JP2015111641A - 有機圧電フィルム - Google Patents

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Tetsuhiro Kotani
哲浩 小谷
恵吏 向井
Eri Mukai
恵吏 向井
崇 金村
Takashi Kanemura
崇 金村
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Meiten Ko
明天 高
清水 聡
Satoshi Shimizu
聡 清水
川戸 進
Susumu Kawato
進 川戸
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Abstract

【課題】タッチ位置によるタッチ圧の検出性能にばらつきが小さい、タッチ圧を検出できるタッチパネルが得られるタッチパネルの製造を可能にする、有機圧電フィルムを提供する。
【解決手段】有機圧電フィルムは、線状欠陥の数が2,000個/m以下である。線状欠陥の測定方法は、CCDカメラ51、スリット52、及び白色LED光源53を備える外観検査機を使用し、スリット52を通した白色LED53の光の進行方向中に、CCDカメラ51を光を受光できるように配置し、スリット52とCCDカメラ51の間を、検査されるフィルムを移動させながら、CCDカメラ51により白色LED光源53の光を検査されるフィルムを通して受光することによって、フィルムのA4サイズの範囲を走査する。
【選択図】図4

Description

本発明は、有機圧電フィルムに関する。
近年、スマートフォン、タブレットPC、及びカーナビゲーションシステムのように、液晶ディスプレイ等の表示装置の前面に、タッチパネルを有する入力装置を配置した電子機器が普及している。スマートフォン及びタブレットPCでは、タップ、フリップ、ピンチ及びドラッグ等の操作を軽快に行える(すなわち、操作の快適性の高い)静電容量方式のタッチパネルが多く採用されている。一方、カーナビゲーションシステムでは、誤操作が起こりにくい(すなわち、操作の確実性の高い)抵抗膜方式のタッチパネルが多く採用されている。
ここで、もし、ユーザーがタッチした“位置”(本明細書中、タッチ位置と称する場合がある)及びその“強さ”(言い換えれば、押圧の有無、大きさ(強弱)、速度又はこれらの組み合わせ)(本明細書中、タッチ圧と称する場合がある)の両方を検出できるタッチパネルが実用化されれば、前述の操作の快適性と確実性との両立等、多くの利点が考えられる。しかし、これまでに実用化され普及しているタッチパネルは、タッチ位置を検出できるのみであり、タッチ圧を検出することはできなかった。
一方、タッチパネルは表示装置の前面に設置されるので、表示装置の表示の視認性を高めるため、タッチパネルの透明性が高いことが求められる。
タッチ圧の検出に関して、例えば、静電容量方式のタッチパネルでは、指でタッチしたときの指とタッチパネルとの接触面積から、擬似的にタッチ圧を検出する技術が提案されている。しかし、この原理の場合、ペンでタッチしたときは、タッチ圧を検出できないので、使用の場面が制限される。
また、電磁誘導変化を検出できるペンにより筆圧を検出する技術も提案されている。しかし、この原理の場合、専用の特殊なペンが必要なので、使用の場面が制限される。
また、感圧インクを用いてタッチ圧を検出する技術も提案されている。しかし、感圧インクを使用すると、タッチパネルの透明性が低下してしまう。
また、従来の抵抗膜式や静電容量式等のタッチ位置の検出が可能なタッチパネルにタッチ圧検出専用の部材を組み込んで、又は組み合わせて、タッチ圧の検出を可能にする技術も提案されている。しかし、タッチ圧検出専用の部材を組み込むことは、当該タッチパネルを有する電子機器の薄型化の観点及び製造コストの観点から不利である。
これらのような問題が無く、かつタッチ位置及びタッチ圧の両方を検出できるタッチパネルとして、特許文献1には、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体を含有する圧電体層と、前記圧電体層の一方の表面上に設けられた第1の透明電極と、当該圧電体層の他方の表面上に設けられた第2の透明電極と、を有するタッチパネルが開示されている。
特開2011−181748号公報
前述したように、従来、タッチ圧を検出できるタッチパネルが提案されているが、タッチ位置によってタッチ圧の検出性能にばらつきが小さいことまでは求められていなかった。しかし、最近では、タッチパネルにおいて、使用感覚に優れることが重視されてきている。タッチパネルのタッチ位置によってタッチ圧の検出性能にばらつきが存在することは、タッチパネルの使用感覚を損なう虞がある。
特許文献1に記載のタッチパネルは、使用方法を制限すること無く、高い透明性を有し、かつタッチ位置及びタッチ圧の両方を検出でき、かつタッチ圧検出用センサーを更に組み込む必要が無い、優れたタッチパネルである。
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載のタッチパネルは、タッチ位置によって(すなわち、タッチパネルの平面方向において)、タッチ圧の検出性能にばらつきがあることが明らかになった。
従って、本発明は、タッチ位置によるタッチ圧の検出性能にばらつきが小さい透明圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)を提供すること、及びこのような透明圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)の製造を可能にする有機圧電フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、タッチ位置によるタッチ圧の検出性能にばらつきの原因を探索した結果、圧電体層の線状欠陥(例、シワ、キズ)がその原因であることを突き止め、線状欠陥(例、シワ、キズ)が少ない有機圧電フィルム(例、分極化フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム)を用いることにより、タッチ位置によるタッチ圧の検出性能にばらつきが小さい、タッチ圧を検出できるタッチパネルが得られることを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の態様を含む。
項1.
線状欠陥の数が2,000個/m以下である有機圧電フィルム。
項2.
分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムである項1に記載の有機圧電フィルム。
項3.
分極化フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムである項1に記載の有機圧電フィルム。
項4.
前記線状欠陥の数が後記の欠陥測定方法で測定される数である項1〜3のいずれか1項に記載の有機圧電フィルム。
<欠陥測定方法>
CCDカメラ(当該CCDカメラは、長さ596mmの帯状の実視野、0.010mm/scanの走査方向分解能、及び0.071mm/pixelの実視野幅方向分解能を有する。)、スリット、及び白色LED光源を備える外観検査機を使用し、前記スリットを通した前記白色LEDの光の進行方向中に、前記CCDカメラを、当該光を受光できるように、前記実視野の長さ方向と前記スリットの方向とを一致させて配置し、前記スリットと前記CCDカメラの間を、検査されるフィルムをその縦方向に10m/分の速さで移動させながら、前記CCDカメラにより前記白色LED光源の光を前記検査されるフィルムを通して受光することによって、当該フィルムのA4サイズ(210mm×297mm)の範囲を走査する。
ここで、当該フィルムは、前記実視野の長さ方向と前記スリットの方向が、前記フィルムの横方向から20°傾くように、配置される。
また、ここで、当該フィルムは、前記白色LED光源の光の進行方向が、当該フィルム平面に対する垂直方向からフィルムの縦方向に、20°傾くように、配置される。
前記白色LED光源は、前記フィルムの地合部分(当該部分は、前記フィルムにおいて欠陥が無い部分である)が明度5のグレーになるように調光制御を行う。
当該走査において、暗部及び明部を、欠陥として、判断する。
前記暗部は、明度5のグレーから明度0の黒の範囲を127分割して、閾値を35/127に設定した場合に、当該閾値を超える部分として定義される。
前記明部は、明度5のグレーから明度10の白の範囲を127分割して、閾値を35/127に設定した場合に、当該閾値を超える部分として定義される。
前記欠陥のうち、次の条件(1)又は(2)を満たすものを、線状欠陥として外観検査機により計数する。
条件(1):[W]/[L]、及び[L]/[W]のいずれかが、1.30以上であるもの
条件(2):[W]/[L]、及び[L]/[W]の両方が、1.30以下であって、かつ[R2]が0.49以下であるもの
ここで、[W]は外接幅、[L]は外接長さ、及び[R2]は占有面積比率である。
当該外接幅は、前記欠陥の、走査方向に対する直角方向の長さとして定義される。
当該外接長さは、前記欠陥の、走査方向の長さとして定義される。
当該占有面積比率は、前記欠陥の、外接方形に対する明部と暗部の面積の比率として定として定義される。
ここで、前記フィルムを18mm×18mmの正方形に区画割りしたときに、当該区画をはみ出る、[W]及び[L]の少なくとも一方が18mm以上である1本の線状欠陥は、当該線状欠陥が及ぶ区画の数の線状欠陥であるとみなされる。
項5.
透明圧電パネル用である、項1〜4のいずれか1項に記載の有機圧電フィルム。
項6.
第1の透明電極と、
項1〜5のいずれか1項に記載の有機圧電フィルムと、
第2の透明電極と、
をこの順で有する、
透明圧電パネル。
項7.
項6に記載の透明圧電パネルと、
圧力検出部と、
位置検出部と、
を有する
タッチ入力装置。
項8.
