JP2015124312A - 装飾用生革チップの作製方法及びその方法により作製された装飾用生革チップ - Google Patents

装飾用生革チップの作製方法及びその方法により作製された装飾用生革チップ Download PDF

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Abstract

【課題】個性的な模様を有する装飾用生革チップを容易に得ることができる装飾用生革チップの作製方法を提供する。
【解決手段】装飾用生革チップの材料としては、豚の原皮から製造されたソフト生革であって型押しにより裏面に凹凸が付されたものを用いる。まず、そのソフト生革の表面に染料で色付けを行う(表面色付け工程)。次に、ソフト生革の裏面に顔料で色付けを行う(裏面色付け工程)。例えば、この裏面色付け工程では、水溶きした顔料をソフト生革の裏面における凹の部分に流し込んだ後、その流し込んだ顔料を乾燥させることにより、凹の部分を色付けする。その後、表面色付け工程及び裏面色付け工程による色付けが行われたソフト生革を小片に切断することにより装飾用生革チップを得る(切断工程)。
【選択図】図2

Description

本発明は、バック、アクセサリー、壁掛け、置物等の表面を飾る装飾用の部品として使用される装飾用生革チップの作製方法及びその方法により作製された装飾用生革チップに関するものである。
近年、豚などの生革からブローチ、イヤリング等の革工芸品を作る工芸技法が知られている。かかる技法は、市販の生革を適当な大きさに切って、曲げる、たたむ、つまむ、ねじる、切り込む、縮ませる、膨らませる等の加工を施した後、アルコール染料等で染色し、これに所望の仕上げ剤を塗るものである(例えば、特許文献1参照。)。かかる革工芸品の中には、その表面を飾る装飾用の部品として、人工真珠やビーズ等が用いられているものがある。
特開平6−279800号公報
ところで、革工芸品等の工芸物の表面を飾る装飾用の部品としては、生革を小片に切断して得られるチップ(装飾用生革チップ)を用いることが可能である。しかしながら、例えばハード生革を切断して装飾用生革チップを作ろうとすると、ハード生革は硬いため、それを切断するのが容易ではないという問題がある。また、装飾用生革チップは数センチ角程度の大きさであるので、それに個性的な模様を付すことが難しいという問題もある。
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、個性的な模様を有する装飾用生革チップを容易に得ることができる装飾用生革チップの作製方法及びその方法により作製された装飾用生革チップを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するための本発明に係る装飾用生革チップの作製方法は、豚の原皮から製造されたソフト生革であって型押しにより裏面に凹凸が付されたものを用い、そのソフト生革の表面に染料で色付けを行う表面色付け工程と、型押しにより裏面に凹凸が付されたソフト生革の裏面に顔料で色付けを行う裏面色付け工程と、表面色付け工程及び裏面色付け工程による色付けが行われたソフト生革を小片に切断することにより装飾用生革チップを得る切断工程と、を具備することを特徴とするものである。
上記の構成により、本発明では、型押しにより裏面に凹凸が付されたソフト生革を用い、その表面を染料で色付けすると共に、その裏面を顔料で色付けしている。ソフト生革の表面を染料で色付けすることにより、ソフト生革の透明感を活かしたまま色付けを行うことができ、一方、ソフト生革の裏面を顔料で色付けすることにより、その顔料で色付けされた部分を際立たせることができる。このため、かかるソフト生革を小片に切断すると、ソフト生革に付された凹凸と当該顔料で色付けされた部分とに起因する個性的な模様を有する装飾用生革チップを得ることができる。
また、本発明では、装飾用生革チップの材料としてソフト生革を用いたことにより、ソフト生革はハード生革に比べて柔軟性を有するため、誰でもソフト生革をハサミで簡単に切断して、任意の形状の装飾用生革チップを容易に得ることができる。しかも、装飾用生革チップを手で掴んだときに、その装飾用生革チップの角部が手に当たっても痛くはなく、手に怪我をしてしまうおそれはない。
