JP2015124409A - アルミニウム合金線材、アルミニウム合金線材の製造方法、及びアルミニウム合金部材 - Google Patents

アルミニウム合金線材、アルミニウム合金線材の製造方法、及びアルミニウム合金部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に適したアルミニウム合金線材及びその製造方法、並びにアルミニウム合金部材を提供する。
【解決手段】質量%で、SiとMgとをそれぞれ0.7%以上、CuとZnとをそれぞれ1.5%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物である組成を有し、550℃で溶体化処理した後、更に170℃×8時間の時効処理した後の引張強さが400MPa以上であり、前記時効処理した後、150℃×1000時間の耐熱試験した後の引張強さが370MPa以上であるアルミニウム合金線材。
【選択図】なし

Description

本発明は、ボルトなどの締結部材や自動車用部品の素材に適したアルミニウム合金線材及びその製造方法、並びにアルミニウム合金部材に関する。特に、高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に適したアルミニウム合金線材に関する。
アルミニウム合金は、鉄系材料に比較して軽量であることから、電気・電子機器の部品、自動車を始めとする車両や産業用機械の部品などの材料に利用されている。中でも、自動車分野では、燃費向上のため軽量化が積極的に進められており、アルミニウム合金部材の採用が拡大している。特に、国際合金記号で6000系(Al−Si−Mg系)のアルミニウム合金は、2000系(Al−Cu系)や7000系(Al−Zn−Mg系)に次ぐ強度を有し、かつ2000系や7000系よりも耐食性に優れることから、自動車用部品や、アルミニウム合金部材同士の締結に用いるボルトなどの締結部材に使用されている。
6000系アルミニウム合金の中でも、高強度の合金として、A6056が知られている。A6056は、MgとSi、更にCuの濃度を高めて高強度化した合金であり、T6材の引張強さが、425MPa、0.2%耐力が375MPaに達する。特許文献1には、6000系(より具体的にはA6056相当)のアルミニウム合金の組成を基本とし、更に、MgSiの含有量と、MnとCrとの合計含有量との比率を特定の範囲に調整することで、高強度で、かつボルトへの成形性(加工性)にも優れるボルト用アルミニウム合金線が開示されている。
特開2013−104122号公報
最近では、アルミニウム合金部材の使用範囲の拡大に伴い、アルミニウム合金部材に高い強度と耐熱性が要求されることがある。例えば、自動車向けのボルトの場合、高温下で使用されることが多く、締結に必要な強度を有し、高温下においてもこれを維持する耐熱性が求められる。
アルミニウム合金は、120℃以上の高温下に長時間さらされると、再結晶化や歪みの消失、合金系によっては過時効化が進むため、機械的強度が徐々に低下する。そのため、ボルトや自動車用部品などのアルミニウム合金部材には、機械的強度の低下を前提とした冗長性のある設計が必要であったり、使用温度を制限する必要があったりする。それ故、信頼性を確保するために肉厚を厚くすることにより重量が増加したり、使用範囲が制限されるなどの課題があった。
従って、高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に適したアルミニウム合金線材の開発が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に適したアルミニウム合金線材及びその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、高い強度を有し、耐熱性に優れるアルミニウム合金部材を提供することにある。
本発明のアルミニウム合金線材は、質量%で、SiとMgとをそれぞれ0.7%以上、CuとZnとをそれぞれ1.5%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物である組成を有し、550℃で溶体化処理した後、更に170℃×8時間の時効処理した後の引張強さが400MPa以上であり、前記時効処理した後、150℃×1000時間の耐熱試験した後の引張強さが370MPa以上である。
本発明のアルミニウム合金線材の製造方法は、以下の鋳造工程と、圧延工程と、伸線工程とを備える。
鋳造工程:質量%で、SiとMgとをそれぞれ0.7%以上、CuとZnとをそれぞれ1.5%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物である組成を有するアルミニウム合金を連続鋳造して、鋳造材を得る工程。
圧延工程:前記鋳造材を圧延加工して圧延材とする工程。
伸線工程:前記圧延材を伸線加工して所定の線径の伸線材とする工程。
そして、伸線工程では、加工度が30%以上90%以下となるまで連続した伸線加工を含む。
本発明のアルミニウム合金部材は、上記本発明のアルミニウム合金線材を加工して得られたものである。
本発明のアルミニウム合金線材は、高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に適する。本発明のアルミニウム合金線材の製造方法は、高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に適するアルミニウム合金線材を製造できる。本発明のアルミニウム合金部材は、高い強度を有し、耐熱性に優れる。
本発明者らは、アルミニウム合金線材の製造工程を最適化することで、耐熱性を向上させることを検討した。その結果、伸線工程で特定の伸線加工を行うことで、耐熱性を高められるとの知見を得た。以上の知見に基づいて、本発明者らは本発明を完成するに至った。
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)実施形態に係るアルミニウム合金線材は、質量%で、SiとMgとをそれぞれ0.7%以上、CuとZnとをそれぞれ1.5%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物である組成を有する。そして、550℃で溶体化処理した後、更に170℃×8時間の時効処理した後の引張強さが400MPa以上であり、時効処理した後、150℃×1000時間の耐熱試験した後の引張強さが370MPa以上である。
上記アルミニウム合金線材は、SiとMgとをそれぞれ0.7質量%以上含有し、6000系(Al−Si−Mg系)アルミニウム合金の基本組成を有することで、強度、耐熱性、耐食性、加工性を比較的高いレベルで兼ね備える。また、CuとZnとをそれぞれ1.5%質量以下含有することで、CuやZnを含有することによる耐食性や加工性の低下を抑制できる。上記アルミニウム合金線材は、代表的には、断面円形状の丸線である。
また、上記アルミニウム合金線材は、上記溶体化処理した後、上記時効処理した後の引張強さ(以下、「第1の引張強さ」と呼ぶ場合がある)が400MPa以上であり、高い強度を有する。更に、上記溶体化処理後に上記時効処理した後、上記耐熱試験した後の引張強さ(以下、「第2の引張強さ」と呼ぶ場合がある)が370MPa以上であることから、高温下においても引張強さを維持でき、耐熱性に優れる。従って、上記アルミニウム合金線材は、高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に適する。
(2)上記アルミニウム合金線材の一形態として、耐熱試験した後の引張強さが、時効処理した後の引張強さの85%以上であることが挙げられる。
上記形態によれば、第1の引張強さに対する第2の引張強さの維持率が高く、より耐熱性に優れる。
ところで、アルミニウム合金線材は所定の長さに切断された後、塑性加工により成形され、アルミニウム合金部材に加工される。例えば、ボルトの場合、所定の長さに切断したアルミニウム合金線材を鍛造加工にて長手方向に圧縮変形させ、ボルトヘッド部が形成される。ボルトの製造工程において、最も厳しい加工は、ボルトヘッド部の鍛造加工であり、圧縮率に換算すると凡そ70%に相当する。よって、アルミニウム合金線材には、大きく圧縮変形させても、割れたり、表面に皺が生じたりしない圧縮加工性に優れることが望まれる。
