JP2015136535A - 消化器官用デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】消化器官の運動に伴って生じ得る筒部の先端側から基端側への流入物の移動を制限することにより、筒部の基端側から先端側へ向かう流入物の円滑な移動を可能にし、もって糖尿病や肥満の治療に対する十分な効果を発揮する消化器官用デバイスを提供する。【解決手段】消化器官用デバイス100は、生体の消化器官内に配置される筒部110と、筒部を生体内に保持する留置部120と、筒部に設けられ、消化器官の運動に追従して変形可能に構成されるとともに、貫通孔を介して筒部内に流入した流入物が消化器官の運動によって筒部の基端側へ移動することを制限する移動制限部200とを有している。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、胃や小腸のような消化器官内において使用される消化器官用デバイスに関する。
近年、糖尿病(特に2型糖尿病)や肥満の治療方法として、小腸上部に流入物が移動する筒状のスリーブを設置する方法が注目されている。この方法によれば、胃の上部と小腸の下部を外科的に直結するバイパス術に比べて低侵襲な治療を行うことが可能になる上に、小腸上部に設置した筒状のスリーブにより摂取した流入物が小腸の上部に触れずに小腸の下部へ到達する。これにより、分解した食物等の流入物が小腸上部の十二指腸や空腸上部に接触しなくなり、栄養の吸収を減少させることができる。さらに、小腸上部に流入物が接触しなくなることで、流入物の刺激により分泌される消化管ホルモンであるグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)やグルカゴン等が分泌され難くなり、かつ、未消化の流入物が小腸下部の空腸下部や回腸を通ることで、流入物による刺激によって消化管ホルモンであるグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)の分泌が増加する。GIPやグルカゴンは、インスリンの分泌を減少させる因子であると考えられており、これらが分泌されなくなることによりインスリンの分泌が阻害され難くなる。また、GLP−1は、インスリンの分泌を促す因子であると考えられている。したがって、小腸上部にスリーブを設置することにより、摂取した栄養素の吸収を制限するのみならず、消化管ホルモンの作用によってインスリンの分泌が促されて血糖値が減少するため、糖尿病や肥満の治療に有効な効果が発揮されると考えられている。
例えば、特許文献1には、小腸内における流入物の流れに着目して筒状のスリーブ(筒部)内に流入物を停滞させるための絞り部を設けたデバイスが記載されている。絞り部を設けることにより、流入物を絞り部で堆積させて流入物の移動を制限し、少量ずつ流入物を小腸下部へ移動することを可能にしている。
ここで、小腸の運動として、腸管が分節に分かれることによって流入物を混合および移動する分節運動、小腸の縦走節の収縮・弛緩によって流入物を混合および移動する振り子運動、および小腸の収縮・弛緩によって収縮輪が小腸を伝わって移動することより流入物を小腸の肛門側から口側へ移動する逆蠕動運動が知られている。これらの運動により、消化器官内に流入した流入物がスリーブの先端側から基端側へ向けて移動する、「流入物の逆流」が生じ得る。また、このような流入物の逆流が生じると、基端側から先端側へ向かう流入物の正常な流れが阻害されてしまう。したがって、スリーブの基端側から先端側へ流入物を円滑に流下させるためには、流入物の移動をスリーブ内で適切に調整できることが好ましい。
米国特許公開第7771382号明細書
例えば、上記特許文献1に記載のデバイスを使用する場合、流入物が固形状に近いものであればスリーブ内の絞り部により流入物を堰き止めることができる。その結果、流入物の逆流を制限することが可能になるとも考えられる。
しかしながら、流入物が液状に近いものであるときは、絞り部により、むしろ、スリーブの先端側から基端側への流入物の移動が促進されてしまう。このため、スリーブの先端側から基端側へ向かう流入物の移動が助長されることにより、スリーブの基端側から先端側へ向かう流入物の移動が阻害される。その結果、前述した消化管ホルモンの分泌量が大幅に減少し、糖尿病や肥満の治療に対する十分な効果を得ることができなくなってしまう。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、消化器官の運動に伴って生じ得る筒部の先端側から基端側への流入物の移動を制限することにより、筒部の基端側から先端側へ向かう流入物の円滑な移動を可能にし、もって糖尿病や肥満の治療に対する十分な効果を発揮する消化器官用デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための消化器官用デバイスは、貫通孔を備え、生体の消化器官内に配置される筒部と、前記筒部の基端側に設けられ、前記筒部を生体内に保持する留置部と、前記筒部に設けられ、前記消化器官の運動に追従して変形可能に構成されるとともに、前記貫通孔を介して前記筒部内に流入した流入物が前記消化器官の運動に伴い前記筒部の基端側へ移動することを制限する移動制限部と、を有する。
