JP2015137909A - エッチングモニタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】干渉を生じさせるマスク領域が存在する場合にも高精度で計測できるエッチングモニタ装置を提供する。
【解決手段】検出された反射干渉スペクトルに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、マスクの厚さtをパラメータの1つに含めた近似式を用いてフィッティングにより推測し、A−B干渉成分信号および直流成分信号を反射干渉スペクトルから除き、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換による光路差解析を行って光路差ごとの強度分布を求め、複合干渉ピークが含まれる光路差解析データを算出し、光路差解析データのピーク位置の光路差を簡易B−C干渉距離として算出し、簡易B−C干渉距離と、パラメータの1つのマスクの厚さtとに基づいて、エッチング深さdを算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エッチングプロセス中に被エッチング面と基板表面との段差であるエッチング深さをリアルタイムでモニタリングするエッチングモニタ装置に関する。
半導体ウェハ等に所望の溝や孔をパターン加工する際に、被エッチング面(溝や孔となる部分)を残して基板表面(エッチング処理が行われない表面)をマスク(フォトレジスト層)で覆ってマスク面とし、エッチングガスを用いてプラズマを発生させ、被エッチング面をエッチングするエッチングプロセスが用いられている。エッチングプロセスでは、被エッチング面を所望の深さまで加工するために、時間とともに変化するエッチング深さをリアルタイムでモニタリングすることが必要になる。
エッチング深さのモニタリングには、マスクで覆われた領域と、被エッチング面の領域との深さの差に伴う光の干渉を利用する方法が利用されている。
このような光干渉を利用したモニタリング方法の中で最も利用されている方法は、単波長の光(単長光)を照射してエッチング深さの変化に伴う干渉強度の時間変化のモニタリングを行い、干渉強度の極大極小の波をカウントすることによりエッチング深さを計測する方法である(特許文献1〜4参照)。以下、単長光が示すエッチング深さ変化に伴う干渉強度の時間変化を利用したモニタリング方法を「時間変化モニタリング法」と称する。
また、光干渉を利用したもう1つのモニタリング方法として、ある程度の波長幅(波長帯域)を持つ光を照射し、その反射干渉スペクトルを利用する方法も開示されている。例えばウェハ表面膜の反射モデルから予測されるモデル予測スペクトル(理論値)を算出しておき、反射干渉光スペクトルの実測結果とのスペクトルフィッティング(カーブフィッティング)によりモニタリングを行う方法が開示されている(特許文献5)。以下、ある程度の波長幅を持つスペクトルが示すスペクトル干渉を利用する方法を「スペクトル干渉法」と称する。
特開2009−164445号公報 特開2009−156876号公報 特開2000−292129号公報 特開平10−325708号公報 特開2004−253516号公報
図3は、被エッチング面を残してSi基板表面をフォトレジストでマスクし、エッチング加工した状態で干渉計測した際の光の反射の様子を示す断面図である。この基板加工領域には、基板表面bと、基板表面bをマスクで覆ったマスク面aと、マスクで覆われていない被エッチング面cとが存在する。
エッチング深さのモニタリングを行うため、この領域に測定光を照射すると、エッチング深さd[μm]、マスク厚さt[μm]の試料の表面からの反射光はマスク表面反射A(反射Aという)、基板表面反射(正確にはマスク/基板界面)B(反射Bという)、被エッチング面反射C(反射Cという)の3つの反射光が観測されることになる。
したがって、光の干渉の時間変化やスペクトル干渉縞は、これら3つの反射光によって出現することになるので、干渉を厳密に解析するにはこれら3つの反射を扱うことが必要になる。
以下に、3つの反射A,B,Cによる反射光について検討する。
反射Aを基準としたそれぞれの反射光の光学的な光路長(光路差)は、マスク材料の屈折率をnとすると、反射Aでは0、反射Bでは2nt、反射Cでは2(d+t)となる。それぞれの反射光は、その振幅をそれぞれA,B,Cとして次式(1)〜(3)で表される。
A: Aexp(kX+ωT+0/λ*2π) …(1)
B: Bexp(kX+ωT+2nt/λ*2π) …(2)
C: Cexp(kX+ωT+2(d+t)/λ*2π) …(3)
ここで、kは波数、Xは位置、ωは周波数、Tは時間である。
反射光の強度はそれぞれを位相も含めて合算し、次式(4)で表される。
|A+B+C|2
=|Aexp(kx+ωt+0/λ*2π)+Bexp(kx+ωt+2nt/λ*2π)+Cexp(kx+ωt+(d+t)/λ*2π)|2
=A2+B2+C2+2ABcos(2nt/λ*2π)+2BCcos(2(d+t-nt)/λ*2π)+2CAcos(2(d+t)/λ*2π)
…(4)

式(4)より、スペクトルにはA−B干渉(a面とb面による干渉)、B−C干渉(b面とc面による干渉)、C−A干渉(c面とa面による干渉)の3つのcos関数(余弦関数)の干渉成分および直流成分(A2+B2+C2)が現れることが分かる。
図3で示した基板加工領域からの反射光を分光測定すると、式(4)に対応したスペクトルが観測されることになる。そしてこの観測スペクトルに含まれるA−B干渉、B−C干渉、C−A干渉の成分が、エッチング深さdおよびレジスト膜厚tに依存して複雑に変動することになる。
ここで、図4(a)に、基板加工領域のエッチング深さdが17μm、レジスト膜厚tが3.3μmであるとしたときに観測される分光スペクトルを示す(観測スペクトル)。この観測スペクトルは式(4)に対応しており、横軸は波長軸としている。
図4(b)は、図4(a)に示したスペクトルデータから、直流成分(式(4)のA2+B2+C2)を除く「正規化」を行った後のスペクトルデータ(干渉縞)を示す図である(正規化スペクトル)。すなわち、図はA−B干渉(a面とb面による干渉)、B−C干渉(b面とc面による干渉)、C−A干渉(c面とa面による干渉)の3つのcos関数(余弦関数)の干渉成分が重ね合わされたスペクトルの波長分布を示している。
上記の観測スペクトルあるいは正規化スペクトルを一見しただけでは、有用な情報は得られない。
しかしながら発明者らは、図4(b)のような正規化スペクトルデータを、横軸を波長軸から周波数軸としたスペクトルデータに変換し、さらに長さ次元の単位であるスペクトルデータに逆フーリエ変換を行うことによって、横軸を光路差(長さ単位)として表現するスペクトルデータ(光路差解析データという)を得ることにより、A−B干渉、B−C干渉、C−A干渉に対応する各干渉信号が、光路差解析データ上で対応する光路差の位置に出現し、これらが複素数の信号として合算されて干渉ピークが変動することを見出した。そしてこの光路差解析データに基づいたエッチング深さのモニタリングについて先に出願している(特願2012−114577号)。
すなわち、エッチング深さdが十分に深く形成されて(d>>2nt)、A−B干渉の影響がB−C干渉、C−A干渉から完全に分離されるようになった後(例えばエッチング深さdが30μm以上、好ましくは40μm以上)は、この光路差解析データを元にして、B−C干渉に融合しているC−A干渉の影響を、補正テーブルを利用して除去する補正を行うことで、真のエッチング深さdを計算できることを開示している。
図4(c)は、図4(b)に示した正規化スペクトルデータを、横軸を周波数軸としたスペクトルデータに変換し、さらに逆フーリエ変換(RFT)を行うことにより、横軸を光路差(長さ単位)としてスペクトル分布を示した光路差解析用スペクトルデータである。なお、便宜上、長さの単位の次元を有する横軸を、「光路差」と同じ次元の「エッチング深さ(Depthと記載)」として表現している。図中には、A−B干渉「1」、B−C干渉「2」、C−A干渉「3」が現れている。ただし、この図4(c)はエッチング深さdが十分に深く形成されていない状態(d=17μm)のときの光路差解析データであり、A−B干渉の影響がB−C干渉、C−A干渉からは完全に分離されていない。