更に、本発明者らが研究を重ねた結果、所定の長さに切断したアルミニウム合金線材の丸線を長手方向に圧縮変形させると、製造過程での加工履歴(特に、圧延工程での圧延加工履歴)によって、圧縮方向から見た外形が円形から非円形(例、略三角形)に変形する場合があることが分かった。具体的には、長手方向に圧縮変形させたときに、線材の径方向に等方的に変形せず、変形が不均一になり、外形が円形から異形(非円形)に変形する場合がある。特に、元の長さの40%〜20%に圧縮変形させた場合に、このような現象が現れ易い。このように、長手方向に圧縮変形させたときに変形が不均一であると、アルミニウム合金部材に加工したときに異常な形状となるため、アルミニウム合金部材の歩留りが低下する虞がある。よって、アルミニウム合金線材において、圧縮加工性の指標の一つとして、圧縮変形させても、異形に変形し難いことが望まれる。
(3)上記アルミニウム合金線材の一形態として、長手方向に圧縮変形させたときの限界圧縮率が80%以上であることが挙げられる。
上記形態によれば、限界圧縮率が80%以上であり、長手方向に圧縮変形させても割れが生じ難い点で圧縮加工性に優れる。限界圧縮率が高いほど、大きな圧縮変形に対して割れが生じ難い。限界圧縮率の詳細な説明については、後述する。
(4)上記アルミニウム合金線材の一形態として、長手方向に、元の長さの40%、30%、20%にそれぞれ圧縮変形させたときの圧縮変形度がいずれも0.1以下であることが挙げられる。
上記形態によれば、圧縮変形度が0.1以下であり、長手方向に圧縮変形させても円形から異形に変形し難い点で圧縮加工性に優れる。圧縮変形度が小さいほど、圧縮変形後の外形が円形に近い。圧縮変形度の詳細な説明については、後述する。
(5)上記アルミニウム合金線材の一形態として、長手方向に、元の長さの15%まで圧縮変形させたときに、側面の算術平均粗さRaの最大値が0.5mm以下であることが挙げられる。
上記形態によれば、側面の算術平均粗さRaの最大値が0.5mm以下であり、長手方向に圧縮変形させても側面に皺が生じ難い点で圧縮加工性に優れる。算術平均粗さRaが小さいほど、表面が滑らかであり、表面性状に優れる。側面の算術平均粗さRaの詳細な説明については、後述する。
(6)上記アルミニウム合金線材の一形態として、横断面のX線回折における111面の配向度が0.5以上である組織を有することが挙げられる。
上記形態によれば、111面の配向度が0.5以上であることで、耐熱性及び加工性(特に、圧縮加工性)に優れる。本発明者らが研究を重ねた結果、アルミニウム合金線材において、横断面(線材の長手方向に直交する断面)の集合組織が111面に配向することで、耐熱性をより高められ、圧縮加工性にもより優れるとの知見を得た。この理由は、次のように考えられる。横断面において111面に配向している、即ち111面が線材の長手方向に直交する方向に配向していると、引張に対して長手方向にすべり変形が起き難い。特に、この111面の配向による強化は、時効析出や加工歪みによる強化と異なり、高温下でも減衰し難い。よって、高温下においても引張強さの低下を抑制でき、耐熱性が向上する。また、横断面において111面に配向していると、線材の径方向にすべり変形を生じ易く、径方向に変形し易い。つまり、長手方向に圧縮変形させたときに径方向に変形し易く、圧縮加工性が向上する。111面の配向度の詳細な説明については、後述する。
(7)上記アルミニウム合金線材の一形態として、平均結晶粒径が70μm以下である組織を有することが挙げられる。
上記形態によれば、平均結晶粒径が70μm以下であることで、結晶粒径のサイズが小さく、耐熱性及び加工性(特に、圧縮加工性)が向上する。組織中に粗大な結晶粒が存在すると、応力集中が起こり、それが起点となって引張強さを低下させたり、圧縮変形させたときに割れや皺が生じたりすることがある。微細な結晶組織であれば、粗大な結晶粒に起因する引張強さの低下を抑制したり、圧縮変形させたときに発生する割れや皺を低減したりできる。平均結晶粒径の詳細な説明については、後述する。
(8)上記アルミニウム合金線材の一形態として、結晶粒径のバラツキ度が0.5以下である組織を有することが挙げられる。
上記形態によれば、結晶粒径のバラツキ度が0.5以下であることで、結晶粒径のバラツキが小さく、耐熱性及び加工性(特に、圧縮加工性)が向上する。結晶粒径が均質であることで、応力が均一にかかることから、応力集中による引張強さの低下を抑制したり、圧縮変形させたときに発生する割れや皺を低減したりできる。特に、平均結晶粒径が70μm以下で、かつ、結晶粒径のバラツキ度が0.5以下の微細でかつ均質な結晶組織であると、耐熱性及び加工性の向上効果が大きい。結晶粒径のバラツキ度の詳細な説明については、後述する。
(9)上記アルミニウム合金線材の一形態として、質量%で、Si:0.9%以上1.3%以下、Mg:0.8%以上1.2%以下、Fe:0%以上0.4%以下、Cu:0.65%以上1.1%以下、Mn:0.55%以上1.15%以下、Cr:0%以上0.35%以下、Zn:0.12%以上0.25%以下、Ti:0%以上0.075%以下、Zr:0.05%以上0.17%以下を含む。そして、過剰Si量とFeの含有量との合計と、Mnの含有量との比率である[{(過剰Si量)+(Fe含有量)}/(Mn含有量)]が0.5以上1.8以下である。以下、この組成を「第1の組成」と呼ぶ場合がある。
上記組成は、基本組成がA6056であり、強度、耐熱性、耐食性、加工性をより高いレベルで兼ね備える。特に、過剰Si量とFeの合計含有量(質量%)と、Mnの含有量(質量%)との比率である[{(過剰Si量)+(Fe含有量)}/(Mn含有量)]が特定の範囲を満たすことで、加工性が向上する。この理由は、次のように考えられる。過剰Si量やFe濃度が高いと、Al−Fe−Si晶出物が生成され、これが分散することによって高強度化に有利であるが、Al−Fe−Si晶出物が粗大化し、加工性の低下を招く。しかし、適量のMnを含有することによって、Al−Fe−Si晶出物の形状が球形に近づき、加工性の低下を抑制できる。そして、本発明者らが、過剰Si量とFe含有量とMn含有量との比率について調査した結果、[{(過剰Si量)+(Fe含有量)}/(Mn含有量)]が0.5以上1.8以下を満たすことが好ましいとの知見を得た。
過剰Si量は、Siの含有量(質量%)及びMgの含有量(質量%)を用いて、[(Si含有量)−{(Mg含有量)/(24.3×2)}×28.1]…(式1)として求める。なお、上記「24.3」という数値はMgの原子量、上記「28.1」という数値はSiの原子量にそれぞれ基づく値である。
(10)上記アルミニウム合金線材の一形態として、上記組成における各元素の含有量が、質量%で、Si:0.9%以上1.2%以下、Mg:0.8%以上1.0%以下、Fe:0%以上0.25%以下、Cu:0.65%以上0.85%以下、Mn:0.55%以上0.65%以下、Cr:0%以上0.05%以下、Zn:0.15%以上0.25%以下、Ti:0%以上0.05%以下、Zr:0.11%以上0.17%以下であることが挙げられる。
上述の第1の組成に対して、上記各元素の含有量をより限定した上記形態は、強度、耐熱性、耐食性、加工性を更に高いレベルで兼ね備える。
(11)実施形態に係るアルミニウム合金線材の製造方法は、以下の鋳造工程と、圧延工程と、伸線工程とを備える。
鋳造工程:質量%で、SiとMgとをそれぞれ0.7%以上、CuとZnとをそれぞれ1.5%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物である組成を有するアルミニウム合金を連続鋳造して、鋳造材を得る工程。
圧延工程:前記鋳造材を圧延加工して圧延材とする工程。
伸線工程:前記圧延材を伸線加工して所定の線径の伸線材とする工程。
そして、伸線工程では、加工度が30%以上90%以下となるまで連続した伸線加工を含む。
