JP2015141746A - 導電体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁波シールドとして有用な多量の導電体粒子を均一に分散し得る、作製の容易な高導電体を提供する。
【解決手段】コアと、該コアから伸びるポリイミド結晶シートとを有する(好ましくは複数の帯状のポリイミド結晶シートが端部で融合し、3次元方向に放射状に広がる構造を有する)結晶性ポリイミド粒子をグラファイト化することによって得ることができる、コアから伸びる帯状グラファイトを有するカーボン粒子及び樹脂を含む導電体。
【選択図】なし
【解決手段】コアと、該コアから伸びるポリイミド結晶シートとを有する(好ましくは複数の帯状のポリイミド結晶シートが端部で融合し、3次元方向に放射状に広がる構造を有する)結晶性ポリイミド粒子をグラファイト化することによって得ることができる、コアから伸びる帯状グラファイトを有するカーボン粒子及び樹脂を含む導電体。
【選択図】なし
Description
本発明は、導電体及びその製造方法に関する。
電子機器類において、外部からの電磁波又は電子機器内部で発生する電磁波の影響を受けて電子機器が誤動作するのを防止するため、重要な電子部品等に電磁波シールド(電磁波吸収体又は電磁波反射体)を施すことが行われている。こうした電磁波をシールド(吸収又は反射)するための材料としては、金属板や金属箔等が用いられてきたが、 これらに代わり、軽量性、耐食性及び加工性の観点からポリマーをベースとする電磁波シールド材が開発されている。これらは、金属粒子、金属化合物粒子、カーボンブラック、カーボンナノコイル等の導電性微粒子をポリマーに分散して作製される(以降、「コンポジット」と言うこともある)。こうしたコンポジットの電磁波シールド性能(電磁波吸収性能又は電磁波反射性能)はコンポジット自身の導電性に影響を受ける(非特許文献1)ため、近年では、導電性の高いカーボンナノチューブ(CNT)を用いることが検討されている。CNTとポリマーからなるコンポジットでも、十分な電磁波シールド性能を得るためには、CNTを数重量%以上のオーダーでポリマーに均一混合することが必要である(非特許文献2)。しかしながら、強く凝集しているCNTを切断することなく多量にポリマーに均一分散することは非常に難易度が高く、コストもかかる。
Mohammed H. Al-Saleh et al., Carbon, 47 (2009), 1738-1746.
B. P. Singh et al., AIP Advances, 2 (2012), 022151.
本発明は、上記の課題を解決しようとするものであり、作製の容易な高導電体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、コアと、該コアから伸びる帯状グラファイトとを有するカーボン粒子を導電性フィラーとして用いると、簡単な混合操作でもポリマーマトリックス中に導電パスを構築できることを見出した。このカーボン粒子は、特定のポリイミド粒子をグラファイト化することにより得ることができる。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、完成したものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.カーボン粒子及び樹脂を含む導電体であって、
前記カーボン粒子は、コアと、該コアから伸びる帯状グラファイトとを有する、導電体。
項2.前記帯状グラファイトが、幅20〜600nm、長さ0.1〜20μmの形状を有する、項1に記載の導電体。
項3.前記帯状グラファイトが、1〜50層のグラフェン層を有する、項1又は2に記載の導電体。
項4.前記カーボン粒子が有する帯状グラファイトが、2〜200本である、項1〜3のいずれかに記載の導電体。
項5.前記コアがグラファイト構造を有する、項1〜4のいずれかに記載の導電体。
項6.前記コアの平均直径が、前記カーボン粒子の平均粒子径の99%以下である、項1〜5のいずれかに記載の導電体。
項7.前記コアの平均アスペクト比が10以下である、項1〜6のいずれかに記載の導電体。
項8.前記カーボン粒子の平均粒子径が1〜40μmである、項1〜7のいずれかに記載の導電体。
項9.前記カーボン粒子の含有量が、0.05〜15重量%である、項1〜8のいずれかに記載の導電体。
項10.電磁波シールド材である、項1〜9のいずれかに記載の導電体。
項11.項1〜10のいずれかに記載の導電体から構成される導電膜。
項12.項1〜10のいずれかに記載の導電体の製造方法であって、
前記カーボン粒子と前記樹脂とを混合して混合物を得る工程
を備える、製造方法。
項1.カーボン粒子及び樹脂を含む導電体であって、
前記カーボン粒子は、コアと、該コアから伸びる帯状グラファイトとを有する、導電体。
項2.前記帯状グラファイトが、幅20〜600nm、長さ0.1〜20μmの形状を有する、項1に記載の導電体。
項3.前記帯状グラファイトが、1〜50層のグラフェン層を有する、項1又は2に記載の導電体。
項4.前記カーボン粒子が有する帯状グラファイトが、2〜200本である、項1〜3のいずれかに記載の導電体。
項5.前記コアがグラファイト構造を有する、項1〜4のいずれかに記載の導電体。
項6.前記コアの平均直径が、前記カーボン粒子の平均粒子径の99%以下である、項1〜5のいずれかに記載の導電体。
項7.前記コアの平均アスペクト比が10以下である、項1〜6のいずれかに記載の導電体。
項8.前記カーボン粒子の平均粒子径が1〜40μmである、項1〜7のいずれかに記載の導電体。
項9.前記カーボン粒子の含有量が、0.05〜15重量%である、項1〜8のいずれかに記載の導電体。
項10.電磁波シールド材である、項1〜9のいずれかに記載の導電体。
項11.項1〜10のいずれかに記載の導電体から構成される導電膜。
項12.項1〜10のいずれかに記載の導電体の製造方法であって、
