JP2015136671A - 均質化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メンテナンスを簡素化できる均質化装置を提供すること。
【解決手段】水を加圧して供給する加圧水供給源11と、加圧された水で駆動し、原料を供給する原料供給装置22と、加圧された水で駆動し、原料供給装置22から供給された原料を所定圧に昇圧し、昇圧された原料を吐出する原料昇圧装置27と、原料昇圧装置27から吐出された原料を均質化する均質化バルブ2と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品や医薬品等の原料の均質化を行う均質化装置に関するものである。
従来の均質化装置として、原料を昇圧する昇圧ポンプを電動モータにより駆動し、空気圧を利用して均質化バルブの微小隙間を調整するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−17623号公報
しかしながら、このような従来の均質化装置にあっては、昇圧ポンプが電気駆動である一方、均質化バルブの隙間の調整は空気圧により行われているため、電気と空気圧といった複数の駆動源が混在することとなり、メンテナンスが煩雑になるという問題点があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、メンテナンスを簡素化できる均質化装置を提供することを目的とする。
本発明は、作動流体を加圧して供給する加圧作動流体供給源と、加圧された前記作動流体で駆動し、原料を供給する原料供給装置と、加圧された前記作動流体で駆動し、前記原料供給装置から供給された原料を所定圧に昇圧し、昇圧された原料を吐出する原料昇圧装置と、前記原料昇圧装置から吐出された前記原料を微小隙間から噴出することにより前記原料を均質化する均質化バルブと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、均質化装置を駆動する駆動源を統一したので、メンテナンスを簡素化することができる。
本発明の実施形態に係る均質化装置を示す構造図である。 本発明の実施形態に係る均質化装置の均質化バルブと微小隙間調整機構を示す構造図である。
以下、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る均質化装置100について説明する。
均質化装置100は、食品や医薬品等の原料を微細化する均質化を行う装置である。後述のように、均質化装置100を駆動するための各駆動源には、共通の作動流体が供給される。以下の実施形態では、作動流体として水を採用した場合について説明する。なお、作動流体としては、水以外に、オイル等の非圧縮性の流体を用いることができる。
均質化装置100は、原料を昇圧して供給する原料供給機構1と、原料供給機構1から供給された原料を微小隙間51から噴出することにより原料を均質化する均質化バルブ2と、均質化バルブ2の微小隙間51の間隔を調整する微小隙間調整機構3と、原料供給機構1と微小隙間調整機構3の作動を制御する制御装置4と、を備える。
まず、図1を参照して、原料供給機構1について説明する。
原料供給機構1は、原料を貯蔵する原料タンク21と、原料を送出する原料供給装置22と、原料供給装置22から供給された原料を所定圧に昇圧し均質化バルブ2へ供給する原料昇圧装置27と、原料供給装置22と原料昇圧装置27を駆動するための作動流体である水を加圧して供給する加圧作動流体供給源としての加圧水供給源11と、を備える。
加圧水供給源11は、高圧蒸気を生成する蒸気発生器12と、高圧蒸気で作動する蒸気タービン13と、水タンク14と、蒸気タービン13を駆動源とし加圧水を供給する水ポンプ15と、水ポンプ15から供給される加圧水の圧力を調整する圧力調整弁16と、を備える。
蒸気タービン13は、高圧蒸気ライン17を通じて蒸気発生器12と連通しており、蒸気発生器12から供給された高圧蒸気により回転する。蒸気タービン13から排出された低圧蒸気は、低圧蒸気ライン18を通じて排出される。蒸気タービン13の回転軸は、水ポンプ15の駆動軸と連結している。
