JP2015124759A - 保持シール材及び保持シール材の製造方法 - Google Patents

保持シール材及び保持シール材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 充分に読み取りが可能である識別情報が付与された保持シール材を提供する。
【解決手段】 無機繊維からなるマットから構成されるとともに、排ガス処理体を保持するための保持シール材であって、上記マットの表面には、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報が、UV硬化インク又は熱溶融インクにより印刷されていることを特徴とする保持シール材。
【選択図】図1

Description

本発明は、保持シール材及び保持シール材の製造方法に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境及び人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HC及びNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境及び人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、炭化ケイ素又はコージェライト等の多孔質セラミックからなる排ガス処理体と、排ガス処理体を収容する金属容器(ケーシング)と、排ガス処理体とケーシングとの間に配設され、無機繊維からなるマット状の保持シール材とから構成される排ガス浄化装置が種々提案されている。
この排ガス浄化装置に用いられる保持シール材は、自動車の走行等により生じる振動又は衝撃により、排ガス処理体がその外周を覆うケーシングと接触して破損するのを防止すること、排ガス処理体をしっかりと保持して排ガス浄化装置の内部から排ガス処理体が抜け出るのを防止すること、及び、排ガス処理体とケーシングとの間から排ガスが漏れるのを防止すること等を主な目的として配設されている。
近年、排ガス浄化装置の種類が多様化してきたことにより、製造される保持シール材においては、製品名及び製造番号等の識別性が求められている。そこで、例えば、特許文献1には、保持シール材の表面に識別情報が付与されてなることを特徴とする排気ガス処理体用の保持シール材が開示されている。特許文献1には、上記識別情報が、液体噴霧装置等により印刷されることにより付与されることが望ましいと記載されている。
また、特許文献2には、圧縮性材料(保持シール材)の厚み及び/又は嵩密度に関する情報をその材料表面に表示しておき、セル構造体(排ガス処理体)を圧縮性材料を介して金属容器内に収納把持する際、上記情報を読み取り、その情報に基づいて、適切な把持条件となるセル構造体と金属容器と圧縮性材料を選び出すことを特徴とするアッセンブリの組み立て方法が開示されている。特許文献2には、情報の表示形式として文字やバーコードを用いること、及び、情報を表示するためにインク塗布、レーザー、スタンプによる押印等を用いることが記載されている。
特開2007−177767号公報 特開2002−266636号公報
上述のように、特許文献1及び2に記載の発明では、保持シール材の表面に付与された識別情報は、インクにより印刷されている。しかしながら、特許文献1及び2に記載された方法で識別情報を、無機繊維集合体(あるいは有機バインダを含む無機繊維集合体)からなる保持シール材表面に直接印刷する場合、印刷部分が滲んだり擦れたりすることがあった。ここで、保持シール材のサイズが小さい場合には、数字や文字等の識別情報を小さい範囲に印刷する必要があり、また、多量の情報を付与することができる二次元バーコードを印刷する場合には、読み取りが可能である程度に印刷する必要がある。そのため、印刷部分の滲み及び擦れは大きな問題となる。特に、保持シール材を構成する無機繊維の平均繊維径が小さくなるほどインクが滲みやすくなり、また、保持シール材の表面が平坦でないほどインクが擦れやすくなる。そのため、このような保持シール材の表面に識別情報を付与すると、目視又は装置による読み取り不良に繋がるおそれがある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、充分に読み取りが可能である識別情報が付与された保持シール材及び該保持シール材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、特許文献1及び2に記載された方法で識別情報を印刷する場合、印刷部分が滲んだり擦れたりする原因について検討した。特許文献1及び2に記載された印刷に用いられるインクには、色素としての染料や顔料の他、溶媒としての水や有機溶媒が含有されている。したがって、このようなインクを用いると、溶媒成分が乾燥するまでの間、色素成分が保持シール材を構成する無機繊維の隙間に染み込んでしまい、それが印刷部分の滲み及び擦れの原因となることを突き止めた。
このような検討結果を踏まえ、本発明者は、従来と異なるインクを用いることにより、印刷部分の滲み及び擦れを防止することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の保持シール材は、無機繊維からなるマットから構成されるとともに、排ガス処理体を保持するための保持シール材であって、上記マットの表面には、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報が、UV硬化インク又は熱溶融インクにより印刷されていることを特徴とする。
本発明の保持シール材において、印刷に用いられるUV硬化インク又は熱溶融インクは、UV照射又は急冷によって瞬時に硬化する。そのため、それぞれのインクは、マットの表面に留まることとなり、マットの内部に染み込みにくくなる。したがって、本発明の保持シール材では、印刷部分の滲み及び擦れを防止することができる。
本発明の保持シール材において、上記無機繊維の平均繊維径は、2μm以上20μm未満であることが望ましい。
従来のインクを用いて識別情報を印刷すると、保持シール材を構成する無機繊維の平均繊維径が小さくなるほどインクが滲みやすくなる。これに対して、本発明の保持シール材では、UV硬化インク又は熱溶融インクを用いることにより、保持シール材表面でインクが硬化して留まるため、平均繊維径が小さい無機繊維からなるマットの表面にも鮮明な識別情報が付与されることとなる。
本発明の保持シール材において、上記マットに染み込んだ上記UV硬化インク又は上記熱溶融性インクの先端部は、上記マットの表面から内側へ0.1〜0.7mmの位置にあることが望ましい。
上述のとおり、本発明の保持シール材では、UV硬化インク又は熱溶融性インクがマットの内部に染み込みにくいため、インクがマットに染み込む範囲は、マットの表面から0.1〜0.7mmの位置までの範囲となる傾向にある。
本発明の保持シール材において、上記識別情報が光学読み取りコードである場合、上記光学読み取りコードが印刷されている面積は、2cm以上であることが望ましい。
本発明の保持シール材では、2cm程度と印刷範囲が小さい場合であっても、充分に読み取りが可能な光学読み取りコードが付与されることとなる。
本発明の保持シール材において、上記識別情報がUV硬化インクにより印刷されている場合、上記UV硬化インクは、アクリレート系紫外線硬化樹脂を含有することが望ましい。
アクリレート系紫外線硬化樹脂は、硬化速度が速いため、瞬時に硬化しやすくなる。
本発明の保持シール材において、上記無機繊維の表面は、有機バインダ成分中に無機粒子が分散されてなる被膜で覆われていることが望ましい。