項7に記載のタッチ入力装置
を有する電子機器。
本発明の有機圧電フィルムによれば、タッチ位置によるタッチ圧の検出性能にばらつきが小さい、圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)が得られる。
また、本発明の有機圧電フィルムによれば、線状欠陥による外観上の問題が無い、圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)が得られる。
本発明の有機圧電フィルムの製造方法及びこれに用いられる製造装置の概要を示す斜視図である。 針状電極による非分極フィルムの帯電域を示す説明図である。 本発明の有機圧電フィルムの製造方法及びこれに用いられる製造装置の他の実施形態の概要を示す模式図である。 本発明の有機圧電フィルムの欠陥測定方法の説明図である。 本発明の有機圧電フィルムの欠陥測定方法の説明図である。
以下に、本明細書で用いられる用語を説明する。
本明細書中、線状欠陥とは、長さ/幅の比が1.3以上である、表面欠陥を意味する。その例としては、シワ、及びキズが挙げられる。
本明細書中、「タッチ位置」の「検出」は、タッチ位置の決定を意味し、一方、「タッチ圧」の「検出」は、押圧の有無、速度、大きさ(強弱)、又はこれらの変化、或いはこれらの組み合わせの決定を意味する。
本明細書中、用語「タッチ」は、触れること、触れられること、押すこと、押されること、及び接触すること、を包含する。
本明細書中、用語「分極化」は、表面に電荷を付与されていることを意味する。すなわち、分極化フィルムは、エレクトレットであることができる。
1.有機圧電フィルム
本明細書中、「有機圧電フィルム」は、有機物である重合体から形成されるフィルム(重合体フィルム)である。有機圧電フィルムは、好ましくは透明である。当該「有機圧電フィルム」としては、例えば、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルム、奇数鎖ナイロン圧電フィルム、及びポリ乳酸が挙げられる。当該「有機圧電フィルム」は、当該重合体以外の成分を含有してもよい。
本発明の有機圧電フィルムにおける当該重合体の含有量は、好ましくは、80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%である。当該含有量の上限は特に制限されず、例えば、100質量%であってもよいし、99質量%であってもよい。
当該重合体は、好ましくは、フッ化ビニリデン系重合体である。
本発明の有機圧電フィルムは、好ましくは分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムである。
本明細書中、「フッ化ビニリデン系重合体フィルム」の例としては、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、フッ化ビニリデン/トリフロオロエチレン共重合体フィルム、及びポリフッ化ビニリデンフィルムが挙げられる。
前記フッ化ビニリデン系重合体フィルムは、好ましくはフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムである。
当該「フッ化ビニリデン系重合体フィルム」は、樹脂フィルムに通常用いられる添加剤を含有してもよい。
当該「フッ化ビニリデン系重合体フィルム」は、フッ化ビニリデン系重合体から構成されるフィルムであり、フッ化ビニリデン系重合体を含有する。
当該「フッ化ビニリデン系重合体」の例としては、
(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体;及び
(2)ポリフッ化ビニリデン
が挙げられる。
当該「(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体」における「これと共重合可能なモノマー」の例としては、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、及びフッ化ビニルが挙げられる。
当該「これと共重合可能な1種以上のモノマー」又はそのうちの1種は、好ましくはテトラフルオロエチレンである。
当該「フッ化ビニリデン系重合体」の好ましい例としては、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体が挙げられる。
当該「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」は、本発明に関する性質が著しく損なわれない限りにおいて、フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン以外のモノマーに由来する繰り返し単位を含有してもよい。
前記「(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体」は、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を50モル%以上(好ましくは60モル%以上)含有する。
前記「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」は、好ましくは、(テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位)/(フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位)のモル比が5/95〜18/82の範囲内、又は25/75〜40/60の範囲内である。
前述したように、前記「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」は、本発明に関する性質が著しく損なわれない限りにおいて、フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン以外のモノマーに由来する繰り返し単位を含有してもよい。通常、このような繰り返し単位の含有率は、10モル%以下である。このようなモノマーは、フッ化ビニリデンモノマー、及び/又はテトラフルオロエチレンモノマーと共重合可能なものである限り限定されないが、その例としては、
(1)フルオロモノマー(例、ビニルフルオリド(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、1−クロロ−1−フルオロ−エチレン(1,1−CFE)、1−クロロ−2−フルオロ−エチレン(1,2−CFE)、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン(CDFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロビニルモノマー、1,1,2−トリフルオロブテン−4−ブロモ−1−ブテン、1,1,2−トリフルオロブテン−4−シラン−1−ブテン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、ペルフルオロアクリラート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリラート、2−(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリラート);並びに
(2)炭化水素系モノマー(例、エチレン、プロピレン、無水マレイン酸、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、酢酸ビニルが挙げられる。
本発明の有機圧電フィルムの厚さは、通常3〜100μmの範囲内、好ましくは6〜50μmの範囲内、より好ましくは9〜40μmの範囲内、更に好ましくは10〜40μm、より更に好ましくは10〜30μmの範囲内である。
本発明の有機圧電フィルムは、線状欠陥の数が2,000個/m以下であり、好ましくは1,560個以下、より好ましくは1,500個/m以下、更に好ましくは560個以下、より更に好ましくは240個以下、特に好ましく50個以下である。
これにより、本発明の有機圧電フィルムを用いることで、タッチ位置によるタッチ圧の検出性能にばらつきが小さい、圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)が得られる。
外観検査機による欠陥測定
線状欠陥の数の測定は、外観検査機によって行うことができる。当該欠陥測定は、次の方法で実施される。ここで、理解の容易のため、図4及び5を参照する。これらの図中、白矢印は、スリット52を通した白色LED光源53の光の進行方向を示し、及び、黒矢印は、フィルム54の移動方向(当該方向は、フィルム54の縦方向である。)を示す。
<欠陥測定方法>
CCDカメラ51(当該CCDカメラ51は、長さ596mmの帯状の実視野56、0.010mm/scanの走査方向分解能、及び0.071mm/pixelの実視野幅方向分解能を有する。)、スリット52、及び白色LED光源53を備える外観検査機を使用し、前記スリット52を通した前記白色LED光源53の光の進行方向中に、前記CCDカメラ51を、当該光を受光できるように、前記実視野56の長さ方向と前記スリット52の方向とを一致させて配置し、前記スリット52と前記CCDカメラ51の間を、検査されるフィルム54をその縦方向に10m/分の速さで移動させながら、前記CCDカメラ51により前記白色LED光源53の光を前記検査されるフィルム54を通して受光することによって、当該フィルム54のA4サイズ(210mm×297mm)の範囲を走査する。
ここで、当該フィルム54は、前記実視野56の長さ方向と前記スリット52の方向が、前記フィルム54の横方向から20°傾くように(すなわち、図5においてθ2が20°になるように)、配置される。
また、ここで、当該フィルム54は、前記白色LED光源53の光の進行方向が、当該フィルム54平面に対する垂直方向からフィルム54の縦方向に、20°傾くように(すなわち、図4においてθ1が20°になるように)、配置される。
前記白色LED光源53は、前記フィルム54の地合部分(当該部分は、前記フィルム54において欠陥が無い部分である)が明度5のグレーになるように調光制御を行う。
当該走査において、暗部及び明部を、欠陥として、判断する。
前記暗部は、明度5のグレーから明度0の黒の範囲を127分割して、閾値を35/127に設定した場合に、当該閾値を超える部分(当該部分は、より暗い部分である)として定義される。
前記明部は、明度5のグレーから明度10の白の範囲を127分割して、閾値を35/127に設定した場合に、当該閾値を超える(当該部分は、より明るい部分である)部分として定義される。
前記欠陥のうち、次の条件(1)又は(2)を満たすものを、線状欠陥として外観検査機により計数する。
ここで、前記フィルム54を18mm×18mmの正方形に区画割りしたときに、当該区画をはみ出る、[W]及び[L]の少なくとも一方が18mm以上である1本の線状欠陥は、当該線状欠陥が及ぶ区画の数の線状欠陥であるとみなされる。
