JP2015124215A - 注射液製剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と着色とを抑制し得る注射液製剤及びその製造方法の提供。【解決手段】(i)ペメトレキセド又はその塩、(ii)亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種、並びに(iii)注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒を含み、かつ、pHが6.0を超える注射液製剤及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、注射液製剤及びその製造方法に関する。
ペメトレキセドは、抗腫瘍治療薬の有効成分の一種であり、ペメトレキセドを有効成分として含有する抗ガン剤は、点滴静脈注射により患者に投与される。
特許文献1には、ペメトレキセドに、モノチオグリセロール、L−システイン、及びチオグリコール酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の抗酸化剤を組み合わせた液体製剤が開示されている。
特許文献2には、ペメトレキセドに、リポ酸、ジヒドロリポ酸及びメチオニンからなる群より選ばれる少なくとも1種の抗酸化剤と、ラクトビオン酸及びクエン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のキレート剤と、医薬的に許容な液体と、を組み合わせたpH8〜9.5の組成物が開示されている。
特許文献3には、ペメトレキセドを含有し、かつ、抗酸化剤を含有しない注射用溶液の溶存酸素濃度を1ppm以下にし、注射用溶液を注射容器に充填する時の酸素濃度を0.2%以下に調整して注射剤を製造する方法が開示されている。
特表2003−521518号公報 国際公開第2012/015810号パンフレット 国際公開第2012/121523号パンフレット
上述のように、ペメトレキセドを有効成分として含有する抗ガン剤は、点滴静脈注射により患者に投与される。そのため、使用時の利便性及び安全性を考慮したペメトレキセドを含有する注射液製剤の開発が望まれている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載された方法では、保管中の注射液製剤の保存安定性、例えば、注射液製剤に含有されるペメトレキセド又はその塩の分解、及び注射液製剤の着色の抑制効果が十分ではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と着色とを抑制し得る注射液製剤及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> (i)〜(iii)を含み、かつ、pHが6.0を超える注射液製剤。
(i)ペメトレキセド又はその塩
(ii)亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種
(iii)注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒
<2> 更に注射液製剤を封入する容器に封入され、容器内の気体中の酸素濃度が1.0体積%以下である<1>に記載の注射液製剤。
<3> 注射液製剤中のペメトレキセド分子数に対する酸素分子数の比(酸素分子数/ペメトレキセド分子数)が、0.0080以下である<1>に記載の注射液製剤。
<4> 亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量が、注射液製剤の全質量に対して0.03質量%以上1.0質量%以下である<1>から<3>のいずれか1つに記載の注射液製剤。
<5> 注射液製剤のpHが7.0以上である<1>から<4>のいずれか1つに記載の注射液製剤。
<6> 更に、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する<1>から<5>のいずれか1つに記載の注射液製剤。
<7> アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量が、アスコルビン酸換算で、注射液製剤の全質量に対して0.001質量%以上1.0質量%以下である<6>に記載の注射液製剤。
<8> 亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、及びピロ亜硫酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である<1>から<7>のいずれか1つに記載の注射液製剤。
<9> (i)ペメトレキセド又はその塩と、(ii)亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(iii)注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒とを含有する注射液製剤を調製すること、
注射液製剤のpHを、6.0を超えるように調整すること、及び、
注射液製剤を不活性ガス雰囲気下で容器に充填すること、又は、注射液製剤を容器に充填した後、容器内の気体を不活性ガスで置換することを含む注射液製剤の製造方法。
<10> 不活性ガスが窒素である<9>に記載の注射液製剤の製造方法。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明によれば、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と着色とを抑制し得る注射液製剤及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の注射液製剤について詳細に説明する。
[注射液製剤]
本発明の注射液製剤は、(i)ペメトレキセド又はその塩、(ii)亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、適宜、「特定化合物」と総称する。)、並びに(iii)注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒を含み、かつ、pHが6.0を超える。
また、本発明の注射液製剤は、必要に応じて(i)〜(iii)以外の他の成分を含有していてもよい。
ペメトレキセド又はその塩は、注射液製剤中では、酸化分解を受けることが知られている。本発明の注射液製剤は、亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及び、チオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒と、を含み、かつ、pHが6.0を超えることにより、保管中における注射液製剤中でのペメトレキセド又はその塩の分解、及び注射液製剤の着色を抑制し得る。
本発明の注射液製剤は、特に、特表2003−521518号公報(前掲した特許文献1)において、ペメトレキセド又はその塩の分解抑制に有効ではないとされている亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等を、ペメトレキセド又はその塩とともに注射液製剤中に含有させ、かつ、注射液製剤のpHを、6.0を超えるものとすることで、注射液製剤中でのペメトレキセド又はその塩の分解のみならず、注射液製剤の着色をも抑制し得るという予想外の効果を奏するものである。
上述したペメトレキセド又はその塩の分解が抑制される理由は明らかではないが、少なくとも、亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及び、チオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことによって、注射液製剤中に含まれる酸素分子が還元され、ペメトレキセド又はその塩と酸素分子との反応が抑制されるためではないかと推測されるが、これに限定されるものではない。