上記被膜は無機粒子を含むために、引っ張り強度に優れている。また、上記無機粒子は有機バインダ成分によって凝集が抑制されているため、広い範囲にわたって被膜の強度が高くなる。したがって、このような被膜で無機繊維の表面が覆われていると、通常はバインダ被膜の強度が弱いと考えられる、有機バインダの付着量が少ない場合であっても、有機バインダ(有機バインダ溶液)を乾燥して保持シール材を得る際に原料マットが圧縮乾燥されるため、表面が平坦なマットに成形できる。そして、マットの表面が平坦であると、識別情報を容易に印刷することができる。
本発明の保持シール材中、上記有機バインダ成分は、上記無機繊維100重量部に対して0重量部より多く12重量部以下含有されていることが望ましい。
有機バインダ成分が含有されていない場合、無機繊維表面に被膜を形成することができない。一方、有機バインダ成分の含有量が無機繊維100重量部に対して12重量部を超える場合、排ガスの熱によって発生する分解ガスの量が多くなり、周囲の環境に悪影響を与える可能性がある。
本発明の保持シール材において、上記マットには、ニードルパンチング処理が施されていてもよい。
ニードルパンチング処理によって無機繊維を交絡させることで、無機繊維同士の絡み合いを強固にし、強度を向上させやすくなる。
本発明の保持シール材において、上記識別情報は、製品名、製品番号、製造番号、坪量、嵩密度、品種、重量、厚み、製品サイズ、適用車種及び裏表の区別から選ばれる少なくとも1つの情報であることが望ましい。
本発明の保持シール材の製造方法は、上述した保持シール材の製造方法であって、無機繊維からなるマットを準備するマット準備工程と、上記マットの表面に、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報を付与する識別情報付与工程とを含み、上記識別情報付与工程では、UV硬化インク又は熱溶融インクにより上記識別情報を印刷し、上記UV硬化インク又は上記熱溶融インクを硬化させることを特徴とする。
上述のとおり、UV硬化インク又は熱溶融インクは、UV照射又は急冷によって瞬時に硬化する。そのため、それぞれのインクは、マットの表面に留まることとなり、マットの内部に染み込みにくくなる。したがって、本発明の保持シール材の製造方法では、印刷部分の滲み及び擦れを防止することができる。
本発明の保持シール材の製造方法において、上記識別情報が、マットの坪量、嵩密度、重量、厚み及び製品サイズから選ばれる少なくとも1つの情報である場合、上記識別情報付与工程の前に、準備した上記マットの上記識別情報を測定し、上記識別情報付与工程では、測定結果に基づいて上記識別情報を上記マットの表面に付与し、上記識別情報付与工程の後、上記マット表面上の上記識別情報を読み取り、上記識別情報を基準値と比較して良品か否かを判断することが望ましい。
上記の方法を用いると、保持シール材ごとに異なる識別情報を鮮明かつ効率良く印刷することができる。したがって、保持シール材の製造の自動化を容易に行うことができる。
本発明の保持シール材の製造方法において、上記マット準備工程は、上記無機繊維となる無機繊維前駆体を作製する工程と、上記無機繊維前駆体を堆積又は積層することにより、シート状物を作製する工程と、上記シート状物を圧縮する工程と、圧縮した上記シート状物を焼成する工程と、焼成した上記シート状物を解繊し、無機繊維を得る工程と、解繊した上記無機繊維及び有機バインダを含むスラリーを調製する工程と、上記スラリーを抄造することにより、原料マットを作製する工程と、上記原料マットを圧縮乾燥することにより、マットを作製する工程とを含むことが望ましい。
上記の方法では、2回の圧縮によってマット表面を平坦化している。1回目の圧縮では、可塑性のある無機繊維前駆体の状態のシート状物を圧縮することにより、厚みを小さくし、表面を比較的平坦にすることができる。2回目の圧縮では、バインダを含む原料マットを圧縮することにより、マット表面のうねりだけでなく、マット表面の繊維の毛羽立ちを抑制することもできる。したがって、マット表面を、識別情報の印刷に適した平坦な状態にすることができる。
図1(a)は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す保持シール材の平面図である。 図2は、排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。 図4は、排ガス浄化装置の製造方法の一例を模式的に示した斜視図である。 図5(a)は、実施例2の保持シール材に印刷されたデータマトリックスの写真であり、図5(b)は、比較例2の保持シール材に印刷されたデータマトリックスの写真である。 図6(a)は、実施例2の保持シール材におけるインクの染み込み深さを示す拡大写真であり、図6(b)は、比較例2の保持シール材におけるインクの染み込み深さを示す拡大写真である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
まず、本発明の保持シール材について説明する。
本発明の保持シール材は、無機繊維からなるマットから構成されるとともに、排ガス処理体を保持するための保持シール材であって、上記マットの表面には、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報が、UV硬化インク又は熱溶融インクにより印刷されていることを特徴とする。
図1(a)は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す保持シール材の平面図である。
図1(a)及び図1(b)に示す保持シール材10は、所定の長手方向の長さ(図1(a)中、矢印Lで示す)、幅(図1(a)中、矢印Wで示す)及び厚さ(図1(a)中、矢印Tで示す)を有する平面視略矩形の平板形状のマットから構成されている。
図1(a)及び図1(b)に示す保持シール材10では、保持シール材の長さ方向側の端部のうち、一方の端部に凸部11が形成されており、他方の端部に凹部12が形成されている。凸部11及び凹部12は、後述する排ガス浄化装置を組み立てるために排ガス処理体に保持シール材を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。つまり、保持シール材の長手方向が巻き付け方向となる。
なお、平面視略矩形とは、凸部及び凹部を含む概念である。平面視略矩形には、角度が90°以外の角度を有する形状も含まれる。
また、マットの長手方向の長さLとは、マットの端部に形成される凸部又は凹部の寸法を考慮しない長さである。
マットの厚さTは、2.0〜20mmであることが望ましい。
マットの厚さが20mmを超えると、保持シール材の柔軟性が失われるので、保持シール材を排ガス処理体に巻き付ける際に扱いづらくなる。また、保持シール材に巻きじわや割れが生じやすくなる。
一方、マットの厚さが2.0mm未満であると、保持シール材の面圧が排ガス処理体を保持するのに充分でなくなる。そのため、排ガス処理体が抜け落ちやすくなる。また、高温の排気ガスにより排ガス処理体を収容する金属容器(ケーシング)が熱膨張により内径が膨張した際には、排ガス処理体とケーシングとの間隙が大きく変化する。マットの厚さが2.0mm未満であると、この間隙の変化に追従ができない。
本発明の保持シール材において、マットの表面には、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報が、UV硬化インク又は熱溶融インクにより印刷されている。
図1(a)及び図1(b)に示す保持シール材10では、光学読み取りコード13からなる識別情報がマットの表面に印刷されている例を示している。
光学読み取りコードとは、バーコードリーダ等の光学読み取り装置によって光学的に機械読み取り可能なデータを印字したコードをいい、バーコード及び二次元コードを含む。
バーコードとしては、例えば、JAN、ITF、CODE39、CODE128等が挙げられる。
二次元コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)、データマトリックス、PDF417、Maxi Code、Veri Code等が挙げられる。
