JP2015118318A - 光アッテネータ - Google Patents

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洋一 鈴木
友弘 藤沢
Tomohiro Fujisawa
友弘 藤沢
博貴 河合
Hirotaka Kawai
博貴 河合
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Abstract

【課題】低電圧駆動が可能な小型で安価な光アッテネータを提供する。【解決手段】前後の光軸100と左右対称に、第1と第2の光ファイバ(23i、23o)を含む2芯光ファイバ23、コリメートレンズ22、二等辺三角形状の三角プリズム30、電気光学物質12の上下に電極11を備えた電気光学素子10a、光学軸51が上下に対して45゜の1/4波長板50a、反射板60、多重反射部40を備え、上方から見た光路が左右対称で第1の光ファイバからの光は前記レンズの焦点101、三角プリズムを経て多重反射部で電気光学素子内を多重反射して1/4波長板から反射板に入射し、反射板に至る前と後の光路は、電極間電圧が無い状態では左右方向から見ると光軸と一致して第2の光ファイバに結合し、電圧印加状態では電気光学物質の空間電荷制限状態に伴う屈折率分布により上下方向に偏向して光の結合損失が変化する。【選択図】図5

Description

この発明は、物質の電気光学効果を利用して入射光の透過と遮断を制御したり、入射した光の減衰量を可変制御したりするための光アッテネータに関する。
光アッテネータとしては、例えば、PLZT(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛)などの電気光学効果を有する物質(以下、電気光学物質あるいはEO物質と言う)を用いたものがある。このEO物質を用いた光アッテネータは、一般に、対向配置された一対のコリメータと、平板状のEO物質の両面に電極を形成した電気光学素子、偏光子、検光子、および電極間に電界を印加するための駆動回路から構成され、光が入力される側の一方のコリメータから光が出力される側の他方のコリメータに向かって、偏光子、電気光学素子、検光子がこの順に光路に沿って配置された構造となっている。そして、偏光子と検光子は、光学軸が互いに直交するように対面し、互いに平行となるように配置されている。また、EO物質の両面に配置された二つの電極間にできる電界の方向は、偏光子の光学軸に対して45゜傾いている。
そして、電極間に電界を印加していないときは、偏光子を透過してきた直線偏光がその偏波面を維持したまま検光子に入射し、光が遮断される。一方、駆動回路により電極間に十分な電界を印加すると、EO物質を透過する光に位相差(リタデーション)が生じ、その電界方向に偏波面が90゜回転する。その結果、入射光が検光子を透過する。また、電界強度に応じて偏波面の傾きを制御することで検光子を透過する光の強度減衰量を変化させることができる。
なお、上述したEO物質を用いた光アッテネータでは、原理的にEO物質内の電界強度を極めて高くする必要がある。すなわち、電極間の電圧を高くする必要がある。そこで、電極間の電圧(駆動電圧)を低くするために、EO物質を電極で挟持した構造を積層させた多層構造を採用し、70V程度の電圧でも有効に動作する光アッテネータが実用化された。そして、この光アッテネータは実際に市販品として提供されている(例えば、フルウチ化学株式会社製「PLZT高速光シャッター」)。
しかし、上記市販の「PLZT高速光シャッター」では、多層構造の層間を光路としているため、回折、あるいは電極による光散乱や反射が生じ、透過損失が大きくなる、という問題がある。そこで、以下の特許文献1に記載されている光アッテネータでは、EO物質を薄膜化するとともに、その薄いEO物質を集光レンズの焦点近傍に配置している。それによって、上述した多層構造に由来する光学的な各種問題を解決しながら、電極間距離を小さくして15V程度の低電圧での駆動を実現している。なお、本発明に関連する文献としては以下の特許文献2や非特許文献1がある。
WO2005/121876号公報 特開2011−118438号公報
日本電信電話株式会社、"NTT技術ジャーナル、2007.12、56頁〜59頁、「KTa1-xNbxO3結晶におけるKerr効果と空間電荷制御電気伝導による光ビームスキャナ」"、[online]、[平成25年11月25日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt.co.jp/journal/0712/files/jn200712056.pdf>
光アッテネータとしては、EO物質の電気光学効果に基づくリタデーションを利用した形態に限らず、種々の原理や物質を利用した形態が存在する。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ファラデー素子、液晶などの光学素子を用いたものである。ここで、光アッテネータの主要な利用分野である光通信での用途を考えると、MEMSや液晶を光学素子として用いた方式では応答速度が遅く、採用し難い。ファラデー素子を用いた方式では、磁界を印加するための構造が複雑であり、素子以外の周辺構成を含めると小型化が難しくなる。また、磁界を可変制御するために電磁石を用いており、その電磁石を駆動するために比較的大きな電流が必要となり省電力化が難しい。
一方、EO物質によるリタデーションを利用した光アッテネータでは、高速応答性に優れ、電界を印加するだけで駆動できるため、小型化し易く、また、電界強度によって制御するため、電流がほとんど流れず、省電力でもある。したがって、EO物質を光学素子として用いた光アッテネータは他の素子を用いた光アッテネータよりも省電力化と小型化に有利であると言える。しかし、EO物質を用いた従来の光アッテネータではリタデーションを利用するため光路上に偏向素子を配置することが必須の条件となる。そのため、光路の延長後方を前後方向とすると、その前後方向の長さを縮小することが難しい。また部品点数の増加によるコストアップも問題となる。また、上述した市販の光アッテネータではそれ以前の光アッテネータよりは低電圧で駆動できるものの、それでも70Vの高電圧で駆動する必要がある。上記特許文献1に記載の光アッテネータでは、駆動電圧を15Vまで下げるために、電極間の距離を極めて狭くしている。また、集光レンズも必要としている。そのため、EO物質の加工が難しく、部品点数もさらに多くなり製造コストが増加する。