そのため、図4(c)には、3つの干渉ピーク、A−B干渉「1」、B−C干渉「2」、C−A干渉「3」が完全に分離されずに互いに融合している。ここでの干渉ピークの融合は、単純な干渉信号どうしの足し合わせではなく、位相変化も含めた複素振幅としての融合が行われている。なお、副次的に形成されるサイドローブ等に起因する多数の局所ピークも現れているが、これらは干渉ピークに比べて十分に小さいので区別できる。
図5は、式(4)の第二項(2BCcos(2(d+t-nt)/λ*2π))に対応するB−C干渉「2」のピーク位置の時間変化をモニタリングした図である。B−C干渉「2」の位置は一定のエッチング速度でエッチングを行っているにもかかわらず、時間の進行に伴って揺らいでいる。しかも揺らぎには、周期が大きい揺らぎ(振幅も大きい)と、周期が小さい揺らぎ(振幅も小さい)とが存在する。これら二種類の揺らぎが影響することによって、光路差解析データに基づいたエッチング深さ(すなわち光路差)の計測精度を悪化させることになる。
周期が異なる二種類の揺らぎのうち、周期が大きい揺らぎは、B−C干渉「2」にC−A干渉「3」が複素振幅として融合したことの影響によるものである。これについては、本発明の発明者らが先行出願(特願2012−114577号)において揺らぎの原因を説明するとともに、その影響を除去するための解決方法を示している。
すなわち、B−C干渉「2」にC−A干渉「3」が融合することによって受けるピーク位置のずれ量(光路差の変化)は、エッチング深さdに依存せずにマスク厚さtの変化のみに依存するので、マスク厚さtと光路差のずれ量との関係を、予め「補正テーブル」として記憶しておくことで、反射干渉スペクトルをモニタリングするととともに、マスク厚さtを別途にモニタリングすることにより、周期が大きい揺らぎの影響を除いたエッチング深さdを求めることが可能であることが開示されている。
これに対し、周期が小さい揺らぎについては、これまで除去する対策が何もなされていなかった。そこで、本発明は周期が小さい揺らぎを除去することで、計測精度を高めたエッチング深さdのモニタリングを行えるエッチングモニタ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の発明者らは、図5に示した周期の異なる二種類の揺らぎのうち、周期が小さい揺らぎの発生原因について検討した。
周期が小さい揺らぎはエッチング深さdが比較的小さいときに現れ、エッチング深さdがマスク厚さtに比べて十分に大きくなる(d>>2nt)と消える。このことから、A−B干渉のピーク信号のテール部分がB−C干渉(およびC−A干渉)のピーク位置に影響を及ぼすことが原因であることを見出した。
そのため、位相も考慮してA−B干渉の影響をB−C干渉から除去するようにした。
すなわち、上記課題を解決するためになされた本発明の第一のエッチングモニタ装置は、基板表面をマスクで覆ったマスク面と、マスクで覆っていない被エッチング面とが含まれる基板加工領域での前記被エッチング面と、前記基板表面との段差であるエッチング深さをモニタリングするエッチングモニタ装置であって、所定の波長帯域を有する測定光を発生する光源と、前記測定光を前記基板加工領域に照射し、前記マスク面と前記基板表面、前記基板表面と前記被エッチング面、前記被エッチング面と前記マスク面の3組の面の間での反射光の光路差による3種の干渉をそれぞれA−B干渉、B−C干渉、C−A干渉としたときのこれら3種の干渉成分信号および直流成分信号を含んだ反射干渉光を取得する計測光学系と、前記反射干渉光を波長分散させて反射干渉スペクトルを検出する分光部とを備えるようにする。
そして、検出された反射干渉スペクトルに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、前記マスクの厚さtをパラメータの1つに含めた近似式を用いてフィッティングにより推測し、前記A−B干渉成分信号および前記直流成分信号を前記反射干渉スペクトルから除いて、残りの干渉成分信号からなる「正規化残存干渉スペクトルデータ」を算出するフィッティング処理部と、前記「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換による光路差解析を行って光路差ごとの強度分布を求め、B−C干渉成分とC−A干渉成分とによる1つまたは2つの複合干渉ピークが含まれる「光路差解析データ」を算出する光路差解析部と、前記「光路差解析データ」から、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピークを抽出し、当該ピークのピーク位置の光路差を「簡易B−C干渉距離」として算出する簡易B−C干渉距離算出部と、前記「簡易B−C干渉距離」と、前記近似式のパラメータの1つとして決定したマスクの厚さtとに基づいて、エッチング深さdを算出するエッチング深さ算出部とを備えるようにしている。
ここで、マスクの厚さtをパラメータとして含めたフィッティングに用いる近似式については、次式を用いるのが好ましい(後述する第二、第三のエッチングモニタ装置でも同様である)。
X+Ycos(2nt1/λ*2π) …(F1)
ただし、X,Y,tの3つのパラメータは、
X: 直流成分信号の係数パラメータ
Y: A−B干渉成分信号の係数パラメータ
: マスク厚さのパラメータ
である。
本発明によれば、分光部によって検出された反射干渉スペクトル(横軸が波長軸)に対し、マスク厚さtをパラメータの1つに含めた近似式を用いて、A−B干渉成分信号および直流成分信号を、フィッティングにより推測する。
フィッティングには、反射干渉スペクトルに含まれるA−B干渉成分と直流成分を除去するのに適した近似式を用いればよい。例えば上述した式(F1)を用いることができる。この場合、Xは式(4)の直流成分「A2+B2+C2」に相当するパラメータであり、Yは式(4)の第二項の「2BC」に相当する係数パラメータであり、tは式(4)のマスク厚さ「t」に相当するパラメータとなる。
フィッティング処理は、具体的には、フィッティングの対象の観測スペクトルと(F1)等のフィッティングのための近似式との平均二乗誤差が最小となるように、近似式に含まれる「X,Y,t」等のパラメータの値を求める処理を行う。なお、フィッティングの対象にしていないB−C干渉成分、C−A干渉成分は、A−B干渉に比べて振幅が小さくしかも周期が小さいため、式(F1)でフィッティングしたときにキャンセルされ、うまくフィッティングされるようになる。
そしてフィッティングで求めたA−B干渉成分信号および直流成分信号を、観測スペクトルから除いて、残りの干渉信号、すなわちB−C干渉成分信号とC−A干渉成分信号とからなる「正規化残存干渉スペクトルデータ」を算出する。
続いて、「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換による光路差解析を行って光路差ごとの強度分布を求め、A−B干渉が除かれた残りのB−C干渉成分とC−A干渉成分とが複素数として合算された1つまたは2つの複合干渉ピークが含まれる「光路差解析データ」を算出する。この複合干渉ピークでは、A−B干渉のテール部分の信号が除去されている。
続いて、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピーク(2つピークの場合は低周波側に存在しかつ信号が大きいピーク)を抽出し、当該ピークのピーク位置の光路差を「簡易B−C干渉距離」として算出する。ここでの光路差を「簡易B−C干渉距離」と呼ぶのは、複合干渉ピークは、B−C干渉とC−A干渉とが融合されており、単独のB−C干渉距離とは、厳密には異なるためこのように呼ぶ。