識別情報としては、例えば、製品番号、製造番号、坪量、嵩密度、品種、重量、厚み、製品サイズ、適用車種及び裏表の区別等に関する情報が挙げられるが、その情報は特に限定されるものではない。また、これらの識別情報が2種以上組み合わされていてもよい。
本発明の保持シール材においては、識別情報として、光学読み取りコードからなる識別情報が印刷されていることが望ましいが、文字情報からなる識別情報が印刷されていてもよい。また、光学読み取りコードからなる識別情報と文字情報からなる識別情報とが混在して印刷されていてもよい。さらに、複数の光学読み取りコードが印刷されていてもよい。
光学読み取りコード及び/又は文字情報の色は特に限定されず、黒色、赤色、青色、黄色、緑色等が挙げられる。また、識別情報の種類によって色が異なっていてもよい。
本発明の保持シール材において、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報が印刷されている箇所は特に限定されないが、平面視略矩形の表面あるいは反対面が望ましい。
識別情報は、無機繊維集合体(あるいは有機バインダを含む無機繊維集合体)の表面に直接印刷されてもよく、あるいは、有機繊維等を含む不織布等のシートを少なくとも一部に配置した該シートの表面に直接印刷されてもよい。
本発明の保持シール材において、光学読み取りコードからなる識別情報が印刷されている場合、光学読み取りコードが印刷されている面積は、2cm以上であることが望ましく、2〜100cmであることがより望ましく、3〜25cmであることがさらに望ましい。
本発明の保持シール材では、2cm程度と印刷範囲が小さい場合であっても、充分に読み取りが可能な光学読み取りコードが付与されることとなる。
本発明の保持シール材において、識別情報は、UV硬化インク又は熱溶融インクにより印刷されており、UV硬化インクにより印刷されていることが望ましい。
また、複数の光学読み取りコードが印刷されている場合、少なくとも1つはUV硬化インクにより印刷されていることが望ましく、UV硬化インクにより印刷されているものと熱溶融インクにより印刷されているものが混在していてもよい。
UV硬化インクとしては、特に限定されず、色剤、紫外線硬化樹脂、光重合開始剤等を含有する公知のUV硬化インクを使用することができる。
色剤としては、従来から知られている染料又は顔料を使用することができ、顔料を使用することが望ましい。顔料としては、従来から知られている有機顔料又は無機顔料を使用することができる。
紫外線硬化樹脂の成分としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、スチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられ、これらが紫外線により重合することで硬化して、樹脂になる。
本発明の保持シール材において、UV硬化インクは、アクリレート系、メタクリレート系又は不飽和ポリエステル系の紫外線硬化樹脂を含有することが望ましく、アクリレート系の紫外線硬化樹脂を含有することがより望ましい。アクリレート系紫外線硬化樹脂は、硬化速度が速いため、瞬時に硬化しやすくなるためである。
熱溶融インクとしては、特に限定されず、色剤、光重合性樹脂、光重合開始剤、溶剤等を含有する公知の熱溶融インクを使用することができる。
本発明の保持シール材では、UV硬化インク又は熱溶融性インクがマットの内部に染み込みにくいため、インクがマットに染み込む範囲は、マットの表面から0.1〜0.7mmの位置までの範囲となる傾向にある。
したがって、本発明の保持シール材において、マットに染み込んだUV硬化インク又は熱溶融性インクの先端部は、マットの表面から内側へ0.1〜0.7mmの位置にあることが望ましい。
本発明の保持シール材は、無機繊維からなるマットから構成される。
マットを構成する無機繊維は、例えば、無機塩法により紡糸原液を調製した後、紡糸工程による無機繊維前駆体の作製工程、焼成工程を経て作製することができる。
マットを構成する無機繊維としては、特に限定されず、アルミナ−シリカ繊維であってもよく、アルミナ繊維、シリカ繊維等であってもよい。また、ガラス繊維や生体溶解性繊維であってもよい。耐熱性や耐風蝕性等、保持シール材に要求される特性等に応じて無機繊維を変更すればよく、各国の環境規制に適合できるような太径繊維や繊維長のものを使用するのが好ましい。
マットを構成する無機繊維の平均繊維径は、2μm以上20μm未満であることがより望ましく、3μm以上8μm未満であることがさらに望ましい。
無機繊維の平均繊維径が2μm未満であると、繊維自体の強度が小さくなり、保持シール材の面圧が排ガス処理体を保持するのに充分でなくなる。一方、無機繊維の平均繊維径が20μmを超えると、保持シール材表面の緻密性が低下し、保持シール材の表面が平坦でなくなり、識別情報として印刷により付与したインクが擦れやすくなるため、目視又は装置による読み取り不良に繋がるおそれがある。
なお、無機繊維の平均繊維径とは、ランダムに採取した300本の無機繊維の直径を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像から測定し、これらの直径を平均した値をいう。
本発明の保持シール材において、無機繊維の表面は、有機バインダ被膜で覆われていてもよいが、有機バインダ成分中に無機粒子が分散されてなる被膜で覆われていることが望ましい。
上記被膜は無機粒子を含むために、引っ張り強度に優れている。また、上記無機粒子は有機バインダ成分によって凝集が抑制されているため、広い範囲にわたって被膜の強度が高くなる。したがって、このような被膜で無機繊維の表面が覆われていると、通常はバインダ被膜の強度が弱いと考えられる、有機バインダの付着量が少ない場合であっても、有機バインダ(有機バインダ溶液)を乾燥して保持シール材を得る際に原料マットが圧縮乾燥されるため、表面が平坦なマットに成形できる。そして、マットの表面が平坦であると、識別情報を容易に印刷することができる。
なお、無機繊維の表面の全てが有機バインダ被膜で覆われている必要はなく、本発明の効果を奏する限りにおいて、無機繊維の一部に有機バインダ被膜が形成されていない部位があってもよい。
被膜を構成する有機バインダ成分は、水中に分散させた有機バインダ(有機バインダ溶液)が乾燥されることによって得られる。
有機バインダとしては特に限定されず、アクリル系樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明の保持シール材中、上記有機バインダ成分は、固形分として、保持シール材を構成する無機繊維100重量部に対して0重量部より多く12重量部以下含有されていることが望ましく、0.1〜3重量部含まれることがより望ましく、0.1〜2重量部含まれることがさらに望ましい。
有機バインダ成分が含有されていない場合、無機繊維表面に被膜を形成することができない。一方、有機バインダ成分の含有量が無機繊維100重量部に対して12重量部を超える場合、排ガスの熱によって発生する分解ガスの量が多くなり、周囲の環境に悪影響を与える可能性がある。
有機バインダのガラス転移温度は、−5℃以下であることが望ましく、−10℃以下であることがより望ましく、−30℃以下であることがさらに望ましい。
有機バインダのガラス転移温度が−5℃以下であると、被膜の強度を高くしつつ、被膜伸度が高くて可撓性に優れた保持シール材とすることができる。そのため、保持シール材を排ガス処理体に巻き付ける際等に保持シール材が折れて、割れにくくなる。
被膜を構成する無機粒子とは、無機バインダから溶媒を取り除いた固形成分を指す。
上記無機バインダとしては特に限定されず、アルミナゾル、シリカゾル等が挙げられる。