ソフト生革といってもその部位によって柔軟性に違いがあり、ソフト生革のうち硬い部分はハンドバックや工芸品等の材料として利用されるが、軟らかい部分は捨てられているのが現状である。本発明では、装飾用生革チップの材料として、ソフト生革のうちどの部分でも使用できるが、特にソフト生革の軟らかい部分を積極的に用いることにより、当該軟らかい部分の有効利用を図ることができる。
また、本発明に係る装飾用生革チップの作製方法において、裏面色付け工程では、水溶きした顔料を型押しされたソフト生革の裏面における凹の部分に流し込んだ後、その流し込んだ顔料を乾燥させることにより、凹の部分を色付けすることが望ましい。これにより、ソフト生革の裏面における凹の部分を容易に色付けすることができるので、その凹の部分に応じた模様を当該ソフト生革に顕在化させることができる。
更に、本発明に係る装飾用生革チップの作製方法において、顔料は光彩アクリル絵の具であることが望ましい。これにより、装飾用生革チップの裏面は見る角度によって光彩を放つような印象を与えることになるので、装飾用生革チップを工芸物等における装飾部品として利用すると、その工芸物等に華やかさを与えることができる。
また、上記の目的を達成するための本発明に係る装飾用生革チップは、上記の本発明に係る方法により作製されたものである。
本発明に係る装飾用生革チップの作製方法では、裏面に型押しを行って凹凸を付したソフト生革を用い、その表面を染料で色付けすると共に、その裏面を顔料で色付けしている。このため、かかるソフト生革を小片に切断すると、ソフト生革に付された凹凸と当該顔料で色付けされた部分とに起因する個性的な模様を有する装飾用生革チップを得ることができる。また、本発明では、装飾用生革チップの材料としてソフト生革を用いたことにより、誰でもソフト生革をハサミで簡単に切断して、任意の形状の装飾用生革チップを容易に得ることができ、しかも、装飾用生革チップを手で掴んだときに、その装飾用生革チップの角部によって手に怪我をしてしまうおそれはない。更に、本発明では、ソフト生革のうち従来捨てられていた軟らかい部分を装飾用生革チップの材料として積極的に用いることにより、当該軟らかい部分の有効利用を図ることができる。
図1は本発明の一実施形態である装飾用生革チップの作製方法で作製された装飾用生革チップの概略斜視図である。 図2は本実施形態の装飾用生革チップの作製方法を説明するための図である。 図3は本実施形態の装飾用生革チップの作製方法で使用するソフト生革の概略断面図である。 図4は一頭の豚の皮から製造されたソフト生革の概略平面図である。 図5は本実施形態の装飾用生革チップの作製方法における切断工程を説明するための図である。 図6は本実施形態の装飾用生革チップを用いて作られたクリスマス用の壁掛けの概略平面図である。
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態である装飾用生革チップの作製方法で作製された装飾用生革チップの概略斜視図である。
図1に示す装飾用生革チップ10は、本実施形態の装飾用生革チップの作製方法を用いて作製されたものである。この装飾用生革チップ10の材料としては、豚のソフト生革を用いている。また、この装飾用生革チップ10の形状は略長方形状であり、その各辺の長さは1〜10mm程度である。ここで、図1に示す装飾用生革チップの形状は一例であり、一般には装飾用生革チップを様々な形状に形成することができる。この装飾用生革チップ10の表面(図1における下面)は染料で色付けされている。一方、装飾用生革チップ10の裏面(図1における上面)には凹凸が付されており、そのうち凹の部分21は顔料31で色付けされている。具体的に、かかる装飾用生革チップ10は、バック、アクセサリー、壁掛け、置物等の表面を飾る装飾用の部品として使用される。