続いて、「簡易B−C干渉距離」と、フィッティング式のパラメータの1つとして決定したマスク厚さtとに基づいて、エッチング深さdを算出する。すなわちエッチング深さdは簡易B−C干渉距離と図3に示した光学的関係によって関係付けられているので、マスク厚さtを用いた計算により(マスクの屈折率nは既知として)エッチング深さdが求められる。
本発明によれば、エッチング深さdをモニタリングする際に、周期が異なる二種類の揺らぎの影響を受けるが、これらのうち、周期が小さい側の揺らぎ、すなわちA−B干渉のテール部分がB−C干渉に含まれることによる揺らぎを除去した上でエッチング深さdを算出することができるので、計測精度を高めたエッチングモニタ計測装置を提供することができるようになる。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の第二のエッチングモニタ装置は、基板表面をマスクで覆ったマスク面と、マスクで覆っていない被エッチング面とが含まれる基板加工領域での前記被エッチング面と、前記基板表面との段差であるエッチング深さをモニタリングするエッチングモニタ装置であって、所定の波長帯域を有する測定光を発生する光源と、前記測定光を前記基板加工領域に照射し、前記マスク面と前記基板表面、前記基板表面と前記被エッチング面、前記被エッチング面と前記マスク面の3組の面の間での反射光の光路差による3種の干渉をそれぞれA−B干渉、B−C干渉、C−A干渉としたときのこれら3種の干渉成分信号を含んだ反射干渉光を取得する計測光学系と、前記反射干渉光を波長分散させて反射干渉スペクトルを検出する分光部と、検出された反射干渉スペクトルに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、前記マスクの厚さtをパラメータの1つに含めた近似式を用いてフィッティングにより推測し、前記A−B干渉成分信号および前記直流成分信号を前記反射干渉スペクトルから除いて、残りの干渉成分信号からなる「正規化残存干渉スペクトルデータ」を算出するフィッティング処理部と、前記「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換による光路差解析を行って光路差ごとの強度分布を求め、B−C干渉成分とC−A干渉成分とによる1つまたは2つの複合干渉ピークが含まれる「光路差解析データ」を算出する光路差解析部と、前記「光路差解析データ」から、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピークを「補正前ピーク」として抽出し、当該「補正前ピーク」のピーク位置の光路差を「補正前B−C干渉距離」として算出する補正前B−C干渉距離算出部と、前記C−A干渉成分が前記「補正前B−C干渉距離」に与えた光路差のずれ量と前記マスクのマスク厚さとの関係を算出して「補正テーブル」として記憶させる補正テーブル部と、前記マスク厚さtと前記補正テーブルとから前記「光路差のずれ量」を算出し、前記補正前B−C干渉距離を当該「光路差のずれ量」で補正した「補正後B−C干渉距離」を算出するB−C干渉距離真値算出部と、前記「補正後B−C干渉距離」と前記マスク厚さtとからエッチング深さdを算出するエッチング深さ算出部とを備えるようにしている。
第二のエッチングモニタ装置によれば、第一のエッチングモニタ装置の発明と同様の手法による演算によって「光路差解析データ」が算出される。
続いて、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピーク(2つピークの場合は低周波側に存在しかつ信号が大きいピーク)を抽出し、当該ピークのピーク位置の光路差を「補正前B−C干渉距離」として算出する。これは上記発明(第一のエッチングモニタ装置)における「簡易B−C干渉距離」を「補正前B−C干渉距離」言い換えただけで実質的に同じ距離を示すものである。
「補正前B−C干渉距離」の光路差(横軸の値)は、C−A干渉が融合していないB−C干渉成分だけの単独ピークを仮定した場合の光路差(真のB−C干渉距離の光路差)を基準にして、C−A干渉の影響を「光路差のずれ量」(解析誤差)として加減された値である。
後述する式(16)によって詳述するが、マスク面aと基板表面bとの光路差ntに起因する光路差の解析誤差を求めた結果、マスク面aの反射光の強度Aと基板表面bの反射光の強度Bとの比(式(1)(2)における振幅A,Bの比A/B)が一定で、マスク材料の屈折率nが一定であれば、「光路差のずれ量」は理論計算で求めることができ、しかもこの値は、マスク材料(屈折率n)、マスク厚さtに依存するが、エッチング深さdや被エッチング面からの反射光の強度C(式(3)の振幅C)には依存しない。
そこで、「補正テーブル」として、マスク厚さtに対する「光路差のずれ量」を算出して記憶しておき、エッチング中にマスク厚さtだけを別の手段で独立にモニタリングすることで、補正テーブルから「光路差のずれ量」を算出することができるようになる。
本発明では、マスク厚さtをフィッティング式のパラメータの1つとして求めているので、このtを利用して「補正テーブル」を参照することで、「光路差のずれ量」を算出することができる。そして「補正前B−C干渉距離」に対し「光路差のずれ量」を補正することにより、真のB−C干渉距離である「補正後B−C干渉距離」が求められる。この「補正後B−C干渉距離」は、A−B干渉のテール部分の影響に起因する周期の小さい揺らぎだけでなく、C−A干渉の影響による周期の大きい揺らぎも除かれた干渉距離である。
このようにして算出された「補正後B−C干渉距離」と、図3に示した光学的関係とに基づいて、(マスクの屈折率nは既知として)正確なエッチング深さdを求めることができる。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の第三のエッチングモニタ装置は、基板表面をマスクで覆ったマスク面と、マスクで覆っていない被エッチング面とが含まれる基板加工領域での前記被エッチング面と、前記基板表面との段差であるエッチング深さをモニタリングするエッチングモニタ装置であって、所定の波長帯域を有する測定光を発生する光源と、前記測定光を前記基板加工領域に照射し、前記マスク面と前記基板表面、前記基板表面と前記被エッチング面、前記被エッチング面と前記マスク面の3組の面の間での反射光の光路差による3種の干渉をそれぞれA−B干渉、B−C干渉、C−A干渉としたときのこれら3種の干渉成分信号を含んだ反射干渉光を取得する計測光学系と、前記反射干渉光を波長分散させて反射干渉スペクトルを検出する分光部と、検出された反射干渉スペクトルに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、前記マスクの厚さtをパラメータの1つに含めた近似式を用いてフィッティングにより推測し、前記A−B干渉成分信号および前記直流成分信号を前記反射干渉スペクトルから除いて、残りの干渉成分信号からなる「正規化残存干渉スペクトルデータ」を算出するフィッティング処理部と、前記「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換による光路差解析を行って光路差ごとの強度分布を求め、B−C干渉成分とC−A干渉成分とによる1つまたは2つの複合干渉ピークが含まれる「光路差解析データ」を算出する光路差解析部と、前記「光路差解析データ」から、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピークを「補正前ピーク」として抽出し、当該「補正前ピーク」のピーク位置の光路差を「補正前B−C干渉距離」として算出する補正前B−C干渉距離算出部と、前記C−A干渉成分が前記「補正前B−C干渉距離」に与えた「光路差のずれ量」と前記マスクのマスク厚さとの関係を算出して「補正テーブル」として記憶させる補正テーブル部と、前記3種の干渉成分信号を含んだ反射干渉光を取得する計測光学系とは独立に基板表面のマスクの厚さを第二マスク厚さtとして算出するマスク厚さ計測部と、前記第二マスク厚さtと前記「補正テーブル」とから前記「光路差のずれ量」を算出し、前記「補正前B−C干渉距離」を当該「光路差のずれ量」で補正した補正後B−C干渉距離を算出するB−C干渉距離真値算出部と、前記補正後B−C干渉距離と前記第二マスク厚さtとからエッチング深さdを算出するエッチング深さ算出部とを備えるようにしている。