上記無機粒子としては、アルミナゾルに由来するアルミナ粒子、シリカゾルに由来するシリカ粒子が望ましい。
上記被膜中に、有機バインダ成分及び無機粒子が分散していることは、透過型電子顕微鏡(以下、TEMともいう)によって確認することができる。炭素原子を主成分とする有機バインダはアルミナやシリカ等から構成される無機粒子と比較して電子密度が低く、電子線を透過しやすい。そのため、TEM画像において有機バインダ成分は無機粒子よりも明るく表示される。
本発明の保持シール材において、上記無機粒子は、保持シール材を構成する無機繊維100重量部に対して0.1〜10重量部含まれることが望ましく、0.1〜3重量部含まれることがより望ましく、0.1〜2重量部含まれることがさらに望ましい。
無機粒子の含有量が無機繊維100重量部に対して0.1重量部未満の場合、無機粒子の含有量が不足するためバインダ被膜の強度の向上効果が小さくなりやすい。一方、無機粒子の含有量が無機繊維100重量部に対して10重量部を超える場合、強度の向上という効果はほとんど変わらないが、被膜が硬くなりすぎることがある。
上記無機粒子の粒子径については、特に限定されないが、0.005〜0.5μmであることが望ましい。
なお、無機粒子の粒子径は、以下の方法により計測することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、無機繊維の表面の画像を撮影する。撮影した画像上で、凹凸状態となっている無機繊維の表面において、粒子状に観察される形状物を無機粒子と認定する。上記粒子状に観察される形状物の径を無機粒子の粒子径として計測する。
上記被膜において、無機粒子は、高分子系分散剤によりその表面が被覆されていてもよい。
上記高分子系分散剤の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜100,000であることが望ましい。
高分子系分散剤の種類は特に限定されないが、ポリカルボン酸及び/又はその塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物及び/又はその塩、ポリアクリル酸及び/又はその塩、ポリメタクリル酸及び/又はその塩、ポリビニルスルホン酸及び/又はその塩、等のアニオン性高分子系分散剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等のノニオン性高分子系分散剤、などの親水性合成高分子物質;ゼラチン、カゼイン、水溶性でんぷん等の天然親水性高分子物質;カルボキシメチルセルロース等の親水性半合成高分子物質等が挙げられる。
これらの中では、親水性合成高分子物質が望ましく、アニオン性高分子系分散剤がより望ましい。例えば、無機粒子としてアルミナゾル由来のアルミナ粒子を使用した場合、上記アルミナ粒子の表面は分散溶液中でカチオン性となる。そのため、アニオン性高分子系分散剤は静電引力によりアルミナ粒子に吸着しやすい。さらに、高分子系分散剤が極性を有する場合は、有機バインダも例えばアクリル系樹脂のように極性を有するものが好ましい。これは被膜中で有機バインダと高分子系分散剤の相溶性が高まることで、アンカー効果により被膜の強度が向上するためである。
また、これらの高分子系分散剤は、1種類のみ用いられていてもよく、複数種類が併用されていてもよい。また、アニオン性高分子系分散剤としての性質を示す構造とノニオン性高分子系分散剤としての性質を示す構造を共に有する高分子系分散剤であってもよい。
また、高分子系分散剤としては、数平均分子量が500〜100,000であるアニオン性高分子系分散剤も特に望ましい。
本発明の保持シール材において、上記高分子系分散剤の含有量は、保持シール材を構成する無機繊維の重量に対して50〜1000ppmであることが望ましい。
高分子系分散剤の含有量が無機繊維の重量に対して50ppm未満である場合、有機バインダ溶液中で無機粒子と有機バインダの凝集を抑制させにくくなる。一方、高分子系分散剤の含有量が無機繊維の重量に対して1000ppmを超える場合、無機粒子を有機バインダ成分中に分散させる効果は変わらないため、過剰な添加は好ましくない。
本発明の保持シール材を構成するマットには、ニードルパンチング処理が施されていてもよい。
ニードルパンチング処理によって無機繊維を交絡させることで、無機繊維同士の絡み合いを強固にし、強度を向上させやすくなる。
ニードルパンチング処理が施されたマットを構成する無機繊維の平均繊維長は、2〜120mmであることが望ましく、5〜100mmであることがより望ましい。上記の範囲の平均繊維長であると、ニードルパンチング処理を施した箇所で繊維同士が絡まり、マットの強度を増加させることができる。
なお、無機繊維の平均繊維長とは、ピンセットにて繊維が破断しないように慎重にランダムに採取した300本の無機繊維の全長を平均した値をいう。有機バインダを使用している保持シール材では、オーブン等を使用して600℃以上の雰囲気温度1時間以上で有機バインダを脱脂焼失処理後に繊維を採取すると、繊維が破断する可能性は低くなり、繊維が採取しやすくなる。
ニードルパンチング処理は、ニードルパンチング装置を用いて行うことができる。ニードルパンチング装置は、無機繊維前駆体のシート状物を支持する支持板と、この支持板の上方に設けられ、突き刺し方向(素地マットの厚さ方向)に往復移動可能なニードルボードとで構成されている。ニードルボードには、多数のニードルが取り付けられている。このニードルボードを支持板に載せた無機繊維前駆体のシート状物に対して移動させ、多数のニードルを無機繊維前駆体のシート状物に対して抜き差しすることで、無機繊維前駆体を構成する繊維を複雑に交絡させることができる。ニードルパンチング処理の回数やニードル数は、目的とする嵩密度や目付量に応じて変更すればよい。
本発明の保持シール材の目付量(単位面積当たりの重量)は、特に限定されないが、200〜4000g/mであることが望ましく、1000〜3000g/mであることがより望ましい。保持シール材の目付量が200g/m未満であると、保持力が充分ではなく、保持シール材の目付量が4000g/mを超えると、保持シール材の嵩が低くなりにくい。そのため、このような保持シール材を用いて排ガス浄化装置を製造する場合、排ガス処理体が脱落しやすくなる。
また、本発明の保持シール材の嵩密度(巻き付ける前の保持シール材の嵩密度)についても、特に限定されないが、0.10〜0.30g/mであることが望ましい。保持シール材の嵩密度が0.10g/m未満であると、無機繊維のからみ合いが弱く、無機繊維が剥離しやすいため、保持シール材の形状を所定の形状に保ちにくくなる。
また、保持シール材の嵩密度が0.30g/mを超えると、保持シール材が硬くなり、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
本発明の保持シール材には、さらに膨張材が含有されていてもよい。膨張材は、400〜800℃の範囲で膨張する特性を有するものが望ましい。
保持シール材に膨張材が含有されていると、400〜800℃の範囲で保持シール材が膨張するようになるため、ガラス繊維の強度が低下する700℃を超えるような高温域においても、保持シール材として使用する際の保持力を向上させることができる。
膨張材としては、例えば、バーミキュライト、ベントナイト、金雲母、パーライト、膨張性黒鉛、及び、膨張性フッ化雲母等が挙げられる。これらの膨張材は単独で用いても良いし、二種以上を併用してもよい。
膨張材の添加量は、特に限定されないが、保持シール材の全重量に対して10〜50重量%であることが望ましく、20〜30重量%であることが望ましい。
本発明の保持シール材は、1枚のマットから構成される場合に限定されず、2枚以上のマットが積層されて構成されていてもよい。2枚以上のマットを結合する方法としては、特に限定されず、例えば、ミシン縫いでマット同士を結合する方法、粘着テープ又は接着剤でマット同士を接着する方法等が挙げられる。
