JP2015130752A - 空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】高負荷で運転する場合に、コンバータ装置のスイッチング周波数を低下させて高調波電流規格を満足しつつ、スイッチング素子などの発熱素子の温度上昇を低減させることで安価な部品を使用し、コストを低減させた空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は、キャリア周波数を制御するキャリア周波数制御手段58と、キャリア周波数に従ってPWM制御を行なうスイッチング制御手段54と、入力電流から高調波電流を算出する高調波電流算出手段56と、高調波電流規格値に対する算出された高調波電流の値の比率である電流対規格値比を算出する電流対規格値比算出手段57とを備えている。キャリア周波数制御手段58は、電流対規格値比が予め定めた目標電流対規格値比よりも大きい時にはキャリア周波数を高く制御し、電流対規格値比が目標電流対規格値比よりも小さい時には前記キャリア周波数を低く制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気調和機に係わり、より詳細には、高調波電流の規格を満足しつつ、内部に使用されているコンバータ装置の発熱を低減させる構成に関する。
本発明に関わるコンバータ装置は交流電源から直流電源へ、もしくは、直流電源から直流電源へ電力を変換するものであり、コンバータ装置内部でインダクタに流れる電流をスイッチング素子でスイッチングすることにより、入力電流を正弦波に近づくように、つまり、力率を改善したり、変換された二次側の直流電圧を所定の電圧に制御するものである。このスイッチング素子がオンからオフ、オフからオンする時に発生するスイッチング損失によってスイッチング素子が発熱するため、ヒートシンクを用いてスイッチング素子を所定温度以下にする構成が一般的である。
従来、このような発熱を低減させる構成を備えたコンバータ装置として例えば特許文献1に示すものが開示されている。
このコンバータ装置は、特定のキャリア周波数信号に従ってオンオフされるスイッチング素子によって、バッテリから入力された直流電圧をチョッピングし、所定の直流電圧を出力するDC−DCコンバータ装置である。なお、出力される直流電圧はコンバータ装置の制御部へフィードバックされ、制御部は指定された出力電圧になるようにPWM制御方式によりパルスのデューティーが制御されたパルス信号をスイッチング素子へ出力する構成になっている。
一方、このコンバータ装置にはスイッチング素子の温度を検出する素子温度測定部が設けられており、制御部はスイッチング素子の温度を素子温度測定部を介して監視し、検出温度が所定値を超えたらキャリア周波数を低下させてスイッチング素子の発熱を防止するようになっている。なお、キャリア周波数が低下した場合は単位時間当たりのスイッチング回数が低下するため、これに対応してスイッチング損失が低下することでスイッチング素子の温度が低下する。
この例では車載用のコンバータ装置であるので問題にならないが、商用電源を直流電源に変換するコンバータ装置では高調波電流規格に対応しなければならない。一般的に、スイッチング周波数を高くするとPWM制御のフィードバックが早くなってインダクタに流れるリップル電流が小さくなり、入力電流をより正弦波に近づくように制御できるため高調波電流が小さくなるが、単位時間当たりのスイッチング回数が増えてスイッチング損失が大きくなり、スイッチング素子の温度が上昇する。一方、スイッチング周波数を低くすると単位時間当たりのスイッチング回数が減ってスイッチング損失が小さくなりスイッチング素子の温度が低くなるが、高調波電流が大きなってしまう。このため高調波電流の大きさと、スイッチング損失による発熱を考慮してスイッチング周波数が決定される。
ところで、商用電源を直流電源に変換するコンバータ装置はインバータを使用する空気調和機にも搭載されている。空気調和機では運転の開始時や設定温度と室温とが大きく異なる時など、短時間に室温を設定温度に近づけるため、圧縮機をほぼ最大回転数で動作させる。そして、室温が設定温度になった場合は、圧縮機の回転数を低下させ、室温を維持できる最低の回転数で運転を継続する。この圧縮機を高回転で運転する高負荷運転の時間は外気温や室温、部屋の広さ等に左右されるが、一般的に15〜20分程度である。