第二のエッチングモニタ装置では、「補正テーブル」を参照する際に、マスク厚さtとして、フィッティング式のパラメータの1つであるマスク厚さtを利用した。そして、第三のエッチングモニタ装置では、独立に第二マスク厚さtを測定し、補正テーブルを参照するようにしている。
第二マスク厚さtモニタリング方法としては、基板表面bにマスクが塗布されたマスク面aに対し、基板加工領域に照射する測定光とは別のマスク厚用測定光を照射して周知の光学的な干渉計測法を採用することができる。この測定は基板表面bとマスク面aとの2つの面だけによる単純な干渉であるので、例えば従来技術として説明した時間変化モニタリング法等で簡単に測定できる。
本発明の第一実施形態であるエッチングモニタ装置の構成を示す図。 図1の装置によるモニタリング動作を説明するフローチャート。 基板加工領域の断面および干渉光の反射状態を示す図。 基板加工領域に波長810nm〜890nmの波長帯域の測定光を照射して計測した際の反射干渉スペクトル(a)と、フィッティング処理を行わない場合の正規化スペクトル(b)、光路差解析用スペクトル(c)の図(エッチング深さ17μm、マスク厚さ3.3μm)。 B−C干渉のピーク位置の時間変化をモニタリングした図。 基板加工領域に波長800nm〜900nmの波長帯域の測定光を照射して計測した際の反射干渉スペクトル(a)と、フィッティング処理を行った場合の正規化スペクトル(b)、光路差解析用スペクトル(c)の図(エッチング深さ17μm、マスク厚さ3.3μm)。 フィッティング処理した後のB−C干渉のピーク位置の時間変化をモニタリングした図。 2つのガウシアンを複素振幅の重ね合わせにより融合した模式図。 検出最大ピーク位置xを、真値とxのずれ量X=x-2(t+d-nt)に座標変換したときの強度分布f(X)を示す図。 マスク厚さtに対する補正値Xの補正テーブルの一例を示す図。 本発明の第二実施形態であるエッチングモニタ装置の構成を示す図。 図11の装置によるモニタリング動作を説明するフローチャート。 本発明の第三の実施形態であるエッチングモニタ装置の構成を示す図。 図13の装置によるモニタリング動作を説明するフローチャート。
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、最初に本発明で採用するフィッティングを行った光路差解析(図6参照)を、フィッティングを行わない光路差解析(図4参照)と比較することにより説明を行う。
(光路差解析データの具体例)
図6(a)は、基板加工領域のエッチング深さdが17μm、マスク厚さtが3.3μmであるときに観測される分光スペクトル(観測スペクトル)である。これは図4(a)と同じスペクトルであり、ここでの横軸は波長軸である。
図6(b)は、図6(a)に示したスペクトルデータに対し、これに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、マスク厚さtをパラメータの1つに含めた式(F1)を用いてフィッティングにより推測し、当該スペクトルデータからA−B干渉成分信号および直流成分信号を除去することにより求めた「正規化残存干渉スペクトルデータ」である。なお、フィッティングは、既述のように、平均二乗誤差が最少になるように式(F1)のパラメータを決定することにより行われる。したがって図6(b)のスペクトルデータには、残存するB−C干渉とC−A干渉による干渉スペクトルが含まれている。
これに対し、直流成分を除去する正規化だけが行われ、B−C干渉、C−A干渉とともに、A−B干渉成分信号が含まれている図4(b)の「正規化スペクトルデータ」に比べて、ピーク波形が小さくなっている。
図6(c)は、図6(b)の「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換(RFT)による光路差解析を行ったときの光路差ごとのスペクトル強度分布である「光路差解析データ」を示している。横軸は長さの単位の次元を有する光路差であるが、図4(c)と同様に、便宜上、エッチング深さ(Depthと記載)として表現している。ここには、残存するB−C干渉とC−A干渉とが複素数として合算されたピークであるB−C干渉ピーク「2」とC−A干渉ピーク「3」が現れているが、除去されたA−B干渉の干渉ピークは出現していない。図6(c)では、A−B干渉が除去されたため、B−C干渉ピーク「2」とC−A干渉ピーク「3」へのA−B干渉のテール部分の影響が除去できている。
一方、フィッティングを行わっていない図4(c)ではA−B干渉の干渉ピーク「1」が出現し、そのテール部分がB−C干渉ピーク「2」とC−A干渉ピーク「3」の位置まで広がっている。
図7は、フィッティングによりA−B干渉を除去したときの式(4)の第二項(2BCcos(2(d+t-nt)/λ*2π))に対応するB−C干渉「2」のピーク位置の時間変化をモニタリングした図である。フィッティングを行わずに式(4)の第二項に対応するB−C干渉「2」のピーク位置の時間変化をモニタリングした図5と比較すると、A−B干渉のテール部分が除去されたことによって、エッチング深さが浅い部分(エッチング深さ20〜25μmの範囲)に出現していた周期が小さい揺らぎが消失している。
以上のことから、A−B干渉を除去することにより、周期の小さい揺らぎが除去できている。なお、図7にも見られるように周期が大きい揺らぎは残る。
周期が大きい揺らぎについては、本発明の発明者らが先行出願(特願2012−114577号)で示した処理方法を利用すれば除去することができる。
そこで、以下に説明する実施形態のうち、第一の実施形態では、周期が小さい揺らぎのみを除去してモニタリングするエッチングモニタ装置を説明し、第二、第三の実施形態では、さらに周期が大きい揺らぎも除去してモニタリングするエッチングモニタ装置について説明する。
<第一の実施形態>
(装置構成)
ここでは、A−B干渉に起因する周期が小さい揺らぎを除去した上でモニタリングを行うエッチングモニタ装置について説明する。図1は、本発明の第一の実施形態であるエッチングモニタ装置10aの概略構成図である。このエッチングモニタ装置10aは、例えばプラズマエッチング装置により試料12に形成されるトレンチ溝など、時々刻々と変化するエッチング深さをモニタリングする装置である。エッチングモニタ装置10aは、光源11と、計測光学系13と、分光部14と、データ処理部15aとを備える。光源11と計測光学系13、計測光学系13と分光部14とは、光ファイバ16を介して接続されている。
光源11としては、反射干渉スペクトルが測定できる帯域を有すればよく、例えば810nm〜890nmの波長帯域の測定光を照射できるスーパールミネセントダイオード(SLD)や、同程度の波長帯域を有するその他の光源が用いられる。この光源11から発せられた測定光は入射側光ファイバ16に取り込まれ、ファイバカプラ17を介して光ファイバ18中を進行し、光ファイバ18先端より空間に射出される。光ファイバ18端部から出射された測定光は、コリメートレンズ19を介して試料12の基板加工領域の上に照射される。
試料12の基板加工領域からは、図3で説明したように、マスク表面反射A、基板表面反射B、被エッチング面反射Cの3つの反射光が観測され、これらがA−B干渉、B−C干渉、C−A干渉を生じさせる。これら3つの反射光は、コリメートレンズ19を光照射時とは逆に辿って光ファイバ18に入射する。そして、ファイバカプラ17を経て分光部14に達する。光ファイバ18を通って分光部14に達するまでに、反射光は十分に干渉し干渉光となる。
分光部14において干渉光は回折格子29等の分光手段により波長分散され、CCDラインセンサ等のアレイ検出器30により所定の波長帯域の光が同時に検出される。アレイ検出器30による各波長に対応した検出信号(すなわち反射干渉スペクトル)はデータ処理部15aに入力される。
