JP2015104186A - 電気接続箱 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気接続箱の防水構造に寄らずとも浸水後の車両火災の発生を防止することができる、新規な構造の電気接続箱を提供すること。【解決手段】電源ラインに接続された電源側バスバー46bと、電装負荷もしくは、グランドラインに接続された下流側バスバー46a1,46a2を含んだ複数のバスバー46a1,46a2,46b,46cにより内部回路が構成されてなる電気接続箱10において、電源側バスバー46bと下流側バスバー46a1,46a2が隣接配置されている一方、少なくとも電源側バスバー46bが、銅材層50とアルミニウム材層52を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されていると共に、電源側バスバー46bの下流側バスバー46a1,46a2への対向面54がアルミニウム材層52で構成されているようにした。【選択図】図4
Description
本発明は、自動車等の車両に搭載される電気接続箱に係り、特に、バスバーを含んで構成された内部回路を備えた電気接続箱に関するものである。
従来から、自動車等の電装系の適所には電気接続箱が設けられており、バッテリーから各種負荷への電源分配がスペース効率よく行われるようになっている。具体的には、電源ラインに接続された電源側バスバーと、電装負荷もしくは、グランドラインに接続された下流側バスバーを含んだ複数のバスバーが、電気接続箱の内部に収容配置されており、かかるバスバーを含んで構成された内部回路を介して、電源分配が行われるようになっている。
ところで、このような電気接続箱の内部に水が浸入すると、隣接するバスバー間でショート等が発生するおそれがあるため、電気接続箱には、車両使用時に想定される水かかりを考慮したある程度の防水対策がなされている。例えば、特許第4585980号公報(特許文献1)に記載のように、電気接続箱のケースの隙間をシール材等で封止したり、ケース内の適所に排水斜面を設けて内部に浸入した水の排水を促すようにしたものが知られている。
しかしながら、従来の電気接続箱の防水構造は、あくまで車両使用時を想定したものであることから、東日本大震災の如き災害時に津波や洪水等で浸水する想定外のケースにおいて、十分な防水効果が発揮され得ないことは当然である。そして、想定外の浸水後に、車両のバッテリー付近の電気接続箱が発火し車両火災が発生する事例が多数報告され、問題視されるようになってきている。
このような想定外の浸水後に、電気接続箱が発火しないよう何等かの対策を考案することは急務であるが、津波や洪水等による浸水まで想定した防水構造を電気接続箱に施すことは、電気接続箱の大型化やコスト高を招くばかりでなく、通常の車両使用時における電気接続箱の機能に支障を来すおそれもあり、現実的な対策とは言い難い。それ故、浸水後に電気接続箱の発火を防止し得る有効な対策が求められていた。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、電気接続箱の防水構造に寄らずとも浸水後の車両火災の発生を防止することができる、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
車両浸水後の発火原因について本発明者が鋭意研究した結果、特にバッテリーに直結された電気接続箱において、電源ラインに接続された銅製の電源側バスバーと電装負荷もしくは、グランドラインに接続された銅製の下流側バスバーが隣接配置された部位において、発火が起こることを見出した。すなわち、車両が塩水等の電解質を含んだ水に浸水した際には、比較的電位差の大きな電源側バスバーと下流側バスバーの間で電気分解が生じ、陽極に銅の酸化物である亜酸化銅(Cu2 0)が析出する。水が引いた際に、析出した亜酸化銅が電源側バスバーと下流側バスバーの間に堆積することにより、両者の間に亜酸化銅の堆積物による短絡路が形成される。浸水後もバッテリーからの通電が継続され、ある程度温度が上昇した際に亜酸化銅が低抵抗化することでショートが発生する。その際の発熱により近隣の合成樹脂部材が燃焼することにより火災が発生することを新たに見出したのである。そして、かかる新たな見地に基づき本発明を完成するに至ったのである。
本発明の第一の態様は、電源ラインに接続された電源側バスバーと、電装負荷もしくは、グランドラインに接続された下流側バスバーを含んだ複数のバスバーにより内部回路が構成されてなる電気接続箱において、前記電源側バスバーと前記下流側バスバーが隣接配置されている一方、少なくとも前記電源側バスバーが、銅材層とアルミニウム材層を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されていると共に、前記電源側バスバーの前記下流側バスバーへの対向面が前記アルミニウム材層で構成されていることを特徴とする。
