JP2015134870A - 微細セルロース繊維分散体の製造方法、微細セルロース繊維の製造方法、及び乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法 - Google Patents

微細セルロース繊維分散体の製造方法、微細セルロース繊維の製造方法、及び乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】輸送に係る費用の低減が可能で、保存性に優れる乾燥済みの酸化セルロース繊維を、環境負荷が小さく、容易に、かつ安価に、未乾燥状態から調製した場合と同様に溶媒に微細分散させることができる乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法、及び微細セルロース繊維分散体の製造方法、並びに微細セルロース繊維の製造方法を提供すること。【解決手段】乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する熱水処理工程と、熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる分散工程とを含み、前記乾燥済みの酸化セルロース繊維が、N−オキシル化合物、及び共酸化剤を含む反応液中でセルロース系原料を酸化して得られた酸化セルロース繊維を乾燥させたものである微細セルロース繊維分散体の製造方法などである。【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法、乾燥済みの酸化セルロース繊維を用いた微細セルロース繊維分散体の製造方法、及び該微細セルロース繊維分散体を用いた微細セルロース繊維の製造方法に関する。
ナノサイズの材料である微細セルロース繊維(以下、「セルロースナノファイバー」と称することがある)は、天然に多量に存在するバイオマスであるセルロースをN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させることにより酸化させ、前記酸化させたセルロース(以下、「酸化セルロース繊維」と称することがある)を水中でせん断力を与えるような機械的な解繊処理で微細分散(以下、「ナノ分散」と称することがある)して得られる。前記酸化セルロース繊維をナノ分散させた酸化セルロースナノファイバー分散体(以下、「微細セルロース繊維分散体」と称することがある)はそのまま、あるいは他の材料と複合化したゲル状で増粘材として利用できる。また、酸化セルロースナノファイバー分散体をそのまま、あるいは他の材料と複合化して乾燥することで、シート状、フィルム状、発泡体状、エアロゲル状等の材料を製造することができる(例えば、特許文献1参照)。前記酸化セルロースナノファイバーは、均一の幅で、高アスペクト比のバイオ系ナノファイバーであり、大比表面積、高強度、及び導入されたカルボキシル基による水中での優れたナノ分散性を有するという優れた特徴がある。そのため、例えば、酸素バリア膜、汎用プラスチックの補強材、医療用材、細胞培養基材、触媒担体、吸着剤、分離材などの様々な分野への利用が期待されている。
しかしながら、前記酸化セルロースナノファイバーの水分散液(以下、「酸化セルロースナノファイバー分散体」、又は「セルロースナノファイバー分散体」と称することがある)は、固形分濃度が0.1質量%〜5質量%と非常に低い。そのため、酸化セルロースナノファイバーを用いた製品を製造するために用いる前記酸化セルロースナノファイバー分散体を輸送する際には、大量の水を運ぶこととなり輸送に係る費用が高いという問題がある。また、前記酸化セルロースナノファイバー分散体を保存する際には、微生物対策として、冷蔵保存をしたり、防腐剤処理を行ったりしなければならないという問題もある。
前記問題への対応策としては、前記酸化セルロース繊維を乾燥させ、固形分濃度を90%以上に高めたものを輸送することが考えられる。しかしながら、凍結乾燥などの穏やかな乾燥方法を用いた場合であっても、一旦乾燥してしまうと、過酷な分散処理条件を行ってもセルロースナノファイバー分散体を製造することができないという問題がある。
前記ナノ分散ができないと、前記酸化セルロースナノファイバーの均一超極細幅、高アスペクト比、ゲル及びフィルムの透明性という素材としての特徴は発現しないという問題がある。
別の対応策としては、解繊し、ナノ分散処理する前の繊維状の酸化セルロース(幅が0.01mm〜0.06mm、長さが0.1mm〜5mmで、酸化処理前の木材セルロース繊維と同じ形状を保っている)を、洗浄及びろ過工程で圧搾し、固形分濃度を10%〜40%程度に上げた(すなわち水を90%〜60%含有した)未乾燥の状態で保存、運搬することが考えられる。前記未乾燥状態の酸化セルロースであれば、水中での解繊処理で常にセルロースナノファイバー分散体を製造することができる。しかし、未乾燥状態でも依然として水分量は多く、輸送にかかる費用が高いという問題や、保存中の防腐対策が必要という問題がある。
また、これまでに、水への再分散が容易である増粘用セルロース繊維の製法として、酸化後のセルロースを、水以外の極性溶媒を50〜75%含有する水性洗浄液を用い、かつpH5.5以上の条件下で精製後、乾燥させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、前記提案で得られる増粘用セルロース繊維は、分散液の透明度が低く、十分に分散できているとはいえず、また、極性溶媒を用いて洗浄及び乾燥を繰り返し行うことは、環境負荷の観点や、コスト面から実用化に適しているとはいえないという問題がある。
