JP2015114181A - 尿温測定装置 - Google Patents

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泰弘 山下
Yasuhiro Yamashita
泰弘 山下
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Abstract

【課題】精度の高い尿温の計測を自動的に行うことが可能な尿温測定装置を提供する。
【解決手段】大便器内に排泄される被験者の尿の温度を非接触で計測する尿温測定装置であって、所定の計測方向に形成される計測領域P内から放射される赤外線を受光して計測領域P内の温度を計測する温度計測部と、前記計測方向を変更することで計測領域Pを移動させる計測領域移動部と、温度計測部による計測領域P内の温度の計測及び計測領域移動部による計測領域Pの移動を自動的に複数回繰り返すことで前記大便器内の複数個所の温度を計測し、計測された温度のうち最も高い温度を被験者1の尿の温度として決定する制御部と、を具備し、また、制御部50は、生体ゆらぎ理論に基づくノイズを用いて、計測領域Pの移動後の位置を決定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、便器内に排泄される被験者の尿の温度を非接触で計測する尿温測定装置の技術に関する。
従来、便器内に排泄される被験者の尿の温度(尿温)を非接触で計測する尿温測定装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1には、第一の計測領域及び当該第一の計測領域を囲むように配設される第二の計測領域の温度を計測することが可能な温度計測手段(温度計測部)を具備する尿温測定装置が記載されている。このように構成された尿温測定装置において、便器内に第一の計測領域及び第二の計測領域が位置するように温度計測手段が配置される。
第二の計測領域で計測される温度が所定の温度(人体が通常取り得る最低体温)以上である場合には、当該第二の計測領域全体が被験者が排泄した尿の温度を計測していると判断することができる。この場合には、第一の計測領域でも被験者の尿温を計測する。このように第二計測領域で計測される尿温が所定の温度以上であれば、第一の計測領域及び第二の計測領域の全てで被験者の尿温を計測し、効率良く精度の高い尿温の計測が可能となる。
また、特許文献1に記載の尿温測定装置は、被験者が手動で計測領域(第一の計測領域及び第二の計測領域)を移動させることができるように構成されている。これによって、当該計測領域を、被験者の尿が便器内を流れる際に流通する領域(展開尿流域)に包含されるように任意に調節することができ、ひいては精度の高い尿温の計測が可能となる。このようにして計測された尿温は、被験者の体温を表すものとして体調管理等に利用することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、計測領域が展開尿流域に包含されない場合には手動で計測領域を移動させる必要がある。このため、特に高齢者や子供などが被験者である場合には、手動操作が熟練しておらず、尿温の計測が困難となるおそれがある。
特開2010−230533号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、精度の高い尿温の計測を自動的に行うことが可能な尿温測定装置を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、便器内に排泄される被験者の尿の温度を非接触で計測する尿温測定装置であって、所定の計測方向に形成される計測領域内から放射される赤外線を受光して前記計測領域内の温度を計測する温度計測部と、前記計測方向を変更することで前記計測領域を移動させる計測領域移動部と、前記温度計測部による前記計測領域内の温度の計測及び前記計測領域移動部による前記計測領域の移動を自動的に複数回繰り返すことで前記便器内の複数個所の温度を計測し、計測された温度のうち最も高い温度を前記被験者の尿の温度として決定する制御部と、を具備するものである。
請求項2においては、前記制御部は、生体ゆらぎ理論に基づくノイズを用いて、前記計測領域の移動後の位置を決定するものである。