次に、本発明の保持シール材の製造方法について説明する。
本発明の保持シール材の製造方法は、上述した保持シール材の製造方法であって、無機繊維からなるマットを準備するマット準備工程と、上記マットの表面に、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報を付与する識別情報付与工程とを含み、上記識別情報付与工程では、UV硬化インク又は熱溶融インクにより上記識別情報を印刷し、上記UV硬化インク又は上記熱溶融インクを硬化させることを特徴とする。
(a)マット準備工程
まず、無機繊維からなるマットを準備する。
保持シール材を構成するマットは、種々の方法により作製することができるが、例えば、抄造法又はニードリング法により作製することができる。
抄造法によりマットを作製する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、無機繊維及び有機バインダを含むスラリーを調製した後、このスラリーを抄造することにより原料マットを作製する。続いて、原料マットを圧縮乾燥することにより、マットの準備が完了する。
上記スラリーに含まれる無機繊維は、後述するニードリング法によりマットを作製する場合と同様に、紡糸用原液から無機繊維前駆体を作製し、無機繊維前駆体のシート状物を作製した後、該シート状物を圧縮後、焼成し、焼成したシート状物を解繊することによって得ることができる。この際、無機繊維前駆体のシート状物にニードルパンチング処理を施した後に焼成処理を施してもよいが、ニードルパンチング処理を施さずに焼成処理を施してもよい。
すなわち、マット準備工程は、上記無機繊維となる無機繊維前駆体を作製する工程と、上記無機繊維前駆体を堆積又は積層することにより、シート状物を作製する工程と、上記シート状物を圧縮する工程と、圧縮した上記シート状物を焼成する工程と、焼成した上記シート状物を解繊し、無機繊維を得る工程と、解繊した上記無機繊維及び有機バインダを含むスラリーを調製する工程と、上記スラリーを抄造することにより、原料マットを作製する工程と、上記原料マットを圧縮乾燥することにより、マットを作製する工程とを含むことが望ましい。
上記の方法では、2回の圧縮を行っている。1回目の圧縮では、可塑性のある無機繊維前駆体の状態のシート状物を圧縮することにより、厚みを小さくして効率良く焼成炉に搬入することができる。2回目の圧縮では、スラリーを抄造して得られた、バインダを含む原料マットを圧縮することにより、マット表面を平坦にしている。そして、マット表面のうねりだけでなく、マット表面の繊維の毛羽立ちを抑制することもできる。したがって、マット表面を、識別情報の印刷に適した平坦な状態にすることができる。
上記スラリーは、有機バインダを含むバインダ溶液中に無機繊維を入れ、混合することにより得ることができる。
抄造法により得られたマットを構成する無機繊維の平均繊維長は、0.1〜20mmであることが望ましく、0.2〜10mmであることがより望ましい。なお、無機繊維の平均繊維長は、上述の方法により測定することができる。
有機バインダとしては、特に限定されず、本発明の保持シール材の説明において述べたものを使用することができるため、その詳細な説明は省略する。
バインダ溶液中の有機バインダの濃度は、特に限定されないが、固形分換算で0.2〜20重量%程度であることが望ましい。
有機バインダのガラス転移温度は、特に限定されないが、−5℃以下であることが望ましく、−10℃以下であることがより望ましく、−30℃以下であることがさらに望ましい。
バインダ溶液には、無機バインダが含まれていてもよい。無機バインダとしては、アルミナゾル、シリカゾル等の無機粒子を使用することができる。
バインダ溶液中の無機粒子の濃度は特に限定されないが、固形分換算で0.2〜20重量%程度であることが望ましい。
バインダ溶液には、有機バインダ、無機バインダを無機繊維表面に付着させるために凝集剤等を添加してもよい。
バインダ溶液には、pHを調整するためのpH調整剤を添加してもよい。
原料マットの圧縮乾燥は、原料マットをプレス器等で圧縮した状態で、所定の温度で加熱、乾燥させることにより行う。具体的には、原料マットをオーブン等の熱処理器内に設置し、例えば90〜180℃の温度で、1〜60分間程度行うことが望ましい。
ニードリング法によりマットを作製する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、例えば、塩基性塩化アルミニウム水溶液とシリカゾル等とを原料とする紡糸用原液を調製した後、この原液を用いた紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して3〜10μmの平均繊維経を有する無機繊維前駆体を作製する。続いて、上記無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作製し、これにニードルパンチング処理を施し、その後、焼成処理を施すことによりマットの準備が完了する。
ニードリング法によりマットを作製する場合、有機バインダを含むバインダ溶液を調製し、作製したマットに上記バインダ溶液を含浸させた後、マットを圧縮乾燥させてもよい。
上記の方法では、ニードルパンチング処理の際及び圧縮乾燥の際の2回の圧縮によってマット表面を平坦化することができる。したがって、マット表面を、識別情報の印刷に適した平坦な状態にすることができる。
バインダ溶液としては、抄造法の際に用いるバインダ溶液と同じものを使用することができるため、その詳細な説明は省略する。
このバインダ溶液には、有機バインダの他、無機バインダが含まれていてもよい。無機バインダとしては、アルミナゾル、シリカゾル等の無機粒子を使用することができる。
更に、バインダ溶液には、高分子系分散剤が含まれていてもよい。この場合、無機バインダと高分子系分散剤を混合した溶液を調製した後、有機バインダ溶液と混合し、バインダ溶液を調製することが望ましい。
まず、無機粒子と高分子系分散剤を混合した溶液を調製することで、無機粒子の表面を高分子系分散剤によって被覆する。続いて、有機バインダ溶液と混合することによって、水中に高分子系分散剤によって被覆された無機粒子と有機バインダを分散させることができる。
高分子系分散剤としては、特に限定されず、本発明の保持シール材の説明において述べたものを使用することができるため、その詳細な説明は省略する。望ましい数平均分子量の範囲、種類も同様である。
バインダ溶液中の高分子系分散剤の濃度は、特に限定されないが、50〜1000ppmであることが望ましい。高分子系分散剤の濃度が50ppm未満の場合には、高分子系分散剤の量が不足するためバインダ溶液中で無機粒子と有機バインダの凝集を抑制させにくくなり、1000ppmを超える場合は、分散させる効果は変わらないため、過剰な添加は望ましくない。
無機粒子と高分子系分散剤とを混合した溶液と、有機バインダ溶液との混合比は、特に限定されないが、無機バインダと高分子系分散剤とを混合した溶液の無機粒子の固形分重量:有機バインダ溶液の有機バインダの固形分重量=3:1〜1:3の重量比率で混合するのが望ましい。
バインダ溶液を含浸させたマットは、90〜180℃程度の温度で、1〜60分間程度乾燥させることが望ましい。
その後、図1(a)及び図1(b)に示すような凸部と凹部を備えた形状のマットとするためには、マットを所定の形状に切断する切断工程をさらに行えばよい。
(b)識別情報付与工程
次に、準備したマットの表面に、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報を付与する。
この工程では、UV硬化インク又は熱溶融インクにより識別情報を印刷し、UV硬化インク又は熱溶融インクを硬化させる。