前記カーボン粒子と前記樹脂とを混合して混合物を得る工程
を備える、製造方法。
本発明によれば、コアと、該コアから伸びる帯状グラファイトとを有するカーボン粒子を導電性フィラーとして用いると高導電体が得られる。
なお、このカーボン粒子は、高度な技術や複雑な操作が必要とされないので、簡便且つ安価に、加えて大量生産可能な方式で製造することができる。
1.カーボン粒子
本発明において、カーボン粒子は、コアと、該コアから伸びる帯状グラファイトとを有する。好ましくは、カーボン粒子は、コアと、該コアから帯状グラファイトが3次元方向に広がる形状、例えばパイプウニのような形状を有する。本発明において、カーボン粒子をパイプウニの形状に見立てると、パイプウニの本体がコアで、刺が帯状グラファイトに相当する。
本発明において、カーボン粒子は、コアと、該コアから伸びる帯状グラファイトとを有する。好ましくは、カーボン粒子は、コアと、該コアから帯状グラファイトが3次元方向に広がる形状、例えばパイプウニのような形状を有する。本発明において、カーボン粒子をパイプウニの形状に見立てると、パイプウニの本体がコアで、刺が帯状グラファイトに相当する。
本発明において、カーボン粒子は、複数の帯状グラファイトが端部で融合し、3次元方向に放射状に広がる構造を有することが好ましい。この融合部分の構造は、アモルファスや、グラファイト構造であってもよいが、導電性の観点からグラファイト構造が好ましい。具体的には、コアの結晶は、六方晶系に属する層状構造を有し、六角形の網面をなす層が弱いファンデルワールス力により積層されていることが好ましい。このグラファイト構造は、一つのグラファイト結晶であってもよいし、小さなグラファイト結晶の集合体であってもよい。また、これらグラファイト結晶は乱層構造であってもよい。融合部分の大きさは明確に規定することは困難であるが、例えば、カーボン粒子を粉砕処理した場合、融合部分は硬いために粉砕されずに残る。これを融合部分と定義すると、その大きさは20〜2000nm、好ましくは40〜1000nmである。20nmより小さいと帯状グラファイトの平均幅が狭くなって折れやすくなる傾向がある。2000nmより大きいと、カーボン粒子において帯状グラファイトに比べて導電性が悪い多結晶グラファイト部分が大きくなるため、カーボン粒子全体の導電性が悪くなる傾向がある。なお、コアにおいて、最も長い直径を長径、最も短い直径を短径とした場合、平均アスペクト比(長径/短径の平均値)は、特に制限されるわけではないが、導電性をより向上させる観点から、10以下が好ましい。この融合部分は、本発明ではカーボン粒子のコアに相当する。
さらに、帯状グラファイトの長さを長くして通常のグラファイト粒子と比較してより導電性を向上させつつ帯状グラファイトがより折れにくくするために、コアの平均直径は、カーボン粒子の平均粒子径の99%以下が好ましく、0.1〜98%がより好ましく、0.5〜50%がさらに好ましい。
このカーボン粒子が有する帯状グラファイトは、周知のグラファイト結晶構造を有することができる。具体的には、帯状グラファイトの結晶は、六方晶系に属する層状構造を有し、六角形の網面をなす層が弱いファンデルワールス力により積層されていることが好ましい。なお、グラファイトを構成するそれぞれの層(単一層)は、グラフェンとも称される。また、帯状グラファイトの1層(グラフェンシート)を見た場合、その端部形状はジグザグ型又は安楽椅子型が好ましい。端部形状は、製造条件を選択することにより制御することができる。
このカーボン粒子が有する帯状グラファイトの数は、導電性をより向上させる観点から、2〜200本が好ましく、3〜100本がより好ましい。
帯状グラファイトの平均幅は、導電性をより向上させつつ帯状グラファイトがより折れにくくし、また、前記コアの平均直径とコアから伸びる帯状グラファイトの数との関係から、20〜600nmが好ましく、30〜400nmがより好ましい。また、帯状グラファイトの平均幅が上記範囲内である限り、帯の端から端まで幅が一定である必要はなく、場所によって幅が異なっていてもよい。
帯状グラファイトの平均厚みは、帯状グラファイトを折れにくくするために、グラフェン層の積層数換算で、1〜50層が好ましく、3〜20層がより好ましい。また、帯状グラファイトの平均厚みが上記範囲内である限り、帯の端から端まで厚みが一定である必要はなく、場所によって厚みが異なっていてもよい。
透過型電子顕微鏡観察によって観察される融合部分でない帯状グラファイトの根本部分から先端までを「長さ」と定義して、帯状グラファイトの平均長さは、導電性をより向上させつつ帯状グラファイトがより折れにくくするために、0.1〜20μmが好ましく、0.15〜15μmがより好ましい。また、帯状グラファイトの平均長さが上記範囲内である限り、帯状グラファイトの長さが一定である必要はなく、長さに分布があってもよい。
このようなカーボン粒子には、異種元素が含まれていてもよい。異種元素としては、例えば、水素、窒素、イオウ、酸素、ケイ素等が挙げられる。異種元素の含有量は、特に制限されないが、例えば、カーボン粒子の0〜5重量%程度、特に0.001〜1重量%程度、さらに0.005〜0.5重量%程度とすることができる。なお、異種元素を2種類以上含む場合は、その総量が上記範囲内に入るように調整すればよい。
また、このようなカーボン粒子は、非金属元素、金属元素及び金属塩の少なくとも1種を含んでいてもよい。非金属元素としては、イオウ、リン、ホウ素等が挙げられる。金属元素としては、例えば、鉄、コバルト、銅、白金、パラジウム、銀、セシウム、バナジウム、マンガン、ニッケル等の遷移金属元素;ストロンチウム、ルビジウム、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム等の典型金属元素等が挙げられる。金属塩としては、例えば、上記金属元素のフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物のようなハロゲン化物;アセチルアセトネート塩のような有機塩等が挙げられる。
