JP2015108917A - 炎検出装置および炎検出候補領域特定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像メモリ(10)に記憶された時系列画像に基づいて炎の検出に適した候補領域を特定する前処理部(20)を備え、前処理部は、複数Nフレームからなる1サイクル分の時系列画像に基づいて、時系列画像と基準画像との差分として得られる背景差分画像と、時系列画像のうちの隣接する画像間の差分として得られる時系列差分画像とに基づいて、それぞれのフレームごとに候補領域を抽出し、抽出したNフレーム分の候補領域を論理和することで統合候補領域を特定する。
【選択図】図1
Description
炎の検出精度に悪影響を与える要因としては、イルミネーション等の外乱光以外にも、種々の要因が考えられる。また、特許文献1の技術は、大規模な空間における炎を早期発見することは困難である。そのため、種々の外乱要因の影響を抑えるとともに、広い空間における炎の早期発見を、画像処理技術を用いて高精度に検出する炎検出装置が望まれている。
本発明は、炎特有の揺らぎを捉えて炎検出を行う方式では、照明のちらつき等の、炎と同じような画素変化を示す誤報源との判別が困難であった問題を解消すべく、炎の抽出に特化した領域抽出方法と、炎が作り出す特有の形状に着目した特徴量の抽出方法とを組合せ、炎検出の精度向上を実現することを技術的特徴とするものである。
図1は、本発明の実施の形態1における炎検出装置の構成図である。本実施の形態1における炎検出装置は、画像メモリ10、前処理部20、および炎検出部30を備えている。画像メモリ10は、カメラ1により撮像された画像を、過去一定期間分、時系列データとして記憶できるように、複数フレーム分の画像メモリとして構成されている。
まず始めに、カメラ1から取得された画像に対して、移動体に対応する画素の抽出を行う(ステップ1)。次に、抽出された画素を元に、炎候補領域を作成する(ステップ2)。次に、作成した炎候補領域内で抽出された移動体の特徴量を計算する(ステップ3)。そして、最後に、その特徴量から炎らしさを判別し、火災の判定を行うこととなる(ステップ4)。
前処理部20は、カメラ1により取得されたカメラ映像から、移動している物体の抽出を行なう。図2は、本発明の実施の形態1における炎検出装置の前処理部20による移動体画素の抽出処理に関する説明図である。なお、図2では、説明をわかりやすくするために、本来の検出対象である炎を移動体として抽出する場合をイラスト的に示している。さらに、この移動体が、背景よりも明るいと仮定して説明する。
(画像a1)移動体が存在しない状態の基準画像(炎が存在しない背景画像に相当)であり、例えば、プログラム起動時などにあらかじめ取得される画像に相当する。
(画像a2)時系列で取得される1サイクル分の画像のうち、ある時刻t−1に取得された画像であり、左側に移動体が撮像された画像を例示している。
(画像a3)時系列で取得される1サイクル分の画像のうち、ある時刻tに取得された画像であり、時刻t−1において左側に存在した移動体が、中央寄りに移動した状態の画像を例示している。
(画像b1)画像a2と画像a3の差分画像であり、時系列差分画像を示している。具体的には、時系列である時刻t−1の画像a2と時刻tの画像a3に基づいて、両画像の対応する画素ごとに、両画素の輝度値(濃淡値)の差分の絶対値を求めることで生成される画像を、時系列差分画像と称している。
(画像b2)画像a1と画像a3の差分画像であり、背景差分画像を示している。具体的には、基準画像a1と時刻tの画像a3に基づいて、両画像の対応する画素ごとに、両画素の輝度値の差分の絶対値を求めることで生成される画像を、背景差分画像と称している。
(画像c1)画像b1に関して所定の閾値により2値化して得られる2値画像であり、時系列差分画像として、所定の閾値以上の差分を有する画素が抽出されることとなる。従って、炎のように揺れている場合には、時刻t−1と時刻tの画像で、一方の時刻のみ炎と検出された画素を抽出できることとなる。
(画像c2)画像b2に関して所定の閾値により2値化して得られる2値画像であり、背景差分画像として、所定の閾値以上の差分を有する画素が抽出されることとなる。従って、時刻tの画像で、炎と検出された画素を抽出できることとなる。
(画像d1)時系列差分に基づく2値画像c1と、背景差分に基づく2値画像c2に基づいて、少なくとも一方の画像で黒の画素を黒とし、両方の画像とも白の画素を白とすることで、炎検出領域を抽出することができる。