上記のように構成した消化器官用デバイスによれば、筒部に設けられた移動制限部によって当該筒部内に流入した流入物が消化器官の運動によって筒部の基端側へ向けて移動することを制限することができる。これにより、筒部内に流入した流入物を筒部の基端側から先端側へ向けて円滑に移動させることが可能になるため、消化管ホルモンの分泌を好適に促進させることができ、糖尿病や肥満の治療に対する十分な効果を発揮することができる。さらに、移動制限部が、蠕動運動、分節運動および振り子運動等の腸動を含む消化器官の運動に追従して変形可能に構成されているため、変形前後において筒部内に流入した流入物の移動を制限する機能を好適に維持することができる。
また、移動制限部が可撓性を備える複数の膜状の部材によって構成された弁構造を有し、かつ、当該弁構造が筒部内を流れる流入物から受ける力によって当該流入物の通過を制限または容易にする流通口を有するように構成されている場合、弁構造に対して作用する力の方向に応じて筒部の先端側から基端側へ向かう流入物の移動をより確実に制限することを可能にしつつ、筒部の基端側から先端側へ向かう流入物の移動を好適に促進することが可能になる。
また、弁構造を構成する複数の膜状の部材が、筒部の先端側へ撓んだ撓み部がそれぞれ形成された第1と第2の膜状の部材を少なくとも有し、かつ、第1の膜状の部材の第1の撓み部と第2の膜状の部材の第2の撓み部とが重なる位置に流通口が形成されている場合、各膜状の部材の上面側へ流れ込んだ流入物が各撓み部を介して流通口まで容易に案内されるため、各膜状の部材上に流入物が滞留することを防止することができる。
また、第1の膜状の部材の第1の撓み部が、流通口が形成される位置よりも筒部の先端側に延在する延在部を有し、かつ、第1の膜状の部材の第1の撓み部の面積が、第2の膜状の部材の第2の撓み部の面積よりも大きくなるように形成されている場合、流入物の移動により膜状の部材が同じ力を受けたときに面積の大きい第1の膜状が第2の膜状に比べて大きな力を受ける。その結果、弁構造が、筒部の基端側から先端側へ向けて移動する流入物から力を受ける際には、流通口が開く方向に力が作用し易くなるため、流通口を介して流入物を容易に通過させることができる。一方で、弁構造が、筒部の先端側から基端側へ向けて移動する流入物から力を受ける際には、流通口が閉じる方向に力が作用し易くなるため、流入物が流通口を通過することをより確実に制限することが可能になる。
また、移動制限部が設けられた内挿用の筒部を既存の筒部内に内挿することにより当該筒部に移動制限部が備えられる場合、移動制限部を備える消化器官用デバイスの製造を簡略化して行うことが可能になる。
実施形態に係る消化器官用デバイスを示す斜視図である。 図1に示す2−2線に沿う断面図である。 実施形態に係る消化器官用デバイスの移動制限部を示す斜視断面図である。 図4は、実施形態に係る移動制限部の作用を説明するための図であり、(A)は、変形前の移動制限部を示す部分断面図、(B)は、筒部の基端側から先端側へ向けて移動する流入物から力を受けて変形する移動制限部を示す部分断面図、(C)は、筒部の先端側から基端側へ向けて移動する流入物から力を受けて変形する移動制限部を示す部分断面図である。 図5は、実施形態に係る移動制限部の作用を説明するための図であり、(A)は、消化器官の運動に追従して変形する前の移動制限部を示す部分断面図、(B)は、消化器官の運動に追従して変形した後の移動制限部を示す部分断面図、(C)は、消化器官の運動に追従して変形した後に元の形状に復元した移動制限部を示す部分断面図である。 実施形態に係る消化器官用デバイスを消化器官内に設置するための消化器官用デバイス設置用システムを示す概略図である。 実施形態に係る消化器官用デバイスに把持部材および供給管を連結した状態を示す断面図である。 図8は、消化器官用デバイスの導入手順を説明するための図であり、(A)は、消化器官の一部を示す概略断面図、(B)は、消化器官の内部に消化器官用デバイス設置用システムを介して消化器官用デバイスを挿入した状態を示す概略断面図である。 実施形態に係る消化器官用デバイスの変形例1を示す部分断面図である。 実施形態に係る消化器官用デバイスの変形例2を示す部分断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説
明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
まず、図1および図2を参照して消化器官用デバイス100の主要な構成について説明する。
本実施形態に係る消化器官用デバイス100は、経口的または経鼻的に消化器官内に挿入され、消化器官の一部を覆うように留置される。消化器官用デバイス100は、摂食された食物が消化器官の覆われた部位に接触しないように、その食物を流通させることを可能にする医療用デバイスである。
消化器官用デバイス100は、図1、図2に示すように、筒状に形成されて貫通孔111を備える柔軟な筒部110と、筒部110の貫通方向の一端側に設けられ、筒部110を生体内に保持する留置部120と、貫通孔111を介して筒部110内に流入した流入物が消化器官の運動に伴い筒部110の基端側へ移動することを制限する移動制限部200とを備えている。以下、消化器官用デバイス100において、筒部110が設けられる側を先端側、留置部120が設けられる側を基端側と称する。また、消化器官内において、肛門側を遠位側、口腔側を近位側と称する。
筒部110内に流入する流入物としては、例えば、糜粥状に分解された食物や水等の液体など、経口的に消化器官内へ流入されるものが含まれる。