カーボン粒子中に非金属元素、金属元素及び金属塩の少なくとも1種を含む場合の含有量は、特に制限されないが、カーボン粒子の0〜5重量%程度、特に0.001〜1重量%程度、さらに0.005〜0.5重量%程度とすることができる。なお、非金属元素、金属元素、金属塩等を2種類以上含む場合は、その総量が上記範囲内に入るように調整すればよい。
このようなカーボン粒子の平均粒子径、すなわち、帯状グラファイトの端部から端部の最大距離の平均値は、得られる導電体の導電性をより向上させる観点から、1〜40μmが好ましく、1.5〜30μmがより好ましい。
2.カーボン粒子の製造方法
本発明で使用するカーボン粒子は、例えば、コアと、該コアから伸びるポリイミド結晶シートとを有する(好ましくは複数の帯状のポリイミド結晶シートが端部で融合し、3次元方向に放射状に広がる構造を有する)結晶性ポリイミド粒子をグラファイト化することによって得ることができる。すなわち、本発明のカーボン粒子の製造方法によれば、形状(特に、コアと、該コアから伸びるポリイミド結晶シートとを有すること(好ましくは複数の帯状のポリイミド結晶シートが端部で融合し、3次元方向に放射状に広がる構造を有すること))が制御された原材料をグラファイト化することにより、上記のような所望の形状を有するカーボン粒子を得ることができる。このような結晶性ポリイミド粒子は、例えば、ポリイミド合成時に合成条件を制御することにより結晶化させる方法及び合成したポリイミドを任意の適切な方法で配向処理する方法のいずれかにより調製することができる。以下に、このような結晶性ポリイミド粒子及びカーボン粒子の製造方法の一例を示すが、これに限定されるものではない。
本発明で使用するカーボン粒子は、例えば、コアと、該コアから伸びるポリイミド結晶シートとを有する(好ましくは複数の帯状のポリイミド結晶シートが端部で融合し、3次元方向に放射状に広がる構造を有する)結晶性ポリイミド粒子をグラファイト化することによって得ることができる。すなわち、本発明のカーボン粒子の製造方法によれば、形状(特に、コアと、該コアから伸びるポリイミド結晶シートとを有すること(好ましくは複数の帯状のポリイミド結晶シートが端部で融合し、3次元方向に放射状に広がる構造を有すること))が制御された原材料をグラファイト化することにより、上記のような所望の形状を有するカーボン粒子を得ることができる。このような結晶性ポリイミド粒子は、例えば、ポリイミド合成時に合成条件を制御することにより結晶化させる方法及び合成したポリイミドを任意の適切な方法で配向処理する方法のいずれかにより調製することができる。以下に、このような結晶性ポリイミド粒子及びカーボン粒子の製造方法の一例を示すが、これに限定されるものではない。
2−1.合成による結晶性ポリイミドの調製
本発明において、カーボン粒子の製造方法に用いられる結晶性ポリイミド粒子は、以下の一般式(2):
本発明において、カーボン粒子の製造方法に用いられる結晶性ポリイミド粒子は、以下の一般式(2):
[式中、X1〜X3は同じか又は異なり、X1及びX2は片方が水素原子、他方が水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X3は水素原子又はアシル基である。]
で示される化合物(以下、「化合物2」と言うこともある)を溶媒中で(共)重合(当該化合物を縮合重合)させることにより得ることができる。重合生成物(すなわち、結晶性ポリイミド粒子)は、固体として析出することが好ましい。得られる結晶性ポリイミド粒子は、以下の一般式(1):
で示される化合物(以下、「化合物2」と言うこともある)を溶媒中で(共)重合(当該化合物を縮合重合)させることにより得ることができる。重合生成物(すなわち、結晶性ポリイミド粒子)は、固体として析出することが好ましい。得られる結晶性ポリイミド粒子は、以下の一般式(1):
で示される繰り返し単位を有することが好ましい。
式(2)において、X1及びX2のうちいずれか一方は水素原子であり、他方は水素原子、アルキル基又はアリール基、好ましくはアルキル基である。
アルキル基としては、特に制限されず、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基のいずれでもよい。また、アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基等が好ましい。
アリール基としては、特に制限されず、炭素数6〜14程度のものが挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
また、X3は水素原子又はアシル基である。
アシル基はRCO−(ただし、Rはアルキル基又はアリール基である)として示される。置換基Rは、アルキル基又はアリール基であり、上記したアルキル基又はアリール基が例示され、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。なお、X3としては、水素原子が好ましい。
上記化合物2は、任意の適切な方法により調製され得る。例えば、X3が水素原子の場合であれば、4−ニトロ無水フタル酸(4−ニトロ−1,2−ベンゼンカルボン酸無水物:4NPAH)にアルコールを付加させることで、4NPAHの5員環を開環させた後、ニトロ基を還元してアミノ基とすることができる。この場合、X1及びX2のうちいずれが水素原子となるかにより2種の構造異性体が生じるので、これら2種の構造異性体をそれぞれ分離精製してもよい。なお、特段問題がなければ(例えば、2種の構造異性体各々によって生成するポリイミドの組織や収率等があまり変わらない場合)、2種の構造異性体を分離精製することなく混合物として用いてもよい。