条件(1):[W]/[L]、及び[L]/[W]のいずれかが、1.30以上であるもの
条件(2):[W]/[L]、及び[L]/[W]の両方が、1.30以下であって、かつ[R2]が0.49以下であるもの
ここで、[W]は外接幅、[L]は外接長さ、及び[R2]は占有面積比率である。
当該外接幅は、前記欠陥の、走査方向に対する直角方向の長さ(当該長さは、前記欠陥の外接方形の幅である)として定義される。
当該外接長さは、前記欠陥の、走査方向の長さ(当該長さは、前記欠陥の外接方形の長さである)として定義される。
当該占有面積比率は、前記欠陥の、外接方形に対する明部と暗部の面積の比率として定として定義される。
なお、前記外接方形は、走査方向に平行な辺を有する。
外観検査機としては、MaxEye.Impact(商品名、ヒューテック社)、又は前記欠陥測定方法においてこれと同様の測定結果が得られる外観検査機を用いる。
当該外観検査機が備えるLED光源は、定電流駆動であり、連続点灯方式であり、光量は1〜100%までほぼ直線的に調光可能であり、及び100%出力で120000Luxである。
MaxEye.Impact(商品名、ヒューテック社)を用いた場合、具体的には、次のようにパラメータを設定して測定する。
[DP]:35以上、(1)[W]/[L]、及び[L]/[W]のいずれかが、1.30以上であるもの、及び(2)[W]/[L]、及び[L]/[W]の両方が、1.30以下であって[R2]が0.49以下であるものを計数する。
本発明の有機圧電フィルムは、100℃の温度で60分加熱して生じるカールが±10mm以内であることが好ましい。カールの程度を上述の範囲とすることにより、本発明の有機圧電フィルムを、圧電フィルム等の精度が要求される用途に用いるのに適したフィルムとすることができる。
前記カールは、幅100mm長さ100mmにカットしたフィルムを金属板上に中心のラインに沿ってテープで貼り付け、100℃で60分加熱したのちの両端部の金属板からの浮き上がり長さをノギスで測定する手法により測定される。
本発明の有機圧電フィルムのカールを±10mm以内とする方法としては、例えば、後述する本発明の有機圧電フィルムの製造方法において、基材と有機圧電フィルムとの剥離強度を0.1N/cm以下、溶媒を気化するための乾燥温度を200℃以下、並びに、溶媒中にフィルムを構成する重合体、及び所望による成分を溶解又は分散させて調製した液状組成物中の、フィルムを構成する重合体の固形分濃度を5質量%以上とする方法が挙げられる。
2.有機圧電フィルムの製造方法
本発明の有機圧電フィルム(好ましくは、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルム、より好ましくは分極化フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム)は、例えば、非分極の有機フィルム(好ましくは、非分極のフッ化ビニリデン系重合体フィルム、より好ましくは非分極のフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム)(以下、単に「非分極フィルム」と称する場合がある。)を分極化させることによって得られる。
(1)非分極フィルムの用意
非分極フィルムは、フィルムを構成する重合体(好ましくは、前記のフッ化ビニリデン系重合体、より好ましくは、前記のフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体)を用いて、キャスティング法、熱プレス法、又は溶融押出法等の公知の方法で製造できる。前記非分極フィルムは、好ましくは、キャスティング法で製造されたフィルムである。
キャスティング法による、前記非分極フィルムの製造方法は、例えば、
(1)溶媒中に、フィルムを構成する重合体を溶解させて、液状組成物を調製する工程;
(2)前記液状組成物を基材上に流延する工程;及び
(3)前記溶媒を気化させて、フィルムを形成させる工程:
を含む製造方法である。
液状組成物の調製における溶解温度は特に限定されないが、溶解温度を高くすると溶解を促進できるので好ましい。しかし、溶解温度が高すぎると、得られるフィルムが着色してしまう傾向があるので、溶解温度は、室温以上80℃以下であることが好ましい。
また、かかる着色を防止する意味から、前記溶媒の好ましい例としては、ケトン系溶媒(例、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル)、エーテル系溶媒(例、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン)、及びアミド系溶媒(例、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド)が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。前記溶媒として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の溶解に汎用される溶媒であるアミド系溶媒を用いてもよいが、溶媒中のアミド系溶媒の含有率は50%以下であることが望ましい。
前記液状組成物の基材上への流延(塗布)は、前記液状組成物の基材上への流延(塗布)は、ナイフコーティング方式、キャストコーティング方式、ロールコーティング方式、グラビアコーティング方式、ブレードコーティング方式、ロッドコーティング方式、エアドクタコーティング方式、またはスロットダイ方式等の慣用の方法に基づき行えばよい。なかでも、操作性が容易な点、得られるフィルム厚さのバラツキが少ない点、生産性に優れる点から、グラビアコーティング方式、又はスロットダイ方式が好ましい。当該基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。
前記溶媒の気化は、加熱等の慣用の乾燥方法によって実施できる。
前記溶媒の気化における乾燥温度は溶媒の種類等に応じて適宜決定され得るが、通常、20℃〜200℃の範囲内であり、より好ましくは40℃〜170℃の範囲内である。乾燥時間は、通常1〜600秒間の範囲内、好ましくは1〜200秒間の範囲内である。
当該乾燥温度は、乾燥温度条件を低温(例、40〜100℃)から高温(例、120〜200℃)に変化させることが、ヘイズ値が低いフィルムが得られる点で好ましい。これは、例えば、乾燥ゾーンを数ゾーンに分割し、フィルムが低温のゾーンから入って高温のゾーンに移送することによって実現できる。
具体的には、例えば、乾燥ゾーンを50℃、80℃、120℃、及び150℃の5ゾーンに分割し、フィルム(又はフィルム形成前の流延された溶液)を50℃のゾーンから150℃のゾーンへ連続的に移動させればよい。この場合、各ゾーンでの加熱時間は、好ましくは、それぞれ、1〜100秒間の範囲内、1〜100秒間の範囲内、1〜100秒間の範囲内、及び1〜100秒間の範囲内である。
このようにして調製される非分極フィルムの厚さは、得ようとする圧電フィルムに応じて設定すればよい。
分極に供される非分極フィルムは、好ましくは、延伸されていないものである。より好ましくは、本発明の有機圧電フィルムの製造方法のどの段階においても、当該非分極フィルムを、延伸しない。
このようにして得られる本発明の有機圧電フィルムは、その厚さの均一性が高い。
(2)非分極フィルムの分極
非分極フィルムの分極は、例えば、グランド電極上に直接載置された非分極フィルム(好ましくは、フッ化ビニリデン系重合体フィルム、より好ましくは、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム)を、前記グランド電極との間に印加電圧を加えた第1電極を用いたコロナ処理によって帯電させて、前記非分極フィルムを前記グランド電極に、静電気によって貼り付ける工程A、及び
前記グランド電極に貼り付いた非分極フィルムを、前記グランド電極との間に印加電圧を加えた第2電極を用いたコロナ処理によって分極化させる工程B
を含む方法によって実施される。
非分極フィルムの分極は、好ましくはクリーンルーム内、より好ましくはISOクラス7より清浄度の良いクリーンルーム内で実施される。これにより、線状欠陥の発生を防止できる。
非分極フィルムの分極は、好ましくは湿度70%以下、より好ましくは60%以下の環境下で実施される。これにより、コロナ処理時の短絡による、欠陥の発生を防止できる。
工程A(帯電処理)
工程Aでは、グランド電極上に直接載置された非分極フィルムを、前記グランド電極との間に印加電圧を加えた第1電極を用いたコロナ処理によって帯電させて、前記非分極フィルムを前記グランド電極に、静電気によって貼り付ける。
工程Aで用いられる「非分極フィルム」は、製造後に保管されたものであることができる。この場合、当該非分極フィルムは、その表面が保護フィルムで保護されたものであることが好ましく、当該保護フィルムは、工程Aの直前に剥離されることが好ましい。当該保護フィルムは、例えば、前記液状組成物の基材上への流延(塗布)で述べた基材自体であってもよい。
工程Aで用いられる非分極フィルムの厚さは、得ようとする有機圧電フィルムの厚さと同様の厚さを選択すればよい。
工程Aで用いられる非分極フィルムは、線状欠陥が無い、又は少ないことが好ましい。具体的には、線状欠陥の数が2,000個/m以下であり、好ましくは1,560個以下、より好ましくは1,500個/m以下、更に好ましくは560個以下、より更に好ましくは240個以下、特に好ましく50個以下である。当該線状欠陥の数は前記の方法により測定される。
工程Aで用いられる非分極フィルムは、当該分極化樹脂フィルムの製造における線状欠陥の発生を抑制する観点から、厚さが均一であることが好ましい。具体的には、工程Aで用いられる非分極フィルムは、平面方向の全体に渡って1cm四方毎に10箇所において厚さを測定したときの厚さの変動係数が10%以下である。
前記「(1)非分極フィルムの用意」で記載した好適な方法により製造された非分極フィルムは、これらの性質を有する傾向が高いが、単に、これらの性質を有する非分極フィルムを選択して工程Aに用いてもよい。
第1電極でコロナ処理可能な幅(帯電幅)と、フィルムの幅は一致していることが好ましい。
コロナ放電には、負コロナ及び正コロナのいずれを用いてもよいが、非分極フィルムの帯電しやすさの観点から負コロナを用いることが望ましい。コロナ放電は好ましくは直流コロナ放電である。
当該帯電によって、前記非分極フィルムを前記グランド電極に、静電気によって貼り付ける。
当該帯電によって、前記非分極フィルムを前記グランド電極に、その間の空気を押し出すように静電気によって貼り付けることが好ましい。
非分極フィルムと前記グランド電極との間の空気を押し出すことは、例えば、非分極フィルムの一端から、反対側の端へと連続的にコロナ処理することによって行うことができる。すなわち、これにより、非分極フィルムがその端から連続的に前記グランド電極に張り付つくので、空気が押し出される。