コンバータ装置の設計においては、この空気調和機の使用温度上限でこの高負荷運転(圧縮機の高回転数運転)を継続した場合の温度上昇のマージン、及び高調波電流規格のマージンに加えスイッチング素子の個々のバラツキによる温度上昇のマージンを考慮するのが一般的である。
このうち高調波電流に関しては限界値を機器毎に正確に検出できないため、余裕を持ったマージンとして規定していた。このため、スイッチング素子やスイッチング素子を冷却するヒートシンクの仕様は、使用条件に対して必要以上に大きなマージンを持ったものとなる場合が有った。
このため、高価な放熱部品やランクの高いスイッチング素子を使用しなければならず、コストアップとなっていた。
特開2005−312279号公報(第4頁、図1)
本発明は以上述べた問題点を解決し、高負荷で運転する場合に、コンバータ装置のスイッチング周波数を低下させて高調波電流規格を満足しつつ、スイッチング素子などの発熱素子の温度上昇を低減させることで安価な部品を使用し、コストを低減させた空気調和機を提供することを目的とする。
本発明は上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、入力された交流電源をPWM方式で制御するスイッチング制御手段を用いて直流電源に変換するコンバータ装置と、前記直流電源を交流電源に変換するインバータ装置と、同インバータ装置で駆動される圧縮機用のモータとを備えた空気調和機であって、
前記空気調和機は、前記空気調和機の入力電流を検出する入力電流検出手段と、
前記入力電流を高速フーリエ変換して高調波電流を算出する高調波電流算出手段と、
PWM制御のためのキャリア信号を生成して前記スイッチング制御手段に供給するキャリア信号生成手段と、
前記キャリア信号生成手段が生成するキャリア信号のキャリア周波数を制御するキャリア周波数制御手段と、
予め定めた高調波電流規格値を記憶する規格値記憶手段と、
前記高調波電流規格値に対する前記高調波電流の値の比率である電流対規格値比を算出する電流対規格値比算出手段とを備え、
前記キャリア周波数制御手段は、予め定めた目標電流対規格値比よりも前記電流対規格値比が大きい時には前記キャリア周波数を高く制御し、前記目標電流対規格値比よりも前記電流対規格値比が小さい時には前記キャリア周波数を低く制御することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、前記インバータ装置に使用されるスイッチング素子の温度を検出して検出温度を出力する温度検出手段と、
前記検出温度が予め定めた温度閾値以上の時に前記キャリア周波数制御手段の制御によるキャリア周波数を選択し、前記検出温度が前記温度閾値未満の時に前記キャリア周波数制御手段によるキャリア周波数の上限よりも高い予め定めたキャリア周波数を選択して前記キャリア信号生成手段へ出力する動作モード選択手段とを備えたことを特徴とする。
以上の手段を用いることにより、本発明による空気調和機によれば、目標電流対規格値比を予め1.0(高周波電流規格値の上限比率)に近い値に設定しておくと、電流対規格値比が目標電流対規格値比に近づくようにキャリア周波数制御手段がキャリア信号の周波数を制御するため、高調波電流規格を満足しつつキャリア信号の周波数が低い値に制御される。この結果、スイッチング損失が小さくなってコンバータ装置の発熱を低減させることができる。これによって安価な部品を使用し、コストを低減させた空気調和機を提供することができる。
本発明による空気調和機の実施例を示すブロック図である。 本発明の原理を説明する説明図である。 本発明による低温動作モードにおいて、高調波電流規格に対する発生した高調波電流の比率を高調波の次数ごとに表すグラフの一部である。 本発明による高温動作モードにおいて、高調波電流規格に対する発生した高調波電流の比率を高調波の次数ごとに表すグラフの一部である。 高調波電流規格値を格納したテーブルを説明する説明図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
図1は本発明による空気調和機の実施例を示すブロック図である。
この空気調和機は、室内機40と室外機30とを備えている。なお室内機40は複数台接続される場合がある。
室外機30はR相、S相、T相からなる三相交流電源が入力され、これを直流電源に変換して出力するコンバータ装置50(三相PWMコンバータ装置)と、変換された直流電源が入力され、これを三相の交流電源に変換して出力するインバータ装置18と、変換された三相の交流電源で駆動される圧縮機用のモータ19とを備えている。なお、R相、S相に入力された交流電源は室内機40にも供給されるようになっている。