したがって、輸送に係る費用の低減が可能で、保存性に優れる乾燥済みの酸化セルロース繊維を、環境負荷が小さく、容易に、かつ安価に、未乾燥状態から調製した場合と同様に溶媒に微細分散させることができる方法の速やかな開発が強く求められているのが現状である。
特許第4998981号公報 特開2013−104133号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、輸送に係る費用の低減が可能で、保存性に優れる乾燥済みの酸化セルロース繊維を、環境負荷が小さく、容易に、かつ安価に、未乾燥状態から調製した場合と同様に溶媒に微細分散させることができる乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法、及び微細セルロース繊維分散体の製造方法、並びに微細セルロース繊維の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する熱水処理工程と、
熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる分散工程とを含み、
前記乾燥済みの酸化セルロース繊維が、N−オキシル化合物、及び共酸化剤を含む反応液中でセルロース系原料を酸化して得られた酸化セルロース繊維を乾燥させたものであることを特徴とする微細セルロース繊維分散体の製造方法である。
<2> 前記<1>に記載の製造方法により製造された微細セルロース繊維分散体を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法である。
<3> 乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する熱水処理工程と、
熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる分散工程とを含み、
前記乾燥済みの酸化セルロース繊維が、N−オキシル化合物、及び共酸化剤を含む反応液中でセルロース系原料を酸化して得られた酸化セルロース繊維を乾燥させたものであることを特徴とする乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、輸送に係る費用の低減が可能で、保存性に優れる乾燥済みの酸化セルロース繊維を、環境負荷が小さく、容易に、かつ安価に、未乾燥状態から調製した場合と同様に溶媒に微細分散させることができる乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法、及び微細セルロース繊維分散体の製造方法、並びに微細セルロース繊維の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1及び2の微細セルロース分散体の光透過度を測定した結果を示すグラフである。 図2は、比較例1の分散液の光透過度を測定した結果を示すグラフである。
(微細セルロース繊維分散体の製造方法)
本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法は、熱水処理工程と、分散工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<熱水処理工程>
前記熱水処理工程は、乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する工程である。
−乾燥済みの酸化セルロース繊維−
前記乾燥済みの酸化セルロース繊維は、N−オキシル化合物、及び共酸化剤を含む反応液中でセルロース系原料を酸化して得られた酸化セルロース繊維を乾燥させたものである。
−−セルロース系原料−−
前記セルロース系原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンターやコットンリントのような綿系パルプ、麦わらパルプやバガスパルプ等の非木材系パルプ、バクテリアセルロース、ホヤから単離されるセルロース、海草から単離されるセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記セルロース系原料は、叩解等の表面積を高める処理を施したものであってもよい。
前記反応液における前記セルロース系原料の分散媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水などが挙げられる。
前記反応液中における前記セルロース系原料の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−N−オキシル化合物−−
前記N−オキシル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「「Cellulose」Vol.10、2003年、第335ページから341ページにおけるI. Shibata及びA. Isogaiによる「TEMPO誘導体を用いたセルロースの触媒酸化:酸化生成物のHPSEC及びNMR分析」と題する記事」に記載されている化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記N−オキシル化合物の具体例としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(以下、「TEMPO」と称することがある)、4−アセトアミドTEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−フォスフォノオキシ−TEMPOなどが挙げられる。