上記化合物2を重合させて結晶性ポリイミド粒子を合成する際に用いられる溶媒としては、特に制限されない。例えば、化合物2を溶解可能であり、化合物2と不要な反応を起こさず、化合物2の重合条件(例えば、重合温度)下にて安定であり、重合にて生成した結晶性ポリイミドを固体(例えば、粉体、粒体)として析出させることができる溶媒を好ましく使用できるが、任意の適切な溶媒を用いることができる。より詳細には、当該溶媒は、高沸点(200〜400℃程度)の有機溶媒が好ましく、高沸点(200〜400℃程度)の芳香族化合物がより好ましい。このような溶媒の具体例としては、例えば、ジイソプロピルナフタレン、ジエチルナフタレン、エチル−イソプロピルナフタレン、シクロヘキシルビフェニル、ジエチルビフェニル、トリエチルビフェニル、ジベンジルトルエン等が挙げられ、ジベンジルトルエンが好ましい。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記結晶性ポリイミドは、特に制限されないが、例えば、
(A)化合物2を溶媒に溶解させる溶解工程、及び
(B)該溶解工程の後、化合物2を(共)重合させ、一般式(1)で示される繰り返し単位を有する結晶性ポリイミドを溶液中から固体として析出させる析出工程
を含む方法により調製できる。
(A)化合物2を溶媒に溶解させる溶解工程、及び
(B)該溶解工程の後、化合物2を(共)重合させ、一般式(1)で示される繰り返し単位を有する結晶性ポリイミドを溶液中から固体として析出させる析出工程
を含む方法により調製できる。
より詳細には、溶媒に溶解させた(すなわち、溶液状態における)化合物2の(共)重合により、上記式(1)で示される繰り返し単位を有する結晶性ポリイミドを溶液から固体で析出させることができる。その作用や機構は明らかではないが、結晶性ポリイミドを溶媒中から固体で析出させることにより、細長いポリイミド結晶シートが放射状に集合した微粒子状の結晶性ポリイミド粒子を得ることができると考えられる。析出工程(工程(B))においては、上記溶液はあまり流動させない方が好ましく、撹拌は行わないことがさらに好ましい。このようにすれば、幅及び厚みの均一性に優れた細長い帯状体が集合した微粒子状の結晶性ポリイミドを得ることができる。
工程(B)において、上記化合物2の重合温度は、240〜350℃が好ましく、260〜340℃がより好ましく、280〜330℃がさらに好ましい。重合温度がこのような範囲であれば、化合物2や溶媒の熱分解を生じさせることなく、適切な重合時間で結晶性ポリイミドを得ることができる。
工程(B)において、上記化合物2の重合時間は、1〜48時間が好ましく、2〜36時間がより好ましく、3〜24時間がさらに好ましい。重合時間をこの範囲とすることにより、重合反応をより十分に進ませてより十分な結晶性ポリイミド粒子を得ることができる。
工程(B)において、(共)重合の際の溶液中の化合物2の濃度は、溶媒1ml中の重量(g/ml)として、0.5〜12.0が好ましく、0.8〜11.0がより好ましく、1.0〜10.0がさらに好ましい。濃度をこの範囲とすることにより、結晶性ポリイミドをより十分に析出させるとともに、得られる結晶性ポリイミド粒子の形状をより十分に制御することができる。
析出する結晶性ポリイミドを構成するポリイミド結晶シート(帯状グラファイトに対応する)の幅及び厚みは、重合の際の熱力学的環境を調整することにより制御することができる。例えば、ポリイミド結晶シートの幅及び厚みは、重合の際の溶媒中に貧溶媒を用いることで減少させることができる。すなわち、より貧溶媒中で重合することで、析出するポリイミドの過飽和度が増大し、小さな結晶核が多数生成することで、幅及び厚みが減少する。
このようなポリイミド結晶シートの平均幅は、重合の際の熱力学的環境を調整することにより、上記した範囲の平均幅の帯状グラファイトを有するカーボン粒子を得る観点から、20〜800nmが好ましく、30〜600nmがより好ましい。また、ポリイミド結晶シートの平均幅が上記範囲内である限り、帯の端から端まで幅が一定である必要はなく、パイプウニの刺のように場所によって幅が異なっていてもよい。
また、ポリイミド結晶シートの平均厚みは、重合の際の熱力学的環境を調整することにより、上記した範囲の平均厚みの帯状グラファイトを有するカーボン粒子を得る観点から、1〜20nmが好ましく、1.5〜15nmがより好ましい。また、ポリイミド結晶シートの平均厚みが上記範囲内である限り、帯の端から端まで厚みが一定である必要はなく、場所によって厚みが異なっていてもよい。
さらに、ポリイミド結晶シートの長さは、例えば、ポリイミドの結晶成長を継続させるような条件を採用すれば増加する(具体的には、モノマーやオリゴマーを重合系(上記溶媒)内に添加して結晶成長を継続させるようにしてもよい)。
このようなポリイミド結晶シートの平均長さは、合成条件を調整することにより、上記した範囲の平均長さの帯状グラファイトを有するカーボン粒子を得る観点から、0.05〜50μmが好ましく、0.25〜25μmがより好ましい。また、ポリイミド結晶シートの平均長さが上記範囲内である限り、ポリイミド結晶シートの長さが一定である必要はなく、長さに分布があってもよい。
上記のように重合条件を制御することによって、平均幅、平均厚み及び平均長さの異なるポリイミド結晶シートを有する結晶性ポリイミド粒子を作製することができる。具体的には、上記したポリイミド結晶シートが放射状に集合した微粒子組織を有する結晶性ポリイミド粒子を得ることができる。こうした結晶性ポリイミド粒子をグラファイト化した場合、ポリイミド結晶シートの諸サイズはほぼ維持される、つまり、帯状グラファイトが放射状に伸びるカーボン粒子が得られるので、所望のサイズ及び形状のカーボン粒子に合わせて結晶性ポリイミド粒子を作製すればよい。
このようにして得られるポリイミド結晶シートが集合した結晶性ポリイミド粒子の直径は、上記した範囲の平均直径のカーボン粒子を得る観点から、0,1〜100μmが好ましく、0.5〜50μmがより好ましく、1〜10μmがさらに好ましい。