前処理部20により1サイクル処理ごとに特定される炎候補領域に対して、本実施の形態1における炎検出部30内の特徴量算出部31は、以下の5つの特徴量に基づく炎判別処理を行うこととなる。
[炎判別処理1]楕円一致率を特徴量1として抽出し、炎判別を行う。
[炎判別処理2]弱エッジの割合を特徴量2として抽出し、炎判別を行う。
[炎判別処理3]重心位置の遷移の周期性を特徴量3として抽出し、炎判別を行う。
[炎判別処理4]重心位置の遷移の増加/減少状態を特徴量4として抽出し、炎判別を行う。
[炎判別処理5]平均輝度の変化量を特徴量5として抽出し、炎判別を行う。
検出対象である炎は、例えば人の移動など、他の移動体とは異なり、楕円形状に近い形として画像認識される傾向にある。そこで、炎判別処理1では、特定された候補領域内に存在する移動体の画素データに対応する楕円形を抽出し、抽出した楕円形の領域に対して、炎候補領域として特定された画素が含まれている割合を楕円一致率として算出し、この楕円一致率の大きさが所定一致率以上である場合に、移動体として検出したものが炎であると判別している。そこで、以下に、具体的な判別方法を説明する。
1階調目:抽出回数0〜8
2階調目:抽出回数9〜16
:
8階調目:抽出回数57〜64
なお、上述した階調分けは一例に過ぎず、任意の階調数に分割でき、各階調に含まれる抽出回数も任意の範囲を設定可能である。
F_x:重心位置のX座標
F_y:重心位置のY座標
Px:領域に含まれる画素のX座標
Py:領域に含まれる画素のy座標
Pn:領域内に含まれる画素総数
FAx:焦点AのX座標
FAy:焦点AのY座標
FBx:焦点BのX座標
FBy:焦点BのY座標
i:X座標の変数
j:Y座標の変数
(補正手順2)次に、特徴量算出部31は、回転させた2本の直線で囲まれる領域(2本の直線で挟まれた領域)に含まれる画素に限定して、上式(1)を用いて新しい重心を求める。その際には、楕円の中心から距離が大きくなるほど重みを大きく付加する(図5(b)参照)。
(補正手順3)最後に、特徴量算出部31は、新たに求まった2つの重心に関して、抽出回数が最小である領域に含まれる画素について、上式(2)を用いることで、新たに求まった焦点Aと焦点Bからの距離の和の平均を求め、楕円の半径とする(図5(c)参照)。
図6は、本発明の実施の形態1における炎検出処理で抽出される特徴量2に関する説明図である。上段の図6(a)(b)は、炎を撮像した際の元画像とエッジ検出結果を示している。また、下段の図6(c)(d)は、誤検出要因である人の移動を撮像した際の元画像とエッジ検出結果を示している。
この炎判別処理3では、誤検出要因である回転灯を移動体として抽出した場合に、炎と区別する方法について説明する。抽出された移動体が回転灯の場合、フレームごとに算出される移動体の重心位置は、炎に比べて、強い周期性を持った推移が得られる。図9は、本発明の実施の形態1における炎検出処理で抽出される特徴量3に関する説明図である。
(手順2)次に、特徴量算出部31は、手順1で求めた重心位置の遷移データに対して、離散フーリエ変換を行う。周波数と振幅スペクトルの関係をグラフに示した結果が、図9(c)(d)に相当する。なお、図9(c)(d)では、一例として、64フレーム分(1サイクル分)のデータに対して、離散フーリエ変換を行っている。
この炎判別処理4では、誤検出要因である人や車を移動体として抽出した場合に、炎と区別する方法について説明する。抽出された移動体が人や車などといった場合には、これらの移動体は直進移動する場合が多く、重心位置の推移が単調増加または単調減少する傾向にある。一方、抽出された移動体が炎の場合には、炎の揺らぎに伴って、重心位置の推移が増加したり減少したりする傾向にある。図10は、本発明の実施の形態1における炎検出処理で抽出される特徴量4に関する説明図である。
(手順2)次に、特徴量算出部31は、手順1で求めた重心位置の遷移データに基づいて、下式(5)に従って、特徴量4を算出する。
この炎判別処理5では、誤検出要因である人や車を移動体として抽出した場合に、炎と区別する方法について、先の炎判別処理4とは異なる方法を説明する。抽出された移動体が人や車などであり、かつその場で留まっている場合には、画素に変化があまりないため、輝度値の変化が緩やかになる。一方、抽出された移動体が炎の場合には、激しく燃える状態の画像により、輝度変化が大きくなる傾向にある。図11は、本発明の実施の形態1における炎検出処理で抽出される特徴量5に関する説明図である。
Claims (5)
- 監視カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、炎の発生を検出する炎検出装置であって、
