JP2015134432A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】未然に周囲への汚染を防止する。【解決手段】上から順にキャノン306、ノズル302、帯電電極308、帯電検出センサ310、偏向電極312、ガター304が配置され、また、ガター304の上方にインク軸変位センサ20が設けられている。インク軸変位センサ20からの信号に基づいてインク軸14の変位を検知し、このインク軸14がガター304の上端開口304a内の外周領域Arに侵入したと判断したときには警告信号を出力する。【選択図】図5

Description

本発明は、インクジェット記録装置に係り、さらに詳しくは、ヘッドから射出されたインク粒によってワークに文字や図形を印字するインクジェット記録装置の改良に関する。
ワークの表面に文字や図形を印字するのにインクジェット記録装置が用いられている(特許文献1、2)。このインクジェット記録装置は、一般的にインクジェットプリンタと呼ばれている。インクジェットプリンタは、製造ライン上に配置されるヘッドと、ヘッドにインクを供給するコントローラ本体とを有し、インク液を帯電させると共に粒子化し、粒子化したインク粒を偏向させることでワーク表面に印字する。
速乾性のインク液によってノズルが目詰まりするのを防止するために、ワークにインク粒を印字しないときもヘッドに対するインク液の供給が継続され、このインク液はインク受けであるガターを介して回収される。
特開2007−190724号公報 特開2007−190727号公報
インクジェットプリンタは速乾性のインク液を使用しているため、インク液による周囲の汚染防止がインクジェットプリンタの根源的な課題である。上述したようにワークにインク粒を印字しないときはガターによってインク液が回収されるが、ノズルとガターとの相対位置に経時的なズレが発生した場合、そのズレを修正すべくノズルの設置位置や向きを調整するなど、その対応は事後的に行われていた。ノズルとガターとの相対的な位置ズレが発生する原因は様々である。例えば、ヘッドに対するノズル又はガターの取り付け強度が弱く、外部から強い衝撃が加わって構成部品が物理的に動いてしまった場合、ノズルの穴の内側にゴミ等の障害物が付着して、インク粒がノズルから飛び出す方向が変わった場合、或いは、ヘッドに対して外部から圧力が加わり、その圧力がノズルにも伝わり、その結果、インク粒がノズルから飛び出す方向が変わった場合などである。
従来のインクジェットプリンタでは、ノズルとガターとの相対位置の経時的なズレに伴う周囲への汚染防止対策として、典型的には、ガターに入り込んだ液の流れを検知し、ノズルがインクを吐出しているはずなのにガター内でのインクの流れが途絶えたときに、異常が発生したとして警報を発すると共に、ノズルからインクを吐出するのを停止する緊急停止手段が講じられている。
しかしながら、ガター内でのインクの流れが途絶えた原因が、インク粒がガターの外に着弾しているのが原因であるとは一概に言えない。ノズルの詰まりが原因かも知れないし、その他の原因かも知れない。いずれにせよ、ガター内でのインクの流れが途絶えたことを理由に、インクジェットプリンタの動作を緊急停止するのは、その頻度が多くなるとユーザの生産性に支障を及ぼしてしまう。
また、上述した事後的な対応では、事実として、インク粒がガターの外に着弾していたとしても、既にインク液が周囲に飛散した後に対応することになってしまう。つまり、周囲に飛散したインク液によって、印字すべき製品(ワーク)や搬送ラインを汚染した、その後始末が必要となる。
インク液による汚染発生について具体的に説明すると、インク粒が例えばガターの開口端面や開口縁と衝突すると、霧状となって飛散し、暫くすると液滴となって周囲に付着する。これが一滴、二滴であれば実用上支障は生じないが、数多くのインク粒が継続的にガターの開口端面や開口縁と衝突すると、霧や累積した液滴によって汚染の問題が発生する。
これに対処する方法つまりノズルとガターとの相対位置の経時的なズレに伴う周囲への汚染防止対策として、例えば、ガターの受け入れ口つまり上端開口を大きくすることが考えられるが、ガターの受け入れ口を拡大するのは好ましくない。ガターの受け入れ口が拡大すると、ガターの吸引力を高める必要があり、その結果、ガターを通じて吸引する雰囲気(大気)の量が増大し、これに伴ってインク液に含まれる溶剤の揮発量が増大してしまう。
また、ガターの受け入れ口を大きくする以外にも、例えば、ガター開口を含む平面において、インク粒が飛翔する軸(「インク軸」と呼ぶ)がガター内に入る平面位置を検出し、インク軸がガター開口縁に近接した場合に、エラーや警告を出すことも考えられる。具体的には、ガター近傍に幾つかの電極(センサ部)を設け、導電性インクによって電極に誘起される電圧を検知することで、インク軸の平面位置を検出する。これにより、ある程度未然に周囲への汚染を防止することができる。
しかしながら、インク粒(或いはインク粒から分離した小粒など)がガター開口縁に衝突すると、上述したように、霧状となって飛散し、上記センサ部にも付着・累積する虞がある。上記センサ部に霧状の導電性インクが付着・累積すると、それがシールドとなって、インク軸の平面位置を検出することができない。
本発明の更なる目的は、ノズルとガターとの相対的な位置ズレに伴って、ノズルから吐出されたインク粒がガターによって受け入れられないでガターの周囲に飛散し続ける状態を、より正確に検出することが可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
帯電したインク粒を偏向させることによりワークの表面に印字するインクジェット記録装置であって、
吐出したインク液が粒子化するようにインク液を吐出するインク吐出部と、
該インク吐出部から吐出されたインク粒を帯電させる帯電電極と、
該帯電電極によって帯電したインク粒の進行方向を偏向させる偏向電極と、
印字に関与しないインク粒を受け入れて回収するためのガターと、
印字に関与せず且つ該ガター内に着弾しないインク粒に起因した該ガター周辺の汚染を検知する汚染検知センサと、を備えていることを特徴とするインクジェット記録装置を提供することにより達成される。
本発明の好ましい実施形態では、前記汚染検知センサが、前記ガター近傍に配置された少なくとも2個以上の導電部材を有し、前記導電部材間のインピーダンス変化を検出することにより前記ガター周辺の汚染を検知する。この実施形態によれば、インピーダンス変化を検出することで、普段はインクが存在しないガター周辺の汚染を、より確実に検知することができる。ここに、導電部材は導電性を有する部材であれば、例えば電極であってもよいし、端子であってもよい。