筒部110は、消化管の運動に応じて柔軟に変形可能な膜状の部材により形成されている。筒部110は、例えば、小腸上部に配置することができる。小腸上部に配置する場合、筒部110は小腸上部の内径よりも若干小さな外径を有するように構成することができる。筒部110の外径は、筒部110の貫通孔111の貫通方向に略一定であるが、必ずしも一定でなくてもよい。
筒部110の厚さは、好ましくは0.002mm〜0.02mmであり、筒部110の外径は、好ましくは10mm〜60mmであり、筒部110の貫通方向の長さは、好ましくは600mm〜1300mmであるが、筒部110の寸法は必ずしもこれらに限定されない。
筒部110は、本実施形態ではポリテトラフルオロエチレン(PTFE)により形成されるが、柔軟に変形可能であれば材料は限定されず、例えばポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリウレタン等を用いてもよい。なお、筒部110に適用される材料に応じて、上述した筒部110の寸法は、適宜変更され得る。
留置部120は、筒部110の貫通方向に沿って並ぶ第1の拡張部130および第2の拡張部140と、第1の拡張部130および第2拡張部140を連結する連結部150と、第1の拡張部130および第2の拡張部140の内部に流動体を流入させる流入部160とを備えている。流動体は、例えば生理的食塩水であるが、他の液体、例えば、空気等の気体、液体中や気体中に固体が分散したもの、または粒子の集合体等であってもよい。また、流動体を、液体および気体の混合体とすることで、非圧縮性の液体によって強い保持力を維持しつつ、圧縮性の気体によって消化管からの強い圧縮力を吸収する構成としてもよい。
連結部150は、筒部110と同一素材によって筒部110と一体的に筒状に形成されている。連結部150の径は、本実施形態では筒部110の径と同一となっているが、筒部110の径と異なってもよい。なお、連結部150は、筒部110とは異なる他の部材によって形成されてもよく、例えば、第1拡張部130および第2拡張部140と同一素材によって一体的に形成されてもよい。また、連結部150は、筒状でなくてもよく、例えば周方向の一部のみに設けたり、または周方向に複数に分割して設けたりしてもよい。
第1の拡張部130は、連結部150の基端側に配置される環状のバルーンであり、環の中央の第1の孔部131が筒部110の貫通孔111と連通している。第1の拡張部130の内部には、外部から供給される流動体が第1の流入孔133を介して流入可能な第1の流入空間部132が形成されている。第1の孔部131は、食物が流入する空間を形成し、後述する第2の拡張部140の第2の孔部141および筒部110の貫通孔111へ流入物を導く役割を果たす。
第2の拡張部140は、連結部150の先端側に配置される環状のバルーンであり、環の中央の第2の孔部141が筒部110の貫通孔111と連通している。第2の拡張部140の内部には、外部から供給される流動体が第2の流入孔143を介して流入可能な第2の流入空間部142が形成されている。第2の孔部141は、第1の拡張部130の第1の孔部131から食物が流入する空間を形成し、筒部110の貫通孔111へ流入物を導く役割を果たす。
第1の拡張部130および第2の拡張部140は、弾性的に変形可能なシリコーン樹脂により形成される。なお、第1の拡張部130および第2の拡張部140は、例えば天然ゴム、フルオロ・シリコーン重合体等の弾性的に変形可能な他の弾性材料により形成されてもよい。また、折り畳まれて収縮した状態から、流動体を流入させることで折り畳みを開いて拡張する構成とすることも可能であり、この場合には、第1の拡張部130および第2の拡張部140は、必ずしも弾性材料でなくてもよい。また、留置部120は、生体内において筒部110を保持することが可能な限りにおいて変更することができ、例えば、単一のバルーンによって構成される留置部や、生体に対して係止されるステント型の留置部などであってもよい。
第1の拡張部130は、拡張することで外径が好ましくは5mm〜60mm程度まで拡張可能であり、長さは、好ましくは30mm〜50mmであり、第2の拡張部140は、拡張することで外径が好ましくは10mm〜50mm程度まで拡張可能であり、長さは、好ましくは30mm〜50mmであり、第1の拡張部130と第2の拡張部140との間の間隔は、好ましくは10mm〜60mmであるが、第1の拡張部130および第2の拡張部140の寸法は必ずしもこれに限定されない。
流入部160は、外部からの流動体の流入を許容するとともに、一旦流入した流動体の逆流を防止する逆流防止部161と、第1の拡張部130よりも第2の拡張部140を先に拡張させるように外部からの流体の流れを調整する調整部162とを備えている。
逆流防止部161は、外部からの流動体の流入を許容するとともに、一旦流入した流動体の逆流を防止するダックビル型逆止弁であるが、外部から流入した流動体の逆流を防止できるのであれば、構造は限定されない。
調整部162は、第1の拡張部130の基端側から第2の拡張部140まで延在する流路管163と、第1の拡張部130および第2の拡張部140への流路を切り換える流路切り換え部170とを備えている。
流路管163は、第1の拡張部130および第2の拡張部140の孔部近傍(内周側)に位置し、外部から供給される流動体を第1の拡張部130および第2の拡張部140へ導く管体である。流路管163は、シリコーン樹脂、フルオロ・シリコーン重合体等により形成されるが、材料は特に限定されない。