前記反応液における前記N−オキシル化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、触媒量などが挙げられる。
−−共酸化剤−−
前記共酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、次亜ハロゲン酸又はその塩、亜ハロゲン酸又はその塩、過ハロゲン酸又はその塩、過酸化水素、過有機酸など挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記共酸化剤の具体例としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記反応液における前記共酸化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−その他の成分−−
前記反応液は、上述したセルロース系原料、N−オキシル化合物、及び共酸化剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化物、ヨウ化物、又はこれらの混合物などが挙げられる。
前記臭化物、及びヨウ化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化アルカリ金属、ヨウ化アルカリ金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記反応液における前記臭化物、ヨウ化物、又はこれらの混合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記酸化セルロース繊維は、カルボキシル基量が0.8mmol/g〜2.2mmol/g、アルデヒド基量が0.8mmol/g以下である。
前記酸化セルロース繊維中のカルボキシル基量とアルデヒド基量は、T.Saito及びA.Isogai、「TEMPO−mediated oxidation of native cellulose. The effect of oxidation conditions on chemical and crystal structures of the water−insoluble fractions」、Biomacromolecules、Vol.5、1983〜1989ページ、2004年)に記載されている方法に従い、亜塩素酸ナトリウムによる追酸化処理と電導度滴定によって測定することができる。
また、前記酸化の条件を選択することで、後述の追酸化処理を行わなくてもアルデヒド基を含まない酸化セルロース繊維を得ることができる。
前記アルデヒド基を含まない酸化セルロース繊維を得るための酸化の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、S.Saito,M.Hirota,N.Tamura,S.Kimura,H.Fukuzumi,L.Heux,A.Isogai、「Individualization of nano−sized plant cellulose fibrils by direct surface carboxylation using TEMPO catalyst under neutral conditions」、Biomacromolecules、Vol.10、1992〜1996ページ、2009年)に記載されている条件を適宜選択することができる。
−−追酸化処理−−
前記酸化セルロース繊維は、前記酸化に加えて、追酸化処理を行ったものであってもよい。
前記追酸化処理は、前記酸化で得られた酸化セルロース繊維を亜塩素酸ナトリウムにより更に酸化する処理である。
前記追酸化処理の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、T.Saito及びA.Isogai、「TEMPO−mediated oxidation of native cellulose. The effect of oxidation conditions on chemical and crystal structures of the water−insoluble fractions」、Biomacromolecules、Vol.5、1983〜1989ページ、2004年)に記載されている条件を適宜選択することができる。
前記追酸化処理により、C6位に微量生成したアルデヒド基をカルボキシル基に酸化した、アルデヒド基を含まない酸化セルロース繊維を得ることができる。
前記酸化セルロース繊維は、水による吸引ろ過洗浄をした後に、後述する乾燥を行ってもよい。
前記酸化セルロース繊維は、この段階ではナノファイバー単位までバラバラに分散しているわけではないため、通常の水洗−吸引ろ過洗浄方法により洗浄することができる。
前記洗浄方法の具体例としては、吸引ろ過及び遠心分離の少なくともいずれかで水洗、洗浄する方法が挙げられる。前記洗浄の回数は、1回であってもよいし、複数回であってもよい。前記洗浄により、未反応の共酸化剤や各種副生成物を除去することができる。
−−乾燥−−
前記酸化セルロース繊維を乾燥する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オーブン乾燥機を用いた乾燥方法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などが挙げられる。