本発明の好ましい実施形態では、前記汚染検知センサが、交流電圧源に接続され且つ交流電圧が印加される第1の導電部材と、グランドに接続され且つ所定の基準電位を有する第2の導電部材と、前記第1の導電部材と前記第2の導電部材との間の電圧を検出し且つ検出した電圧に基づく信号を出力する信号出力部と、を備え、前記信号出力部から出力される信号に基づいて、前記導電部材間のインピーダンス変化を検出する。この実施形態によれば、前記信号出力部から出力される信号に基づいて、前記導電部材間のインピーダンス変化を検出することができる。ここに、グランドは、アース接地であってもよいし、ヘッド部の金属筐体接地でもよい。また、上記の第2の導電部材は、偏向電極のうちグランド部自体でもよいし、偏向電極のうちグランド部に埋め込まれた電極であってもよい。
本発明の好ましい実施形態では、前記第1の導電部材と前記第2の導電部材のうち少なくとも一つが前記ガターに配置されている。勿論、ガターに第1及び第2の導電部材を配置してもよい。
本発明の好ましい実施形態では、ガターによって受け入れられる前記インク粒の移動軌跡であるインク軸の変位を検知するインク軸変位センサを更に有する。滴下するインク粒を受け入れるガターの受け入れ口からインク粒が外れそうになったことをインク軸変位センサによって検知したときに例えば警報を発する又は警告をディスプレイ装置に表示することでユーザに対処を促すことができる。このままインクジェット記録装置を使い続けたときにインク汚れが発生する虞があるとしてユーザは事前に対処することができる。この対処としては典型的にはノズルの向きを調整することを挙げることができる。
このインク軸変位センサを設置した場合には、このインク軸変位センサでは対応しきれない汚染を汚染検知センサで検知することができる。つまり、インク軸変位センサで対応しきれない汚染に対するフェイルセーフとして汚染検知センサが機能することになる。つまり、この汚染検知センサを設置することで、ガター周りの汚染の進行を防止することができる。
本発明の他の目的及び作用効果は次に説明する本発明の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
実施例のインクジェットプリンタを組み込んだ自動印字システムの概要を説明するための図である。 実施例のインクジェットプリンタのインク液及び補充液である溶剤の経路を説明するための系統図である。 インクジェットプリンタのヘッドに含まれる主要な要素を抽出した図である。 インクジェットプリンタのヘッドを斜め前方から見た斜視図である。 平面視したときにインク軸と同心の円周上に等間隔に3つのインク軸変位センサを配置した例を説明するための図である。 図5の配置例の平面図である。 インク軸変位センサの配置の変形例として、平面視したときにインク軸と同心の円周上の半周に2つのインク軸変位センサを配置した例を説明するための図である。 インク軸変位センサの配置の更なる変形例として、平面視したときにインク軸と同心の円周上に等間隔に4つのインク軸変位センサを配置した例を説明するための図である。 インク軸変位センサの配置の別の変形例として、平面視したときにインク軸と同心の円周上に周方向に連続して延びる1つのインク軸変位センサを配置した例を説明するための図である。 インク軸変位センサを基板に配置した導体で構成し、この基板を偏向電極とガターとの間に配置した例を説明するための図である。 インク軸変位センサを基板に配置した導体で構成し、この基板を帯電電極と偏向電極との間に配置した例を説明するための図である。 ガターの受け入れ口の外周部分に警戒領域を設定し、この警戒領域にインク粒が侵入したときに警報などを発してユーザの注意を喚起する制御例を説明するための図である。 警戒領域にインク粒が侵入したときにユーザに注意を喚起する警告をディスプレイ装置に表示する制御の一例を説明するためのフローチャートである。 平面視したときにインク軸と同心の円周上の半周に2つのインク軸変位センサを配置した場合にインク粒の位置を検出するための計算方法を説明するための図である。 平面視したときにインク軸と同心の円周上に3つのインク軸変位センサを等間隔に配置した場合にインク粒の位置を検出するための計算方法を説明するための図である。 平面視したときにインク軸と同心の円周上に4つのインク軸変位センサを等間隔に配置した場合にインク粒の位置を検出するための計算方法を説明するための図である。 ディスプレイ装置を使ってノズルの向きの調整の具体的なインストラクションを表示する一例を示す図である。 ディスプレイ装置を使ってノズルの向きの調整の具体的なインストラクションを表示する他の例を示す図である。 ノズルの向きを調整するためのアクチュエータを備えたインクジェットプリンタでの表示例を説明するための図である。 ヘッドの下部に汚染検知センサを設けた例を示す図である。 汚染検知回路の一例を説明するための図である。 汚染されていないときの汚染検知回路の出力波形を説明するための図である。 汚染が始まったときの汚染検知回路の出力波形を説明するための図である。 汚染検知センサを用いた処理の一例を説明するためのフローチャートである。 汚染検知センサを用いた処理の他の例を説明するためのフローチャートである。 汚染センサなどに基づく制御を実行する機能ブロック図である。 汚染検知センサの配置の一例を説明するための図である。 汚染検知センサの配置の他の例を説明するための図である。 汚染検知センサの配置の更に他の例を説明するための図である。 汚染検知センサの配置の別の例を説明するための図である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、実施例のインクジェット記録装置を含む自動印字システムの一例の概略を示す図である。図示の自動印字システム1は、実施例のインクジェット記録装置2、ワーク検出センサ4、搬送速度センサ6及びディスプレイ装置8などで構成され、ディスプレイ装置8は好ましくはタッチパネル付きの薄型ディスプレイを採用するのがよい。
インクジェット記録装置2は一般的に「インクジェットプリンタ」と呼ばれていることから、このインクジェットプリンタという用語を使って説明すると、インクジェットプリンタ2は、ワーク搬送ライン10に設置されてワーク搬送ライン10を流れるワークWに文字や図形を印字するのに用いられる。印字対象物であるワークWは、例えば電子部品、プラスチック袋などである。ワーク検出センサ4は、ワークWの有無を検出して印字を開始するトリガを出力し、このトリガ信号を受けてワークWに対する印字が開始される。
インクジェットプリンタ2は、ワーク搬送ライン10の近傍に設置されるコントローラ本体200と、ワーク搬送ライン10に設置されるヘッド300とを有し、コントローラ本体200とヘッド300とは可撓性ホース12によって連結されている。コントローラ本体200とヘッド300とは、これらの間で速乾性のインク液が循環され、そして、ヘッド300は、次々と搬送されてくるワークWに対してドット印字を実行する。図1の矢印はワークWの搬送方向を示す。