流路切り換え部170は、流路管163の途中に設けられており、第1の拡張部130の第1の流入孔133へ流動体を導く第1の流路171と、第2の拡張部140の第2の流入孔143へ流動体を導く第2の流路172と、流動体の圧力に応じて移動する切換部材173と、切換部材173を付勢する弾性部材174とを備えている。
切換部材173は、流動体の供給が停止した状態では、流入部160と第1の流路171および第2の流路172の間の流路を塞ぐ位置に付勢されており、流動体の圧力が低い状態では、弾性部材174によって第1の流路171を塞ぐとともに第2の流路172を開く位置に付勢される。流動体の圧力が上昇することで、流動体に押されて第2の流路172を塞ぐとともに第1の流路171を開く位置に移動する構成となっている。すなわち、流動体の圧力が低い場合には第2の拡張部140が拡張し、圧力が上昇することで、第1の拡張部130が拡張する構成となっている。また、流動体の圧力の調整によって、第1の流路171および第2の流路172の両方が開くことも可能な構成でもよい。また、流動体の供給が停止した状態では、切換部材173は、第1の流路171を塞ぐ位置、もしくは第2の流路172を塞ぐ位置、もしくは第1の流路171および第2の流路172の間の流路を塞ぐ位置に付勢されてもよい。
次に、消化器官用デバイス100が備える移動制限部200について説明する。
図3および図4(A)〜(C)を参照して、移動制限部200は、貫通孔111を介して筒部110内に流入した流入物が消化器官の運動によって筒部110の基端側へ移動することを制限することが可能な弁構造210を備える。この移動制限部200は、筒部110の内部に設置されており、蠕動運動、分節運動および振り子運動等の腸動を含む消化器官の運動に追従して変形可能に構成される。
移動制限部200が備える弁構造210は、2つの膜状の部材によって構成されている。膜状の部材は、筒部110に設けられた第1の膜状の部材211と、同様に筒部110に設けられた第2の膜状の部材212とを有している。
消化器官デバイス100が配置される腸等は、蠕動運動、分節運動および振り子運動等の腸動を含む消化器官の運動により、収縮や拡張変形する。この消化器官の変形に伴って各膜状の部材211、212が設けられた筒部110も収縮や拡張変形する。各膜状の部材211、212を構成する材料としては、筒部110と同様の材料を使用することができ、例えば、ポリエチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン等の可撓性を備える材料を選択することができる。各膜状の部材211、212の厚み寸法は、上記のように筒部110の変形に追従して変形可能な限りにおいて特に制限はない。
第1の膜状の部材211と第2の膜状の部材212は、筒部110の内面にそれぞれ固定されている。筒部110に対する各膜状の部材211、212の固定は、例えば、各膜状の部材211、212の外周面の少なくとも一部を筒部110の内周面に部分的に融着または接着させる方法で行うことができる。
各膜状の部材211、212において筒部110に固定されていない他の部分は、図示するように筒部110の先端側に撓むことで所定の撓み部を形成している。第1の膜状の部材211に形成された第1の撓み部231と第2の膜状の部材212に形成された第2の撓み部232は、筒部110の軸線方向においてそれぞれが部分的に重なるように配置されている。
第1の膜状の部材211および第2の膜状の部材212により構成される弁構造210は、流通口220を有する。流通口220は、第1の撓み部231と第2の撓み部232の重なり合う部分の間に形成された隙間で構成される。筒部110内に流入した流入物は、当該流通口220を通ることで弁構造210の基端側から先端側、または、その逆方向へ移動する。
第1の膜状の部材211は、第2の膜状の部材212よりも筒部110の先端側に固定されている。第1の膜状の部材211の第1の撓み部231において流通口220が形成される位置よりも筒部110の先端側に延在する部分は、所定の延在部240を形成する。なお、延在部240を形成する方法として、筒部110に対して第1の膜状の部材211と第2の膜状の部材212を固定する位置を異ならせる方法を示しているが、例えば、各膜状の部材211、212の長さを調整することにより延在部240を形成することも可能である。この場合、筒部110の長手方向において第1の膜状の部材211および第2の膜状の部材212を取り付ける位置は、異なっていてもよいし、同じであってもよい。
移動制限部200の機能を説明する。
図4(A)〜(C)には、筒部110内に流入した流入物から受ける力によって移動制限部200が変形する前後の様子が示される。
図4(A)に示すように、筒部110内に流入した流入物から力を受ける前は、第1の膜状の部材211の第1の撓み部231と第2の膜状の部材212の第2の撓み部232とが重なる部分に所定の大きさに開口した流通口220が形成される。ここで、外部から筒部110に対して力が付与される前の状態、すなわち図4(A)に示す状態を初期状態とする。なお、初期状態において流通口220が完全に閉じられるように弁構造210が構成されていてもよい。
そして、図4(B)に示すように、移動制限部200が筒部110の先端側から基端側へ移動する流入物から力を受けると、各撓み部231、232は筒部110の基端側へ持ち上げられるように変形する。この変形により、第1の膜状の部材211の延在部240が第2の膜状の部材212の第2の撓み部232に接触して、流通口220の開口面積が初期状態に比べて小さくなる。流通口220の開口面積が小さくなることにより、筒部110の基端側への流入物の移動を制限することが可能になる。なお、この際に流通口220が完全に閉じられるように弁構造210が構成されていてもよい。
