JP2015103412A - マイクロ波漏洩防止フィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 マイクロ波電力を供給する筐体11の開口部11aに設けた開閉扉12と、この開閉扉12の凸状側部12cと筐体11の内壁部11cとの間に生じるマイクロ波漏洩通路に備えるマイクロ波応用装置のマイクロ波漏洩防止フィルターであって、断面L字形のフィルター素子32で形成し複数のフィルター構成部品31a〜31dを設け、これら複数のフィルター構成部品31a〜31dを前記内壁部11cに分割位置33を設けて平面状に配設して構成したマイクロ波漏洩防止フィルター31となっている。
【選択図】図2
Description
このISM機器の一つが、2.45GHz帶のマイクロ波を使用した家庭用の電子レンジである。
したがって、ISM機器に属するマイクロ波応用装置は、人体を防護するための規制限度値を満足させるために、マイクロ波漏洩防止フィルターを備えている。
図示するように、電子レンジ10は、ステンレス鋼などのマイクロ波反射材料からなる筐体11が加熱室を形成しており、また、筐体11の一方側には開口部11aが設けられ、さらに、その開口部11aの外周方向に延設されたフランジ11bが設けられている。
この開閉扉12は、筐体11内に張り出させた凸状部12aを設け、この凸状部12aの周囲延長部を筐体11のフランジ11bに対面する対面部12bとした四辺形状のマイクロ波反射板となっている。
すなわち、導波管14は筐体11に連結されており、マイクロ波電力が導波管14を介して筐体11内に照射される。
すなわち、筐体11の内壁部11cと開閉扉12の凸状側部12cとの間、筐11のフランジ11bと開閉扉12の対面部12bとの間がマイクロ波漏洩通路となるため、このマイクロ波漏洩通路にマイクロ波漏洩防止フィルター16を設けて、電子レンジ10外に漏洩するマイクロ波電力を安全規格内に抑制している。
なお、導波管14は筐体11に一体的に接続されており、それらの接続部からはマイクロ波電力が漏洩しない。
その他、図24に示した参照符号18は、マイクロ波電力を照射して加熱処理する被処理物を示す。
すなわち、このマイクロ波乾燥装置では、乾燥室本体21の開口部21aを開閉する開閉扉22と、開口部21aのフランジ枠24との間にマイクロ波漏洩通路が生じるため、このマイクロ波漏洩通路にマイクロ波漏洩防止機構23が配置されている。
なお、マイクロ波漏洩防止機構23は、開口部21aを開閉する開閉扉22の内面にチョークを矩形状に配置したものとなっている。
このため、マイクロ波漏洩防止フィルター16が、多くの工数を必要とするものとなる他に、高価なものとなる。
例えば、マイクロ波漏洩通路となる加熱室の内壁部にマイクロ波漏洩防止フィルターを取り付ける場合であっても、その内壁部に沿って複数のフィルター構成部品を順次取り付けてフィルター枠状体を形成することにより構成することができる。
このことから、加熱室の開口部寸法や内壁部寸法に正確に合わせたマイクロ波漏洩防止フィルターを生産する必要がなく、取り付けも簡単となる。
例えば、大きな場所に設置するマイクロ波漏洩防止フィルターの場合は、フィルター構成部品の取り付け個数を多くし、或いは、長寸のフィルター構成部品を形成してフィルター枠状体を形成すればよいから、一体化した大形のマイクロ波漏洩防止フィルターを用意する必要がなく製造が簡単で安価なフィルターの提供が可能になる。
図1は本発明の第1実施形態である電子レンジ30の簡略構成を示した縦断面図、図2は図1上のB−B線断面図、図3は図2上のC−C線に沿って切断した部分的な断面図、図4はマイクロ波漏洩防止フィルターの分解図である。
この実施形態の電子レンジ30は、マイクロ波漏洩防止フィルター31を分割フィルターとして構成したことが特徴となっており、その他は第1従来例として示した図24の電子レンジ10と同じ構成であるから、同部材、同部品については同符号を付してそれらの説明は省略する。
すなわち、比誘電率がεの物質で充填されるフィルターにおいては、マイクロ波の波長の比誘電率εの平方根分の1に短縮されることに注意して設計しなければならない。
例えば、比誘電率ε=4の媒質中では、空気中の波長に対し半分の波長になる。
そして、自由空間波長とは、空気中に伝搬する波長のTEMモードの波長(いわゆる平面波の波長)で、空気中を伝搬する光のスピードを電波の周波数で除したものである。
フィルターが空気とは異なる比誘電率の媒質中にある場合には、上記した補正が必要になる。
そして、これらのフィルター構成部品31a〜31dの各々については、図2、図4から分かるように、断面L字形の複数のフィルター素子(以下、単に「L字形フィルター素子」と言う)32を一定間隔で平面状に一体に連続形成した板状物となっている。