請求項3においては、前記ノイズは正規分布に従い、前記計測領域の移動後の位置を決定する際に用いられる前記ノイズの分散は、当該計測領域の移動の直前に前記温度計測部によって計測された温度が高いほど小さくなると共に、当該温度が低いほど高くなるように設定されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、精度の高い尿温の計測を自動的に行うことができる。
すなわち、複数個所の温度を計測し、計測された温度のうち最も高い温度は被験者の尿温に最も近い温度であると考えられる。このため、当該温度を被験者の尿温として決定することで、精度の高い尿温の計測を自動的に行うことができる。
また、被験者の性別、年齢、体型等を問わず、精度の高い尿温の計測が可能となる。さらに、同一の被験者の姿勢や体調等による変化にも対応して、精度の高い尿温の計測が可能となる。
請求項2においては、計測領域の位置を、より適切な位置へと素早く移動させることができる。
請求項3においては、計測領域の位置を、より高い温度が計測される位置へと素早く移動させることができる。
大便器及び尿温測定装置の構成を示した側面断面図。 大便器を示した平面図。 尿温測定装置の制御構成を示したブロック図。 尿温測定装置による尿温の計測方法を示したフロー図。 分散によるノイズの確率分布の違いを示した図。 計測領域の移動の軌跡を示した大便器の平面図。 計測領域で計測される尿温の変化を示した図。 計測領域の位置を特定するための座標の一例を示した大便器の平面図。
以下では、図中に示した矢印に従って、上下方向、前後方向及び左右方向をそれぞれ定義する。
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る尿温測定装置5が設けられる大便器の概略について説明する。
本実施形態に係る大便器は、腰掛けて使用することが可能な洋式の便器である。当該大便器は、主として便器本体2、ケーシング3及び便座4を具備する。
便器本体2は、トイレブースの床面に設置される。便器本体2の内部には、排泄された尿等を受けるための略碗状のボウル部2aが形成される。便器本体2の後部底面には排水口2bが形成される。ボウル部2a内には、常時一定量の溜水2cが貯溜されている。ボウル部2aに排泄された尿等は、溜水2cと共に排水口2bを介して排出することができる。
ケーシング3は、後述する尿温測定装置5や、排泄後の人の局部の洗浄等を行う洗浄装置(不図示)等を覆う箱状の部材である。ケーシング3は、便器本体2の後上部に設けられる。
便座4は、大便器を使用する人が腰掛けるための座面を形成する部材である。便座4は、便器本体2の上部に配置される。便座4の後端部は、ケーシング3に上下に回動可能に連結される。
このような大便器において、人は便座4の上に腰掛けて排泄することができる。特に、便座4に腰掛けた状態で排泄された尿は、便器本体2のボウル部2aの前側面に落下する。図2に示すように、ボウル部2aの前側面の尿落下位置Fに落下した尿は、当該尿落下位置Fから、ボウル部2aの表面を左右に広がりながら後下方へと流れ、溜水2c内へと流れ落ちる。このように、尿が、ボウル部2aの前側面の尿落下位置Fに落下してから、溜水2cへと流れ落ちるまでに流通するボウル部2aの表面上の領域(図2の二点鎖線参照)を、尿流域Tと称する。
次に、図1から図3までを用いて、尿温測定装置5の構成について説明する。
図1及び図3に示す尿温測定装置5は、大便器内に排泄される人の尿の温度(尿温)を非接触で計測するためのものである。なお、本実施形態においては、尿温を計測する対象となる人を、特に被験者1と称する。尿温は体温とほぼ同じ温度であるため、尿温測定装置5で計測される尿温は、被験者1の体温を表すことになる。尿温測定装置5は、主として温度計測部10、計測領域移動部20、操作部30、表示部40及び制御部50を具備する。
温度計測部10は、対象物(温度計測の対象となる物)からの赤外線を受光して、当該対象物の温度を計測するためのものである。温度計測部10は、赤外線センサ(サーモパイル)、所定の方向(計測方向)からの赤外線を前記赤外線センサに集光させる光学系、前記赤外線センサが受光した赤外線に基づいて対象物の温度を算出する温度算出部等を具備する。温度計測部10は、その計測方向(図1の温度計測部10から前下方に向かって延びる二点鎖線参照)を前下方に向けられた状態で、ケーシング3内に配置される。