一方、コンバータ装置50は、R相、S相、T相の電源がそれぞれ接続される入力端子1、2、3と、この各入力端子にそれぞれ接続されるR相ライン7、S相ライン8、T相ライン9と、入力端子1の直後に配置され室内機40と室外機30とのR相の電流を検出する電流センサ21と、室内機40へ分岐された後の各相ラインに配置された高調波電流用のフィルタ回路14と、フィルタ回路14と後述する3つのリアクタとの間に配置され、それぞれの相ラインの電流を検出する電流センサ4、5、6とを備えている。
また、コンバータ装置50は、各相ラインにそれぞれ一端が接続されたリアクタ10、11、12と、三相ブリッジコンバータ13と、この三相ブリッジコンバータ13の出力端に接続された+端子16と、−端子17と、+端子16に一端が、また、−端子17に他端が接続された平滑コンデンサ15とを備えている。なお、+端子16と−端子17とがインバータ装置18の入力端に接続されている。
三相ブリッジコンバータ13は、3組のトーテムポールの上段トランジスタの各コレクタ端子が+端子16に、また、3組のトーテムポールの下段トランジスタのエミッタ端子が−端子17に、それぞれ接続されている。1組のトーテムポールは、2つのNPN型トランジスタ(スイッチング素子)をトーテムポール型に接続して構成されており、3組のトーテムポールの各2つのトランジスタの接続点に、それぞれリアクタ10、11、12の他端を1つずつ接続し、各トランジスタと並列にダイオードが接続されている。
一方、このコンバータ装置50は、3相それぞれの相電圧を検出する相電圧検出手段51と、電流センサ4、5、6が接続され線電流を検出する線電流検出手段52と、+端子16と−端子17との間の電圧を検出するDC電圧検出手段53と、相電圧検出手段51で検出した相電圧と線電流検出手段52で検出された線電流とDC電圧検出手段53で検出されたDC電圧とに基づいて三相ブリッジコンバータ13内の各相のトランジスタをスイッチング信号で駆動するスイッチング制御手段54とを備えている。なお、スイッチング信号はパルスのデューティーがPWM制御方式で制御されている。
さらに、このコンバータ装置50は、電流センサ21と接続され、空気調和機の入力電流を検出する入力電流検出手段55と、入力電流検出手段55で検出された入力電流を高速フーリエ変換することで高調波電流を算出する高調波電流算出手段56と、高調波電流規格値を予めテーブルとして記憶した規格値記憶手段62と、
高調波電流規格値に対する高調波電流の算出値の比率である電流対規格値比を算出する電流対規格値比算出手段57と、電流対規格値比算出手段57で算出した電流対規格値比を1に近づくようにスイッチング制御手段54で使用するキャリア信号の周波数を制御するキャリア周波数制御手段58とを備えている。なお、スイッチング制御手段54については後で詳細に説明する。
さらに、このコンバータ装置50は、三相ブッリジコンバータ13に装着されている図示しないヒートシンクの温度を検出する温度センサ20と、温度センサ20が接続され、ヒートシンクの温度を検出する温度検出手段61と、キャリア周波数制御手段58から出力されるキャリア周波数と温度検出手段61で検出した検出温度とが入力され、キャリア周波数制御手段58から出力されたキャリア周波数の値と内部に記憶している所定のキャリア周波数値とを検出温度に基づいて切り換えてキャリア周波数を出力する動作モード選択手段59と、動作モード選択手段59から出力されるキャリア周波数に従ってキャリア信号を生成してスイッチング制御手段54へ出力するキャリア信号生成手段60とを備えている。なお、所定のキャリア周波数値は、キャリア周波数制御手段58から出力されるキャリア周波数の値よりも大きい値が設定されている。
スイッチング制御手段54は、相電圧検出手段51で検出された各相電圧の位相を求め、この各相電圧と対応して線電流検出手段52で検出された各線電流が対応する各相電圧の位相に近づくように、また、DC電圧検出手段53で検出されたDC電圧値が所定の電圧(電圧指令値)になるようにパルスデューティーを可変したスイッチング信号を三相ブリッジコンバータ13へ出力することで、三相PWMコンバータ装置としての制御を実行する。