水ポンプ15は、蒸気タービン13が回転することで駆動する。水ポンプ15から吐出された加圧水は、吐出通路19を通じて原料供給装置22と原料昇圧装置27と微小隙間調整機構3へ供給される。
圧力調整弁16は、吐出通路19から分岐した流路に配置され、水ポンプ15から供給される加圧水の圧力が所定の圧力に達した場合に、タンク通路20を通じて加圧水の一部を水タンク14へ戻す。
原料供給装置22は、原料タンク21内の原料を原料昇圧装置27へ送出するものである。原料供給装置22は、水ポンプ15から供給された加圧水で駆動する水圧モータ23と、水圧モータ23により駆動される原料ポンプ24と、水ポンプ15から水圧モータ23への加圧水の供給を制御する原料供給制御弁25と、を備える。
水圧モータ23には、吐出通路19とタンク通路20とが接続される。吐出通路19における水ポンプ15と水圧モータ23の間には、制御装置4によって制御される原料供給制御弁25が配置されており、原料供給制御弁25が開位置に切り換えられると、吐出通路19を通じて水ポンプ15から水圧モータ23へ加圧水が供給され、水圧モータ23は回転する。
水圧モータ23の回転軸は、原料ポンプ24の駆動軸と連結している。原料ポンプ24は、水圧モータ23の回転に伴い、原料タンク21から原料を吸入し、原料吸入ライン26を通じて原料昇圧装置27へ原料を送出する。
原料昇圧装置27は、水ポンプ15から供給される加圧水で駆動し原料供給装置22から供給された原料を昇圧する原料昇圧シリンダ28と、原料昇圧シリンダ28に対する加圧水の給排を制御する昇圧制御弁37と、原料昇圧シリンダ28の吐出圧力を検出する吐出圧検出器43と、を備える。
原料昇圧シリンダ28は、中央に円筒状に形成された加圧水室31と、加圧水室31の両側に隔壁34を挟んで形成された殺菌室32と、殺菌室32の加圧水室31と反対側に隔壁35を挟んで形成された昇圧室30と、を有する。
加圧水室31内には昇圧ピストン33aが摺動自在に配置されており、加圧水室31は、昇圧ピストン33aによって第1加圧水室31aと第2加圧水室31bとに区画される。昇圧ピストン33aの両側には、先端側が殺菌室32内を貫通して昇圧室30内に至り、各隔壁34,35に設けられた摺動孔36よって摺動自在に支持される昇圧ロッド33bがそれぞれ結合される。昇圧ピストン33a及び昇圧ロッド33bがピストンロッドに該当する。
第1加圧水室31aと第2加圧水室31bとには、それぞれ、第1給排通路42aと第2給排通路42bとが接続されており、これらの給排通路を通じて加圧水が給排される。
殺菌室32には、蒸気タービン13から排出された低圧の蒸気が流通する低圧蒸気ライン18と、殺菌室32内に流入した余剰の蒸気を排出する蒸気排出ライン38と、が接続される。殺菌室32内には、低圧蒸気ライン18を通じて蒸気タービン13から排出された蒸気が常に供給されるので、殺菌室32内に露出している昇圧ロッド33bの表面は蒸気により殺菌される。殺菌室32へは蒸気に代えて、オゾン水などの殺菌作用を有する液体を供給する構成としてもよい。この場合、殺菌室32内にオゾン水を供給するために、低圧蒸気ライン18を通じて殺菌室32へオゾン水を供給する装置を別途追加してもよいし、または、作動流体としてオゾン水を採用し、吐出通路19から分岐した通路を通じてオゾン水を殺菌室32へ供給し、低圧蒸気ライン18を不要とした構成としてもよい。
昇圧室30には、原料供給装置22から供給される原料が流通する原料吸入ライン26と、昇圧室30から吐出された原料を均質化バルブ2へ導く原料吐出ライン39と、が接続されている。原料吸入ライン26には、原料ポンプ24から昇圧室30への原料の供給を許容し、その逆流を阻止する吸入弁40が設けられる。原料吐出ライン39には、昇圧室30から均質化バルブ2への原料の供給を許容し、その逆流を阻止する吐出弁41が設けられる。
吸入弁40と昇圧室30との間の原料吸入ライン26と、吐出弁41と昇圧室30との間の原料吐出ライン39は昇圧室30に至る前に接続されている。これに代えて、原料吸入ライン26と原料吐出ライン39とを昇圧室30までそれぞれ独立させた構成としてもよい。