(ペメトレキセド又はその塩)
本発明の注射液製剤は、ペメトレキセド又はその塩を含有する。
ペメトレキセドは、代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤として、日本イーライリリー(株)より製造販売されているアリムタ(登録商標)の有効成分である。
ペメトレキセドの塩としては、薬理学的に許容される塩であればよく、ペメトレキセドとアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)との塩、ペメトレキセドとアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)との塩、ペメトレキセドと遷移金属(例えば、亜鉛、鉄、コバルト、銅等)との塩、ペメトレキセドと塩基性アンモニウムとの塩、ペメトレキセドとトリエタノールアミンとの塩、ペメトレキセドとアミノ酸(例えば、L−ヒスチジン、L−アルギニン、L−リジン等)との塩などが挙げられる。
ペメトレキセド又はその塩は、通常単独で用いられるが、2種以上を併用することもできる。
ペメトレキセドの塩としては、ペメトレキセドナトリウム及びペメトレキセドカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
なお、ペメトレキセド又はその塩には、その水和物も包含される。
本発明の注射液製剤中のペメトレキセド又はその塩の濃度は、ペメトレキセドの溶解性及び薬効の観点から、0.1質量%〜10.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜3.75質量%であることが更に好ましい。
(特定化合物)
本発明における注射液製剤は、特定化合物、即ち、亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する。
本発明における注射液製剤に含有される特定化合物は、本発明において、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と注射液製剤の着色とを抑制する成分である。
亜硫酸、亜硫酸水素、ピロ亜硫酸、亜硝酸、二酸化硫黄、及びチオ硫酸としては、いずれも市販品を用いることができる。
亜硫酸の塩、亜硫酸水素の塩、ピロ亜硫酸の塩、亜硝酸の塩、及びチオ硫酸の塩としては、いずれも薬理学的に許容される塩であればよく、亜硫酸、亜硫酸水素、ピロ亜硫酸、亜硝酸、又はチオ硫酸(以下、適宜、「亜硫酸等」と称する。)とアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)との塩、亜硫酸等とアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)との塩、亜硫酸等と遷移金属(例えば、亜鉛、鉄、コバルト、銅等)との塩、亜硫酸等と塩基性アンモニウムとの塩、亜硫酸等とトリエタノールアミンとの塩、亜硫酸等とアミノ酸(例えば、L−ヒスチジン、L−アルギニン、L−リジン等)との塩等が挙げられる。
保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と注射液製剤の着色とを顕著に抑制するという観点から、特定化合物は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、及びピロ亜硫酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及びピロ亜硫酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明における注射液製剤は、特定化合物を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
注射液製剤中の特定化合物の含有量は、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と注射液製剤の着色とを顕著に抑制するという観点から、注射液製剤の全質量に対して0.001質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上0.25質量%以下であることがより好ましく、0.001質量%以上0.1質量%以下であることが更に好ましい。
注射液製剤中のペメトレキセド又はその塩と特定化合物との含有比率(ペメトレキセド又はその塩:特定化合物)は、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と注射液製剤の着色とを顕著に抑制するという観点から、質量基準で、2.5:1〜2500:1であることが好ましく、10:1〜2500:1であることがより好ましく、25:1〜2500:1であることが更に好ましい。
(水性溶媒)
本発明における注射液製剤は、注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒を含有する。
本発明において、水性溶媒は、特に限定されるものではなく、水、水と混和可能な媒体との混合溶媒等が挙げられる。水としては、注射液製剤に使用可能な水であれば、特に限定されるものではなく、注射用水(注射用精製水)、生理食塩水、蒸留水、ブドウ糖液、超純水等が挙げられる。
水性溶媒は、pH調整剤等として機能する、有機酸、有機塩基、無機酸、無機塩基、又はこれらの塩等の任意の成分を含んでもよい。
また、水性溶媒は、緩衝能を有する緩衝液であってもよい。
本発明の注射液製剤に含有される水性溶媒の含有量は、注射液製剤の全質量に対して60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。
(アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩)
本発明の注射液製剤は、更に、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、適宜、「アスコルビン酸等」と総称する。)を含有することが好ましい。
本発明の注射液製剤が、更にアスコルビン酸等を含有していると、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解が顕著に抑制され得る。
アスコルビン酸としては、市販品を用いることができる。市販品としては、第一ファインケミカル(株)製の「ビスコリン」(商品名)、田辺三菱製薬(株)製の「ビタミンC」(商品名)、武田薬品工業(株)製の「アスコルビン酸原末「タケダ」」(商品名)、東和化成工業(株)製の「ビタミンC」(商品名)、BASF社製の「Ascorbic Acid」(商品名)、DSM(株)製の「Ascorbic Acid」(商品名)等が挙げられる。
アスコルビン酸誘導体としては、薬理学的に許容されるアスコルビン酸誘導体であれば特に限定されるものではなく、例えば、アスコルビン酸アルキルエステル、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸アルキルエーテル等が挙げられる。
アスコルビン酸誘導体としては、より具体的には、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、モノイソパルミチン酸アスコルビル、モノオレイン酸アスコルビル、ジステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル等のアスコルビン酸アルキルエステル、アスコルビン酸モノリン酸エステル、アスコルビン酸ジリン酸エステル、アスコルビン酸トリリン酸エステル等のアスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸エチルエーテル、アスコルビン酸メチルエーテル等の、アスコルビン酸モノグルコシド、アスコルビン酸ジグルコシド等のアスコルビン酸グルコシドなどが挙げられる。なお、これらのアスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸の6位、2位、3位、及び5位の水酸基のうちの少なくとも1つが置換された構造を有している。