前記乾燥の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、105℃で3時間などが挙げられる。
前記105℃、3時間の乾燥条件は、一般にセルロース繊維の絶乾条件とされている。
前記乾燥済みの酸化セルロース繊維の含水量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、運搬に係る費用を低減することができる点で、含水量が低いほど好ましく、絶乾の酸化セルロース繊維がより好ましい。
−熱水処理−
前記熱水処理の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記乾燥済みの酸化セルロース繊維を水中に浸し、加熱する態様が好ましい。
前記熱水の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、80℃〜100℃が特に好ましい。前記熱水の温度が70℃未満であると、前記酸化セルロース繊維を微細分散させることができないことがある。一方、前記好ましい範囲であると、前記酸化セルロース繊維を容易に微細分散させることができる。
前記熱水処理工程の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15分間以上が好ましく、30分間以上がより好ましく、1時間〜4時間が特に好ましい。前記熱水処理工程の時間が15分間未満であると、前記酸化セルロース繊維を微細分散させることができないことがある。一方、前記好ましい範囲であると、前記酸化セルロース繊維を容易に微細分散させることができる。
前記熱水中における前記酸化セルロース繊維の固形分濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.01質量%〜5質量%などが挙げられる。
前記熱水は、前記酸化セルロース繊維以外のその他の成分を含んでいてもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記酸化セルロース繊維を含有する熱水のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記熱水処理は、撹拌しながら行うことが好ましい。
前記撹拌の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて、公知の手段を適宜選択することができる。
前記撹拌の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マグネチックスターラーにより撹拌する場合には、300rpm〜400rpm程度の穏やかな撹拌とするなどが挙げられる。
<分散工程>
前記分散工程は、熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる工程である。前記分散工程により、前記酸化セルロース繊維を微細分散させることができる。
−溶媒−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
前記エーテル類の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
前記ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
前記溶媒の中でも、水が好ましい。
−分散−
前記分散工程で用いる分散手段(以下、「解繊手段」と称することもある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、二重円筒型ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、水流対向衝突型分散機、ビーター、ディスク型リファイナー、コニカル型リファイナー、ダブルディスク型リファイナー、グラインダー、二軸混練機などが挙げられる。
前記分散工程の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する「光透過度」の項目に記載した分散液の調製における条件などが挙げられる。
前記分散工程により、前記酸化セルロース繊維が微細分散され、微細セルロース繊維分散体が得られる。
前記微細セルロース繊維分散体における微細セルロース繊維は、幅が2nm〜5nm程度、長さが0.2μm〜5μm程度のセルロースシングルミクロフィブリルである。
前記微細セルロース繊維分散体における微細セルロース繊維の固形分濃度としては、微細分散される限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.01質量%〜5質量%などが挙げられる。
前記微細セルロース繊維分散体が得られたか否かは、例えば、光透過度の測定、複屈折の観察などにより、判断することができる。
−−光透過度−−
前記光透過度の測定により前記微細セルロース繊維分散体が得られたか否かを判断する場合には、例えば、以下のようにして調製した乾燥済みの酸化セルロース繊維濃度が0.1質量%の分散液(未解繊物があったとしても除去しないままの分散液。完全ナノ分散化して未解繊物が存在しないこともある)の波長600nmにおける光透過度(以下、「透過率」と称することがある)が80%以上であれば、微細分散された(ナノ分散された)と判断できる。光透過度が、80%に至らない場合には、微細分散されていない、未解繊成分を含有していると判断できる。