従って、工程Aは、好ましくは、前記グランド電極上に直接載置された前記非分極フィルムを、前記第1電極に対して相対的に移動させながら実施される。当該移動の速度を工程Aの処理速度と称する場合がある。当該移動は、例えば、前記非分極フィルムのコロナ処理を受ける位置が変わるように、前記グランド電極及び/又は前記第1電極を移動させることによって実施できる。
第1電極は、例えば、針状電極又は線状電極であることができるが、好ましくは針状電極である。
第1電極が、針状電極である場合、前記第1電極は、当該移動方向に対して垂直方向に配置された複数の針状電極である。当該複数の針状電極は、当該移動方法において概ね垂直方向に配置されていればよく、また、一列又は複数の列に配置されることができる。
当該複数の針状電極は、非分極フィルムを隙間無く帯電できるように配置されていることが好ましい。すなわち、複数の針状電極が一定の距離内に配置されていることが好ましい。このような距離は、針状電極の形状(鋭さ)、針状電極と非分極フィルムとの距離、及び針状電極に印可される電圧等によって異なるが、具体的には例えば、1.5cm未満、1.2cm未満等である。電圧が高い場合、当該距離を大きくできる。
前記第1電極がこのような電極であることにより、非分極フィルムの一端から、反対側の端へと連続的なコロナ処理において、空気が押し出され易くなり、空気の残存を高度に抑制できる。このことは、非分極フィルムのグランド電極に貼り付いた部分の端の形状が一直線ではないことによる空気の押し出され易さ(空気の逃げやすさ)に基づくと推測されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
工程Aにおけるコロナ処理の条件としては、非分極フィルムの帯電に適した条件が設定される。
後記工程Bでもコロナ処理が行われるが、工程Aでは、工程Bに比べて弱い条件でコロナ処理が行われる。当該条件は、主として、針状電極の鋭さ、電極から対象物(フィルム)の距離、及び電圧等によって調整できる。針状電極が鋭いほどコロナ処理の条件は強く、電極から対象物(フィルム)の距離が短いほどコロナ処理の条件は強く、及び電圧が高いほどコロナ処理の条件は強い。当該条件は、これらの組み合わせによって調整できる。具体的には、例えば、帯電について工程Aのコロナ処理(帯電処理)と工程Bのコロナ処理(分極処理)を比べると、処理後のフィルムの表面電位は工程A(帯電処理)<工程B(分極処理)である。例えば、電極から対象物(フィルム)の距離が同じ場合には、印加電圧は工程A(帯電処理)<工程B(分極処理)となる。また、電極から対象物(フィルム)への印加電圧が同じ場合、電極から対象物(フィルム)の距離は工程A(帯電処理)>工程B(分極処理)となる。
この条件が緩やか過ぎると、帯電が不十分になり、非分極フィルムと前記グランド電極との間の空気が残存して、最終的に得られる非分極フィルムに線状欠陥が生じる場合がある。一方、この条件が厳しすぎると、非分極フィルムにコロナ処理による線状欠陥が生じ、その結果、最終的に得られる非分極フィルムに線状欠陥が残る場合がある。
このようなコロナ処理の条件の要素としては、例えば、グランド電極との間に第1電極に印加される電圧、第1電極と非分極フィルムとの間の距離、及び工程Aの処理速度が挙げられる。
これらの要素のうち、ある要素において厳しい条件を選択した場合、総合的に適当なコロナ処理の条件にするため、他の要素において緩やかな条件を選択し得る。
前記グランド電極との間に第1電極に印加される電圧が強いほど、工程Aにおけるコロナ処理の条件は厳しくなる。当該電圧は、具体的には、例えば、−5〜−15kVである。
第1電極と非分極フィルムの間の距離は、第1電極とグランド電極との間の距離と実質的に同じであり、これらの距離が短いほど、工程Aにおけるコロナ処理の条件は厳しくなる。当該距離は、具体的には、例えば、1mm〜50mm、5〜15mmである。
工程Aの処理速度が遅いほど、工程Aにおけるコロナ処理の条件は厳しくなる。工程Aの処理速度としては、具体的には、例えば、10〜500cm/分が選択される。当該速度は、第1電極の形状等によって異なる。例えば、第1電極が線状電極である場合、その数が多いほど当該速度を高くできる。
工程B(分極処理)
工程Bでは、前記グランド電極に貼り付いた非分極フィルムを、前記グランド電極との間に印加電圧を加えた第2電極を用いたコロナ処理によって分極化させる。
第2電極でコロナ処理可能な幅(分極幅)と、フィルムの幅は一致していることが好ましい。
コロナ放電には、負コロナ及び正コロナのいずれを用いてもよいが、非分極フィルムの分極しやすさの観点から負コロナを用いることが望ましい。
工程Bは、前記工程Aによって前記グランド電極に非分極フィルムが貼り付いている間に実施される。
工程Bは、好ましくは、前記グランド電極上に直接載置された前記非分極フィルムを、前記第2電極に対して相対的に移動させながら実施される。当該移動の速度を工程Bの処理速度と称する場合がある。当該移動は、例えば、前記非分極フィルムを移動させることによっても実施でき、前記非分極フィルムのコロナ処理を受ける位置が変わるように、前記グランド電極及び/又は前記第2電極を移動させることによって実施できる。
前記工程Aにおいて、非分極フィルムの一端から、反対側の端へと連続的なコロナ処理が実施される場合、前記工程Aのコロナ処理が、反対側の端へ達する前に、工程Bのコロナ処理を前記一端から開始することができる。
第2電極は、例えば、針状電極又は線状電極であることができる。
第2電極が、線状電極である場合、当該線状電極は、前記非分極フィルムの移動方向に対して垂直方向に配置される。第2電極の数は、1個であってもよく2個以上(例、2個、3個、4個)であってもよい。比較的低い電圧で非分極フィルムの分極を完全に行う観点からは、当該線状電極の数は、穏やかな条件で十分に分極するため、2個以上であることが好ましく、具体的には、例えば2個が好ましい。各線状電極は、それぞれ別個の電源に接続されていてもよい。
比較的低い電圧で非分極フィルムの分極を行うことにより、高い電圧に起因するフィルムの線状欠陥の発生を軽減できる。この場合、一方、分極が十分になるように、処理速度をより遅くすることが好ましい。
第2電極が、針状電極である場合、前記第2電極は、分極処理されるフィルム面に対して鉛直方向に配置された複数の針状電極である。当該複数の針状電極は、当該移動方法において概ね垂直方向に配置されていればよく、また、一列又は複数の列に(言い換えると、1次元または2次元に)配置されることができる。
当該複数の針状電極は、非分極フィルムを隙間無く分極できるように配置されていることが好ましい。すなわち、複数の針状電極が一定の距離内に配置されていることが好ましい。このような距離は、針状電極の形状、針状電極と非分極フィルムとの距離、及び針状電極に印可される電圧等によって異なるが、具体的には例えば、1.5cm未満、1.2cm未満である。電圧が高い場合、当該距離を大きくできる。
工程Bにおけるコロナ処理の条件としては、非分極フィルムの分極に適した条件が設定される。
工程Aについての記載から理解されるように、工程Bでは、工程Aに比べて強い条件でコロナ処理が行われる。当該条件は、主として、針状電極の鋭さ又は線状電極の太さ、電極から対象物(フィルム)の距離、及び電圧等によって調整できる。針状電極が鋭いほどコロナ処理の条件は強く、線状電極が細いほどコロナ処理の条件は強く、電極から対象物(フィルム)の距離が短いほどコロナ処理の条件は強く、及び電圧が高いほどコロナ処理の条件は強い。当該条件は、これらの組み合わせによって調整できる。
この条件が緩やか過ぎると、分極が不十分になる。一方、この条件が厳しすぎると、非分極フィルムにコロナ処理による線状欠陥が生じる。
このような条件の要素としては、例えば、グランド電極との間に第2電極に印加される電圧、第2電極と非分極フィルムの間の距離、及び工程Bの処理速度が挙げられる。
これらの要素のうち、ある要素において厳しい条件を選択した場合、総合的に適当なコロナ処理の条件にするため、他の要素において緩やかな条件を選択し得る。
前記グランド電極との間に第2電極に印加される電圧が強いほど、工程Bにおけるコロナ処理の条件は厳しくなる。当該電圧は、第2電極と非分極フィルムの間の距離等によって異なるが、具体的には、例えば、−15〜−25kVである。
第2電極と非分極フィルムの間の距離は、第2電極とグランド電極との間の距離と実質的に同じであり、これらの距離が短いほど、工程Bにおけるコロナ処理の条件は厳しくなる。当該距離は、例えば、1〜50mm、好ましくは10〜25mmである。
工程Bの処理速度が遅いほど、工程Bにおけるコロナ処理の条件は厳しくなる。工程Bの処理速度は、例えば、10〜500cm/分である。当該速度は、第2電極の形状等によって異なる。例えば、第2電極が線状電極である場合、当該速度を高くできる。
工程Bにおけるコロナ処理時の非分極フィルムの温度は、好ましくは、20℃〜120℃、より好ましくは20℃〜85℃である。分極中に加熱しながら放電することにより、チャージされた電荷、圧電性の耐熱性を向上させることができる。
工程Bで分極化されたフィルムは、すぐに除電することが好ましい。当該除電は、例えば、当該フィルムを、アースされた金属と接触させることにより、実施できる。
本発明の有機圧電フィルムは、熱安定性付与等の目的で、熱処理されていてもよい。
本発明の有機圧電フィルムが、非分極フィルムの分極によって得られる場合、当該熱処理の工程(以下、工程Cと称する場合がある)は、非分極フィルムの分極(工程A及び工程B)に対して任意の時点で、行われる。すなわち、工程Cは、非分極フィルムの分極の前、非分極フィルムの分極と同時、又は非分極フィルムの分極の後に実施できる。工程Cを非分極フィルムの分極の後に行う場合、工程Cの熱処理は、非分極フィルムの分極で得られた分極化フィルム、又は非分極フィルムの分極において分極を完了した部分に対して行うことができる。すなわち、非分極フィルムの分極の処理を実施しながら、当該分極の処理を終えた部分に対して工程Cの熱処理を実施してもよい。
熱処理の方法は、特に限定されないが、例えば、前記無延伸の重合体フィルム(以下、単に前記フィルムと称する場合がある)を2枚の金属板で挟み、当該金属板を加熱すること;前記フィルムのロールを恒温槽中で加熱すること;又はロール・ツー・ロール方式での前記フィルムの生産において、金属ローラーを加熱し、前記フィルムを、当該加熱した金属ローラーに接触させること;又は前記フィルムを加熱した炉の中にロール・ツー・ロールで通していくことにより行うことができる。ここで、工程Cを分極処理の後に行う場合、分極化フィルムは単体で熱処理してもよいし、或いは別種のフィルム又は金属箔上に重ねて積層フィルムを作成し、これを熱処理してもよい。とりわけ、高温で熱処理する場合には後者の方法のほうが、分極化フィルムにしわが入りにくいので好ましい。