具体的には、インクジェット式印刷装置を用いて、UV硬化インク又は熱溶融インクをマットの表面に噴霧することが望ましい。その後、UV硬化インクを用いた場合には紫外線を照射することにより、また、熱溶融インクを用いた場合には急冷することにより、印刷処理を施すことが望ましい。
光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報、UV硬化インク及び熱溶融インクについては、本発明の保持シール材において説明したため、その詳細な説明を省略する。
本発明の保持シール材の製造方法において、識別情報が、マットの坪量、嵩密度、重量、厚み及び製品サイズから選ばれる少なくとも1つの情報である場合、識別情報付与工程の前に、準備したマットの上記識別情報を測定し、識別情報付与工程では、測定結果に基づいて上記識別情報をマットの表面に付与し、識別情報付与工程の後、マット表面上の上記識別情報を読み取り、上記識別情報を基準値と比較して良品か否かを判断することが望ましい。この際、光学読み取りコードからなる識別情報を付与することがより望ましい。
上記の方法を用いると、保持シール材ごとに異なる識別情報を鮮明かつ効率良く印刷することができる。したがって、保持シール材の製造の自動化を容易に行うことができる。
以上により、本発明の保持シール材を製造することができる。
また、本発明の保持シール材の製造方法によれば、例えば、(a)マットを所定の形状に切断する、(b)マットの重量や厚み等の特性項目を測定する、(c)規格範囲の判定、測定情報、製品情報等を、光学読み取りコードからなる識別情報として印刷する、(d)光学読み取りコードからなる識別情報を読み取り、基準値と比較して良品か否かを判断する、(e)良品でないと判断されたマットを廃棄する、といった工程を自動で行うことができる。
本発明の保持シール材は、排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を保持するための保持シール材として使用することができる。
このように、金属ケーシングと、上記金属ケーシングに収容された排ガス処理体と、上記排ガス処理体の周囲に巻き付けられ、上記排ガス処理体及び上記金属ケーシングの間に配設された保持シール材とを備える排ガス浄化装置であって、上記保持シール材は、本発明の保持シール材、又は、本発明の保持シール材の製造方法により製造された保持シール材であることを特徴とする排ガス浄化装置もまた、本発明の好適な実施形態である。
図2は、排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す排ガス浄化装置100は、金属ケーシング130と、金属ケーシング130に収容された排ガス処理体120と、排ガス処理体120及び金属ケーシング130の間に配設された保持シール材110とを備えている。
排ガス処理体120は、多数のセル125がセル壁126を隔てて長手方向に並設された柱状のものである。なお、金属ケーシング130の端部には、必要に応じて、内燃機関から排出された排ガスを導入する導入管と、排ガス浄化装置を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されることとなる。
排ガス浄化装置を構成する保持シール材としては、図1(a)及び図1(b)に示す保持シール材10をはじめとする本発明の保持シール材を使用することができる。
排ガス浄化装置を構成する金属ケーシングの材質は、耐熱性を有する金属であれば特に限定されず、具体的には、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属類が挙げられる。
排ガス浄化装置を構成するケーシングの形状は、略円筒型形状の他、クラムシェル型形状等を好適に用いることができる。
続いて、排ガス処理装置を構成する排ガス処理体について説明する。
図3は、排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。
図3に示す排ガス処理体120は、多数のセル125がセル壁126を隔てて長手方向に併設される柱状のセラミック質からなるハニカム構造体である。また、セル125のいずれかの端部は、封止材128で封止されている。さらに、排ガス処理体120の外周面には、外周コート層127が形成されている。
図3に示す排ガス処理体120のように、セル125のいずれかの端部が封止されている場合、排ガス処理体120の一方の端部からみたときに、端部が封止されたセルと封止されていないセルとが交互に配置されていることが好ましい。
排ガス処理体を長手方向に垂直な方向に切断した断面形状は、特に限定されず、略円形、略楕円形でもよく、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形等の略多角形であってもよい。
排ガス処理体を構成するセルの断面形状は、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形等の略多角形でもよく、また、略円形、略楕円形であってもよい。また、排ガス処理体は、複数の断面形状のセルが組み合わされたものであってもよい。
排ガス処理体を構成する素材は特に限定されないが、炭化ケイ素質及び窒化ケイ素質等の非酸化物、並びに、コージェライト及びチタン酸アルミニウム等の酸化物を用いることができる。これらのうち、特に、炭化ケイ素質又は窒化ケイ素質等の非酸化物多孔質焼成体であることが好ましい。
これらの多孔質焼成体は、脆性材料であるので、機械的な衝撃等により破壊されやすい。しかし、図2に示す排ガス処理装置100では、排ガス処理体120の側面の周囲に保持シール材110が介在し、衝撃を吸収するので、機械的な衝撃や熱衝撃により排ガス処理体120にクラック等が発生するのを防止することができる。
排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が好ましく、この中では、白金がより好ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いる事もできる。これらの触媒は、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。これら触媒が担持されていると、PMを燃焼除去しやすくなり、有毒な排ガスの浄化も可能になる。
排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体としては、コージェライト等からなり、一体的に形成された一体型ハニカム構造体であってもよく、あるいは、炭化ケイ素等からなり、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体を主にセラミックを含むペーストを介して複数個結束してなる集合型ハニカム構造体であってもよい。
排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体は、セルに封止材が設けられずに、セルの端部が封止されていなくてもよい。この場合、排ガス処理体は、白金等の触媒を担持させることによって、排ガス中に含まれるCO、HC又はNOx等の有害なガス成分を浄化する触媒担体として機能する。
排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体は、外周面に外周コート層が形成されていてもよく、形成されていなくてもよい。排ガス処理体の外周面に外周コート層が形成されていると、排ガス処理体の外周部を補強したり、形状を整えたり、断熱性を向上させることができる。なお、排ガス処理体の外周面とは、柱状である排ガス処理体の側面部分を指す。
上述した構成を有する排ガス浄化装置を排ガスが通過する場合について、図2を参照して以下に説明する。
