60にて打出された遊技球が、戻り球防止部材53を通過するまでは、レール50を逆流する場合があるため、内外レール構成部51,52の並行部分は遊技領域から除かれる。
図3に示すように、前面枠セット14の背面側には、窓部101の下方において、球通路ユニット70が設けられている。球通路ユニット70は、後述する払出機構部352から下皿15の排出口16へ繋がる下皿連通路71と、払出機構部352から上皿19へ繋がる上皿連通路73と備えている。また、内枠12の前面側に設けられた発射レール61とレールユニット50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、前面枠セット14の球通路ユニット70には、前記隙間より落下した遊技球を下皿15へと案内するファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置60から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72を介して下皿15に排出される。
また、図3及び図4中の符号67は後述する払出機構部352により払出された遊技球を内枠12の前方に案内するための払出通路であり、上皿連通路73(上皿19)に通じる通路と、下皿連通路71(下皿15)に通じる通路とに分かれている。払出通路67の下方にはシャッタ68が設けられており、前面枠セット14を開放した状態では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が前方に突出して払出通路67の出口をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉じた状態では、下皿連通路71の入口側後端部によってシャッタ68が押し開けられるようになっている。尚、下皿連通路71及び上皿連通路73の入口(球流入部)が隣接するとともに、前面枠セット14の閉状態において当該各入口と払出通路67とが所定距離だけ離間しており、両者間の隙間を遊技球が通過可能となっている。このため、上皿19及び上皿連通路73が遊技球で満杯となると、払出される遊技球が下皿連通路71側に流れ(下皿連通路71の入口側に溢れ)、下皿連通路71を通って下皿15に払出されることとなる。
加えて、球通路ユニット70には、下皿連通路71内に位置する遊技球を検知する満杯検知スイッチ(図示略)が設けられている。当該満杯検知スイッチの存在により、下皿15が遊技球で満杯になっていること(下皿15が遊技球で満杯となり、下皿連通路71において遊技球が滞留していること)を把握することができる。本実施形態では、満杯検知スイッチによって所定時間継続して遊技球が検知されることに基づき、装飾図柄表示装置42における表示や音声等を用いて下皿15が満杯であることを教示するエラー報知の制御が行われる。尚、下皿連通路71における遊技球の滞留が解消され、満杯検知スイッチにより遊技球が検知されなくなると(所定時間継続して検知されなくなると)エラー報知の状態が解除される。
次に、パチンコ機10の背面構成について図5、図6等を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。払出機構及び保護カバーは1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。図6に示すように、遊技盤30中央の貫通孔に対応して配設された可変表示装置ユニット35(図4参照)の背面側には、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。また、フレームカバー213の背面側には、フレームカバー213の開口部から前方に臨む液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42、表示制御装置45及びサブ制御装置262が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
装飾図柄表示装置42は、当該装飾図柄表示装置42の表示部(液晶画面)をパチンコ機10の前面側に露出させるための開口部が形成された収容ボックス42aに収容されてフレームカバー213の背面側に固定されている。表示制御装置45は基板ボックス45aに収容されて装飾図柄表示装置42(収容ボックス42a)の背面側に固定されている。サブ制御装置262は基板ボックス262aに収容されて表示制御装置45(基板ボックス45a)の背面側に固定されている。尚、フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板等が配設されている。また、収容ボックス42a及び基板ボックス45a,262aは透明樹脂材料等により構成され、内部が視認可能となっている。
フレームカバー213の下方には裏枠セット215が、一般入賞口31、可変入賞装置32及び始動入賞ユニット33等を背後から覆うようにして遊技盤30に取付けられている。裏枠セット215は、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている(図示略)。この球回収機構により回収された遊技球は、後述する排出通路部217に案内され、排出通路部217の排出シュートからパチンコ機10外部に排出される。
また、本実施形態では、裏枠セット215が主制御装置261の取付台として機能する。より詳しくは、主制御装置261を搭載した基板ボックス263が、裏枠セット215に対し回動可能に軸支され、後方に開放可能となっている。
主制御装置261は透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されている。基板ボックス263は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備え、これらボックスベースとボックスカバーとが封印部材によって連結されている。封印部材によって連結された基板ボックス263は、所定の痕跡を残さなければ開封できない構成となっている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、遊技盤30には、一般入賞口31等の各種入賞口に対応して、当該各種入賞口へ入球した遊技球を検出する入球検出スイッチが設けられている。具体的には、図4に示すように、一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32には、カウントスイッチ223が設けられている。また、第1始動入賞装置33a、第2始動入賞装置33bには、第1始動入賞スイッチ224a、第2始動入賞スイッチ224bが設けられている。さらに、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲートスイッチ225が設けられている。
また、図示は省略するが、裏枠セット215には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、アシスト入賞検知スイッチ227、及びスルーゲートスイッチ225とケーブルコネクタを介して電気的に接続される第1盤面中継基板が設けられている。この第1盤面中継基板は、入賞口スイッチ221等と、主制御装置261とを中継するものであり、ケーブルコネクタを介して主制御装置261と電気的に接続されている。これに対し、第1始動入賞スイッチ224a、第2始動入賞スイッチ224bは中継基板を経ることなくコネクタケーブルを介して直接主制御装置261に接続されている。
各種入球検出スイッチにて各々検出された検出結果は、主制御装置261に取り込まれる。そして、該主制御装置261よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信され、該払出制御装置311からの出力信号に基づき所定数の遊技球の払出しが実施される(スルーゲートスイッチ225により検出された場合を除く。)
この他、遊技盤30の裏面には、図示は省略するが、第2始動入賞装置33bにて羽根部材37を開閉駆動する入賞口用ソレノイドが設けられている。また、裏枠セット215には、可変入賞装置32の大入賞モータ405や、第2始動入賞装置33bの入賞口用ソレノイドと主制御装置261とを中継する第2盤面中継基板(図示略)も設けられている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。図5に示すように、裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と、遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。また、裏パックユニット203は、内枠12の左側部(図5では右側)に対して開閉可能に支持されており、上下方向に沿って延びる開閉軸線を軸心として後方に開放できるようになっている。加えて、裏パックユニット203の左上部(図5では右上部)には外部端子板240が設けられている。
外部端子板240は、遊技ホールのホールコンピュータなどへの各種情報送信を中継するためのものであり、複数の外部接続端子が設けられている。便宜上、符号は付さないが、例えば現在の遊技状態(大当たり状態や確変モード等)に関する情報を出力するための端子、後述する開放検知スイッチ91、92によって検出される前面枠セット14や内枠12の開放に関する情報を出力するための端子、入球エラー、下皿満タンエラー、タンク球無しエラー、払出しエラーなど各種エラー状態に関する情報を出力するための端子、払出制御装置311から払出される賞球数に関する情報を出力するための端子などが設けられている。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機10の後方に突出して略直方体形状をなす保護カバー部354を備えている。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉塞され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくともフレームカバー213を覆うのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、保護カバー部354が基板ボックス263の上部及び右部(図5では左側の部位)も合わせて覆う構成となっている。これにより、裏パックユニット203の閉鎖状態において、基板ボックス263の右部に設けられた封印部材、及び主制御装置261の上縁部に沿って設けられた端子部(基板側コネクタ)が覆われることとなる。
払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払出された遊技球は上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
裏パックユニット203(基板ボックス263)の下方には、内枠12の左側部(図5では右側)にて軸支され、後方に開放可能な下枠セット251が設けられている。図6に示すように、下枠セット251には、上述した球回収機構により回収された遊技球が流入する排出通路部217が形成され、排出通路部217の最下流部には、遊技球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート(図示略)が形成されている。つまり、一般入賞口31等の各入賞口に入賞した遊技球は、裏枠セット215の球回収機構を介して集合し、さらに排出通路部217の排出シュートを通じてパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路部217に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュートを介してパチンコ機10外部に排出される。尚、本実施形態では、裏パックユニット203と下枠セット251とが別体として構成され、それぞれ独立して開閉可能であるが、裏パックユニット203と下枠セット251とが一体的に形成されることとしてもよい。
また、図5に示すように、下枠セット251の背面側には、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313、及び、カードユニット接続基板314が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
発射制御装置312及び電源装置313は基板ボックス313aに収容されて下枠セット251の背面側に固定されている。尚、発射制御装置312及び電源装置313は、便宜上それぞれ独立した制御装置として説明するが、実際には1つの基板(プリント基板)により構成される。
また、払出制御装置311は、基板ボックス311aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。尚、払出制御装置311が収容される基板ボックス311aには、上述した主制御装置261が収容される基板ボックス263と同様に封印部材が設けられ、基板ボックス311aの開封された痕跡が残るようになっている。
加えて、カードユニット接続基板314は、基板ボックス314aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。なお、上記各基板ボックス311a,313a,314aは透明樹脂材料等により構成されており、内部が視認可能となっている。
また、払出制御装置311には基板ボックス311aから外方に突出する状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
さらに、電源装置313には基板ボックス313aから外方に突出するRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技ホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
また、図6に示すように、内枠12の右側部背面側には施錠装置600が設けられている。施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14は内枠12に対し施錠される。