なお、合成による結晶性ポリイミドの調製については、その詳細が特開2008−274103号公報に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
本発明のカーボン粒子の製造に用いられるポリイミド粒子は結晶性であることが好ましく、高結晶性であることがより好ましい。通常、ポリイミドの結晶性は、示差熱分析(DSC)の融解エンタルピーから算出、又は完全アモルファス状のサンプルを作製してX線回折強度から算出することが行われているが、溶融しないポリイミドはどちらの方法も適用できない。こうしたポリイミドの結晶性を評価する方法として、X線回折におけるピークを用いた結晶子の大きさから評価する方法がある。この方法では、以下の式:
により結晶子の大きさを算出することができる。
この式によると、半値幅が小さい程、結晶子が大きく、結晶性が高いことがわかる。本明細書においては、上記結晶子の大きさを算出する方法により結晶性を評価する方法を採用し、任意の結晶面における回折ピークの半値幅により結晶性を規定する。これは、実際の結晶子の大きさを算出する場合、半値幅は測定装置による誤差を考慮して補正される必要があるためである。以上より、上記カーボン粒子の製造に用いられ得るポリイミドは、配向処理をしない場合、任意の回折ピークの半値幅が2°以下が好ましく、1.5°以下がより好ましく、1°以下がさらに好ましい。配向処理をした場合、(00l)面の回折ピークの半値幅が2°以下が好ましく、1.5°以下がより好ましく、1°以下がさらに好ましい。結晶性ポリイミド粒子が上記のような回折ピークの半値幅を有することにより、後述のグラファイト化がより容易となる。
2−2.結晶性ポリイミドのグラファイト化
上記得られる結晶性ポリイミドは、任意の適切な方法によりグラファイト化することができる。これにより、帯状グラファイトがコアから伸びる上記のカーボン粒子が得られる。結晶性ポリイミドをグラファイト化する方法としては、特に制限されないが、例えば、結晶性ポリイミドに光(例えば、レーザー光)、X線、電子線、プラズマ、イオンビーム等を照射する方法、結晶性ポリイミドを加熱処理する方法等が挙げられる。また、これらの方法を組合せてもよい。これらのなかでも、大量にかつ均一に処理できる観点から、結晶性ポリイミドを加熱処理する方法が好ましい。
上記得られる結晶性ポリイミドは、任意の適切な方法によりグラファイト化することができる。これにより、帯状グラファイトがコアから伸びる上記のカーボン粒子が得られる。結晶性ポリイミドをグラファイト化する方法としては、特に制限されないが、例えば、結晶性ポリイミドに光(例えば、レーザー光)、X線、電子線、プラズマ、イオンビーム等を照射する方法、結晶性ポリイミドを加熱処理する方法等が挙げられる。また、これらの方法を組合せてもよい。これらのなかでも、大量にかつ均一に処理できる観点から、結晶性ポリイミドを加熱処理する方法が好ましい。
結晶性ポリイミドを加熱処理する方法においては、通常、不活性ガス雰囲気下、0.01〜20MPa程度、好ましくは0.05〜10MPa程度の減圧〜加圧下(より好ましくは0.1〜5MPa程度の圧力下)において、通常500〜1100℃程度、好ましくは700〜1000℃程度で熱処理を行いカーボン化することが好ましい。
処理時間は、例えば10℃/分の速度で昇温した場合は、900〜1000℃の温度領域で1〜30分程度の保持を行い、炭化(カーボン)することが好ましい。
次いで、カーボン化したポリイミドを、超高温炉を用いてグラファイト化することができる。グラファイト化は、不活性ガス雰囲気下、0.01〜20MPa程度、好ましくは0.05〜10MPa程度の減圧〜加圧下(より好ましくは0.1〜5MPa程度の圧力下)で行うことが好ましい。不活性ガスとしてはアルゴンが好ましい。熱処理温度としては、好ましくは2000℃以上、より好ましくは2400℃以上、さらに好ましくは2700℃以上である。
上記加熱処理における加熱時間(好ましくは超高温炉における加熱時間)は、上記のカーボン粒子が生成する限り特に限定されない。加熱時間は、加熱温度等に応じて適切に設定することができる。例えば、加熱時間は、所定の加熱条件に達してから、通常1秒〜100時間程度が好ましく、1分〜200分程度がより好ましい。
本発明では、上記照射処理の少なくとも1つと加熱処理とを併用してもよい。照射処理と加熱処理とを併用する場合の処理時間は、上記のカーボン粒子が生成する限り特に限定されない。処理時間は、照射手段、加熱温度等に応じて適切に設定することができる。例えば、処理時間は、所定の条件(所定の温度及び所定の照射条件)に達してから、通常1秒〜100時間程度が好ましく、1分〜200分程度がより好ましい。
以上のようにして、結晶性ポリイミドのサイズに対応したサイズを有する上記のカーボン粒子を得ることができる。その特徴は、上記したとおりである。
なお、本発明の製造方法により得られるカーボン粒子は、コアと、該コアから伸びる帯状グラファイトとを有するものであり、複数の帯状グラファイトが端部で融合し、3次元方向に放射状に広がる構造を有することが好ましいものである。このような構造を有するカーボン粒子を得る場合、粒子同士の凝集を防ぐために、通常超音波分散等の処理を施すが、本発明においては、超音波分散等を施すと、帯状グラファイトが1枚ずつ解砕されてシート状のカーボンが得られ、上記特徴を有するカーボン粒子は得られない。逆に、超音波分散等の処理を施さずとも、本発明では、上記特徴を有するカーボン粒子を凝集させることなく得ることができる。
3.導電体
本発明の導電体は、上記したカーボン粒子と樹脂とを含む。好ましくは、本発明の導電体は、上記したカーボン粒子と樹脂との複合体(コンポジット)である。
本発明の導電体は、上記したカーボン粒子と樹脂とを含む。好ましくは、本発明の導電体は、上記したカーボン粒子と樹脂との複合体(コンポジット)である。