この際、温度計測部10の計測方向は、便器本体2のボウル部2aの前側面に向けられる。当該温度計測部10の計測方向とボウル部2aの前側面とが交わる部分が、温度計測部10によって温度が計測される領域(計測領域P)となる(図2参照)。すなわち、温度計測部10は、当該計測領域P内の対象物(ボウル部2aの前側面又は当該前側面を流れる尿)が発する赤外線を受光し、当該対象物の温度を計測することができる。
計測領域移動部20は、温度計測部10の計測方向を変更することで当該温度計測部10の計測領域Pの位置を変更(移動)させるためのものである。計測領域移動部20は、モータ等のアクチュエータによって構成される。計測領域移動部20は、ケーシング3内に配置され、温度計測部10と連結される。計測領域移動部20は、温度計測部10を上下方向及び左右方向に揺動させることで、当該温度計測部10の計測方向を変更することができ、ひいては計測領域Pを移動させることができる。
なお、計測領域移動部20は、計測領域Pが便器本体2のボウル部2aから逸脱しない範囲で、当該計測領域Pを移動させるように、当該計測領域Pの移動範囲が制限されているものとする。また、計測領域移動部20としては、モータ以外にも種々のアクチュエータを用いることができ、その構成は限定されるものではない。
図3に示す操作部30は、尿温測定装置5による尿温の測定を開始するための操作を行うものである。操作部30は、適宜の操作具(例えば、押しボタンやタッチパネル等)により構成される。操作部30は、便座4に腰掛けた被験者1から操作可能な位置(例えば、便座4の側方や、トイレブースの壁面等)に設けられる。
表示部40は、尿温測定装置5による尿温の測定に関する情報を被験者1に報知するためのものである。表示部40は、適宜の表示装置(例えば、液晶パネル等)により構成される。表示部40は、便座4に腰掛けた被験者1から視認可能な位置(例えば、便座4の側方や、トイレブースの壁面等)に設けられる。
制御部50は、種々の情報に基づいて計測領域移動部20及び表示部40の動作を制御するものである。制御部50は、記憶部、演算処理部等により構成される。制御部50には、尿温測定装置5の各機器を制御するためのプログラムや種々のデータが記憶される。
制御部50は操作部30に接続され、当該操作部30による操作が行われたことを示す操作信号を受信することができる。
制御部50は温度計測部10に接続され、当該温度計測部10で計測された温度に関する情報を受信することができる。
制御部50は計測領域移動部20に接続され、当該計測領域移動部20の動作を制御することができる。
制御部50は表示部40に接続され、当該表示部40に任意の情報を表示させることができる。
次に、上述の如く構成された尿温測定装置5による尿温の計測方法の概略について説明する。
ここで、図2に示すボウル部2aにおいて、尿流域Tの温度(すなわち尿の温度)とその他の領域の温度(すなわちボウル部2aの表面の温度)を比較すると、通常は尿温の方がボウル部2aの温度よりも高いため、尿流域T内の温度の方が高くなる。また、同じ尿流域T内であっても、通常は尿がボウル部2aの尿落下位置Fに落下してから時間が経つほど(また、尿落下位置Fに落下してからボウル部2aの表面を流れた距離が長いほど)、当該尿から熱が奪われ、当該尿の温度は低下する。すなわち、被験者1の尿がボウル部2a内に落下した直後(すなわち、尿落下位置F)の尿温が最も高く、かつ当該被験者1の体温に最も近い温度となる。
したがって、温度計測部10の計測領域Pを尿落下位置Fに合わせて、当該計測領域P内の温度を計測すれば、被験者1が排泄した直後の尿温を計測することができ、ひいては被験者1の体温を精度良く計測することができる。しかし、被験者1の尿落下位置Fは、当該被験者1が便座4に腰掛けた時の姿勢や、その時の体調によって変化し、さらに排泄中にも当該尿落下位置Fは変化するものである。よって、尿落下位置Fを事前に予測し、当該尿落下位置Fに温度計測部10の計測領域Pを合わせることは困難である。
そこで、本実施形態に係る尿温測定装置5では、制御部50は、温度計測部10による計測領域P内の温度の計測と、計測領域移動部20による計測領域Pの移動を複数回繰り返す。そして、計測された温度のうち、最も高い温度を被験者1の尿温として決定する。このように、制御部50が、最も高い温度が計測される計測領域Pの位置を探索することで、精度の高い尿温の計測を自動的に行うことができる。