次に、本実施形態の装飾用生革チップの作製方法について説明する。図2は本実施形態の装飾用生革チップの作製方法を説明するための図である。この装飾用生革チップの作製方法は、図2に示すように、表面色付け工程と、裏面色付け工程と、切断工程とからなる。尚、ここでは、裏面色付け工程は、表面色付け工程の後に行うことにしているが、表面色付け工程の前に行うようにしてもよい。
かかる装飾用生革チップの作製方法では、材料として、豚の原皮から製造されたソフト生革であって型押しにより裏面に凹凸が付されたものを用いる。いま、一般的なソフト生革の製造方法を説明する。本実施形態では、原料となる動物の生皮として、毛穴が裏面(床面)から表面(吟面)に貫通している豚の皮(ピッグスキン)を用いている。特に、生後半年以上1年以下の豚の皮を用いるのが望ましい。生後半年以上1年以下の豚の皮は毛穴の密度が高いという特徴があるからである。まず、塩蔵されたピッグスキン(原皮)の毛抜き作業と共に不要物の除去作業を行う。具体的には、原皮を水洗いし、脱毛すると共に、その原皮に対して、山刀等を用いて不要物である肉片や脂肪分等をしごくようにして落とす。そして、かかる水洗いと不要物の除去という作業を繰り返し、その脱毛された皮(裸皮)の表面に毛穴をはっきりと露出させる。次に、裸皮に2価又は3価のアルコール(口紅などに使用する系統のもの)をしみこませる。その後、アルコールをしみこませた裸皮を約10日間かけて自然乾燥させる乾燥工程を経て、ソフト生革が製造される。このようにして製造されたソフト生革は、透明感を有している。しかも、自然乾燥後も硬くならず、柔軟性を有するという特徴がある。
尚、一般に、生革には、ソフト生革の他に、ハード生革がある。このハード生革は、上記のソフト生革の製造方法においてアルコールをしみこませる作業を省くことにより製造される。ハード生革は、ソフト生革と同様に透明感を有するが、とても硬い。
本実施形態で使用するソフト生革を得るには、上記のようにして製造されたソフト生革に対して、さらにその裏面に型押しを行って凹凸を付ける作業を行う必要がある。型押しをソフト生革の裏面に行うのは、豚の皮の表面(吟面)は緻密な組織で作られているため、その表面には凹凸を付けにくいのに対し、豚の皮の裏面(床面)はそれ程緻密な組織で作られているわけではなく、その裏面には凹凸を明瞭に付けることができるからである。また、凹凸によって表される模様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、略一定方向を向いた多数の直線、半直線、線分からなる模様をソフト生革の裏面に付けることにする。図3は本実施形態の装飾用生革チップの作製方法で使用するソフト生革の概略断面図である。図3に示すように、ソフト生革の裏面(図3における上側の面)には多数の凹の部分21が形成されている。
ところで、通常、ソフト生革は、バック、アクセサリー等の材料として使用されている。この場合、実際に使用されるソフト生革の部位は、豚の背中に対応する部位である。図4は一頭の豚の皮から製造されたソフト生革の概略平面図である。図4に示すソフト生革において中央部分Pが豚の背中に対応する部位である。かかる部位は適度な硬さを有し、バック、アクセサリー等の材料として用いるのに好適である。これに対し、図4に示すソフト生革において上下の端部(斜線を付した部分)は豚の腹に対応する部位である。かかる部位は軟らかすぎるため、バック、アクセサリー等の材料として用いるには適さない。このため、従来、ソフト生革のうち豚の腹に対応する部位は、用途がなく、捨てられていた。本実施形態の装飾用生革チップの作製方法では、ソフト生革であれば、背中に対応する部位はもちろん、腹に対応する軟らかい部位であっても使用することができる。このため、ソフト生革のうちこの軟らかい部分を装飾用生革チップの材料として積極的に用いることにより、当該軟らかい部分の有効利用を図ることが可能である。
さて、本実施形態の装飾用生革チップの作製方法では、まず、表面色付け工程が行われる。この表面色付け工程は、型押しにより裏面に凹凸が付されたソフト生革を用い、そのソフト生革の表面に染料で色付けを行うものである。染料としては、例えばアルコール染料(粉末又は液体)が用いられる。作業者は自分の好みの色の染料を用いることができる。