上記アルミニウム合金線材の製造方法は、伸線工程で加工度が30%以上90%以下となるまで連続した伸線加工を少なくとも1セット行うことで、高い強度を有し、耐熱性に優れる上述したアルミニウム合金線材を製造することができる。従って、高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に適したアルミニウム合金線材を得ることができる。この理由は、次のように考えられる。加工度が30%以上90%以下となるまで連続した伸線加工を行うことで、線材の横断面の集合組織を111面に配向するように制御することができ、上述したように耐熱性を高められる。また、横断面の集合組織を111面に配向させることで、上述したように圧縮加工性にも優れる。特に、線材に加工歪みが蓄積された状態の方が、111面への配向が効率良く起こる。ここで、伸線加工の途中に、中間軟化処理などの熱処理を行うと、加工によって導入された歪みが開放されてしまうため、111面への配向が起こり難くなる。それ故、伸線加工は、連続して行うことが好ましい。具体的には、加工度が20%となるように連続した伸線加工した後、中間軟化処理して、そこから更に加工度が20%となるように連続した伸線加工を行ったとしても、111面への配向が不十分となる。一方、加工度が30%以上90%以下となるまで連続して伸線加工を行うと、111面の配向が強くなる。加工度の好ましい範囲は40%以上である。更に、その後に中間軟化処理などの熱処理を行っても、加工によって導入された111面の配向が維持される。この場合、例えば、加工度が30%となるように連続した伸線加工した後、中間軟化処理して、そこから更に加工度が10%となるように連続した伸線加工を行ってもよいし、逆に、10%の加工度で連続伸線した後、中間軟化処理してから30%の加工度で連続伸線してもよい。また、10%の加工度で連続伸線した後、中間軟化処理してから30%の加工度で連続伸線して、更に中間軟化処理と伸線加工とを繰り返してもよい。つまり、加工度が30%以上90%以下となる連続した伸線加工を伸線工程中のいずれかのタイミングで少なくとも1回行えばよい。
(12)上記アルミニウム合金線材の製造方法の一形態として、鋳造工程では、凝固速度を1℃/秒以上とすることが挙げられる。
上記形態によれば、鋳造工程の凝固速度を1℃/秒以上とすることで、晶出物の生成、粗大化を良好に抑制でき、後工程の伸線加工の際に割れや断線が生じ難い。そして、割れの起点になるような粗大な晶出物の生成を抑制でき、更にはこのような急冷によって結晶粒も微細化できることでから、強度や耐熱性だけでなく、加工性にも優れるアルミニウム合金線材を製造することができる。
(13)上記アルミニウム合金線材の製造方法の一形態として、伸線工程において、連続した伸線加工の後に、450℃未満で1時間以上100時間以下の中間軟化処理を行うことが挙げられる。
上記形態によれば、中間軟化処理を行うことで、中間軟化処理前の伸線加工によって導入された歪みを除去して軟化させることにより、その後の伸線加工が行い易くなる。
(14)上記アルミニウム合金線材の製造方法の一形態として、圧延工程後、伸線工程前に、450℃未満で1時間以上100時間以下の軟化処理を行うことが挙げられる。
上記形態によれば、圧延工程後、伸線工程前に軟化処理を行うことで、圧延加工によって、導入された歪みを除去して軟化させることにより、その後の伸線加工が行い易くなる。特に、圧延加工では不均一な歪みが導入され易いので、軟化処理により歪みを開放することで、加工性を高めることができる。
(15)実施形態に係るアルミニウム合金部材は、上述の(1)〜(10)のいずれか1つに記載された実施形態のアルミニウム合金線材を加工して得られたものである。
上記アルミニウム合金部材は、高い強度を有し、耐熱性に優れることから、軽量で、高い強度と耐熱性が要求される部材として好適である。アルミニウム合金部材としては、例えば、ボルトやリベットなどの締結部材の他、スプールバルブなどの自動車用部品が挙げられる。
(16)上記アルミニウム合金部材の一形態として、ボルトであることが挙げられる。
(17)上記アルミニウム合金部材の一形態として、自動車用部品であることが挙げられる。
[本発明の実施形態の詳細]
実施形態に係るアルミニウム合金線材及びその製造方法、並びにアルミニウム合金部材の具体例を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[アルミニウム合金線材]
<組成>
アルミニウム合金線材の組成は、質量%で、SiとMgとをそれぞれ0.7%以上、CuとZnとをそれぞれ1.5%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物であり、6000系(Al−Si−Mg系)のアルミニウム合金の組成を基本とする。組成の一例としては、A6056相当の組成が挙げられる。以下、添加元素ごとに含有量及び効果について説明する。
・Si:0.9%以上1.3%以下
Siは、溶体化処理によってMgと共にAlに固溶し、時効処理(人工時効)によって微細なMgSiとして析出し、アルミニウム合金を強化する。また、Mgとの反応後に残ったSi(過剰Si)は、Alに固溶したり、析出したり、デンドライト状に晶出したりすることによってアルミニウム合金を強化する。一方で、過剰Siが過多になると、粒界への偏析が過度なものとなり、脆化する。Siを0.9%以上含有することで、上述の強化効果を適切に発現させることができ、所定の強度を有するアルミニウム合金線材、更には高い強度を有するアルミニウム合金部材を得ることができる。Siを1.3%以下の範囲で含有することで、粒界脆化を抑制でき、高強度化や加工性の向上を図ることができる。例えば、鋳造材から線材への加工過程や、線材からアルミニウム合金部材(例えば、ボルト)への成形過程において種々の塑性加工を行うときの加工性が阻害され難い。かつ、Siを1.3%以下の範囲で含有することで、塑性加工時に割れの起点となる粗大な晶出物や析出物の形成を抑制することができる。この結果、アルミニウム合金線材の高強度化だけでなく、耐熱性及び加工性の向上にも寄与する。より好ましいSi含有量は、0.9%以上1.2%以下である。
・Mg:0.8%以上1.2%以下
Mgは、アルミニウム合金を固溶強化すると共に、時効処理を行うことで、Siと共に強度向上に寄与する時効析出物を形成して、析出硬化によって強度を向上させる。Mgを0.8%以上含有することで、固溶強化や析出硬化による強度向上効果を十分に得られて、所定の強度を有するアルミニウム合金線材、更には高い強度や耐熱性を有するアルミニウム合金部材を得ることができる。但し、Mgを過度に含有すると、上述の過剰Siによる強化効果を得難くなって、強度や耐熱性といった機械的特性が低下したりする他、鋳造時に成分がマクロな偏析を起こし易くなったり、応力腐食割れに対する耐性が低下したり、加工性が低下したりするため、Mgの含有量は1.2%以下が好ましい。より好ましいMgの含有量は、0.8%以上1.0%以下である。
・Fe:0%以上0.4%以下
Feを含有しない場合(0%の場合)は、添加元素の合計含有量が少なく、添加元素の高濃度化による加工性の低下を抑制でき、加工性に優れる。この場合、鋳造時の溶解原料の種類が少ないため、溶湯の調整に必要な時間を短縮でき、生産性に優れる。更に、この場合、固相線温度が低くなるため、鋳込み温度を低くすることができ、鋳込み温度への昇温時間を短縮できることからも、生産性に優れる。Feを含有する場合(0%超の場合)は、Feがマトリクスに固溶してアルミニウム合金を強化する。Feの固溶量が多いほど、アルミニウム合金が硬くなり、その結果、強度や耐熱性といった機械的特性が向上する傾向がある。Feの固溶によってSiの粒界偏析を抑制し、粒界脆化を抑制する。また、製造過程で連続鋳造による急冷を利用することで、十分な量のFeを固溶させられて、上述の固溶強化や偏析抑制の効果を適切に得られ、結果としてMgSiなどの析出物の析出硬化による強度向上効果を得易い。従って、Feを含有する場合は、0.1%以上含有することが好ましい。但し、Feを過度に含有すると、加工性が低下するため、Feの含有量は0.4%以下が好ましい。Feを0.4%以下の範囲で含有することで、Fe系の晶出物(Al−Fe−SiなどのAl−Fe化合物)を過度に生成して合金の塑性加工性が低下することを抑制できる。そのため、圧延加工や伸線加工が施されるアルミニウム合金線材や、鍛造加工などが施されるボルトなどのアルミニウム合金部材といった塑性加工材を生産性よく製造できる。また、所定の強度を有するアルミニウム合金線材、更には高い強度や耐熱性を有するアルミニウム合金部材を得ることができる。その他、Feを含有すると共に、Tiを含む結晶微細化効果がある元素を含有する場合には、アルカリ土類金属元素(例えばMgや後述するSr)の存在下で、鋳造時に、上記元素による結晶の微細化を促進することもでき、微細な結晶組織が得られる。微細な結晶組織を有する鋳造材は、鋳造以降の加工性を高められる。また、微細組織による強度の向上をある程度期待できる。より好ましいFeの含有量は、0.25%以下である。
・Cu:0.65%以上1.1%以下
Cuは、Al−Cu化合物としてマトリクス中に析出し、SiやMgなどと共に強度向上に寄与する。Cuを0.65%以上含有することで、強度向上効果を得易い。但し、Cuを過度に含有すると、加工性が低下するため、Cuの含有量は1.1%以下が好ましい。より好ましいCuの含有量は、0.65%以上0.85%以下である。
・Mn:0.55%以上1.15%以下