図2は、インクジェットプリンタ2の全体構成を示すブロック図である。図2を参照してインクジェットプリンタ2の全体構成を説明する。コントローラ本体200は、その内部にメインタンク202を有し、このメインタンク202にインク液が蓄えられている。メインタンク202内の速乾性のインク液は第1ポンプ(インク供給ポンプ)204によってヘッド300のノズル302に供給される。ノズル302へのインク液の供給は常時継続され、ノズル302から吐出されたインク粒のうち、ワークWの印字に使用されないインク粒はガター304によって受け止められる。ガター304に滴下したインク粒はガターポンプ206によって吸引され、そしてメインタンク202に回収される。すなわち印字停止中(ワークにインク粒を印字していない間)はノズル302から吐出されたインク液がガター304によって回収される。図中、Fはフィルタを示す。
すなわち、コントローラ本体200とヘッド300とはインク循環系を構成しており、速乾性のインク液はメインタンク202からノズル302に供給され、ノズル302から吐出されたインク液のうち、印字停止中にノズル302から吐出されたインク液はガター304を介してメインタンク202に回収される。
コントローラ本体200は、サブインクタンク208と溶剤タンク210とを更に有している。サブインクタンク208には、メインタンク202に補充するためのインク液が収容されている。溶剤タンク210には、インク液の粘度を一定に保持するための溶剤である例えばメチルエチルケトン(MEK)が収容されている。
インクジェットプリンタ2では、インク循環系の立ち上げ時や立ち下げ時に、ヘッド300のノズル302内を洗浄する洗浄処理が行われる。ノズル302の洗浄時には、溶剤タンク210内の溶剤が溶剤ポンプ212によって直接的にヘッド300のノズル302に供給される。そして、ノズル302から吐出された溶剤はガター304で受け止められる。ガター304が受け取った溶剤はガターポンプ206によって吸引され、コンディショニングタンク216へ送られる。コンディショニングタンク216内の溶剤は補充・循環ポンプ218により必要に応じてメインタンク202に供給され、これにより回収した溶剤の再利用が行われる。なお、本実施形態ではコンディショニングタンク216が設けられたインクジェットプリンタ2を考えたが、場合によってはコンディショニングタンク216を省略可能である。この場合、ガター304が受け取った溶剤は、メインタンク202に送られる。
補充・循環ポンプ218は、また、サブインクタンク208内の補充用インク液を必要に応じてメインタンク202へ送出すると共にメインタンク202内のインクを循環させる機能を有している。すなわち、補充・循環ポンプ218は循環ポンプの機能を有し、この補充・循環ポンプ218によってメインタンク202内のインク液は常時循環されている。メインタンク202には粘度計220が付設され、この粘度計220によってメインタンク202内のインク液の粘度を検出し、この粘度計220によって検出した粘度に応じてコンディショニングタンク216から溶剤をメインタンク202に供給することでメインタンク202内のインク液の粘度が一定に維持される。
コントローラ本体200とヘッド300との間のインク液の循環、メインタンク202に対する溶媒の補充つまりメインタンク202内のインク液の粘度の調整、メインタンク202内のインク液の循環などに関して特許文献1(特開2007−190724号公報)に詳しく説明されていることから、この特許文献1の記載を本明細書に援用することにより、これ以上の詳しい説明は省略する。
また、図2の回路図は、コントローラ本体200の回路の概要を示すものである。コントローラ本体200の回路の詳細、特に複数の電磁弁を備え、この電磁弁によって、ポンプ204、206、218が吸い込んだ液体(インク液や溶剤)の流路の切り替えが行われることが特許文献1(特開2007−190724号公報)に記載されている。
図3はヘッド300の基本的な構成を説明するための図であり、図4はヘッド300を斜め前方から見た図である。このヘッド300は、上から下に向けて順に配置された、キャノン(加圧器)306、ノズル302、帯電電極308、帯電検出センサ310、偏向電極312、ガター304を有している。キャノン306は、コントローラ本体200から供給されたインクを加圧するための機能を有している。ノズル302には、その吐出口から鉛直方向下向きに吐出されるインク液に上下振動を与えるためのデバイス(例えばピエゾ素子)が設けられ、この振動によりノズル302から吐出されるインク液が粒子化される。
キャノン306はGNDに接地され、他方、帯電電極308には電位が印加される。この帯電電極308は、図4から最も良く分かるようにノズル302から吐出されたインク液Inが粒子化するブレークポイントに対応して位置しており、このブレークポイントが帯電電極308の所定の位置になるようにインク液Inの粘度が調整される。図4中、参照符号「Ip」は粒子化したインク粒を示す。
制御されたパルス電位が帯電電極308に印加される。後に説明するインク粒の偏向量を大きくするために(偏向量が小さいときに比べて)帯電電極308に相対的に高い電位が印加される。すなわち、帯電電極308の印加電位(正電位)を高めることでインク粒Ipの帯電量(負電位)が大きくなり、後に説明する偏向電極312によるインク粒Ipの偏向量が大きくなる。帯電検出センサ310は、インク粒Ipの帯電状態を検出してインク粒Ipが適切に帯電しているか否かを監視する。
偏向電極312は、インク粒Ipを帯電量に応じて偏向させるための一対の対向電極で構成されている。ここでは、数千ボルトの電圧が偏向電極312間に印加される。帯電状態のインク粒Ipは、偏向電極312間を通過する間に、インク粒Ipに作用する静電力によって進行方向が変化(偏向)し、そしてインク粒Ipの帯電量が高い程インク粒Ipの偏向量が大きくなる。ここにノズル302が吐出するインク液Inの吐出方向つまりこの実施例では鉛直方向下向きをx軸方向と呼び、このx軸を横断する横方向をy軸方向と呼ぶと、図3、図4に示すy軸方向とは逆方向にインク粒が偏向される。
ヘッド300の吐出方向をインク軸14と呼ぶと、図4を参照して、ヘッド300は、ノズル302の吐出方向を調整するための第1、第2の2本の調整ネジ314、316を有している。第1の調整ネジ314を操作することによりインク軸14をY軸方向(の正及び負の方向)に調整することができる。第2の調整ネジ316を操作することによりインク軸14をY軸と直交するZ軸方向に調整することができる。したがって、これら第1、第2の調整ネジ314、316を調整することによりノズル302の向きを調整することができる。