一方、図4(C)に示すように、筒部110の基端側から先端側へ流入物が移動する際に移動制限部200が流入物から力を受けると、各撓み部231、232が先端側へ押し広げられるように変形する。この変形により、第1の膜状の部材211と第2の膜状の部材212との間に形成された流通口220の開口面積が初期状態に比べて大きくなり、筒部110の基端側から先端側へ流入物が円滑に移動する。
ここで、流入物が筒部110の基端側から先端側へ向けて移動する際に、第1の膜状の部材211の外表面の上面側、特に第1の膜状の部材211が筒部110の内面に固定された部分周辺には流入物が滞留し易くなる。消化器官用デバイス100においては、第1の膜状の部材211が可撓性を有する材料で構成されているため、流入物から受ける力で第1の膜状の部材211が先端側へ容易に変形するため、上記のような流入物の滞留が未然に防止される。同様に、第2の膜状の部材212も可撓性を有する材料で形成されているため、第2の膜状の部材212の外表面の上面側に流入物が滞留することが防止される。なお、各膜状の部材211、221上に流入物が滞留することをより確実に防止するために、第1の撓み部231および第2の撓み部232が筒部110の軸線方向に対して撓む角度が、例えば、鋭角に撓むように設けられていることが好ましい。
また、例えば、各膜状の部材211、212は、流入物等の液体が各膜状の部材211、212に接触した際に両者の間に封止力を発現させる濡れ角を形成させるような表面張力を備える薄膜状の部材で構成することも可能である。このような部材で構成することにより、流通口220が閉じられた際には、その閉じた状態をしっかりと維持することができ、流入物が筒部110の基端側から先端側へ移動する際には、その移動を阻害することなく円滑に通過させることが可能になる。
図5(A)〜(C)には、消化器官の運動に追従して移動制限部200が変形する前後の様子が示される。
図5(A)に示すように、消化器官が運動する前の状態においては、移動制限部200は図4(A)に示す状態と同様に初期状態となる。
図5(B)に示すように、蠕動運動、分節運動および振り子運動等の腸動を含む消化器官が運動した際に筒部110に対して径方向の外方側から力が作用すると、筒部110および移動制限部200が押し縮められるように変形する。この状態においても移動制限部200は、筒部110の基端側から先端側へ向けた流入物の移動を阻害することなく、かつ、筒部110の先端側から基端側への流入物の移動を制限する機能を維持する。
図5(C)に示すように、筒部110に対して作用する力が弱まると、筒部110は初期状態に戻る。第1の膜状の部材211および第2の膜状の部材212が可撓性を有する材料で構成されているため、筒部110が元の形状に戻るのに伴って移動制限部200が初期状態に戻る。なお、移動制限部200が初期状態に戻った後においても、流入物が筒部110の先端側から基端側へ移動することを防止する機能は好適に維持される。
次に、消化器官用デバイス100を、消化管内に設置する方法を説明する。
消化器官用デバイス100を設置する際には、図6、図7に示すように、内視鏡10、表示装置20、流動体供給装置30および把持装置40を使用する。これら消化器官用デバイス100、内視鏡10、表示装置20、流動体供給装置30および把持装置40は、消化器官用デバイス100を消化管内に設置するための消化器官用デバイス設置システムを構成する。
内視鏡10は、撮像を行うためのCCDセンサ等からなる撮像素子11と、消化器官用デバイス100を生体内に挿入するためのチャネル12とを備えている。なお、内視鏡10は、一般的なものを使用でき、撮像が可能であって消化器官用デバイス100の挿入が可能であれば、構成は特に限定されない。
表示装置20は、内視鏡10により取得される映像を表示するモニターを備えている。
流動体供給装置30は、流動体である生理的食塩水を任意の圧力で供給可能な加圧装置
31と、一端が加圧装置31に連結されて流動体が流通し、他端が消化器官用デバイス100の流入部160に対して液密に連結可能な供給管32とを備えている。
把持装置40は、消化器官用デバイス100を把持して所定の位置まで移動させた後、把持を解除して消化器官用デバイス100を所定の位置に位置決めする装置である。把持装置40の手元側には、レバー41を備える操作部42が設けられ、レバー41を操作することで、把持装置40の先端に設けられる把持部材43により消化器官用デバイス100を把持し、または把持を解除することができる(図7の一点鎖線を参照)。なお、把持装置40の構造は、特に限定されず、例えばバルーンを用いることもできる。