尚、上記のように、外枠11の右辺枠構成部11dには、施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆う延出壁部83が形成されている(図5参照)。これにより、外枠11の背面側から線材等を進入させ、当該線材等により施錠装置600を操作することが困難となる。結果として、防御性能の向上を図ることができる。さらに、延出壁部83は、裏パックユニット203及び下枠セット251の右端部(図5では左側の端部)を背面側から覆う構成となっており、内枠12の閉状態においては、裏パックユニット203及び下枠セット251を開放できない構成となっている。
また、図4に示すように、内枠12の前面側右下部(発射装置60の右側)には、前面枠セット14の開放を検知するための前面枠開放検知スイッチ91が設けられ、図5に示すように、内枠12の背面側右下部(図5では左下)には、内枠12の開放を検知するための内枠開放検知スイッチ92が設けられている。前面枠開放検知スイッチ91及び内枠開放検知スイッチ92は、それぞれスイッチ本体部に対して出没可能な検知部を備えており、前面枠開放検知スイッチ91は検知部が前方に向くように設けられ、内枠開放検知スイッチ92は検知部が後方へ向くように設けられる。そして、検知部がスイッチ本体部から突出した状態にある場合にはオン信号を主制御装置261に出力し、検知部がスイッチ本体部側に押圧され、スイッチ本体部に没入した状態ではオフ信号を主制御装置261に出力する構成となっている。つまり、前面枠開放検知スイッチ91は前面枠セット14の閉鎖時において検知部が前面枠セット14の背面で押圧されてオフ状態となり、前面枠セット14の開放時には、検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。同様に、内枠開放検知スイッチ92は内枠12の閉鎖時において検知部が外枠11の受部85に一体形成された押圧部86によって押圧されてオフ状態となり、内枠12の開放時には検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図7は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。主制御手段としての主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。但し、CPU、ROM及びRAMが1チップ化されておらず、それぞれの機能毎にチップ化されている構成であってもよい。
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。
また、RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)のメイン処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバス等で構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、第1及び第2特別表示装置43L、43R、普通図柄表示装置41等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43L、43R、及び普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
その他、便宜上、各種中継基板等の図示は省略するが、入出力ポート505には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、始動入賞スイッチ224a,224b、アシスト入賞検知スイッチ227、スルーゲートスイッチ225、ハンドル18の各種スイッチ等の各種検出スイッチや、各種基板、可変入賞装置32を開閉させるためのソレノイド等の各種電気部品が接続されている。つまり、主制御装置261には、各種ケーブルコネクタのコネクタを接続するための複数の端子部(基板側コネクタ)が設けられているが、これら端子部等により、入出力ポート505が構成される。
サブ制御手段としてのサブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、保留ランプ46a、46b、演出ボタン125、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりに当選したことを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43L、43R(における特別図柄)の変動表示に合わせて、演出表示として(装飾図柄の)変動表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出装置358により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。
RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファとが設けられている。
払出許可フラグは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出を指示する賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
コマンド受信フラグは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、コマンド判定処理により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
コマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出装置358等がそれぞれ接続されている。
カードユニット接続基板314は、パチンコ機10前面の貸球操作部(球貸しボタン121及び返却ボタン122)と、遊技ホール等にてパチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)とにそれぞれ電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれをカードユニットに出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
発射制御装置312は、発射装置60による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置60は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射禁止ボタン18a(図1参照)が操作されていないことを条件に、発射装置60が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、バスライン530を介して、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、VDP526が接続されている。また、VDP526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドを、入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP526の制御(具体的にはVDP526に対する内部コマンドの生成)を実施する。これにより、装飾図柄表示装置42における表示制御を行う。
プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。
VDP526は、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP526はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP526は、CPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させる。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。同様に、各種スイッチやモータ等には、これらが接続される制御装置を介して動作電源が供給されることとなる。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
尚、本実施形態では、主制御手段としての主制御装置261に設けられたCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて抽選を行うこととしている。具体的には、大当たり状態を発生させるか否かの当否抽選に使用する当否乱数カウンタC1と、大当たり種別の決定(種別抽選)に使用する種別決定カウンタC2と、装飾図柄表示装置42においてリーチ状態を発生させるか否かの決定に使用する変動選択カウンタC3と、当否乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINIと、第1及び第2特別表示装置43L、43R(装飾図柄表示装置42)の変動表示時間の決定等に使用する第1変動種別カウンタCS1、第2変動種別カウンタCS2と、普通図柄表示装置41の抽選(入球サポート抽選)に使用する普通図柄乱数カウンタC4とを用いることとしている。なお、変動選択カウンタC3は、装飾図柄表示装置42を外れ変動させる際のリーチ種別の抽選にも使用される。また、変動種別カウンタCS1、CS2は、装飾図柄表示装置42の変動パターン選択(演出パターン選択)にも使用される。詳しくは、決定された変動パターンにより、特別表示装置43L、43Rの変動時間が決定されるとともに、装飾図柄表示装置42における変動態様及び変動時間すなわち演出パターンが決定される。
カウンタC1、C2、C3、CINI、CS1、CS2、C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、上限値に達した後、下限値である0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは定期的に更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される(乱数初期値カウンタCINIを除く)。
RAM503には、当否乱数カウンタC1、種別決定カウンタC2、及び、変動選択カウンタC3の各値が記憶される保留記憶エリアとしての特別変動保留エリアと、普通図柄乱数カウンタC4の値が記憶される普通変動保留エリアとが設けられている。普通変動保留エリアは、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜保留第4エリア)とを備えている。普通変動保留エリアの各保留エリアには、スルーゲート34への遊技球の通過履歴に合わせて、普通図柄乱数カウンタC4の値が時系列的に格納される。当該構成を採用することで、普通図柄表示装置41における変動表示を4回まで保留可能としている。
また、特別変動保留エリアは、それぞれ4つの保留エリア(保留第1〜保留第4エリア)を備える第1特別変動保留エリア及び第2特別変動記憶エリアと、1つの実行エリアとを備えている。第1特別変動保留エリアの各保留エリアには、第1始動入賞装置33aへの遊技球の入賞履歴に合わせて、当否乱数カウンタC1、種別決定カウンタC2、及び変動選択カウンタC3の各値が時系列的に格納される。第2特別変動保留エリアの各保留エリアには、第2始動入賞装置33bへの遊技球の入賞履歴に合わせて、当否乱数カウンタC1、種別決定カウンタC2、及び変動選択カウンタC3の各値が時系列的に格納される。当該構成を採用することで、特別表示装置43L、43Rにおける変動表示をそれぞれ4回まで保留可能としている。
各カウンタについて詳しく説明すると、当否乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、終値としての上限値(つまり599)に達した後、始値としての下限値である0に戻る構成となっている。通常、当否乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の初期値乱数カウンタCINIの値が当該当否乱数カウンタC1の次の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINIは、当否乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜599)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。一方、当否乱数カウンタC1は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、当否乱数カウンタC1の値が当否乱数カウンタバッファに格納される。そして、遊技球が第1始動入賞装置33a又は第2始動入賞装置33bに入賞したタイミングで、当否乱数カウンタバッファに格納されている当否乱数カウンタC1の値が、特別変動保留エリアに格納される。
また、本実施形態では、低確率状態(通常モード、時間短縮モード)であれば大当たりとなる当否乱数カウンタC1の値の数は2つで、その値は「7、307」であり、高確率状態(確変モード、潜確モード)であれば大当たりとなる当否乱数カウンタC1の値の数は20で、その値は「7〜16、307〜316」である。本実施形態では、ROM502に対し、当否乱数カウンタC1の値が大当たりに対応するか否かの判定を行う際に参照される当否判定テーブルが2つ設けられており、「7、307」を大当たり値として記憶した第1当否判定テーブルと、「8〜16、308〜316」を大当たり値として記憶した第2当否判定テーブルとがある。
さらに、本実施形態では、当否乱数カウンタC1を利用して、大当たりに当選しなかった場合に、小当たりに当選したか否かの抽選が行われるようになっている。低確率状態(通常モード、時間短縮モード)であれば小当たりとなる当否乱数カウンタC1の値の数は1つで、その値は「404」であり、高確率状態(確変モード、潜確モード)であれば小当たりとなる当否乱数カウンタC1の値の数は10で、その値は「404〜413」である。尚、小当たりの当否判別には、「404」を当選値として記憶する第1小当たり判定テーブルと、「405〜413」を当選値として記憶する第2小当たり判定テーブルとが参照される。