昇圧制御弁37は、吐出通路19を通じて水ポンプ15と連通する供給ポート、タンク通路20を通じて水タンク14と連通する排出ポート、第1給排通路42aを通じて第1加圧水室31aと連通する第1給排ポート、及び第2給排通路42bを通じて第2加圧水室31bと連通する第2給排ポート、の4ポートを有する。また、昇圧制御弁37は、給排を遮断する中立位置37aと、第1加圧水室31aに加圧水を供給し、第2加圧水室31bの容積が減少する方向に昇圧ピストン33a及び昇圧ロッド33bを移動させる第1位置37bと、第2加圧水室31bに加圧水を供給し、第1加圧水室31aの容積が減少する方向に昇圧ピストン33a及び昇圧ロッド33bを移動させる第2位置37cと、の3位置を有する電磁弁である。
吐出圧検出器43は、昇圧室30内の圧力を測定できる箇所に設置され、その検出値は、制御装置4に入力される。
制御装置4は、原料供給制御弁25の動作を制御するとともに、吐出圧検出器43の検出値に基づいて、原料昇圧シリンダ28から吐出された原料の圧力または流量が予め定められた所定の吐出圧力または吐出流量となるように昇圧制御弁37の切り換え速度や切り換え頻度を制御する。
次に、図2を参照して、均質化バルブ2と微小隙間調整機構3について説明する。
均質化バルブ2は、微小隙間51へ原料を供給する原料供給路53が形成されたシート部材52と、シート部材52とともに微小隙間51を画定するバルブ部材54と、微小隙間51を通過した原料が衝突するブレーカリング55と、均質化された原料を排出する原料排出路57が形成されたハウジング56と、を備える。
シート部材52はハウジング56に固定され、シート部材52には、原料供給路53が形成される。原料供給路53の一端には、原料昇圧シリンダ28の昇圧室30と連通する原料吐出ライン39が接続される。原料昇圧装置27によって昇圧された原料は、原料供給路53の一端から供給され他端から流出する。シート部材52から原料が流出する側には微小隙間51を画定するための端面52aが形成される。
バルブ部材54は、シート部材52の端面52aに対抗して配置される隙間形成部54aと、ハウジング56に形成された摺動孔58に摺動自在に支持される摺動部54bとを有する。隙間形成部54aのシート部材52側の端面54cとシート部材52の端面52aとにより微小隙間51が画定される。バルブ部材54は、ハウジング56に対して摺動する摺動部54bを有しているので、微小隙間51の間隔が変化する方向に移動可能である。
シート部材52の端面52aとバルブ部材54の隙間形成部54aの端面54cは共に平面であり、微小隙間51は原料供給路53の軸方向に対して垂直に形成されている。なお、微小隙間51を画定する端面の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、原料供給路53の軸方向に対して端面が傾斜しているものや端面に凹凸があるものなど、端面同士が対抗して配置され、原料が通過する隙間が形成されればどのような形状でもよい。
ブレーカリング55は、原料の微細化を促進するものであり、微小隙間51を通過した原料が衝突する位置に配置される。
ハウジング56には、バルブ部材54の摺動部54bを支持する摺動孔58と、この摺動孔58と連通し、摺動孔58よりも大径のシリンダ室59が形成される。シリンダ室59内には伝達ピストン62aが摺動自在に配置されており、シリンダ室59は伝達ピストン62aによって圧力伝達室59aとスプリング室59bとに区画される。
伝達ピストン62aには、先端側が摺動孔58内に摺動自在に挿入される伝達ロッド62bが結合される。伝達ロッド62bの先端は摺動孔58内でバルブ部材54の摺動部54bの端面に当接している。
圧力伝達室59aには、微小隙間調整機構3で増圧された水圧が作用しており、この圧力は、伝達ピストン62a及び伝達ロッド62bを介してバルブ部材54に作用する。