前記熱処理の温度は、熱処理される分極化フィルムの種類によって異なる場合があり、好ましくは(熱処理される分極化フィルムの融点−100)℃〜(熱処理される分極化フィルムの融点+40)℃の範囲内である。
前記熱処理の温度は、具体的には、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上である。
また、前記熱処理の温度は、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
前記熱処理の時間は、通常、10秒間以上、好ましくは0.5分間以上、より好ましくは1分間以上、更に好ましくは2分間以上である。
また、前記熱処理の時間の上限は限定されないが、通常、前記熱処理の時間は60分間以下である。
前記熱処理の条件は、好ましくは90℃以上で1分間以上である。
例えば、本発明の有機圧電フィルムが、非分極フィルムの分極処理、及びその後の熱処理によって得られる場合、当該分極化処理後の線状欠陥の数は、2,000個/m以下であり、好ましくは1,560個以下、より好ましくは1,500個/m以下、更に好ましくは560個以下、より更に好ましくは240個以下、特に好ましく50個以下である。また、当該熱処理後の線状欠陥の数は、2,000個/m以下であり、好ましくは1,560個以下、より好ましくは1,500個/m以下、更に好ましくは560個以下、より更に好ましくは240個以下、特に好ましく50個以下である。
分極後のフィルムは、一時保管等の目的により、巻き取って、ロールの形態にされ得る。この際、分極後のフィルムに、硬いすべり製のある基材(例、PETフィルム)等を重ねて巻き取ることが、線状欠陥の発生を抑制する観点から好ましい。
また、この巻き取りの際に用いられる芯はより大きい直径を有することが、線状欠陥の発生の抑制の観点から好ましい。
分極後のフィルムは、好ましくは、その幅方向の両端部をスリッターで耳おとし(スリット)される。
これにより、分極が不充分な部分の除去、及び本発明の有機圧電フィルムをロールの形態にする場合の耳立ちを抑制できる。
スリットで除去された耳(フィルム端)は、回収して、本発明の有機圧電フィルムの原料として、リサイクルできる。
スリットで除去する幅は、好ましくは、0.5〜10cmの範囲内である。
別法として、分極処理は、コロナ放電の他に、例えば非分極フィルムの両面から平板電極で挟み込んで印加することにより実施してもよい。具体的には、例えば、非分極フィルムの両面から平板電極で挟み込んで印加を実施する場合、0〜400MV/m(好ましくは、5〜400MV/m)の直流電界、及び0.1秒〜60分間の印加時間の条件を採用できる。
このようにして得られた有機圧電フィルムは、通常、線状欠陥の数が2,000個/m以下、好ましくは1,560個以下、より好ましくは1,500個/m以下、更に好ましくは560個以下、より更に好ましくは240個以下、特に好ましく50個以下であるが、線状欠陥の数が所望する数以下でない部分が存在する場合、これを除去して使用してもよい。
本発明の有機圧電フィルムは、全光線透過率が通常90%以上であり、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上である。当該全光線透過率の上限は限定されないが、本発明の有機圧電フィルムの全光線透過率は、通常99%以下である。
本明細書中、「全光線透過率」は、ASTM D1003に基づき、ヘイズガードII(製品名)(東洋精機製作所)又はその同等品を使用した光透過性試験によって得られる。
本発明の有機圧電フィルムの全ヘイズ値は、通常、4.0%以下、好ましくは、3.0%以下、より好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.5%以下、より更に好ましくは1.0%以下である。当該全ヘイズ値は低いほど好ましく、その下限は限定されないが、本発明の有機圧電フィルムの全ヘイズ値は、通常0.2%以上である。
本明細書中、「全ヘイズ値」(total haze)は、ASTM D1003に準拠し、ヘイズガードII(製品名)(東洋精機製作所)又はその同等品を使用したヘイズ(HAZE、濁度)試験によって得られる。
本発明の有機圧電フィルムの内部ヘイズ値は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、より更に好ましくは1.2%以下、より更に好ましくは1.0%以下である。当該内部ヘイズ値は低いほど好ましく、その下限は限定されないが、本発明の有機圧電フィルムの内部ヘイズ値は、通常0.1%以上である。
本明細書中、「内部ヘイズ値」(inner haze)は、前記全ヘイズ値の測定方法において、ガラス製セルの中に水を入れて、その中にフィルムを挿入し、ヘイズ値を測定することにより、得られる。
本発明の有機圧電フィルムの外部ヘイズ値は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下である。当該外部ヘイズ値は低いほど好ましく、その下限は限定されないが、本発明の有機圧電フィルムの外部ヘイズ値は、通常0.1%以上である。
本明細書中、「外部ヘイズ値」(outer haze)は、フィルムの全ヘイズ値から内部へイズ値を差し引くことで算出される。
本発明の有機圧電フィルムの電気機械結合係数は、通常0.1〜0.01の範囲内、好ましくは0.09〜0.02の範囲内、より好ましくは0.08〜0.03の範囲内である。
本明細書中、電気機械結合係数をktと略記する場合がある。
本発明において、有機圧電フィルムの「電気機械結合係数」(kt)は、有機圧電フィルムの両側にAl蒸着電極を形成し、有機圧電フィルムの所定箇所について、13mmの円板を切り出し、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社、4194A)又はその同等品を用いて測定し、H. Ohigashiら、「The application of ferroelectric polymer, Ultrasonic transducers in the megahertz range」に記載の方法により、算出される。
本発明の有機圧電フィルムによれば、タッチ位置によるタッチ圧の検出性能にばらつきが小さい、圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)が得られる。
また、本発明の有機圧電フィルムによれば、線状欠陥による外観上の問題が無い、圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)が得られる。
特に、本発明の有機圧電フィルムは、透明であり、及び、例えば、タッチパネルに使用された際等において、ディスプレイ素子によって作り出された映像又は画像の質の劣化の程度が極めて低いので、光学用途に好適に使用される。
次に、図1を参照して、本発明の有機圧電フィルムの製造方法の一態様を詳細に説明する。
本発明の有機圧電フィルムの製造方法に用いられる製造装置の概要を図1に示す。
本実施形態の製造装置1は、移送されるグランド電極2の上方に設けられた第1電極3と、グランド電極2の上方であり、かつ、グランド電極2の移動方向に沿って第1電極3の下流側に設けられた第2電極4とを備えている。
グランド電極2はアースされている一方で、第1電極3及び第2電極4にはそれぞれ第1高圧電源5及び第2高圧電源6が接続されている。第1電極3及び第2電極4とグランド電極2との間に、それぞれ第1高圧電源5及び第2高圧電源6から電圧が印加されることにより、第1電極3及び第2電極4からグランド電極2に向けてコロナ放電が発生する。
グランド電極2は、本実施形態では、平坦な上面を有しており、その上面に非分極フィルム7が直接載置されている。グランド電極2が、図1中に示す矢印X方向に移送されることで、非分極フィルム7も同方向に移送され、第1電極3及び第2電極4と順に対向配置されるように構成されている。
第1電極3は、本実施形態では、グランド電極2の移動方向Xに対して垂直方向Yに所定間隔をあけて配置された複数の針状電極30から構成されている。各針状電極30は、効果的にコロナ放電を生じさせるために、先端が尖った針状のものである。各針状電極30は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、タングステン、タンタルなどにより形成されており、その表面は、金メッキ等の処理が施されていてもよい。その先端がグランド電極2と対向している。各針状電極30は、非分極フィルム7の前記垂直方向Yの幅を十分にカバーする程度設けられている。なお、複数の針状電極30は、図1では、グランド電極2の移動方向Xに一列だけ設けられているが、複数列設けるようにしてもよい。また、複数の針状電極30は、グランド電極2の移動方向Xに概ね垂直方向に配置されていればよい。
第2電極4は、本実施形態では、グランド電極2の移動方向Xに対して垂直方向Yに延びる線状電極40から構成されている。線状電極40は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、タングステン、タンタルなどにより形成されており、その表面は、金メッキ等の処理が施されていてもよい。線状電極40は、非分極フィルム7の前記垂直方向Yの幅を十分にカバーできる程度、グランド電極2上を並行に延びている。なお、線状電極40は、図1では、グランド電極2の移動方向Xに2本設けられているが、1本または3本以上設けるようにしてもよい。また、線状電極40は、グランド電極2の移動方向Xに概ね垂直方向に延びていればよい。
前記構成の製造装置1では、グランド電極2を移動方向Xへ移送させながら、まず、第1電極3とグランド電極2との間に電圧が印加されることで、グランド電極2上の非分極フィルム7が、第1電極3から発生するコロナ放電によって、その一端部(移動方向X側の端部)から他端部(移動方向Xの反対側の端部)に向かって順次帯電する。この帯電により、非分極フィルム7は、静電気によってその一端部から他端部まで連続的にグランド電極2に貼り付く。この際、グランド電極2と非分極フィルム7との間に介在する空気は、移動方向Xの反対方向へ押し出されていき、非分極フィルム7の他端部から排出されるので、グランド電極2上の非分極フィルム7が気泡や線状欠陥(特に、シワ)が入ることなく綺麗に貼り付く。次いで、非分極フィルム7が貼り付いた状態で、グランド電極2が移動方向Xへさらに移送され、第2電極4とグランド電極2との間に電圧が印加されることで、第2電極4から発生するコロナ放電によって、非分極フィルム7が、その一端部から他端部まで連続的に分極される。
ここで、前記した第1電極3による非分極フィルム7のグランド電極2への貼付処理(工程A)において、第1電極3とグランド電極2との間に印加される電圧としては、例えば−5〜−15kV程度が選択される。また、第1電極3と非分極フィルム7との間の距離は、第1電極3とグランド電極2との間の距離と実質的に同じであり、当該距離としては、例えば、1mm〜50mm程度が選択され、好ましくは5〜15mmが選択される。また、グランド電極2の移送速度としては、例えば、10〜500cm/分が選択される。