導電性フィラーは、樹脂との親和性が悪い材料が多いため、複合材を製造する場合は、通常シランカップリング剤等で表面処理を施す必要があるが、上記のカーボン粒子は、表面処理をしなくても樹脂との親和性に優れるため、そのまま複合材を製造することができる。
樹脂としては、用途によって適宜選択することができ、特に制限はない。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイソシアネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の他、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂等も挙げられる。
本発明の導電体においては、カーボン粒子の含有量は、0.05〜15重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。カーボン粒子の含有量をこの範囲とすることにより、より導電性を向上させることができる。また、本発明では、カーボン粒子の含有量は多いほうが導電性を向上させることができるが、数重量%以上のオーダーで含ませた場合でも、簡単な混合操作でポリマーマトリックス中に導電性ネットワークを構築でき、高い導電性を有する導電体を提供することができる。このような観点から、カーボン粒子の含有量は3〜10重量%がさらに好ましく、4〜10重量%が特に好ましい。
本発明の導電体には、上記のカーボン粒子及び樹脂以外にも、本発明の効果を損なわない範囲(例えば5〜70重量%程度)で、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウム、カーボンナノチューブ、グラファイト等の添加剤を含ませることもできる。
本発明の導電体の導電率は、特に制限されず、用途によって異なり、また、カーボン粒子の含有量によっても異なるが、表面抵抗値が、20Ω/□以下が好ましく、15Ω/□以下がより好ましい。なお、一例として、本発明の導電体中にカーボン粒子を5重量%含ませた場合には、本発明の導電体の表面抵抗値を10Ω/□以下とすることができる。また、本発明の導電体の表面抵抗値の下限値は、特に制限はないが、通常1Ω/□程度である。
また、本発明の導電体の体積抵抗率も特に制限されず、2Ω・cm以下が好ましく、1.5Ω・cm以下がより好ましい。なお、一例として、本発明の導電体中にカーボン粒子を5重量%含ませた場合には、本発明の導電体の体積抵抗率1Ω・cm以下とすることができる。また、本発明の導電体の体積抵抗率の下限値は、特に制限はないが、通常0.01Ω・cm程度である。
また、本発明の導電体は、電磁波シールド材(特に電磁波吸収剤又は電磁波反射材)としても使用することができる。本発明の導電体が有する電磁波シールド効果は、具体的には、同軸管法又は導波管法で測定した際の電磁波シールド性(電磁波吸収性又は電磁波反射性)が減衰量として5dB以上が好ましい。なお、500MHz〜18GHzでの電磁波シールド性(電磁波吸収性又は電磁波反射性)の上限値は特に制限はなく、大きいほうが好ましい。
4.導電体の製造方法
本発明の導電体は、特に制限されるわけではないが、
前記カーボン粒子と前記樹脂とを混合して混合物を得る工程
により製造することができる。
本発明の導電体は、特に制限されるわけではないが、
前記カーボン粒子と前記樹脂とを混合して混合物を得る工程
により製造することができる。
混合する際、その手法は、使用する樹脂によって選択することができる。例えば、室温で液状のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイソシアネート等を使用する場合、上記のカーボン粒子に樹脂、及び適切な硬化剤(必要に応じて硬化触媒)の混合物を含浸させた後に硬化させる方法、混合機を用いてカーボン粒子、樹脂、上記硬化剤(必要に応じて硬化触媒)の混合物を混合した後に熱硬化させる方法等を採用することができる。
この際使用できる硬化剤としては、特に制限はなく、用いる樹脂に対して一般的に推奨される硬化剤等を使用することができる。また、硬化触媒としても特に制限はなく、用いる樹脂に対して一般的に推奨される硬化触媒等を使用することができる。
硬化剤及び硬化触媒の混合量としては、特に制限はないが、用いる樹脂に対して一般的に推奨される量が好ましい。
さらに、熱硬化させる際の条件としては、特に制限はなく、用いる樹脂に対して一般的に推奨される条件が好ましい。
メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の場合、それらの溶液(樹脂溶液)をカーボン粒子に含浸させた後に溶剤を除いて熱硬化させる方法、混合機を用いてカーボン粒子と樹脂溶液を混合した後に溶剤を除いて熱硬化させる方法等を採用することができる。
この際、樹脂溶液に使用できる溶媒としては、特に制限はなく、水、アルコール系溶媒、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等を使用することができる。
さらに、熱硬化させる際の条件としては、特に制限はなく、室温〜300℃(特に40〜250℃)で1分間〜24時間(特に30分〜8時間)熱処理することにより、熱硬化させることができる。また、熱硬化の際の雰囲気も特に制限されないが、不活性雰囲気下(窒素ガス、アルゴンガス等)、常圧〜加圧下(0.1MPa〜20MPa程度)等とすることができる。
熱可塑性樹脂の場合は、それらの溶液(樹脂溶液)をカーボン粒子に含浸させた後に溶剤を除く方法、混合機を用いてカーボン粒子と樹脂溶液を混合した後に溶剤を除く方法等を採用することができる。
この際、樹脂溶液に使用できる溶媒としては、特に制限はなく、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ケトン系溶剤、直鎖又は環状脂肪族炭化水素、エステル系溶剤、セロソルブ系溶剤等を使用することができる。
