JP2015113299A - 感染症治療予防組成物 - Google Patents

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秀彦 田中
一浩 堤
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Abstract

【課題】ウイルス、細菌、真菌、病原性原生動物等による感染症を予防及び/又は治療する感染症治療予防組成物を提供する。
【解決手段】グルコン酸亜鉛を有効成分として含む感染症治療予防組成物。感染症は、ウイルス、細菌、真菌、および病原性原生動物から選択される一以上の病原体の感染によるものである構成とすることができ、感染症治療予防組成物は、医薬、食品、化粧品等とすることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感染症の治療ないし予防のための組成物に関する。
自然界から発見・単離されたさまざまな抗生物質や、これを化学修飾等した薬剤は、細菌・ウイルス・真菌・病原性原生動物等による感染症の治療薬として広く利用されている。銀イオンや銅イオン等の金属イオンもまた、高い抗菌・抗ウイルス作用を有することが知られており、感染症の治療や予防に広く利用されている。
そして、本発明者らは、酸化亜鉛ナノ粒子を有機酸に分散させた溶液をウイルス不活性化薬剤に利用することを提案している(特許文献1参照)。
特許第4980337号
しかしながら、抗菌性薬剤や抗ウイルス性薬剤には、副作用が大きい、耐性を有する細菌やウイルスが発生する可能性がある等の問題がある。したがって、安全性の高い新規な抗菌性・抗ウイルス性薬剤の開発が望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、細菌やウイルス等による感染症を治療ないし予防する感染症治療予防組成物を提供することにある。
本発明に係る感染症治療予防組成物は、グルコン酸亜鉛を有効成分として含むものである。
金属イオンには、Hg>Ag>Cu>Zn>Fe>TiO2の順で殺菌力があるといわれており、亜鉛イオンは銀イオンよりも殺菌力が弱い。しかしながら、本発明のように、亜鉛イオンとグルコン酸イオンとからなるグルコン酸亜鉛とすることにより、亜鉛イオンとグルコン酸イオンとの作用によって、銀に劣らない抗菌性が得られる。この抗菌作用は、自然環境はもとより、生体内(例えば口腔内、鼻腔内等)でも発揮される。そして、グルコン酸亜鉛は、化粧品、母乳代替食品、保健機能食品に添加可能な物質であり、これを環境中に散布したり、体内に摂取したりした場合に体に害を及ぼすおそれが極めて小さい。よって、本発明によると、安全性の高い感染症治療予防組成物を提供できる。なお、治療予防組成物の身体への投与方法は特に限定されず、経口投与、注射や点滴、吸入等、公知の方法を採用することができ、例えば点眼薬、点鼻薬、点耳薬、消毒薬等に含ませてもよい。
ここで、本明細書において、感染症治療予防とは、感染症の予防、進行抑制、改善、治療の少なくともいずれかの機能を有することを意味する。そして、感染症の予防には、環境中に含まれる感染症の病原体の増加を抑制したり、減少させたりすることも含まれる。
本発明の対象とする感染症は、インフルエンザウイルス以外のさまざまなウイルス、細菌、真菌、および病原性原生動物から選択される一以上の病原体の感染症とすることができる。
例えば、ウイルスとしては、ヒトインフルエンザウイルス・高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1)等のインフルエンザウイルス、ヒト肝炎ウイルス、免疫不全ウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、ポリオウイルス、ノロウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルス、おたふくウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、口蹄疫ウイルス、デングウイルス等がある。
細菌としては、黄色ブドウ球菌、化膿性レンサ球菌、肺炎球菌、淋菌、流行性髄膜炎菌、結核菌、ライ菌、ジフテリア菌、セレウス菌、炭疽菌、ウエルシュ菌、破傷風菌、ボツリヌス菌、大腸菌、腸チフス菌、赤痢菌、ペスト菌、コレラ菌、腸炎ビブリオ、緑膿菌、野兎病菌、ブルセラ菌、百日咳菌、インフルエンザ菌、軟性下疳菌、プロテウス菌、セラチア、肺炎桿菌、マイコプラズマ等がある。
真菌としては、クロコウジカビ等のカビ類、白癬菌、カンジダ、クリプトコックス、アスペルギルス等がある。病原性原生動物(原虫)としては、マラリア、リーシュマニア、クリプトスポリジウム、トリパノソーマ、トリコモナス、トキソプラズマ、バベシア、腸ジアルジア、ピロプラズマ、サルコシスチス、ヘキサミタ等がある。
また、前記感染症治療予防組成物は、医薬である構成とすることができる。
また、前記感染症治療予防組成物は、食品である構成とすることができる。
また、前記感染症治療予防組成物は、化粧品である構成とすることができる。