スプリング室59bは、ハウジング56に形成された呼吸孔61を通じて大気に開放されており、その内部には伝達ピストン62aを圧力伝達室59aの容積が減少する方向に付勢するスプリング63が配置されている。スプリング室59b内には呼吸孔61を通じて空気が自由に出入りするので、伝達ピストン62aが移動することによりスプリング室59bの容積が変化しても、スプリング室59b内の空気が伝達ピストン62aの動きを妨げることはない。
本実施形態では、圧力伝達室59a内の水圧をバルブ部材54に伝達するために伝達ピストン62a及び伝達ロッド62bを設けている。これに代えて、伝達ピストン62a及び伝達ロッド62bを介さずに圧力伝達室59a内の水圧をバルブ部材54の摺動部54bの端面に直接作用させる構成としてもよい。その場合、スプリング室59b、スプリング63、呼吸孔61は設けられず、摺動孔58に連通する圧力伝達室59aのみが設けられ、圧力伝達室59a内の水圧が摺動孔58を通じてバルブ部材54の摺動部54bの端面に作用することになる。
微小隙間調整機構3は、加圧水が供給されることで圧力伝達室59aに密閉された水を増圧する増圧シリンダ73と、増圧シリンダ73に対する加圧水の給排を制御する増圧制御弁71と、圧力伝達室59aへの加圧水の供給を制御する給水制御弁80と、圧力伝達室59aから水タンク14への水の排水を制御する排水制御弁82と、微小隙間51の間隔に関連する値を検出する検出器としてのバルブ部材位置センサ83と、を備える。
増圧シリンダ73は、増圧室74と加圧水室75とが形成されたシリンダ部材76と、加圧水室75内に摺動自在に挿入され、加圧水室75を第1加圧水室75aと第2加圧水室75bとに仕切る増圧ピストン77aと、一端が増圧ピストン77aに結合され他端側が増圧室74内に摺動自在に挿入される増圧ロッド77bと、を備える。
増圧室74は、均質化バルブ2のハウジング56内に形成された圧力伝達室59aと連通路78を通じて連通している。連通路78を通じて連通した形態に代えて、増圧室74と圧力伝達室59aとを一体的に形成してこれらを一つの圧力室とした形態としてもよい。
増圧制御弁71は、吐出通路19を通じて水ポンプ15と連通する供給ポート、タンク通路20を通じて水タンク14と連通する排出ポート、第1給排通路72aを通じて第1加圧水室75aと連通する第1給排ポート、及び第2給排通路72bを通じて第2加圧水室75bと連通する第2給排ポート、の4ポートを有する。また、増圧制御弁71は、給排を遮断する中立位置71aと、増圧室74内の圧力を上昇させる方向に増圧ピストン77aを移動する第1位置71bと、増圧室74内の圧力を低下させる方向に増圧ピストン77aを移動する第2位置71cとの3位置を有する電磁弁である。
給水制御弁80は、圧力伝達室59a、増圧室74及び連通路78からなる密閉空間と吐出通路19とを連通する給水流路79に設けられる。制御装置4により給水制御弁80が開位置に切り換えられると給水流路79を通じて密閉空間へ加圧水が供給される。
排水制御弁82は、圧力伝達室59a、増圧室74及び連通路78からなる密閉空間とタンク通路20とを連通する排水流路81に設けられる。制御装置4により排水制御弁82が開位置に切り換えられると密閉空間内の水が排水流路81及びタンク通路20を通じて水タンクへ戻る。
圧力伝達室59a、増圧室74及び連通路78からなる密閉空間には、その内部圧力を検出する増圧圧力センサ84が取り付けられる。シリンダ部材76には、増圧ピストン77aの位置を検出する増圧ピストン位置センサ85が取り付けられる。増圧圧力センサ84及び増圧ピストン位置センサ85の検出値は制御装置4に入力される。
バルブ部材位置センサ83は、均質化バルブ2のハウジング56に取り付けられる。バルブ部材位置センサ83は、ハウジング56に対するバルブ部材54の位置を検出するものであり、バルブ部材54の隙間形成部54aとハウジング56との間の距離を検出している。これに代えて、バルブ部材54の他の部分とハウジング56との間の距離を検出するセンサや、バルブ部材54とシート部材52との間の距離である微小隙間51の間隔を直接検出するセンサを採用してもよい。
制御装置4は、バルブ部材位置センサ83の検出値に基づいて微小隙間51の間隔を算出し、算出された微小隙間51の間隔が予め定められた所定の間隔となるように増圧制御弁71を制御する。