ヘッド300には、図5を参照して、インク粒Ipが帯電電極308により帯電されるインク粒帯電位置と、インク粒Ipがガター304内に滴下するインク粒滴下位置つまりインク粒Ipがガター304に到達する位置との間にインク軸変位センサ20が配設されている。具体的には、この実施例では、ガター304の上方にインク軸変位センサ20が配設されている。このインク軸変位センサ20は、インク軸14の位置ズレを検知する手段を構成するものである。図5の例では、平面視したときに第1〜第3の3つのインク軸変位センサ20(1)〜20(3)がインク軸14と略同心の略円周上(略円環状)に等間隔(120°間隔)で配置されている。すなわち、インク軸変位センサ20(1)〜20(3)は、インク粒が帯電電極308により帯電されるインク粒帯電位置と、インク粒がガター304内に着弾するインク粒着弾位置との間であって、且つ、インク軸の周りに配置されている。なお、インク軸変位センサ20(1)〜20(3)は、偏向電極312よりもガター304側に配置されるのが好ましい。ノズル302からより離れた位置に配置されることで、位置ズレしたときのインク軸の変位量が大きくなる結果、インク軸14の位置ズレを検知しやすくなる。
ここに、インク軸14とは、インク粒Ipを偏向電極312によって偏向させないでガター304に滴下させるときのインク粒Ipの移動軌跡と定義することができる。換言すると、インク粒Ipを帯電電極308によって帯電させないでガター304に滴下させるときのインク粒Ipの移動軌跡と定義してもよい。インク粒Ipは、帯電電極308によって帯電させなければ、偏向電極312によって偏向されないからである。
なお、図5の例では、第1乃至第3のインク軸変位センサ20(1)〜20(3)は上下にオフセットして配置されているが、上下にオフセットされず共通の平面にこれら第1乃至第3のセンサ20(1)〜20(3)を配置してもよく、また、例えば第1、第2のセンサ20(1)、20(2)を共通の第1平面に配置し、この第1平面から上又は下にオフセットして第3のセンサ20(3)を配置してもよい。また、インク軸変位センサ20(1)〜20(3)をガター304と一体的に構成してもよい。例えば、ガター304の開口周囲に一体的に配置する、等である。これにより、ガター304の位置決めによりインク軸変位センサの位置決めも行われるので、インク軸変位センサ20(1)〜20(3)の位置決めが容易になる。
インク軸14の位置ズレ検知手段であるインク軸変位センサ20は導体で構成され、インク粒Ipとインク軸変位センサ20との間の静電誘導によって導体に電荷が発生し(誘導され)、この電荷の量は、インク粒Ipとインク軸変位センサ20との間の直線距離の2乗に反比例する。この実施例では、インク軸変位センサ20の電位(又は電圧)によってインク粒Ipの位置を検出しているが、電流の量によってインク粒Ipの位置を検出してもよい。
図6は図5に例示した3つのセンサ20(1)〜20(3)の配置例を平面視した図である。インク軸変位センサ20の配置に関する変形例を図7〜図9に示す。図7は、インク軸14と同心の円周上においてその半周部分に第1、第2の2つのインク軸変位センサ20(1)、20(2)を配置した例を示す。勿論、インク軸14と同心の円周上においてその半周部分に3つ以上のインク軸変位センサ20を等間隔に配置してもよい。
図8は、平面視したときにインク軸14と同心の円周上に第1〜第4の4つのインク軸変位センサ20(1)〜20(4)を等間隔(90°間隔)に配置した例を示す。勿論、インク軸変位センサ20の個数は5つでもよいし、それ以上であってもよい。
上記図6乃至図8に図示してガター304の周囲に複数のインク軸変位センサ20を配置した例を説明した。平面視したときにインク軸14と同心の円周上に複数のインク軸変位センサ20を配置することにより、インク粒Ipが滴下すべき所定の設定位置から変位したことを検出することができ、また、平面視したときのその変位の方向を検出することができる。この実施例では、インク粒Ipの滴下位置(インク軸14)として、ガター304の上端開口304aつまりインク粒の受け入れ口の略中心が基準位置として設定されているが、これに限定されず任意の位置をインク軸14の基準位置として設定してもよい。
インク軸14の基準位置について更に説明すると、インク軸14の基準位置は、インク軸14と略直交し且つガター304の上端開口304aを含む平面(「変位平面」と呼ぶ)を考えたとき、この変位平面上でインク軸14が本来あるべき位置(予め定められた任意の位置)と定義することもできる。そして、「インク軸14の変位」とは、変位平面上でインク軸14が基準位置からどれだけ変位したか、を意味する。例えば図8に示すように、インク軸の周りに複数のインク軸変位センサを配置した場合には、変位平面上でインク軸14が基準位置からどの方向にどれだけ変位したか、を認識することができる。
図9は、インク軸14と同心の円周上に周方向に連続して延びる一つのインク軸変位センサ20を配置した例を示す。この図9に図示の例によれば、ガター304の受け入れ口つまり上端開口304aにおいてインク粒Ipが滴下すべき基準位置(基準インク軸位置)としてガター304の上端開口304aの中心が設定されている場合に、この中心位置(基準位置)から変位した位置にインク粒Ipが滴下したことを検出することができる。
図10、図11は、インク軸変位センサ20を基板22に実装した例を示す。図中、参照符号24は基板22に形成された開口を示す。この開口24はインク粒Ipが通過するための開口であり、ガター304の上端開口304aと同じ形状を有するのが好ましい。この実施例では、ガター304が円筒形の形状を有していることから、基板22のインク粒通過用開口24も円形の形状に形成されている。
図10、図11は、また、インク軸変位センサ20の配置位置に関する例を示す。図10はガター304の上方且つ近傍にインク軸変位センサ20(基板22)を配置した例を示す。すなわち、偏向電極312とガター304との間の高さ位置にインク軸変位センサ20(基板22)が配置されている。変形例として、図11に示すように、帯電電極308と偏向電極312との間の高さ位置にインク軸変位センサ20(基板22)を配置してもよい。図10の配置例と図11の配置例とは択一的ではなく、偏向電極312とガター304との間及び帯電電極308と偏向電極312との間にインク軸変位センサ20を配置してもよい。