そこで本発明は、EO物質を光学素子としつつ、さらなる小型化が可能な光アッテネータを大きなコストアップを伴わずに提供することを主な目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、入力側の第1の光ファイバからの出射光の強度を減衰させて出力側の第2の光ファイバから出力する光アッテネータであって、
前後方向に延長する光軸と直交する二方向を上下方向および左右方向として、
前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバは、光軸に対して左右対称に配置されるとともに前方に向けて開口する2芯光ファイバを形成し、
光軸に対して左右対称に配置されるコリメートレンズ、三角プリズム、電気光学素子、1/4波長板、反射板、および前記電気光学素子の前方と後方にて反射面を互いに対面させてなる多重反射部を備え、
前記三角プリズムは、上方からの平面形状が二等辺三角形であり、
前記電気光学素子は、電気光学効果を有する電気光学物質が上下方向に対面する電極によって挟持されてなり、
前記1/4波長板は、上下左右の各方向に対して45°方向に光学軸を有し、
上方から見たときに、前記第1の光ファイバから前記反射板に至る往路と、当該反射板から前記第2の光ファイバに至る復路のそれぞれの光路が光軸に対して左右対称に形成され、
前記往路は、前記第1前記コリメートレンズが前記第1の光ファイバからの入射光を前焦点位置にて光軸と交差する方向に出射させて三角プリズムに入射させる光路と、当該三角プリズムが当該入射光を光軸方向に屈折させて前記EO素子に入射させる光路と、前記多重反射部が当該EO素子への入射光を多重反射させて前記電気光学物質を前後方向に複数回透過させる多重反射光路と、当該多重反射光路に連続して前記1/4波長板に光を透過させた上で前記反射板に入射させる光路とからなり、
前記電気光学素子の電極間に電圧が印加されていない状態では、左右方向から見たときの前記往路と前記復路の光路が前記光軸と一致して、前記第1の光ファイバからの光が前記第2の光ファイバに結合し、
前記電気光学素子の電極間に電圧が印加されている状態では、前記電気光学物質内に空間電荷制限状態に伴う屈折率分布が発生し、当該電気光学物質に入射した光の光路が前記印加した電圧よって発生した電界の強度に応じた角度で上下方向に偏向することで、前記第2の光ファイバに入射する光の結合損失が変化する、
ことと特徴とする光アッテネータとしている。
上記光アッテネータは、後方から前方に向かって、前記2芯光ファイバ、前記コリメートレンズ、前記三角プリズム、前記電気光学素子、前記1/4波長板、前記反射板がこの順に配置されているとともに、前記多重反射部は、前記電気光学素子の前記電気光学物質の前面と後面に形成された反射膜から構成され、
前記電気光学物質の後面に形成されている前記反射膜は、前記往路と前記復路の双方にて、前記三角プリズムと前記電気光学素子との間に形成される光路上に開口部を有し、
前記電気光学物質の前面に形成されている前記反射膜は、往路にて前記後面の反射膜との間で前記EO素子に入射した光を多重反射させたのちに前記1/4波長板に向けて出射する光路上、および復路にて前記EO素子に入射した光を多重反射させたのちに前記三角プリズムに向けて出射する光路上のそれぞれに開口部を有している、
ことを特徴とする光アッテネータとしてもよい。
あるいは、前記2芯光ファイバ、前記コリメートレンズ、前記三角プリズム、前記反射板、前記1/4波長板、前記電気光学素子がこの順に配置され、
前記反射板は前面を反射面として、当該反射面が前記多重反射部の一方の反射面を兼ねているとともに、当該多重反射部の他方の反射面が前記電気光学素子の後方に配置され、
前記反射板は、前記往路と前記復路の双方にて、前記三角プリズムと前記EO素子との間に形成される光路を妨害しないように左右の幅が設定され、
前記1/4波長板は、前記往路と前記復路の双方にて、前記三角プリズムと前記EO素子との間に形成される光路と、前記多重反射部によって多重反射している光路を妨害しないように左右の幅が設定されている、
ことを特徴とする光アッテネータとすることもできる。
上記いずれかに記載の光アッテネータにおいて、前記電気光学物質が一般式K1-yTa1-xNb(但し、Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される物質である光アッテネータとすればより好ましい。
本発明の光アッテネータによれば、低電圧駆動が可能で減衰特性に優れている。また、製造の容易性を確保しつつ小型化が可能であり、安価に提供することも期待できる。
電気光学物質内の空間電荷制限状態を説明するための図である。 空間電荷制限状態における電気光学物質内の位置と電界強度との関係を示す図である。 電気光学物質に印加される電圧と光の偏向角度の関係を示す図である。 電気光学物質における光の偏向動作を示す図である。 本発明の第1の実施例に係る光アッテネータの構成を示す図である。 上記第1の実施例に係る光アッテネータのオン動作を示す図である。 上記第1の実施例に係る光アッテネータのオフ動作を示す図である。 本発明の第2の実施例に係る光アッテネータの構成を示す図である。 上記第2の実施例に係る光アッテネータの動作を示す図である。
===光アッテネータの動作原理===
上述したように、光アッテネータには、高速応答性、省電力化、低電圧駆動、小型化などの性能が求められる。そして本発明者は、さらなる小型化や低電圧駆動を実現するために、上記の市販品「PLZT高速光シャッター」や、上記特許文献1に記載の技術を利用した光アッテネータなど、EO物質の電気光学効果に基づく位相差(リタデーション)を用いた光アッテネータを改良することを考え、鋭意研究を重ねた。