前記分散液の調製は、以下のようにして行うことができる。
105℃で3時間乾燥した乾燥済みの酸化セルロース繊維を濃度が0.1質量%になるように水で希釈して40mLの分散液とする。前記分散液を50mL容器の遠心分離管(ポリプロピレン製;コーニング社製)に入れ、そのまま二重円筒型ホモジナイザー(刃の直径1.5cm、マイクロテック・ニチオン社製 NS−56)を用いて7,500rpmで2分間解繊処理を行う。次いで、前記二重円筒型ホモジナイザーによる解繊処理後、そのまま直ちに氷水で容器の周りを冷やしながら超音波ホモジナイザー(日本精機社製 US−300T、プローブチップ7mm、出力300W、19.5kHz)で8分間解繊処理を行う。
なお、前記超音波ホモジナイザーでの処理では、超音波処理による前記分散液の温度上昇を避けるために、2分間超音波処理して、1分間放置冷却するというサイクルを繰り返し、合計の超音波処理時間が8分間となるように行う。
前記微細セルロース繊維分散体の光透過度を測定する手段としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択することができ、例えば、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社社製V−670)などが挙げられる。
−−複屈折−−
前記複屈折の観察により前記微細セルロース繊維分散体が得られたか否かを判断する場合には、例えば、未解繊の残渣がある場合には、遠心分離処理により取り除く以外は、前記光透過度の測定で調製した分散液と同様にして調製した乾燥済みの酸化セルロース繊維濃度が0.1質量%の分散液を直交偏光板の間に置き、複屈折が観察された場合には、微細分散された(ナノ分散された)と判断できる。
前記遠心分離処理は、前記50mL容器の遠心分離管のまま、12,000Gで10分間遠心分離機にて行うことができる。これにより、未解繊セルロース繊維を除去し、未解繊セルロース繊維を含まない上澄みを得る。
なお、前記遠心分離処理により除去した未解繊部分の重量割合が10%以上である場合には、前記微細セルロース繊維分散体は、「水中ナノ分散化できていない」と判断される。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却工程、微細セルロース繊維分散体乾燥工程、再分散工程などが挙げられる。
−冷却工程−
前記冷却工程は、前記熱水処理工程で得られた酸化セルロース繊維を冷却する工程である。
前記冷却工程は、前記熱水処理工程と前記分散工程との間に行うことが好ましい。
前記冷却の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、急冷、除冷などが挙げられる。
前記冷却工程後の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温などが挙げられる。
−微細セルロース繊維分散体乾燥工程−
前記微細セルロース繊維分散体乾燥工程は、前記分散工程で得られた微細セルロース繊維分散体を乾燥する工程である。前記微細セルロース繊維分散体乾燥工程で乾燥された微細セルロース繊維は、後述する再分散工程により、微細セルロース繊維分散体とすることができる。
前記微細セルロース繊維分散体乾燥工程の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などが挙げられる。
前記乾燥の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−再分散工程−
前記再分散工程は、前記微細セルロース繊維分散体乾燥工程で得られた微細セルロース繊維分散体の乾燥物を溶媒に分散させる工程である。
前記再分散工程における溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述の分散工程における溶媒と同様のものが挙げられる。
前記再分散工程で用いる分散手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボルテックスミキサーなどが挙げられる。
本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法によれば、従来微細分散することができなかった乾燥済みの酸化セルロース繊維を、環境負荷が小さく、容易に、かつ安価に、未乾燥状態から調製した場合と同様に溶媒に微細分散させることができる。本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法によれば、絶乾の酸化セルロース繊維をも環境負荷が小さく、容易に、かつ安価に、未乾燥状態から調製した場合と同様に溶媒に微細分散させることができる。
また、本発明では、前記乾燥済みの酸化セルロース繊維を用いるため、酸化セルロース繊維の輸送に係る費用を低減することができ、また、酸化セルロース繊維の保存性も向上させることができる。
(微細セルロース繊維の製造方法)
本発明の微細セルロース繊維の製造方法は、乾燥工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<乾燥工程>
前記乾燥工程は、上述した本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法により製造された微細セルロース繊維分散体を乾燥する工程である。
前記乾燥の方法としては、上述した本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法における乾燥済みの酸化セルロース繊維の項目における乾燥と同様にして行うことができる。