データ処理部15aはパーソナルコンピュータからなり、予めインストールされたデータ処理用ソフトウエアを実行することにより、データ処理部15aとしての演算処理を実行するようにしてある。
データ処理部15aが実行する演算処理を機能ごとにブロック化して説明すると、フィッティング処理部50と、光路差解析部51と、簡易B−C干渉距離算出部52aと、エッチング深さ算出部55aとを備えている。
フィッティング処理部50は、分光部14によって検出された信号である反射干渉スペクトルデータ(横軸が波長軸)を用いて、これに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、マスク(レジスト層24)の厚さt、および、直流成分信号の係数パラメータX、A−B干渉成分信号の係数パラメータYの3つのパラメータを含めた近似式(F1)を用いてフィッティングを行い、このフィッティングにより求められたパラメータ値と式(F1)とにより、A−B干渉成分信号および直流成分信号を反射干渉スペクトルデータから除去する演算を行うようにして、残りの干渉成分信号(B−C干渉成分信号およびC−A干渉成分信号)からなる「正規化残存干渉スペクトルデータ」を算出する演算を行う。
光路差解析部51は、「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換を行うことにより、光路差ごとのスペクトル強度分布を示した「光路差解析データ」を算出する演算を行う。算出された「光路差解析データ」には、B−C干渉成分による干渉ピークと、C−A干渉成分による干渉ピークとが複素数として合算されて融合し、1つに統合された複合干渉ピーク、または2つに分離された複合干渉ピークが現れる。
簡易B−C干渉距離算出部52aは、「光路差解析データ」に含まれる複合干渉ピークから、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピークを抽出し、当該ピークのピーク位置の光路差を「簡易B−C干渉距離」として算出する演算を行う。複合干渉ピークが1つに統合されているときは当該ピークが「主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピーク」として選択され、2つに分離されているときは、光路差が小さい側に現れるピークが「主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピーク」であるとして選択される(B−C干渉は本質的にC−A干渉よりマスク分の光路差だけ短いため必ず光路差が小さい側に現れる)。
本実施形態では、選択された複合干渉ピークのピーク位置の光路差を「簡易B−C干渉距離」と呼び、C−A干渉がB−C干渉に与える影響を補正することなく、そのまま次のエッチング深さdの演算に用いるようにしている。
エッチング深さ算出部55aは、上記演算で求めた「簡易B−C干渉距離」と、近似式(F1)のパラメータの1つとして決定したマスク厚さtとに基づいて、エッチング深さdを算出する演算を行う。
すなわち、算出された簡易B−C干渉距離d’は、図3に示される光学的関係から、エッチング深さd、マスク厚さt、マスク屈折率nを用いた、
d'=2(d+t-nt) …(5)
となる関係を有するので、エッチング深さdは、簡易B−C干渉距離d’とマスク厚さtとから、
d=(d'/2)-t+nt …(6)
を計算することにより求められる。
次に、エッチングモニタ装置10aによる計測動作手順について、図2のフローチャートを参照しつつ説明する。
エッチングが開始されて同時にトレンチ深さの計測が開始されると、データ処理部15は観測信号をモニタリングする(S101)。具体的には分光部14のアレイ検出器30で810nm〜890nmの波長範囲にわたって分光された観測信号を採取し、これにより所定時間間隔ごとに観測スペクトルデータを取り込む処理を行う。
取り込まれた観測スペクトルデータは、例えば図6(a)のように横軸が波長軸のデータとして蓄積される。
続いて、観測スペクトルデータに対し、近似式である式(F1)を用いてフィッティングを行い、近似式(F1)の3つのパラメータt,X,Yを決定し、当該近似式を用いてA−B干渉成分信号および直流成分信号を観測スペクトルデータから除去する演算を行う(S102)。これにより「正規化残存干渉スペクトルデータ」が算出される。例えば図6(b)のような横軸が波長軸のデータとして蓄積される。
続いて、「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行い、さらに逆フーリエ変換を行うことにより、横軸を光路差(長さ)とした「光路差解析データ」を算出する(S103)。この「光路差解析データ」には、B−C干渉とC−A干渉との干渉ピークとが複素数として重ね合わされて融合し、1つに統合された複合干渉ピーク、または2つに分離された複合干渉ピークが現れる。
続いて、「光路差解析データ」に現れる複合干渉ピークから、主にB−C干渉成分信号を含んだ複合干渉ピークを抽出し、そのピーク位置の横軸(光路差)の値から「簡易B−C干渉距離d’」を算出する(S104)。
続いて、「簡易B−C干渉距離d’」と、近似式(F1)で求めた「パラメータt」とに基づいて、式(6)によりエッチング深さdを算出する(S105)。
以上の処理を実行することによりエッチングモニタ装置10aは、リアルタイムでエッチング深さdをモニタリングすることができる。
このようにしていられたエッチング深さdは、図5に見られたA−B干渉に起因する周期の小さい揺らぎの影響が除去されているので計測精度が向上する。
<第二の実施形態>
ところで、エッチングモニタ装置10aでのデータ処理では、図7に見られるような周期の大きな揺らぎの影響は除去されていない。
そこで、以下に説明する第二の実施形態では、本発明の発明者らが先行出願(特願2012−114577号)で示した解決方法も利用して、周期が大きい揺らぎを除去した上でエッチング深さdをモニタするエッチングモニタ装置を実現するようにしている。
(B−C干渉とC−A干渉による揺らぎ)
再び、図6(c)の「光路差解析データ」を参照すると、データ中のB−C干渉ピーク「2」とC−A干渉ピーク「3」は、単純なガウス型ではなく、2つのガウス型が融合した複合干渉ピークの形状をしている。これは、図3においてエッチング深さd、マスク厚さt、マスク屈折率nとして、光路差のピーク位置が2(d+t-nt)[μm]であるB−C干渉と、ピーク位置が2(d+t)[μm]のC−A干渉とが複素振幅の重ね合わせにより融合したものである。融合後のピーク位置(信号の最大値を示す位置)は、2(d+t-nt)[μm]または2(d+t)[μm]のどちらも示さない。
図8に、2つのガウシアンを複素振幅の重ね合わせにより融合した模式図を示す。図3から明らかなように、B−C干渉はC−A干渉と比較すると、マスク分だけ干渉距離が短く、またマスク面aよりも基板表面b(マスク/基板界面)の反射率が高いため、逆フーリエ変換(RFT)による光路差解析後の図6(c)の「光路差解析データ」では、B−C干渉は光路差が小さい側(左側)に、C−A干渉よりも大きい強度で出現し、光路差が大きい側(右側)にC−A干渉が出現する。したがってピークが2つ存在する場合に、いずれのピークが主にB−C干渉成分によるものであるかは容易に決定できる。なお、B−C干渉、C−A干渉の成分は複素振幅の重ね合わせとなるため、図8(a)に示すように弱めあい、B−C干渉のピーク位置が本来の位置よりも短距離側に検出される場合と、図8(b)に示すように互いに強めあい、B−C干渉のピーク位置が本来の位置よりも長距離側に検出される場合があり、マスク厚さtの厚みが測定波長の半分(光路長が往復となるため)の周期で2つの状態間を繰り返す。その際に、融合されたピークが1つになったり2つに分離したりする。このように複素数として重ね合わされている複合干渉ピークに対し、通常の単純なピーク分離法を用いて分離することは不可能である。そしてこの融合するピークの影響がB−C干渉をモニタする際に、大きい周期の揺らぎとして現れる。