これらの中でも、アスコルビン酸誘導体としては、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド、及びアスコルビン酸アルキルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、アスコルビン酸リン酸エステル及びアスコルビン酸グルコシドからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
アスコルビン酸誘導体としては、市販品を用いることができる。市販品としては、アスコルビン酸2−グルコシド(商品名:アスコフレッシュ、林原(株)製)、リン酸アスコルビルマグネシウム(商品名:アスコルビン酸PM、昭和電工(株)製)、リン酸アスコルビルナトリウム(商品名:アスコルビン酸PS、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体の塩としては、薬理学的に許容される塩であればよく、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体とアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)との塩、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体とアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)との塩、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体と遷移金属(例えば、亜鉛、鉄、コバルト、銅等)との塩、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体と塩基性アンモニウムとの塩、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体とトリエタノールアミンとの塩、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体とアミノ酸(例えば、L−ヒスチジン、L−アルギニン、L−リジン等)との塩等が挙げられる。
これらの中でも、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体の塩としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム等が好ましい。
本発明の注射液製剤では、アスコルビン酸等を含有する場合、アスコルビン酸等を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本発明の注射液製剤がアスコルビン酸等を含有する場合、アスコルビン酸等の含有量は、アスコルビン酸換算で、注射液製剤の全質量に対して0.001質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
アスコルビン酸等の含有量が、アスコルビン酸換算で、注射液製剤の全質量に対して0.001質量%以上1.0質量%以下の範囲であると、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解がより顕著に抑制され得る。
また、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解を更に顕著に抑制するという観点からは、アスコルビン酸等の含有量は、アスコルビン酸換算で、注射液製剤の全質量に対して0.005質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましく、0.005質量%以上0.1質量%以下であることが更に好ましく、0.007質量%以上0.1質量%以下であることが特に好ましい。
ここで、「アスコルビン酸換算」とは、アスコルビン酸についてはそれ自体の質量を採用し、アスコルビン酸誘導体、アスコルビン酸の塩、及びアスコルビン酸誘導体の塩については、誘導体及び塩に含まれるアスコルビン酸由来の部分構造の質量を採用して、計算することを意味する。
(pH調整剤)
本発明の注射液製剤は、更にpH調整剤を含有することが好ましい。
pH調整剤としては、薬理学的に許容され、かつ、注射液製剤のpHを、6.0を超えて保持し得るpH調整剤であれば、特に限定されるものではない。
pH調整剤としては、具体的には、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、酒石酸又はその塩、酢酸又はその塩、コハク酸又はその塩、乳酸又はその塩、グルコン酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、フマル酸又はその塩、ホウ酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、メタンスルホン酸又はその塩、リンゴ酸又はその塩、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トロメタモール(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、グリシン、メグルミン、及びエデト酸二ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、トリエタノールアミン、トロメタモール(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、及び、エデト酸二ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
リン酸塩又はクエン酸塩としては、薬理学的に許容される塩であればよく、リン酸又はクエン酸とアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)との塩、リン酸又はクエン酸とアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)との塩、リン酸又はクエン酸と遷移金属(例えば、亜鉛、鉄、コバルト、銅等)との塩、リン酸又はクエン酸と塩基性アンモニウムとの塩、リン酸又はクエン酸とトリエタノールアミンとの塩、リン酸又はクエン酸とアミノ酸(例えば、L−ヒスチジン、L−アルギニン、L−リジン等)との塩等が挙げられる。
これらの中でも、リン酸塩又はクエン酸塩としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム等が好ましい。
本発明の注射液製剤では、pH調整剤を含有する場合、pH調整剤を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本発明の注射液製剤がpH調整剤を含有する場合、pH調整剤は、保管中に生じ得る不溶性異物の発生を抑制する観点から、クエン酸及びクエン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、クエン酸三ナトリウム及びクエン酸二ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
注射液製剤中のpH調整剤の含有量は、特に限定されるものではなく、pH調整剤の種類等に応じて、適宜設定すればよい。
(他の成分)
本発明の注射液製剤は、ペメトレキセド又はその塩、特定化合物、及び水性溶媒、並びに、任意成分であるアスコルビン酸等、及びpH調整剤の他に、薬理学的に許容される他の成分を、本発明の目的を損なわない範囲内で、必要に応じて含有していてもよい。