図2に示すように、内燃機関から排出され、排ガス処理装置100に流入した排ガス(図2中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス処理体(ハニカムフィルタ)120の排ガス流入側端面120aに開口した一のセル125に流入し、セル125を隔てるセル壁126を通過する。この際、排ガス中のPMがセル壁126で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス処理側端面120bに開口した他のセル125から流出し、外部に排出される。
次に、排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
図4は、排ガス浄化装置の製造方法の一例を模式的に示した斜視図である。
図4に示すように、まず、排ガス処理体120の周囲に沿って保持シール材110を巻き付け、巻付体140とする。次に、この巻付体140を金属ケーシング130に収容することで、排ガス浄化装置を製造することができる。
巻付体140を金属ケーシング130に収容する方法としては、例えば、金属ケーシング130内部の所定の位置まで周囲に保持シール材110が配設された排ガス処理体120を圧入する圧入方式(スタッフィング方式)、金属ケーシング130の内径を縮めるように外周側から圧縮するサイジング方式(スウェージング形式)、並びに、金属ケーシングを第1のケーシングおよび第2のケーシングの部品に分離可能な形状としておき、巻付体140を第1のケーシング上に載置した後に第2のケーシングをかぶせて密封するクラムシェル方式等が挙げられる。
圧入方式によって巻付体を金属ケーシングに収容する場合、金属ケーシングの内径(排ガス処理体を収容する部分の内径)は、上記巻付体の外径より若干小さくなっていることが好ましい。
排ガス浄化装置は、互いに結合された2層以上の複数枚の保持シール材から構成されていてもよい。複数枚の保持シール材を結合する方法としては、特に限定されず、例えば、ミシン縫いで保持シール材同士を結合する方法、粘着テープ又は接着剤で保持シール材同士を接着する方法等が挙げられる。
以下、本発明の保持シール材及び保持シール材の製造方法の作用効果について説明する。
本発明の保持シール材において、印刷に用いられるUV硬化インク又は熱溶融インクは、UV照射又は急冷によって瞬時に硬化する。そのため、それぞれのインクは、マットの表面に留まることとなり、マットの内部に染み込みにくくなる。したがって、本発明の保持シール材及び保持シール材の製造方法では、印刷部分の滲み及び擦れを防止することができる。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(a)マット準備工程
まず、以下の手順により無機繊維からなるマットを準備した。
(a−1)紡糸工程
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al:SiO=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して平均繊維径が5.6μmである無機繊維前駆体を作製した。
(a−2)圧縮工程
上記工程(a−1)で得られた無機繊維前駆体を圧縮して、連続したシート状物を作製した。
(a−3)ニードルパンチング工程
上記工程(a−2)で得られたシート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードルパンチング処理を行ってニードルパンチング処理体を作製した。
まず、ニードルが21個/cmの密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行い、ニードルパンチング処理体を作製した。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
(a−4)焼成工程
上記工程(a−3)で得られたニードルパンチング処理体を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを72重量部:28重量部で含む無機繊維からなる焼成シート状物を製造した。無機繊維の平均繊維径は、5.6μmである。また、このようにして得られた焼成シート状物は、嵩密度が0.15g/cmであり、目付量が1500g/mである。
(a−5)切断工程
上記工程(a−4)で得られた焼成シート状物を切断して、無機繊維からなるマットを作製した。マットの長さは980mm、幅は150mm、厚さは10mmである。
(a−6)有機バインダ溶液調製工程
ガラス転移温度が−10℃であるアクリルゴムを水に分散させたアクリレート系ラテックス(日本ゼオン社製 Nipol LX854E(固形分濃度:45wt%))を用い、水で希釈することにより、固形分濃度が10重量%の有機バインダ溶液を調製した。
(a−7)含浸工程
上記工程(a−6)で調製した有機バインダ溶液中に、上記工程(a−5)で得られたマットを浸漬した後、引き上げた。
(a−8)圧縮乾燥工程
上記工程(a−7)後のマットを、厚さが7.5mmになるまで圧縮し、温度130℃、風速2m/sの熱風を吹き付けることにより熱風通気乾燥した。以上の工程により、マットを準備した。
(b)識別情報付与工程
次に、準備したマットの表面に、インクジェット印刷装置を用いてUV硬化インク(アクリレート系UV硬化インク、黒色)を噴射し、紫外線を照射することにより、縦1.5cm×横1.5cm(面積2.25cm)のデータマトリックス(二次元コード)を印刷した。
以上の工程により、保持シール材を作製した。
(実施例2)
以下の点を除いて、実施例1と同様にして保持シール材を作製した。
工程(a−6)では、固形分濃度が1重量%の有機バインダ溶液を調製した。
工程(b)では、準備したマットの表面に、インクジェット印刷装置を用いて熱溶融インク(黒色)を噴射し、急冷することにより、縦3.0cm×横3.0cm(面積9.0cm)のデータマトリックスを印刷した。
(実施例3)
以下の点を除いて、実施例1と同様にして保持シール材を作製した。
工程(a−6)では、固形分濃度が2重量%の有機バインダ溶液を調製した。
工程(a−6)及び(a−7)の間に、以下の工程(a−6−2)及び(a−6−3)を行った。
工程(a−7)では、工程(a−6−3)で調製したバインダ溶液中に、工程(a−5)で得られたマットを浸漬した後、引き上げた。
(a−6−2)無機バインダ溶液調製工程
アルミナコロイド溶液(アルミナゾル)(日産化学工業社製 アルミナゾル550(固形分濃度:15wt%))を水で希釈し、無機粒子の固形分濃度が2重量%の無機バインダ溶液を調製した。
(a−6−3)バインダ溶液調製工程
上記工程(a−6−2)で得られた無機バインダ溶液に上記工程(a−6)で得られた有機バインダ溶液を、無機バインダ溶液:有機バインダ溶液=1:1の重量比になるよう加え充分攪拌し、有機バインダが固形分濃度で1重量%、無機粒子が固形分濃度で1重量%であるバインダ溶液を調製した。
(比較例1)
以下の点を除いて、実施例1と同様にして保持シール材を作製した。
工程(b)では、準備したマットの表面に、インクジェット印刷装置を用いてオイルインク(黒色)を噴射し、インクを自然乾燥させることにより、縦1.5cm×横1.5cm(面積2.25cm)のデータマトリックスを印刷した。
(比較例2)
以下の点を除いて、実施例1と同様にして保持シール材を作製した。
工程(a−6)では、固形分濃度が1重量%の有機バインダ溶液を調製した。
工程(b)では、準備したマットの表面に、インクジェット印刷装置を用いてオイルインク(黒色)を噴射し、インクを自然乾燥させることにより、縦3.0cm×横3.0cm(面積9.0cm)のデータマトリックスを印刷した。
(印刷擦れの有無)
実施例1〜3及び比較例1〜2の保持シール材について、目視にて、印刷されたデータマトリックスが擦れていないかを確認し、印刷擦れの有無を評価した。その結果を表1に示す。