高調波電流算出手段56は、入力電流検出手段55で検出された入力電流をリアルタイムで取り込んで、この入力電流を高速フーリエ変換することで2次〜40次までの高調波電流を算出して出力する。なお、入力電流は室内機40と室外機30との空気調和機全体の電流であるため、算出される高調波電流値は空気調和機全体で発生し、空気調和機から電源系統へ漏洩する高調波電流の値となる。
規格値記憶手段62は、空気調和機が対象となる高調波電流規格、例えばIEC61000−3−2の高調波電流規格値を2次〜40次まで高調波電流規格値テーブルとして記憶している。図5はこの高調波電流規格値テーブルを示す説明図であり、高調波の次数(n)に対応して最大許容高調波電流値( アンペア) が格納されている。
そして、電流対規格値比算出手段57は、高調波電流算出手段56で算出された高調波電流値が入力されると、各次数毎の規格値を高調波電流規格値テーブルを参照して抽出し、それぞれの次数毎に以下の式1を用いて電流対規格値比を算出する。なお、nは高調波の次数を示す。

n次の電流対規格値比=n次の高調波電流値(アンペア)/n次の最大許容高調波電流値・・・・・式1
図3はキャリア周波数が5キロヘルツにおける電流対規格値比を高調波の次数ごとに表すグラフの一部である。
図3において縦軸は電流対規格値比を、横軸は2次から27次までの高調波電流の次数を示す。なお、8次から16次までと、28次から40次までの図示は省略している。
図3において、電流対規格値比算出手段57は、2次〜40次までの高調波電流値から、これと対応する電流対規格値比を算出し、その算出された電流対規格値比の中で一番大きな次数、図3の例では5次の電流対規格値比を抽出する。
例えば高調波電流算出手段56から出力される5次の高調波電流値(0.7アンペア)が入力された電流対規格値比算出手段57は、図5の高調波電流規格値テーブルから5次の最大許容高調波電流値1.14アンペアを抽出し、式1を用いて、5次の電流対規格値比=0.614を算出してキャリア周波数制御手段58へ出力する。
キャリア周波数制御手段58は、電流対規格値比算出手段57から出力された電流対規格値比の値が入力されると、この電流対規格値比に比例するようにキャリア周波数制御手段58が前回出力した出力キャリア周波数を段階的に制御する。なお、キャリア周波数を段階的に制御する動作については後で詳細に説明する。
この実施例では、以下の式を用いてキャリア周波数を算出する。

キャリア周波数(キロヘルツ)=前回算出のキャリア周波数(キロヘルツ)+定数×(電流対規格値比 −目標電流対規格値比)・・・・式2

ここで、目標電流対規格値比は電流対規格値比を収束させるためのセンター値であり、この実施例では0.98として予め設定している。つまり、キャリア周波数制御手段58は、電流対規格値比が0.98となるようにキャリア周波数を制御する。この目標電流対規格値比は電流対規格値比が1.0以上(規格オーバー)にならないように±0.02の範囲で電流対規格値比を制御するためのものである。
なお、この実施例では定数を5としており、キャリア周波数制御手段58は、電流対規格値比の0.01の変化でキャリア周波数を0.05キロヘルツだけ変化させる。
本実施例のコンバータ装置50は三相ブリッジコンバータ13のヒートシンク温度に従って2つの運転モードを選択的に切り換えて実行する。1つはヒートシンク温度が予め定めた温度閾値未満の場合の低温動作モード、もう1つがヒートシンク温度が温度閾値以上の場合の高温動作モードである。この切り換えを動作モード選択手段59が実行する。なお、この実施例では温度閾値を80℃としている。
動作モード選択手段59は、キャリア周波数制御手段58が算出したキャリア周波数と、予め動作モード選択手段59の内部に記憶しているキャリア周波数(5キロヘルツ)とをコンバータ装置50の運転モードに従って切り換えてキャリア信号生成手段60へ出力する。
このように動作モード選択手段59は、三相ブリッジコンバータ13を冷却するヒートシンクの温度によって、低温動作モードと本発明による高温動作モードとを切り換え、ヒートシンクの温度が予め定めた温度閾値以上となる期間のみキャリア信号の周波数を低温動作モード時よりも低下させる。
一般的にキャリア信号の周波数値が低下すると、平滑コンデンサ15へのリップル電流が増加して平滑コンデンサ15の温度が上昇して平滑コンデンサ15の寿命が低下する。このため、平滑コンデンサ15に十分な寿命のマージンがあればこのような動作モード選択手段59は必要ないが、寿命のマージンが少ない平滑コンデンサを使用する場合は動作モード選択手段59を用いて、必要な時のみキャリア周波数を低下させるようにすることで、リップル電流による平滑コンデンサ15の寿命の低減を抑制することができる。このため、小型で低コストの平滑コンデンサを使用することができる。