他の成分としては、等張化剤、安定化剤、溶解補助剤、界面活性化剤、持続化剤、消泡剤、着色剤、乳化剤、分散剤、防腐剤、保存剤、溶解剤、溶剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の注射液製剤は、特定化合物、任意成分であるアスコルビン酸等以外に、他の成分として、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール等のヒンダードフェノール系抗酸化剤などの抗酸化剤を含有していてもよい。
他の成分の含有量は、本発明の効果を奏する範囲内で、適宜設定することができる。
等張化剤としては、グルコース、フルクトース等の単糖類、ショ糖、乳糖、セロビオース、ラフィノース、デキストラン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、シクロデキストリン等の糖類、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等の糖アルコール類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂等の無機塩類、タウリン、ニコチン酸アミド、塩化ベンザルコニウム等のアミン類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の注射液製剤のpHは、6.0を超える。
本発明の注射液製剤は、ペメトレキセド又はその塩、特定化合物、及び注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒を含み、かつ、pHが6.0を超えることで、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と注射液製剤の着色とを抑制し得る。
本発明の注射液製剤のpHの下限値は7.0以上であることがより好ましく、7.5以上であることが更に好ましい。本発明の注射液製剤のpHの上限値は、特に限定されるものではないが、注射液製剤として許容される範囲という観点から、13以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。
本明細書において、pHは、注射液製剤の温度を25℃にして測定する。
pHの測定は、特に限定されることはなく、測定法として一般的に使われている方法を用いることができる。例えば、pHは、pHメータ(装置型番:F−73、堀場製作所(株)製、pH電極:マイクロToupH電極9618−10D)により測定することができる。
本発明の注射液製剤は、ペメトレキセド又はその塩の分解と注射液製剤の着色とを顕著に抑制するという観点から、注射液製剤を封入する容器に封入され(容器入り注射液製剤に相当)、容器内の気体中の酸素濃度が1.0体積%以下であることが好ましく、0.5体積%以下であることがより好ましく、0.2体積%以下であることが更に好ましい。
容器内の気体については、不活性ガスで置換することが好ましく、不活性ガスとしては、窒素が好ましい。不活性ガス(特に窒素)によれば、注射液製剤を封入する容器内の気体中の酸素濃度を容易に調整することができる。
容器内の気体中の酸素濃度の測定は、特に限定されるものではなく、測定法として一般的に使われている方法を用いることができる。例えば、酸素モニタ OXY−1(ジコー(株)製)(測定方法:隔膜型ガルバニ電池式)、又は残存酸素計パックマスター(飯島電子工業(株)製)(測定方法:隔膜型ガルバニ電池式)を用いて容器内の気体中の酸素濃度の測定を行うことができる。
測定方法としては、例えば、具体的には、グローブボックスの中で目的の酸素濃度になるように窒素及び酸素の注入量を制御しながら注射液製剤を作製した際に、グローブボックス内にあるセンサ内蔵型の酸素モニタの表示値を読むことで、気体中の酸素濃度を測定する(最小分解能:0.1%)方法か、又は、注射液製剤に酸素濃度測定装置のサンプラー針部分を刺し、注射液製剤における容器内のヘッドスペースの気体を吸引して、気体中の酸素濃度を測定する(最小分解能:0.01%)方法が挙げられる。後者の方法の場合、測定時の容器外の酸素の混入を避けるため、窒素雰囲気下で測定することが好ましい。
本発明の注射液製剤中の溶存酸素濃度は、9ppm以下であることが好ましい。注射液製剤中の溶存酸素濃度を9ppm以下にすると、注射液製剤中に含有されるペメトレキセド又はその塩の分解抑制効果と注射液製剤の着色抑制効果とが向上し得る。
注射液製剤中の溶存酸素濃度は、7ppm以下であることがより好ましく、3ppm以下であることが更に好ましく、0.5ppm以下であることが特に好ましく、0.1ppm以下であることが最も好ましい。
本明細書において、注射液製剤の溶存酸素濃度は、特に限定されることはないが、例えば、InLab(登録商標)ScienceProISM(METTLER TOLEDO(株)製)、又は残存酸素計パックマスター(飯島電子工業(株)製)を用いて測定することができる。
測定方法としては、具体的には、グローブボックスの中で窒素雰囲気下(酸素濃度が0.1体積%以下)において、注射液製剤に酸素濃度測定装置の電極を接液させることで、溶存酸素濃度を測定する。又は注射液製剤に酸素濃度測定装置のサンプラー針部分を刺し、注射液製剤中の液体を吸引して、注射液製剤の溶存酸素濃度を測定する方法が挙げられる。
また、1日以上保管されている注射液製剤中の溶存酸素濃度を測定する場合には、注射液製剤中に溶解している酸素と気体中に存在する酸素とが平衡に達していると考えられるため、例えばヘンリー法則から、気体中の酸素濃度を測定することによって、注射液製剤中の酸素濃度を算出することができる。
注射液製剤を封入する容器としては、バイアル瓶、アンプル、注射器等が挙げられる。これらの中でも、医療現場における取り扱い性の観点から、注射液製剤を封入する容器としては、バイアル瓶が好ましい。
また、注射液製剤を封入する容器としては、水を充填して121℃で60分間加熱処理した場合における水への珪素の溶出量が、1.0ppm以下である容器が好ましく、0.5ppm以下である容器がより好ましい。
注射液製剤を封入する容器としては、市販品を使用することができ、例えば、大協精工(株)製のResin CZ、不二硝子(株)製の3010、3010 シリコート、FY−5、FY−5 シリコート、FY−5 サルファー処理、CS−20 シリコート、CS−30 シリコート、CS−40 シリコート、大和特殊硝子(株)製の23×43LA、23×43VIST等を使用することができる。
また、注射液製剤を封入する容器の包装として、酸素遮断性のフィルムを用いることで、注射液製剤中に含有されるペメトレキセド又はその塩の保存安定性を向上させ得る。
フィルムの素材としては、アルミナコートPET(ポリエチレンテレフタレート)、シリカコートPET、ナノコンポジット系コートPET、PET、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−メチルアクリレート共重合体、タキシリレンアジパミド6ナイロン、二軸延伸ナイロン、無延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、ポリカーボナート、ポリスチレン、低密度ポリエチレン等が用いられる。
フィルムの酸素ガス透過度は、保存安定性の観点から、100cm/m・24h・atm以下であることが好ましく、10cm/m・24h・atm以下であることがより好ましく、2cm/m・24h・atm以下であることが更に好ましい。
なお、注射液製剤を封入する容器は、酸素遮断性のフィルムを用いて一重包装してもよいし、また、複数の酸素遮断性のフィルムを用いて多重包装してもよい。
本発明の注射液製剤では、ペメトレキセド又はその塩の保存安定性を向上させる観点から、容器と容器を包装する最外装との間のいずれかの空間に脱酸素剤を装填してもよい。
脱酸素剤としては、鉄系自立反応型脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製、エージレスZP、エージレスZJ−PT、エージレスZJ−PK、エージレスS)、鉄系水分依存型脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製、エージレスFX)、非鉄系自立反応型脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製、エージレスGLS、エージレスGL−M、エージレスGT)等が用いられる。