尚、通常モードにおいては、当否抽選にて大当たりに当選する確率(大当たり確率)が1/300であり、小当たりに当選する確率(小当たり確率)が1/600であり、入球サポート抽選の結果を教示するための普通図柄表示装置41における変動時間が8秒であり、また、入球サポート抽選にて当選した場合に、第2始動入賞装置33bが0.4秒間開放される。
確変モードにおいては、大当たり確率が1/30であり、小当たり確率が1/60であり、通常モードに比べて大当たりや小当たりし易くなる。また、確変モードにおいては、入球サポート抽選に基づく普通図柄表示装置41の変動時間が0.4秒であり、通常モードに比べて短くなる上、入球サポート抽選にて当選した場合、第2始動入賞装置33bが3回開放されるとともに、各開放時間が4秒間となる(4秒間の開放が0.4秒の閉鎖期間を挟みつつ3回繰り返される)。つまり、確変モードでは、通常モードに比べ、普通図柄表示装置41における変動時間が短くなる上、入球サポート抽選の当選1回あたりの第2始動入賞装置33bの開放時間が長くなるとともに、開放回数が多くなる。これによって、第2始動入賞装置33bが開状態となっている時間帯が長くなるため、第2始動入賞装置33bに対して遊技球が頻繁に入球するようになり(高入球状態となり)、当否抽選が連続してなされると共に、玉持ちのよい状態となる。尚、高入球状態においては、普通図柄表示装置41において「○」図柄が停止表示される確率(入球サポート抽選の当選確率)を通常モード時よりも高くすることとしてもよい。
時間短縮モードにおいては、大当たり確率が1/300であり、小当たり確率が1/600である。また、時間短縮モードにおいては、入球サポート抽選に基づく普通図柄表示装置41の変動時間が0.4秒であり、入球サポート抽選にて当選した場合、第2始動入賞装置33bが3回開放されるとともに、各開放時間が4秒間となる。すなわち、時間短縮モードは、大当たり確率が通常モード時と同じ低確率ではあるが、第2始動入賞装置33bの動作だけを見ると、確変モードと同じである。本実施形態では、「8RN」、又は、「2RN」の大当たり状態終了後に、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて合計で規定回数の変動表示(「8RN」の後は一律90回となり、「2RN」は30回の場合(「2RN30」)と、60回の場合(「2RN60」)と、90回の場合(「2RN90」)とがある)にわたって時間短縮モードが設定される。また、時間短縮モードは、大当たり状態が発生しなくても、特別表示装置43L、43Rにて規定回数の変動表示が行われた時点で終了し、その後、通常モードに移行する。
潜確モードにおいては、大当たり確率が1/30であり、小当たり確率が1/60である。また、潜確モードにおいては、普通図柄表示装置41の変動時間が8秒であり、入球サポート抽選にて当選した場合、第2始動入賞装置33bが0.4秒間1回だけ開放される。すなわち、潜確モードは、大当たり確率が確変モード時と同じ高確率ではあるが、第2始動入賞装置33bの動作だけを見ると、通常モードと同じである。本実施形態では、「2RS」の大当たり状態終了後に潜確モードとなり、少なくとも大当たり状態が発生するまで継続する。尚、本実施形態では、第1始動入賞装置33aへの入球に基づく当否抽選にて当選した場合には、「2RN」に当選するという割り振りがないため、潜確モードがひっそりと終ってしまうといった事態が回避される(出玉有りの大当たりに当選するまで継続される)。
種別決定カウンタC2は、例えば0〜19の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり19)に達した後、下限値である0に戻る構成となっている。また、ROM502には、種別決定カウンタC2の値がいずれの大当たり種別に対応するかの判定を行う際に参照される第1種別判定テーブル(第1始動入賞装置33aに対応)、第2種別判定テーブル(第2始動入賞装置33bに対応)が設けられている。そして、当否抽選にて大当たりに当選した場合に、種別決定カウンタC2の値に基づいて付与される大当たり状態の種別の種別が決定され(種別抽選が行われ)、決定された種別の大当たり状態が付与されることとなる。
尚、種別決定カウンタC2は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、種別決定カウンタC2の値が種別決定カウンタバッファに格納される。そして、遊技球が第1始動入賞装置33a又は第2始動入賞装置33bに入賞したタイミングで、種別決定カウンタバッファに格納されている種別決定カウンタC2の値がRAM503の特別変動保留エリアに格納される。
変動選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり238)に達した後、下限値である0に戻る構成となっている。本実施形態では、変動選択カウンタC3によって、装飾図柄に関してリーチ状態が発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ状態が発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ状態が発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。本実施形態では、ROM502に対し、変動選択カウンタC3の値とリーチ種別との対応関係を記憶しているリーチ判定テーブルが設けられている。リーチ判定テーブルには「0〜238」の値が記憶され、C3=0,1が前後外れリーチに対応し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに対応し、C3=22〜238が完全外れに対応する構成となっている。
変動選択カウンタC3は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、変動選択カウンタバッファに変動選択カウンタC3の値が格納される。そして、遊技球が第1始動入賞装置33a又は第2始動入賞装置33bに入賞したタイミングで、変動選択カウンタバッファに格納されている変動選択カウンタC3の値がRAM503の特別変動保留エリアに格納される。
また、2つの変動種別カウンタCS1、CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜59の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり59)に達した後、下限値である0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜37の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり37)に達した後、下限値である0に戻る構成となっている。例えば、第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、装飾図柄のリーチパターンやその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本例では中図柄)が停止するまでの経過時間などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1、CS2を組合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄とを組合わせて同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。
また、変動種別カウンタCS1、CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してCS1、CS2のバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、当否乱数カウンタC1、種別決定カウンタC2、変動選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1、CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
また、普通図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜99の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり99に達した後、下限値である0に戻るループカウンタとして構成されている。普通図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかのスルーゲート34を通過した時に普通図柄乱数カウンタC4の値が取得される。低入球状態の際の当選となる乱数の値の数は1つであり、その範囲は「1」である。一方、高入球状態の際の当選となる乱数の値の数は99であり、その範囲は「1〜99」である。そして、当選となる普通図柄乱数カウンタC4の値が取得された場合、普通図柄表示装置41において変動表示が所定時間行われた後、当選に対応する図柄(本例では「○」)が停止表示され、第2始動入賞口473がそのときの遊技モードに応じたパターンで開放される。
以上詳述したように、第1実施形態によれば、可変入賞装置32は、大入賞口402を開閉させるだけでなく、大入賞口402への入球が可能な範囲内で、大入賞口402への入球し易さを変化させることのできる回転電動役物404を備えている。このため、1つの可変入賞装置32において、大入賞口402への遊技球の入球が可能な開状態と、不可能な閉状態との間を状態変化するだけでなく、開状態であっても、大入賞口402への遊技球の入球し易さを切り替えることができるようになっている。これにより、1つの可変入賞装置32を設けるだけでも、遊技状態のバリエーション(可変入賞装置32に遊技球が入球不可能な状態、可変入賞装置32に遊技球が入球可能な状態、及び、可変入賞装置32に遊技球がより効率的に入球可能な状態)を増やしたり、遊技性に斬新な変化を加えたりすることができる。
特に、本実施形態では、遊技球を遊技領域の左ルートに打ち出すことで第1開位置にある回転電動役物404に入球させることができ、遊技球を遊技領域の右ルートに打ち出すことで第2開位置にある回転電動役物404に入球させることができる。従って、左ルート及び右ルートに遊技球を打ち分ける構成であって、右打ちする状況での大当たり状態の方が、左打ちする状況での大当たり状態よりも多くの賞球を獲得できる等といった遊技性を具備する構成においても、1つの可変入賞装置32によって、それに十分に対応することができる。結果として、興味深い可変入賞装置32を設けることによって、興趣の向上を図ることができる。
尚、本実施形態では、回転電動役物404は、第1開位置にある場合と、第2開位置にある場合とで、回転電動役物404の中心を通る仮想鉛直線で線対称形状となり、回転電動役物404だけをとってみると、一見、流入口421への遊技球の入球し易さは同じであるが、第1開位置にある場合には、流入口421の開口範囲に遊技釘(間口釘408)が存在しており、流入口421の開口範囲のうち遊技球が実質的に入球可能な面積が、第2開口位置にある場合よりも小さくなっている。このため、回転電動役物404が第2開位置にある方が、回転電動役物404へ遊技球が入球し易いと言える。
また、大入賞口402前方の遊技領域を移動する遊技球を大入賞口402へ案内するとともに、大入賞口402を開閉させる機能を有する回転電動役物404は、回転することで可変入賞装置32を開状態と閉状態とに変化させるようになっている。このため、例えば、可変入賞装置32が上下又は左右にスライドすることによって空いたスペースから大入賞口402が露出してしまう、或いは、露出しないように可変入賞装置32と一体的に閉塞部を設けることで可変入賞装置32の大型化等を招いてしまうといった事態を防止することができる。従って、可変電動役物が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても、流出口と特定入賞口とを連通させるとともに、流入口及び流出口を経由していない遊技球の特定入賞口への入球を防止するといった構成を比較的コンパクトかつ簡潔に実現させることができる。また、例えば、可変入賞装置32が前後にスライドする場合に比べて、遊技球の入球し易さ等が変化していることを認識し易くすることができる。
加えて、可変入賞装置32は、回転電動役物404が正面視略円形状をなしていることに加え、装置本体403は遊技盤30の後面側において取付固定され、遊技盤30の前面側において装置本体403の取付部414が位置することを回避している。このため、回転電動役物404の周りに、流入口421への入球を制限する遊技釘(間口釘408)を回転電動役物404のより近傍に配置することができる。また、流入口421から外部への流出を防止したり、回転電動役物404を支持したりする装置本体403のうち回転電動役物404の外周面下部や前面下部を支持する補助部材としての支持部412や抜け止め部413を比較的簡単かつ好適に設けることができる。さらに、補助部材を含む可変入賞装置32全体を設置するためのスペースの縮小化を図ることができる。また、大入賞口402を効率的に極力広く形成することができる。
また、回転電動役物404の連結壁426の内周面は、後方に向けて回転電動役物404の外周側に傾斜しており、回転電動役物404が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても、連結壁426のうち上方を向いていて、回転電動役物404の内部に進入した遊技球を受ける面は、後方に下方傾斜している。このため、回転電動役物404が開位置にある場合に、流入口421から回転電動役物404の内部に入球した遊技球をより確実に後方の流出口422、ひいては、大入賞口402へと案内することができ、流入口421に入球した遊技球が同流入口421からこぼれて出て行ってしまうといった事態を抑制することができる。