しかしながら、従来のリタデーションを動作原理とした光アッテネータを始め、現存する光アッテネータの延長線上では、小型化と低電力駆動を高いレベルで両立させることが極めて困難であることが判明した。そこでEO物質が持つ電気光学効果について再考し、全く新規な構成の光アッテネータの実現可能性について検討した。そして、電界強度の傾斜に起因するEO物質内の屈折率分布による光の偏向作用に注目した。
図1にEO物質eo内に屈折率分布が発生する原理を示した。なお当該図1では、(A)〜(C)の順に、電界印加に伴うEO物質eo内の電子(e、e1〜e4)の分布の推移を示している。EO物質eoを用いた電気光学素子(以下、EO素子とも言う)10cは、対向する電極間(Ad−Cd)にEO物質eoを配置した構成であり、その電極(Ad、Cd)となる金属と誘電体であるEO物質eoとがオーミック接触である場合、対向する電極間(Ad−Cd)に電圧を与えると、(A)に示したように、マイナス極側となるカソード電極Cdから放出された電荷(電子)eがプラス極となるアノード電極Adに向かって加速される。
ここで電極間(Ad−Cd)に電圧を印加し続けると、(B)に示したように、カソード電極Cdから次々に電子e2が放出されるとともに、先に放出された電子e1は、それぞれが自身に向かうように放射方向の電場Eeを発生させる。そして、カソード電極Cdから次々に放出される電子e2と先に放出された電子e1が発生する電場Eeとの間で斥力が働き、後から放出された電子e2が減速し、局所的に先に放出された電子e1の密度が高くなっていく。その局所的な電子e1の密度が十分に高くなると、(C)に示したように、電子e1が高密度で存在する領域e4における電場が強大となり、一部の電子e3がカソード電極Cd側に反射される。それによって、EO物質eo内に電子eが空間電荷として溜まり、EO物質eo内ではカソード電極Cdからアノード電極Adに向かって電子eの密度に傾斜が発生する。すなわち、電界強度がEO物質eo内の位置で一様でなくなり、所謂「空間電荷制限状態」となる。
カソード電極CdとEO物質eoとの境界からアノード電極Adへ向かう距離をxとすると、当該空間電荷制限状態における距離xと電界強度Eとの関係は図2に示したようになる。また、EO物質eoの電気光学効果は電界強度に依存し、例えば、ボッケルス効果であれば電界強度に比例し、カー効果であれば電界強度の二乗に比例する。したがって、EO物質eo内の屈折率は上記距離xの位置に応じて変化し、その結果として、EO物質に入射した光は当該EO物質内で電荷密度が高いところから低いところに向けて曲がる(偏向する)。また図3に示したように、電極間(Cd−Ad)に印加した電圧Vに応じてその偏向角度θが大きくなる。そしてこの光の偏向状態は、EO物質eo内に溜まった空間電荷が自由電荷として放出されるまで持続する。
図4は、EO素子10cによる光の偏向動作を示す図であり、この図ではEO物質eoの内外を通る光(ビーム)の中心が辿る軌跡(光路)を示している。EO物質eoは複屈折性を有し、当該EO物質eoに入射した光Binは電界Eの方向と平行なTE成分の光(TE光)BTEと、電界Eの方向と直交する成分の光(TM光)BTMとに分離する。EO物質eoはそれぞれの成分の光(BTE、BTM)に対して異なる屈折率を有しているため、EO物質eoが空間電荷制限状態にあると、それぞれの成分の光(BTE、BTM)が入射光Binの進行方向に対してそれぞれ異なる角度(θ、φ)の方向に偏向する。 この図4に示した例では、カー効果に起因する電気光学効果を発現し、そのカー定数の絶対値と負号がTE光BTEとTM光BTMとによって異なるEO物質eoを例に挙げており、TE光BTEとTM光BTMは入射光Binに対して反対方向に偏向している。そして、EO物質eo内の各成分の光(BTE、BTM)はEO物質eoの内外の境界にて屈折し、最終的に偏波面が互いに直交する光(BoE、BoM)として互いに異なる角度(θ、φ)方向に向かって出射する。
なお、この空間電荷制限状態の発現原理や、空間電荷制限状態とEO物質eo内での屈折率分布との関係などについては、上記特許文献2や非特許文献1になどに詳しく記載されている。そしてこれらの文献には空間電荷制限状態に伴うEO物質内の屈折率分布を利用し、レーザープリンターの感光体に潜像を形成するためのスキャナなどに適用する実施形態について記載されている。
ここで本発明者は、EO物質における上記光の偏向作用を光アッテネータに利用することを考えた、しかし、上記特許文献2や非特許文献1に記載されている技術は、EO物質に直線偏光を入射させることを前提としている。すなわち、動作原理が異なるだけで構造的には従来の光アッテネータと同じとなり、低電力駆動、小型化などの要請に十分に応えることができない。そこで本発明者は、光アッテネータの構造自体を根本的に見直し、本発明に想到した。
===本発明に係る実施例===
本発明の実施例に係る光アッテネータは、EO素子における上記の空間電荷制限状態に基づく光偏向効果を利用したものであるが、光学部品の配置や光アッテネータ中に形成される光路に特徴を有して低電力駆動と小型化を達成している。概略的には、EO素子に入射した光をそのEO素子内で多重反射させることで光偏向効果を累積させ、低電力駆動を達成している。また、二つのコリメータを光軸に沿って対面させてその二つのコリメータ間に各種光学素子を配置する透過型とせず、実質的に光路の全長を半分にできる反射型とすることで小型化を達成している。そして、光アッテネータを構成する各種光学素子は、上記の光偏向効果の累積動作に適した構造を備えて適切な位置関係で配置されている。
以下では、本発明の実施例に係る光アッテネータとして、光学素子の構成や構造を具体的に挙げる。なお、以下の説明において同一又は類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
===第1の実施例===
<構成>