本態様によれば、隣接配置された電源側バスバーと下流側バスバーのうち、少なくとも電源側バスバーが銅材層とアルミニウム材層のクラッド鋼材で形成されている。これにより、仮に車両が津波や洪水等により浸水して電位差の大きな隣接する電源側バスバーと下流側バスバーの間で電気分解が発生しても、酸化物が析出する陽極の銅成分が抑えられており、陽極には主に絶縁性の酸化アルミニウム(Al2 O3 )が析出されることとなる。その結果、堆積酸化物による導通路がバスバー間に形成されることを阻止することができる。特に、電源側バスバーの下流側バスバーへの対向面がアルミニウム層で構成されていることから、電源側バスバーと下流側バスバーの対向面間に絶縁性の酸化アルミニウムが積極的に析出され、一層有利にバスバー間の析出酸化物による短絡路の形成を防ぐことができる。
なお、電源側バスバーとは電源ラインであるバッテリーのプラス端子に直接接続されているものの他、他部材を介して間接的に接続されているものも含む。また、下流側バスバーとは、グランドラインであるバッテリーのマイナス端子に直接接続されているものの他、他部材もしくは電装負荷を介して間接的にグランドラインに接続されているものも含む。要するに、電位差を有する隣接配置された2つのバスバーにより、電源側バスバーと下流側バスバーが構成される。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記クラッド鋼材で形成された前記電源側バスバーに接続端子が一体形成されているものである。
本態様によれば、電源側バスバーが銅材層とアルミニウム材層を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されていることから、アルミニウム材層を含んでいても他部材との耐圧接剛性が要求される接続端子をバスバーに形成することが可能となる。これにより、浸水時の亜酸化銅の析出を防止しつつ、回路設計自由度を有利に確保できる。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記クラッド鋼材が、前記銅材層の両面に一対のアルミニウム材層を貼り合わせたサンドイッチ構造であるものである。
本態様によれば、クラッド鋼材において銅材層の両面がアルミニウム材層で覆われていることから、亜酸化銅の析出を一層有利に防止でき、さらに確実に隣接するバスバー間の析出酸化物による短絡路の形成を防止できるのである。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記クラッド鋼材の厚さ寸法に対する前記銅材層の厚さ寸法の割合が50%以上90%未満であるものである。
本態様によれば、クラッド鋼材の全体の厚さ寸法に対して銅材層の厚さ寸法が50%以上とされていることから、銅材から構成されたバスバーと同様に接続端子をも形成し得る剛性を確保することができる。また、銅材層の厚さ寸法が90%未満とされていることから、アルミニウム材層の下層から銅成分が溶出することを有利に防止できる。なお、クラッド鋼材の全体の厚さ寸法に対する銅材層の厚さ寸法は、好ましくは55%−85%程度、より好ましくは60%−80%程度とされることにより、浸水時の亜酸化銅の析出防止とバスバーの剛性確保を一層有利に実現できる。
本発明によれば、少なくとも電源側バスバーが銅材層とアルミニウム材層のクラッド鋼材で形成されている。これにより、電源側バスバーと下流側バスバーの間で電気分解が発生しても、陽極には主に絶縁性の酸化アルミニウム(Al2 O3 )が析出されることとなる。それ故、堆積酸化物による導通路がバスバー間に形成されることを阻止できる。特に、電源側バスバーの下流側バスバーへの対向面がアルミニウム層で構成されていることから、電源側バスバーと下流側バスバーの対向面間に絶縁性の酸化アルミニウムが積極的に析出され、一層有利に堆積酸化物による短絡路の形成を防ぐことができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜図5に、本発明の一実施形態に従う電気接続箱としてのリレーブロック10を示す。図1に示されているように、リレーブロック10は、本体部12の表面14に、複数の電気部品装着部としてのヒューズ取付部16およびリレー取付部18a〜cが設けられた構造とされている。また、以下の説明において、特に断りのない限り、上方とは、図1中の上方、下方とは、図1中の下方をいうものとする。
図1及び図2に示されているように、本体部12は合成樹脂製の略矩形ブロック形状とされており、その外周面の適当な位置には、図示しないブラケットやコネクタ等を取り付けるための係止爪20や案内リブ21が一体形成されている。