さらに、回転電動役物404の後壁部424の前面は、装置本体403のうち遊技盤30に形成された取付用開口部401に内嵌する円筒状のベース部411の前縁部と略面一であり、さらに、ベース部411の前縁部は、遊技盤30の前面と略面一である。このため、遊技盤30の前面に沿って移動する遊技球がベース部411や後壁部424の端縁に衝突し、可変入賞装置32から離間する方向に弾き飛ばされてしまったり、弾かれた遊技球が勢いよく前壁部425等に衝突して前壁部425の損傷や劣化を招いたりする等といった事態を抑制することができる。
さらに、回転電動役物404の前壁部425には、流入口421の開口範囲に対応する部位に目印429が形成されている。このため、パチンコ機10の前方からでも、回転電動役物404の流入口421がどこに位置しているのかをより把握し易くすることができる。
また、本実施形態では、回転電動役物404は、第1開位置又は第2開位置から閉位置へと変位する場合には、最短距離を通って変位するように構成されている。このため、回転電動役物404を、比較的素早く所期の位置へと変位させることができ、スムースな遊技の進行を計ることができるとともに、省電力化等も図ることができる。
その一方で、回転電動役物404は、閉位置から第1開位置又は第2開位置へと変位する場合には、最短距離以外が選択される場合があるように構成されている。つまり、装飾図柄表示装置42等において大当たりの発生が教示された後、大当たり状態のラウンド開始前において、回転電動役物404の停止位置(第1開位置又は第2開位置)によって大当たり種別が教示・示唆される回転体チャンス演出が行われる場合がある。このように、可変入賞装置32の動作態様を大当たり種別の示唆に関する演出に利用するという今までにない演出が行われることによって、可変入賞装置32そのものへの興味も抱かせつつ、興趣の向上を図ることができる。特に、回転電動役物404の動き出しで残念な方が確定してしまうといった事態を回避することができ、遊技性の向上等を図ることができる。
さらに、回転体チャンス演出で回転電動役物404を視認させつつ、そのまま大当たりラウンドに移行するため、大当たり状態において果たして左ルート及び右ルートのどちらに遊技球を打ち出してよいものかを明確に把握させることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、特徴部分である可変入賞装置32、特に、回転電動役物404を中心に、図10〜図13を参照して説明する。尚、基本構成については、上記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略するとともに、同じ部材名称及び部材番号を用いて説明する。
第2実施形態の可変入賞装置32の回転電動役物404は、流入口421以外にも、回転電動役物404の内部に遊技球を進入させる孔部が形成されている。より具体的には、本実施形態の連結壁426は、前壁部425及び後壁部424の中心を通る(但し中心は軸固定部427として使用される)とともに、回転電動役物404の外周側に向けて一方向に開口する断面略鉤状の第1連結壁451と、第1連結壁451から離間して前壁部425の外周縁と後壁部424の外周縁との間を連結し、回転電動役物404の外周面において、第1連結壁451との間に遊技球が入球可能な孔部を形成する第2連結壁452とを備えている。本実施形態では、第1連結壁451の内周側に流出口422(図11〜図13で散点模様を付した部分)が形成され、第1連結壁451の開口によって流入口421が構成されている。
尚、第1連結壁451の断面形状としては、一端側(回転電動役物404が後述する第1開位置にある場合において左側の端部側)は後壁部424や前壁部425の外周縁に対し点で交わるのみであるが、他端側(回転電動役物404が後述する第1開位置にある場合において右側の端部側)は後壁部424や前壁部425の外周縁に対しある程度の距離を交わっている。以下、第2連結壁452と、第1連結壁451の一端側との間に形成される孔部を「第1通用孔453」とも称し、第2連結壁452と、第1連結壁451の他端側との間に形成される孔部を「第2通用孔454」とも称する。また、第1通用孔453と第2通用孔454とは連通している。本実施形態では、第1通用孔453と第2通用孔454との間の通路が通り抜け通路を構成する。
本実施形態の回転電動役物404は、流入口421が下方を向く閉位置と、流入口421が上方やや左を向く第1開位置と、流入口421が右方を向く第2開位置との間を変位可能に構成されている。図11に示すように、回転電動役物404が閉位置にある場合、流入口421が下方を向いているため、流入口421に遊技球を入球させることができないようになっている。
一方、図12に示すように、回転電動役物404が第1開位置にある場合、流入口421が上方を向いているため、かかる流入口421に遊技球が入球可能となる。流入口421に入球した遊技球は、第1連結壁451の内周面に案内され、後方の流出口422、ひいては、大入賞口402に入球することとなる。本実施形態では、遊技領域の左ルートを通った遊技球が第1開位置にある回転電動役物404の流入口421に入球するように構成されている、
また、図13に示すように、回転電動役物404が第2開位置にある場合、流入口421が右方を向いているため、遊技球が直接流入口421に飛び込んでいくことは難しい。この点、本実施形態では、回転電動役物404が第2開位置にある場合に、第1連結壁451の下側の端部に連接し、回転電動役物404の右方を移動する遊技球を、流入口421へと案内する(左下に流れる流路を形成する)入球案内手段としての複数本の遊技釘(以下、「案内釘457」とも称する)が設けられている。本実施形態では、第2開位置にある回転電動役物404の第1連結壁451の下側の端部(端縁)と、案内釘457との間には、遊技球が下方にこぼれるような隙間はなく、回転電動役物404が第2開位置とされている期間であれば、基本的に案内釘457に載った遊技球全てが流入口421に入球するようになっている。そして、流入口421に入球した遊技球は、第1連結壁451の内周面に案内され、後方の流出口422、ひいては、大入賞口402に入球することとなる。
また、回転電動役物404が閉位置にあるときの第2連結壁452、回転電動役物404が第1開位置にあるときの第1連結壁451の右側の端部(端縁)、及び、回転電動役物404が第2開位置にあるときの第1連結壁451の上側の端部を保護するべく、回転電動役物404の外周に沿って配置された複数本の遊技釘(以下、「保護釘458」とも称する)が設けられている。
さらに、図11に示すように、回転電動役物404が閉位置にある場合、第2通用孔454が上方を向き、第1通用孔453が右下を向くようになっている。特に、第2通用孔454は、回転電動役物404が第1開位置にある場合に流入口421が位置する箇所(第1開時流入口対応位置)に形成されている。また、第1通用孔453は、回転電動役物404が第2開位置にある場合に流入口421が位置する箇所(第2開時流入口対応位置)を含み、さらに、案内釘457よりも下方位置にまで延在するように形成されている。
この状態では、左ルートを経由して回転電動役物404の直上方まで移動してきた遊技球は、第2通用孔454を介して回転電動役物404の内部に進入し、第1通用孔453から回転電動役物404下方の遊技領域に排出されるようになっている。さらに、右ルートを経由して回転電動役物404の右方まで移動してきた遊技球は、案内釘457によって回転電動役物404にまで案内される。当該遊技球は、右方から第1通用孔453に入球して、一旦、回転電動役物404の内部に進入するが、そのまま流下して、第1通用孔453から回転電動役物404の外部に排出されるようになっている。
また、図12に示すように、回転電動役物404が第1開位置にある場合、第2通用孔454が右下を向くようになっている。特に、第2通用孔454は、回転電動役物404が第2開位置にある場合に流入口421が位置する箇所を含み、さらに、案内釘457よりも下方位置にまで延在するように形成されている。
この状態では、右ルートを経由して回転電動役物404の右方まで移動してきた遊技球は、案内釘457によって回転電動役物404にまで案内され、第2通用孔454を介して、一旦、回転電動役物404の内部に進入するが、そのまま流下して、第2通用孔454から回転電動役物404の外部に排出されるようになっている。
加えて、図13に示すように、回転電動役物404が第2開位置にある場合、第1通用孔453が上方を向き、第2通用孔454が左下方を向くようになっている。特に、第1通用孔453は、回転電動役物404が第1開位置にある場合に流入口421が位置する箇所に形成されている。
この状態では、左ルートを経由して回転電動役物404の直上方まで移動してきた遊技球は、第1通用孔453を介して、回転電動役物404の内部に進入するが、そのまま流下して、第2通用孔454から回転電動役物404の外部に排出されるようになっている。
尚、回転電動役物404の前壁部425は、上記第1実施形態と同様に、透明なポリカーボネートで形成されるとともに、その前面に半透明なシールが貼着され、当該シールには、流入口421に対応する位置に目印429が形成されている。また、流入口421や、第1通用孔453や、第2通用孔454から回転電動役物404の内部に入球した遊技球については、前壁部425及び底に貼着されたシールを介して視認可能に構成されている。加えて、回転電動役物404を駆動する大入賞モータは、正面視で、回転電動役物404が第1開位置や第2開位置にある場合の流出口422を外れるような位置に設けられている。
以上詳述したように、第2実施形態によれば、回転電動役物404が第2開位置にある状態において、回転電動役物404の右方を移動する遊技球を回転電動役物404の流入口421へと案内する案内釘457が設けられている。このため、側方を向いているような流出口422へも効率的に遊技球を入球させることができる。
また、回転電動役物404の右上方には、第1連結壁451や第2連結壁452の保護を図る保護釘458が設けられている。このため、第1連結壁451や第2連結壁452の劣化や損傷等を抑制することができる。
ところで、案内釘457や保護釘458等を設けることによって、回転電動役物404の位置(位相)によっては、回転電動役物404の外周面と、案内釘457や保護釘458との間に、遊技球を滞留させてしまう部位(例えば、遊技球が載置可能な部位と、その部位からの移動を規制する部位とで構成される)が形成されることが懸念される。
この点、本実施形態では、回転電動役物404の外周面のうち、遊技球が滞りそうなところ、すなわち、回転電動役物404が第1開位置や第2開位置にある場合に流入口421が位置する部位に第1通用孔453及び第2通用孔454が形成されている。具体的には、回転電動役物404が閉位置及び第1開位置にある場合の案内釘457上に遊技球が滞留しそうなところ、回転電動役物404の外周面において当該遊技球の移動を止める部位がないため、滞留しないようになっている。さらに、回転電動役物404が閉位置及び第2開位置にある場合の回転電動役物404の上面右傾斜部と保護釘458との間に遊技球が滞留しそうなところ、回転電動役物404の外周面において当該遊技球を載置する部位がないため、滞留しないようになっている。従って、案内釘457や保護釘458等を設けることでの遊技球の滞留を回避することができ、支障なく案内釘457や保護釘458等を設けることができる。
さらに、回転電動役物404の前壁部425には、流入口421の開口範囲に対応する部位に目印429が形成されている。このため、パチンコ機10の前方からでも、回転電動役物404の流入口421がどこに位置しているのかをより把握し易くすることができる。特に、流入口421以外にも回転電動役物404の内側に進入可能な第1通用孔453や第2通用孔454がある構成においては、比較的勘違いし易くなってしまうことが懸念されるため、かかる目印429を採用することで、遊技球を入球させるべき流入口421の位置を確実に認識させるといった作用効果が一層顕著に奏されることとなる。
加えて、回転電動役物404に後壁部424があることによって、回転電動役物404が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても回転電動役物404の流出口422と連通するように大入賞口402を極力広範囲に形成するとともに、回転電動役物404の内部を遊技球が通過するだけの(大入賞口402への入球は不可能とされる)第1通用孔453と第2通用孔454との間の通路を形成することができる。
尚、第1連結壁451や第2連結壁452については、有色の材料によって構成し、遊技球が流入口421に入球したのか、或いは、遊技球が第1通用孔453や第2通用孔454に入球しただけなのかをより分かり易くしてもよい。
尚、当該第2実施形態においては、回転電動役物404が定位置にて回転する構成であるにもかかわらず、閉位置にある回転電動役物404の上方や右方などに到達した遊技球を、回転電動役物404の内部を通じて下方に受け流すことができる。従って、遊技領域において回転電動役物404の下流側にも入賞口やスルーゲート等を配置する盤面構成も採用することが可能になり、設計の自由度を向上させることができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、可変入賞装置32の装置本体403(取付部414)は遊技盤30の後面にねじ固定によって取付けられるように構成されているが、取付部414が遊技盤30の前面側に当接状態で取付けられる構成としてもよい。当該構成を採用する場合、取付部414に対して遊技釘を遊技盤30に打ち込むための孔部を形成してもよい。この場合、回転電動役物404のより近傍に遊技釘(間口釘408)を配置することができる。
また、取付部414が遊技盤30の前面側に当接状態で取付固定される構成を採用する場合、当該取付部414が遊技盤30の前方に突出することとなるが、取付部414の外周縁前部を角取りして、遊技盤30との間の段差が極力緩やかになるように構成することが望ましい。さらに、回転電動役物404の後壁部424の前面と、取付部414の前面とを面一とする、或いは、後壁部424を取付部414の前面よりも後方に位置させることで、流入口421に入球したと思われた遊技球が後壁部424の外周縁に衝突して弾き飛ばされてしまうといった事態を防止することができる。