Mnは、一部がマトリクスに固溶し、アルミニウム合金を固溶強化する。また、Mnは、Al−Mn系の分散粒子を形成して、合金組織を構成する結晶粒の粗大化を抑制する。特に、上記分散粒子によって、溶体化処理や時効処理といった熱処理時の結晶粒の粗大化を抑制して、結晶組織の微細化に寄与する他、耐熱性の向上にも効果がある。合金組織の微細化によって、強度の向上、加工性の向上、耐食性の向上などの効果が期待できる。Mnを0.55%以上含有することで、上記効果を得易い。また、通常は針状に晶出するAl−Fe化合物が、Mnの存在下では球状に晶出する。晶出物は球状である方が加工性への悪影響が少ないことから、Mnを適量含有することによって、加工性の低下を抑制できる。但し、Mnの含有量が多過ぎると割れの起点となり得る粗大な晶出物や析出物を形成して、このことに起因して加工性の低下を招く。また、Mnが多くなると、溶湯の固相線温度が上昇するため、鋳込み温度を上げる必要が生じて、生産性の低下を招く。従って、Mnの含有量は1.15%以下が好ましい。より好ましいMnの含有量は、0.55%以上0.65%以下である。
・Cr:0%以上0.35%以下
Crを含有しない場合(0%の場合)は、添加元素の合計含有量が少なく、上述のように加工性に優れる。この場合、Feと同様に、溶湯の調整時間の短縮や鋳込み温度の低下によって、生産性に優れる。一方、Crを含有する場合(0%超の場合)は、上述のMnと同様に分散粒子を形成して、結晶の微細化に寄与して、強度を向上できる。また、Crは、耐熱性や耐食性を向上させる効果もある。従って、Crを含有する場合は、0.02%以上含有することが好ましく、これにより高い強度や耐熱性を有するアルミニウム合金線材、更には強度や耐熱性に優れるアルミニウム合金部材を得易い。しかし、Crの含有量が多過ぎると割れの起点となり得る粗大な晶出物や析出物を形成して、加工性の低下を招く。また、Crが多くなると、Mnと同様に鋳込み温度の上昇に起因して、生産性の低下を招く。従って、Crを含有する場合、Crの含有量は0.35%以下が好ましく、0.05%以下がより好ましい。
・Zn:0.12%以上0.25%以下
Znは、Al−Zn化合物として析出し、析出硬化による強化効果が得られる。Znを0.12%以上含有することで、強化効果を得易い。但し、Znを過度に含有すると、耐食性や耐熱性の低下を招くため、Znの含有量は0.25%以下が好ましい。より好ましいZnの含有量は、0.15%以上0.25%以下である。
・Ti:0%以上0.075%以下
Tiを含有しない場合(0%の場合)は、添加元素の合計含有量が少なく、上述のように加工性に優れる。この場合、Feと同様に、溶湯の調整時間の短縮や鋳込み温度の低下によって、生産性に優れる。一方、Tiを含有する場合(0%超の場合)は、鋳造材の結晶組織を微細にしたり、鋳造材中の柱状晶の割合を抑えて等軸晶の割合を増加させたりする効果が得られる。その結果、Tiを含有すると、鋳造材の結晶組織の微細化によって、鋳造以降の塑性加工、例えば、圧延加工や伸線加工、鍛造加工などを行うときの加工性を向上できる。また、結晶組織が微細になることで、塑性加工時に疵や皺が生じ難く、疵や皺が少なく表面性状に優れる塑性加工材を得ることができる。更に、結晶組織が微細であることで、強度や耐熱性の向上も期待できる。Tiの含有量が多いほど、上述の微細化効果がある。従って、Tiを含有する場合は、0.001%以上、更には0.01%以上含有することが好ましく、これにより上述の微細化効果、及びこの効果に起因する効果が適切に得られ易い。しかし、Tiの含有量が多過ぎると、添加元素の増大に起因する加工性の低下や生産性の低下を招く恐れがあるため、Tiの含有量は0.075%以下が好ましい。より好ましいTiの含有量は、0.05%以上である。なお、Tiの添加には、Ti単体はもちろん、TiBといった化合物やAl−Ti−Bといった合金を利用することができる。BもTiと同様に結晶組織を微細にして、強度の向上に効果がある。従って、アルミニウム合金には、質量割合で50ppm以下程度のBの含有を許容する。
・Zr:0.05%以上0.17%以下
Zrを含有すると、耐熱性を向上することができる。また、Zrを含有すると、Mnと同様に、Zrを含有する分散粒子を形成して、上述の熱処理時の結晶粒の粗大化を抑制して結晶組織の微細化に寄与する。その結果、微細な結晶組織に伴う強度の向上効果や加工性の向上効果が期待できる。Zrを0.05%以上含有することで、耐熱性の向上効果、上述の微細化に起因する強度や加工性の向上効果を適切に得られる。Zrを0.17%以下の範囲で含有すると、粗大な晶出物や析出物の生成に起因する加工性の低下を抑制できる。また、Zrが多くなると、FeやCrと同様に鋳込み温度の上昇に起因して、生産性の低下を招く。より好ましいZrの含有量は、0.11%以上0.17%以下である。
・その他の元素
その他の添加元素としては、Srが挙げられる。Srは、鋳造材の結晶組織を微細化する効果がある。特に、Siの存在下でSrを含有すると、Siの晶出物サイズを小さくすることができ、圧延加工や伸線加工などの塑性加工性を改善することができる。Srを含有する場合、Srの含有量は、0.005%以上0.05%以下が好ましく、0.005%以上0.03%以下がより好ましい。
・[{(過剰Si量)+(Fe含有量)}/(Mn含有量)]:0.5以上1.8以下
上述のように、Siの一部は、溶体化処理によってMgと共にAlに固溶し、人工時効によって微細なMgSiとして析出し、かつSiの残部(上述の過剰Si)は、固溶、析出、晶出することによってアルミニウム合金を強化する。ここで、Feを含有する場合、過剰SiはFeと化合してAl−Fe−Si晶出物を生成することによって、高強度化に寄与するが、過剰Si量やFe濃度が高いと、Al−Fe−Si晶出物が粗大化し、加工性の低下を招く。これに対し、Mnを適量含有することで、Al−Fe−Si晶出物の形状が球形に近づき、加工性の低下を抑制できる。そこで、[{(過剰Si量)+(Fe含有量)}/(Mn含有量)]を規定する。これが0.5以上1.8以下であると、{(過剰Si量)+(Fe含有量)に対してMnが十分に存在することで、Al−Fe−Siが球状に晶出して、加工性への悪影響を緩和できる。より好ましくは、[{(過剰Si量)+(Fe含有量)}/(Mn含有量)]が0.8以上1.2以下である。過剰Si量は、上述の(式1)から求める。
<形状・線径>
アルミニウム合金線材の形状は、特に限定されるものではないが、代表的には、丸線や平角線である。また、アルミニウム合金線材の線径(丸線では直径、平角線では厚さ及び幅)は、用途などに応じて選択すればよく、例えば3mm以上15mm以下程度が挙げられる。
<引張強さ(強度・耐熱性)>
アルミニウム合金線材は、高い強度を有し、耐熱性に優れる。具体的には、550℃で溶体化処理した後、更に170℃×8時間の時効処理した後の引張強さ(第1の引張強さ)が400MPa以上である。かつ、上記溶体化処理後に上記時効処理した後、150℃×1000時間の耐熱試験した後の引張強さ(第2の引張強さ)が370MPa以上である。溶体化処理の時間は、15分以上120分以下とすることが挙げられる。組成、製造条件、溶体化処理及び時効処理の条件によっては、より高い強度や耐熱性を達成できる場合がある。例えば、溶体化処理は550℃以上580℃以下×15分以上120分以下、時効処理は160℃以上180℃以下×4時間以上とすることが挙げられる。第1の引張強さは410MPa以上が好ましく、より好ましくは415MPa以上、更に好ましくは422MPa以上、特に好ましくは425MPa以上である。一方、第2の引張強さは375MPa以上が好ましく、より好ましくは380MPa以上、更に好ましくは386MPa以上、特に好ましくは390MPa以上である。また、高温下においても引張強さを維持する点から、第2の引張強さが第1の引張強さの85%以上、88%以上、更に90%以上、特に92%以上であることが好ましい。
アルミニウム合金線材の引張強さは、JIS Z 2241(2011)に準拠して測定用の試験片を作製し、この試験片に上記溶体化処理、時効処理、耐熱試験を適宜施して、この試験片を用いて引張試験により測定することができる。
<圧縮加工性>
アルミニウム合金線材は、アルミニウム合金部材の素材に利用され、アルミニウム合金部材に加工されることから、加工性に優れることが望まれ、中でも、ボルトのように、長手方向に圧縮変形させる加工が施される場合は、圧縮加工性に優れることが望まれる。圧縮加工性の指標としては、限界圧縮率、圧縮変形度、圧縮変形後の側面の表面粗さなどが挙げられる。
(限界圧縮率)