本発明の注射液製剤では、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と注射液製剤の着色とを顕著に抑制するという観点から、注射液製剤中のペメトレキセド分子数に対する酸素分子数の比(酸素分子数/ペメトレキセド分子数)は、0.0080以下であることが好ましく、0.0020以下であることがより好ましく、0.0008以下であることが更に好ましい。
ここで、注射液製剤中のペメトレキセド分子数に対する酸素分子数の比(酸素分子数/ペメトレキセド分子数)は、注射液製剤が容器に封入されているときには、容器内の気体中の酸素濃度と、注射液製剤の溶存酸素濃度から平衡状態にある酸素濃度を差し引いた酸素濃度との合計をもとに算出する。また、注射液製剤中のペメトレキセド分子数に対する酸素分子数の比(酸素分子数/ペメトレキセド分子数)は、注射液製剤が容器に封入されていないとき又は注射液製剤が容器に封入されていて気体が存在しないとき(例えば、プレフィルドシリンジ等)には、注射液製剤の溶存酸素濃度をもとに算出する
本明細書において、注射液製剤中のペメトレキセドの分子数と、注射液製剤中の酸素分子数とは、それぞれ以下の方法に従って算出する。
式1.ペメトレキセドの分子数(mol)= 注射液製剤中のペメトレキセドの濃度(mol/L)×注射液製剤の体積(L)
式2.注射液製剤中の酸素分子数(mol)= 気体中の酸素分子数(mol)+注射液製剤中の酸素分子数(mol)
式3.気体中の酸素分子数(mol)= 気体中の酸素濃度(体積%)÷100×容器内の気体の体積(L)÷(0.082×(273.15+温度(℃))
式4.注射液製剤中の酸素分子数(mol)= 溶存酸素濃度(mg/L)÷32÷1000×注射液製剤の体積(L)
なお、式3における温度は、測定方法がグローブボックスの中で目的の酸素濃度になるように窒素と酸素の注入量を制御しながら注射液製剤を作製した際に、グローブボックス内にあるセンサ内蔵型の酸素モニタの表示値を読む場合では、密封した際の温度のことをいう。一方、測定方法が注射液製剤に酸素濃度測定装置のサンプラー針部分を刺し、注射液製剤中の気体を吸引して気体中の酸素濃度を測定する場合には、式3における温度は、測定時の温度のことをいう。
<注射液製剤の製造方法>
本発明の注射液製剤の製造方法は、(i)ペメトレキセド又はその塩と、(ii)亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(iii)注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒と、を含有する注射液製剤を調製すること(以下、適宜、「注射液製剤調製工程」と称する。)、注射液製剤のpHを、6.0を超えるように調整すること(以下、適宜、「pH調整工程」と称する。)、及び、注射液製剤を不活性ガス雰囲気下で容器に充填すること(以下、適宜、「充填工程」と称する。)、又は、注射液製剤を容器に充填した後、容器内の気体を不活性ガスで置換すること(以下、適宜、「置換工程」と称する。)を含む。
本発明の注射液製剤の製造方法は、必要に応じて別の工程を含んでいてもよい。
このようにして製造された注射液製剤は、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解抑制効果と注射液製剤の着色抑制効果とを奏し得る。
以下、本発明の注射液製剤の製造方法について説明するが、上述した本発明の注射液製剤と共通する事項、例えば、注射液製剤に含有される成分及びその量、容器等については、説明を省略する。
(注射液製剤調製工程)
本発明の注射液製剤の製造方法における注射液製剤調製工程は、(i)ペメトレキセド又はその塩と、(ii)亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(iii)注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒と、を含有する注射液製剤を調製する工程である。
注射液製剤調製工程においては、注射液製剤を目視により均一で、かつ、澄明な溶液に調製することができれば、その方法は特に限定されない。注射液製剤を調製する方法としては、例えば、水性溶媒を撹拌しながら、ペメトレキセド又はその塩と、亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を徐々に添加して、水性溶媒に溶解させる方法等が挙げられる。
ペメトレキセド又はその塩を、水性溶媒に溶解させる際の温度条件については、特に限定されるものではなく、水性溶媒に溶解させる成分の組成(種類及び含有量)等に応じて、適宜設定することができる。通常、水性媒体の温度を0℃〜35℃の条件に設定して、ペメトレキセド又はその塩と、亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、必要に応じて他の成分(上述した任意成分を含む)と、を溶解させる。
(pH調整工程)
本発明の注射液製剤の製造方法におけるpH調整工程は、注射液製剤調製工程で得られた注射液製剤のpHを、6.0を超えるように調整する工程である。
pH調整工程において、pHを調整する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上述したpH調整剤等を用いて調整することができる。
また、pH調整工程において調整される注射液製剤のpH値は、注射液製剤の温度を25℃にして測定される値である。
pH調整工程では、保管中のペメトレキセド又はその塩の分解と注射液製剤の着色とが顕著に抑制され得る注射液製剤を得る観点から、注射液製剤のpHを、7.0以上となるように調整することが好ましく、7.5以上となるように調整することがより好ましい。注射液製剤として許容される範囲という観点から、注射液製剤のpHを、13を超えないように調整することが好ましく、12を超えないように調整することがより好ましい。
(充填工程)
本発明の注射液製剤の製造方法における充填工程は、注射液製剤を不活性ガス雰囲気下で容器に充填する工程である。
充填工程において、注射液製剤を不活性ガス雰囲気下で容器に充填する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
不活性ガスとしては、窒素が好ましい。
(置換工程)
本発明の注射液製剤の製造方法における置換工程は、注射液製剤を容器に充填した後、容器内の気体を不活性ガスで置換する工程である。
置換工程において、注射液製剤が充填された容器内の気体を不活性ガスで置換する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
不活性ガスとしては、窒素が好ましい。
なお、注射液製剤を製造する一般的な方法については、例えば、特表2003−521518号公報等の記載を参照することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1:注射液製剤(C−1)の作製>
攪拌子を入れた清潔な50mLバイアルに、注射用水(光製薬(株)製)19.0g、亜硫酸水素ナトリウム(商品名:日本薬局方 亜硫酸水素ナトリウム「製造専用」、和光純薬工業(株)製)21mg、ペメトレキセド二ナトリウム(ペメトレキセドとして525mg)、クエン酸三ナトリウム(商品名:クエン酸三ナトリウム二水和物、メルクミリポア(株)製)21mg、及びマンニトール(商品名:マンニットP、東和化成工業(株)製)567mgを秤量し、室温で10分間攪拌溶解した。なお、混合溶液が均一で、かつ、澄明な溶液になったことの判断は目視により行った。具体的には、外観を肉眼的に観察し、溶け残りが認められないときに溶解終了と判断した。
得られた混合溶液に、1N(1mol/L)塩酸(和光純薬工業(株)製)を少しずつ加えてpH値が6.5になるように調整し、全量が21.0gとなるように注射用水を加えることで注射液製剤を得た。