(b)上記実施形態において、回転電動役物404の形状等は特に限定されるものではなく、例えば、正面視略正6角形状、正面視四角形状、正面視楕円形状、中空の半球形状等に構成してもよい。さらに、回転電動役物404の周りに設けられる遊技釘の配置や、回転電動役物404を支持する部材等の構成については特に限定されるものではない。例えば、第1実施形態において、回転電動役物404が第1位置にある場合の流入口421の遊技領域上流側に配置される遊技球の数が、回転電動役物404が第2位置にある場合の流入口421の遊技領域上流側に配置される遊技球の数よりも多く、流入口421に到達し難いような構成となっていてもよい。尚、上記第2実施形態では、流入口421の向きだけをとると、回転電動役物404が第1開位置にある方が、第2開位置にある場合に比べ、上面視での開口面積が広く、入球し易く構成されているが、第2開位置にある場合には、入球をアシストする案内釘457があるため、流入口421を上方に向けることと同じか、それ以上の入球効率の向上を図ることができるようになっている。さらも、流入口421への入球をアシストする構成については遊技釘に限定されるものではなく、その他の遊技部材(例えば、樹脂製の装飾部材等)によって構成してもよい。
また、流入口421への遊技球の入り易さを変化させる構成は特に限定されるものではない。例えば、回転電動役物404が第1開位置とされた状態において流入口421の左縁部を画定する部位に対応して、左縁部から流入口421に張り出して一部を閉塞する閉位置と、流入口421から外れて全開とされる開位置とに変位可能に構成されるシャッタをスライド変位自在に設けることとしてもよい。この場合、回転電動役物404が閉位置にある場合、シャッタも閉位置にあり、閉位置にある回転電動役物404を時計回りで第1開位置へと変位させると、シャッタは閉位置を維持して流入口421の開度が例えば、70%〜80%程度となり、一方、閉位置にある回転電動役物404を反時計回りで第2開位置へと変位させると、シャッタが自重で開位置へと変位し、流入口421が全開となる。
(c)上記実施形態では、可変入賞装置32は可変電動役物として回転する回転電動役物404を備える構成となっているが、例えば、上下方向や左右方向にスライドする可変電動役物を備えるように構成してもよい。より具体的に、例えば、図14、図15に示すように、可変入賞装置32は、上方及び後方に開口する略箱状の可変電動役物461を備えている。当該可変電動役物461は、遊技盤30に形成され、大入賞口402を構成する左右に長い取付用開口部401の前方の範囲で左右方向にスライド自在に取付けられている。より具体的に、可変電動役物461は、取付用開口部401の左右方向略中央部に位置する閉位置と、閉位置よりも左方に位置する第1開位置と、閉位置よりも右方に位置する第2開位置との間を変位可能に構成されている。
取付用開口部401の上方には、閉位置にある可変電動役物461への入球が規制される(可変電動役物461の上方の開口部、すなわち、流入口462が閉塞される)ように遊技釘(規制釘464)が配置されている。尚、図15の図面番号463は、本例では取付用開口部401によって構成される大入賞口402と連通し、流入口462に入球した遊技球を大入賞口402に案内する流出孔である。
そして、可変電動役物461が第1開位置に変位した場合には、可変電動役物461の流入口462の大部分が規制釘464の下方位置から外れた位置となり、左ルートを経由した遊技球が流入口462に入球可能となる。また、可変電動役物461が第2開位置に変位した場合には、可変電動役物461の流入口462の全体が規制釘464の下方位置から外れた位置となり、右ルートを経由した遊技球が流入口462に入球可能となる。尚、可変電動役物461は、略箱型の本体部465の左右一対の側壁部後縁からそれぞれ側方に延出する主閉側壁466と、各主閉側壁466の後面側辺部近傍部位に対して左右に相対変位可能に取付けられる副閉塞壁467とを備えている。さらに、本体部465を左右にスライドさせるメインスライドモータ468と、各副閉塞壁467をそれぞれ左右にスライドさせるサブスライドモータ469とが設けられている。
可変電動役物461が閉位置にある場合、本体部465及び主閉側壁466によって大入賞口402が閉塞される。可変電動役物461が第1開位置にある場合、右側の副閉塞壁467が本体部465等の変位に連動して大入賞口402の前方に突出し、本体部465、右側の主閉側壁466、及び、右側の副閉塞壁467によって大入賞口402が閉塞される。尚、この状態から可変電動役物461を閉位置や第2開位置に変位させる場合には、メインスライドモータ468だけでなく、右側のサブスライドモータ469も駆動させて、右側の副閉塞壁467を大入賞口492の右方に退出するまで変位させる。
可変電動役物461が第2開位置にある場合、左側の副閉塞壁467が本体部465等の変位に連動して大入賞口402の前方に突出し、本体部465、左側の主閉側壁466、及び、左側の副閉塞壁467によって大入賞口402が閉塞される。以上のような構成を採用する場合でも、1つの可変入賞装置32で、2つのルートをそれぞれ経由してきた遊技球をそれぞれ受け入れ可能に構成するとともに、ルートによって遊技球の可変入賞装置32への入球し易さに差をつけることができる。
(d)上記実施形態では特に言及していないが、回転電動役物404の周辺部、特に、第1開位置にある場合の流出口422に対応する位置と、第2開位置にある場合の流出口422に対応する位置とに、LED等の発光手段を設けることとしてもよい。例えば、遊技盤30の前面に対し、複数の発光手段を可変入賞装置32に上縁部に沿って並べるようにして(ユニット化されたものを)埋設し、各大当たり状態に際して、対応する流出口422の位置を示すように、対応する発光手段を発光させてもよい。加えて、例えば、回転電動役物404の前壁部425のうち流入口421に対応する部位だけを透視性を有する材料で構成する、或いは、その他の部位とは差異が出るように、透明でも色が異なるようにする、ラメを細かくしたような反射材を混ぜる、プリズム加工する等してもよい。
また、上記実施形態において、回転電動役物404の流入口421の位置を示す目印429の態様等は特に限定されるものではなく、機種毎に適宜設定可能なものである。さらに、目印429の形成範囲と流入口421の開口範囲とが完全に一致していなくてもよく、開口範囲の一部に対応して設けてもよいし、開口範囲よりも若干広い範囲に設けることとしてもよい。
(e)上記実施形態では、回転電動役物404が可変入賞装置32(可変入賞装置32のシャッタの代わり)として具体化されているが、特にかかる構成に限定されるものではなく、例えば、第2可変入賞装置32の羽根部材37の代わりとして適用してもよいし、遊技領域においてさらに特定領域があり、かつ、当該特定領域に入球した遊技球が特定入賞口に入球することで大当たり状態が発生するようなパチンコ機(所謂、羽根もの)において、特定領域への遊技球の入口を開閉する羽根部材の代わりとして適用してもよい。
また、上記実施形態では、可変入賞装置32が1つ設けられるのみであったが、複数設けることとしてもよい。その場合、その他の可変入賞装置として、下縁部を中心軸として回動することで開閉される板状のシャッタを備えた可変入賞装置を設けることとしてもよいし、回転電動役物404を備える可変入賞装置32を複数設けることとしてもよい。
(f)上記実施形態において、可変入賞装置32に対し、大入賞口402と流出口422との間において、大入賞口402を開閉する内部開閉手段としての内部シャッタを設けることとしてもよい。当該内部シャッタは、例えば、大当たり状態の各ラウンドの終了条件が成立した場合、すなわち、大入賞口402への8個の入球した場合、又は、開状態とされてから30秒が経過した場合に速やかに閉鎖されることとなる。また、回転電動役物404は、閉位置とされた場合、又は、開位置から閉位置へと変位する途中で、流入口421が下方に開口する姿勢となり、内部シャッタが閉鎖された後も回転電動役物404の内部に存在する遊技球が、流入口421から回転電動役物404の外部に排出されることとする。
つまり、ラウンドの終了契機が到来した場合には、当然、回転電動役物404を閉位置に戻すのであるが、可変入賞装置32を閉状態とすると判断されてから、回転電動役物404を閉位置へと変位させるまでの間に流入口421に進入した遊技球、或いは、丁度そのタイミングで、流入口421から回転電動役物404の内部に進入していたものの流出口422には未だ至っていなかった遊技球については、ラウンドの終了条件として規定されていた大入賞口402への入賞上限数(規定数)である8個を超えて大入賞口402に入球することとなる。このように、規定数を超える遊技球が入球することで、予定よりも多く遊技球が払出されてしまうことから、(次回作などで)その分の穴埋めを別のところに求める(例えば、遊技球が当否抽選や入球サポート抽選を受けられる機会を低減させるような設定がなされてしまう等)ことで遊技性が低下したり、遊技ホール側が一方的に損をしてしまうようなパチンコ機となってしまった場合には、遊技ホールから撤去されたりしてしまうことが懸念される。
この点、本態様例のように、大入賞口402の直前に内部シャッタを設けることによって、可変入賞装置32への入球数の上限を極力順守させることができる。従って、回転電動役物404を設けることによるデメリットを払拭することで、回転電動役物404を設けることによるメリットを生かした遊技性を十分に発揮させることができ、回転電動役物404を具備する可変入賞装置32が設けられたパチンコ機10の本来の面白さをより確実に堪能させることができる。
尚、カウントスイッチ223を回転電動役物404内に設けることで流入口421に入球した遊技球をより早いタイミングで検知可能に構成することも考えられるが、その場合、回転電動役物404内においてカウントスイッチ223を設置する部位の遊技球通路を狭める必要が生じて遊技球の通行が滞ってしまったり、1つの遊技球を2度検知してしまう(回転電動役物404内でバウンドしたり、回転電動役物404に一旦進入したが流入口421から出て行ってしまったりする場合等)リスクが高まってしまったり、カウントスイッチ223の配線や回転電動役物404の回転制御等が煩雑になったりするおそれがあるため、カウントスイッチ223は、回転電動役物404の回転の影響が及ばないように(矛盾や無駄がないように遊技球の挙動が落ち着いてから検知できるように)、大入賞口402に入球した遊技球を検知可能な位置に設けられることが望ましい。
(g)上記実施形態では、可変入賞装置32の回転電動役物404が第1開位置とされた場合、及び、第2開位置とされた場合のどちらにおいても、可変入賞装置32に入球した遊技球は同じカウントスイッチ223に検知されるように構成されているが、個別に遊技球の排出ルートを設けて、それぞれにカウントスイッチを設けるように構成してもよい。また、回転電動役物404が第1開位置とされた可変入賞装置32に遊技球が入球した場合と、回転電動役物404が第2開位置とされた可変入賞装置32に遊技球が入球した場合とで、付与される遊技球の数が異なるように構成してもよい。さらに、回転電動役物404が第1開位置とされる大当たり状態のノーマルラウンドと、回転電動役物404が第2開位置とされる大当たり状態のノーマルラウンドとで、ラウンド終了条件を異ならせること(例えば、ラウンド中の遊技球の入賞上限が8個と9個)としてもよい。
(h)上記第2実施形態において、前壁部425のうち流入口421及び流出口422間の領域以外の部位や第2連結壁452を省略してもよい。この場合にも、後壁部424によって、当該遊技球の大入賞口402への入球を規制するとともに、大入賞口402(後壁部424)の前方領域を利用して、遊技球を回転電動役物404の上流側から下流側へと通過させてしまうことができる。
(i)上記実施形態において、回転電動役物404の流入口421に入球してからの遊技球の移動ルートが複数存在するように構成してもよい。例えば、第1開位置及び第2開位置にある回転電動役物404の流入口421に遊技球が入球しても100%では流出口422には至らないように連結壁426を延在させ、回転電動役物404が第2開位置にある場合には、回転電動役物404が第1開位置にある場合に比べ、流入口421に入球した遊技球が流出口422に到達する確率が高くなる(外部に排出される孔に入球し難くなる等)ように構成してもよい。
(j)上記第1実施形態では、回転電動役物404が閉位置から第1又は第2開位置へと変位する場合に最短距離を通らない場合があるように構成されているが、回転電動役物404の動作態様や、これを利用した演出内容については特に限定されるものではなく、機種毎や演出毎に適宜設定することができる。例えば、一旦、時計回りに回動すると見せかけて(少し時計回りに動く)、反時計回りに回動するように構成してもよいし、突然高速回転を始めて所定回数回転した後に、第2開位置で停止するように構成してもよい。また、回転電動役物404を利用した演出を行わない構成とする場合には、必ず最短距離を通るように構成してもよい。但し、少なくとも閉位置にある回転電動役物404が時計回りに動き出したら第1開位置となることが決定されてしまうといった事態を避けることができるように、閉位置にある回転電動役物404が時計回りに回転した場合、第1開位置と通り過ぎて第2開位置となる場合があるように構成することが望ましい。この場合、回転電動役物404の動作による演出で興趣の向上を図ることができる。
また、第1又は第2開位置にある回転電動役物404が閉位置に戻る場合には、遊技のスムースな進行及び省電力化等を図るべく、最短距離を通るように構成することが望ましい。尚、当然、第1実施形態等で記載された回転電動役物404の動作(回転体チャンス演出)を、第2実施形態の回転電動役物404に適用することも可能である。
(k)上記実施形態において大当たり確率や、大当たり種別の数や、各種大当たり種別の可変入賞装置32の開閉パターン等は特に限定されるものではなく、機種ごとに適宜設定可能である。さらに、上記実施形態では、当否抽選での当選確率が変動する構成となっているが、当選確率が変動せず(一定であり)、大当たり状態終了後に付与される高入球状態の期間(変動回数)が複数パターン用意されているパチンコ機に上記構成を適用してもよい。