前記乾燥工程により、微細セルロース繊維を得ることができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記微細セルロース繊維は、酸素防止膜、汎用プラスチックの補強材、医療用材、細胞培養基材、触媒担体、吸着剤、分離材などの様々な分野に好適に用いることができる。
(乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法)
本発明の乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法は、熱水処理工程と、分散工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<熱水処理工程>
前記熱水処理工程は、乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する工程であり、上述した本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法における熱水処理工程と同様にして行うことができる。
<分散工程>
前記分散工程は、熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる工程であり、上述した本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法における分散工程と同様にして行うことができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法におけるその他の工程と同様にして行うことができる。
(微細セルロース繊維成形体の製造方法)
前記微細セルロース繊維成形体の製造方法は、上述した本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法により製造された微細セルロース繊維分散体を所定形状に保持しつつ液体成分を除去する工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
前記微細セルロース繊維分散体を所定形状に保持しつつ液体成分を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス板などの基板上に、前記微細セルロース繊維分散体を流延塗布した後、自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥などの乾燥法により、前記分散体の液体成分を除去し、膜を形成する方法などが挙げられる。
前記膜を基板から剥がすことにより、微細セルロース繊維成形体を得ることができる。
また、成形物上に前記微細セルロース繊維分散体を用いて、微細セルロース繊維層を形成し、微細セルロース繊維成形体としてもよい。
前記成形物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、所望の形状及び大きさを有するフィルム、シート、織布、不織布などの箔状物、所望の形状及び大きさの箱、ボトルなどの立体容器などが挙げられる。
前記成形物の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、板紙、プラスチック、金属、これらの複合体などが挙げられる。
前記成形物の構造としては、一層であってもよいし、多層であってもよい。
前記成形物上に前記微細セルロース繊維分散体を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、噴霧法、浸漬法などが挙げられる。
また、膜状に形成した微細セルロース繊維成形体を、前記成形物の表面に貼り合わせてもよい。前記貼り合わせる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接着剤を用いる方法、熱融着法などが挙げられる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(微細セルロース繊維複合体の製造方法)
前記微細セルロース繊維複合体の製造方法は、上述した本発明の微細セルロース繊維分散体の製造方法により製造された微細セルロース繊維分散体と、複合体の材料を含む液体材料とを混合してなる分散液を調製する工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
前記複合体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、ナイロン(登録商標)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の合成高分子などが挙げられる。
前記合成高分子は、有機溶媒に溶解させて紡糸(溶液紡糸)したり、フィルムに成形したりすることができる。
したがって、前記微細セルロース繊維分散体と、前記合成高分子を含む液体材料とを混合した分散液を用いることで、前記微細セルロース繊維複合体である繊維状成形物やフィルム状成形物を得ることができる。
また、有機溶媒中で、モノマーと、前記微細セルロース繊維分散体とを混合させ、前記モノマーを重合させて高分子を合成することにより、微細セルロース繊維と、合成高分子との複合体を形成することもできる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