長手方向に圧縮変形させたときの限界圧縮率が80%以上であることが好ましい。上述のように、限界圧縮率は、長手方向に圧縮変形させたときの割れの生じ難さを表す。限界圧縮率(%)は、次のようにして測定する。アルミニウム合金線材から切り出した試験片を割れが生じるまで長手方向に圧縮変形させ、圧縮変形前の元の高さをh、割れが生じたときの高さをhとするとき、[(h1−h2)/h1×100]を限界圧縮率(%)とする。試験片は、直径と長さの比(アスペクト比)が1:2となるように作製する。また、割れは、試験片の側面を目視又は光学顕微鏡で観察し、0.05mm以上のものをいう。限界圧縮率が80%以上であれば、良好な圧縮加工性を有するといえ、ボルトヘッド部の鍛造加工に対しても十分なマージンを有すると考えられる。より好ましい限界圧縮率は85%以上、更には85%超である。
(圧縮変形度)
長手方向に、元の長さの40%、30%、20%にそれぞれ圧縮変形させたときの圧縮変形度がいずれも0.1以下であることが好ましい。上述のように、圧縮変形度は、長手方向に圧縮変形させたときに圧縮方向から見た外形の変形し難さを表す。圧縮変形度は、次のようにして測定する。アルミニウム合金線材(丸線)から切り出した試験片を長手方向に元の長さの40%、30%、20%にそれぞれ圧縮変形させる。そして、圧縮変形後の各試験片において、圧縮方向から投影した投影像の外形の内接円と外接円を取得し、これら2円の半径の差を、2円の半径の平均値で除した値を圧縮変形度とする。即ち、内接円の半径をri、外接円の半径をroとするとき、[(ro−ri)/{(ro+ri)/2}]を圧縮変形度とする。試験片は、直径と長さの比(アスペクト比)が1:2となるように作製する。元の長さの40%、30%、20%に圧縮変形させたときのいずれの場合であっても圧縮変形度が0.1以下であれば、長手方向に圧縮変形させても外形が円形から異形(非円形)に変形し難く、良好な圧縮加工性を有するといえる。より好ましい圧縮変形度は0.05以下である。
(側面の表面粗さ)
長手方向に、元の長さの15%まで圧縮変形させたときに、側面の算術平均粗さRaの最大値が0.5mm以下であることが好ましい。上述のように、側面の算術平均粗さRaは、長手方向に圧縮変形させたときの皺の生じ難さを表す。側面の算術平均粗さRaは、アルミニウム合金線材から切り出した試験片を長手方向に元の長さの15%まで圧縮変形させ、圧縮変形後の試験片において、側面の周方向に等間隔に20点とり、各点を通る長手方向に平行な直線上の算術平均粗さRaを測定することで求める。試験片は、直径と長さの比(アスペクト比)が1:2となるように作製する。側面の算術平均粗さRaの最大値が0.5mm以下であれば、表面が滑らかであり、不良品となるような皺が生じていないため、良好な圧縮加工性を有するといえる。より好ましくは、算術平均粗さRaの最大値が0.2mm以下である。
<組織>
本発明者らが、上述の耐熱性及び加工性(圧縮加工性)に優れるアルミニウム合金線材の組織について調査した結果、以下の結晶配向や結晶粒径を満たすことが分かった。
(111面の配向度)
横断面(線材の長手方向に直交する断面)のX線回折における111面の配向度が0.5以上であることが挙げられる。上述のように、横断面の集合組織が111面に配向することで、引張に対して長手方向にすべり変形が起き難く、この111面の配向による強化は、時効析出や加工歪みによる強化と異なり、高温下でも減衰し難い。よって、高温下においても引張強さの低下を抑制でき、耐熱性が向上する。また、横断面において111面に配向していると、線材の径方向にすべり変形を生じ易く、径方向に変形し易い。つまり、長手方向に圧縮変形させたときに径方向に変形し易く、圧縮加工性が向上する。そして、111面の配向度が0.5以上であると、高い強度と耐熱性を有し、圧縮加工性にも優れる。特に、長手方向に圧縮変形させたときに円形に変形し易く、上述の圧縮変形度を満たす。より好ましい111面の配向度は0.6以上、更には0.7以上である。
111面の配向度は、鏡面仕上げした横断面のX線回折(XRD)における111面、200面、220面、及び311面のそれぞれの面の各ピーク強度をそれぞれ測定し、各面のピーク強度をICDDカードに記載の値で除した後、111面のピーク強度を各面のピーク強度の総和が1となるように規格化した値である。具体的には、111面、200面、220面、及び311面のそれぞれの面の各ピーク強度をそれぞれ、I(111)、I(200)、I(220)、I(311)とするとき、[{I(111)/100}/{I(111)/100+I(200)/47}+I(220)/22+I(311)/24]として求める。ピーク強度の測定は、鏡面仕上げした横断面に対して行う。
なお、ICDDカードとは、International Center for Diffraction Data(ICDD)が提供しているX線回折データベースのことである。なお、結晶粒径のサイズが大きく、通常のXRD測定ではピークが割れて配向度を評価し難いときは、2D(Two Dimensional)−XRDを用いて、各X線回折のピーク強度を積算して評価してもよい。
(平均結晶粒径)
平均結晶粒径が70μm以下であることが挙げられる。上述のように、結晶粒径のサイズが小さいことで、粗大な結晶粒が少なく、高い強度と耐熱性を有し、圧縮加工性にも優れる。特に、長手方向に圧縮変形させたときに割れや皺が生じ難く、上述の限界圧縮率や表面粗さを満たす。より好ましい平均結晶粒径は50μm以下、更には40μm以下、より更には30μm以下、特には25μm以下、より特には20μm以下である。平均結晶粒径は、次のようにして測定する。横断面の外周上に等間隔に20個の点P(n=1〜20)をとり、中心Oと点Pを結ぶ線分OPを内分する点Q(n=1〜20)をとる。点Qは、OQ:Qが3:1となるようにする。そして、この点Qを中心に線分OPの長さの1/8の領域を設定し、全領域における結晶粒径を測定し、その平均値を平均結晶粒径とする。
なお、結晶粒径は、電子後方散乱回折(EBSD)を用いて解析し、結合角が5°以上の結晶粒界で囲まれた領域を結晶粒とみなす。
(結晶粒径のバラツキ度)
結晶粒径のバラツキ度が0.5以下であることが挙げられる。上述のように、結晶粒径のバラツキが小さく、結晶粒径が均質であることで、高い強度と耐熱性を有し、圧縮加工性にも優れる。特に、長手方向に圧縮変形させたときに割れや皺が生じ難く、上述の限界圧縮率や表面粗さを満たす。より好ましい結晶粒径のバラツキ度は0.4以下、更には0.3以下である。結晶粒径のバラツキ度は、次のようにして測定する。横断面の外周上に等間隔に20個の点P(n=1〜20)をとり、Pから横断面の中心Oに向かって0.5mmの深さの点R(n=1〜20)をとる。そして、この点Rを中心に線分OPの長さの1/8の領域を設定し、全領域における結晶粒径を測定して結晶粒径の標準偏差及び平均結晶粒径を求め、[(結晶粒径の標準偏差)/(平均結晶粒径)]を結晶粒径のバラツキ度とする。
なお、結晶粒径は、電子後方散乱回折(EBSD)を用いて解析し、結合角が5°以上の結晶粒界で囲まれた領域を結晶粒とみなす。
[アルミニウム合金線材の製造方法]
アルミニウム合金線材の製造方法は、代表的には、鋳造工程、圧延工程及び伸線工程を備え、伸線工程において特定の伸線加工を行う。各工程の詳細は次の通りである。
<鋳造工程>
鋳造工程は、上述の組成のアルミニウム合金を連続鋳造して、鋳造材を得る工程である。連続鋳造は、急冷凝固が可能であることから、晶出物の生成を抑制して、粗大な晶出物が生じることを低減できる。従って、粗大な晶出物に起因する加工性の低下を抑制できる。また、急冷凝固によって結晶粒の粗大化も抑制でき、微細な結晶組織の鋳造材としたり、単位断面積あたりの等軸晶の割合が高い鋳造材としたりすることができる。この点からも、鋳造以降に行う塑性加工時の加工性の低下を抑制でき、良好な加工性を有するアルミニウム合金線材を製造できる。更に、粗大な晶出物を低減することで、溶体化処理によって添加元素を十分に固溶でき、その後の時効処理によって所望の析出物を良好に、かつ均一的に形成できる。その結果、析出硬化による強度向上効果を良好に得られ、高い強度や耐熱性を有するアルミニウム合金線材、更には強度や耐熱性に優れるアルミニウム合金部材を製造することができる。連続鋳造には、ベルトアンドホイール方式、プロペルチ方式などの公知の移動鋳型式の連続鋳造法を利用できる。