前述した運転モードは、温度検出手段61で検出した検出温度によって決定され、動作モード選択手段59は、運転モード切換温度以上の時に、本発明の特徴である高温動作モードへ、また、運転モード切換温度未満の時に、背景技術で説明した従来の方法により決定されたマージン(温度や高調波電流規格など)を用いた低温動作モードへ、それぞれ切り換える。従って、動作モード選択手段59は、低温動作モードではキャリア周波数として5キロヘルツを、また、高温動作モードでは入力されたキャリア周波数をそのまま出力する。
また、動作モード選択手段59は、検出温度が予め定めた上限温度(90℃)以上の時に、運転停止信号をハイレベルにしてスイッチング制御手段54へ出力し、コンバータ装置50の運転を中断させる。動作モード選択手段59は、検出温度が上限温度値未満になったら運転停止信号をローレベルにしてコンバータ装置50の運転を再開させる。
キャリア信号生成手段60は入力されたキャリア周波数と対応するキャリア信号を生成してスイッチング制御手段54へ出力する。
ところで、前述したように、キャリア周波数制御手段58は、電流対規格値比が目標電流対規格値比よりも大きいとキャリア周波数を高くし、電流対規格値比が目標電流対規格値比よりも小さいとキャリア周波数を低くする制御を実行する。また、スイッチング信号に使用されるキャリア周波数が低くなると高調波電流値が大きくなるため電流対規格値比が大きくなり、キャリア周波数が高くなると高調波電流値が小さくなるため電流対規格値比が小さくなる。
キャリア周波数制御手段58は、このような動作を周期的に実行してフィードバック制御を実行し、算出するキャリア周波数を常に目標電流対規格値比(0.98)に近づくように制御する。
図4はキャリア周波数制御手段58がキャリア周波数を3キロヘルツまで低下させ、規格余裕が0.03まで減少した時の電流対規格値比のグラフを示す。キャリア周波数が低くなると、特定の高調波電流の次数、例えば図4では23次の電流対規格値比が図3の場合に対して悪化する。
図2は本発明の原理を説明する説明図である。図2の横軸は時間を示している。図2の縦軸に関して、図2(1)は空気調和機全体の入力電流、図2(2)は温度センサ20の検出温度、図2(3)は電流対規格値比をグラフ化したもの、図2(4)はキャリア周波数をグラフ化したもの、図2(5)はコンバータ装置50の運転モード、図2(6)はスイッチング制御手段54で用いられるキャリア周波数をグラフ化したもの、図2(7)は運転停止信号、をそれぞれ示している。
なお、t1〜t8は時刻を示している。また、入力電流検出手段56、高調波電流算出手段56、規格値記憶手段62、電流対規格値比算出手段57、キャリア周波数制御手段58は運転モードとは関係なく常に動作しているが、前述したようにキャリア周波数制御手段58から出力されるキャリア周波数は、運転モードが高温動作モードの時のみキャリア信号生成手段60へ出力されてスイッチング制御手段54で用いられるる。
図2(1)は例えば外気温が38℃の時の冷房運転において、t1の時点で図示しないリモコンによって設定温度が28℃から25℃に変更指示された場合の空気調和機全体のの入力電流を示したものである。空気調和機の中でもインバータ装置18の入力電流が大部分を占めており、図2(1)の電流変化は、ほぼインバータ装置18の入力電流を表している。
インバータ装置18はt1の時点から最大パワーでモータ19を駆動するためモータ19の回転数を急激に上昇させる。これによって入力電流はt1〜t2間でに急激に上昇する。そしてインバータ装置18はt2においてモータ19の回転数が目標回転数(最大回転数)に近づくと、目標回転数を超えないように目標回転数に近づくにつれ、t2以降の回転数増加率を低減させ、t4以降は目標回転数となって回転数を一定とする。
これに対応して入力電流の上昇カーブもt1〜t2間でに急激に上昇する。そして、t2〜t4は上昇カーブがなだらかになり、t4以降にほぼ水平になる。そしてt6で室温が設置温度に到達すると、インバータ装置18はモータ19の回転数を一旦低下させ、室温を設定温度に維持できる最小限の回転数を維持する。これに対応して空気調和機の入力電流も一旦減少し、t7以降は一定の入力電流となる。