この周期の大きい揺らぎの変動量は、B−C干渉にC−A干渉が融合したときに、C−A干渉の影響でB−C干渉のピーク位置がずれた量であると見ることができる。
そこで、C−A干渉によるB−C干渉のずれ量について解析する。
(光路差のずれの定量的解析)
そこで、測定されたピーク位置の、真のピーク位置に対するずれの量を定量的に見積もることを検討する。A,B,Cの3つの光波が足し合わされた信号強度Iは、光源のスペクトル形状を幅σのガウシアンと仮定する。
すると、式(4)を用いて、次式(11a)で表される。
Figure 2015137909
ここで、cos波のx軸を線形にプロットするために、波長λ軸を波数ω(=1/λ軸)に変換し、式(11b)を得る。
Figure 2015137909
直流成分を除き、干渉成分のみを考える(正規化)と、取得スペクトルs(ω)は、式(12)となる。
Figure 2015137909
式(12)の逆フーリエ変換S(x)を考える。まず、Pcos(Lω2π)exp{-a(ω-ωc)2}の逆フーリエ変換は、式(13)となる。
Figure 2015137909
帯域σのガウシアンは式(13)で、a=1/σ2なので、干渉信号s(ω)の逆フーリエ変換S(x)は、式(14)となる。
Figure 2015137909
ここで、エッチングが十分に進行し、エッチング深さdがマスク厚さtよりも十分に大きくなったとき、つまり2nt<<dのとき、図9に示すように検出最大ピーク位置xを、真値とxのずれ量X=x-2(t+d-nt)に座標変換すると、X=0付近では第一項はゼロと考えられるために省略し、式(3)の第二項、第三項のみを考えると、その強度分布f(X)は、式(15)で与えられる。
Figure 2015137909
Figure 2015137909
式(16)よりX、つまり真値とのずれ量はマスク厚さt、マスク材料(屈折率nおよび反射率A,B)、光源の帯域σ(または光源のスペクトル形状)にのみ依存し、エッチング深さdや被エッチング材料からの反射光量Cには依存しないことが分かる。
したがって、式(16)の解を補正値として用いることにより、B−C干渉、C−A干渉が混在したスペクトルデータ(干渉縞)を、逆フーリエ変換(RFT)による光路差解析結果のピーク位置を元にして上記補正値で補正することで、真の解(補正後B−C干渉距離)を得ることができる。
ただし、式(16)は解析的に解くことは困難であるので、補正式を記憶させて用いるのではなく、図10に示すような実測スペクトルを基に数値解を計算した結果である「マスク厚さtに対する位置ずれ量(補正値X)の補正テーブル」を記憶しておき、光路差解析結果に適用することによって、真の解を求めることになる。
算出された真の解である補正後B−C干渉距離d’は、図3に示される光学的関係から、
d'=2(d+t-nt) …(17)
となるので、エッチング深さdは、補正後B−C干渉距離d’とマスク厚さtとから、
d=(d'/2)-t+nt …(18)
を計算することにより求められる。
したがって、エッチングモニタ装置に「マスク厚さtに対する位置ずれ量(補正値X)の補正テーブル」を記憶させておき、マスク厚さtをリアルタイムでモニタリングすれば、補正後B−C干渉距離d’がリアルタイムで算出され、ひいてはエッチング深さdがリアルタイムでモニタリングできるようになる。
(装置構成)
そこで、A−B干渉に起因する周期が小さい揺らぎとともに、「補正テーブル」を利用してC−A干渉に起因する周期が大きい揺らぎを除去した上でモニタリングを行うエッチングモニタ装置について説明する。図11は本発明の第二の実施形態であるエッチングモニタ装置10bの概略構成図である。エッチングモニタ装置10bは、図1で説明したエッチングモニタ装置10aと比較すると、データ処理部15aをデータ処理部15bに代えた点以外については同じ構成であるので、同一部分については同符号を付すことにより説明の一部を省略する。
データ処理部15bはパーソナルコンピュータからなり、予めインストールされたデータ処理用ソフトウエアを実行することにより演算処理を実行するようにしてある。
そしてデータ処理部15bが実行する演算処理を機能ごとにブロック化して説明すると、フィッティング処理部50と、光路差解析部51と、補正前B−C干渉距離算出部52bと、B−C干渉距離真値算出部54bと、エッチング深さ算出部55bと、補正テーブル部56とを備えている。
フィッティング処理部50は、分光部14によって検出された信号である反射干渉スペクトルデータ(横軸が波長軸)を用いて、これに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、マスク(レジスト層24)の厚さt、および、直流成分信号の係数パラメータX、A−B干渉成分信号の係数パラメータYの3つのパラメータを含めた近似式(F1)を用いてフィッティングを行い、フィッティングにより求められたパラメータ値と式(F1)とにより、A−B干渉成分信号および直流成分信号を反射干渉スペクトルデータから除去する演算を行うようにして、残りの干渉成分信号(B−C干渉成分信号およびC−A干渉成分信号)からなる「正規化残存干渉スペクトルデータ」を算出する演算を行う。
光路差解析部51は、「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換を行うことにより、光路差ごとのスペクトル強度分布を示した「光路差解析データ」を算出する演算を行う。算出された「光路差解析データ」には、B−C干渉成分による干渉ピークと、C−A干渉成分による干渉ピークとが複素数として合算されて融合し、1つに統合された複合干渉ピーク、または2つに分離された複合干渉ピークが現れる。
補正前B−C干渉距離算出部52bは、「光路差解析データ」に含まれる複合干渉ピークから、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピーク(「補正前ピーク」とも称する)を抽出し、当該ピークのピーク位置の光路差を「補正前B−C干渉距離」として算出する演算を行う。具体的には、複合干渉ピークが1つに統合されているとき(図8(b)参照)は当該ピークが「補正前ピーク」として選択され、2つに分離されているとき(図8(a)参照)は、光路差が小さい側に現れるピークが「補正前ピーク」として選択され(B−C干渉は本質的にC−A干渉よりマスク分の光路差だけ短いため光路差が小さい側に現れる)、そのピーク位置の光路差(横軸)を、「補正前B−C干渉距離」として算出する。
補正テーブル部56は、予め、C−A干渉成分が「補正前B−C干渉距離」に与えた「光路差のずれ量」とマスク厚さtとの関係を式(16)により数値解で算出し、「補正テーブル」としてデータ処理部15bのメモリに記憶する。なお、マスク材料を変更した場合のために、式(16)を記憶させて、必要なときにマスクの屈折率n、反射率A,B、光源の波長帯域σを入力すれば数値解を算出できるようにしておき、補正テーブルを更新するようにしてもよい。
B−C干渉距離真値算出部54bは、フィッティング処理部50でフィッティングの際に算出されたマスク厚さtと「補正テーブル」とから、「光路差のずれ量」を算出し、「補正前B−C干渉距離」を「光路差のずれ量」で補正した「補正後B−C干渉距離」を算出する演算を行う。
エッチング深さ算出部55は、「補正後B−C干渉距離」とマスク厚さtとから、式(18)によりエッチング深さdを算出する演算を行う。
次に、エッチングモニタ装置10bによる計測動作手順について、図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
エッチングが開始されてトレンチ溝の深さの計測が開始されると、データ処理部15bは観測信号をモニタリングする(S201)。具体的には分光部14のアレイ検出器30で810nm〜890nmの波長範囲にわたって分光された観測信号を採取し、これにより所定時間間隔ごとに観測スペクトルデータを取り込む処理を行う。