なお、図10において、上述した「変位平面」は、ガター304の上端開口304aを含む平面である。一方、3つのインク軸変位センサ20(1)〜20(3)を含む平面を「センサ平面」と呼んだ場合、「変位平面」と「センサ平面」の関係は次のとおりである。すなわち、インク粒Ipは直進して滴下することから、「変位平面」においてインク軸14との交点の変位を許容できる許容領域(インク軸14が変位しても問題が生じない最大範囲)が定まれば、「センサ平面」においてその許容領域に対応する対応領域が定まる。従って、インク軸変位センサ20は、「センサ平面」において、インク軸14が、その対応領域の内側に位置するか外側に位置するかを検知することによって、「変位平面」においてインク軸14が上記許容領域の内側に位置するか外側に位置するかを認識することができる。
図12、図13は、インク軸変位センサ20からの情報を使ってユーザに警告する一例を説明するための図である。インク軸変位センサ20からの信号は定期的にコントローラ本体200に供給され、コントローラ本体200はディスプレイ装置8(図1)や他の警報手段、例えば光の点滅や警報音などを使ってユーザに注意を喚起することができる。
具体的に図13のフローチャートを参照して説明すると、インク軸変位センサ20からの信号を定期的に取り込み(S11)、このインク軸変位センサ20からの信号に基づいてインク軸14の変位を検知し、このインク軸14がガター304の上端開口304a内の外周領域Ar(図12)に侵入したと判断したときにはステップS12からステップS13に進んで警告信号を出力する。すなわち、外周領域Arを警戒領域と設定して、この領域にインク粒Ipが侵入したときの警告信号に基づいてディスプレイ装置8に所定の警告表示が行われることになる。これにより、インク粒Ipがガター304の開口縁やその外側に落下して周囲を汚染してしまうことを未然に防止することができる。
なお、外周領域Arは、ユーザが半径方向の幅を設定可能な可変領域であってもよい。この場合、インクジェットプリンタ2は、例えばディスプレイ装置8におけるユーザの操作入力に基づいて、インク軸14に一定量の軸ずれが生じたことをユーザに警告するための警告領域を設定する機能と、設定された警告領域にインク粒Ipが侵入したことをユーザに報知する機能とを有する。ユーザに報知する方法は様々あり、上述したように、ディスプレイ装置8に警告表示してもよいし、光の点滅や警報音を使ってもよい。また、外周領域Arを可変領域とせず、インクジェットプリンタ2が出荷される際に予め定められた固定領域としてもよいのは言うまでもない。
図12に図示の外周領域Arを半径方向に例えば内周側と外周側とに2つに分割し、内周側の領域にインク軸14が侵入したときには予備警告をディスプレイ装置8に表示し、外周側の領域にインク軸14が侵入したときには、例えば直ちに対処することを促す本警告をディスプレイ装置8に表示するようにしてもよい。
インク軸変位センサ20の他の適用例として、例えばディスプレイ装置8に所定の警告を表示した後は、インク軸変位センサ20からの信号を常時受け付けて、ユーザが第1、第2の調整ネジ314、316を操作する過程でのインク軸14の変位を監視し、ユーザの調整作業によってインク軸14が外周領域Arから外れてその内周側に復帰させることができたときにディスプレイ装置8にその旨の表示を行うようにしてもよい。この適用例に関して、例えば図9に例示した全周リング状の導体でインク軸変位センサ20を構成した場合に好適に適用することができる。
図7に例示のガター304の半周に相当する領域を2つのインク軸変位センサ20(1)、20(2)で構成した場合の適用例を図14を参照して説明すると、インク軸変位センサ20はその出力が、帯電したインク粒Ipまでの距離の2乗に反比例しているため、第1、第2の調整ネジ314、316に関連して前述したY軸、Z軸で説明すると、Y−Z平面において、ガター304の中心は(Y0,Z0)座標で表すことができ、実際のインク粒Ipの位置を(Y,Z)座標で表現すると、実際のインク粒IpのY位置、Z位置は次の式で求めることができる。なお、次の式で求めたY位置やZ位置は、インク粒Ipの凡その位置を示すものであって、実際には所定の係数を乗じたり所定のオフセット量を加減算したり、インク粒Ipの粘度やインクジェットプリンタ2の温度環境など様々な事情を考慮して最適な計算式を用いるのが好ましい。
0位置=α/(A電位)1/2;Z0位置=β/(B電位)1/2
Y位置=α/(A電位)1/2;Z位置=β/(B電位)1/2
ここに、A電位はY軸方向に配置した第1インク軸変位センサ20(1)の電位であり、B電位はZ軸方向に配置した第2インク軸変位センサ20(2)の電位である。また、α、βは固定値である。
図6に例示のガター304の全周に相当する領域に等間隔(120°毎)に配置した3つのインク軸変位センサ20(1)〜20(3)で構成した場合の適用例を図15を参照して説明すると、インク軸変位センサ20はその出力が、帯電したインク粒Ipまでの距離の2乗に反比例している。よって、上述した図7における計算式と同様に、インク軸変位センサ20を含む幾何平面上で計算式を考えることができる。
図8に例示のガター304の全周に相当する領域に等間隔(90°毎)に配置した4つのインク軸変位センサ20(1)〜20(4)で構成した場合の適用例を、図16を参照して説明すると、インク軸変位センサ20はその出力が、帯電したインク粒Ipまでの距離に反比例しているため、第1、第2の調整ネジ314、316に関連して前述したY軸、Z軸で説明すると、Y−Z平面において、ガター304の中心は(Y0,Z0)座標で表すことができ、実際のインク粒Ipの位置(インク軸14の位置)を(Y,Z)座標で表現すると、実際のインク粒IpのY位置、Z位置は次の式で求めることができる。
Y位置=α(D電位/B電位)1/2+β;
Z位置=γ(C電位/A電位)1/2+ω;
ここに、A電位は第1インク軸変位センサ20(1)の電位であり、B電位は第2インク軸変位センサ20(2)の電位であり、C電位は第3インク軸変位センサ20(3)の電位であり、D電位は第4インク軸変位センサ20(4)の電位である。また、α、β、γ、ωは固定値である。
上述したように、インク軸変位センサ20を複数配置した場合にはインク粒Ipの位置を求めることができることから、このインク粒Ipをディスプレイ装置8(図1)に表示すると共に、これを基準位置つまりインク軸14がガター304の上端開口304aつまりインク粒の受け入れ口の本来存在すべき設定位置(基準位置)に対して変位の方向と変位の量を求め、これをディスプレイ装置8に表示することでユーザにノズル302の向きの調整に関する事実上の指針を提供することができる。変形例として変位方向及び変位量を、ノズル302の向きの調整は具体的には第1、第2の調整ネジ314、316を調整することであることから、ノズル302の向きの調整量を第1、第2の調整ネジ314、316の調整量に換算して、この第1、第2の調整ネジ314、316の調整量をディスプレイ装置8に表示してもよい。