さらに、第1電極3を構成する複数の針状電極30は、図2に示すように、コロナ放電により帯電可能な非分極フィルムの帯電域9が、隣接する針状電極30による非分極フィルムの帯電域9と少なくとも一部が重複するよう、配置間隔dが設定されている。これにより、非分極フィルム7が複数の針状電極30により隙間無く帯電される。また、このとき、非分極フィルム7のグランド電極2に貼り付いた部分の端部10の形状が直線状とはならず、波線状となることで、グランド電極2と非分極フィルム7との間の空気が押し出され易くなり、空気の残存を高度に抑制できる。
一方、前記した第2電極4による非分極フィルム7の分極処理(工程B)において、第2電極4とグランド電極2との間に印加される電圧としては、例えば−15〜−25kV程度が選択される。また、第2電極4と非分極フィルム7との間の距離は、第2電極4とグランド電極2との間の距離と実質的に同じであり、当該距離としては、例えば、1mm〜50mm程度が選択され、好ましくは10〜25mmが選択される。また、グランド電極2の移送速度としては、例えば、10〜500cm/分が選択される。
なお、グランド電極2は、温度制御装置8に接続されており、グランド電極2の温度を制御することで、電圧印加時の非分極フィルム7の温度を調整することができる。図示しない温度計等で電圧印加時の非分極フィルム7の温度を計測し、工程Aにおける貼付処理時の非分極フィルム7の温度を、20℃〜120℃、より好ましくは20℃〜85℃となるように制御するのが好ましい。また、工程Bにおける分極処理時の非分極フィルム7の温度を、20℃〜120℃、より好ましくは20℃〜85℃となるように制御するのが好ましい。分極中に加熱しながら放電することにより、チャージされた電荷、圧電性の耐熱性を向上させることができる。
なお、前記で説明した本発明の態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要件を備え、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が可能であり、このような変形物及び改良物もまた、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
例えば、第1電極3を線状電極により構成することもできるし、第2電極4を針状電極により構成することもできる。
また、グランド電極2は、上面が平坦な状態である必要はなく、図3に示すように、アースされたローラー(ローラー11)であってもよい。この場合、非分極フィルム7はローラー11に沿って移送される。図3中の矢印は、当該移送の方向を表す。図3では、針状電極30は、ローラー11の表面から一定の間隔をあけて、ローラー11の表面に対して垂直(すなわち、ローラー11の動径方向)に配置されている。また、線状電極40はローラー11の表面から一定の間隔をあけて、ローラー11の軸に平行に配置されている。また、アースされた除電用ローラー12は、分極直後のフィルムに接触できるように配置されている。除電用ローラー12に接触した有機圧電フィルムは、除電される。
グランド電極であるローラーの表面粗さRyは、1μm以下であることが好ましい。本明細書において、「表面粗さRa」は、JIS B0601:1994に規定されている、「最大高さ」である。
また、本発明の有機圧電フィルム及びそのロールの製造に用いられるローラーは、少なくともその表面の材質が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、クロムメッキ、又はステンレス鋼(SUS)であることが好ましい。
これらのことにより、線状欠陥(特に、シワ)の発生を抑制できる。
本発明の有機圧電フィルムの製造に用いられる装置におけるローラーは、線状欠陥の発生を抑制する観点から、直径が大きいことが好ましい。具体的には、当該直径は、好ましくは50mm以上の範囲内である。
本発明の有機圧電フィルムの製造に用いられる装置におけるローラーは、線状欠陥の発生を抑制する観点から、フィルム(特に、分極後のフィルム)の抱き角が大きくなるように配置されることが好ましい。本明細書中、フィルムの抱き角とは、フィルムがローラーに接触している部分である円弧が形成する中心角である。フィルムの抱き角は、例えば、ガイドローラーの設置により、大きくすることができる。具体的には、当該抱き角は、好ましくは30〜270°の範囲内である。
適用
本発明の有機圧電フィルムは、好適に、透明圧電パネル用であることができる。本発明の有機圧電フィルムを有する透明圧電パネルは、本発明の有機圧電フィルム及び透明電極を有する。
透明圧電パネル
本発明の透明圧電パネルは、第1の透明電極と、
本発明の有機圧電フィルムと、
第2の透明電極と、
をこの順で有する、
第1の透明電極は本発明の有機圧電フィルムの一方の主面上に直接又は間接的に配置され、及び
第2の透明電極は本発明の有機圧電フィルムの他方の主面上に直接又は間接的に配置される。
本発明の透明圧電パネルの構造は、第1の透明電極と、本発明の有機圧電フィルムと、第2の透明電極と、をこの順で有する限り、限定されず、他の部材を有していてもよい。
当該他の部材としては、例えば、粘着剤層、及び基材フィルム等が挙げられる。
当該態様の透明圧電パネルは、例えば、
第1の透明電極及び第2の透明電極を本発明の有機圧電フィルム上にそれぞれスパッタリングにより形成する工程、
第1の透明電極及び第2の透明電極をエッチングによりパターニングする工程、
を有する製造方法により製造できる。
これらの、粘着剤層、透明電極、及び基材フィルムの材料としては、それぞれ透明圧電パネルに用いられる公知の材料を用いることができる。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤を用いることができる。
前記透明電極の例としては、ITO(酸化インジウム・スズ)電極、及び酸化スズ電極が挙げられる。
前記基材フィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PETフィルム)、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム(PENフィルム)、ポリカーボネート樹脂フィルム(PCフィルム)、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(PESフィルム)、及び環状オレフィン重合体樹脂フィルム(COPフィルム)が挙げられる。なかでも好ましくは、PETフィルム、又はPENフィルムである。
本発明の透明圧電パネルの平面サイズは、特に限定されないが、好ましくは、3〜40インチの範囲内である。
本発明の透明圧電パネルは、タッチパネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)であることができる。
すなわち、本発明の有機圧電フィルムは、タッチパネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)に好適に用いられる。
本発明の透明圧電パネルは、例えば、抵抗膜方式、又は静電容量方式等の透明圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル)であることができる。
本発明の透明圧電パネルによれば、タッチ圧の検出に加えてタッチ位置の検出が可能である。従って、タッチ位置検出用タッチパネルと組み合わせなくても、タッチ圧及びタッチ位置の検出が可能である。
本発明の透明圧電パネルにおいてタッチ圧の検出は検出回路を通した電圧或いは電流値によって行われ、これらは検出電気回路が電圧モードかチャージモードかにより異なるが、本発明の透明圧電パネルは、同一タッチ圧が掛かった時の、それぞれの値のパネル面内での変動係数が、好ましくは0〜30%の範囲内である。
本発明の有機圧電フィルムを有する透明圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))を指等で押圧すると、本発明の有機圧電フィルムのひずみの時間的変化に応じた電気信号を得ることができるので、当該透明圧電パネルを用いれば、押圧の有無、速度、大きさ(強弱)、又はこれらの変化、或いはこれらの組み合わせを決定できる。ここで、押圧の大きさ(すなわち、静圧)は、前記電気信号の積分値を用いて決定できる。
本発明の有機圧電フィルムを有する透明圧電パネルにおいて、本発明の有機圧電フィルムは、1又は2枚以上(好ましくは2枚)を用いることができる。
本発明の有機圧電フィルムを2枚以上(好ましくは2枚)用いる場合、当該2枚以上の本発明の有機圧電フィルムは、粘着シートによって互いに貼り合わせられていてもよい。当該粘着シートは、本発明の有機圧電フィルムを互いに貼り合わせられるものであれば特に限定されず、1又は2以上の層からなることができる。すなわち、当該粘着シートが1層からなる場合、当該粘着シートは粘着剤層からなり、及び当該粘着シートが2以上の層からなる場合、その両外層が粘着剤層である。当該粘着シートが3以上の層からなる場合、当該粘着シートは内層として基材層を有していてもよい。
当該粘着シートにおける粘着剤層は、粘着剤としてアクリル系粘着剤を含有する層であることができる。
当該粘着シートにおける基材層は、透明なフィルムであればよく、好ましくは、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリパラフェニレンスルフィド、又はポリアミドイミドのフィルムであることができる。
例えば、本発明の有機圧電フィルムを有する透明圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))は、好ましくは、
第1の透明電極と、
第1の本発明の有機圧電フィルムと、
粘着シートと、
第2の本発明の有機圧電フィルムと、
第2の透明電極と、
をこの順で有する。
第1の透明電極は第1の本発明の有機圧電フィルムの外面上に配置され、及び
第2の透明電極は第2の本発明の有機圧電フィルムの外面上に配置されている。
本発明の有機圧電フィルムは焦電性を有し得るが、当該透明圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))において、第1の本発明の有機圧電フィルム、及び第2の本発明の有機圧電フィルムを、温度上昇によって同じ極性の電荷(例えば、正電荷と正電荷)が生じる面がそれぞれ外側になるように配置し、及び当該2つの面の間の電位差を第1の電極と第2の電極とで電気信号として得る場合、焦電性による電気信号が低減されて、圧電性による電気信号を選択的に得ることが可能である。
本発明の有機圧電フィルムを有する透明圧電パネルは、タッチ入力装置、及びタッチセンサー装置に用いることができる。当該透明圧電パネルを有する入力装置(すなわち、本発明の有機圧電フィルムを有する入力装置)は、タッチ位置、タッチ圧、又はその両方に基づく入力(例、筆圧等の押圧の大きさ(強弱)に基づく入力)が可能である。当該透明圧電パネルを有する入力装置は、位置検出部及び圧力検出部を有することができる。