本体部12の表面14の中央部分には、複数のヒューズ取付部16が表面14から突出して本体部12と一体形成されている。ヒューズ取付部16は、電気部品としてのヒューズ22を嵌入可能な本体部12の上方に開口するキャビティ形状とされている。すなわち、ヒューズ取付部16は、ヒューズ22の端子23a,23bが挿入されるヒューズ端子挿入孔24a,24bを含んで構成されており、一方のヒューズ端子挿入孔24aには、後述するバスバー46a1,46a2,46b,46cに一体形成された音叉状のヒューズ接続端子25が配設されている一方、他方のヒューズ端子挿入孔24bには、図示しない外部の電気回路を構成する電線の端末に設けられた筒状のヒューズ接続端子が配設されている。なお、本実施形態においては、複数のヒューズ取付部16が一直線上に配列されて周壁26で囲まれたヒューズ取付部群28a〜cが3つ形成されており、これら3つのヒューズ取付部群28a〜cが表面14の中央部分に並設されている。
また、本体部12における表面14の長手方向両端部には、リレー取付部18a〜cが上方に開口して本体部12と一体形成されている。本実施形態においては、表面14における長手方向一方(図2中、左方)の端部に一つのリレー取付部18aが形成されている一方、他方(図2中、右方)の端部に一対のリレー取付部18b,18cが隣接して形成されている。リレー取付部18a〜cには、電気部品としてのリレー30a〜cが装着可能とされている。
より詳細には、リレー取付部18a〜cの外周部分において相対する位置には、一対の係止用突片32,32が表面14から外方に突出して本体部12に一体形成されている。そして、上方からリレー30a〜cをそれぞれリレー取付部18a〜cの四隅に突設されたガイド壁34の内壁に沿って挿し込むことにより、一対の係止用突片32,32がリレー30a〜cの側面に突設された図示しない係止突起と係合して固定された状態で、リレー30a〜cがリレー取付部18a〜cに収容保持されるようになっている。
一方、図3に示されているように、本体部12の裏面38には、表面14のヒューズ端子挿入孔24aに連通されたバスバー収容溝40a1,40a2,40b,40cと、ヒューズ端子挿入孔24bに連通された複数の接続端子挿入孔42が形成されている。バスバー収容溝40a1,40a2,40b,40cは、表面14の3つのヒューズ取付部群28a〜cに対応する位置に形成されており、バスバー46a1,46a2,46b,46cがそれぞれ収容配置されている。一方、各接続端子挿入孔42には、図示しない外部の電気回路を構成する電線の端末に設けられた接続端子が挿し込まれるようになっている。このように、本実施形態においては、バスバー46a1,46a2,46b,46cとリレー30a〜cとヒューズ22を含んで内部回路が構成されており、本体部12に収容配置されている。
バスバー46a1,46a2,46b,46cはいずれも、本体部12の長手方向に向かって互いに隣接して平行に延びると共に、本体部12の裏面38に開口形成されたバスバー収容溝40a1,40a2,40b,40cに収容配置されている。なお、バスバー46a1,46a2,46b,46cはいずれも導電性金属板をプレス打抜加工等により形成された略矩形断面形状で延出する帯状部材である。このようなバスバー46a1,46a2,46b,46cは、それらの板厚方向がバスバー収容溝40a1,40a2,40b,40cの溝幅方向となる所謂縦型配置でバスバー収容溝40a1,40a2,40b,40cに収容配置される。それ故、挿入作業の容易化のために各バスバー収容溝40a1,40a2,40b,40cの開口部分は、開口部に向かって次第に幅広となる逆テーパ形状とされている。
バスバー収容溝40bに収容されたバスバー46bの一方の端部は本体部12の長手方向一方の端部(図3中、左側)のコネクタ装着部48内に突設されており、図示しない電源側の給電コネクタがコネクタ装着部48に装着されることにより、バスバー46bに電源電圧が印加されるようになっている。また、バスバー収容溝40a1,40a2に収容されたバスバー46a1,46a2は本体部12の長手方向に相互に離隔して配設されており、バスバー46a1,46a2はそれぞれリレー30a,30bを介してバスバー46bに接続されている。
すなわち、リレー30a,30bをオン状態とすることによりバスバー46a1,46a2に電源電圧が印加され、かかる電源電圧は、複数のヒューズ取付部16に装着されたヒューズ22を介して外部の電気回路に分配され、車載電装品等の負荷を介して最終的にはグランドライン(ボデーアース)に接続されるようになっている。なお、東日本大震災の如き災害時に津波や洪水等で浸水する想定外のケースにおいては、車両は通常停車状態となっていることから、リレー30a,30bはオフ状態となっており、バスバー46bには12V,バスバー46a1,46a2には0Vが印加されている。従って、本実施形態では、バスバー46bが電源ラインに接続された電源側バスバーとされている一方、バスバー46a1,46a2が電装負荷もしくはグランドラインに接続された下流側バスバーとされているのである。また、図3に示されているように、バスバー46bとバスバー46a1,46a2は隣接配置されている。