一方、図2(2)の検出温度は、入力電流の増加に対応してt1以降徐々に増加し、t6以降は減少して一定の温度となる。なお、この検出温度は動作モード選択手段59が監視しており、図2(5)に示すように、運転モード切換温度以上であるt3〜t7の期間を高温動作モードに、運転モード切換温度未満の時に低温運転モードに、それぞれ切り換える。このため、図2(6)に示すように、動作モード選択手段59はt3以前はキャリア周波数として固定値(5キロヘルツ)を、t3〜t7の期間はキャリア周波数制御手段58が算出したキャリア周波数を、t7以降は固定値(5キロヘルツ)を、それぞれキャリア周波数として出力する。
なお、動作モード選択手段59は上限温度も同時に監視しており、検出温度が上限温度以上の時に、動作モード選択手段59は、図2(7)に示すようにt5〜t8の期間で運転停止信号をハイレベルにしてスイッチング制御手段54へコンバータ装置50の運転禁止を通知する。これによってコンバータ装置50が停止し、インバータ装置18が停止するため、空気調和機は一旦、運転停止状態になる。
一方、動作モード選択手段59は、検出温度が上限温度値未満の時に図2(7)に示すように運転停止信号をローレベルにしてスイッチング制御手段54へコンバータ装置50の運転可能を通知する。
一方、キャリア周波数制御手段58は、キャリア周波数を式2によって算出し、入力される電流対規格値比が目標電流対規格値比に近づくように制御する。なお、予め目標電流対規格値比を電流対規格値比の上限(1.0)にできるだけ近づけて設定しておくとよい。この時、キャリア周波数制御手段58の制御によって、電流対規格値比が高調波電流規格の上限を超えないようにすることが必要である。また、高調波電流算出手段56の算出周期を調整することでフィードバック周期を調整する。
動作モード選択手段59は、低温動作モードでは算出したキャリア周波数でなく固定値(5キロヘルツ)のキャリア周波数を出力する。従って、キャリア周波数制御手段58は低温動作モードにおいて、実際に使用している5キロヘルツのキャリア周波数における電流対規格値比に対応したキャリア周波数を算出するが、前述したように、この算出されたキャリア周波数は使用されない。この時、図2(4)のキャリア周波数はt1まで2.5キロヘルツである。それ以降はインバータ装置18の入力電流の増加に対応して高調波電流が増加するため、電流対規格値比が増加し、これに対応してキャリア周波数は増加する。ただし、前述したように、動作モード選択手段59で算出されたキャリア周波数は高温動作モード(t3〜t7)の期間でしか使用されない。
また、キャリア周波数制御手段58は、高温動作モード時に算出したキャリア周波数でスイッチング制御手段54を動作させるため、t3〜t7においてフィードバックされた電流対規格値比は低温動作モード時よりも悪化する。このため、キャリア周波数制御手段58は式2の計算結果により、低温動作モードで出力していた時の出力キャリア周波数を高くし、電流対規格値比が目標電流対規格値比に近づくようにする。この結果、キャリア周波数制御手段58は、図2(6)に示すように高温動作モードの期間においてキャリア周波数の最高値を3.5キロヘルツとしている。ただし、この値は低温動作モードで使用していた5キロヘルツよりも小さくなっており、この差分だけスイッチング損失を低減できる。
なお、t1〜t6の期間は図2(1)に示すように空気調和機(主としてインバータ装置18)の入力電流が増加する期間であり、この結果、高調波電流が増えて電流対規格値比が増加する。この増加を抑制するようにキャリア周波数制御手段58は、図2(4)に示すようにキャリア周波数を高く制御する。逆にt6〜t7の期間は図2(1)に示すように空気調和機の入力電流が減少する期間であり、この結果、高調波電流が減少して電流対規格値比が減少する。このため、キャリア周波数制御手段58は、図2(4)に示すようにキャリア周波数が低下するように制御する。
そして、動作モード選択手段59は、検出温度が運転モード切換温度未満になるt7以降において、高温動作モードから低温動作モードに切り換えると、前述したようにスイッチング制御手段54は5キロヘルツ固定のキャリア周波数で動作するため、電流対規格値比が減少し、この結果、キャリア周波数制御手段58はキャリア周波数を低下させ、t7以降のインバータ装置18の消費電流と対応するキャリア周波数である3キロヘルツを出力する。