急冷凝固に関する具体的な制御条件として、例えば、鋳造工程の凝固速度を1℃/秒以上とすることが挙げられる。凝固速度を速くするほど、晶出物の生成を抑制し、粗大な晶出物をより効果的に低減できる。凝固速度は、2℃/秒以上、更に5℃/秒以上、8℃/秒以上、10℃/秒以上とすることができる。冷却過程にある溶湯の任意の位置において凝固速度が1℃/秒以上であること、つまり溶湯全体が均一的に冷却されることがより好ましい。こうすることで、凝固状態の不均一に伴う成分の不均一を抑制し易く、均質化処理を不要にしても、鋳造以降に圧延などの塑性加工を良好に行える。また、凝固速度がこのように速いために(高速であるために)、Feを過飽和に固溶させることができる。このような凝固速度は、例えば、水冷銅鋳型や強制水冷機構などを有する連続鋳造機を用いることで実現できる。例えば、鋳型温度を低くすると、凝固速度を速くできる。その他、凝固速度の調整パラメータは、鋳造材の大きさ(横断面積)、溶湯の温度、鋳造速度、冷却水量、鋳型(溝付きホイール、ベルト、ダムブロックなど)の材質・表面粗さなどが挙げられる。
凝固速度は、[(鋳込み温度−アルミニウム合金の液相線温度)/(鋳込みから凝固に要した時間)]とする。鋳込みから凝固に要した時間は、例えば、連続鋳造機に備える鋳型(例えば、ベルト)の内壁に熱電対を取り付け、鋳込み温度から液相線温度までの温度変化を実測することで測定することができる。なお、液相線温度は、アルミニウム合金の組成から予め求めることができる。
連続鋳造で急冷凝固を行うことで、微細な結晶組織を有する鋳造材が得られる。この鋳造材を素材に用いることで、鋳造以降に、圧延加工や伸線加工を施したときに割れや疵、皺の発生を低減でき、表面性状に優れる圧延材や伸線材が得られ、最終的に表面性状に優れるアルミニウム合金線材が得られる。更に、アルミニウム合金線材を鍛造加工するときにも割れや疵、皺の発生を低減でき、表面性状に優れるアルミニウム合金部材が得られる。従って、連続鋳造することで、表面性状に優れる長尺な鋳造材を量産でき、ひいては表面性状にも優れるアルミニウム合金線材などの量産や、アルミニウム合金部材の歩留り向上に寄与できる。
<圧延工程>
圧延工程は、上記鋳造材を圧延加工して圧延材とする工程である。この圧延加工は、熱間又は温間で行うことが好ましい。また、圧延は鋳造に連続して行うことが好ましい。鋳造と圧延を連続して行う連続鋳造圧延の場合、鋳造材に蓄積される熱を利用して熱間圧延などを容易に行えて、エネルギー効率がよく、鋳造圧延材を量産できる。例えば、ベルトアンドホイール方式の鋳造機とこの鋳造機に連なる圧延機とを用いて行う。このような装置として、例えば、プロペルチ式連続鋳造圧延機を用いることができる。
圧延工程では、上記鋳造工程で生成され得る晶出物を分断するように圧延条件を調整することが好ましい。例えば、圧延時のZ因子を1.0×1010以上1.0×1019以下とすることが挙げられる。圧延時のZ因子(Z)は、ε(歪み速度、/sec)と、Q(アルミニウムの活性エネルギー、J/mol)、R(気体定数、J/(K×mol))、T(絶対温度、K)とするとき、Z=ε×exp(Q/RT)で表わされる。Z因子を1.0×1010以上とすることで、粗大な晶出物(例えば、10μm〜50μm程度)が生成されている場合でも、分断して微細化することができる。その結果、粗大な晶出物に起因する加工性の低下を抑制できる。従って、アルミニウム合金線材を良好に製造できる。また、粗大な晶出物を低減することで、引張強さの向上に寄与する。より好ましいZ因子の範囲は、1.0×1012以上1.0×1017以下である。Z因子は、工業的には、圧延時の線速と、圧延温度(上記T)とによって調整することができる。圧延対象の大きさ(断面積)、組成などにもよるが、例えば、線速は、5cm/秒以上50cm/秒以下、圧延温度は、300℃以上550℃以下が挙げられる。
<伸線工程>
伸線工程は、上記圧延材を伸線加工して伸線材とする工程である。伸線加工は、所定の線径になるまで行う。この伸線は代表的には冷間で行う。伸線加工前の圧延材の表面状態に応じて、皮剥加工を行うことができる。伸線加工には、伸線ダイスを用いることができる。
伸線工程では、加工度が30%以上90%以下となるまで連続した伸線加工を含む。伸線工程で加工度が30%以上90%以下となるまで連続した伸線加工を少なくとも1セット行うことで、横断面の集合組織を111面に配向するように制御することができ、高い強度を有し、耐熱性に優れる上述のアルミニウム合金線材を製造することができる。連続した伸線加工とは、伸線加工の途中に例えば300℃以上の熱処理を行わないことを意味し、連続した伸線加工には、1回の伸線加工も含まれる。連続した伸線加工の加工度は、複数回連続して伸線加工を行う場合は総加工度のことである。加工度が30%未満の状態で上述の熱処理を行うと、加工によって導入された歪みが開放されるため、111面に配向し難く、111面の配向が不十分となる。一方、加工度が30%以上となるまで連続して伸線加工を行うと、111面の配向が強くなると共に、その後に後述する中間軟化処理などの熱処理を行っても、加工によって導入された111面の配向が維持される。加工度は、断面減少率(%)で表した値であり、伸線加工前の断面積をA、伸線加工後の断面積をAとするとき、[(A−A)/A×100]として求める。連続した伸線加工の加工度は、40%以上、60%超、更に65%以上、70%以上、75%以上とすることができる。連続した伸線加工の加工度を高くするほど、111面の配向度が強くなる傾向がある。また、連続した伸線加工の加工度を高くするほど、結晶組織を微細化・均質化できる。
<その他>
製造工程中、以下の熱処理(軟化処理)を適宜実施することができる。
(WR軟化処理)
上記圧延工程後、上記伸線工程前に、圧延材(ワイヤロッド)に対して軟化処理を行うことができる。WR軟化処理を行うことで、圧延工程で導入された不均一な歪みを除去して、伸線工程で均一的な組織を得易い。WR軟化処理は、450℃未満で1時間以上100時間以下とすることが挙げられる。WR軟化処理の温度は300℃以上が好ましく、より好ましくは350℃以上420℃未満、更に好ましくは400℃以下である。また、WR軟化処理の雰囲気は、例えば、非酸化性雰囲気(減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気など)とすることが挙げられる。
(中間軟化処理)
上記伸線加工の途中(具体的には、上述した連続した伸線加工の後)に、中間軟化処理を行うことができる。中間軟化処理を行うことで、結晶組織の微細化、伸線加工性の向上などを図ることができる。中間軟化処理は、450℃未満で1時間以上100時間以下とすることが挙げられる。中間軟化処理の温度は300℃以上が好ましく、より好ましくは350℃以上420℃未満、更に好ましくは400℃以下である。中間軟化処理の雰囲気は、例えば、非酸化性雰囲気(減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気など)とすることが挙げられる。
また、中間軟化処理の後に伸線加工を行うことで、線材の伸直性を上げると共に、加工硬化によって線材の強度を高めることができる。中間軟化処理後の伸線加工の加工度は、例えば20%未満とすることが挙げられる。中間軟化処理後の伸線加工の加工度が20%未満であれば、最終的に線材に蓄積されている歪みが少なくなるため、線材の加工性を確保し易い。この場合の加工度は、中間軟化処理後の線材の線径(断面積)を基準に求める。
(最終軟化処理)
最終伸線加工後に軟化処理を行うことができる。最終軟化処理を行うことで、加工によって導入された歪みを除去して軟化させることにより、アルミニウム合金線材をアルミニウム合金部材に加工する際に加工し易くなる。最終軟化処理は、例えば450℃未満で1時間以上とすることが挙げられる。最終軟化処理の温度は300℃以上が好ましく、より好ましくは350℃以上である。最終軟化処理の雰囲気は、例えば、非酸化性雰囲気(減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気など)とすることが挙げられる。
(溶体化処理・時効処理)
更に、伸線工程後の最終工程において、伸線材に対して、溶体化処理や、溶体化処理後に時効処理を行うこともできる。例えば、溶体化処理は550℃以上580℃以下×15分以上120分以下、時効処理は160℃以上180℃以下×4時間以上8時間以下とすることが挙げられる。この溶体化処理や時効処理は、アルミニウム合金部材の製造過程で行ってもよい。
[アルミニウム合金部材]
アルミニウム合金部材は、高い強度と耐熱性を有する上述のアルミニウム合金線材を素材に利用し、これを加工して得られたものである。そのため、高い強度を有し、耐熱性に優れることから、軽量で、高い強度と耐熱性が要求される部材として好適である。例えば、溶体化、時効処理されたアルミニウム合金部材は、400MPa以上の引張強さを有し、150℃×1000時間の耐熱試験の引張強さが370MPa以上を満足する。アルミニウム合金部材としては、例えば、ボルトやリベットなどの締結部材の他、スプールバルブなどの自動車用部品が挙げられる。