消化器官用デバイス100を設置する部位は、消化器官内の幽門輪M2の近傍が好ましい。幽門輪M2は、図8(A)に示すように、胃M1と十二指腸M3との間に位置し、内径が胃M1および十二指腸M3よりも小さくなっている。十二指腸M3は、幽門輪M2を介して胃M1と隣接する十二指腸球部M4を有し、十二指腸球部M4の遠位側に、十二指腸球部M4よりも内径が小さい十二指腸下行部M5を有する。胃M1は、空のときには細くなるように収縮しており、食物が摂取されると、径を広げるように拡張する。そして、胃M1の収縮の波により食物を撹拌するとともに胃液により食物を消化して糜粥状の分解産物としつつ遠位側へ搬送する。幽門前庭部M6は、アルカリ性の粘液を分泌し、酸性の糜粥状の分解産物を中和し、分解産物がアルカリ性となると、幽門輪M2の括約筋が緩んで幽門輪M2を開き、腸の腸動が生じる。そして、胃M1の下部の幽門前庭部M6の収縮によって、分解産物が幽門輪M2を通って十二指腸M3へ送り込まれる。十二指腸M3は、蠕動運動、分節運動および振り子運動を含む腸動により、分解産物を撹拌しつつ遠位側へ搬送する。
消化器官用デバイス100を設置する際には、まず、内視鏡10を口または鼻から挿入し、図8(B)に示すように、画像を確認しながら内視鏡10の先端が幽門輪M2を通過するまで前進させる。幽門輪M2を通過した内視鏡10の先端は、十二指腸M3内に位置する。なお、消化器官用デバイス100を胃M1側から幽門輪M2を通して十二指腸M3側へ挿入できるのであれば、内視鏡10の先端は、必ずしも幽門輪M2を通過させなくてもよい。
次に、消化器官用デバイス100の筒部110を折り畳み、さらに第1拡張部130および第2拡張部140を収縮させ、加圧装置31に繋がる供給管32に流入部160を連結する(図6参照)。そして、把持装置40により消化器官用デバイス100を把持して消化器官用デバイス100を内視鏡10のチャネル12に挿入し、把持装置40を押し込むように操作して消化器官用デバイス100を先端側へ移動させる。なお、内視鏡10を口または鼻から挿入する前に、把持装置40および供給管32に連結された消化器官用デバイス100を予めチャネル12内に挿入しておいてもよい。
そして、内視鏡10により得られる映像を確認しつつ、消化器官用デバイス100を内視鏡10の先端から十二指腸M3内に突出させる。消化器官用デバイス100が、幽門輪M2に隣接する十二指腸球部M4または十二指腸球部M4よりも遠位側に到達すると、十二指腸M3の蠕動運動によって、折り畳まれていた筒部110が遠位側へ伸長する。なお、蠕動による筒部110の伸長を促すために、筒部110の先端側に補助部材を仮止めしておいてもよい。補助部材は、例えば球状の部材であり、蠕動運動によって遠位側へ向かう力を受けて筒部110を伸長させ、筒部110が完全に伸長した後に、蠕動運動から受ける力によって筒部110から離脱し、最終的に排泄される。仮止めする際には、接着剤を用いたり、または所定の力で外れるように係合させたりしてもよい。
次に、加圧装置31を操作して流動体を消化器官用デバイス100に供給する。このとき、流動体の圧力を、流路切り換え部170の切換部材173が第1流路171を塞ぐとともに第2流路172を開いた状態を維持する程度の低い圧力に調整する(図2参照)。そして、内視鏡10により得られる映像を確認しながら第2拡張部140を拡張させ、第2拡張部140が幽門輪M2を通り抜け不能な大きさまで拡張した後に、加圧装置31を操作して流動体の供給を停止させる。
これにより、幽門輪M2の内径よりも大きく拡張した第1拡張部130が幽門輪M2よりも近位側に位置し、第2拡張部140が十二指腸球部M4に嵌合し、しかも第1拡張部130および第2拡張部140の間に幽門輪M2を挟み込んだ状態となる。したがって、消化器官用デバイス100は、消化管に強固に留置される。
なお、例えば、第2拡張部140をある程度拡張させた後、消化器官用デバイス100を後退させて第2拡張部140を幽門輪M2に接触させた後に、第2拡張部140を再び拡張させる手順を行ってもよい。
この後、供給管32を牽引して供給管32を消化器官用デバイス100の流入部160から離脱させる。なお、供給管32を外しても、消化器官用デバイス100には逆流防止部161が設けられているため、消化器官用デバイス100の内部の流動体は漏出せず、第1拡張部130および第2拡張部140が拡張した状態が維持される。この後、把持装置40の操作部42を操作して、消化器官用デバイス100の把持を解除する(図7の一点鎖線を参照)。そして、内視鏡10、把持装置40および供給管32を消化管内から引き抜き、留置手技が完了する。
次に、本実施形態に係る消化器官用デバイス100の作用を説明する。
消化器官に消化器官用デバイス100を設置された患者が摂食すると、食物が胃M1で胃内消化された後、糜粥状の分解産物が幽門輪M2の近傍から筒部110の貫通孔111に流入する。このとき、幽門輪M2の内側に位置する連結部150は、柔軟に変形可能であり、幽門輪M2の開閉を阻害しない。また、筒部110は、消化器官の運動に応じて柔軟に変形可能となっているため、筒部110の内部に流入した分解産物は、十二指腸M3の腸動によって撹拌されつつ遠位側へ押し出されることになる。そして、筒部110に覆われている小腸上部の十二指腸M3および空腸上部には、栄養素が直接接触せず、栄養の吸収は、食物が筒部110を通過した後に行われることになる。そして、小腸上部に食物が接触しなくなると、栄養の吸収が減少されるとともに、栄養素の刺激により分泌される消化管ホルモンであるGIPやグルカゴン等が分泌され難くなる。GIPやグルカゴン等は、インスリンの分泌を減少させる因子であると考えられており、これらが分泌されなくなることで、インスリンの分泌が阻害されず、インスリンによって血糖値を減少させることができる。そして、未消化の食物が小腸下部の空腸下部や回腸に到達すると、栄養素による刺激によって、インスリンの分泌を促す因子と考えられている消化管ホルモンであるGLP−1の分泌が増加し、インスリンの分泌がさらに促されて血糖値を減少させることができる。このように、消化器官用デバイス100を消化器官内に設置することで、栄養素の吸収を低減させるとともに血糖値を減少させ、糖尿病(特に2型糖尿病)や肥満の治療に高い効果を発揮する。