酸化セルロース繊維として、未乾燥のTEMPO酸化セルロース(日本製紙株式会社製、カルボキシル基量;1.45mmol/g、アルデヒド基量;0.05mmol/g、固形分率;15.95%)を用意した。
前記未乾燥のTEMPO酸化セルロースを、オーブンを用いて105℃で3時間乾燥させ、固形分含量が100質量%の乾燥済みの酸化セルロース繊維(以下、「絶乾TEMPO酸化セルロース」と称することがある)を得た。
<熱水処理工程>
100mL容のナスフラスコに、前記絶乾TEMPO酸化セルロース 0.4gを含む蒸留水 40mLを入れ、密栓せずに、80℃で30分間撹拌した。
前記撹拌は、マグネチックスターラーにより行い、スターラーバーは、直径 7mm、長さ 20mmのものを用いた。撹拌の強さは、おおよそ300rpm〜400rpm程度の穏やかな撹拌とした。
<冷却工程>
前記熱水処理工程を行った後、絶乾TEMPO酸化セルロース含有液を氷水中で急冷した。その後、揮発した水を補充し、絶乾TEMPO酸化セルロース水分散体(0.1質量/体積%)を得た。
<分散工程>
前記絶乾TEMPO酸化セルロース水分散体 40mLを50mL容器の遠心分離管(ポリプロピレン製;コーニング社製)に入れ、そのまま二重円筒型ホモジナイザー(刃の直径1.5cm、マイクロテック・ニチオン社製 NS−56)を用いて7,500rpmで2分間解繊処理を行った。前記二重円筒型ホモジナイザーによる解繊処理後、そのまま直ちに氷水で容器の周りを冷やしながら超音波ホモジナイザー(日本精機社製 US−300T、プローブチップ7mm、出力300W、19.5kHz)で8分間解繊処理を行った。なお、前記超音波処理では、前記分散液の温度上昇を避けるために、2分間超音波処理して、1分間放置冷却するというサイクルを繰り返し、合計の超音波処理時間が8分間となるように行った。以上の処理で、セルロース濃度が0.1質量%の分散液(以下、「微細セルロース繊維分散体」と称することがある)を得た(収率90%)。
<光透過>
前記微細セルロース繊維分散体(未解繊物があったとしても除去しないままの分散液。完全ナノ分散化して未解繊物が存在しないこともある)の光透過度を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社社製V−670)を用いて測定した結果を図1(図1中の「実線」)に示す。前記微細セルロース繊維分散体の波長600nmにおける光透過度は、83.9%だった。
<複屈折>
前記微細セルロース繊維分散体(未解繊の残渣がある場合には、遠心分離処理により取り除いたもの)を直交偏光板の間に置き、複屈折が見られるか否かを確認した結果、複屈折が観察された。
(実施例2)
前記実施例1において、熱水処理工程の時間が30分間であった点を60分間に変えた以外は同様にして、絶乾TEMPO酸化セルロース水分散体を得た。
前記絶乾TEMPO酸化セルロース水分散体について、前記実施例1と同様にして分散工程を行い、微細セルロース繊維分散体を得た(収率90%)。
<光透過度>
前記実施例1と同様にして、前記微細セルロース繊維分散体の光透過度を測定した結果を図1(図1中の「点線」)に示す。前記微細セルロース繊維分散体の波長600nmにおける光透過度は、87.3%だった。
<複屈折>
前記実施例1と同様にして、前記微細セルロース繊維分散体が、複屈折が見られるか否かを確認した結果、複屈折が観察された。
(比較例1)
<乾燥済みの酸化セルロースの調製>
未乾燥のTEMPO酸化セルロース(日本製紙株式会社製、カルボキシル基量;1.45mmol/g、アルデヒド基量;0.05mmol/g、固形分率;15.95%)を絶乾重量2g分測りとり、蒸留水150mLに分散させた。この分散液に2N硫酸を加え、pHを7.0に調整した。その後、ガラスフィルターを用いて反応液をろ過した。
このろ過により得られたセルロース繊維を、洗浄液である含水溶媒(アセトン:水=50:50〔容積比〕)中に加え、pH7.0を保持したまま撹拌して均一に分散させた。これを再度、ガラスフィルターを用いてろ過した。この操作をさらに4回繰り返し、セルロース繊維を精製した。
精製後、この試料を室温で2日間静置して乾燥し、乾燥物を得た。なお、上記乾燥物は、乾燥減量16%であった。
<分散工程>
前記乾燥物を水で希釈し、セルロース濃度が0.1質量%の分散液40mLを調製した。
前記分散液について、前記実施例1と同様にして分散工程を行い、セルロース濃度が0.1質量%の分散液(未解繊部分を含む)を得た。
<光透過>
前記実施例1と同様にして、前記分散液(未解繊部分を含む)の光透過度を測定した結果を図2に示す。前記分散液(未解繊部分を含む)の波長600nmにおける光透過度は、68.7%だった。
<複屈折>
前記実施例1と同様にして、前記分散液が、複屈折が見られるか否かを確認した結果、上澄みについては複屈折が確認されたものの、遠心分離で除去した未解繊部分の重量割合が31%であり、水中ナノ分散できないものであった。
なお、前記遠心分離は、前記50mL容器の遠心分離管のまま、12,000Gで10分間遠心分離機にて行った。
前記実施例1及び2、並びに比較例1の結果から、本発明の熱水処理工程を行わなかった比較例1では、乾燥済みの酸化セルロース繊維を微細分散させることができなかった。一方、実施例1及び2の微細セルロース繊維分散体は、波長600nmの光透過度が80%以上であり、また、複屈折が観察されたことから、本発明の方法により、乾燥済みの酸化セルロース繊維であっても、未乾燥状態から調製した場合と同様に微細分散させることが可能であることが示された。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する熱水処理工程と、
熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる分散工程とを含み、
前記乾燥済みの酸化セルロース繊維が、N−オキシル化合物、及び共酸化剤を含む反応液中でセルロース系原料を酸化して得られた酸化セルロース繊維を乾燥させたものであることを特徴とする微細セルロース繊維分散体の製造方法である。
<2> 熱水の温度が、70℃以上である前記<1>に記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法である。
<3> 熱水処理工程の時間が、15分間以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法である。
<4> 熱水処理工程と分散工程との間に、熱水処理工程で得られた酸化セルロース繊維を冷却する冷却工程を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法により製造された微細セルロース繊維分散体を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法である。
<6> 乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する熱水処理工程と、
熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる分散工程とを含み、
前記乾燥済みの酸化セルロース繊維が、N−オキシル化合物、及び共酸化剤を含む反応液中でセルロース系原料を酸化して得られた酸化セルロース繊維を乾燥させたものであることを特徴とする乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法である。
<7> 熱水の温度が、70℃以上である前記<6>に記載の乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法である。
<8> 熱水処理工程の時間が、15分間以上である前記<6>から<7>のいずれかに記載の乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法である。
<9> 熱水処理工程と分散工程との間に、熱水処理工程で得られた酸化セルロース繊維を冷却する冷却工程を含む前記<6>から<8>のいずれかに記載の乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法である。
<10> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法により製造された微細セルロース繊維分散体を所定形状に保持しつつ液体成分を除去することを特徴とする微細セルロース繊維成形体の製造方法である。
<11> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法により製造された微細セルロース繊維分散体と、複合体の材料を含む液体材料とを混合してなる分散液を用いることを特徴とする微細セルロース繊維複合体の製造方法である。

Claims (7)

  1. 乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する熱水処理工程と、
    熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる分散工程とを含み、
    前記乾燥済みの酸化セルロース繊維が、N−オキシル化合物、及び共酸化剤を含む反応液中でセルロース系原料を酸化して得られた酸化セルロース繊維を乾燥させたものであることを特徴とする微細セルロース繊維分散体の製造方法。
  2. 熱水の温度が、70℃以上である請求項1に記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法。
  3. 熱水処理工程の時間が、15分間以上である請求項1から2のいずれかに記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の微細セルロース繊維分散体の製造方法により製造された微細セルロース繊維分散体を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法。
  5. 乾燥済みの酸化セルロース繊維を熱水で処理する熱水処理工程と、
    熱水で処理された酸化セルロース繊維を溶媒に分散させる分散工程とを含み、
    前記乾燥済みの酸化セルロース繊維が、N−オキシル化合物、及び共酸化剤を含む反応液中でセルロース系原料を酸化して得られた酸化セルロース繊維を乾燥させたものであることを特徴とする乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法。
  6. 熱水の温度が、70℃以上である請求項5に記載の乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法。
  7. 熱水処理工程の時間が、15分間以上である請求項5から6のいずれかに記載の乾燥済みの酸化セルロース繊維の微細分散化方法。
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