ここで、電源側バスバーとは電源ラインであるバッテリーのプラス端子に直接接続されているものの他、他部材を介して間接的に接続されているものも含む。また、下流側バスバーとは、グランドラインであるバッテリーのマイナス端子に直接接続されているものの他、他部材もしくは電装負荷を介して間接的に接続されているものも含む。要するに、電位差を有する隣接配置された2つのバスバーにより、電源側バスバーと下流側バスバーが構成されるのである。例えば、電源側バスバーには、12Vの他、24Vや48Vといった電圧が印加されるバスバーや、12V以下の電圧が印加されるバスバーも含まれる。また、下流側バスバーには、0Vの電圧が印加されるバスバーの他、電源側バスバーよりも低い0V以上の電圧が印加されるバスバーも含まれる。
本実施形態では、バスバー46a1,46a2が銅や銅合金等の銅材からなる銅製とされている一方、バスバー46bが、銅や銅合金等からなる銅材層50とアルミニウムやアルミニウム合金等からなるアルミニウム材層52を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されている(図4参照)。すなわち、バスバー46bは、銅や銅合金等からなる銅板とアルミニウムやアルミニウム合金等からなるアルミニウム板を重ね合せて熱圧延加工等の公知技術により形成されたクラッド鋼材からなる金属板のプレス打抜加工等により形成されているのである。また、バスバー46bのバスバー46a1,46a2に対する対向面54にはアルミニウム材層52が配設されている。なお、バスバー46bを構成するクラッド鋼材として、クラッド鋼材の厚さ寸法:W1に対する銅材層50の厚さ寸法:W2の割合が好ましくは50%以上90%未満のもの、より好ましくは55%−85%程度のもの、さらに好ましくは60%−80%程度のものが好適である。本実施形態では、クラッド鋼材の厚さ寸法:W1に対する銅材層50の厚さ寸法:W2の割合が75%程度とされている。
また、前述のように、バスバー46bには音叉状のヒューズ接続端子25が一体形成されている。すなわち、図5に示されているように、ヒューズ接続端子25もバスバー46bと同様に、銅材層50とアルミニウム材層52を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されているのである。
このような構造とされた本実施形態の電気接続箱としてのリレーブロック10によれば、隣接配置されたバスバー46bとバスバー46a1,46a2のうち、電源側バスバーであるバスバー46bが、銅や銅合金等からなる銅材層50とアルミニウムやアルミニウム合金等からなるアルミニウム材層52を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されている。すなわち、車両浸水後の発火原因となる酸化物である亜酸化銅(Cu2 0)を析出する陽極が従来の如き銅製ではなく、新たに銅材層50とアルミニウム材層52を貼り合わせたクラッド鋼材より形成されている。従って、仮に車両が津波や洪水等により浸水して、電位差の大きな隣接するバスバー46bとバスバー46a1,46a2間が塩水等の電解質で満たされて電気分解が発生したとしても、陽極を構成する銅材層50とアルミニウム材層52のうちイオン化傾向のより大きいアルミニウム材層52が主に溶け出すことになる。それ故、従来の如き亜酸化銅(Cu2 0)の析出が抑えられ、しかも陽極には主に絶縁性の酸化アルミニウム(Al2 O3 )が析出されることから、車両浸水後の発火原因となる亜酸化銅による導通路の形成を阻止できるのである。
加えて、バスバー46bのバスバー46a1,46a2への対向面54がアルミニウム材層52で構成されている。すなわち、陽極を構成するバスバー46bの銅材層50とアルミニウム材層52のうちアルミニウム材層52が、陰極を構成するバスバー46a1,46a2に近接して配置されている。従って、バスバー46bとバスバー46a1,46a2の対向面間に絶縁性の酸化アルミニウムが積極的に析出されることになる。その結果、より一層亜酸化銅(Cu2 0)の析出が抑えられ、絶縁性の酸化アルミニウムの積極的な析出も相まって、一層有利にバスバー46bとバスバー46a1,46a2の間の亜酸化銅による短絡路の形成を防ぐことができるのである。
また、本実施形態では、電源側バスバーであるバスバー46bにも音叉状のヒューズ接続端子25を一体形成することができる。すなわち、ヒューズ接続端子25がバスバー46bと同じ銅材層50とアルミニウム材層52を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されたとしても、クラッド鋼材には銅材層50が含まれていることから、ヒューズ接続端子25に十分な他部材との耐圧接剛性を確保することが可能となるのである。従って、バスバー46bにヒューズ接続端子25を一体形成するという製造容易性を維持しつつ、浸水時の亜酸化銅による短絡路の形成を防ぐことができるのである。