そして、本発明は、貫通孔111を備える筒部110、筒部110を生体内に保持する留置部120、および筒部110に設けられ、消化器官の運動に追従して変形可能に構成されるとともに、貫通孔111を介して筒部110内に流入した流入物が消化器官の運動によって筒部110の基端側へ向けて移動することを制限する移動制限部200を備える消化器官用デバイス100を、経口的または経鼻的に消化管内へ挿入し、筒部110に設けられた移動制限部200によって貫通孔111を介して筒部110内に流入した流入物が消化器官の運動によって筒部110の基端側へ移動することを制限する方法をも提供する。
なお、幽門輪M2の近傍において拡張させた第1拡張部130および第2拡張部140により幽門輪M2を挟み込ませて、これにより消化管用デバイス100を生体内に留置せずに、例えば、第1の拡張部130および第2の拡張部140を配置する位置を胃M1の上部側に位置する噴門M7としてもよい。このように配置すれば、生体内に導入される食物等の導入物が胃M1を経由する量が減少するため、胃M1での栄養素の消化吸収を抑えることができる。
また、本方法は、糖尿病や肥満に対する利用において、これら患者の病気または症状を治療、治癒、軽減、緩和、変化、改善、改良、回復、向上または作用させることを含む。
以上のように本実施形態に係る消化器官用デバイス100によれば、筒部110に設けられた移動制限部200によって筒部110内に流入した流入物が消化器官の運動によって筒部110の基端側へ向けて移動することを制限することができる。これにより、筒部110内に流入した流入物を筒部110の基端側から先端側へ向けて円滑に移動させることが可能になるため、消化管ホルモンの分泌を好適に促進させることができ、糖尿病や肥満の治療に対する十分な効果を発揮することができる。さらに、移動制限部200が、蠕動運動、分節運動および振り子運動等の腸動を含む消化器官の運動に追従して変形可能に構成されているため、変形前後において筒部110内に流入した流入物の移動を制限する機能を好適に維持することができる。
また、移動制限部200が可撓性を備える複数の膜状の部材211、212によって構成された弁構造210を有し、弁構造210が筒部110の基端側から先端側へ向けて移動する流入物から受ける力によって流入物の通過を容易にする一方で、筒部110の先端側から基端側へ向けて移動する流入物から受ける力によって流入物の移動を制限する流通口220を有するため、筒部110の基端側から先端側へ向けた流入物の円滑な移動を好適に促進することが可能になる。
また、弁構造210を構成する複数の膜状の部材が、筒部110の先端側へ撓んだ撓み部がそれぞれ形成された第1の膜状の部材211と第2の膜状の部材212を少なくとも有し、かつ、第1の膜状の部材211の第1の撓み部231と第2の膜状の部材212の第2の撓み部232とが重なる位置に流通口220が形成されているため、各膜状の部材211、212の上面側へ流れ込んだ流入物がそれぞれの撓み部231、232を介して流通口220まで容易に案内されるため、各膜状の部材211、212上に流入物が滞留することを防止することができる。
また、第1の膜状の部材211の第1の撓み部231が、流通口220が形成される位置よりも当該筒部110の先端側に延在する延在部240を有し、かつ、第1の膜状の部材211の第1の撓み部231の面積が、第2の膜状の部材212の第2の撓み部232の面積よりも大きくなるように形成されているため、流入物の移動により各膜状の部材211、212が同じ力を受けたときに面積の大きい第1の膜状211が第2の膜状212に比べて大きな力を受ける。その結果、弁構造210が、筒部110の基端側から先端側へ向けて移動する流入物から力を受ける際には、流通口220が開く方向に力が作用し易くなるため、流通口220を介して流入物が容易に通過する。一方で、弁構造210が、筒部110の先端側から基端側へ向けて移動する流入物から力を受ける際には、流通口220が閉じる方向に力が作用し易くなるため、流入物が流通口220を通過することをより確実に制限することが可能になる。
<変形例1>
図9は、上述した実施形態の変形例1を示す図である。図9には、移動制限部200が内部に配置された内挿用の筒部311を有する消化器官用デバイス300が示される。なお、上述した実施形態において説明した部材と同一の部材については、その説明を一部省略する。
上述した実施形態では消化器官用デバイス100の筒部110自体に移動制限部320が取り付けられていたが、例えば、本変形例に示すように移動制限部320が設けられた内挿用の筒部311を既存の筒部310に内挿することにより、消化器官用デバイス300に移動制限部320を備えさせることも可能である。筒部310および内挿用の筒部311のそれぞれは、前述した実施形態において説明した筒部110と同様の材質で構成することが可能である。
内挿用の筒部311は、筒部310から脱落しないように、例えば、融着または接着により筒部110の内面に固定することができる。その他の方法として、例えば、内挿用の筒部311の外径を筒部310の内径と同程度もしくは大きく形成することにより、筒部110に機械的に係合させてもよい。