得られた注射液製剤をグローブボックス内に置き、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌することで、注射液製剤中の気体の窒素置換を行なった(溶存酸素濃度:0.01ppm)。その後、窒素雰囲気下(酸素濃度:0.5体積%〜0.7体積%、温度25.0℃)において、0.2μmのフィルター(PTFE製)で滅菌ろ過した後、2mLをバイアル(不二硝子(株)製、バイアル瓶3010 シリコート)に充填した。なお、このときの容器内の気体体積は2.3mLであった。ラミネートコーティングされたゴム栓(大協精工(株)製)で密栓し、バイアルとゴム栓の口とを覆うようにアルミシール(日電理化(株)製、アルミシールB(中))をかぶせ、上からクリッパーで締め付けることで、目的の注射液製剤(C−1、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸水素ナトリウム含有量:0.1質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、容器空間の酸素濃度(0.5体積%〜0.7体積%)が変化しないことを、後述する方法により確認した。
<実施例2:注射液製剤(C−2)の作製>
実施例1に記載の亜硫酸水素ナトリウムの量を210mgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、目的の注射液製剤(C−2、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸水素ナトリウム含有量:1.0質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、容器空間の酸素濃度(0.5体積%〜0.7体積%)が変化しないことを、後述する方法により確認した。
<実施例3:注射液製剤(C−3)の作製>
攪拌子を入れた清潔な15mLバイアルに、注射用水(光製薬(株)製)7.00g、予め調液しておいた亜硫酸ナトリウム(商品名:亜硫酸ナトリウム、和光純薬工業(株)製)の1質量%水溶液90mg、ペメトレキセド二ナトリウム(ペメトレキセドとして225mg)、クエン酸三ナトリウム(商品名:クエン酸三ナトリウム二水和物、メルクミリポア(株)製)9.0mg、マンニトール(商品名:マンニットP、東和化成工業(株)製)243mg、及び予め調液しておいたアスコルビン酸1質量%水溶液(DSMニュートリションジャパン(株)製)90mgを秤量し、室温で10分間攪拌溶解し、混合溶液を得た。なお、混合溶液が均一で、かつ、澄明な溶液になったことの判断は目視により行った。具体的には、外観を肉眼的に観察し、溶け残りが認められないときに溶解終了と判断した。
得られた混合溶液に、1N(1mol/L)塩酸(和光純薬工業(株)製)を少しずつ加えてpH値が6.5になるように調整し、全量が21.0gとなるように注射用水を加えることで注射液製剤を得た。
上記以外は、実施例1と同様にして、目的の注射液製剤(C−3、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸ナトリウム含有量:0.01質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、容器空間の酸素濃度(0.5体積%〜0.7体積%)が変化しないことを、後述する方法により確認した。
<実施例4:注射液製剤(C−4)の作製>
実施例3に記載の亜硫酸ナトリウムの1質量%水溶液の量を900mgに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、目的の注射液製剤(C−4、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸ナトリウム含有量:0.1質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、容器空間の酸素濃度(0.5体積%〜0.7体積%)が変化しないことを、後述する方法により確認した。
<実施例5:注射液製剤(C−5)の作製>
実施例3に記載の亜硫酸ナトリウムの1質量%水溶液の量を9.0mgに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、目的の注射液製剤(C−5、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸ナトリウム含有量:0.001質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、容器空間の酸素濃度(0.5体積%〜0.7体積%)が変化しないことを、後述する方法により確認した。
<実施例6:注射液製剤(C−6)の作製>
実施例3に記載の亜硫酸ナトリウムの1質量%水溶液の量を、ピロ亜硫酸ナトリウム(商品名:日本薬局方 ピロ亜硫酸ナトリウム、和光純薬工業(株)製)の1質量%水溶液90mgに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、目的の注射液製剤(C−6、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中のピロ亜硫酸ナトリウム含有量:0.01質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、容器空間の酸素濃度(0.5体積%〜0.7体積%)が変化しないことを、後述する方法により確認した。
<比較例1:注射液製剤(R−1)の作製>
攪拌子を入れた清潔な50mLバイアルに、注射用水(光製薬(株)製)18.0g、及びペメトレキセド二ナトリウム(ペメトレキセドとして525mg)を秤量し、室温で10分間攪拌溶解した。なお、混合溶液が均一で、かつ、澄明な溶液になったことの判断は目視により行なった。具体的には、外観を肉眼的に観察し、溶け残りが認められないときに溶解終了と判断した。
得られた混合溶液に、1N(1mol/L)塩酸(和光純薬工業(株)製)を少しずつ加えてpH値が6.5になるように調整し、全量が21.0gとなるように注射用水を加えることで注射液製剤を得た。
得られた注射液製剤をグローブボックス内に置き、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌することで、溶液中の気体の窒素置換を行なった(溶存酸素濃度:0.01ppm)。その後、窒素雰囲気下(酸素濃度:0.5体積%〜0.7体積%、温度25.0℃)において、0.2μmのフィルター(PTFE製)で滅菌ろ過した後、2mLをバイアル(不二硝子(株)製、バイアル瓶3010 シリコート)に充填した。なお、このときの容器内の気体体積は2.3mLであった。ラミネートコーティングされたゴム栓(大協精工(株)製)で密栓し、バイアルとゴム栓の口とを覆うようにアルミシール(日電理化(株)製、アルミシールB(中))をかぶせ、上からクリッパーで締め付けることで、目的の注射液製剤(R−1、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、容器空間の酸素濃度(0.5体積%〜0.7体積%)が変化しないことを、後述する方法により確認した。
注射液製剤(C−1)〜(C−6)、及び(R−1)の組成を表2に示す。なお、表2の処方の欄における「−」は未配合を示す。また、表2における注射用水の数値の単位は質量%である。
各注射液製剤の容器内の気体中の酸素濃度は、以下の測定機器を用いて測定した。測定値を表2に示す。
測定機器:残存酸素濃度計パックマスター(飯島電子工業(株)製)
測定方法:隔膜形ガルバニ電池式
測定方法としては、具体的には、グローブボックスの中で窒素雰囲気下(気体酸素濃度0.1v/v%未満)において、注射液製剤に酸素濃度測定装置のサンプラー針部分を刺し、注射液製剤中の気体を吸引することで、気体中の酸素濃度を測定する。