次に、図1、並びに図4から図7までを用いて、尿温測定装置5を用いて被験者1の尿温を計測する方法について、より詳細に説明する。
尿温を計測する場合、図1に示すように、まず被験者1は便座4に腰掛けて、操作部30を操作する。制御部50は、操作部30が操作されると(図4のステップS101でYes)、温度計測部10によって計測領域P内の温度を計測して記憶する(ステップS102)。この時の計測領域Pの位置(初期位置)は、予め任意の位置に定めておくことができる。
次に、制御部50は、計測領域Pの移動先(移動後の位置)を算出する(ステップS103)
ここで、制御部50は、生体ゆらぎ理論を用いて計測領域Pの移動先を算出する。具体的には、制御部50は以下の数1で表される式を用いて、計測領域Pの移動先を算出する。
Figure 2015114181
なお、時刻tとは、具体的には温度計測部10による計測領域P内の温度の計測回数を意味する。例えば、操作部30が操作されて初めて計測領域P内の温度が計測された時を時刻t=1、次に計測された時を時刻t=2、とする。すなわち、上記数1は、次に計測する計測領域Pの位置を算出するものである。
ここで、上記数1のノイズは、例えば以下の数2に示すような正規分布で表される。
Figure 2015114181
また、上記数2の分散は、例えば以下の数3で表される。
Figure 2015114181
なお、上記数3の定数は任意に設定することができる。このように、分散は、時刻tにおいて計測された計測領域P内の温度が低いほど大きくなり、また時刻tにおいて計測された計測領域P内の温度が高いほど小さくなるように設定される。当該分散によるノイズの確率分布の違いを、図5に示している。
図5に示すように、ノイズは、分散が小さいほど(すなわち、計測領域P内の温度が高いほど)小さい値を取り易くなり、分散が大きいほど(すなわち、計測領域P内の温度が低いほど)大きい値を取り易くなる。
前述の如く、計測領域P内の温度が高いということは、当該計測領域Pが尿落下位置Fの近くに位置していると考えられる。よってこの場合は、ノイズは小さい値を取り易くなり、計測領域Pの移動先が現在の位置から大きく変化しないように設定されている(上記数1参照)。
一方、計測領域P内の温度が低いということは、当該計測領域Pが尿落下位置Fから遠く離れた位置にあると考えられる。よってこの場合は、ノイズは大きい値を取り易くなり、計測領域Pの移動先が現在の位置から大きく変化するように設定されている(上記数1参照)。
このようにして、制御部50は計測領域Pの移動先を算出した後(ステップS103)、実際に計測領域移動部20の動作を制御し、算出された移動先まで計測領域Pを移動させる(ステップS104)。
ここで、制御部50は、被験者1の尿温の計測を終了するための条件(計測終了条件)が成立しているか否かを判定する(ステップS105)。計測終了条件は、例えば尿温の計測開始(操作部30の操作時点)から所定の時間が経過したか否か、再度操作部30が操作(停止操作)されたか否か等、任意に設定することができる。
制御部50は、計測終了条件が成立するまで、再度計測領域P内の温度の計測及び記憶(ステップS102)、計測領域Pの移動先の算出(ステップS103)並びに計測領域Pの移動(ステップS104)を繰り返す。
このように、制御部50がステップS102からステップS104までの処理を繰り返すことで、図6に示すように、計測領域Pが、より高い温度が検出される位置(すなわち、尿落下位置F)へと徐々に近づいていく。図7には、このように移動する計測領域Pで都度計測される尿温の変化を示している。
図7から、計測領域Pで検出される尿温が、尿落下位置Fにおける尿温に徐々に近づいていく様子が分かる。なお、図7において、計測開始直後の尿落下位置Fにおける尿温が低いのは、排泄前の便器本体2が冷えていることや、排泄開始直後の被験者1の尿温が排泄終了間際の被験者1の尿温(実際の体温に近い尿温)よりも低いこと等に起因するものである。また、図7において、計測終了間際の尿落下位置Fにおける尿温が低いのは、被験者1の尿の排泄が終了し、ボウル部2aの表面温度が下がり始めているためである。
なお、図6には、尿落下位置Fが一定である(変化しない)場合を想定した例を示しているが、尿落下位置Fは被験者1の排泄中に随時変化するものであっても良い。