ボルトの製造工程の一例を説明する。まず、アルミニウム合金線材を所定の長さに切断した後、ボルトヘッド部を鍛造加工によって成形する。そして、溶体化処理、時効処理した後、転造加工によってねじ溝部を形成する。また、ボルトの機械的特性は、JIS B 1051(2000)に準拠して、ボルトを試験片とする引張試験により測定することができる。
[試験例1]
表1に示す種々の組成のアルミニウム合金線材を製造し、その評価を行った。この試験では、鋳造→圧延→伸線の工程によって、アルミニウム合金線材を製造する。表1には添加元素及びその含有量(質量%)のみを示し、残部はAl及び不可避的不純物である。また、表1に示す「(過剰Si+Fe)/Mn」は、上述した[{(過剰Si量)+(Fe含有量)}/(Mn含有量)]のことであり、過剰Si量は、上述の(式1)から求める。
Figure 2015124409
<アルミニウム合金線材の製造>
ベースとなる純アルミニウムを溶解し(ここでは700℃以上750℃以下)、その溶湯に添加元素が表1に示す所定の濃度となるように投入して、十分に保持する(ここでは10時間以上)。成分調整したアルミニウム合金の溶湯は、適宜、水素ガス除去処理や、異物除去処理を行う。作製したアルミニウム合金の溶湯を用いて、ベルトアンドホイール方式の連続鋳造機を備えるプロペルチ式連続鋳造圧延機によって、鋳造と熱間圧延とを連続して行い、ワイヤロッド(ここでは直径φ12mmの連続鋳造圧延材)を作製する。鋳造時における凝固速度は5℃/秒である。ここでは、水冷銅鋳型を用いて、冷却過程にある溶湯の任意の位置において凝固速度が5℃/秒になるように鋳造する。また、圧延工程のZ因子が1.9×1016となるように線速と圧延温度とを調整して圧延する。続いて、上記ワイヤロッドに伸線加工を冷間で行って、伸線材(丸線)を作製する。ここでは、伸線加工前に還元ガス雰囲気下で400℃×10時間のWR軟化処理を行うと共に、伸線加工の途中に還元ガス雰囲気下で400℃×10時間の中間軟化処理を行った。また、伸線加工の開始から中間軟化処理までの連続した伸線加工を一次伸線、中間軟化処理の後、最終の伸線加工までの連続した伸線加工を二次伸線とし、一次伸線の加工度を30%、二次伸線の加工度を15%とした。以上により、試料No.1−1〜1−6のアルミニウム合金線材を得た。なお、得られたアルミニウム合金線材の組成は、表1の組成と同様である。アルミニウム合金線材の組成分析には、公知の手法が利用でき、例えばエネルギー分散型X線分析装置などが利用できる。
<アルミニウム合金線材の評価>
得られたアルミニウム合金線材について、組織、引張強さ、圧縮加工性を評価した。
(組織)
組織は、111面の配向度、平均結晶粒径、結晶粒径のバラツキ度を測定することで評価した。111面の配向度、平均結晶粒径、結晶粒径のバラツキ度は、上述の(111面の配向度)、(平均結晶粒径)、(結晶粒径のバラツキ度)のそれぞれの項で述べた測定方法に基づいて測定した。その結果を表2に示す。
(引張強さ)
引張強さは、JIS Z 2241(2011)に準拠して測定した。アルミニウム合金線材から引張試験用の試験片を作製し、試験片に550℃で溶体化処理した後、更に170℃×8時間の時効処理した後の引張強さ(第1の引張強さ)と、上記溶体化処理後に上記時効処理した後、150℃×1000時間の耐熱試験した後の引張強さ(第2の引張強さ)を測定した。更に、第1の引張強さに対する第2の引張強さの維持率も求めた。引張強さの維持率(%)は、[(「第2の引張強さ」/「第1の引張強さ」)×100]として求めた。その結果を表2に示す。
(圧縮加工性)
圧縮加工性は、限界圧縮率、圧縮変形度、圧縮変形後の側面の表面粗さについて評価した。限界圧縮率は、アルミニウム合金線材からアスペクト比が1:2の試験片を作製し、この試験片を用いて上述の(限界圧縮率)の項で述べた測定方法に基づいて測定した。圧縮変形度は、アルミニウム合金線材からアスペクト比が1:2の試験片を作製し、この試験片を用いて上述の(圧縮変形度)の項で述べた測定方法に基づいて測定した。そして、試験片を元の長さの40%、30%、20%にそれぞれ圧縮変形させたときの圧縮変形度がいずれも0.1以下である場合を「外形:円形」、それ以外を「外形:非円形」とした。側面の表面粗さは、アルミニウム合金線材からアスペクト比が1:2の試験片を作製し、この試験片を用いて上述の(限界圧縮率)の項で述べた測定方法に基づいて算術平均粗さRaを測定した。そして、測定した側面の算術平均粗さRaの最大値が0.5mm以下である場合を「皺:なし」、それ以外(即ち、Ra最大値>0.5)の場合を「皺:あり」とした。その結果を表2に示す。
Figure 2015124409
表2に示すように、試料No.1−1〜1−6は、第1の引張強さが400MPa以上、かつ、第2の引張強さが370MPa以上であり、高い強度と耐熱性を有する。また、試料No.1−1〜1−6は、限界圧縮率85%以上を満たし、圧縮変形させても割れが生じ難いだけでなく、圧縮変形させたときに皺も生じ難い。更に、圧縮変形させたときに圧縮方向から見た外形が円形に変形し易いことから、良好な圧縮加工性を有する。そして、試料No.1−1〜1−6は、111面の配向度が0.5以上を満たし、横断面の集合組織が111面に強く配向すると共に、平均結晶粒径が70μm以下(特に、25μm以下)、結晶粒径のバラツキ度が0.5以下であり、微細でかつ均質な結晶組織を有する。
[試験例2]
鋳造時の凝固速度を変更した以外は試験例1と同じ製造条件で、試料No.1−1と同じ組成のアルミニウム合金線材(試料No.2−1〜2−4)を製造した。各試料での鋳造時の凝固速度を表3に示す。また、試験例1と同様にして、得られたアルミニウム合金線材について、組織、引張強さ、圧縮加工性を評価した。その結果を表3に併せて示す。
Figure 2015124409
表3に示すように、凝固速度を1℃/秒以上とした試料No.1−1及び試料No.2−1,2−2は、高い強度と耐熱性を有し、圧縮加工性にも優れる。また、試料No.1−1及び試料No.2−1,2−2は、111面の配向度が0.5以上であり、微細でかつ均質な結晶組織を有する。一方、凝固速度が0.05℃/秒以下の試料No.2−3,2−4は、伸線時に断線が発生したため、評価を行っていない。これは、凝固速度が遅いため、鋳造時に粗大な晶出物が生成され、素材であるワイヤロッドの加工性が低下したことが原因と考えられる。
[試験例3]
製造条件を変更して、試料No.1−1と同じ組成のアルミニウム合金線材(試料No.3−1〜3−37)を製造した。各試料での製造条件を表4、表5に示す。また、試験例1と同様に、得られたアルミニウム合金線材について、組織、引張強さ、圧縮加工性を評価した。その結果を表4、表5に併せて示す。
試料No.3−1〜3−9は、WR軟化処理及び中間軟化処理の温度をそれぞれ420℃とし、一次伸線の加工度を変更した以外は試験例1と同じ製造条件とした。但し、試料No.3−7及び3−9では、WR軟化処理及び中間軟化処理の温度をそれぞれ380℃とすると共に、二次伸線の加工度を7%とした。
試料No.3−10〜3−18は、中間軟化処理の温度を420℃とし、WR軟化処理を行わずに伸線加工すると共に、一次伸線の加工度を変更した。但し、試料No.3−12、3−15及び3−17では、中間軟化処理の温度を380℃とすると共に、二次伸線の加工度を7%とした。
試料No.3−19〜3−23は、WR軟化処理の温度を380℃、一次伸線及び二次伸線の加工度を40%及び7%とし、中間軟化処理の温度を変更した。
試料No.3−24〜3−27は、中間軟化処理の温度を380℃、一次伸線及び二次伸線の加工度を40%及び15%とし、WR軟化処理の温度を変更した。
試料No.3−28〜3−30は、WR軟化処理の温度を420℃とし、伸線加工の途中に中間軟化処理を行わず、連続した伸線加工の加工度を変更した。但し、この場合、一次伸線と二次伸線との区別がないため、伸線加工の総加工度を表4中の「一次伸線加工度」の欄に記す。
試料No.3−31〜3−33は、WR軟化処理及び中間軟化処理の温度をそれぞれ380℃、一次伸線及び二次伸線の加工度を40%及び7%とし、中間軟化処理の時間を変更した。但し、試料No.3−32の製造条件は試料No.3−20と同じである。
試料No.3−34〜3−36は、WR軟化処理及び中間軟化処理の温度をそれぞれ380℃、一次伸線及び二次伸線の加工度を40%及び7%とし、WR軟化処理の時間を変更した。但し、試料No.3−35の製造条件は試料No.3−20と同じである。