具体的に、作業者は、まず、アルコール染料の濃度を調整する。粉末状の染料を用いる場合には、染料を小皿に耳かき一杯度入れた後、アルコール染料薄め液を小皿に少しずつ加えて、染料を溶かす。例えば濃度を中程度にしたければ、耳かき2杯程度の染料に対して茶匙1杯程度のアルコール染料薄め液を用いればよい。また、液体の染料を用いる場合には、その液体の染料をアルコール染料薄め液で適度に薄める。次に、作業者は、筆を使い、ソフト生革の表面をアルコール染料で染める。ここで、染料の粒子は細かいので、染料はソフト生革に浸み込むようになる。その後、アルコール染料を自然乾燥させる。これにより、表面色付け工程が終了する。こうしてソフト生革の表面をアルコール染料で色付けした後も、ソフト生革は透明感を有している。
次に、裏面色付け工程が行われる。この裏面色付け工程は、型押しにより裏面に凹凸が付されたソフト生革の裏面に顔料で色付けを行うものである。ここでは、顔料として、光彩アクリル絵の具、例えば松田油絵具株式会社製の「パールカラー」を用いる。この「パールカラー」にはゴールドやシルバー等の多数の色がある。作業者は自分の好みの色の顔料を用いることができる。
具体的に、作業者は、まず、光彩アクリル絵の具(顔料)を水で溶く。このとき光彩アクリル絵の具を薄溶きすることが望ましい。例えば、光彩アクリル絵の具と水との比は1:3〜5であるのが望ましい。本実施形態では、約1cm程度の長さの光彩アクリル絵の具を茶匙2杯程度の水で溶くことにする。次に、作業者は、筆を使って、その水溶きした光彩アクリル絵の具を型押しされたソフト生革の裏面における凹の部分に流し込む。ここで、一般に、顔料の粒子は染料の粒子よりも粗いので、顔料はソフト生革の表面にのるだけで、ソフト生革の中に浸み込むことはない。このため、低濃度の光彩アクリル絵の具をソフト生革の裏面に塗れば、その光彩アクリル絵の具は凸の部分(高いところ)から凹の部分(低いところ)に流れ、凹の部分にだけ残るようになる。その後、その凹の部分に流し込んだ光彩アクリル絵の具を乾燥させる。これにより、ソフト生革の裏面における凹の部分が色付けされ、裏面色付け工程が終了する。このように、本実施形態では、水で薄溶きした顔料を用いたことにより、ソフト生革の裏面の凹の部分だけを容易に色付けすることができる。
こうして裏面色付け工程による作業が施されたソフト生革では、光彩アクリル絵の具で色付けされた部分は不透明となる。このため、凹の部分の形状が光彩アクリル絵の具により模様として顕在化することになる。しかも、本実施形態では、顔料として光彩アクリル絵の具を用いたことにより、凹の部分には光彩のある粒子が塗られているため、見る角度によって光彩を放っているような印象を与えることができる。したがって、凹の部分は筋状に光っているように見えることになる。尚、光彩アクリル絵の具の濃度を変えることにより、光っているように見える度合いを変えることができる。
次に、切断工程が行われる。この切断工程は、表面色付け工程及び裏面色付け工程による色付けが行われたソフト生革を小片に切断することにより装飾用生革チップを得るものである。ソフト生革はハード生革に比べて柔軟性を有するため、作業者自らがハサミでソフト生革を切断することができる。図5は本実施形態の装飾用生革チップの作製方法における切断工程を説明するための図である。
まず、作業者は、ハサミを用いて、図5(a)に示すようにソフト生革に一定の間隔で多数の切れ目を入れる。ここで、切れ目を入れる際には、切れ目がそれを入れた側と反対側の端部にまで達しないようにする。すなわち、多数の切れ目を入れることにより形成された短冊状の部分が切り離されることなく、当該反対側の端部で連なっているようにする。次に、多数の切れ目を入れたソフト生革を、図5(b)に示すように、例えば三つ折りにして束ねた状態にする。そして、作業者は、その束ねた状態のソフト生革をその端部からハサミで切断して、多数の装飾用生革チップを得る。このような方法でソフト生革を切断することにより、多数の装飾用生革チップを効率よく短時間で得ることができる。また、ソフト生革は柔らかいので、作業者はあまり力を入れずに切断作業を行うことができる。しかも、こうして得られた装飾用生革チップを手で掴んでも、手に痛みを感じたり、手に怪我をしてしまったりすることはない。