図17〜図19はディスプレイ装置8の表示例、つまりグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を例示的に示す図であり、ユーザの調整を誘導する表示、具体的な調整方法の説明や具体的な調整指針の教示を含む表示を例示的に示す図である。図17の表示例を説明すると、ディスプレイ装置8には、ガター304の平面図と、ガター304の上端開口304aにおけるインク粒Ipの滴下位置(インク軸14)とが表示され、また、第1、第2の調整ネジ314、316がヘッド300の模式図と一緒に表示される。これに加えて、第1、第2の調整ネジ314、316の調整に関する指示が文言及び矢印で表示される。
図17に図示の表示例では、現在のインク粒Ipの滴下位置をユーザが見て、ガター304に対してどの方向に調整すれば良いか、具体的には、図中破線で図示した適正な範囲の円330に対して図示の例で言えばインク粒Ipを左斜め上に移動させれば良いと判断したときには、第1、第2の調整ネジ314、316の調整方法の教示を見て第1、第2の調整ネジ314、316を操作することになる。なお、図示の表示例では、適正な範囲を示す円330がガター304の中心と同心に描かれているが、適正な範囲330はガター304と同心であることは必須ではない。適正な範囲330の中心がガター304の中心からオフセットされていてもよい。
好ましくは第1、第2の調整ネジ314、316の調整量を検出するセンサをヘッド300に設け、ユーザが第1、第2の調整ネジ314、316を操作するのに応じて、インク粒Ipの滴下位置の表示を更新するリアルタイムの表示を行うのがよい。すなわち、ユーザの調整操作の結果をリアルタイムでディスプレイ装置8の表示に反映することでディスプレイ装置8の表示がユーザにとって貴重なインストラクションとなる。上述したように図17の表示例では、ディスプレイ装置8にガター304の平面図が表示され、そして、望ましい滴下位置が表示(図示例では破線で示す円330)される。ユーザはディスプレイ装置8のリアルタイムの表示を見ながら、この望ましい滴下位置にインク粒Ip(インク軸14)が入るように第1、第2の調整ネジ314、316を操作することができる。
第1、第2の調整ネジ314、316の調整方法に関して、更に積極的に、例えば「第1調整ネジ314を右方向にxx°回転させ、第2調整ネジ316を左方向にyy°回転させて下さい。」というように具体的に第1、第2の調整ネジ314、316の少なくとも回転方向を教示又は回転方向と調整角度を教示する表示を行うようにしてもよい。
図18は、ノズル302の向きの調整方法を具体的に説明する表示例である。この図18の表示例は、上述した図17の表示を見たユーザが調整方法の詳細を知りたいときにディスプレイ装置8に表示して調整方法のインストラクションを得ることができる。図18に図示した例を具体的に説明すると、ディスプレイ装置8の右側には、ヘッド300の正面図及び側面図が表示される。ここに、前述したノズル302を含むノズルユニット320は第1、第2の2本の固定ネジ322、324によって機台に固定され、ノズル302の向きを調整するときには第1、第2の固定ネジ322、324を緩めた後に第1、第2の調整ネジ314、316を操作する必要がある。このことを前提として、ディスプレイ装置8に具体的な操作方法を説明する文章が表示される。
図19は、ノズル302の向きを調整するアクチュエータを備えている場合の表示例を示す図である。ディスプレイ装置8には、ガター304の平面図及び現在のインク粒Ip(インク軸14)の位置が表示される。ディスプレイ装置8には、また、上、下、左、右の押しボタン30が表示され、ノズル302の向きの調整を必要としないときには、これら4つの押しボタン30の表示色が例えば白色で表示され、ノズル302の向きの調整が必要なときには、操作を必要とするボタンの表示色が青色や赤色で表示される。
変形例として、4つの押しボタン30に関して、操作を必要としないボタンに関してユーザによる操作を受け付けなくなるよう無効化してグレー表示するようにしてもよい。なお、図19の「軸調整 青色の○内に軸移動させてください」の文言に関して「青色の○」とは参照符号330で示す破線の円つまり適正な範囲を意味している。なお、図示の表示例では、適正な範囲を示す円330がガター304の中心と同心に描かれているが、適正な範囲330はガター304と同心であることは必須ではない。適正な範囲330の中心がガター304の中心からオフセットされていてもよい。
表示の指示に従って、ユーザは青色や赤色のボタンを押すことでノズル302の向きを調整することができる。この表示例においても、ユーザの調整操作の結果をリアルタイムでディスプレイ装置8に反映させることでユーザは、表示されているインク軸14がガター304のどの位置にセットされているかを目で確認しながら調整作業を行うことができる。なお、図19に表示の「X:0.22」「Y:−0.25」は基準位置からの変位量を意味している。
以上、インクによる汚染の未然防止策を説明したが、何らかの原因で、これが上手く動作しなかった場合、汚染の発生を早期に且つ的確且つ正確に検知することが求められる。例えば上述したインク軸変位センサ20が経時的に汚染され、その感度が低下して汚染未然防止策が効果的に動作しなくなり、インク粒Ipがガター304の開口端面又は開口縁に着弾し始めたときに、汚染が進行する前に、これを的確(より正確に)に検知して警報を発したり、インクジェットプリンタ2の動作を緊急停止させるのが望ましい。
例えば、インク軸変位センサ20に導電性インクが付着・累積すると、それがシールドとなって、インク軸を正確に検出できなくなる虞がある。そこで、以下に詳述する汚染検知センサ50を用いることにより、ノズルから吐出されたインク粒がガターによって受け入れられないでガター304の周囲に飛散し続ける状態を、より正確に検出することができる。
汚染検知センサ50
図20は、ヘッド300の下部つまりガター304の近傍を抽出した図である。ガター304の上端の近傍には、ガター304の上端開口304aからオフセットした位置に汚染検知センサ50が配設されている。汚染検知センサ50は、第1の検出電極50aと、第2の検出電極50bとを有する。このように、第1の検出電極50aと第2の検出電極50bを表裏に配置することで、ガター304とインク軸変位センサ20が配置された基板との間に落ちたインクも検出することができる。汚染検知センサ50の配置例として、他にも例えば、ガター304の上端開口304aから横方向にオフセットした位置に第2の基板52を位置決めし、この基板52に汚染検知センサ50を配置してもよい。具体的には、汚染検知センサ50の第1の検出電極50aが基板52の上面52aに配置され、第2の検出電極50bが基板52の下面52bに配置されている。