また、上記実施形態において、始動入賞装置33a、33b、可変入賞装置32、スルーゲート34等の数や配置等は特に限定されるものではなく、機種毎に設定可能である。
例えば、第2始動入賞装置33bの下流側、かつ、可変入賞装置33の上流側(右方)おいて、遊技領域を移動する遊技球が入球可能なアシスト入賞口と、アシスト入賞口に入球した遊技球をカウントするアシスト入賞検知スイッチとを設け、アシスト入賞検知スイッチによって遊技球が検知されると、上皿19若しくは下皿15に遊技球が3個払い出されるように構成してもよい。さらに、上記実施形態では、第1始動入賞装置33aに遊技球が入球した場合に行われる当否抽選と、第2始動入賞装置33bに遊技球が入球した場合に行われる当否抽選とで別々のテーブルが参照され、大当たり種別の振分けが変化するように構成されているが、同じにしてもよい。
(l)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。例えば、遊技領域を移動する遊技球が入球可能な特定領域と、特定領域への入球を許容する開状態と、特定領域への入球を禁止する閉状態とに変化可能な可動手段(羽部材)とを具備する可変入球手段と、特定領域に入球した遊技球が入球可能な特定入球手段及び非特定入球手段と、特定入球手段に入球した遊技球を検知する特定入球検知手段(条件成立検出手段)と、特定領域の外部に設けられ、遊技領域を移動する遊技球が入球可能な特別始動手段と、特別始動手段に入球した遊技球を検知する特別始動検知手段と、可変入球手段の開閉制御を行う主制御手段とを備え、特定領域に遊技球が入球した場合には、当該遊技球が特定入球手段及び非特定入球手段のどちらに入球する場合であっても遊技者に所定数の遊技価値(遊技球)が付与され、主制御手段は、特別始動検知手段の検知に基づいて、可変入球手段を第1時間だけ1回又は複数回開状態とさせる小当たり状態、又は、可変入球手段を前記第1時間よりも長い第2時間開状態とさせる、又は、開状態とされた可変入賞手段に規定個数の遊技球が入球するまでを1ラウンドとして、これを規定回数繰り返す大当たり状態を発生させるか否かの当否抽選を行い、当否抽選にて小当たりに当選した場合には小当たり状態を発生させ、当否抽選にて大当たりに当選した場合、及び、特定入球検知手段の検知があった場合には大当たり状態を発生させるといった遊技機に適用してもよい。加えて、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機などとして実施してもよい。
[付記]
上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
A.遊技機の一種としてパチンコ機がある。パチンコ機では、発射装置によって打ち出された遊技球が遊技盤に設けられた特別始動手段に入球すると、当たり状態を発生させるか否かの抽選が行われるとともに、可変表示装置にて抽選の結果を教示するための変動表示が行われるようになっている(例えば、特開2003−154110号公報参照)。
また、一般に、パチンコ機には、遊技球が入球可能な特定入賞口と、遊技球の特定入賞口への入球を可能又は容易とする開位置と、遊技球の特定入賞口への入球を不可能又は入球困難とする閉位置との間で変位するシャッタとを備え、特定入賞口に遊技球が入球することで所定数の賞球が付与されることとなる可変入球装置が設けられている。
しかしながら、可変入球装置は、シャッタが開閉する動作だけしかできないため、開放回数や開放時間を変化させる以外の新たな遊技性を付与することは困難であった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、可変入球装置によって遊技性の多様化を図ることのできる遊技機を提供することにある。
手段A−1.遊技球を発射させる発射手段と、
遊技盤の前面側に設けられ、前記発射手段により発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域を移動する遊技球が入球可能又は入球容易な開状態と、入球不可能又は入球困難な閉状態とに状態変化する可変入球装置とを備え、
前記可変入球装置は、
前記遊技領域を移動する遊技球を前記遊技盤の裏面側に排出する特定入賞口と、
前記遊技領域において変位可能に設けられ、前記特定入賞口への遊技球の入球を不可能にする閉位置と、前記特定入賞口への遊技球の入球を可能にする開位置との間を変位可能な可変電動役物とを備え、
前記可変電動役物は、
少なくとも前記開位置にある場合に前記特定入賞口と連通する流出口と、
前記遊技領域に位置し、少なくとも前記開位置にある場合に前記遊技領域を移動する遊技球が入球可能な流入口と、
少なくとも前記開位置にある場合に前記流入口に入球した遊技球を前記流出口に案内する案内路とを有し、
前記可変電動役物は、前記閉位置と前記開位置との間を変位するだけでなく、前記可変電動役物が前記開位置にある範囲内において、第1開位置と、前記第1開位置よりも前記特定入賞口へ遊技球が入球し易くなる第2開位置との間を変位可能に構成されていることを特徴とする遊技機。
手段A−1によれば、1つの可変入球装置において、特定入賞口への遊技球の入球が可能な開状態と、不可能な閉状態との間を状態変化するだけでなく、開状態であっても、特定入賞口への遊技球の入球し易さを切り替えることができるようになっている。これにより、1つの可変入球装置を設けるだけでも、遊技状態のバリエーション(可変入球装置に遊技球が入球不可能な状態、可変入球装置に遊技球が入球可能な状態、及び、可変入球装置に遊技球がより効率的に入球可能な状態)を増やしたり、遊技性に斬新な変化を加えたりすることができる。結果として、興味深い可変入球装置を設けることによって、興趣の向上を図ることができる。
また、特定入賞口前方の遊技領域を移動する遊技球を特定入賞口へ案内するとともに、特定入賞口を開閉させる機能を有する可変電動役物は、自身が変位することで可変入球装置を開状態と閉状態とに変化させる構成のため、例えば、同機能を有するものが左右にスライドする場合に比べて設置スペースの縮小化を図ることができ、また、例えば、同機能を有する者が前後にスライドする場合に比べて、遊技球の入球し易さ等が変化していることを認識し易くすることができる。
尚、「流入口へ遊技球が入球し易くなる」条件としては、流入口へ至る遊技球の阻害要因(流入口に遊技球が入球できる面積が広い、所定位置にある可変電動役物に対して、対応するルートを移動する遊技球が到達し易い)が少ない、流入口へ遊技球を案内する補助要因がある、流入口の向きが遊技球を受けやすい向き(上向きに近いほどよい)等で決まることとなる。例えば、流入口がほとんど所定の役物で塞がれてしまう位置よりも、直上流側に複数の遊技釘が配置され、流入口に向かう遊技球は遊技釘に当たって分散させられるものの、流入口へ向かう遊技球に振り分けられるものも存在する位置の方が条件が良く、遊技釘等の遊技部材が一切存在しないような位置の方がより条件が良い。
手段A−2.前記可変電動役物は、中心軸を同じ位置で維持しつつ回転することで、前記閉位置と、前記第1開位置と、前記第2開位置との間を変位することを特徴とする手段A−1に記載の遊技機。
手段A−2によれば、可変電動役物はその場で回転することから、例えば、可変電動役物が上下又は左右にスライドすることによって空いたスペースから特定入賞口が露出してしまう、或いは、露出しないように可変電動役物と連動する閉塞壁を設けることで可変電動役物の大型化等を招いてしまうといった事態を防止することができる。従って、可変電動役物が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても、流出口と特定入賞口とを連通させるとともに、流入口及び流出口を経由していない遊技球の特定入賞口への入球を防止するといった構成を比較的コンパクトかつ簡潔に実現させることができる。また、可変電動役物が前後にスライドする場合に比べて、遊技球の入球し易さ等が変化していることを認識し易くすることができる。
手段A−3.前記遊技領域は、第1役物が設置された第1ルートと、第2役物が設置された第2ルートとを備え、
前記第1ルートを移動する遊技球は、前記第2役物への到達は不可能又は困難に構成され、
前記第2ルートを移動する遊技球は、前記第1役物への到達は不可能又は困難に構成され、
前記発射手段による遊技球を打ち出す強さを調節可能な発射強さ調節手段を備え、
前記発射強さ調節手段は、遊技者が(片手で)操作可能に構成され、遊技者の操作に伴って変位する操作部を備え、
前記操作部を特定方向に沿って変位させることで、前記発射手段による遊技球を打ち出す強さが調節可能に構成されるとともに、打ち出す強さを調節して、遊技球を前記第1ルートと、前記第2ルートとに打ち分け可能に構成され、
前記第1開位置にある前記可変電動役物には、前記第1ルートを経由した遊技球が入球可能(、かつ、前記第2ルートを経由した遊技球は入球不可能又は前記第1ルートを経由した遊技球に比べて入球困難)に構成され、
前記第2開位置にある前記可変電動役物には、前記第2ルートを経由した遊技球が入球可能(、かつ、前記第1ルートを経由した遊技球は入球不可能又は前記第2ルートを経由した遊技球に比べて入球困難)に構成されていることを特徴とする手段A−1又はA−2に記載の遊技機。
手段A−3によれば、可変電動役物を第1開位置とすれば、第1ルートを経由した遊技球を可変入球装置に入球させることができ、第2開位置とすれば、第2ルートを経由した遊技球を可変入球装置に入球させることができる。また、上記手段1に記載されているように、第1開位置にある可変電動役物と、第2開位置にある可変電動役物とで、流入口への遊技球の入球し易さ等に差を設けることもできる。従って、第1ルート及び第2ルートに遊技球を打ち分けて遊技性の多様化を図るような構成においても、1つの可変入球装置によって、それに十分に対応することができ、また、更なる遊技性の多様化を図ることも可能である。
手段A−4.前記流入口は、
前記可変電動役物が前記閉位置とされた場合に位置する閉時流入口対応位置と、
前記可変電動役物が前記第1開位置とされた場合に位置する第1開時流入口対応位置と、
前記可変電動役物が前記第2開位置とされた場合に位置する第2開時流入口対応位置との間を変位可能に構成され、
(前記可変電動役物の側方を移動する)遊技球を前記第2開時流入口対応位置に案内する入球案内手段を備え、
(前記可変電動役物が前記第2開位置にある場合、前記入球案内手段に案内された遊技球は、必ず前記流入口に入球する構成であって、)
前記可変電動役物は、前記可変電動役物が前記第1開位置にある状態において、遊技球が前記入球案内手段に案内された場合に、当該遊技球の前記特定入賞口への入球を規制するとともに、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるようする通り抜け通路を備えていることを特徴とする手段A−1乃至A−3のいずれかに記載の遊技機。
手段A−4によれば、遊技球を第2開時流入口対応位置に案内する入球案内手段が設けられることによって、可変電動役物が第2開位置にある場合に遊技球を効率的に流入口に入球させることができる。しかしながら、可変電動役物が第1開位置にある場合に、遊技球が入球案内手段によって案内されると、遊技球が流入口に入球できないばかりか、遊技球が第1開位置にある可変電動役物に堰き止められて入球案内手段上で滞留してしまうことが懸念される。この点、手段A−4によれば、可変電動役物は、可変電動役物が第1開位置にある状態において、入球案内手段に案内された遊技球を、特定入賞口への入球は規制するが、特定入賞口の前方領域を通過させて可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けさせてしまう通り抜け通路を備えることによって、入球案内手段上での遊技球の滞留を防止することができる。
手段A−5.前記通り抜け通路は、
前記可変電動役物が前記第2開位置にある状態において、遊技球が前記第1開時流入口対応位置に到達した場合に、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるように構成され、
前記可変電動役物が前記閉位置にある状態において、遊技球が前記第2開時流入口対応位置に到達した場合に、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるように構成されるとともに、遊技球が前記第1開時流入口対応位置に到達した場合に、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるように構成されていることを特徴とする手段A−4に記載の遊技機。
手段A−5によれば、可変電動役物が第1開位置や閉位置にある場合においても、遊技球が可変電動役物の周りで滞留してしまうといった事態を回避することができる。
手段A−6.前記可変電動役物は、正面視略円形状をなしていることを特徴とする手段A−1乃至A−5のいずれかに記載の遊技機。
手段A−6によれば、流入口への入球を制限したり案内したりする部材を可変電動役物により近接させて設けることができる。また、流入口から外部への流出を防止したり、可変電動役物を支持したりする補助部材を比較的簡単かつ好適に設けることができる。さらに、補助部材を含む可変入球装置全体を設置するためのスペースの縮小化を図ることができる。また、特定入賞口を効率的に極力広く形成することができる。
手段A−7.前記可変電動役物は、
前記特定入賞口に連通する前記流出口が形成された後壁部と、
前記後壁部の前方に対向配置される前壁部と、
前記前壁部と後壁部との間を連結する連結壁とを備え、
前記連結壁のうち前記流出口を囲っている面である内周面は、後方に向けて前記可変電動役物の外周側に傾斜し、前記流入口から入球した遊技球を受けて後方の前記流出口へと案内する前記案内路の案内面として構成されていることを特徴とする手段A−1乃至A−6のいずれかに記載の遊技機。