各注射液製剤に含有される注射液製剤中の溶存酸素濃度を測定するための装置として、InLab(登録商標)ScienceProISM(METTLER TOLEDO(株)製)を用いた。注射液製剤に酸素濃度測定装置の電極を接液させることで、溶存酸素濃度を測定した。測定値を表2に示す。
各注射液製剤中のペメトレキセド分子数に対する酸素分子数の比(酸素分子数/ペメトレキセド分子数)は、以下の方法により算出した。算出値を表2に示す。
式1.ペメトレキセドの分子数(mol)= 注射液製剤中のペメトレキセドの濃度(mol/L)×注射液製剤の体積(L)
式2.注射液製剤中の酸素分子数(mol)= 気体中の酸素分子数(mol)+注射液製剤中の酸素分子数(mol)
式3.気体中の酸素分子数(mol)= 気体中の酸素濃度(体積%)÷100×容器内の気体の体積(L)÷(0.082×(273.15+温度(℃))
式4.注射液製剤中の酸素分子数(mol)= 溶存酸素濃度(mg/L)÷32÷1000×注射液製剤の体積(L)
[評価]
得られた注射液製剤(C−1)〜(C−6)、及び(R−1)について、窒素雰囲気下(気体中の酸素濃度:0.5体積%〜0.7体積%)で、エージレス(三菱ガス化学(株)製、Z−100PKC)入りのラミジップ(PET/AL製)に入れ、ヒートシールを施したものを、70℃の恒温槽に1週間保管する苛酷試験を行なった。
その後、下記に記載の方法にて、ペメトレキセドの分解及び注射液製剤の着色からみた注射液製剤の保存安定性の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
1.保存安定性(ペメトレキセドの分解からみた評価)
苛酷試験後の注射液製剤約10mgを1mLメスフラスコに秤量し、超純水でメスアップして苛酷試験後試料液を得た。苛酷試験前の注射液製剤についても同様の方法で調液し、苛酷試験前試料液を得た。
高速液体クロマトグラフにより、ペメトレキセドの分解物の定量を行った。ペメトレキセドの分解物として、下記の測定条件において、保持時間16.6分に検出される分解物(以下、「分解物A」と称する。)の量を定量した。
(HPLC測定条件)
検出器:UV検出器 (検出波長:230nm)
カラム:資生堂(株)製、CapcellPak C−18、UG120、4.6×150mm
カラム温度:25℃
展開溶媒: A;0.1vol%リン酸水溶液
B;アセトニトリル
流速:1.5mL/min
サンプルクーラー温度:4℃
注入量:5μL
ペメトレキセドの酸化により生じる分解物Aの量を指標として、保存安定性の評価を行なった。苛酷試験前試料液中のペメトレキセドの量に対する苛酷試験後試料液中の分解物Aの量の割合(%)をそれぞれのピーク面積に基づいて求め、下記の評価基準に従って、ペメトレキセドの分解からみた保存安定性の評価を行なった。
(評価基準)
AAA:0.060%未満
AA :0.060%以上0.100%未満
A :0.100%以上0.200%未満
B :0.200%以上
2.保存安定性(注射液製剤の着色からみた評価)
苛酷試験後の注射液製剤の着色を、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、V−630)を用いて、定量的に評価した。具体的には、苛酷試験後の注射液製剤を超純水で10倍希釈した試料液を調液し、波長420nmの吸光度を求め、下記の評価基準に従って、注射液製剤の着色からみた保存安定性の評価を行った。
(評価基準)
A :0.006未満
B :0.006以上
3.総合評価
下記の評価基準に従って、総合評価を行なった。
(評価基準)
AA:分解からみた評価がAAA、若しくはAAであり、かつ、着色からみた評価がAである。
A :分解からみた評価がAであり、かつ、着色からみた評価がAである。
B :分解からみた評価がBである、若しくは着色からみた評価がBである。
表2の結果から、亜硫酸水素ナトリウム等の特定化合物を含有させることにより、保管中のペメトレキセドの分解及び注射液製剤の着色が抑制された注射液製剤が得られることが明らかとなった。
また、亜硫酸水素ナトリウム等の特定化合物に加えて、更にアルコルビン酸を含有させることにより、ペメトレキセドの分解が顕著に抑制された注射液製剤が得られることが明らかとなった。
<実施例7:注射液製剤(C−7)の作製>
攪拌子を入れた清潔な50mLバイアルに、注射用水(光製薬(株)製)1.00g、予め調液しておいた亜硫酸ナトリウム(商品名:亜硫酸ナトリウム、和光純薬工業(株)製)の1質量%水溶液45mg、及びペメトレキセド二ナトリウム(ペメトレキセドとして37.5mg)を秤量し、室温で10分間攪拌溶解した。なお、混合溶液が均一で、かつ、澄明な溶液になったことの判断は目視により行なった。具体的には、外観を肉眼的に観察し、溶け残りが認められないときに溶解終了と判断した。
得られた混合溶液に、1N(1mol/L)水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を少しずつ加えてpH値が8.7になるように調整し、全量が1.50gとなるように注射用水を加えることで、注射液製剤を得た。
得られた注射液製剤をグローブボックス内に置き、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌することで、溶液中の気体の窒素置換を行なった(溶存酸素濃度:0.01ppm)。その後、窒素雰囲気下(酸素濃度:0.1体積%未満、温度25.0℃)において、0.2μmのフィルター(PTFE製)で滅菌ろ過した後、1mLをバイアル(日電理化硝子(株)製、バイアル瓶NV−3)に充填した。ゴム栓(日電理化硝子(株)製)で密栓し、バイアルとゴム栓の口とを覆うようにアルミシール(日電理化(株)製、アルミシールB(小))をかぶせ、上からクリッパーで締め付けることで、目的の注射液製剤(C−7、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸ナトリウム含有量:0.03質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
<実施例8:注射液製剤(C−8)の作製>
実施例7に記載の注射液製剤のpHを7.0に変更した以外は、実施例7と同様にして、目的の注射液製剤(C−8、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸ナトリウム含有量:0.03質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
<実施例9:注射液製剤(C−9)の作製>
実施例7に記載の亜硫酸ナトリウムの1質量%水溶液45mgを、亜硫酸水素ナトリウム(商品名:日本薬局方 亜硫酸水素ナトリウム「製造専用」、和光純薬工業(株)製)の1質量%水溶液45mgに変更したこと以外は、実施例7と同様にして、目的の注射液製剤(C−9、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸水素ナトリウム含有量:0.03質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
<実施例10:注射液製剤(C−10)の作製>
実施例9に記載の亜硫酸水素ナトリウムの1質量%水溶液の量を150mgに変更したこと以外は、実施例9と同様にして、目的の注射液製剤(C−10、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸水素ナトリウム含有量:0.1質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
<実施例11:注射液製剤(C−11)の作製>
実施例10に記載の注射液製剤のpHを、7.0に変更した以外は、実施例10と同様にして、目的の注射液製剤(C−11、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸水素ナトリウム含有量:0.1質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