図21は、汚染検知センサ50による汚染検知回路の一例を示す。第1の検出電極50aは第1、第2の抵抗R1、R2を介して交流電圧源に結線(電気的に接続)されている。他方、第2の検出電極50bは接地されている。ここに、接地とは、偏向電極312のGNDやインクジェット記録装置2の筐体に接地することを含み、earthレベルでの接地に限定されない。要するに、第2の検出電極50bは、グランドに接続され、所定の基準電位を有するものであれば、如何なるものであってもよい。
第1、第2の抵抗R1、R2の間の部位Aの電圧aがコンパレータ54のマイナス入力端子に印加され、このコンパレータ54のプラス入力端子には比較電圧Voが印加される。これにより、電位Vaが比較電圧Voよりも大きいか又は小さいかによってコンパレータ54の出力端子からH又はLの信号が出力される。
図22は、第1、第2の検出電極50a、50bの間に液体状態のインク(導電体)が存在していないときのコンパレータ54の出力波形を示す。図中、実線が出力波形である。なお、一点鎖線は比較電圧を示し、破線は部位Aの電圧を示す。前述したように、第1検出電極50aは交流電圧源に接続されており、コンパレータ54は交流電圧源の周期的な正負の変化とほぼ同じタイミングでH信号、L信号を交互に出力する。
図23は、第1、第2の検出電極50a、50bが液体状態のインク(導電体)によって短絡したときのコンパレータ54の出力波形を示す。上記A部の電圧波形は、第1抵抗R1と第2の抵抗R2とインクのインピーダンスとで交流電圧源の電圧を分圧した電圧波形となる。そして、このA部での電圧が比較電圧よりも低くなるとコンパレータ54はH信号を出力する。つまり、第1、第2の検出電極50a、50bの間のインクの量が多くなるとコンパレータ54はH信号を出力する。
このように、コンパレータ54は、第1の検出電極50aと、第2の検出電極50bとの間の電圧を検出し、検出した電圧に基づく信号を出力する信号出力部の一例として機能する。また、信号出力部から出力される信号は、後述する制御部に送られ、制御部は、その信号に基づいて、導電部材間のインピーダンス変化を検出する。
インクジェット記録装置2に採用されるインクは機能的に速乾性である。インクは一般的に乾燥した後は導電性を失う。したがって、H信号の出力が所定時間継続したことを条件に、汚染が発生した旨のエラー警報やインクの吐出停止やインクジェット記録装置2の動作の停止を行うのがよい。例えば、インクジェット記録装置2の立ち上げ時や立ち下げ時に一瞬ではあるが、インク粒Ipがガター304の中に着弾しないでガター304の外に着弾することがある。このような瞬間的な現象が発生する毎にインクジェット記録装置2が緊急停止するのはインクジェット記録装置2の運転にとって望ましいとは言えない。
図24は、汚染検知センサ50を使った制御の一例を示すフローチャートである。この制御は、インクジェット記録装置2の電源をONしたときに行われる立ち上げ処理に関連して実行される。図24のフローチャートを参照して、ステップS31では、立ち上げ処理によって印字することが可能な状態が生成される。この立ち上げ処理を実行している最中に、ステップS32で汚染検知センサ50によって汚染が検知されたか否かを判断し、汚染が検知されないときにはNOということでステップS31に戻って立ち上げ処理が継続される。上記ステップS32でYESつまり汚染が検知されたときにはステップS33に進んで、ディスプレイ装置8にエラーを報知する表示を行うと共にノズル302からインク粒Ipの吐出を強制的に停止する処理が行われる。
エラー警報やインクの吐出停止に関し、ヘッド300の温度つまりインクの乾燥の速い遅いによってH信号の継続時間を変化させるようにしてもよい。図25を参照して具体例を説明すると、この図25のフローチャートは、インクジェットプリンタ2の立ち上げ処理に関連している。すなわち、立ち上げ処理によって印字することが可能な状態を生成しているときに(S41)、ステップS42でインク液の温度を直接又は間接的に測定する(S42)。インクの乾燥度合いと温度とは相関関係があることから、例えばヘッド300の温度によってインク液の温度を間接的に測定するときには、ヘッド300の温度を判断して、ヘッド300の温度に応じて、例えばヘッド300の温度が20℃以上のときには、H信号の出力が10秒以上継続したときにエラー警報やインクの吐出停止やインクジェット記録装置2の立ち下げ処理が実行される(S44)。また、ヘッド300の温度が10℃乃至20℃のときには、H信号の出力が20秒以上継続したときにエラー警報やインクの吐出停止やインクジェット記録装置2の立ち下げ処理が実行される(S44)。また、ヘッド300の温度が10℃未満のときには、H信号の出力が30秒以上継続したときにエラー警報やインクの吐出停止やインクジェット記録装置2の立ち下げ処理が実行される(S44)。なお、それ以外のときには、ステップS45に進んで、正常な状態にあるとして、通常の処理が継続される。
図24、図25を参照して説明した処理を実行する機能ブロック図を図26に示す。ヘッド300の汚染を検出するのに、前述したインク軸変位センサ20及び汚染検知センサ50を備え、これらのセンサ20、50からコントローラ本体200の制御部230に供給され、この制御部230によって電磁弁やポンプ204などを制御することで上述した処理が実行される。図示のブロック図では、ガター304の汚れを直接的に検出するガターセンサ60が図示してある。ガターセンサ60によってガター304の汚れを検知したときには、上述した処理と同様の処理を行えばよい。
実施例の汚染検知機構は、上述したように液体状態のインクのインピーダンスを測定することで汚染の有無の判定を行うようになっている。インクは速乾性であり、上述したように液体状態では導電性を有しているが、乾燥すると導電性を失う。したがって、複数のインク粒Ipが第1、第2の検出電極50a、50b間に連続的に付着したり、あるいは、ガター304の周囲に連続的に霧が発生し、その液化したインクが第1、第2の検出電極50a、50bに連続的に付着した場合に限定して汚染検知センサ50が動作することになる。
第1検出電極50aに電圧を印加する電源として直流電源を採用するのは好ましくない。第1、第2の検出電極50a、50bに直流電圧を印加し続けると、検出電極50a、50bのマイグレーションや帯電したインク粒Ipを引き寄せる電界が発生してしまう。これに対して、実施例のように交流電圧源を採用することで、このような問題を発生することなく汚染を検知することができる。