なお、上記のいずれを採用する場合においても、液状樹脂又は樹脂溶液とカーボン粒子とを混合する場合、混合時にカーボン粒子にかかる負荷によってその形状が損なわれる可能性をより低減するため、液状樹脂又は樹脂溶液の混合時の粘度として、2000cP以下が好ましく、1500cP以下がより好ましい。粘度がこのような範囲にあれば、ニーダーのようなシェアのかかる混合機を用いた混合においてもカーボン粒子の形状をより維持することができる。このような観点から、使用する樹脂としては、溶融時の粘度が2000cP以下であることが好ましく、1500cP以下であることがより好ましい。
また、本発明の導電体に添加剤を加える場合には、液状樹脂又は樹脂溶液とカーボン粒子とを混合する際に、添加剤を投入することが好ましい。
また、本発明の導電体は、その形態(樹脂ペレット、コーティング組成物等)に応じて、公知の成形方法、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、塗布法(スピンコーティング法、スプレーコーティング法、キャスト法、バーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ディッピング法など)等によって成形物を得ることができる。
特に、本発明の導電体は、膜(導電膜)を形成するための組成物として有用である。導電膜(導電フィルム、導電シート等)において、膜形成方法としては、上記種々の方法(押出成形法、塗布法等)を利用できる。基板(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルム)上に導電膜を形成してもよい。
導電膜の厚みは、用途に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、0.01μm〜10mmが好ましく、0.05μm〜5mmがより好ましく、0.5μm〜3mmがさらに好ましい。
このようにして得られる本発明の導電体又は導電膜は高導電性を発揮するため、電子機器の筐体等の電磁波シールド材や帯電防止材、導電性接着剤、帯電防止コーティング等として広範な用途に用いることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[合成例1:結晶性ポリイミドの調製]
特開2008−274103号公報の実施例及び図9の実験番号2の手順にしたがって、結晶性ポリイミドを調製した。得られたポリイミドに対して走査型電子顕微鏡(SEM)観察及びX線回折分析を行った。得られた結晶性ポリイミドは、細長い帯状体が集合した微粒子状であった。SEM観察より、帯状体の最大幅の平均値は110nm、最大厚みの平均値は8nm、平均長さは3μmであった。
特開2008−274103号公報の実施例及び図9の実験番号2の手順にしたがって、結晶性ポリイミドを調製した。得られたポリイミドに対して走査型電子顕微鏡(SEM)観察及びX線回折分析を行った。得られた結晶性ポリイミドは、細長い帯状体が集合した微粒子状であった。SEM観察より、帯状体の最大幅の平均値は110nm、最大厚みの平均値は8nm、平均長さは3μmであった。
[製造例1:カーボン粒子の製造]
合成例1で得られた結晶性ポリイミドを炭化炉にてアルゴン雰囲気下1000℃で1分間炭化した後、アルゴン雰囲気2800℃で、1分間黒鉛化を行った。その結果、以下に示す本発明のカーボン粒子が得られた。結果を図1に示す。
<帯状グラファイト>
数:40〜70本
平均幅:210nm
平均厚み:7nm(グラフェン層積層数換算約20層)
平均長さ:2.7μm
<カーボン粒子全体>
平均直径:5.8μm。
合成例1で得られた結晶性ポリイミドを炭化炉にてアルゴン雰囲気下1000℃で1分間炭化した後、アルゴン雰囲気2800℃で、1分間黒鉛化を行った。その結果、以下に示す本発明のカーボン粒子が得られた。結果を図1に示す。
<帯状グラファイト>
数:40〜70本
平均幅:210nm
平均厚み:7nm(グラフェン層積層数換算約20層)
平均長さ:2.7μm
<カーボン粒子全体>
平均直径:5.8μm。
[実施例1:導電体の作製]
日新レジン(株)製クリスタルレジン主剤(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)10g、硬化剤(変性脂環式ポリアミン)5g、及びカーボン粒子0.790gを、ガラス棒を用いて素早く混合した後、60℃で5分加温した。
日新レジン(株)製クリスタルレジン主剤(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)10g、硬化剤(変性脂環式ポリアミン)5g、及びカーボン粒子0.790gを、ガラス棒を用いて素早く混合した後、60℃で5分加温した。
次いで、この混合物を54mm×54mm×4mmの型枠に充填して減圧脱気した後、60℃で20時間硬化を行った。硬化後、硬化物からΦ20mm×1mmの導電性測定用樹脂板を作製した(カーボン粒子含有量5重量%)。
[比較例1:カーボンナノチューブ]
カーボン粒子をカーボンナノチューブ(ナノシル社製NC7000、以降MWNTとする)にかえた以外は実施例1と同様にして日新レジンとガラス棒で混合して硬化し、Φ20mm×1mmの導電性測定用樹脂板を作製した。
カーボン粒子をカーボンナノチューブ(ナノシル社製NC7000、以降MWNTとする)にかえた以外は実施例1と同様にして日新レジンとガラス棒で混合して硬化し、Φ20mm×1mmの導電性測定用樹脂板を作製した。
[試験例1:導電性]
上記試料について、23℃の室温下、(株)三菱アナリテック製のロレスタGPを用いて、実施例1及び比較例1の表面抵抗値及び体積抵抗率を測定した。その結果、実施例1の試料は表面抵抗値3.9Ω/□、体積抵抗率0.39Ω・cmと高い導電性を示した。一方、比較例1の試料はオーバーロードとなり、表面抵抗値を測定できなかった。これは、表面抵抗値がロレスタの測定限界以上に大きいことを示しており、樹脂板内でMWNTが局在して導電パスが形成されていないことを示唆している。