前記監視カメラにより時系列で撮像された複数の画像を時系列画像として記憶するとともに、検出対象である炎が発生していない基準画像を記憶する画像メモリと、
前記画像メモリに記憶された複数Nフレーム(Nは、2以上の整数)からなる1サイクル分の時系列画像に基づいて、画像内に存在する移動体を抽出し、炎の発生の有無を判断する指標となる特徴量を算出すべき領域を、候補領域として特定する前処理部と、
前記前処理部により特定された前記候補領域に限定して特徴量の抽出処理を行うことで、炎の発生の有無を判断する炎検出部と
を備え、
前記前処理部は、前記複数Nフレームからなる1サイクル分の時系列画像に基づいて、
前記時系列画像と前記基準画像との差分として得られる背景差分画像と、前記時系列画像のうちの隣接する画像間の差分として得られる時系列差分画像とに基づいて、それぞれのフレームごとに候補領域を抽出し、抽出したNフレーム分の候補領域を論理和することで統合候補領域を特定する
炎検出装置。 - 請求項1に記載の炎検出装置において、
前記前処理部は、
(処理1)前記基準画像とn(nは、2以上N以下の整数)番目の画像について対応する画素の差分の絶対値を算出することで背景差分画像を生成し、
(処理2)n番目の画像と(n−1)番目の画像について対応する画素の差分の絶対値を算出することで時系列差分画像を生成し、
(処理3)あらかじめ決められた2値化閾値に基づいて、前記背景差分画像および前記時系列差分画像のそれぞれを2値化することで、前記2値化閾値以上の差分値を有する画素の集合として構成される背景差分2値画像および時系列差分2値画像を生成し、
(処理4)前記背景差分2値画像および前記時系列差分2値画像の論理和をとることで、前記候補領域を生成し、
(処理5)nを2からNまで順次変化させて処理1〜処理4を実行することで、(N−1)個の候補領域を生成し、生成した前記(N−1)個の候補領域の論理和をとることで、1サイクル処理終了時点での最終候補領域を特定し、
前記炎検出部は、前記最終候補領域が特定されたサイクルの次のサイクルにおいて、前記最終候補領域に限定して特徴量の抽出処理を行うことで、炎の発生の有無を判断する
炎検出装置。 - 請求項2に記載の炎検出装置において、
前記前処理部は、
前記処理1を実行するに当たって、画素ごとに前記差分の絶対値を算出する際に、前記基準画像と前記n番目の画像の対応する画素が、いずれも所定の高輝度値未満であった場合には、算出した値をゼロに置き換え、当該画素が前記候補領域に該当しないようにし、
前記処理2を実行するに当たって、画素ごとに前記差分の絶対値を算出する際に、前記n番目の画像と前記(n−1)番目の画像の対応する画素が、いずれも所定の高輝度値未満であった場合には、算出した値をゼロに置き換え、当該画素が前記候補領域に該当しないようにする
炎検出装置。 - 請求項2または3に記載の炎検出装置において、
前記前処理部は、
前記処理5を実行する際に、特定した前記最終候補領域に含まれる全ての画素について、前記処理4で生成された(n−1)個の候補領域のうち、何個の候補領域に含まれていた画素に相当するかを抽出回数としてカウントし、前記抽出回数が所定回数未満の画素を前記最終候補領域から除外する
炎検出装置。 - 前記監視カメラにより時系列で撮像された複数の画像を時系列画像として記憶するとともに、検出対象である炎が発生していない基準画像を記憶する画像メモリと、
前記画像メモリに記憶された複数Nフレーム(Nは、2以上の整数)からなる1サイクル分の時系列画像に基づいて、画像内に存在する移動体を抽出し、炎の発生の有無を判断する指標となる特徴量を算出すべき領域を、候補領域として特定する前処理部と、
前記前処理部により前記候補領域が特定されたサイクルの次のサイクルにおいて、前記候補領域に限定して特徴量の抽出処理を行うことで、炎の発生の有無を判断する炎検出部と
を備えた炎検出装置に用いられる炎検出候補領域特定方法であって、
前記前処理部において、前記複数Nフレームからなる1サイクル分の時系列画像に基づいて候補領域を特定する際に、
前記時系列画像と前記基準画像との差分として得られる背景差分画像と、前記時系列画像のうちの隣接する画像間の差分として得られる時系列差分画像とに基づいて、それぞれのフレームごとに候補領域を抽出するステップと、
抽出したNフレーム分の候補領域を論理和することで統合候補領域を特定するステップと
を有する炎検出候補領域特定方法。
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