図5に本発明の第1の実施例に係る光アッテネータ1aの概略構造を示した。図5(A)は当該光アッテネータ1aを構成する各種光学部品の配置を示す斜視図である。図5(B)および(C)は、光軸100に直交する二つの方向の一方および他方から見たときの図である。ここでは前後方向に光軸100を設定することとして、図5(A)を上後方から見たときの斜視図とし、図5(B)を上方から見たときの平面図としている。また、後方から前方を見たときの方向で左右の各方向を規定するとして、(C)に光アッテネータ1aを右方から見たときの側面図を示した。図5(D)は、光アッテネータ1aを構成する1/4波長板50aの光学軸51の方向を示した。
第1の実施例に係る光アッテネータ1aは、筒状の筐体70内に各種光学部品が収納された構造であり、各種光学部品は光軸100に対して左右対称となるように配置されている。筐体70内には、後方から前方に向かってコリメータ20、三角プリズム30、EO素子10a、1/4波長板50a、および反射板60がこの順に配置されて当該光アッテネータ1aが構成されている。
筐体70の後端に接続されているコリメータ20は、シングルモード光ファイバ(以下、光ファイバ:23i、23o)の端部を保持するフェルール21とコリメートレンズ22が円筒状のスリーブ24内に配置されたものである。第1の実施例に係る光アッテネータ1aでは、2本の光ファイバ(23i、23o)が一つのフェルール21に保持されてなる2芯光ファイバ23を備え、コリメータ20がこの2芯光ファイバを保持している。2本の光ファイバ(23i、23o)は、前方を開口端(25i、25o)とし、光軸100に対して左右に対称となるように所定の距離(コアピッチ)Pだけ離間して前後方向に延長している。また、2芯光ファイバ23の前方に配置されているコリメートレンズ22は光軸100上に焦点を有している。
三角プリズム30は、上下方向から見たときの平面形状が二等辺三角形であり、プリズム夾角がθである。そして、二等辺三角形の底辺の直角二等分線は光軸100と平行となる。また、この例では前方をプリズムの底面31とし、二等辺三角形の頂角に対応する稜線32が後方を向くように配置されているが、前後が逆であってもよい。
三角プリズム30の前方には、EO素子10aが配置されている。EO素子10aは、互いに対面する薄膜状の金属からなる電極間(11−11)にEO物質(EO層とも言う)12を配置した構成である。具体的には、EO層12は直方体状で、前後両面は光軸100を法線方向とした光の入出射面である。電極11はEO層12の上下の面に形成されており、例示した光アッテネータ1aでは、EO素子10aは、スパッタリングなどによって形成されたTi(チタン)薄膜によって電極11が構成されている。なお電極11には、駆動回路80との接続経路となる電極端子(図示せず)が取り付けられている。
ところで、第1の実施例に係る光アッテネータ1aでは、EO層12にニオブ酸タンタル酸カリウム(KTa1-xNb、以下、KTN)を用いている。KTNは、ニオブ酸カリウム(KNbO:KN)とタンタル酸カリウム(KTaO:KT)とからなる無色透明の結晶であり、温度が上昇すると結晶構造が菱面体晶、斜方晶、正方晶、立方晶と四つの結晶相に変化することで知られている。そして、立方晶の状態から正方晶へ転移する相転移温度に近づけていくと,誘電率εが著しく大きくなる。すなわち、カー効果が相転移温度付近で著しく大きくなる。それによって大きな屈折率が誘発される。相転移温度は組成(KNとKTの混合比率)によって変化するので、室温付近で相転移するような組成を選べば、室温で巨大なカー効果が得られることになる。また、KTNを含む一般式K1-yTa1-xNb(Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される物質は優れた電気光学特性を有するとともに、鉛(Pb)を含まない環境に優しいEO物質でもある。
第1の実施例に係る光アッテネータ1aでは、特徴的な構成として、EO素子10aの前方と後方に反射面(41、42)が互いに対面して配置された多重反射部40を備えている。第1の実施例では、EO層12の前面と後面に薄膜状のAu(以下、反射膜:45a、46a)がスパッタリングなどの方法によって部分的に形成されており、その前後の反射膜(45a、46a)において、互いに対面する面を多重反射部40の反射面(41、42)としている。なお、前方の反射膜45aは左右両端の二箇所に左右対称に形成されて、中央にEO層12が露出する開口領域43が形成されている。後方の反射膜46aは一箇所に左右対称となるように形成されて、左右両端を開口領域(44L、44R)としている。
EO素子10aの前方には、1/4波長板50aが配置されている。図5(D)に示したように、1/4波長板50aの光学軸51の方向は、前後方向から見たときに、上下左右の各方向に対して45゜の角度に設定されている。すなわち、EO層12に印加される電界の方向(上下方向)に対して45゜傾いている。そして、1/4波長板50aの前方には誘電体ミラーからなる反射板60が配置されている。当該反射板60はその後面を反射面としている。
<動作>
次に第1の実施例に係る光アッテネータ1aの動作について説明する。図6は、EO素子10aのEO層12に電界を印加していないとき(以下、オン状態と称する)の光アッテネータ1aの動作を示している。また当該光アッテネータ1aの各部位のサイズや角度も併せて示している。図6(A)は、光アッテネータ1a内を通る光ビームの光路を上方から見たときの状態を示している。なお、当該図6(A)ではEO素子10aにおける電極11を省略している。図6(B)は光アッテネータ1aを右方から見たときの光路を示している。また図6では、2芯光ファイバ23において光の入力側となる一方の光ファイバ(以下、入力側ファイバ)23iの開口端25iから反射板60に至る「往路」の光路(B1〜B6)を実線で示し、反射板60から他方の光ファイバ(以下、出力側ファイバ)23oの開口端25oに至る「復路」の光路(B11〜B16)を点線で示している。 当該図6に示したように、オン状態において光アッテネータ1a内に形成される光路は、概略的には、往路と復路は上方から見たときに光軸100に対して左右対称となり、左右方向から見たときに光軸100と一致するように形成される。それによって、入力側ファイバ23iから出射した光B1が出力側ファイバ23oに結合し、結合損失が最小値となる。すなわち、入力側ファイバ23iと出力側ファイバ23oとの間で光が透過する「オン状態」となる。