タッチ入力装置
本発明のタッチ入力装置は、
本発明の透明圧電パネルと、
圧力検出部と、
位置検出部と、
を有する。
当該入力装置は、電子機器に用いることができる。
タッチセンサー装置
本発明のタッチセンサー装置は、
本発明の透明圧電パネルと、
圧力検出部と、
位置検出部と、
を有する。
当該タッチセンサー装置は、電子機器に用いることができる。
電子機器
本発明の電子機器は、
本発明のタッチ入力装置又はタッチセンサー装置
を有する。
当該タッチ入力装置又はタッチセンサー装置を有する電子機器は、タッチ位置、タッチ圧又はその両方に基づく操作及び動作(例、ペイントソフトにおいて、筆圧に応じてスクリーンに表示される線の太さを変える等の操作)が可能である。
当該タッチ入力装置を有する電子機器の例としては、携帯電話(例、スマートフォン)、携帯情報端末(PDA)、タブレットPC、ATM、自動券売機、デジタイザ、タッチパッド、カーナビゲーションシステム、及びFA(ファクトリー・オートメーション)機器等のタッチパネルディスプレイ(タッチパネルモニター)が挙げられる。
当該タッチセンサー装置を有する電子機器の例としては、衝突センサー、及びロボット掃除機が挙げられる。
当該電子機器は、タッチ入力装置、又はタッチセンサー装置を備えることができ、或いはタッチ入力装置、又はタッチセンサー装置からなることもできる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
後記の実施例及び比較例においては、次の電極を使用した。
<使用電極>
(1)20mm幅(10mm厚、550mm長)の真鍮棒上に10mm間隔で電極用針(針状電極)(R=0.06mm;森田製針所製)55本を一列に並べた針状電極棒
(2)直径0.1mmの金鍍金したタングステン製の線状電極(550mm長)
後記の実施例及び比較例においては、次の方法で、全光線透過率、全ヘイズ値、電気機械結合係数、フィルムの線状欠陥を測定した。
<全光線透過率>
ヘイズガードII(製品名、東洋精機製作所)を使用し、ASTM D1003に記載の方法に基づいて測定した。
<全ヘイズ値>
ヘイズガードII(製品名、東洋精機製作所)を使用し、ASTM D1003に記載の方法に基づいて測定した。
<電気機械結合係数>
透明分極化フィルムの両側にAl蒸着電極を形成し、透明分極化フィルムの所定箇所について、13mmの円板を切り出し、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製4194A)を用いて測定し、H. Ohigashiら、「The application of ferroelectric polymer, Ultrasonic transducers in the megahertz range」に記載の方法により、電気機械結合係数を算出した。
<線状欠陥>
次の方法で線状欠陥を検出し、その数を数えた。
<欠陥測定方法>
CCDカメラ(当該CCDカメラは、長さ596mmの帯状の実視野、0.010mm/scanの走査方向分解能、及び0.071mm/pixelの実視野幅方向分解能を有する。)、スリット、及び白色LED光源を備える外観検査機を使用し、前記スリットを通した前記白色LEDの光の進行方向中に、前記CCDカメラを、当該光を受光できるように、前記実視野の長さ方向と前記スリットの方向とを一致させて配置し、前記スリットと前記CCDカメラの間を、検査されるフィルムをその縦方向に10m/分の速さで移動させながら、前記CCDカメラにより前記白色LED光源の光を前記検査されるフィルムを通して受光することによって、当該フィルムのA4サイズ(210mm×297mm)の範囲を走査した。
ここで、当該フィルムは、前記実視野の長さ方向と前記スリットの方向が、前記フィルムの横方向から20°傾くように、配置した。
また、ここで、当該フィルムは、白色LED光源の光の進行方向が、当該フィルム平面に対する垂直方向からフィルムの縦方向に、20°傾くように、配置した。
当該走査において、暗部及び明部を、欠陥として、判断した。
前記白色LED光源は、前記フィルムの地合部分(当該部分は、前記フィルムにおいて欠陥が無い部分である)が明度5のグレーになるように調光制御を行った。
前記暗部は、明度5のグレーから明度0の黒の範囲を127分割して、閾値を35/127に設定した場合に、当該閾値を超える部分(当該部分は、より暗い部分である)として定義した。
前記明部は、明度5のグレーから明度10の白の範囲を127分割して、閾値を35/127に設定した場合に、当該閾値を超える(当該部分は、より明るい部分である)部分として定義した。
前記欠陥のうち、次の条件(1)又は(2)を満たすものを、線状欠陥として外観検査機により計数した。
条件(1):[W]/[L]、及び[L]/[W]のいずれかが、1.30以上であるもの
条件(2):[W]/[L]、及び[L]/[W]の両方が、1.30以下であって、かつ[R2]が0.49以下であるもの
ここで、[W]は外接幅、[L]は外接長さ、及び[R2]は占有面積比率である。
当該外接幅は、前記欠陥の、走査方向に対する直角方向の長さ(当該長さは、前記欠陥の外接方形の幅である)として定義した。
当該外接長さは、前記欠陥の、走査方向の長さ(当該長さは、前記欠陥の外接方形の長さである)として定義した。
当該占有面積比率は、前記欠陥の、外接方形に対する明部と暗部の面積の比率として定として定義した。
なお、前記外接方形は、走査方向に平行な辺を有する。
ここで、前記フィルムを18mm×18mmの正方形に区画割りしたときに、当該区画をはみ出る、[W]及び[L]の少なくとも一方が18mm以上である1本の線状欠陥は、当該線状欠陥が及ぶ区画の数の線状欠陥であるとみなした。
前記外観検査機としては、MaxEye.Impact(商品名、ヒューテック社)を用い、次のようにパラメータを設定して測定した。
<パラメータ設定>
[DP]:35以上、
(1)[W]/[L]、及び[L]/[W]のいずれかが、1.30以上であるもの、及び
(2)[W]/[L]、及び[L]/[W]の両方が、1.30以下であって[R2]が0.49以下であるもの
を計数する。
当該外観検査機が備えるLED光源は、定電流駆動であり、連続点灯方式であり、光量は1〜100%までほぼ直線的に調光可能であり、及び100%出力で120000Luxであった。光量を65%に調光した。
製造例1(非分極フィルムの製造)
次の製造法により、厚さ40μmの、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルム(モル比 80:20)を製造した。
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(モル比 80:20)のジメチルアセトアミド(DMAc)溶液、またはメチルエチルケトン(MEK)溶液をPET(ポリエチレンテレフタレート)基材上に流延し、180℃で溶媒を気化させて、厚さ40μmのフィルムを成形した。
実施例1
ISOクラス7のクリーンルーム(湿度60%)の中で、図3にその概要を示したように、アースされたローラー(直径200mm、幅800mm、表面粗さRy0.6)であるSUS製のグランド電極上に、抱き角200°で当該ローラーに沿って移動するように、幅550mm、長さ200m、及び厚さ40μmのフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム(以下、単にフィルムと称する場合がある。)を設置した。第1電極として、前記(1)の針状電極を、針状電極の並びがローラー表面に対して垂直(すなわち、ローラーの動径方向)になり、かつ、フィルムから針状電極の先端が10mm上空に離れた位置になるように設置した。さらに、前記(1)の針状電極棒の針状電極から、フィルムの長さで100mm離れた位置と針状電極から150mm離れた位置に、第2電極として、直径0.1mmの金鍍金したタングステン製の線状電極(550mm長)それぞれ1本を、フィルムから20mm上空に離れた位置になる様に設置した。
針状電極(第1電極)には−10kVの電圧を、線状電極(第2電極)には−15kVの電圧を印加した後、96cm/分の速さでフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムを図3の矢印方向に移動させて、針状電極(第1電極)の先端と、それに続く線状電極(第2電極)から発生するコロナ放電の下を通過させ、更に、アースされた金属ロール(直径70mm、表面粗さRy0.6)に接触させてフィルムを除電した。その後、スリッターを用いて、フィルム両端をそれぞれ0.5cm除去し、PETフィルムを間に挟みながら、直径6インチの円筒状の芯に、得られた分極化フィルムを巻き取った。
得られた分極化フィルムの表面の状態を観察した。
得られた分極化フィルム(圧電フィルム)は、透明(transparent)であり、かつ線状欠陥が極めて少なかった。全光線透過率、全ヘイズ値、電気機械結合係数、150×300mm角あたりの線状欠陥数の評価データを表1に示す。
比較例1
以下に記載するように、アースされた金属ロールに接触させてフィルムを除電することを実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、分極化フィルムを製造した。
ISOクラス7のクリーンルーム(湿度60%)の中で、図3にその概要を示したように、アースされたローラー(直径200mm、幅800mm、表面粗さRy0.6)であるSUS製のグランド電極上に、抱き角200°で当該ローラーに沿って移動するように、幅550mm、長さ200m、及び厚さ40μmのフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム(以下、単にフィルムと称する場合がある。)を設置した。第1電極として、前記(1)の針状電極を、針状電極の並びがローラー表面に対して垂直(すなわち、ローラーの動径方向)になり、かつ、フィルムから針状電極の先端が10mm上空に離れた位置になるように設置した。さらに、前記(1)の針状電極棒の針状電極から、フィルムの長さで100mm離れた位置と針状電極から150mm離れた位置に、第2電極として、直径0.1mmの金鍍金したタングステン製の線状電極(550mm長)それぞれ1本を、フィルムから20mm上空に離れた位置になる様に設置した。
針状電極(第1電極)には−10kVの電圧を、線状電極(第2電極)には−15kVの電圧を印加した後、96cm/分の速さでフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムを図3の矢印方向に移動させて、針状電極(第1電極)の先端と、それに続く線状電極(第2電極)から発生するコロナ放電の下を通過させた。グランド電極ローラーからフィルムが剥がれる際に多くの線状欠陥が連続的に発生した。その後、スリッターを用いて、フィルム両端をそれぞれ0.5cm除去し、PETフィルムを間に挟みながら、直径6インチの円筒状の芯に、得られた分極化フィルムを巻き取った。