制御部50は、計測終了条件が成立すると(図4のステップS105でYes)、これまでに計測した計測領域P内の温度から、被験者1の尿温を決定する。具体的には、図7に示すように、これまで計測された計測領域P内の温度のうち、最も高い温度を被験者1の尿温として決定する。前述の如く、当該最も高い尿温は、被験者1の体温に最も近い温度であるため、当該尿温を被験者1の体温として扱うことができる。
制御部50は、決定された被験者1の尿温を表示部40に表示させ、被験者1自身に尿温を報知する。被験者1は、表示部40に表示された尿温(すなわち、被験者1の体温)から、被験者1自身の体調を確認することができる。
次に、上記数1に示した計測領域Pの位置について、一例を示して具体的に説明する。
例えば図8に示すように、ボウル部2aの表面に座標(左右方向のa座標及び前後方向のb座標)を設定し、当該座標に基づいて計測領域Pの位置を特定しても良い。この場合、上記数1の各変数は、例えば以下の数4のように表すことができる。
Figure 2015114181
ここで、a座標についてのノイズ及びb座標についてのノイズは、いずれも同じ値としているが、異なる値をとるように設定しても良い。
なお、図8に示した例では、ボウル部2aの表面に設定された座標に基づいて計測領域Pの位置を特定するものとしたが、本発明はこれに限らず、任意の方法で特定することが可能である。例えば、温度計測部10の上下方向及び左右方向の揺動角度に基づいて、計測領域Pの位置を特定しても良い。
以上の如く、本実施形態に係る尿温測定装置5は、
大便器(便器)内に排泄される被験者1の尿の温度を非接触で計測する尿温測定装置5であって、
所定の計測方向に形成される計測領域P内から放射される赤外線を受光して計測領域P内の温度を計測する温度計測部10と、
前記計測方向を変更することで計測領域Pを移動させる計測領域移動部20と、
温度計測部10による計測領域P内の温度の計測及び計測領域移動部20による計測領域Pの移動を自動的に複数回繰り返すことで前記大便器内の複数個所の温度を計測し、計測された温度のうち最も高い温度を被験者1の尿の温度として決定する制御部50と、
を具備するものである。
このように構成することにより、精度の高い尿温の計測を自動的に行うことができる。
すなわち、複数個所の温度を計測し、計測された温度のうち最も高い温度は被験者1の尿温に最も近い温度であると考えられる。このため、当該温度を被験者1の尿温として決定することで、精度の高い尿温の計測を自動的に行うことができる。
また、被験者1の性別、年齢、体型等を問わず、精度の高い尿温の計測が可能となる。さらに、同一の被験者1の姿勢や体調等による変化にも対応して、精度の高い尿温の計測が可能となる。
また、制御部50は、
生体ゆらぎ理論に基づくノイズを用いて、計測領域Pの移動後の位置を決定するものである。
このように構成することにより、計測領域Pの位置を、より適切な位置(すなわち、温度の高い位置)へと素早く移動させることができる。
また、前記ノイズは正規分布に従い、
計測領域Pの移動後の位置を決定する際に用いられる前記ノイズの分散は、
当該計測領域Pの移動の直前に温度計測部10によって計測された温度が高いほど小さくなると共に、当該温度が低いほど高くなるように設定されるものである。
このように構成することにより、計測領域Pの位置を、より高い温度が計測される位置へと素早く移動させることができる。
なお、本発明に係る尿温測定装置を適用することが可能な便器は、本実施形態に係る大便器に限るものではなく、種々の便器(小便器や、異なる形状の大便器等)に適用することも可能である。
また、本発明に係る温度計測部は、所定の計測方向(計測領域)から放射される赤外線を受光して温度を計測することができるものであれば、その構成を本実施形態に係る温度計測部10に限定するものではない。
また、本発明に係る計測領域移動部は、計測領域を移動させることができるものであれば、その構成を本実施形態に係る計測領域移動部20に限定するものではない。
また、本発明に係る制御部は、本実施形態に係る制御部50のように尿温測定装置5専用の部材ではなく、例えば住宅等に設けられるHEMS(Home Energy Management System)等で兼用しても良い。