すなわち、上記したように、フィルター高さをマイクロ波電力の概略4分の1波長に合わせるだけでは、TEMモードのマイクロ波電力の漏洩は防げても高次モードのマイクロ波電力の漏洩を防ぐことが困難になる。
したがって、L字形フィルター素子32は以下のように形成することが好ましい。
例えば、2.45GHzのマイクロ波電力の場合、2.45GHzの自由空間波長は122.4mmであるが、スリットの長さを122.4mmの概略4分の1である27〜32mmにして、スリットが2.45GHzに対して高いインピーダンスを持つようにしている。
ただし、フィルター構成部品31a、31b、31c、31dは同じスリットピッチとする必要がなく、また、一個のフィルター構成部品であっても同じスリットピッチとする必要がない。
なお、フィルター構成部品31a〜31dは、取り付けネジ、溶接、導電性接着材などの取付手段によって内壁部11cに取り付けることができる。
これらの図に示すように、L字形フィルター素子32の高さFH=28mm、先端平面長さFW=10.5mm、フィルターピッチFP=20mm、L字形フィルター素子32の厚さFT=3mm、マイクロ波漏洩防止フィルター31と開閉扉12の凸状側部12cとの間隔G=5mm、長辺側のスリットピッチSP1=34.5mm、短辺側のスリットピッチSP2=35mm、スリット長さSL(SL1+SL2)=30mm、スリット幅SW=6mm、分割位置33の幅CW=4mm、分割位置33の数=4、開閉扉12の凸状側部12cの長辺H=350mm、同凸状側部12cの短辺V=100mmに設定してある。
なお、工業用電子レンジの安全規格については、電子レンジ外に漏れるマイクロ波電力の限界値が規定されており、電子レンジから5cm離れた場所で1平方cm当たり5mW以下となっており、減衰率55dBは、規格限度値である5mW/cm2に相当する。
なお、このように構成する場合には、L字形フィルター素子32の先端水平面と筐体11のフランジ11bとの間に間隔Gを設け、その水平面をフランジ11bに対向させるようにする。
その他に、マイクロ波漏洩防止フィルター31は筐体11のフランジ11bに取り付けるように構成することもできる。
図9は第2実施形態である電子レンジ40の簡略構成を示した縦断面図、図10は図9上のD−D線断面図、図11は図10上のE−E線に沿って切断した部分的な断面図、図12はマイクロ波漏洩防止フィルターの分解図である。
この実施形態の電子レンジ40は、マイクロ波漏洩防止フィルター41を分割フィルターとして構成したことに特徴があり、その他は従来例として示した図24の電子レンジ10と同じ構成であるから、同部材、同部品については同符号を付してそれらの説明は省略する。
そして、これらのフィルター構成部品41a〜41dの各々については、図9〜図12に示したように、断面I字形の複数のフィルター素子(以下、単に「I字形フィルター素子」と言う)42を所定間隔で平面状に一体に連続形成した板状物となっている。
2.45GHzのマイクロ波電力の場合は、スリットの長さを自由空間波長の4分の1である27〜32mmに設定し、さらに、スリットピッチについては、自由空間波長の概略3分の1波長である45mm以下のピッチで配置する。
ただし、フィルター構成部品41a、41b、41c、41dは同じスリットピッチとする必要がなく、また、一個のフィルター構成部品であっても同じスリットピッチとする必要がない。
なお、フィルター構成部品41a〜41dは、取り付けネジ、溶接、導電性接着材などの取付け手段によって内壁部11cに取り付けることができる。
すなわち、図13はI字形フィルター素子42からなる分割のない一体物のフィルター枠状体の枚数と減衰率との関係を示す特性図で、図14に示すI字形フィルター素子42の寸法条件と開閉扉12の凸状側部12cとの間隔Gの条件に基づいて電磁波解析シミュレータを用いて求めた減衰率特性である。
この特性図から分かる如く、3枚以上のI字形フィルター素子42を備えることによって安全規格に相当する減衰率である55dB以上の減衰率が得られることが確認された。
これらの図に示すように、I字形フィルター素子42の高さFH=35mm、フィルターピッチFP=31mm、I字形フィルター素子42の厚さFT=3mm、マイクロ波漏洩防止フィルター41と開閉扉12の凸状側部12cとの間隔G=9mm、長辺側のスリットピッチSP1=34.5mm、短辺側のスリットピッチSP2=35mm、スリット長さSL=29.5mm、スリット幅SW=6mm、分割位置43の幅CW=4mm、分割位置43の数=4、開閉扉12の凸状側部12cの長辺H=350mm、同凸状側部12cの短辺V=100mmに設定してある。
図示するように、分割位置43の幅CWが4mmと6mmでは概略同一の減衰特性となり、概略0.5dBの減衰率の変化内となっている。
また、分割位置43の幅CWが10mmにおいても、減衰率の変化が概略0.5dB以下となることが分かった。