手段A−7によれば、可変電動役物が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても、流入口から可変電動役物の内部に入球した遊技球をより確実に後方の流出口、ひいては、特定入賞口へと案内することができる。従って、流入口に入球した遊技球が同流入口からこぼれて出て行ってしまうといった事態を抑制することができる。また、後壁部があることによって、可変電動役物が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても可変電動役物の流出口と連通するように特定入賞口を極力広範囲に形成するとともに、上記手段A−4や手段A−5のような通り抜け通路を形成することが可能となる。
手段A−8.前記可変入球装置は、遊技盤に取付けられる本体部を備え、
前記可変電動役物は、
前記特定入賞口に連通する前記流出口が形成された後壁部と、
前記後壁部の前方に対向配置される前壁部と、
前記前壁部と後壁部との間を連結する連結壁とを備えるとともに、
前記本体部に形成された開口部に対応して相対変位可能に装着され、
少なくとも前記可変電動役物が前記第1開位置又は前記第2開位置にある状態において、前記可変電動役物の前記後壁部のうち前記流入口を画定する部位の前面は、前記本体部の前記開口周縁部の前面と面一、又は、前記開口周縁部の前面よりも後方に位置していることを特徴とする手段A−1乃至A−7のいずれかに記載の遊技機。
手段A−8によれば、可変電動役物が第1開位置又は第2開位置にある状態において、後壁部のうち流入口を画定する部位等が本体部の開口周縁部の前面よりも前方に突出しなくなることから、流入口(後壁部の前方領域)に進入しようとした遊技球が後壁部に衝突して、可変入球装置から離間する方向に弾き飛ばされてしまうといった事態を抑制することができる。
手段A−9.前記可変電動役物は、
前記特定入賞口に連通する前記流出口が形成された後壁部と、
前記後壁部の前方に対向配置される前壁部と、
前記前壁部と後壁部との間を連結する連結壁とを備え、
前記前壁部には、(外周縁に沿って)前記流入口の開口範囲に対応する部位に目印が形成されていることを特徴とする手段A−1乃至A−8のいずれかに記載の遊技機。
手段A−9によれば、遊技機の前方からでも、可変電動役物の流入口がどこに位置しているのかをより把握し易くすることができる。特に、可変電動役物を正面から見た場合に前壁部が流入口の開口範囲よりも広い範囲に存在するとともに、流入口に入球しなかった遊技球についても前壁部の後方位置を通過し得る構成の場合には、遊技球が流入口に入球したのか否かを比較的勘違いし易くなってしまうことが懸念されるため、本手段A−9を採用することで、遊技球を入球させるべき流入口の位置を確実に認識させるといった作用効果が一層顕著に奏されることとなる。
手段A−10.前記特定入賞口に入球した遊技球を検知する特定入球検知手段と、
前記特定入賞口と前記流出口との間において、前記特定入賞口を開閉する内部開閉手段とを備え、
前記開状態とされた前記可変入球装置は、前記閉状態とされる契機が到来した場合(例えば、前記特定入球検知手段によって規定数の遊技球が検知された場合)に、前記可変電動役物を前記閉位置へと変位させるとともに、前記内部開閉手段を閉鎖させることで前記閉状態とされることを特徴とする手段A−1乃至A−9のいずれかに記載の遊技機。
可変入球装置が開状態にあり、可変電動役物が開位置にある場合、流入口を介して可変電動役物内に進入した遊技球は、基本的に、特定入賞口に入球することとなる。しかしながら、(例えば、可変入球装置が開状態とされてから規定数の遊技球の入球があり、)可変入球装置を閉状態とすると判断されてから、可変電動役物を閉位置へと変位させるまでの間に流入口に進入した遊技球、或いは、丁度そのタイミングで、流入口から可変電動役物の内部に進入していたものの流出口には未だ至っていなかった遊技球については、前記規定数を超えて特定入賞口に入球することとなる。このように、規定数を超える遊技球が入球することで、予定よりも多く遊技球が払出されてしまうことから、(次回作などで)その分の穴埋めを別のところに求める(遊技球が所定の抽選を受けられる機会を低減させるような設定がなされてしまう等)ことで遊技性が低下したり、遊技ホール側が一方的に損をしてしまうような遊技機となってしまった場合には、遊技ホールから撤去されたりしてしまうことが懸念される。
この点、本手段A−10のように、特定入賞口の直前に内部開閉手段を設けることによって、可変入球装置への入球数の上限を極力順守させることができる。従って、可変電動役物を設けることによるデメリットを払拭することで、可変電動役物を設けることによるメリットを生かした遊技性を十分に発揮させることができ、可変電動役物を具備する可変入球装置が設けられた遊技機の本来の面白さをより確実に堪能させることができる。
尚、特定入球検知手段を可変電動役物内に設けることで流入口に入球した遊技球をより早いタイミングで検知可能に構成することも考えられるが、その場合、可変電動役物内において特定入球検知手段を設置する部位の遊技球通路を狭める必要が生じて遊技球の通行が滞ってしまったり、1つの遊技球を2度検知してしまう(可変電動役物内でバウンドしたり、可変電動役物に一旦進入したが流入口から出て行ってしまったりする場合等)リスクが高まってしまったり、特定入球手段の配線や可変電動役物の駆動制御等が煩雑になったりするおそれがあるため、特定入球検知手段は、可変電動役物の回転の影響が及ばないように(矛盾や無駄がないように遊技球の挙動が落ち着いてから検知できるように)、特定入賞口に入球した遊技球を検知可能な位置に設けられることが望ましい。
手段A−11.前記可変電動役物は、前記閉位置とされた場合、又は、前記開位置から前記閉位置へと変位する途中で、前記流入口が下方に開口する姿勢となり、前記内部開閉手段が閉鎖された後も前記可変電動役物の内部に存在する遊技球が、前記流入口から前記可変電動役物の外部に排出されることを特徴とする手段A−10に記載の遊技機。
手段A−11によれば、開状態とされた可変入球装置の特定入賞口への入球数が規定数を超えた後に流入口から可変電動役物内に進入した、或いは、規定数を超えたと判断されたときに可変電動役物内(流入口と流出口との間の空間)に位置していた遊技球であって、内部開閉手段によって特定入賞口への入球が規制された遊技球を、可変電動役物の外部に排出することができる。従って、上記手段A−10の作用効果が一層確実に奏される。
手段A−12.所定の契機に基づいて、前記可変入球装置が開状態とされる特別遊技状態を発生させるか否かの当否抽選を行うとともに、当該当否抽選にて前記特別遊技状態に当選した場合に前記可変入賞装置を開状態とさせる主制御装置と、
前記当否抽選の結果を教示する変動表示を行う可変表示装置とを備え、
前記特別遊技状態には複数の種別が存在し、
前記特別遊技状態の発生が教示された場合に、前記可変電動役物の動作態様によって、前記特別遊技状態の種別の教示又は示唆を行う演出を導出可能に構成されていることを特徴とする手段A−1乃至A−11のいずれかに記載の遊技機。
手段A−12によれば、可変表示装置において特別遊技状態が教示された後、特別遊技状態の実質的な開始前、すなわち、可変電動役物が第1開位置又は第2開位置とされる前において、可変電動役物の動作、つまりは、最終的な停止位置(第1開位置又は第2開位置)によって特別遊技状態の種別が教示・示唆される演出が行われる場合があるように構成されている。このように、可変入球装置の動作態様を特別遊技状態の種別の示唆に関する演出に利用するという今までにない演出が行われることによって、可変入球装置そのものへの興味も抱かせつつ、興趣の向上を図ることができる。さらに、当該演出で可変電動役物を視認させつつ、そのまま特別遊技状態に移行するため、特別遊技状態において果たしてどこに遊技球を打ち出してよいものかを明確に把握させることができる。
手段A−13.前記可変電動役物は、
前記第1開位置又は前記第2開位置から前記閉位置へと変位する場合には、最短距離を通って変位し、
前記閉位置から前記第1開位置又は前記第2開位置へと変位する場合には、最短距離以外が選択される場合があることを特徴とする手段A−1乃至A−12のいずれかに記載の遊技機。
手段A−13によれば、第1又は第2開位置から閉位置へと変位する可変電動役物が最短距離を通ることで、比較的素早く所期の位置へと変位させることができ、スムースな遊技の進行を計ることができる。また、省電力化等も図ることができる。
その一方で、可変電動役物が閉位置から第1又は第2開位置へと変位する場合には、最短距離を通らない場合もある。すなわち、可変電動役物の動作によって、可変電動役物が第1又は第2開位置のどちらに変位するのかといった演出を行うことができる。このため、可変電動役物の動作態様を演出に利用するという今までにない演出が行われることによって、可変電動役物そのものへの興味も抱かせつつ、興趣の向上を図ることができる。特に、可変電動役物の動き出しで残念な方が確定してしまうといった事態を回避することができ、遊技性の向上等を図ることができる。
さらに、可変電動役物の動作態様による演出を行った場合には、可変電動役物を視認させつつ、そのまま開位置とされた可変電動役物を狙って遊技球を打ち出す状態に移行するため、かかる状態において果たして遊技球をどこに打ち出してよいものかを明確に把握させることができる。
B.遊技機の一種としてパチンコ機がある。パチンコ機では、発射装置によって打ち出された遊技球が遊技盤に設けられた特別始動手段に入球すると、当たり状態を発生させるか否かの抽選が行われるとともに、可変表示装置にて抽選の結果を教示するための変動表示が行われるようになっている(例えば、特開2003−154110号公報参照)。
また、一般に、パチンコ機には、遊技球が入球可能な特定入賞口と、遊技球の特定入賞口への入球を可能又は容易とする開位置と、遊技球の特定入賞口への入球を不可能又は入球困難とする閉位置との間で変位するシャッタとを備え、特定入賞口に遊技球が入球することで所定数の賞球が付与されることとなる可変入球装置が設けられている。
しかしながら、可変入球装置は、シャッタが開閉する動作だけしかできないため、開放回数や開放時間を変化させる以外の新たな遊技性を付与することは困難であった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、可変入球装置によって遊技性の多様化を図ることのできる遊技機を提供することにある。
手段B−1.遊技球を発射させる発射手段と、
遊技盤の前面側に設けられ、前記発射手段により発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域を移動する遊技球が入球可能又は入球容易な開状態と、入球不可能又は入球困難な閉状態とに状態変化する可変入球装置とを備え、
前記可変入球装置は、
前記遊技領域を移動する遊技球を前記遊技盤の裏面側に排出する特定入賞口と、
前記遊技領域において変位可能に設けられ、前記特定入賞口への遊技球の入球を不可能にする閉位置と、前記特定入賞口への遊技球の入球を可能にする開位置との間を変位可能な可変電動役物とを備え、
前記可変電動役物は、
少なくとも前記開位置にある場合に前記特定入賞口と連通する流出口と、
前記遊技領域に位置し、少なくとも前記開位置にある場合に前記遊技領域を移動する遊技球が入球可能な流入口と、
少なくとも前記開位置にある場合に前記流入口に入球した遊技球を前記流出口に案内する案内路とを有し、
前記可変電動役物は、前記閉位置と前記開位置との間を変位するだけでなく、前記可変電動役物が前記開位置にある範囲内において、第1開位置と、(前記第1開位置よりも前記特定入賞口へ遊技球が入球し易くなる)第2開位置との間を変位可能に構成され、
前記流入口は、
前記可変電動役物が前記閉位置とされた場合に位置する閉時流入口対応位置と、
前記可変電動役物が前記第1開位置とされた場合に位置する第1開時流入口対応位置と、
前記可変電動役物が前記第2開位置とされた場合に位置する第2開時流入口対応位置との間を変位可能に構成され、
前記可変電動役物は、
前記第1開位置、前記第2開位置、及び、前記閉位置のうち少なくともいずれか1つの位置にある状態において、前記第1開時流入口対応位置、及び、前記第2開時流入口対応位置のうち前記流入口が合致していない部位に遊技球が到達した場合に、当該遊技球の前記特定入賞口への入球を規制するとともに、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるようする通り抜け通路を備えていることを特徴とする遊技機。
手段B−1によれば、可変入球装置を開閉する可変電動役物は、第1開位置、第2開位置、及び、閉位置の3ポジションを取るように構成されている。このため、流入口の位置を移動させることで可変入球装置に入球させるために遊技球を遊技領域へ打ち出す位置を異ならせたり、可変入球装置への遊技球の入球し易さを変化させたりする等のことを1つの可変電動役物だけで実現することが可能となる。従って、可変入球装置を複数設ける場合に比べて、全ての可変入球装置を設置するために要するスペースのコンパクト化を図ることができるとともに、多機能の可変電動役物が設けられることでの新たな遊技性を付加することができる。
また、可変電動役物が変位することで、流入口の位置も変化する。このため、可変電動役物が変位することで、変位する前は遊技球が流入口に入球できていた箇所が、その箇所に可変電動役物の別の部位が出てくることで不通になってしまうといったことが懸念される。
この点、本手段B−1では、可変電動役物において、可変電動役物が変位する前は遊技球が流入口に入球できていた箇所に到達した遊技球を一旦内部に受け入れ、その後、外部に排出する通り抜け通路が設けられている。つまり、通り抜け通路とは、特定入賞口を塞ぎつつ、その前方領域を利用して、遊技球を可変電動役物の上流側から下流側へと通過させてしまうための構成である。従って、可変電動役物が変位する前は遊技球が流入口に入球できていた箇所に到達した遊技球の移動が滞ってしまう(滞留してしまう)といった事態を回避することができる。
手段B−2.(前記可変電動役物の側方を移動する)遊技球を前記第2開時流入口対応位置に案内する入球案内手段を備え、
(前記可変電動役物が前記第2開位置にある場合、前記入球案内手段に案内された遊技球は、必ず前記流入口に入球する構成であって、)