また、本実施形態においては、尿温が初めて計測される際の計測領域Pの位置(初期位置)は、予め任意の位置に定めておくものとした。例えば、当該初期位置を、被験者1の尿が落下する可能性が高いと予想される領域に予め設定しておくことも可能である。これによって、計測開始時点から、計測領域Pを尿落下位置Fの近くに配置することができ、計測精度の向上を図ることができる。なお、このような被験者1の尿が落下する可能性が高いと予測される領域は、予め実験等によって求めておくことや、尿温測定装置5による尿温の計測を繰り返し行うことで、制御部50に学習させておくこと等が可能である。
また、本実施形態においては、制御部50は初めから生体ゆらぎ理論(上記数1等参照)を用いて計測領域Pを移動させる構成としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、尿温測定装置5による計測が開始されると、制御部50は予め定められた複数の位置(特に、被験者1の尿が落下する可能性が高いと予想される位置)に計測領域Pを移動させ、当該複数の位置の温度を計測し、最も高い温度が計測された位置から、上記生体ゆらぎ理論を用いた計測領域Pの移動を開始するように設定しても良い。これによって、計測精度の向上を図ることができる。
また、制御部50に、前回の尿温の計測時に、最も高い温度が計測された計測領域Pの位置を記憶させ、次回の尿温の計測時に、当該記憶された位置を計測領域Pの初期位置に設定することも可能である。次回の尿温の計測時も、当該記憶された位置に近い位置で高い温度が計測される可能性が高いため、計測精度の向上を図ることができる。
また、操作部30に、被験者1個人を特定するための入力装置を設け、複数の被験者1に関するデータを制御部50に記憶させる構成とすることも可能である。例えば、複数の被験者1ごとに、高い温度が計測された計測領域Pの位置のデータを蓄積し、次回の計測領域Pの初期位置として利用すること等ができる。この際、複数の被験者1をそれぞれ特定し、当該被験者1ごとにデータを蓄積することで、各被験者1の体格、性別、体調等の差を考慮することができる。
また、本実施形態においては、温度計測部10は、便器本体2のボウル部2aに落下した尿の温度を計測するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、温度計測部10は、被験者1が排泄してからボウル部2aの表面に落下するまでの尿の温度を計測しても良い。これによって、ボウル部2aに接触して温度が低下する前の尿の温度を計測することが可能となる。
また、本実施形態においては、制御部50は生体ゆらぎ理論(上記数1等参照)を用いて計測領域Pを移動させる構成としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、制御部50は、計測領域Pを予め定められた複数の位置に順に移動させ、当該複数の位置の温度を計測し、最も高い温度を被験者1の尿温として決定する構成とすることも可能である。また、制御部50は、計測領域Pを複数の位置にランダムに移動させ、当該複数の位置の温度を計測する構成とすることも可能である。
1 被験者
2 便器本体
2a ボウル部
3 ケーシング
4 便座
5 尿温測定装置
10 温度計測部
20 計測領域移動部
30 操作部
40 表示部
50 制御部

Claims (3)

  1. 便器内に排泄される被験者の尿の温度を非接触で計測する尿温測定装置であって、
    所定の計測方向に形成される計測領域内から放射される赤外線を受光して前記計測領域内の温度を計測する温度計測部と、
    前記計測方向を変更することで前記計測領域を移動させる計測領域移動部と、
    前記温度計測部による前記計測領域内の温度の計測及び前記計測領域移動部による前記計測領域の移動を自動的に複数回繰り返すことで前記便器内の複数個所の温度を計測し、計測された温度のうち最も高い温度を前記被験者の尿の温度として決定する制御部と、
    を具備する尿温測定装置。
  2. 前記制御部は、
    生体ゆらぎ理論に基づくノイズを用いて、前記計測領域の移動後の位置を決定する、
    請求項1に記載の尿温測定装置。
  3. 前記ノイズは正規分布に従い、
    前記計測領域の移動後の位置を決定する際に用いられる前記ノイズの分散は、
    当該計測領域の移動の直前に前記温度計測部によって計測された温度が高いほど小さくなると共に、当該温度が低いほど高くなるように設定される、
    請求項2に記載の尿温測定装置。
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