また、この切断工程では、作業者は、ソフト生革を用途に応じた任意のサイズに切断することができる。例えば、2mm角の装飾用生革チップ、3mm角の装飾用生革チップ、5mm角の装飾用生革チップ等を得ることができる。また、装飾用生革チップの形状は正方形状に限らず、長方形状、三角形状、円形状、星型状等、用途に応じた様々な形状とすることができる。
尚、ここでは、作業者がハサミを用いてソフト生革を切断する場合について説明したが、機械を使用してソフト生革を切断するようにしてもよい。
次に、本実施形態の装飾用生革チップの作製方法で作製された装飾用生革チップの使い方について説明する。
本実施形態の装飾用生革チップの作製方法で作製された装飾用生革チップは、バック、アクセサリー、壁掛け、置物等の表面を飾る装飾用の部品として幅広く使用することができる。ここでは、クリスマス用の壁掛けを作る場合に本実施形態の装飾用生革チップを使用する例を説明する。図6は本実施形態の装飾用生革チップを用いて作られたクリスマス用の壁掛けの概略平面図である。
まず、クリスマスツリーの形状をした台板部51を用意する。この台板部51は、発泡スチロールボード又は厚紙をクリスマスツリーの形に切り取り、その切り取った発泡スチロールボード又は厚紙の表面にロール紙を貼り付けることにより作製される。特に、この台板部51の材料としては、発泡スチロールボードを用いることが望ましい。発泡スチロールボードは、厚みがあるにもかかわらず、普通のカッターで簡単に切ることができるからである。具体的に、台板部51の材料として用いるのに適した商品として、株式会社アルテ製の「ポップコーア(登録商標)」(発泡スチロールボードの両面にロール紙が貼ってあるボード)がある。その後、その台板部51の表面に複数個のボールチェーン52を貼り付け、これらのボールチェーン52により多数の枠を形成する。ここで、ボールチェーン52の貼付けに用いる接着剤としては、木工用ボンドや(株)クラフト社製の「サイビノール100」等を用いることができる。
次に、ボールチェーン52により形成された多数の枠の中に装飾用生革チップ10を貼る作業を行う。具体的には、まず、小皿の中に多数の装飾用生革チップ10と木工用ボンドを入れ、例えば竹串でよく混ぜ合わせる。そして、多数の装飾用生革チップ10の全体に木工用ボンドがつくようにする。このとき、木工用ボンドの量が多すぎると、木工用ボンドがいつまでも乾かない。このため、木工用ボンドの量は、装飾用生革チップ10の全体に木工用ボンドがかかる程度の量にするのが望ましい。その後、台板部51において装飾用生革チップを貼る部分、すなわちボールチェーン52で囲まれた枠の中の部分に木工用ボンドを塗る。そして、その木工用ボンドがやや乾いた状態になるまで、例えば約7分程度待つ。
次に、小皿に入れられた装飾用生革チップ10を割り箸等で摘み、ボールチェーン52で囲まれた枠の中に置いていく。装飾用生革チップ10を配置する作業が完了したら、2、3時間程度そのまま放置しておく。その後、押し棒で装飾用生革チップ10を押して、チップ間に隙間がないようにする。そして、半日経過した後、さらに押し棒で装飾用生革チップ10をしっかりと押し付ける。木工用ボンドが完全に乾いて透明になれば、図6に示すようなクリスマツリーの形をしたクリスマス用の壁掛けが完成する。
尚、装飾用生革チップには仕上げ材を塗布する必要はない。装飾用生革チップと混ぜた木工用ボンドは乾くと撥水性を持つので、この木工用ボンドが仕上げ材の役割を果たすからである。
本実施形態の装飾用生革チップの作製方法では、型押しにより裏面に凹凸が付されたソフト生革を用い、その表面を染料で色付けすると共に、その裏面を顔料で色付けしている。ソフト生革の表面を染料で色付けすることにより、ソフト生革の透明感を活かしたまま色付けを行うことができ、一方、ソフト生革の裏面を顔料で色付けすることにより、その顔料で色付けされた部分を際立たせることができる。このため、かかるソフト生革を小片に切断すると、ソフト生革に付された凹凸と当該顔料で色付けされた部分とに起因する個性的な模様を有する装飾用生革チップを得ることができる。また、本実施形態では、装飾用生革チップの材料としてソフト生革を用いたことにより、ソフト生革はハード生革に比べて柔軟性を有するため、誰でもソフト生革をハサミで簡単に切断して、任意の形状の装飾用生革チップを容易に得ることができる。しかも、装飾用生革チップを手で掴んだときに、その装飾用生革チップの角部が手に当たっても痛くはなく、手に怪我をしてしまうおそれはない。更に、本実施形態では、ソフト生革のうち従来捨てられていた軟らかい部分を装飾用生革チップの材料として積極的に用いることにより、当該軟らかい部分の有効利用を図ることができる。