特に、本実施形態では、バスバー46bを構成するクラッド鋼材の厚さ寸法:W1に対する銅材層50の厚さ寸法:W2の割合が50%以上とされていることから、一体形成されたヒューズ接続端子25に十分な他部材との耐圧接剛性を確保することができる。しかも、バスバー46bを構成するクラッド鋼材の厚さ寸法:W1に対する銅材層50の厚さ寸法:W2の割合が90%未満とされていることから、アルミニウム材層52が電気分解により溶け出したとしても下層の銅材層50が対向面54側に露出して銅成分が溶出し、亜酸化銅が析出することを有利に防止できるようになっている。これにより、バスバー46bに一体形成されたヒューズ接続端子25の耐圧接剛性を確保しつつ、浸水時の亜酸化銅による短絡路の形成防止を有利に実現できるのである。
次に、図6を用いて、本発明のリレーブロック10に用いられる下流側バスバーの他の態様について詳述するが、上記実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、上記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。すなわち、かかる下流側バスバーであるバスバー58は、電源側バスバーであるバスバー46bと同様に銅材層50とアルミニウム材層52を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されている一方、バスバー46bへの対向面56がアルミニウム材層52とされている点に関して、上記実施形態と異なる実施形態を示すものである。本実施形態においても、バスバー46bの場合と同様、バスバー58に一体形成されたヒューズ接続端子25の耐圧接剛性を確保できると共に、浸水時に陰極であるバスバー58から銅成分が溶出し亜酸化銅が析出することを有利に防止できるのである。
さらに、図7を用いて、本発明のリレーブロック10に用いられる電源側バスバーの他の態様について詳述するが、上記実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、上記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。すなわち、かかる電源側バスバーであるバスバー60が、銅材層62の両面に一対のアルミニウム材層64,64を貼り合わせたサンドイッチ構造からなるクラッド鋼材で形成されている点に関して、上記実施形態と異なる実施形態を示すものである。本実施形態では、陽極であるバスバー60を構成する銅材層62の両面がアルミニウム材層64で覆われている。従って、陽極から銅成分が溶出し亜酸化銅が析出することを一層有利に防止できる。それ故、一層確実にバスバー60とバスバー46a1,46a2間に亜酸化銅による短絡路が形成されることを防止できるのである。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、本実施形態では、下流側バスバーであるバスバー58と電源側バスバーであるバスバー46bが同じクラッド鋼材で形成されていたが、異なるクラッド鋼材から構成されていてもよい。
10:リレーブロック(電気接続箱)、22:ヒューズ(内部回路)、25:ヒューズ接続端子、30a〜c:リレー(内部回路)、46a1,a2,b,c,58,60:バスバー(内部回路)、50,62:銅材層、52,64:アルミニウム材層、54:対向面
Claims (4)
- 電源ラインに接続された電源側バスバーと、電装負荷もしくは、グランドラインに接続された下流側バスバーを含んだ複数のバスバーにより内部回路が構成されてなる電気接続箱において、
前記電源側バスバーと前記下流側バスバーが隣接配置されている一方、
少なくとも前記電源側バスバーが、銅材層とアルミニウム材層を貼り合わせたクラッド鋼材で形成されていると共に、前記電源側バスバーの前記下流側バスバーへの対向面が前記アルミニウム材層で構成されている
ことを特徴とする電気接続箱。 - 前記クラッド鋼材で形成された前記電源側バスバーに接続端子が一体形成されている請求項1に記載の電気接続箱。
- 前記クラッド鋼材が、前記銅材層の両面に一対のアルミニウム材層を貼り合わせたサンドイッチ構造である請求項1又は2に記載の電気接続箱。
- 前記クラッド鋼材の厚さ寸法に対する前記銅材層の厚さ寸法の割合が50%以上90%未満である請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱。
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