得られた分極化フィルムの表面の状態を観察した。
得られた分極化フィルム(圧電フィルム)は、透明(transparent)であるが、線状欠陥が極めて多かった。全光線透過率、全ヘイズ値、電気機械結合係数、150×300mm角あたりの線状欠陥数の評価データを表1に示す。
実施例2
以下に記載するように、線状電極(第2電極)には−19kVの電圧を印加した以外は、実施例1と同様にして、分極化フィルムを製造した。
ISOクラス7のクリーンルーム(湿度60%)の中で、図3にその概要を示したように、アースされたローラー(直径200mm、幅800mm、表面粗さRy0.6)であるSUS製のグランド電極上に、抱き角200°で当該ローラーに沿って移動するように、幅550mm、長さ200m、及び厚さ40μmのフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム(以下、単にフィルムと称する場合がある。)を設置した。第1電極として、前記(1)の針状電極を、針状電極の並びがローラー表面に対して垂直(すなわち、ローラーの動径方向)になり、かつ、フィルムから針状電極の先端が10mm上空に離れた位置になるように設置した。さらに、前記(1)の針状電極棒の針状電極から、フィルムの長さで100mm離れた位置と針状電極から150mm離れた位置に、第2電極として、直径0.1mmの金鍍金したタングステン製の線状電極(550mm長)それぞれ1本を、フィルムから20mm上空に離れた位置になる様に設置した。
針状電極(第1電極)には−10kVの電圧を、線状電極(第2電極)には−19kVの電圧を印加した後、96cm/分の速さでフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムを図3の矢印方向に移動させて、針状電極(第1電極)の先端と、それに続く線状電極(第2電極)から発生するコロナ放電の下を通過させ、更に、アースされた金属ロール(直径70mm、表面粗さRy0.6)に接触させてフィルムを除電した。コロナ放電の下を通過する際、数十カ所に火花放電が発生した。その後、スリッターを用いて、フィルム両端をそれぞれ0.5cm除去し、PETフィルムを間に挟みながら、直径6インチの円筒状の芯に、得られた分極化フィルムを巻き取った。
得られた分極化フィルムの表面の状態を観察した。
得られた分極化フィルム(圧電フィルム)は、透明(transparent)であり、かつ線状欠陥が少なかった。全光線透過率、全ヘイズ値、電気機械結合係数、150×300mm角あたりの線状欠陥数の評価データを表1に示す。
実施例3
以下に記載するように、線状電極(第2電極)には−20kVの電圧を印加した以外は、実施例1と同様にして、分極化フィルムを製造した。
ISOクラス7のクリーンルーム(湿度60%)の中で、図3にその概要を示したように、アースされたローラー(直径200mm、幅800mm、表面粗さRy0.6)であるSUS製のグランド電極上に、抱き角200°で当該ローラーに沿って移動するように、幅550mm、長さ200m、及び厚さ40μmのフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム(以下、単にフィルムと称する場合がある。)を設置した。第1電極として、前記(1)の針状電極を、針状電極の並びがローラー表面に対して垂直(すなわち、ローラーの動径方向)になり、かつ、フィルムから針状電極の先端が10mm上空に離れた位置になるように設置した。さらに、前記(1)の針状電極棒の針状電極から、フィルムの長さで100mm離れた位置と針状電極から150mm離れた位置に、第2電極として、直径0.1mmの金鍍金したタングステン製の線状電極(550mm長)それぞれ1本を、フィルムから20mm上空に離れた位置になる様に設置した。
針状電極(第1電極)には−10kVの電圧を、線状電極(第2電極)にはさらに電圧を挙げて−20kVの電圧を印加した後、96cm/分の速さでフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムを図3の矢印方向に移動させて、針状電極(第1電極)の先端と、それに続く線状電極(第2電極)から発生するコロナ放電の下を通過させ、更に、アースされた金属ロール(直径70mm、表面粗さRy0.6)に接触させてフィルムを除電した。コロナ放電の下を通過する際、数十カ所に火花放電が発生した。その後、スリッターを用いて、フィルム両端をそれぞれ0.5cm除去し、PETフィルムを間に挟みながら、直径6インチの円筒状の芯に、得られた分極化フィルムを巻き取った。
得られた分極化フィルムの表面の状態を観察した。
得られた分極化フィルム(圧電フィルム)は、透明(transparent)であり、かつ線状欠陥が少なかった。全光線透過率、全ヘイズ値、電気機械結合係数、150×300mm角あたりの線状欠陥数の評価データを表1に示す。
試験例1(タッチ圧の検出性能のばらつき)
実施例1及び比較例1で得た分極化フィルムの両面に1枚ずつ、ITO付きPETフィルム(ITO/PET)(ITO層の厚さ:0.05μm、PETフィルムの厚さ:38μm)を、そのマトリックス透明電極を分極化フィルム側に向けて、粘着剤で貼り付け(粘着剤層の厚さ:25μm)、透明圧電パネルを作成した。
また、定量的な検出出力と光学性能(全光透過率と全ヘイズ)のパネル面内の位置による変動を評価するために、パネル上の位置を縦横10mm幅で2分割ずつ(A、B、C、D)、計4分割して無作為に位置を選び、タッチ圧に対する検出出力をオシロスコープをもちいて測定した(表1)。検出出力は出てきた電圧信号のピークトップとした。タッチ圧は条件を揃えるために、一定荷重の重石を一定高さ(20mm)から自由落下させた荷重値で示した。
本発明の分極化フィルムによれば、タッチ位置によるタッチ圧の検出性能にばらつきが小さい、圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)が得られる。
また、本発明の分極化フィルムによれば、線状欠陥による外観上の問題が無い、圧電パネル(例、タッチ圧を検出できるタッチパネル)が得られる。
1 :製造装置
2 :グランド電極
3 :第1電極
4 :第2電極
5 :第1高圧電源
6 :第2高圧電源
7 :非分極フィルム
8 :温度制御装置
9 :帯電域
10 :端部
11 :ローラー
12 :除電用ローラー
30 :針状電極
40 :線状電極
51 :CCDカメラ
52 :スリット
53 :白色LED光源
54 :フィルム
56 :実視野

Claims (8)

  1. 線状欠陥の数が2,000個/m以下である有機圧電フィルム。
  2. 分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムである請求項1に記載の有機圧電フィルム。
  3. 分極化フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムである請求項1に記載の有機圧電フィルム。
  4. 前記線状欠陥の数が後記の欠陥測定方法で測定される数である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機圧電フィルム。
    <欠陥測定方法>
    CCDカメラ(当該CCDカメラは、長さ596mmの帯状の実視野、0.010mm/scanの走査方向分解能、及び0.071mm/pixelの実視野幅方向分解能を有する。)、スリット、及び白色LED光源を備える外観検査機を使用し、前記スリットを通した前記白色LEDの光の進行方向中に、前記CCDカメラを、当該光を受光できるように、前記実視野の長さ方向と前記スリットの方向とを一致させて配置し、前記スリットと前記CCDカメラの間を、検査されるフィルムをその縦方向に10m/分の速さで移動させながら、前記CCDカメラにより前記白色LED光源の光を前記検査されるフィルムを通して受光することによって、当該フィルムのA4サイズ(210mm×297mm)の範囲を走査する。
    ここで、当該フィルムは、前記実視野の長さ方向と前記スリットの方向が、前記フィルムの横方向から20°傾くように、配置される。
    また、ここで、当該フィルムは、前記白色LED光源の光の進行方向が、当該フィルム平面に対する垂直方向からフィルムの縦方向に、20°傾くように、配置される。
    前記白色LED光源は、前記フィルムの地合部分(当該部分は、前記フィルムにおいて欠陥が無い部分である)が明度5のグレーになるように調光制御を行う。
    当該走査において、暗部及び明部を、欠陥として、判断する。
    前記暗部は、明度5のグレーから明度0の黒の範囲を127分割して、閾値を35/127に設定した場合に、当該閾値を超える部分として定義される。
    前記明部は、明度5のグレーから明度10の白の範囲を127分割して、閾値を35/127に設定した場合に、当該閾値を超える部分として定義される。
    前記欠陥のうち、次の条件(1)又は(2)を満たすものを、線状欠陥として外観検査機により計数する。
    条件(1):[W]/[L]、及び[L]/[W]のいずれかが、1.30以上であるもの
    条件(2):[W]/[L]、及び[L]/[W]の両方が、1.30以下であって、かつ[R2]が0.49以下であるもの
    ここで、[W]は外接幅、[L]は外接長さ、及び[R2]は占有面積比率である。
    当該外接幅は、前記欠陥の、走査方向に対する直角方向の長さとして定義される。
    当該外接長さは、前記欠陥の、走査方向の長さとして定義される。
    当該占有面積比率は、前記欠陥の、外接方形に対する明部と暗部の面積の比率として定として定義される。
    ここで、前記フィルムを18mm×18mmの正方形に区画割りしたときに、当該区画をはみ出る、[W]及び[L]の少なくとも一方が18mm以上である1本の線状欠陥は、当該線状欠陥が及ぶ区画の数の線状欠陥であるとみなされる。
  5. 透明圧電パネル用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機圧電フィルム。
  6. 第1の透明電極と、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機圧電フィルムと、
    第2の透明電極と、
    をこの順で有する、
    透明圧電パネル。
  7. 請求項6に記載の透明圧電パネルと、
    圧力検出部と、
    位置検出部と、
    を有する
    タッチ入力装置。
  8. 請求項7に記載のタッチ入力装置
    を有する電子機器。
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