オン状態における光路について具体的に説明する。光軸100に対して左方にある光ファイバ23iを入力側ファイバ23iとして、この入力側ファイバ23iからの出射光B1がコリメートレンズ22に入射する。コリメートレンズ22の焦点101は三角プリズム30より後方の光軸100上にある。入力側ファイバ23iは光軸100に対して左方に離間して配置されているため、光軸100から離れた位置から光ビームB1が前方に向けて出射されると、その出射光B1はコリメートレンズ22により右方に屈折する光ビームB2として当該コリメートレンズ22から出射する。第1の実施例に係る光アッテネータ1aでは、コリメートレンズ22の焦点距離fがコリメートレンズ22から三角プリズム30までの距離よりも短いため、コリメートレンズ22からの出射光B2は焦点101にて光軸100と交差したのち右前方に向かって進行し、二等辺三角形の平面形状を有する三角プリズム30の右方の斜面33Rに入射する。三角プリズム30は、入射した光ビームB2を左方に向けて屈折させ、左前方に向かう光ビームB3を底面31から出射する。
三角プリズム30の前方にはEO素子10aが配置されている。EO素子10aにおけるEO層12の後面中央には反射膜46aが形成されて、その反射膜46の左右にはEO層12が露出する開口領域(44L、44R)が形成されている。このEO層12の後面の反射膜46aは、三角プリズム30からの出射光B3を遮らない位置に形成されており、三角プリズム30からの出射光B3は、反射膜46aに対して右方の開口領域44RからEO層12に入射し、EO層12の前面に向かう。
EO層12の前面には中央に開口領域43を有する反射膜45aが形成されており、EO層12の後面から入射した光ビームB3は前面の反射膜45aによって後方に向かって反射する。以後、後面と前面の反射膜(46a、45a)によって多重反射する光路B4がEO層12内に形成され、最終的には前面中央の開口領域43から光ビームB5が前方に向かって出射する。そして、その出射光B5が1/4波長板50aを透過し、その透過光B6が光軸100上で反射板60の後面にて反射する。以上が往路の光路である。
一方、復路では往路と左右対称となる光路(B11〜B16)を辿って出力側ファイバ23oに結合する。言い換えれば、光アッテネータ1aは、オン状態の復路においてコリメートレンズ22から後方に向かって出射する光B16が結合する位置と出力側ファイバ23oの開口端25oの位置が一致するように各光学部品が配置されている。
なお1/4波長板50aは、図5(D)に示した光学軸51の配置では、上下あるは左右方向に振動する直線偏光を入射して円偏光を出射する。したがって、往路と復路では偏波面を90゜回転させる。しかしオン状態では、EO層12に光が入射しても、そのEO層12に電界が印加されていないので、入射光(B5、B12)は、電極間(11−11)の対面方向である上下方向に振動するTE光とそれに直交するTM光とに分離せず、偏波依存性が発生しない。したがって、オン状態では1/4波長板50aによる偏波面の回転作用を実質的に無視できる。
つぎに、EO素子10aのEO層12に電界を十分に印加しているとき(以下、オフ状態と称する)の光アッテネータ1aの動作について説明する。図7にオフ状態における光アッテネータ1aの光路を示した。図7(A)、(B)は、いずれも光アッテネータ1aを上方から見たときの光路を示しており、図7(A)は往路の光路を示しており、(B)は復路の光路を示している。以下では、オフ状態ではEO素子10aには上方から下方向に向かう電界が印加されるものする。そして、電界の方向とTE光およびTM光の偏向方向との関係は、先に図4に示した例に従っているものとして、オフ状態における光アッテネータ1aの動作を説明する。
オフ状態では上方から見た光路はオン状態と同様である。しかし、EO素子10aのEO層12には電界が印加されているため、EO層12内が空間電荷制限状態となる。そのため、EO素子10aに入射した光は電界の方向(上下方向)に偏向し、左右方向から見たときの光路は往路と復路で上下対称にならない。以下、図7を参照しつつオフ状態における光路について具体的に説明する。なお図7では、紙面奥行き方向(左右方向)に振動する直線偏光を「蛇の目」で示し、上下方向に振動する光を「両矢印」で示した。また、円偏光を「白丸」で示した。
図7(A)に示したように、往路では、まずオン状態と同様に入力側ファイバ23iから出射した入力光B21がコリメートレンズ22と三角プリズム30を経てEO素子10aに入射する(B21→B22→B23)。EO素子10aのEO層12内には、電極間(11−11)の電位差に基づいて空間電荷制限状態となる。したがって、EO素子10aに入射した光B2はEO層12内で振動方向が互いに直交するTE光B24eとTM光B24mに分離されるとともに、それぞれが異なる角度で上下方向に偏向する。すなわち偏光依存性を有する2本のビーム(B24e、B24m)に分離する。そして、そのTE光B24eとTM光B24mが、EO層12の前後両面に形成されている反射膜(45a、46a)によって多重反射する光路(B25e、B26m)を経て、最終的にEO層12の前方から出射する。
EO素子10aの前方に配置されている1/4波長板50aには、TE光とTM光に対応して偏波面が互いに直交する二つの直線偏光(B26e、B26m)が入射する。1/4波長板50aの光学軸51は、この入射した二つの直線偏光(B26e、B26m)に対して45°の角度に設定されているため、入射した二つの直線偏光(B26e、B26m)の位相を90°遅らせて円偏向として出射する。そして、その出射光(B27、B28)が反射板60により後方に反射する。