均質化装置100内の摺動する部材には、原料や高圧水、増圧水の漏れや混合を防止するために、図示しないシール部材が設けられる。
次に、図1及び図2を参照して均質化装置100による原料の均質化について説明する。
蒸気発生器12から蒸気タービン13へ高圧蒸気が供給されると、蒸気タービン13が回転し、それに伴い水ポンプ15が駆動する。水ポンプ15から吐出された加圧水は、吐出通路19を通じて原料供給装置22と原料昇圧装置27に供給される。
この状態で制御装置4により原料供給制御弁25が開位置に切り換えられると、水圧モータ23に加圧水が供給され、水圧モータ23が回転する。これに伴って原料ポンプ24が駆動し、原料タンク21内の原料が原料ポンプ24によって送出される。送出された原料は、吸入弁40及び原料吸入ライン26を通じて原料昇圧シリンダ28の昇圧室30へ供給される。
昇圧室30に供給された原料は、水ポンプ15から第1加圧水室31a及び第2加圧水室31bへの加圧水の給排を制御することにより昇圧される。
具体的には、制御装置4により昇圧制御弁37が第1位置37bに切り換えられると、第1加圧水室31aと吐出通路19とが連通し、第2加圧水室31bとタンク通路20とが連通するので、第1加圧水室31a内の圧力が第2加圧水室31b内の圧力よりも高くなる。このため、昇圧ピストン33a及び昇圧ロッド33bは、第2加圧水室31bの容積を減少する方向(図1における右方向)に移動することになる。昇圧ロッド33bが移動したことにより容積が減少する昇圧室30(図1における右側)からは原料が吐出され、容積が増加した昇圧室30(図1における左側)には原料が吸入される。この後、制御装置4により昇圧制御弁37が第2位置37cに切り換えられると、昇圧ピストン33a及び昇圧ロッド33bは、反対方向に移動する。このとき、原料を吐出した昇圧室30には原料吸入ライン26を通じて原料が新たに吸入され、原料を吸入していた昇圧室30からは原料が吐出される。この動作を繰り返すことにより、昇圧ピストン33a及び昇圧ロッド33bは往復動し、昇圧室30に供給された原料は昇圧され、吐出弁41及び原料吐出ライン39を通じて均質化バルブ2へ供給される。
原料昇圧装置27によって昇圧され、均質化バルブ2に供給された原料は、原料供給路53を通じて微小隙間51に導かれ、微小隙間51から噴出した原料は、ブレーカリング55に衝突する。この過程を経て微細化された原料は、原料排出路57を通じて、均質化バルブ2の外に排出され、図示しない原料回収タンクに回収される。
一方で、蒸気タービン13から排出された低圧の蒸気は、低圧蒸気ライン18を通じて殺菌室32に供給される。殺菌室32内に供給された蒸気は、殺菌室32内に露出した昇圧ロッド33bの周囲を通過し、蒸気排出ライン38を通じて排出される。この過程で昇圧ロッド33bの表面は、蒸気により殺菌される。このため、昇圧ロッド33bが昇圧室30と殺菌室32とを行き来しても昇圧室30内の原料へ雑菌等が侵入することを防止することができる。殺菌に用いられる蒸気は、水ポンプ15を駆動するために用いられた蒸気を再利用するので、殺菌室32に蒸気を供給する装置を別途設ける必要がなくなり、装置の製造コスト及びランニングコストを低減することができる。
次に、微小隙間調整機構3による微小隙間51の調整方法について説明する。
制御装置4は、微小隙間51を調整する前に、増圧圧力センサ84および増圧ピストン位置センサ85の検出値に基づいて、圧力伝達室59a、増圧室74及び連通路78からなる密閉空間に十分な水が注入されているか否かを判断する。増圧圧力センサ84の検出値が所定の圧力以上であり、かつ、増圧ピストン位置センサ85により増圧ピストン77aの位置が所定の範囲内にあることが検出されれば、十分な水が注入されていると判断し、増圧圧力センサ84の検出値が所定の圧力未満であるか、または、増圧ピストン位置センサ85により増圧ピストン77aの位置が所定の範囲内にないことが検出されれば、十分な水が注入されていないと判断する。十分な水が注入されていないと判断された場合には、給水制御弁80を開位置に切り換え、密閉空間内に加圧水を補充する。なお、増圧圧力センサ84および増圧ピストン位置センサ85の検出値に関わらず、微小隙間51を調整する前に必ず給水制御弁80を開位置に切り換えて密閉空間内へ加圧水を補充するようにしてもよい。