このことから、マイクロ波漏洩防止フィルター41は分割位置43の幅CWが10mmを多少超えても漏洩機能を充分に有することが確認された。
なお、このように構成する場合には、I字形フィルター素子42の先端部と筐体11のフランジ11bとの間に間隔Gを設け、その先端部をフランジ11bに対向させるようにする。
その他に、マイクロ波漏洩防止フィルター41は筐体11のフランジ11bに取り付ける構成とすることもできる。
図20は第3実施形態である電子レンジ50の簡略構成を示した縦断面図、図21は図20上のF−F線断面図、図22はマイクロ波漏洩防止フィルターの分解図である。
この実施形態の電子レンジ50は、図9に示す第2実施形態の電子レンジ40に比べ、マイクロ波漏洩防止フィルター51の分割位置と分割位置数を変えたことが特徴となっており、その他は図9の電子レンジ40と同じ構成であるから、同部材、同部品については同符号を付してそれらの説明は省略する。
このマイクロ波漏洩防止フィルター51は、直角形状のフィルター構成部品51a〜51dと、直線形状のフィルター構成部品51e〜51hとを生産すればよいので、量産に適する他、例えば、図21において設計時の分割幅CWが6mmであったとき、上辺51eが右方に2mmずれて配設された結果、右方の分割幅CWが4mmに、左方の分割幅CWが8mmになっても減衰率が±1dB(図示せず)であったことから、配設が容易となる。
なお、第3実施形態については、L字形フィルター素子を用いてフィルター構成部品51a〜51hを形成しても同様のマイクロ波漏洩防止フィルターを構成することができる。
31 マイクロ波漏洩防止フィルター
31a〜31d フィルター構成部品
32 L字形フィルター素子
33 分割位置
34 フィルター枠状体
40 電子レンジ
41 マイクロ波漏洩防止フィルター
41a〜41d フィルター構成部品
42 I字形フィルター素子
43 分割位置
44 フィルター枠状体
50 電子レンジ
51 マイクロ波漏洩防止フィルター
51a〜51h フィルター構成部品
52 フィルター枠状体
53 分割位置
Claims (7)
- マイクロ波電力が供給される加熱室の一部分と、他の構成部分との間に生じるマイクロ波漏洩通路に備えられ、このマイクロ波漏洩通路から漏洩するマイクロ波電力を防止するマイクロ波応用装置のマイクロ波漏洩防止フィルターにおいて、
フィルター素子で形成した複数のフィルター構成部品を設け、
前記複数のフィルター構成部品を個別に平面状に配設して構成したことを特徴とするマイクロ波漏洩防止フィルター。 - 請求項1に記載したマイクロ波漏洩防止フィルターにおいて、
前記複数のフィルター構成部品を個別に平面状に配設してフィルター枠状体を形成し、
前記加熱室の一部分又は他の構成部分の一方に、前記フィルター枠状体を複数並列に配置すると共に、これらフィルター枠状体の各フィルター素子の先端側を前記加熱室の一部分又は他の構成部分の他方に対向させた配置構成としたことを特徴とするマイクロ波漏洩防止フィルター。 - 請求項1又は2に記載したマイクロ波漏洩防止フィルターにおいて、
前記加熱室の一部分が開口部を形成し、前記複数のフィルター構成部品を前記開口部の周囲に沿って個別に配設してリング状のフィルター枠状体として形成したことを特徴とするマイクロ波漏洩防止フィルター。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載したマイクロ波漏洩防止フィルターにおいて、
前記フィルター構成部品の個数を変えてフィルター枠状体を構成したことを特徴とするマイクロ波漏洩防止フィルター。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載したマイクロ波漏洩防止フィルターにおいて、
前記フィルター構成部品の配設間隔を変えてフィルター枠状体を構成したことを特徴とするマイクロ波漏洩防止フィルター。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載したマイクロ波漏洩防止フィルターにおいて、
前記フィルター構成部品は、断面L字形又は断面I字形のフィルター素子で形成したことを特徴とするマイクロ波漏洩防止フィルター。 - マイクロ波電力を供給する加熱室の開口部の外周側に延設したフランジと、前記開口部に設けた開閉扉との間に生じるマイクロ波漏洩通路に備えられ、このマイクロ波漏洩通路から漏洩するマイクロ波電力を防止するマイクロ波応用装置のマイクロ波漏洩防止フィルターにおいて、
断面L字形又は断面I字形のフィルター素子で形成した複数のフィルター構成部品を個別に平面状に配設して構成したことを特徴とするマイクロ波漏洩防止フィルター。
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