復路では、図7(B)に示したように、まず反射板60により反射された二つの円偏光(B31、B32)が再び1/4波長板50aに入射する。それによって、往路と復路で位相が180°遅れ、結果として、往路におけるTE光とTM光のそれぞれに対応する二つの直線偏光(B26e、B26m)の偏光方向が入れ替わる(B26e→B28→B32→B33m、B26m→B27→B31→B33e)。1/4波長板50aから後方に向けて出射した二つの直線偏光(B33e、B33m)はEO素子10aに入射すると、往路でTE光だった光(B26e)が復路ではTM光(B34m)として振る舞い、上方から下方に向く電界方向とは逆の下方か上方に向けて偏向する。往路でTM光だった光(B26m)はその逆にTE光(B34e)として上方から下方に向けて偏向する。そしてEO素子10aに入射した二つの直線偏光(B33m、B33e)はEO層12内で多重反射する光路(B35m、B35e)を経てEO層12の後面に形成されている反射膜46aの開口領域44Lから後方に向けて出射し、その出射光(B36m、B36e)が三角プリズム30とコリメータレンズ22を経て(B36m→B37m→B38m、B36e→B37e→B38e)、出力側ファイバ23oの開口端25oと同一の面内に結合する。しかしこの結合位置は、EO層12内で光が上下方向に偏向したことにより、出力側ファイバ23oの開口端25oの位置に対して上下方向にずれた位置となる。すなわち、往路と復路でのEO層12内のTE光およびTM光の偏向角度に応じた角度ずれに相当する強度の光が出力側ファイバ23oの開口端25oに入射する。このとき、EO素子10aの電極間(11−11)に印加した電圧に応じた結合損失が生じる。ここではEO層12に十分に大きな電界が印加されていることとしているため、大きな結合損失が生じ、入力光B1が十分に遮断された「オフ」状態となる。もちろん、電極間(11−11)に印加する電圧を調整して結合損失を可変制御すれば、第1の実施例に係る光アッテネータ1aを可変光アッテネータとして機能させることができる。
上述したように、第1の実施例に係る光アッテネータ1aでは、反射型とすることで部品点数を削減し、光アッテネータ1a自体の前後長Lを短縮させることができる。しかも、第1の実施例に係る光アッテネータ1aでは、各光学部品間を前後に離間させて配置させていたが、実際には三角プリズム30より前方の光学部品については互いに接触させた状態で前後に配置することができ、前後長Lをさらに短縮することが可能である。
また第1の実施例に係る光アッテネータ1aでは、EO素子10aに入射した光を多重反射させる構成としているため、空間電荷制限状態を利用した微少な光偏向作用を累積させて大きな偏向角度が得られるようになっている。それによって、小さな電圧でも大きな偏向角度が得られ、優れた結合損失特性を得ることができる。
なお、図6に示したように、三角プリズム30からの出射角度βを調整することで、EO層12内での多重反射の回数を制御することができる。角度βを大きくしてEO層12に対して光を深く入射させれば、EO層12の前後長Leoを短縮することができ、光アッテネータ1aをさらに小型化することができる。βを小さくしてEO層12に対して光を浅く入射させればEO層12内での反射回数が増加し、光偏向作用をより多く累積させることができる。その結果、同じ偏向角度をより低い電圧で得ることができる。すなわち、コリメータレンズ22の焦点距離fや2芯光ファイバ23におけるコアピッチPなどを適宜に設定することで、三角プリズム30からの出射角度βを適宜に調整することができ、光アッテネータ1aに求められる様々な性能(小型化、低電圧駆動など)にも柔軟に対応することができる。参考までに、実際に作製した光アッテネータ1aに使用したEO素子10aにおけるEO層12の物性、光アッテネータ1aにおける各部位のサイズ、および当該光アッテネータ1aの性能を以下に示した。
上述したように、EO素子10aを構成するEO層12はKTNからなり、ここで用いたKTNは25℃の温度において、比誘電率εr=20000、屈折率n=2.185、電気光学係数g11=0.0809m/C、電子密度分布N=4.0×1020/mである。EO素子10aのサイズについては、電極11と反射膜(45a、46a)が薄膜であるため、実質的にEO層12のサイズで近似することができる。そしてEO層12は、前後長Leo=12.85mmであり、上下方向の厚さD=357μmである。
2芯光ファイバ23における入力側の出力側の光ファイバ(23i、23o)は、モードフィールド半径が5μmで、コアピッチP=300μmである。コリメータレンズ22は焦点距離f=2.51mm、三角プリズム30のプリズム夾角θ=12.3°である。光アッテネータ1aは、筐体70の外径φ=3mmで、前後長L=37.4mmである。そして第1の実施例に係る光アッテネータ1aの光学特性は、入力側ファイバ23iより波長1550nmの光を入射させた際、オン状態における過剰損失が0.65dBであり十分な光透過状態が得られた。またオフ状態では、EO素子10aの電極間(11−11)に28Vの電圧を印加したときに30dBの結合損失を得ることができ、光通信用途において実用上十分な結合損失を低電圧で達成できることが確認できた。
===第2の実施例===
上記第1の実施例に係る光アッテネータ1aは、EO層12内に多重反射する光路を形成するための多重反射部を備えることで、空間電子制限状態に基づく微少な光偏向作用を累積させることができ、結果として小型化を達成しつつ、低い電圧でも大きな結合損失が得られた。ところで、多重反射部を備えた光アッテネータの構成は、第1の実施例に限らない。そこで、第1の実施例と同様の作用で動作しつつ異なる構成を備えた光アッテネータを本発明の第2の実施例として挙げる。
<構成>
図8に第2の実施例に係る光アッテネータ1bの構成を示した。当該図8においても図5〜図7と同様に前後上下左右の各方向を規定している。そして図8(A)は当該光アッテネータ1bを構成する各種光学部品の配置を示す斜視図であり、図8(B)および(C)は、それぞれ当該光アッテネータ1bを上方から見たときの平面図、および右方から見たときの側面図を示している。図8(D)は、後方から見たときの1/4波長版50bの光学軸51の方向を示している。
第2の実施例に係る光アッテネータ1bは、第1の実施例と同様に、2芯光ファイバ23を備えたコリメータ20が後端に接続されているとともに、円筒状の筐体70内に各種光学部品が光軸100に対して左右対称に配置されてなる反射型の光アッテネータ1bである。しかし、各種光学部品の配置が第1の実施例とは異なっており、後端のコリメータ20から前方に向かって三角プリズム30、反射板60、1/4波長板50b、EO素子10bがこの順に配置されている。