続いて、観測スペクトルデータに対し、近似式である式(F1)を用いてフィッティングを行い、近似式(F1)の3つのパラメータt,X,Yを決定し、当該近似式を用いてA−B干渉成分信号および直流成分信号を観測スペクトルデータから除去する演算を行う(S202)。これにより「正規化残存干渉スペクトルデータ」が算出される。また、近似式(F1)のパラメータの1つであるマスク厚さtも算出される。
続いて、「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行い、さらに逆フーリエ変換を行うことにより、横軸を光路差(長さ)とした「光路差解析データ」を算出する(S203)。この「光路差解析データ」には、B−C干渉とC−A干渉との干渉ピークとが複素数として重ね合わされて融合し、1つに統合された複合干渉ピーク、または2つに分離された複合干渉ピークが現れる。
続いて、「光路差解析データ」に現れる複合干渉ピークから、主にB−C干渉成分信号を含んだ複合干渉ピーク(「補正前ピーク」)を抽出し、そのピーク位置の横軸(光路差)の値から「補正前B−C干渉距離d’」を算出する(S204)。
続いて、「補正テーブル」とマスク厚さtとにより「光路差のずれ量」を求め、「補正前B−C干渉距離d’」に対し、「光路差のずれ量」を補正することにより、「補正後B−C干渉距離」を算出する(S205)。
この補正によりC−A干渉の影響が除去されたB−C干渉距離の真値が求められる。
続いて、「補正後B−C干渉距離d’」と、近似式(F1)のパラメータであるマスク厚さtとに基づいて、式(18)によりエッチング深さdを算出する(S206)。
以上の処理を実行することによりエッチングモニタ装置10bは、リアルタイムでエッチング深さdをモニタリングすることができる。
このようにしていられたエッチング深さdは、図5に見られるA−B干渉に起因する周期の小さい揺らぎの影響が除去されているだけでなく、図7に見られる大きい揺らぎの影響も除去された上で計測されることになり、計測精度が向上する。
<第三の実施形態>
第二の実施形態のエッチングモニタ装置10bでは、「補正テーブル」を参照するときのマスク厚さtとして、フィッティング式(F1)のパラメータのマスク厚さtを利用した。
これに対し、「補正テーブル」を参照するときのマスク厚さtとして、独立して測定した第二マスク厚さtを用いるようにしてもよい。以下、第三の実施形態について説明する。
(装置構成)
図13は本発明の第三の実施形態であるエッチングモニタ装置10cの概略構成図である。なお、図1,11で説明したエッチングモニタ装置10a,10bと同一部分については同符号を付すことにより説明の一部を省略する。
エッチングモニタ装置10cでは、計測光学系13とは別に、マスクの厚さを光学的に計測するためのマスク計測部40が設けられている。このマスク計測部40は、例えば、光源41、光ファイバ42、ファイバカプラ43、コリメートレンズ44、分光器45、検出器46からなり、時間変化モニタリング法による干渉測定が行われる。すなわち、光源41から単波長の測定光が照射され、基板23、レジスト層24(マスク面)で反射された測定光が検出器46で検出され、データ処理部15cに入力される。
なお、マスク計測部40によるマスク厚さの光学的な計測についてはこれに限られず、スペクトル反射法による計測であってもよい。具体的には、例えば前記特許文献3に記載されているスペクトル反射法でのマスク厚さの測定手法を用いてもよい。
データ処理部15cはパーソナルコンピュータからなり、予めインストールされたデータ処理用ソフトウエアを実行することにより演算処理を実行するようにしてある。
そしてデータ処理部15cが実行する演算処理を機能ごとにブロック化して説明すると、フィッティング処理部50と、光路差解析部51と、補正前B−C干渉距離算出部52bと、マスク厚さ計測部53と、B−C干渉距離真値算出部54cと、エッチング深さ算出部55cと、補正テーブル部56とを備えている。
フィッティング処理部50と、光路差解析部51と、補正前B−C干渉距離算出部52bと補正テーブル部56とは、エッチングモニタ装置10bで説明したデータ処理部15bと同じである。
マスク厚さ計測部53は、マスク計測部40からの反射干渉光に基づいて第二マスク厚さtを算出する処理を行う。得られた第二マスク厚さtは、「補正テーブル」を参照するときに用いられる。
B−C干渉距離真値算出部54cは、第二マスク厚さtと「補正テーブル」とから、「光路差のずれ量」を算出し、「補正前B−C干渉距離」を「光路差のずれ量」で補正した「補正後B−C干渉距離」を算出する演算を行う。
エッチング深さ算出部55cは、「補正後B−C干渉距離」と第二マスク厚さtとから、式(18)によりエッチング深さdを算出する演算を行う。
次に、エッチングモニタ装置10cによる計測動作手順について、図14のフローチャートを参照しつつ説明する。
エッチングが開始されて同時にトレンチ深さの計測が開始されると、データ処理部15bは観測信号をモニタリングする(S301)。具体的には分光部14のアレイ検出器30で810nm〜890nmの波長範囲にわたって分光された観測信号を採取し、これにより所定時間間隔ごとに観測スペクトルデータを取り込む処理を行う。
続いて、観測スペクトルデータに対し、近似式である式(F1)を用いてフィッティングを行い、近似式(F1)の3つのパラメータt,X,Yを決定し、当該近似式を用いてA−B干渉成分信号および直流成分信号を観測スペクトルデータから除去する演算を行う(S302)。これにより「正規化残存干渉スペクトルデータ」が算出される。
続いて、「正規化残存干渉スペクトルデータ」に対し、波長−波数変換を行い、さらに逆フーリエ変換を行うことにより、横軸を光路差(長さ)とした「光路差解析データ」を算出する(S303)。この「光路差解析データ」には、B−C干渉とC−A干渉との干渉ピークとが複素数として重ね合わされて融合し、1つに統合された複合干渉ピーク、または2つに分離された複合干渉ピークが現れる。
続いて、「光路差解析データ」に現れる複合干渉ピークから、主にB−C干渉成分信号を含んだ複合干渉ピーク(「補正前ピーク」)を抽出し、そのピーク位置の横軸(光路差)の値から「補正前B−C干渉距離d’」を算出する(S304)。
一方、マスク計測部40により、独立して第二マスク厚さtを計測するための反射干渉信号を取得する(S305)。
そして計測された反射干渉信号に基づいて、時間変化モニタリング法、あるいはスペクトル干渉法により第二マスク厚さtを求める(S306)。
さらに「補正テーブル」と第二マスク厚さtとにより「光路差のずれ量」を算出する(S307)。なお、S305〜S30は、S301〜S304の処理と並行して行われる。
続いて、「補正前B−C干渉距離d’」に対し、「光路差のずれ量」を補正することにより、「補正後B−C干渉距離」を算出する(S308)。
この補正によりC−A干渉の影響が除去されたB−C干渉距離の真値が求められる。
続いて、「補正後B−C干渉距離d’」と、第二マスク厚さtとに基づいて、式(18)によりエッチング深さdを算出する(S309)。
以上の処理を実行することによりエッチングモニタ装置10cは、リアルタイムでエッチング深さdをモニタリングすることができる。
このようにして得られたエッチング深さdは、第二の実施形態と同様に、図5に見られたA−B干渉に起因する周期の小さい揺らぎの影響が除去されているだけでなく、図7に見られる大きい揺らぎの影響も除去された上で計測されることになり計測精度が向上する。
本発明は、エッチングモニタ装置に適用することができる。
10a,10b,10c エッチングモニタ装置
11 スーパールミネセントダイオード(光源)
13 計測光学系
14 分光部
15a,15b,15c データ処理部
40 マスク計測部
50 フィッティング処理部
51 光路差解析部
52a 簡易B−C干渉距離算出部
52b 補正前B−C干渉距離算出部
53 マスク厚さ計測部
54b,54c B−C干渉距離真値算出部
55a,55b,55c エッチング深さ算出部
56 補正テーブル部