また、本実施形態の装飾用生革チップの作製方法における裏面色付け工程では、水溶きした顔料を型押しされたソフト生革の裏面における凹の部分に流し込んだ後、その流し込んだ顔料を乾燥させることにより、凹の部分を色付けしている。このため、ソフト生革の裏面における凹の部分を容易に色付けすることができるので、その凹の部分に応じた模様を当該ソフト生革に顕在化させることができる。したがって、当該ソフト生革を小片に切断すれば、装飾用生革チップにも凹の部分に応じた個性的な模様が現れることになる。
更に、本実施形態の装飾用生革チップの作製方法において、顔料として光彩アクリル絵の具を用いていることにより、装飾用生革チップの裏面は見る角度によって光彩を放つような印象を与えることになるので、装飾用生革チップを工芸物等における装飾部品として利用すると、その工芸物等に華やかさを与えることができる。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、ソフト生革の裏面における凹の部分にだけ顔料で色付けを行う場合について説明したが、一般には、ソフト生革の裏面における任意の部分に顔料で色付けを行うことができる。
また、上記の実施形態では、顔料として光彩アクリル絵の具を用いた場合について説明したが、光彩アクリル絵の具に限らず、光彩のある粒子が含まれていない通常のアクリル絵の具等を用いるようにしてもよい。
以上説明したように、本発明に係る装飾用生革チップの作製方法では、裏面に型押しを行って凹凸を付したソフト生革を用い、その表面を染料で色付けすると共に、その裏面を顔料で色付けしている。このため、かかるソフト生革を小片に切断すると、ソフト生革に付された凹凸と当該顔料で色付けされた部分とに起因する個性的な模様を有する装飾用生革チップを得ることができる。また、本発明では、装飾用生革チップの材料としてソフト生革を用いたことにより、誰でもソフト生革をハサミで簡単に切断して、任意の形状の装飾用生革チップを容易に得ることができ、しかも、装飾用生革チップを手で掴んだときに、その装飾用生革チップの角部によって手に怪我をしてしまうおそれはない。したがって、本発明は、バック、アクセサリー、壁掛け、置物等の表面を飾る装飾用の部品として使用される装飾用生革チップを作製するのに適している。
10 装飾用生革チップ
21 凹の部分
31 顔料
51 台板部
52 ボールチェーン

Claims (4)

  1. 豚の原皮から製造されたソフト生革であって型押しにより裏面に凹凸が付されたものを用い、そのソフト生革の表面に染料で色付けを行う表面色付け工程と、
    前記型押しにより裏面に凹凸が付されたソフト生革の裏面に顔料で色付けを行う裏面色付け工程と、
    前記表面色付け工程及び前記裏面色付け工程による色付けが行われたソフト生革を小片に切断することにより装飾用生革チップを得る切断工程と、
    を具備することを特徴とする装飾用生革チップの作製方法。
  2. 前記裏面色付け工程では、水溶きした前記顔料を前記型押しされたソフト生革の裏面における凹の部分に流し込んだ後、その流し込んだ前記顔料を乾燥させることにより、前記凹の部分を色付けすることを特徴とする請求項1記載の装飾用生革チップの作製方法。
  3. 前記顔料は光彩アクリル絵の具であることを特徴とする請求項1又は2記載の装飾用生革チップの作製方法。
  4. 請求項1、2又は3記載の方法により作製されたことを特徴とする装飾用生革チップ。
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