反射板60は前面を反射面として、この反射面が多重反射部40を構成する一方の反射面42を兼ねている。この例では、反射板60は誘電体ミラーによって構成されている。またEO素子10bの前面には薄膜状のAuからなる反射膜45bが形成されており、この反射膜45bの後面が多重反射部40における他方の反射面41となる。したがって、第2の実施例に係る光アッテネータ1bは、第1の実施例に対して多重反射部40における後方の反射面42が実質的に省略されている。そのため、第1の実施例におけるEO層12後面の反射膜46aを形成したり、反射膜(45a、46a)をEO層12の前後面に部分的に形成したりする工程を省略することができ、製造コストを削減することが可能となる。もちろん、反射板60を個別の光学部品とせず、三角プリズム30の底面31にAuなどからなる金属の薄膜を形成し、その金属薄膜を反射板60および多重反射部40の一方の反射面42としてもよい。EO素子10bの前面に反射膜45bを形成せず、EO素子10bの前方に誘電体ミラーなどを配置し、これを多重反射部40における反射面41とすることもできる。
第2の実施例では、多重反射部40を構成する二つの反射面(41、42)の間に1/4波長板50bが配置されており、さらに、三角プリズム30の直前に反射板60が配置されている。そのため、第2の実施例に係る光アッテネータ1bでは、各光学部品間に形成すべき光路が反射板60や1/4波長板50bによって遮られないように、各光学部品における左右方向のサイズの大小関係が規定されている。概略的には、反射板60の左右の幅W2は、三角プリズム30における底面31の左右の幅W1よりも短く、1/4波長板50bの左右の幅W3は反射板60の左右の幅W2よりも短くなっている。すなわち、W1>W2>W3の関係にある。それによって、往路では、三角プリズム30から前方に出射する光が反射板60によって遮蔽されず、かつ1/4波長板50bを経由させずにEO素子10bに入射され、復路では、多重反射を終えてEO素子10bから後方に向かう光が直接三角プリズム30に入射されるようになっている。
<動作>
図9に第2の実施例に係る光アッテネータ1bの動作を示した。当該図9は、光アッテネータ1bに形成される光路を上方から見たときの図であり、往路の光路を実線で示し、復路の光路を点線で示している。また、この図ではEO素子10bにおける電極11を省略している。第2の実施例に係る光アッテネータ1bでは、第1の実施例と同様に、オン状態とオフ状態のいずれにおいても、往路と復路の光路が上下方向から見たときに左右対称となる。左右方向から見たときの光路についても第1の実施例と同様に、オン状態では光軸と一致し、オフ状態ではEO素子10bにおける光偏向作用により、光がEO素子10bに入射した以降はTE光とTM光に対応する二つの直線偏光が光路の途上で偏波面の方向を入れ替えながら光軸100に対して上下にずれる光路を辿る。以下に第2の実施例の光アッテネータ1bの動作を具体的に説明する。
まず、光軸100に対して左方にある光ファイバ23iを入力側ファイバ23iとして、この入力側ファイバ23iからの出射光B41がコリメートレンズ22に入射する。コリメートレンズ22は、この入射光B41を光軸100に向かって右方に屈折させて出射する。この出射光B42は焦点101の位置にて光軸100と交差し、三角プリズム30の右方の斜面33Rに入射する。三角プリズム30は、入射した光ビームB42を左方に向けて屈折させ、左後方に向かう光ビームB43を底面31から出射する。ここまでの光路は第1の実施例と同様である。
第2の実施例では、三角プリズム30の前方に前面を反射面42とする反射板60が配置されており、この反射板60の反射面42において光軸100と交差する点は、往路の終点であり、かつ復路の出発点となる。さらに反射板60の反射面42は多重反射部40を構成する後方の反射面42も兼ねている。
反射板60の前方には1/4波長板50bが配置されており、反射板60と1/4波長板50bの幅(W2、W3)は、三角プリズム30から前方に向かう光路B43を妨げない長さに設定されている。すなわち、上述したように、三角プリズム30、反射板60、および1/4波長板50bのそれぞれの左右幅(W1、W2、W3)の関係がW1>W2>W3となっている。それによって、三角プリズム30から前方に向かって出射した光B43がEO素子10bに入射する。EO素子10bの前面には多重反射部40における前方の反射面41となる反射膜45bが形成されており、EO素子10bに入射した光B43は、この反射面41と反射板60を兼ねる多重反射部40における後方の反射面42との間で多重反射を繰り返す光路B44を経て、最後に前方から後方に向かいつつ1/4波長板50bを透過する。その透過光B45は、上下方向から見ると光軸100上で反射板60に入射し、ここで往路が終わる。
第2の実施例に係る光アッテネータ1bでは、最初にEO素子10bに入射した光B43が反射膜45bの後面(多重反射部40における前方の反射面41)によって後方に向かって反射すると、その反射光が必ず反射板60によって前方に向かって反射する。さらに少なくとも1往復以上、反射板60とEO素子10bにおける反射膜45bとの間で反射を繰り返した後に1/4波長板50bに入射する。すなわち、三角プリズム30と反射板60と1/4波長板50bのそれぞれの左右幅(W1、W2、W3)は、上述したように、三角プリズム30から前方に向かってEO素子10bに至る光B43を妨げないように設定されていることに加え、その光B43が反射膜45bによって前方に反射した際にはその反射光が反射板60に直接入射して多重反射を繰り返すように設定されている。