上記試料について、23℃の室温下、(株)三菱アナリテック製のロレスタGPを用いて、実施例1及び比較例1の表面抵抗値及び体積抵抗率を測定した。その結果、実施例1の試料は表面抵抗値3.9Ω/□、体積抵抗率0.39Ω・cmと高い導電性を示した。一方、比較例1の試料はオーバーロードとなり、表面抵抗値を測定できなかった。これは、表面抵抗値がロレスタの測定限界以上に大きいことを示しており、樹脂板内でMWNTが局在して導電パスが形成されていないことを示唆している。
[試験例2:電磁波シールド性能]
実施例1の導電体を厚さ1mmの板に加工し、500MHz〜18GHzでは同軸管法、18〜26.5GHz及び26.5〜40GHzでは導波管法を用いて、以下の共通条件:
測定装置:ベクトルネットワークアナライザWiltron37169A
測定環境条件:温度22℃ 湿度40%
で電磁波シールド性能を測定した。
実施例1の導電体を厚さ1mmの板に加工し、500MHz〜18GHzでは同軸管法、18〜26.5GHz及び26.5〜40GHzでは導波管法を用いて、以下の共通条件:
測定装置:ベクトルネットワークアナライザWiltron37169A
測定環境条件:温度22℃ 湿度40%
で電磁波シールド性能を測定した。
その結果、500MHz〜18GHz帯では、8.5GHzで−6.1dBの電磁波の減衰が見られた。一方、18〜26.5GHz帯及び26.5〜40GHz帯では特徴的なピークは見られないが、全域で−7〜9dBの電磁波の減衰が見られた。このことより、電磁波の減衰量はあまり大きくないが、電磁波遮蔽効果はあるといえる。
[試験例3:断面TEM像]
実施例1と比較例1で得た樹脂板の超薄切片を作製し、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察した。結果をそれぞれ図2及び3に示す。図2に示されるように、帯状グラファイトが放射状に伸びた構造が樹脂板内に連続している存在している様子が観察されたことより、樹脂中で構造が維持されながら良好に分散していると考えられる。
実施例1と比較例1で得た樹脂板の超薄切片を作製し、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察した。結果をそれぞれ図2及び3に示す。図2に示されるように、帯状グラファイトが放射状に伸びた構造が樹脂板内に連続している存在している様子が観察されたことより、樹脂中で構造が維持されながら良好に分散していると考えられる。
一方、図3に示されるように、MWNTは樹脂板内にかたまって存在し、一部は断片化していてMWNTの連続層は形成されていなかった。
試験例1の結果を考慮すると、本発明の導電体では、樹脂とカーボン粒子をガラス棒で撹拌して混合・硬化するという、非常に簡単な作製方法でもポリマーマトリックス中に導電パスが形成されていると考えられる。
Claims (12)
- カーボン粒子及び樹脂を含む導電体であって、
前記カーボン粒子は、コアと、該コアから伸びる帯状グラファイトとを有する、導電体。 - 前記帯状グラファイトが、幅20〜600nm、長さ0.1〜20μmの形状を有する、請求項1に記載の導電体。
- 前記帯状グラファイトが、1〜50層のグラフェン層を有する、請求項1又は2に記載の導電体。
- 前記カーボン粒子が有する帯状グラファイトが、2〜200本である、請求項1〜3のいずれかに記載の導電体。
- 前記コアがグラファイト構造を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の導電体。
- 前記コアの平均直径が、前記カーボン粒子の平均粒子径の99%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の導電体。
- 前記コアの平均アスペクト比が10以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の導電体。
- 前記カーボン粒子の平均粒子径が1〜40μmである、請求項1〜7のいずれかに記載の導電体。
- 前記カーボン粒子の含有量が、0.05〜15重量%である、請求項1〜8のいずれかに記載の導電体。
- 電磁波シールド材である、請求項1〜9のいずれかに記載の導電体。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の導電体から構成される導電膜。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の導電体の製造方法であって、
前記カーボン粒子と前記樹脂とを混合して混合物を得る工程
を備える、製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014012348A JP2015141746A (ja) | 2014-01-27 | 2014-01-27 | 導電体及びその製造方法 |
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ID=53772004
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017179360A (ja) * | 2016-03-29 | 2017-10-05 | タツタ電線株式会社 | 導電性塗料及びそれを用いたシールドパッケージの製造方法 |
CN111349255A (zh) * | 2020-04-14 | 2020-06-30 | 安徽宇航派蒙健康科技股份有限公司 | 一种石墨烯-聚酰亚胺导电膜及其制备方法 |
-
2014
- 2014-01-27 JP JP2014012348A patent/JP2015141746A/ja active Pending
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