密閉空間内に十分な水が注入されていると判断された場合、制御装置4は、バルブ部材位置センサ83の検出値に基づいて、微小隙間51の間隔が予め定められた所定の間隔となるように増圧制御弁71を制御する。
具体的には、バルブ部材位置センサ83の検出値から微小隙間51の間隔を算出し、算出された微小隙間51の間隔が所定の間隔よりも大きいと判定された場合、制御装置4は、水ポンプ15から供給される加圧水が第1加圧水室75aに供給され、第2加圧水室75b内の水が水タンク14へ戻るように増圧制御弁71の位置を第1位置71bに切り換える。
第1加圧水室75aの圧力が第2加圧水室75bの圧力よりも高くなることで、増圧ピストン77a及び増圧ロッド77bは、増圧室74内に密閉された水を加圧する方向(図1における左方向)に移動する。増圧室74の圧力が上昇すると、増圧室74と連通している圧力伝達室59a内の圧力も上昇するため、圧力伝達室59a内の圧力が作用する伝達ピストン62a及び伝達ロッド62bは、スプリング63の付勢力に抗してスプリング63を圧縮する方向(図1における左方向)に移動する。
伝達ロッド62bはバルブ部材54と当接しているので、伝達ピストン62a及び伝達ロッド62bが移動することによりバルブ部材54も同じ方向に移動する。この結果、バルブ部材54の端面54cとシート部材52の端面52aとで画定される微小隙間51の間隔は狭くなる。
一方、算出された微小隙間51の間隔が所定の間隔よりも小さいと判定された場合、制御装置4は、第2加圧水室75bに加圧水が供給され、第1加圧水室75a内の水が水タンク14へ戻るように増圧制御弁71の位置を第2位置71cに切り換える。
第2加圧水室75bの圧力が第1加圧水室75aの圧力よりも高くなることで、増圧ピストン77a及び増圧ロッド77bは、増圧室74内に密閉された水を減圧する方向(図1における右方向)に移動する。増圧室74の圧力が下がると、増圧室74と連通している圧力伝達室59a内の圧力も下がるため、圧力伝達室59a内の圧力が作用する伝達ピストン62a及び伝達ロッド62bは、スプリング63の付勢力により圧力伝達室59aの容積を減少させる方向(図1における右方向)に移動する。
伝達ロッド62bとバルブ部材54とは当接しており、バルブ部材54の隙間形成部54aの端面54cには、原料の供給圧力が作用しているのでバルブ部材54は伝達ピストン62a及び伝達ロッド62bと同じ方向に移動する。この結果、バルブ部材54の端面54cとシート部材52の端面52aとで画定される微小隙間51の間隔は広がる。
このようにして、制御装置4は微小隙間51が所定の間隔となるように増圧制御弁71を制御する。増圧制御弁71の制御は、上述のように単に増圧制御弁71の位置を切り換える以外に、バルブ部材位置センサ83の検出値の大きさに応じて、増圧制御弁71を比例的に制御し、第1加圧水室75a及び第2加圧水室75bに流出入する加圧水の流量及び圧力を調節するようにしてもよい。また、所定の間隔は、制御装置4に予め記憶させておいてもよく、または、外部から入力してもよい。
また、制御装置4は、均質化装置100による原料の均質化を終了した後、排水制御弁82を開位置に制御することにより、圧力伝達室59a、増圧室74及び連通路78からなる密閉空間内の水を水タンクへ戻す。この制御は、均質化の終了の都度ではなく、所定のメンテナンス期間毎に行ってもよい。
本実施形態では、微小隙間51の間隔に関連する値を検出する検出器としてバルブ部材位置センサ83を用いているが、これに代えて、圧力伝達室59a、増圧室74及び連通路78からなる密閉空間内の圧力を検出する増圧圧力センサ84、均質化バルブ2の上流側の原料圧力と下流側の原料圧力の圧力差を検出する図示しない差圧センサ、均質化バルブ2に供給される原料の圧力を検出する図示しない原料供給圧力センサを用いてもよい。