なお1/4波長板50bは、光を2回透過させると直線偏光の偏波面を90°回転させて、互いに直交する二つの直線偏光の偏波面を相互に入れ替えることができる。したがって、オフ状態では光が往路と復路で同じ回数だけ1/4波長板50bを透過すればEO素子10b内で発生した偏向依存性が解消される。この1/4波長板50bにおける光の透過回数についても、上記各左右幅(W1、W2、W3)を調整することで設定することができる。この例では、1/4波長板50bに往路と復路で1回ずつ光が透過するようになっている。
復路については、オン状態であれば、往路と左右対称で、光軸100と同じ上下位置を維持する光路を逆方向に辿って出力側ファイバ23oに結合する(B51〜B55)。オフ状態では、実質的に第1の実施例と同様の動作をする。すなわち、EO素子10b内で偏波面が互いい直交するTE光とTM光の直線偏光に分離しつつ、これらの直線偏光がEO層12内で上下方向に偏向する。そのため、上下方向から見たときの光路は図9に示したものと同様であるものの、光路が光軸100に対して上下方向にずれる。また、TE光とTM光に対応する直線偏光が1/4波長板50bを2回透過する。その結果、EO素子10b内にて発生した偏光依存性が解消された上で、入力側と出力側の光ファイバ間(23i−23o)で結合損失が生じる。
この発明は、光ファイバ網を用いた光通信に適用することができる。
1a、1b 光アッテネータ、10a,10b,10c 電気光学素子(EO素子)、
11 電極、12 電気光学物質(EO物質、EO層)、20 コリメータ、
22 コリメートレンズ、23 2芯光ファイバ、23i,23o、光ファイバ、
30 三角プリズム、40 多重反射部、41,42 多重反射部の反射面、
50a,50b 1/4波長板、60 反射板、100 光軸、101 焦点

Claims (4)

  1. 入力側の第1の光ファイバからの出射光の強度を減衰させて出力側の第2の光ファイバから出力する光アッテネータであって、
    前後方向に延長する光軸と直交する二方向を上下方向および左右方向として、
    前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバは、光軸に対して左右対称に配置されるとともに前方に向けて開口する2芯光ファイバを形成し、
    光軸に対して左右対称に配置されるコリメートレンズ、三角プリズム、電気光学素子、1/4波長板、反射板、および前記電気光学素子の前方と後方にて反射面を互いに対面させてなる多重反射部を備え、
    前記三角プリズムは、上方からの平面形状が二等辺三角形であり、
    前記電気光学素子は、電気光学効果を有する電気光学物質が上下方向に対面する電極によって挟持されてなり、
    前記1/4波長板は、上下左右の各方向に対して45°方向に光学軸を有し、
    上方から見たときに、前記第1の光ファイバから前記反射板に至る往路と、当該反射板から前記第2の光ファイバに至る復路のそれぞれの光路が光軸に対して左右対称に形成され、
    前記往路は、前記第1前記コリメートレンズが前記第1の光ファイバからの入射光を前焦点位置にて光軸と交差する方向に出射させて三角プリズムに入射させる光路と、当該三角プリズムが当該入射光を光軸方向に屈折させて前記EO素子に入射させる光路と、前記多重反射部が当該EO素子への入射光を多重反射させて前記電気光学物質を前後方向に複数回透過させる多重反射光路と、当該多重反射光路に連続して前記1/4波長板に光を透過させた上で前記反射板に入射させる光路とからなり、
    前記電気光学素子の電極間に電圧が印加されていない状態では、左右方向から見たときの前記往路と前記復路の光路が前記光軸と一致して、前記第1の光ファイバからの光が前記第2の光ファイバに結合し、
    前記電気光学素子の電極間に電圧が印加されている状態では、前記電気光学物質内に空間電荷制限状態に伴う屈折率分布が発生し、当該電気光学物質に入射した光の光路が前記印加した電圧よって発生した電界の強度に応じた角度で上下方向に偏向することで、前記第2の光ファイバに入射する光の結合損失が変化する、
    ことと特徴とする光アッテネータ。
  2. 請求項1において、後方から前方に向かって、前記2芯光ファイバ、前記コリメートレンズ、前記三角プリズム、前記電気光学素子、前記1/4波長板、前記反射板がこの順に配置されているとともに、前記多重反射部は、前記電気光学素子の前記電気光学物質の前面と後面に形成された反射膜から構成され、
    前記電気光学物質の後面に形成されている前記反射膜は、前記往路と前記復路の双方にて、前記三角プリズムと前記電気光学素子との間に形成される光路上に開口部を有し、
    前記電気光学物質の前面に形成されている前記反射膜は、往路にて前記後面の反射膜との間で前記EO素子に入射した光を多重反射させたのちに前記1/4波長板に向けて出射する光路上、および復路にて前記EO素子に入射した光を多重反射させたのちに前記三角プリズムに向けて出射する光路上のそれぞれに開口部を有している、
    ことを特徴とする光アッテネータ。
  3. 請求項1において、
    後方から前方に向かって、前記2芯光ファイバ、前記コリメートレンズ、前記三角プリズム、前記反射板、前記1/4波長板、前記電気光学素子がこの順に配置され、
    前記反射板は前面を反射面として、当該反射面が前記多重反射部の一方の反射面を兼ねているとともに、当該多重反射部の他方の反射面が前記電気光学素子の後方に配置され、
    前記反射板は、前記往路と前記復路の双方にて、前記三角プリズムと前記EO素子との間に形成される光路を妨害しないように左右の幅が設定され、
    前記1/4波長板は、前記往路と前記復路の双方にて、前記三角プリズムと前記EO素子との間に形成される光路と、前記多重反射部によって多重反射している光路を妨害しないように左右の幅が設定されている、
    ことを特徴とする光アッテネータ。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記電気光学物質は、一般式K1-yTa1-xNb(但し、Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される物質であることを特徴とする光アッテネータ。
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