本変形例に係る内挿用の筒部311を用いる場合、当該内挿用の筒部311を既存の筒部310内に挿入および固定する簡単な作業で移動制限部320を消化器官用デバイス300に備えさせることが可能になるため、複数の膜状部材211、212をそれぞれ筒部110の内面に位置合わせした上で直接的に取り付けて製造する場合よりも、製造が容易なものとなる。
本変形例に示す消化器官用デバイス300を使用する場合においても、筒部310の先端側から基端側への流入物の移動を移動制限部320により好適に制限することが可能である点は、上述した実施形態に係る消化器官用デバイス100と同様である。
<変形例2>
図10は、上述した実施形態の変形例2を示す図である。上述した実施形態において説明した部材と同一の部材については、その説明を一部省略する。
上述した実施形態に係る消化管用デバイス100においては、移動制限部200は複数の膜状の部材211、212により構成されていたが、移動制限部を構成するために使用される膜状の部材の数は特に制限されない。例えば、図10に示すように一つの膜状の部材により移動制限部420を構成することも可能である。
図10に示すように、移動制限部420を構成する膜状の部材411は、筒部410の内周面の形状と略同一の円形の外形形状を有しており、中心位置には流通口421をなす貫通孔が設けられている。筒部410は、前述した実施形態において説明した筒部110と同様の材質で構成することが可能であり、膜状の部材411は、前述した実施形態において説明した膜状の部材211、212と同様の材質で構成することが可能である。
膜状の部材411の流通口421の周縁部分には、筒部410の先端側へ向けて流通口421の径を狭めるように形成されたテーパー部431が設けられている。このテーパー部431は、筒部410の先端側へ撓む撓み部を構成する。
筒部410の基端側から先端側へ流入物が移動する際に膜状の部材411が力を受けると、流通口421が撓んで広がることにより流入物が移動制限部420を通って容易に筒部410の先端側へ移動する。一方で、筒部410の先端側から基端側へ流入物が移動する際に、膜状の部材411が流入物から力を受けると、流通口421が撓んでその開口面積が狭まる。その結果、筒部410の先端側から基端側への流入物の移動が制限される。
本変形例に示すように、筒部内において流入物の所定方向への移動を制限する移動制限部の構成は、消化器官の運動に追従して変形可能に構成されるとともに、筒部内に流入した流入物が消化器官の運動によって筒部の基端側へ移動することを制限し得る限りにおいて変更することが可能である。例えば、使用される膜状の部材の数は2つ以上であってもよいし、各膜状の部材の外形形状や各部の寸法、取り付け位置等は適宜変更することが可能である。
その他の構成についても本発明は特許請求の範囲に記載された内容に基づいて改変することが可能である。例えば、実施形態において説明したような撓み部を有していない膜状の部材により移動制限部を構成することも可能であるし、消化器官の運動に追従して変形可能であれば膜状の部材のような薄膜状に構成された部材以外の部材で移動制限部を構成することも可能である。また、移動制限部を一つの筒部に対して複数設置することも可能である。
100、300、400 消化器官用デバイス、
110、310、410 筒部、
111 貫通孔、
120 留置部、
200、320、420 移動制限部、
210 弁構造、
211 第1の膜状の部材、
212 第2の膜状の部材、
220、421 流通口、
231 第1の撓み部、
232 第2の撓み部、
240 延在部、
311 内挿用の筒部。

Claims (5)

  1. 貫通孔を備え、生体の消化器官内に配置される筒部と、
    前記筒部の基端側に設けられ、前記筒部を生体内に保持する留置部と、
    前記筒部に設けられ、前記消化器官の運動に追従して変形可能に構成されるとともに、前記貫通孔を介して前記筒部内に流入した流入物が前記消化器官の運動によって前記筒部の基端側へ移動することを制限する移動制限部と、を有する消化器官用デバイス。
  2. 前記移動制限部は、可撓性を備える複数の膜状の部材によって構成された弁構造を有し、
    前記弁構造は、それぞれの前記膜状の部材の間に、前記筒部の基端側から先端側へ向けて移動する前記流入物から受ける力によって前記流入物の通過を容易にする一方で、前記筒部の先端側から基端側へ向けて移動する前記流入物から受ける力によって前記流入物の移動を制限する流通口を有してなる、請求項1に記載の消化器官用デバイス。
  3. 前記複数の膜状の部材は、前記筒部の先端側へ撓んだ第1と第2の撓み部がそれぞれ形成された第1と第2の膜状の部材を少なくとも有し、
    前記流通口は、前記第1の膜状の部材の前記第1の撓み部と前記第2の膜状の部材の前記第2の撓み部とが重なる位置に形成される、請求項2に記載の消化器官用デバイス。
  4. 前記第1の膜状の部材の前記第1の撓み部は、前記流通口が形成される位置よりも前記筒部の先端側に延在する延在部を有し、当該第1の撓み部の面積は、前記第2の膜状の部材の前記第2の撓み部の面積よりも大きく形成されている、請求項3に記載の消化器官用デバイス。
  5. 前記筒部に内挿され、前記移動制限部が内部に配置された内挿用の筒部をさらに有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の消化器官用デバイス。
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