増圧圧力センサ84を用いる場合には、圧力伝達室59a、増圧室74及び連通路78からなる密閉空間内の圧力の増減に応じて伝達ピストン62aの受圧面に作用する力と、スプリング63の付勢力と、のバランスにより微小隙間51の間隔は変化することから、制御装置4にこれらの相関を示すマップを格納しておく。制御装置4は、増圧圧力センサ84の検出値に基づいて、微小隙間51の間隔をマップから求め、この間隔が予め定められた所定の間隔となるように増圧制御弁71を制御する。制御方法はこれに限定されず、増圧圧力センサ84の検出値が所定の目標値となるようにフィードバック制御を行うなど、目標値に収束させる公知の制御方法を用いてもよい。
差圧センサを用いる場合には、微小隙間51の間隔が小さくなると原料の流路抵抗が増加するため、均質化バルブ2の上流側の原料圧力と下流側の原料圧力の圧力差は大きくなり、微小隙間51の間隔が大きくなると原料の流路抵抗が低下するため、均質化バルブ2の上流側の原料圧力と下流側の原料圧力の圧力差は小さくなることから、制御装置4にこれらの相関を示すマップを格納しておく。制御装置4は、差圧センサの検出値に基づいて、微小隙間51の間隔をマップから求め、この間隔が予め定められた所定の間隔となるように増圧制御弁71を制御する。制御方法はこれに限定されず、差圧センサの検出値が所定の目標値となるようにフィードバック制御を行うなど、目標値に収束させる公知の制御方法を用いてもよい。
原料供給圧力センサを用いる場合には、微小隙間51の間隔が小さくなると原料の流路抵抗が増加するため、原料の供給圧力が上昇し、微小隙間51の間隔が大きくなると原料の流路抵抗が低下するため、原料の供給圧力が低下することから、制御装置4にこれらの相関を示すマップを格納しておく。制御装置4は、原料供給圧力センサの検出値に基づいて、微小隙間51の間隔をマップから求め、この間隔が予め定められた所定の間隔となるように増圧制御弁71を制御する。制御方法はこれに限定されず、原料供給圧力センサの検出値が所定の目標値となるようにフィードバック制御を行うなど、目標値に収束させる公知の制御方法を用いてもよい。
微小隙間51の間隔に関連する値を検出する検出器としては、微小隙間51の間隔に関連する値を検出するものであればどのようなセンサでもよく、上述のセンサに限定されるものではない。また、これらのセンサを複数組み合わせて用いてもよく、その場合、微小隙間51の間隔を精度よく求めることができる。
以上の実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
均質化装置100を駆動する駆動源を一つに統一したので、電気や空気圧、油圧といった駆動源を複合的に使用する装置に比べて装置の管理や保守といったメンテナンスが簡素化されるとともに、メンテナンスにかかる費用が削減されるためランニングコストを抑えることができる。
また、作動流体として水を用いた場合には、均質化装置100をクリーンルーム内で使用した場合であっても、作動流体が水であるため、安価に入手が可能で、漏れや飛散が生じても清掃や排水が容易であり、高い衛生性を保つことができる。さらに、水を用いた場合は、加熱して蒸気として利用することも可能であるとともに、他の作動流体と比較し、蒸気となった場合でも安全性が高い。
また、空気と比べて圧縮性の影響の少ない水を作動流体として用いて微小隙間51の間隔を制御した場合、バルブ部材54の端面54cに作用する原料供給圧力が変化した場合でも微小隙間51の間隔が変動することがない。このため、安定した原料の均質化を実現することができる。
また、微小隙間51を調整する前に、圧力伝達室59a、増圧室74、及び連通路78からなる密閉空間内の圧力に応じて、密閉空間内へ加圧水を補充し、均質化装置100による原料の均質化を終了した後、密閉空間内の水を排水するので、注水及び排水作業が不要になるなどメンテナンスを簡素化することができる。
また、原料昇圧装置27に殺菌室32を設け、殺菌室32内に露出する昇圧ロッド33bの表面を蒸気により殺菌しているので、原料を昇圧する昇圧室30内への雑菌等の侵入を防止することができる。