また、図示していないが、高周波電流算出手段56は、空気調和機全体の入力電流によって高調波電流を算出しているため、例えば、室内機40のファンの回転数が低下したり、室外機30のファンの回転数が低下して空気調和機全体の入力電流が減少すると、これに対応して高調波電流が減少し、電流対規格値比が減少するため、キャリア周波数をさらに低下させ、結果的にさらに三相ブリッジコンバータ13の発熱を低下させることができる。
以上説明したように、目標電流対規格値比を予め1.0(高周波電流規格値の上限比率)に近い値に設定しておくと、電流対規格値比が目標電流対規格値比に近づくようにキャリア周波数制御手段58がキャリア信号の周波数を制御するため、高調波電流規格を満足しつつキャリア信号の周波数が低い値に制御される。このため、三相ブリッジコンバータ13におけるスイッチング損失が小さくなってコンバータ装置50の三相ブリッジコンバータ13の発熱を低減させることができる。この結果、安価な部品を使用し、コストを低減させた空気調和機を提供することができる。
本実施例では三相用のコンバータ装置を用いた例を説明しているが、これに限るものでなく、PWM制御方式のコンバータ装置であれば単相用のものであってもよい。また、本実施例では各種手段を室外機に備えた例を説明しているが、これに限るものでなく、空気調和機の内部で有ればどこに備えられていてもよい。
また、本実施例では高調波電流算出手段を高速フーリエ変換を用いて実現しているが、これに限るものでなく、予め入力電流に対する高調波電流をキャリア周波数毎にテーブル化しておいたものを抽出するようにしてもよい。
さらに、本実施例では電流対規格値比が1.0に近づくようにキャリア周波数を制御しているが、これに限るものでなく、算出した高調波電流値と高調波電流規格値との差が小さくなるようにキャリア周波数を制御してしてもよい。
1、2、3 入力端子
4、5、6 電流センサ
7 R相ライン
8 S相ライン
9 T相ライン
10、11、12 リアクタ
13 三相ブリッジコンバータ
14 フィルタ回路
15 平滑コンデンサ
16 +端子
17 −端子
18 インバータ装置
19 モータ
20 温度センサ
21 電流センサ
30 室外機
40 室内機
50 コンバータ装置
51 相電圧検出手段
52 線電流検出手段
53 DC電圧検出手段
54 スイッチング制御手段
55 入力電流検出手段
56 高調波電流算出手段
57 電流対規格値比算出手段
58 キャリア周波数制御手段
59 動作モード選択手段
60 キャリア信号生成手段
61 温度検出手段

Claims (2)

  1. 入力された交流電源をPWM方式で制御するスイッチング制御手段を用いて直流電源に変換するコンバータ装置と、前記直流電源を交流電源に変換するインバータ装置と、同インバータ装置で駆動される圧縮機用のモータとを備えた空気調和機であって、
    前記空気調和機は、前記空気調和機の入力電流を検出する入力電流検出手段と、
    前記入力電流を高速フーリエ変換して高調波電流を算出する高調波電流算出手段と、
    PWM制御のためのキャリア信号を生成して前記スイッチング制御手段に供給するキャリア信号生成手段と、
    前記キャリア信号生成手段が生成するキャリア信号のキャリア周波数を制御するキャリア周波数制御手段と、
    予め定めた高調波電流規格値を記憶する規格値記憶手段と、
    前記高調波電流規格値に対する前記高調波電流の値の比率である電流対規格値比を算出する電流対規格値比算出手段とを備え、
    前記キャリア周波数制御手段は、予め定めた目標電流対規格値比よりも前記電流対規格値比が大きい時には前記キャリア周波数を高く制御し、前記目標電流対規格値比よりも前記電流対規格値比が小さい時には前記キャリア周波数を低く制御することを特徴とする空気調和機。
  2. 前記インバータ装置に使用されるスイッチング素子の温度を検出して検出温度を出力する温度検出手段と、
    前記検出温度が予め定めた温度閾値以上の時に前記キャリア周波数制御手段の制御によるキャリア周波数を選択し、前記検出温度が前記温度閾値未満の時に前記キャリア周波数制御手段によるキャリア周波数の上限よりも高い予め定めたキャリア周波数を選択して前記キャリア信号生成手段へ出力する動作モード選択手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
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