試料No.3−37は、一次伸線及び二次伸線の加工度をそれぞれ変更した以外は試験例1と同じ製造条件とした。
Figure 2015124409
Figure 2015124409
表4に示すように、連続した伸線加工(一次伸線加工)の加工度を30%以上とした試料No.3−2〜3−9は、高い強度と耐熱性を有し、圧縮加工性にも優れる。また、試料No.3−2〜3−9は、111面の配向度が0.5以上であり、微細でかつ均質な結晶組織を有する。これら試料の比較結果から、連続した伸線加工の加工度を高くするほど、引張強さが向上する他、111面の配向度が強くなると共に、微細でかつ均質な結晶組織となる傾向があることが分かる。
更に、試料No.3−1〜3−9と試料No.3−10〜3−18との比較から、WR軟化処理を行わない場合であっても、強度、耐熱性及び圧縮加工性といった特性が良好であることが分かる。むしろ、WR軟化処理を行っていない試料No.3−10〜3−18の方が、WR軟化処理を行った試料No.3−1〜3−9に比べて特性が若干向上し、111面の配向度が強くなると共に、結晶組織が微細化・均質化される傾向がある。これは、WR軟化処理を行わないことで、圧延加工によって導入された加工歪みが維持され、伸線加工による111面への配向が効率的に行われたものと考えられる。
表4に示すように、中間軟化処理の温度を450℃未満とした試料No.3−19〜3−22は、良好な特性を有し、111面の配向度も0.5以上を満たす。一方、試料No.3−23のように、中間軟化処理の温度を450℃以上とした場合、機械的特性(引張強さ)や圧縮加工性が低下する。また、これら試料の比較から、中間軟化処理の温度を450℃未満とすることで、111面に配向させ易い他、結晶粒を微細化したり、結晶粒径のバラツキを抑制したりし易いことが分かる。
更に、表5に示す試料No.3−31〜3−33の結果から、中間軟化処理の時間が1時間〜100時間の範囲内であれば、特性にほとんど影響を与えないことが分かる。
表4に示すように、WR軟化処理の温度を450℃未満とした試料No.3−24〜3−26は、良好な特性を有し、111面の配向度も0.5以上を満たす。一方、試料No.3−27のように、WR軟化処理の温度を450℃以上とした場合、機械的特性(引張強さ)や圧縮加工性が低下する。また、これら試料の比較から、WR軟化処理の温度を450℃未満とすることで、111面に配向させ易い他、結晶粒を微細化したり、結晶粒径のバラツキを抑制したりし易いことが分かる。
更に、表5に示す試料No.3−34〜3−36の結果から、WR軟化処理の時間が1時間〜100時間の範囲内であれば、特性にほとんど影響を与えないことが分かる。
表5に示すように、試料No.3−28〜3−30の比較結果から、中間軟化処理を行わない場合であっても、連続した伸線加工の加工度を30%以上とすることで、十分な特性が得られることが分かる。この場合、圧縮加工性(特に、限界圧縮率)がやや低下するが、耐熱性が若干向上する傾向がある。
更に、試料No.3−2及び3−29と試料No.3−37との比較結果から、伸線加工の総加工度(一次伸線と二次伸線とを合わせた加工度)が30%以上であっても、連続した伸線加工の加工度が30%未満の場合は、第2の引張強さが低く、十分な耐熱性を有していない。また、111面の配向も不十分で、圧縮加工性の点でも劣る。
本発明のアルミニウム合金線材は、種々のアルミニウム合金部材の素材に利用できる。特に、軽量で、高い強度と耐熱性が要求されるアルミニウム合金部材の素材に好適に利用できる。本発明のアルミニウム合金部材は、例えば、ボルトやリベットなどの締結部材や、スプールバルブなどの自動車用部品に利用できる。本発明のアルミニウム合金線材の製造方法は、アルミニウム合金線材の製造に利用できる。

Claims (17)

  1. 質量%で、SiとMgとをそれぞれ0.7%以上、CuとZnとをそれぞれ1.5%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物である組成を有し、
    550℃で溶体化処理した後、更に170℃×8時間の時効処理した後の引張強さが400MPa以上であり、
    前記時効処理した後、150℃×1000時間の耐熱試験した後の引張強さが370MPa以上であるアルミニウム合金線材。
  2. 前記耐熱試験した後の引張強さが、前記時効処理した後の引張強さの85%以上である請求項1に記載のアルミニウム合金線材。
  3. 長手方向に圧縮変形させたときの限界圧縮率が80%以上である請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム合金線材。
  4. 長手方向に、元の長さの40%、30%、20%にそれぞれ圧縮変形させたときの圧縮変形度がいずれも0.1以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
  5. 長手方向に、元の長さの15%まで圧縮変形させたときに、側面の算術平均粗さRaの最大値が0.5mm以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
  6. 横断面のX線回折における111面の配向度が0.5以上である組織を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
  7. 平均結晶粒径が70μm以下である組織を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
  8. 結晶粒径のバラツキ度が0.5以下である組織を有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
  9. 前記組成が、質量%で、
    Si:0.9%以上1.3%以下、
    Mg:0.8%以上1.2%以下、
    Fe:0%以上0.4%以下、
    Cu:0.65%以上1.1%以下、
    Mn:0.55%以上1.15%以下、
    Cr:0%以上0.35%以下、
    Zn:0.12%以上0.25%以下、
    Ti:0%以上0.075%以下、
    Zr:0.05%以上0.17%以下を含み、
    過剰Si量と前記Feの含有量との合計と、前記Mnの含有量との比率である[{(過剰Si量)+(Fe含有量)}/(Mn含有量)]が0.5以上1.8以下である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
  10. 前記組成における各元素の含有量が、質量%で、
    Si:0.9%以上1.2%以下、
    Mg:0.8%以上1.0%以下、
    Fe:0%以上0.25%以下、
    Cu:0.65%以上0.85%以下、
    Mn:0.55%以上0.65%以下、
    Cr:0%以上0.05%以下、
    Zn:0.15%以上0.25%以下、
    Ti:0%以上0.05%以下、
    Zr:0.11%以上0.17%以下である請求項9に記載のアルミニウム合金線材。
  11. 質量%で、SiとMgとをそれぞれ0.7%以上、CuとZnとをそれぞれ1.5%以下含み、残部がAl及び不可避的不純物である組成を有するアルミニウム合金を連続鋳造して、鋳造材を得る鋳造工程と、
    前記鋳造材を圧延加工して圧延材とする圧延工程と、
    前記圧延材を伸線加工して所定の線径の伸線材とする伸線工程とを備え、
    前記伸線工程では、加工度が30%以上90%以下となるまで連続した伸線加工を含むアルミニウム合金線材の製造方法。
  12. 前記鋳造工程では、凝固速度を1℃/秒以上とする請求項11に記載のアルミニウム合金線材の製造方法。
  13. 前記伸線工程において、前記連続した伸線加工の後に、450℃未満で1時間以上100時間以下の中間軟化処理を行う請求項11又は請求項12に記載のアルミニウム合金線材の製造方法。
  14. 前記圧延工程後、前記伸線工程前に、450℃未満で1時間以上100時間以下の軟化処理を行う請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材の製造方法。
  15. 請求項1に記載のアルミニウム合金線材を加工して得られたアルミニウム合金部材。
  16. ボルトである請求項15に記載のアルミニウム合金部材。
  17. 自動車用部品である請求項15に記載のアルミニウム合金部材。
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