また、殺菌に用いられる蒸気は、水ポンプ15を駆動するために用いられた蒸気を再利用するので、殺菌室32に蒸気を供給する装置を別途設ける必要がなくなり、装置の製造コスト及びランニングコストを低減することができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明に係る均質化装置は、食品や医薬品等の原料を微細化する均質化を行う装置として用いることができる。
100 均質化装置
1 原料供給機構
2 均質化バルブ
3 微小隙間調整機構
4 制御装置
11 加圧水供給源(加圧作動流体供給源)
19 吐出通路
20 タンク通路
21 原料タンク
22 原料供給装置
27 原料昇圧装置
28 原料昇圧シリンダ
33a 昇圧ピストン
33b 昇圧ロッド
37 昇圧制御弁
51 微小隙間
54 バルブ部材
59a 圧力伝達室
71 増圧制御弁
73 増圧シリンダ
83 バルブ部材位置センサ(検出器)

Claims (7)

  1. 作動流体を加圧して供給する加圧作動流体供給源と、
    加圧された前記作動流体で駆動し、原料を供給する原料供給装置と、
    加圧された前記作動流体で駆動し、前記原料供給装置から供給された原料を所定圧に昇圧し、昇圧された原料を吐出する原料昇圧装置と、
    前記原料昇圧装置から吐出された前記原料を微小隙間から噴出することにより前記原料を均質化する均質化バルブと、を備えることを特徴とする均質化装置。
  2. 前記原料昇圧装置は、
    加圧された前記作動流体が流出入する圧力室と、前記圧力室の両側に配置され、前記原料を昇圧する昇圧室と、が形成されたシリンダと、
    前記シリンダ内に摺動自在に配置され、前記圧力室への加圧された前記作動流体の給排に応じて一方の前記昇圧室の容積を減少させて前記原料を昇圧するとともに、他方の前記昇圧室の容積を増加させて前記原料を吸入するように移動するピストンロッドと、
    前記圧力室への加圧された前記作動流体の給排を制御して、前記ピストンロッドの往復動を制御する昇圧制御弁と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の均質化装置。
  3. 前記シリンダは、
    前記圧力室と前記昇圧室との間に前記ピストンロッドの一部が露出する殺菌室をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の均質化装置。
  4. 蒸気を発生させる蒸気発生器をさらに備え、
    前記殺菌室には、前記蒸気が供給されることを特徴とする請求項3に記載の均質化装置。
  5. 前記加圧作動流体供給源は、前記蒸気により駆動されることを特徴とする請求項4に記載の均質化装置。
  6. 前記均質化バルブの前記微小隙間の間隔を調整する微小隙間調整機構をさらに備え、
    前記均質化バルブは、
    前記原料を前記微小隙間へ供給する原料供給路と、
    前記原料供給路に対抗して配置され、前記微小隙間を画定する隙間形成部が一端に形成され、前記微小隙間の間隔が変化する方向に移動可能に支持されるバルブ部材と、
    前記バルブ部材の前記一端と反対側の他端に対して加圧された前記作動流体の圧力を作用させる圧力伝達室と、を有し、
    前記微小隙間調整機構は、
    加圧された前記作動流体が供給されることで前記圧力伝達室に密閉された作動流体を増圧する増圧シリンダと、
    前記増圧シリンダに対する加圧された前記作動流体の給排を制御する増圧制御弁と、
    前記微小隙間の間隔に関連する値を検出する検出器と、
    前記検出器の検出値に基づいて前記微小隙間の間隔が予め定められた所定の間隔となるように前記増圧制御弁を制御する制御装置と、を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1つに記載の均質化装置。
  7. 前記作動流体は水であることを特徴とする請求項1から6の何れか1つに記載の均質化装置。
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