前記通り抜け通路は、前記可変電動役物が前記第1開位置又は前記閉位置にある状態において、遊技球が前記入球案内手段に案内された場合に、当該遊技球の前記特定入賞口への入球を規制するとともに、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるように構成されていることを特徴とする手段B−1に記載の遊技機。
手段B−2によれば、遊技球を第2開時流入口対応位置に案内する入球案内手段が設けられることによって、可変電動役物が第2開位置にある場合に遊技球を効率的に流入口に入球させることができる。しかしながら、可変電動役物が第1開位置にある場合に、遊技球が入球案内手段によって案内されると、遊技球が流入口に入球できないばかりか、遊技球が第1開位置にある可変電動役物に堰き止められて入球案内手段上で滞留してしまうことが懸念される。この点、手段B−2によれば、可変電動役物は、可変電動役物が第1開位置にある状態において、入球案内手段に案内された遊技球を、特定入賞口への入球は規制するが、特定入賞口の前方領域を通過させて可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けさせてしまう通り抜け通路を備えることによって、入球案内手段上での遊技球の滞留を防止することができる。
手段B−3.前記通り抜け通路は、
前記可変電動役物が前記第2開位置にある状態において、遊技球が前記第1開時流入口対応位置に到達した場合に、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるように構成され、
前記可変電動役物が前記閉位置にある状態において、遊技球が前記第2開時流入口対応位置に到達した場合に、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるように構成されるとともに、遊技球が前記第1開時流入口対応位置に到達した場合に、当該遊技球が前記特定入賞口の前方領域を通過して前記可変電動役物の上流側から下流側へと通り抜けられるように構成されていることを特徴とする手段B−2に記載の遊技機。
手段B−3によれば、可変電動役物が第1開位置や閉位置にある場合においても、遊技球が可変電動役物の周りで滞留してしまうといった事態を回避することができる。
手段B−4.前記可変入球装置は、遊技盤に取付けられる本体部を備え、
前記可変電動役物は、
前記特定入賞口に連通する前記流出口が形成された後壁部と、
前記後壁部の前方に対向配置される前壁部と、
前記前壁部と後壁部との間を連結する連結壁とを備えるとともに、
前記本体部に形成された開口部に対応して相対変位可能に装着され、
少なくとも前記可変電動役物が前記第1開位置又は前記第2開位置にある状態において、前記可変電動役物の前記後壁部のうち前記流入口を画定する部位の前面は、前記本体部の前記開口周縁部の前面と面一、又は、前記開口周縁部の前面よりも後方に位置していることを特徴とする手段B−1乃至B−3のいずれかに記載の遊技機。
手段B−4によれば、可変電動役物が第1開位置又は第2開位置にある状態において、後壁部のうち流入口を画定する部位や通り抜け通路の開口部等が本体部の開口周縁部の前面よりも前方に突出しなくなることから、流入口や通り抜け通路に進入しようとした遊技球が後壁部に衝突して、可変入球装置から離間する方向に弾き飛ばされてしまうといった事態を抑制することができる。
また、後壁部があることによって、可変電動役物が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても可変電動役物の流出口と連通するように特定入賞口を極力広範囲に形成するとともに、上記のような通り抜け通路を形成することが可能となる。
手段B−5.前記可変電動役物は、中心軸を同じ位置で維持しつつ回転することで、前記閉位置と、前記第1開位置と、前記第2開位置との間を変位することを特徴とする手段B−1乃至B−4のいずれかに記載の遊技機。
手段B−5によれば、可変電動役物はその場で回転することから、例えば、可変電動役物が上下又は左右にスライドすることによって空いたスペースから特定入賞口が露出してしまう、或いは、露出しないように可変電動役物と連動する閉塞壁を設けることで可変電動役物の大型化等を招いてしまうといった事態を防止することができる。従って、可変電動役物が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても、流出口と特定入賞口とを連通させるとともに、流入口及び流出口を経由していない遊技球の特定入賞口への入球を防止するといった構成を比較的コンパクトかつ簡潔に実現させることができる。また、可変電動役物が前後にスライドする場合に比べて、遊技球の入球し易さ等が変化していることを認識し易くすることができる。
手段B−6.前記遊技領域は、第1役物が設置された第1ルートと、第2役物が設置された第2ルートとを備え、
前記第1ルートを移動する遊技球は、前記第2役物への到達は不可能又は困難に構成され、
前記第2ルートを移動する遊技球は、前記第1役物への到達は不可能又は困難に構成され、
前記発射手段による遊技球を打ち出す強さを調節可能な発射強さ調節手段を備え、
前記発射強さ調節手段は、遊技者が(片手で)操作可能に構成され、遊技者の操作に伴って変位する操作部を備え、
前記操作部を特定方向に沿って変位させることで、前記発射手段による遊技球を打ち出す強さが調節可能に構成されるとともに、打ち出す強さを調節して、遊技球を前記第1ルートと、前記第2ルートとに打ち分け可能に構成され、
前記第1開位置にある前記可変電動役物には、前記第1ルートを経由した遊技球が入球可能(、かつ、前記第2ルートを経由した遊技球は入球不可能又は前記第1ルートを経由した遊技球に比べて入球困難)に構成され、
前記第2開位置にある前記可変電動役物には、前記第2ルートを経由した遊技球が入球可能(、かつ、前記第1ルートを経由した遊技球は入球不可能又は前記第2ルートを経由した遊技球に比べて入球困難)に構成されていることを特徴とする手段B−1乃至B−5のいずれかに記載の遊技機。
手段B−6によれば、可変電動役物を第1開位置とすれば、第1ルートを経由した遊技球を可変入球装置に入球させることができ、第2開位置とすれば、第2ルートを経由した遊技球を可変入球装置に入球させることができる。また、上記手段1に記載されているように、第1開位置にある可変電動役物と、第2開位置にある可変電動役物とで、流入口への遊技球の入球し易さ等に差を設けることもできる。従って、第1ルート及び第2ルートに遊技球を打ち分けて遊技性の多様化を図るような構成においても、1つの可変入球装置によって、それに十分に対応することができ、また、更なる遊技性の多様化を図ることも可能である。
手段B−7.前記可変電動役物は、正面視略円形状をなしていることを特徴とする手段A−1乃至A−6のいずれかに記載の遊技機。
手段B−7によれば、流入口への入球を制限したり案内したりする部材を可変電動役物により近接させて設けることができる。また、流入口から外部への流出を防止したり、可変電動役物を支持したりする補助部材を比較的簡単かつ好適に設けることができる。さらに、補助部材を含む可変入球装置全体を設置するためのスペースの縮小化を図ることができる。また、特定入賞口を効率的に極力広く形成することができる。
手段B−8.前記可変電動役物は、
前記特定入賞口に連通する前記流出口が形成された後壁部と、
前記後壁部の前方に対向配置される前壁部と、
前記前壁部と後壁部との間を連結する連結壁とを備え、
前記連結壁のうち前記流出口を囲っている面である内周面は、後方に向けて前記可変電動役物の外周側に傾斜し、前記流入口から入球した遊技球を受けて後方の前記流出口へと案内する前記案内路の案内面として構成されていることを特徴とする手段B−1乃至B−7のいずれかに記載の遊技機。
手段B−8によれば、可変電動役物が第1開位置及び第2開位置のどちらにあっても、流入口から可変電動役物の内部に入球した遊技球をより確実に後方の流出口、ひいては、特定入賞口へと案内することができる。従って、流入口に入球した遊技球が同流入口からこぼれて出て行ってしまうといった事態を抑制することができる。
手段B−9.前記可変電動役物は、
前記特定入賞口に連通する前記流出口が形成された後壁部と、
前記後壁部の前方に対向配置される前壁部と、
前記前壁部と後壁部との間を連結する連結壁とを備え、
前記前壁部には、(外周縁に沿って)前記流入口の開口範囲に対応する部位に目印が形成されていることを特徴とする手段B−1乃至B−8のいずれかに記載の遊技機。
手段B−9によれば、遊技機の前方からでも、可変電動役物の流入口がどこに位置しているのかをより把握し易くすることができる。特に、可変電動役物を正面から見た場合に前壁部が流入口の開口範囲よりも広い範囲に存在するとともに、流入口に入球しなかった遊技球についても前壁部の後方位置を通過し得る構成の場合には、遊技球が流入口に入球したのか否かを比較的勘違いし易くなってしまうことが懸念されるため、本手段B−9を採用することで、遊技球を入球させるべき流入口の位置を確実に認識させるといった作用効果が一層顕著に奏されることとなる。
手段B−10.前記特定入賞口に入球した遊技球を検知する特定入球検知手段と、
前記特定入賞口と前記流出口との間において、前記特定入賞口を開閉する内部開閉手段とを備え、
前記開状態とされた前記可変入球装置は、前記閉状態とされる契機が到来した場合(例えば、前記特定入球検知手段によって規定数の遊技球が検知された場合)に、前記可変電動役物を前記閉位置へと変位させるとともに、前記内部開閉手段を閉鎖させることで前記閉状態とされることを特徴とする手段B−1乃至B−9のいずれかに記載の遊技機。
可変入球装置が開状態にあり、可変電動役物が開位置にある場合、流入口を介して可変電動役物内に進入した遊技球は、基本的に、特定入賞口に入球することとなる。しかしながら、(例えば、可変入球装置が開状態とされてから規定数の遊技球の入球があり、)可変入球装置を閉状態とすると判断されてから、可変電動役物を閉位置へと変位させるまでの間に流入口に進入した遊技球、或いは、丁度そのタイミングで、流入口から可変電動役物の内部に進入していたものの流出口には未だ至っていなかった遊技球については、前記規定数を超えて特定入賞口に入球することとなる。このように、規定数を超える遊技球が入球することで、予定よりも多く遊技球が払出されてしまうことから、(次回作などで)その分の穴埋めを別のところに求める(遊技球が所定の抽選を受けられる機会を低減させるような設定がなされてしまう等)ことで遊技性が低下したり、遊技ホール側が一方的に損をしてしまうような遊技機となってしまった場合には、遊技ホールから撤去されたりしてしまうことが懸念される。
この点、本手段B−10のように、特定入賞口の直前に内部開閉手段を設けることによって、可変入球装置への入球数の上限を極力順守させることができる。従って、可変電動役物を設けることによるデメリットを払拭することで、可変電動役物を設けることによるメリットを生かした遊技性を十分に発揮させることができ、可変電動役物を具備する可変入球装置が設けられた遊技機の本来の面白さをより確実に堪能させることができる。
尚、特定入球検知手段を可変電動役物内に設けることで流入口に入球した遊技球をより早いタイミングで検知可能に構成することも考えられるが、その場合、可変電動役物内において特定入球検知手段を設置する部位の遊技球通路を狭める必要が生じて遊技球の通行が滞ってしまったり、1つの遊技球を2度検知してしまう(可変電動役物内でバウンドしたり、可変電動役物に一旦進入したが流入口から出て行ってしまったりする場合等)リスクが高まってしまったり、特定入球手段の配線や可変電動役物の駆動制御等が煩雑になったりするおそれがあるため、特定入球検知手段は、可変電動役物の回転の影響が及ばないように(矛盾や無駄がないように遊技球の挙動が落ち着いてから検知できるように)、特定入賞口に入球した遊技球を検知可能な位置に設けられることが望ましい。
手段B−11.前記可変電動役物は、前記閉位置とされた場合、又は、前記開位置から前記閉位置へと変位する途中で、前記流入口が下方に開口する姿勢となり、前記内部開閉手段が閉鎖された後も前記可変電動役物の内部に存在する遊技球が、前記流入口から前記可変電動役物の外部に排出されることを特徴とする手段B−10に記載の遊技機。
手段B−11によれば、開状態とされた可変入球装置の特定入賞口への入球数が規定数を超えた後に流入口から可変電動役物内に進入した、或いは、規定数を超えたと判断されたときに可変電動役物内(流入口と流出口との間の空間)に位置していた遊技球であって、内部開閉手段によって特定入賞口への入球が規制された遊技球を、可変電動役物の外部に排出することができる。従って、上記手段B−10の作用効果が一層確実に奏される。
手段B−12.所定の契機に基づいて、前記可変入球装置が開状態とされる特別遊技状態を発生させるか否かの当否抽選を行うとともに、当該当否抽選にて前記特別遊技状態に当選した場合に前記可変入賞装置を開状態とさせる主制御装置と、
前記当否抽選の結果を教示する変動表示を行う可変表示装置とを備え、
前記特別遊技状態には複数の種別が存在し、
前記特別遊技状態の発生が教示された場合に、前記可変電動役物の動作態様によって、前記特別遊技状態の種別の教示又は示唆を行う演出を導出可能に構成されていることを特徴とする手段B−1乃至B−11のいずれかに記載の遊技機。
手段B−12によれば、可変表示装置において特別遊技状態が教示された後、特別遊技状態の実質的な開始前、すなわち、可変電動役物が第1開位置又は第2開位置とされる前において、可変電動役物の動作、つまりは、最終的な停止位置(第1開位置又は第2開位置)によって特別遊技状態の種別が教示・示唆される演出が行われる場合があるように構成されている。このように、可変入球装置の動作態様を特別遊技状態の種別の示唆に関する演出に利用するという今までにない演出が行われることによって、可変入球装置そのものへの興味も抱かせつつ、興趣の向上を図ることができる。さらに、当該演出で可変電動役物を視認させつつ、そのまま特別遊技状態に移行するため、特別遊技状態において果たしてどこに遊技球を打ち出してよいものかを明確に把握させることができる。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。