<実施例12:注射液製剤(C−12)の作製>
実施例10に記載の亜硫酸水素ナトリウムの1質量%水溶液の量を450mgに変更したこと以外は、実施例10と同様にして、目的の注射液製剤(C−12、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸水素ナトリウム含有量:0.3質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
<比較例2:注射液製剤(R−2)の作製>
攪拌子を入れた清潔な50mLバイアルに、注射用水(光製薬(株)製)1.00g、及びペメトレキセド二ナトリウム(ペメトレキセドとして40.5mg)を秤量し、室温で10分間攪拌溶解した。なお、混合溶液が均一で、かつ、澄明な溶液になったことの判断は目視により行なった。具体的には、外観を肉眼的に観察し、溶け残りが認められないときに溶解終了と判断した。
得られた混合溶液に、0.1N(0.1mol/L)水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を少しずつ加えてpH値が8.7になるように調整し、全量が1.50gとなるように注射用水を加えることで注射液製剤を得た。
得られた注射液製剤をグローブボックス内に置き、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌することで、溶液中の気体の窒素置換を行なった(溶存酸素濃度:0.01ppm)。その後、窒素雰囲気下(酸素濃度:0.1体積%未満、温度25.0℃)において、0.2μmのフィルター(PTFE製)で滅菌ろ過した後、1mLをバイアル(日電理化硝子(株)製、バイアル瓶NV−3)に充填した。ゴム栓(日電理化硝子(株)製)で密栓し、バイアルとゴム栓の口とを覆うようにアルミシール(日電理化(株)製、アルミシールB(小))をかぶせ、上からクリッパーで締め付けることで、目的の注射液製剤(R−2、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
<比較例3:注射液製剤(R−3)の作製>
攪拌子を入れた清潔な5mLバイアルに、注射用水(光製薬(株)製)1.00g、予め調液しておいた亜硫酸ナトリウム(商品名:亜硫酸ナトリウム、和光純薬工業(株)製)の1質量%水溶液45mg、及びペメトレキセド二ナトリウム(ペメトレキセドとして37.5mg)を秤量し、室温で10分間攪拌溶解し、混合溶液を得るとともに、得られた混合溶液に、1N(1mol/L)塩酸(和光純薬工業(株)製)を少しずつ加えてpH値が6.0になるように調整し、全量が1.50gとなるように注射用水を加えることで注射液製剤を得たこと以外は、比較例2と同様にして、目的の注射液製剤(R−3、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸ナトリウム含有量:0.03質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
<比較例4:注射液製剤(R−4)の作製>
比較例3に記載の亜硫酸ナトリウムの1質量%水溶液45mgを、亜硫酸水素ナトリウム(商品名:日本薬局方 亜硫酸水素ナトリウム「製造専用」、和光純薬工業(株)製)の1質量%水溶液150mgに変更したこと以外は、比較例3と同様にして、目的の注射液製剤(R−4、注射液製剤中のペメトレキセド含有量:2.5質量%、注射液製剤中の亜硫酸水素ナトリウム含有量:0.1質量%)を得た。
なお、保管中のサンプルでも、溶存酸素濃度(0.01ppm)及び容器空間の酸素濃度(0.1体積%未満)が変化しないことを、上述の方法により確認した。
注射液製剤(C−7)〜(C−12)、及び(R−2)〜(R−4)の組成を表3に示す。なお、表3の処方の欄における「−」は未配合を示す。また、表3における注射用水の数値の単位は質量%である。
[評価]
得られた注射液製剤(C−7)〜(C−12)、及び(R−2)〜(R−4)について、窒素雰囲気下(気体中の酸素濃度:0.1体積%未満)で、エージレス(三菱ガス化学(株)製、Z−100PKC)入りのラミジップ(PET/AL製)に入れ、ヒートシールを施したものを、70℃の恒温槽に1週間保管する苛酷試験を行なった。
その後、上記と同様の方法にて、ペメトレキセドの分解からみた注射液製剤の保存安定性の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
表3の結果から、注射液製剤が特定化合物を含有していても、そのpHが6.0以下であると、保管中のペメトレキセドの分解を抑制する効果をほとんど奏しないことが明らかとなった。
特定化合物を含有する注射液製剤は、pHが6.0を超えて高いほど、保管中のペメトレキセドの分解が顕著に抑制されることが明らかとなった。
亜硫酸ナトリウムを含む注射液製剤の方が、亜硫酸水素ナトリウムを含む注射液製剤よりも、保管中のペメトレキセドの分解が顕著に抑制されることが明らかとなった。

Claims (10)

  1. (i)〜(iii)を含み、かつ、pHが6.0を超える注射液製剤。
    (i)ペメトレキセド又はその塩
    (ii)亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種
    (iii)注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒
  2. 更に注射液製剤を封入する容器に封入され、容器内の気体中の酸素濃度が1.0体積%以下である請求項1に記載の注射液製剤。
  3. 注射液製剤中のペメトレキセド分子数に対する酸素分子数の比(酸素分子数/ペメトレキセド分子数)が、0.0080以下である請求項1に記載の注射液製剤。
  4. 亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量が、注射液製剤の全質量に対して0.03質量%以上1.0質量%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の注射液製剤。
  5. 注射液製剤のpHが7.0以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の注射液製剤。
  6. 更に、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の注射液製剤。
  7. アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量が、アスコルビン酸換算で、注射液製剤の全質量に対して0.001質量%以上1.0質量%以下である請求項6に記載の注射液製剤。
  8. 亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、及びピロ亜硫酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の注射液製剤。
  9. (i)ペメトレキセド又はその塩と、(ii)亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、ピロ亜硫酸又はその塩、亜硝酸又はその塩、二酸化硫黄、及びチオ硫酸又はその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(iii)注射液製剤の全質量に対して50質量%以上の水性溶媒とを含有する注射液製剤を調製すること、
    注射液製剤のpHを、6.0を超えるように調整すること、及び、
    注射液製剤を不活性ガス雰囲気下で容器に充填すること、又は、注射液製剤を容器に充填した後、容器内の気体を不活性ガスで置換することを含む注射液製剤の製造方法。
  10. 不活性ガスが窒素である請求項9に記載の注射液製剤の製造方法。
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