また、図5(a)に、実施例2の保持シール材に印刷されたデータマトリックスの写真、図5(b)に、比較例2の保持シール材に印刷されたデータマトリックスの写真をそれぞれ示す。
(自動読み取りの可否)
自動読み取り装置を用いて、実施例1〜3及び比較例1〜2の保持シール材に印刷されたデータマトリックスを読み取ることが可能であるかを評価した。その結果を表1に示す。
(インクの染み込み深さの測定)
実施例1〜3及び比較例1〜2の保持シール材について、データマトリックスが印刷されている面に対して垂直な方向に切断し、インクの先端部がマットの表面から内側へどの程度の位置にあるかを測定し、これをインクの染み込み深さ(mm)とした。その結果を表1に示す。具体的な測定方法は以下のとおりである。まず、データマトリックスが印刷されている面に対して垂直な方向に切断した端面が観察面になるように、板状に試料片を切り出す。実体顕微鏡(ニコン社製SMZ)の観察倍率を30倍にして、ステージ上にて試料片の横にステンレス製直尺(シンワ測定社製、長さ15cm、目盛0.5mm)を配置し、インクの先端部がマットの表面から内側へどの程度の位置にあるかを読み取る。ただし、ニードルパンチング処理が施されたマットでは、ニードル針が通った跡であるニードル痕の部分は、マット表面が穴状のため測定箇所から除く。
また、図6(a)に、実施例2の保持シール材におけるインクの染み込み深さを示す拡大写真、図6(b)に、比較例2の保持シール材におけるインクの染み込み深さを示す拡大写真をそれぞれ示す。
表1及び図5(a)に示すように、UV硬化インク又は熱溶融インクによりデータマトリックスが印刷されている実施例1〜3では、印刷擦れがなく、自動読み取り装置でデータマトリックスを読み取ることが可能であった。
さらに、表1及び図6(a)に示すように、実施例1〜3では、インクの染み込み深さも0.1〜0.7mmの範囲内であり、インクがマットの内部にまで染み込んでいないことが確認された。
特に、UV硬化インクによりデータマトリックスが印刷されている実施例1及び3では、データマトリックスが印刷されている面積が2.25cmと小さいにも関わらず、印刷擦れもなく、自動読み取り装置でデータマトリックスを読み取ることが可能であることが確認された。
一方、表1及び図5(b)に示すように、従来のオイルインクによりデータマトリックスが印刷されている比較例1〜2では、印刷擦れが生じ、また、自動読み取り装置でデータマトリックスを読み取ることが不可能であった。
さらに、表1及び図6(b)に示すように、比較例1〜2では、インクの染み込み深さが0.9〜1.2mmと大きく、インクがマットの内部の深くにまで染み込んでいることが確認された。
本発明の保持シール材は、マットの表面に、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報が、UV硬化インク又は熱溶融インクにより印刷されていることを必須の構成要件としている。本発明の保持シール材の製造方法は、マットの表面に、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報を付与する識別情報付与工程において、UV硬化インク又は熱溶融インクにより上記識別情報を印刷し、上記UV硬化インク又は上記熱溶融インクを硬化させることを必須の構成要件としている。
係る必須の構成要件に、本発明の詳細な説明で詳述した種々の構成(例えば、保持シール材の構成、識別情報の種類、マットの作製条件、識別情報の印刷条件)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。
10、110 保持シール材
11 凸部
12 凹部
13 光学読み取りコード(識別情報)
100 排ガス浄化装置
120 排ガス処理体
120a 排ガス流入側端面
120b 排ガス処理側端面
125 セル
126 セル壁
127 外周コート層
128 封止材
130 金属ケーシング
140 巻付体
G 排ガス

Claims (12)

  1. 無機繊維からなるマットから構成されるとともに、排ガス処理体を保持するための保持シール材であって、
    前記マットの表面には、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報が、UV硬化インク又は熱溶融インクにより印刷されていることを特徴とする保持シール材。
  2. 前記無機繊維の平均繊維径は、2μm以上20μm未満である請求項1に記載の保持シール材。
  3. 前記マットに染み込んだ前記UV硬化インク又は前記熱溶融性インクの先端部は、前記マットの表面から内側へ0.1〜0.7mmの位置にある請求項1又は2に記載の保持シール材。
  4. 前記識別情報は、光学読み取りコードであり、
    前記光学読み取りコードが印刷されている面積は、2cm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の保持シール材。
  5. 前記識別情報は、UV硬化インクにより印刷されており、
    前記UV硬化インクは、アクリレート系紫外線硬化樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の保持シール材。
  6. 前記無機繊維の表面は、有機バインダ成分中に無機粒子が分散されてなる被膜で覆われている請求項1〜5のいずれかに記載の保持シール材。
  7. 前記保持シール材中、前記有機バインダ成分は、前記無機繊維100重量部に対して0重量部より多く12重量部以下含有されている請求項6に記載の保持シール材。
  8. 前記マットには、ニードルパンチング処理が施されている請求項1〜7のいずれかに記載の保持シール材。
  9. 前記識別情報は、製品名、製品番号、製造番号、坪量、嵩密度、品種、重量、厚み、製品サイズ、適用車種及び裏表の区別から選ばれる少なくとも1つの情報である請求項1〜8のいずれかに記載の保持シール材。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の保持シール材の製造方法であって、
    無機繊維からなるマットを準備するマット準備工程と、
    前記マットの表面に、光学読み取りコード及び/又は文字情報からなる識別情報を付与する識別情報付与工程とを含み、
    前記識別情報付与工程では、UV硬化インク又は熱溶融インクにより前記識別情報を印刷し、前記UV硬化インク又は前記熱溶融インクを硬化させることを特徴とする保持シール材の製造方法。
  11. 前記識別情報は、マットの坪量、嵩密度、重量、厚み及び製品サイズから選ばれる少なくとも1つの情報であり、
    前記識別情報付与工程の前に、準備した前記マットの前記識別情報を測定し、
    前記識別情報付与工程では、測定結果に基づいて前記識別情報を前記マットの表面に付与し、
    前記識別情報付与工程の後、前記マット表面上の前記識別情報を読み取り、前記識別情報を基準値と比較して良品か否かを判断する請求項10に記載の保持シール材の製造方法。
  12. 前記マット準備工程は、
    前記無機繊維となる無機繊維前駆体を作製する工程と、
    前記無機繊維前駆体を堆積又は積層することにより、シート状物を作製する工程と、
    前記シート状物を圧縮する工程と、
    圧縮した前記シート状物を焼成する工程と、
    焼成した前記シート状物を解繊し、無機繊維を得る工程と、
    解繊した前記無機繊維及び有機バインダを含むスラリーを調製する工程と、
    前記スラリーを抄造することにより、原料マットを作製する工程と、
    前記原料マットを圧縮乾燥することにより、マットを作製する工程とを含む請求項10又は11に記載の保持シール材の製造方法。
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