Claims (5)

  1. 基板表面をマスクで覆ったマスク面と、マスクで覆っていない被エッチング面とが含まれる基板加工領域での前記被エッチング面と、前記基板表面との段差であるエッチング深さをモニタリングするエッチングモニタ装置であって、
    所定の波長帯域を有する測定光を発生する光源と、
    前記測定光を前記基板加工領域に照射し、前記マスク面と前記基板表面、前記基板表面と前記被エッチング面、前記被エッチング面と前記マスク面の3組の面間での反射光の光路差による3種の干渉をそれぞれA−B干渉、B−C干渉、C−A干渉としたときのこれら3種の干渉成分信号および直流成分信号を含んだ反射干渉光を取得する計測光学系と、
    前記反射干渉光を波長分散させて反射干渉スペクトルを検出する分光部と、
    検出された反射干渉スペクトルに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、前記マスクの厚さtをパラメータの1つに含めた近似式を用いてフィッティングにより推測し、前記A−B干渉成分信号および前記直流成分信号を前記反射干渉スペクトルから除いて、残りの干渉成分信号からなる正規化残存干渉スペクトルデータを算出するフィッティング処理部と、
    前記正規化残存干渉スペクトルデータに対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換による光路差解析を行って光路差ごとの強度分布を求め、B−C干渉成分とC−A干渉成分とによる1つまたは2つの複合干渉ピークが含まれる光路差解析データを算出する光路差解析部と、
    前記光路差解析データから、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピークを抽出し、当該ピークのピーク位置の光路差を簡易B−C干渉距離として算出する簡易B−C干渉距離算出部と、
    前記簡易B−C干渉距離と、前記近似式のパラメータの1つとして決定したマスクの厚さtとに基づいて、エッチング深さdを算出するエッチング深さ算出部とを備えたことを特徴とするエッチングモニタ装置。
  2. 基板表面をマスクで覆ったマスク面と、マスクで覆っていない被エッチング面とが含まれる基板加工領域での前記被エッチング面と、前記基板表面との段差であるエッチング深さをモニタリングするエッチングモニタ装置であって、
    所定の波長帯域を有する測定光を発生する光源と、
    前記測定光を前記基板加工領域に照射し、前記マスク面と前記基板表面、前記基板表面と前記被エッチング面、前記被エッチング面と前記マスク面の3組の面間での反射光の光路差による3種の干渉をそれぞれA−B干渉、B−C干渉、C−A干渉としたときのこれら3種の干渉成分信号を含んだ反射干渉光を取得する計測光学系と、
    前記反射干渉光を波長分散させて反射干渉スペクトルを検出する分光部と、
    検出された反射干渉スペクトルに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、前記マスクの厚さtをパラメータの1つに含めた近似式を用いてフィッティングにより推測し、前記A−B干渉成分信号および前記直流成分信号を前記反射干渉スペクトルから除いて、残りの干渉成分信号からなる正規化残存干渉スペクトルデータを算出するフィッティング処理部と、
    前記正規化残存干渉スペクトルデータに対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換による光路差解析を行って光路差ごとの強度分布を求め、B−C干渉成分とC−A干渉成分とによる1つまたは2つの複合干渉ピークが含まれる光路差解析データを算出する光路差解析部と、
    前記光路差解析データから、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピークを補正前ピークとして抽出し、当該補正前ピークのピーク位置の光路差を補正前B−C干渉距離として算出する補正前B−C干渉距離算出部と、
    前記C−A干渉成分が前記補正前B−C干渉距離に与えた光路差のずれ量と前記マスクのマスク厚さとの関係を算出して補正テーブルとして記憶させる補正テーブル部と、
    前記マスク厚さtと前記補正テーブルとから前記光路差のずれ量を算出し、前記補正前B−C干渉距離を当該光路差のずれ量で補正した補正後B−C干渉距離を算出するB−C干渉距離真値算出部と、
    前記補正後B−C干渉距離と前記マスク厚さtとからエッチング深さdを算出するエッチング深さ算出部とを備えたことを特徴とするエッチングモニタ装置。
  3. 基板表面をマスクで覆ったマスク面と、マスクで覆っていない被エッチング面とが含まれる基板加工領域での前記被エッチング面と、前記基板表面との段差であるエッチング深さをモニタリングするエッチングモニタ装置であって、
    所定の波長帯域を有する測定光を発生する光源と、
    前記測定光を前記基板加工領域に照射し、前記マスク面と前記基板表面、前記基板表面と前記被エッチング面、前記被エッチング面と前記マスク面の3組の面間での反射光の光路差による3種の干渉をそれぞれA−B干渉、B−C干渉、C−A干渉としたときのこれら3種の干渉成分信号を含んだ反射干渉光を取得する計測光学系と、
    前記反射干渉光を波長分散させて反射干渉スペクトルを検出する分光部と、
    検出された反射干渉スペクトルに含まれるA−B干渉成分信号および直流成分信号を、前記マスクの厚さtをパラメータの1つに含めた近似式を用いてフィッティングにより推測し、前記A−B干渉成分信号および前記直流成分信号を前記反射干渉スペクトルから除いて、残りの干渉成分信号からなる正規化残存干渉スペクトルデータを算出するフィッティング処理部と、
    前記正規化残存干渉スペクトルデータに対し、波長−波数変換を行った上で逆フーリエ変換による光路差解析を行って光路差ごとの強度分布を求め、B−C干渉成分とC−A干渉成分とによる1つまたは2つの複合干渉ピークが含まれる光路差解析データを算出する光路差解析部と、
    前記光路差解析データから、主にB−C干渉成分信号が含まれた複合干渉ピークを補正前ピークとして抽出し、当該補正前ピークのピーク位置の光路差を補正前B−C干渉距離として算出する補正前B−C干渉距離算出部と、
    前記C−A干渉成分が前記補正前B−C干渉距離に与えた光路差のずれ量と前記マスクのマスク厚さとの関係を算出して補正テーブルとして記憶させる補正テーブル部と、
    前記3種の干渉成分信号を含んだ反射干渉光を取得する計測光学系とは独立に基板表面のマスクの厚さを第二マスク厚さtとして算出するマスク厚さ計測部と、
    前記第二マスク厚さtと前記補正テーブルとから前記光路差のずれ量を算出し、前記補正前B−C干渉距離を当該光路差のずれ量で補正した補正後B−C干渉距離を算出するB−C干渉距離真値算出部と、
    前記補正後B−C干渉距離と前記第二マスク厚さtとからエッチング深さdを算出するエッチング深さ算出部とを備えたことを特徴とするエッチングモニタ装置。
  4. 前記フィッティングに用いる近似式が次式(F1)である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエッチングモニタ装置。
    X+Ycos(2nt1/λ*2π) …(F1)
    ただし、X,Y,tの3つのパラメータは、
    X: 直流成分信号の係数パラメータ
    Y: A−B干渉成分信号の係数パラメータ
    : マスク厚さのパラメータ
  5. 前記マスク厚さ計測部は、マスク面aと基板表面bとの2つの反射面だけの領域に測定光を照射して干渉測定を行うことにより第二マスク厚さtを測定する請求項3または請求項4のいずれかに記載のエッチングモニタ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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