偏向電極312の高電圧が第1、第2の検出電極50a、50bに放電するのを防止するために、第1、第2の検出電極50a、50bは突起の無い形状で且つ表面凹凸が極力小さい材料を選択するのがよい。また、必要であれば、サージ吸収デバイスなどの保護素子を回路内に組み込むのがよく、また、第1、第2の検出電極50a、50b間に抵抗を入れるのがよい。
図27〜図30は第1、第2の検出電極50a、50bの配置の変形例を示す。図27は、第1の検出電極50aをガター304の上端開口304aとほぼ同一レベルでその近傍に配置し、接地側の偏向電極312を第2検出電極50bとして利用した例を示す。
図28は、第1の検出電極50aをガター304の上端開口304aとほぼ同一レベルでその近傍に配置し、ガター304を第2検出電極50bとして利用した例を示す。
図29は、図28の変形例であり、第1の検出電極50aをガター304の上端開口304aとほぼ同一レベルで上記図28とは別のガター304の近傍に配置し、ガター304を第2検出電極50bとして利用した例を示す。
図30は、接地側の偏向電極312に絶縁体56を介して第1の検出電極50aを設置し、また、この接地側の偏向電極312を第2の検出電極50bとして利用した例を示す。
上述した汚染検知センサ50は汚染が進行するのを防止できる利点がある。したがって、図5などを参照して説明したインク軸変位センサ20とは別に、汚染検知センサ50だけをインクジェット記録装置2に組み込むことも可能であるのは言うまでもない。
2 インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)
8 ディスプレイ装置
14 インク軸
20 インク軸変位センサ(インク軸の位置ズレ検知手段)
22 基板
50 汚染検知センサ
60 ガターセンサ
200 コントローラ本体
206 ガターポンプ
300 ヘッド
302 ノズル
304 ガター
304a ガターの上端開口(受け入れ口)
308 帯電電極
312 偏向電極
314 第1調整ネジ
316 第2調整ネジ
320 ノズルユニット
330 適正滴下範囲
Ip インク粒
Ar ガターの受け入れ口の外周領域(警告領域)

Claims (15)

  1. 帯電したインク粒を偏向させることによりワークの表面に印字するインクジェット記録装置であって、
    吐出したインク液が粒子化するようにインク液を吐出するインク吐出部と、
    該インク吐出部から吐出されたインク粒を帯電させる帯電電極と、
    該帯電電極によって帯電したインク粒の進行方向を偏向させる偏向電極と、
    印字に関与しないインク粒を受け入れて回収するためのガターと、
    印字に関与せず且つ該ガター内に着弾しないインク粒に起因した該ガター周辺の汚染を検知する汚染検知センサと、を備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記汚染検知センサは、前記ガター近傍に配置された少なくとも2個以上の導電部材を有し、前記導電部材間のインピーダンス変化を検出することにより前記ガター周辺の汚染を検知する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記汚染検知センサが、
    交流電圧源に接続され、交流電圧が印加される第1の導電部材と、
    グランドに接続され、所定の基準電位を有する第2の導電部材と、
    前記第1の導電部材と前記第2の導電部材との間の電圧を検出し、検出した電圧に基づく信号を出力する信号出力部と、を備え、
    前記信号出力部から出力される信号に基づいて、前記導電部材間のインピーダンス変化を検出する、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第1の導電部材と前記第2の導電部材のうち少なくとも一つが前記ガターに配置されている、請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第1の導電部材と前記第2の導電部材のうち少なくとも一つが、一対の前記偏向電極に含まれるグランド部に配置されている、請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記ガターによって受け入れられる前記インク粒の移動軌跡であるインク軸の変位を検知するインク軸変位センサを更に有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インク軸変位センサが、前記偏向電極よりも前記ガター側に配置されている、請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記インク軸変位センサが、前記ガターと一体的に構成されている、請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記インク軸変位センサが、前記ガターの上方に配置されている、請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記インク軸変位センサが、前記帯電電極と前記偏向電極との間及び/又は前記偏向電極と前記ガターとの間に配置された導体で構成されている、請求項9に記載のインクジェット記録装置。
  11. ワークに対する印字を行っていない時の前記インク軸に関して、平面視したときに基準となるインク軸と同心の円周上に等間隔に複数の前記インク軸変位センサが配置されている、請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記複数のインク軸変位センサが、同一の前記円周上に配置されている、請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記複数のインク軸変位センサが、高さレベルの異なる前記円周上に配置されている、請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記インク軸変位センサが検出した前記インク軸の変位が前記ガターの受け入れ口の外周部分に位置するときにユーザに対して警告を発する手段を更に有する、請求項6〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  15. 前記警告を発する手段がディスプレイ装置である、請求項14に記載のインクジェット記録装置。
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JP2019123117A (ja) * 2018-01-15 2019-07-25 株式会社日立産機システム インクジェット記録装置

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