上述したように、グルコン酸亜鉛は、母乳代替食品及び保健機能食品に添加可能な物質であり、これを摂取した場合に体に害を及ぼすおそれが極めて小さいので、医薬、食品、化粧品(洗口液、歯磨き等)への応用が可能である。
本発明にかかる感染症治療予防組成物を用いることにより感染症の治療や予防を行うことができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
グルコン酸水溶液に、直径50nm〜70nmの酸化亜鉛ナノ粒子を室温で、温度を上げないようにかき混ぜつつ添加して、グルコン酸亜鉛(Gluconic Zn)を7,500ppm含むサンプルを調製した。この時、酸化亜鉛とグルコン酸の質量比は12.82:87.18とし、酸化亜鉛とグルコン酸との合計質量と、水と、の質量比は6:94とした。
このサンプルを適宜希釈して、最小発育阻止濃度測定法I(抗菌製品協議会)に準拠して、各種の細菌に対する最小発育阻止濃度を測定した。この結果を、下記表1に示す。
Figure 2015113299
上記結果から、低濃度のグルコン酸亜鉛で、各種の細菌(グラム陽性菌及びグラム陰性菌)の発育を阻止できる(抗菌できる)ことが分かった。
実施例1と同様にして、グルコン酸亜鉛を7,500ppm含むサンプルを調製した。これを2.7倍に希釈し(グルコン酸亜鉛2778ppm)、各種の微生物培養液に、20万CFU(Colony Forming Unit)/サンプル容量(ml)以上となるように添加して、10CFU/サンプル容量(ml)未満となるまでの作用時間を測定した。比較のために、滅菌生理食塩水及び消毒用エタノールを用いて、同様の試験を行った。この結果、大腸菌(NRBC3972)、腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、緑膿菌、肺炎桿菌、セラチア、アシネトバクター、黄色ブドウ球菌、(NRBC12732)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(IID1677)、表皮ブドウ球菌、枯草菌(芽胞)、バンコマイシン耐性腸球菌、化膿レンサ球菌に対しては、本実施例、消毒用エタノールともに、15秒時点で10CFU/ml未満にでき、カンジダ、クロコウジカビに対しては、本実施例、消毒用エタノールともに、30秒時点で10CFU/ml未満にできた。他方、滅菌生理食塩水を用いた場合には、どのサンプルにおいても抗菌効果が確認されなかった。
上記結果から、低濃度のグルコン酸亜鉛で、各種の細菌(グラム陽性菌・グラム陰性菌)及び真菌の発育を阻止できる(抗菌できる)ことが分かった。
本発明を応用したさらに他の実施例である。グルコン酸亜鉛水溶液を、薬用の固形剤又は粉末剤用添加剤を使用して、錠剤化又は顆粒化させて、板状や顆粒状に製造し、錠剤化させて服用できるようにする。固形剤又は粉末剤用添加剤とは、崩壊剤、被覆剤、結合剤、賦形剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤等を含む。糖衣でくるみ、飲みやすくしたり、美観,品種の判別などのため着色したりしてもよい。胃で溶けず、腸で溶けるようにした錠剤や、口中で徐々に溶かす口腔錠、2種以上の薬が別々に作用する多層錠、用時溶かして用いる注射錠などにしてもよい。
また、グルコン酸亜鉛を、キャンディー、ソフトキャンディー、グミキャンディー、ガム、ミントタブレット等の食品に添加することができる。これらの食品は、口腔内に長くとどまるので、口腔内の細菌やウイルスを減少させることができ、口腔を経由して感染する感染症の予防や改善を行うことができる。
また、グルコン酸亜鉛を、化粧品、特に洗口液・歯磨き等の口腔内化粧料に添加することができる。これを用いることにより、口腔内を殺菌することができ、感染症の予防や改善、他者への感染の予防を行うことができる。
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る感染症治療予防組成物は、細菌やウイルス等による感染症を予防ないし治療できるので、その産業上の意義は大きい。

Claims (5)

  1. グルコン酸亜鉛を有効成分として含む感染症治療予防組成物。
  2. 前記感染症が、ウイルス、細菌、真菌、および病原性原生動物から選択される一以上の病原体の感染によるものである、
    ことを特徴とする請求項1記載の感染症治療予防組成物。
  3. 前記感染症治療予防組成物は、医薬である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の感染症治療予防組成物。
  4. 前記感染症治療予防組成物は、食品である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の感染症治療予防組成物。
  5. 前記感染症治療予防組成物は、化粧品である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の感染症治療予防組成物。
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