JP2015102121A - トーショナルダンパ - Google Patents
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Abstract
【課題】トーショナルダンパに付加する曲げダンパ部が曲げ振動のみならず振れ周りモードの振動に対しても振動低減の作用効果を発揮するトーショナルダンパを提供する。また、トーショナルダンパの構成部品を容易に分解することができ、もって優れたリサイクル性を発揮するトーショナルダンパを提供する。【解決手段】ステー部の外周側にリム部を一体成形したハブを備え、リム部の内周側にストッパを嵌合し、ストッパおよびステー部間に曲げダンパ部を設定する。曲げダンパ部は、マスおよびその両側に配置されたゴム状弾性体の組み合わせよりなり、マスおよびゴム状弾性体は軸方向に圧縮された状態でストッパおよびステー部間に介装され、マスおよびゴム状弾性体はそれぞれ複数が円周方向に並んで設けられている。また、マスおよびゴム状弾性体は互いに非接着で組み付けられ、ゴム状弾性体はストッパおよびステー部に対しても非接着で組み付けられている。【選択図】図2
Description
本発明は、回転軸に発生する振動を低減するトーショナルダンパに関する。本発明のトーショナルダンパは例えば、自動車関連分野においてクランクプーリとして用いられ、または補機プーリなどとして用いられる。
従来、クランク軸先端に発生する曲げ振動(径方向の振動)に対しては、トーショナルダンパに等方性の曲げダンパ部を付加することで振動対策を行なっている。ここで等方性の曲げダンパ部は例えば図5に示すように、クランク軸先端に取り付けるハブ51に対し環状のゴム状弾性体52を介しその軸方向一方に環状のマス53を連結したものであって、作動時環状のマス53はクランク軸先端に対し径方向に運動し相対変位する。
しかしながらこの等方性の曲げダンパ部は、クランク軸先端の振れ周りモードの振動(ミソすり状の振動)に対しては、振動ピークを二つに分ける効果は発生するものの曲げダンパによるダンパ効果を発揮しない。これは、振れ周りモードの振動ではゴム状弾性体52のばねが円周上一定のため、振れ周りに対し釣り合ってしまうためであり、結果、マス53の中心位置が軸の中心位置に対し常に一定となり、軸に対するマス53の運動が発生しないためである。
本発明は以上の点に鑑みて、トーショナルダンパに付加する曲げダンパ部が曲げ振動のみならず振れ周りモードの振動に対しても振動低減の作用効果を発揮することができるトーショナルダンパを提供することを目的とする。またこれに加えて、トーショナルダンパの構成部品を容易に分解することができ、もって優れたリサイクル性を発揮することができるトーショナルダンパを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるトーショナルダンパは、ステー部の外周側にリム部を一体成形したハブを備え、前記リム部の内周側にストッパを嵌合し、前記ストッパおよび前記ステー部間に曲げダンパ部を設定し、前記曲げダンパ部は、マスおよび前記マスの軸方向両側に配置されたゴム状弾性体の組み合わせよりなり、前記マスおよび前記ゴム状弾性体は軸方向に圧縮された状態で前記ストッパおよび前記ステー部間に介装され、さらに前記マスおよび前記ゴム状弾性体はそれぞれ複数が円周方向に並んで設けられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項2によるトーショナルダンパは、上記した請求項1記載のトーショナルダンパにおいて、前記マスおよび前記ゴム状弾性体は互いに非接着で組み付けられ、前記ゴム状弾性体は前記ストッパおよび前記ステー部に対しても非接着で組み付けられていることを特徴とする。
上記構成を備える本発明のトーショナルダンパにおいては、ハブのリム部の内周側に嵌合したストッパとハブのステー部との間に曲げダンパ部が設定され、この曲げダンパ部がマスおよびマスの軸方向両側に配置されたゴム状弾性体の組み合わせよりなるものとされ、マスおよびゴム状弾性体が軸方向に圧縮された状態でストッパおよびステー部間に介装され、さらにマスおよびゴム状弾性体がそれぞれ複数円周方向に並んで設けられているため、この複数のマスおよびゴム状弾性体がそれぞれ個別に円周方向および径方向に運動することが可能とされている。したがって曲げダンパ部に振れ周りモードの振動が入力すると複数のマスおよびゴム状弾性体がそれぞれ個別に運動し、その結果として複数のマス全体としての中心位置が軸中心位置に対し径方向に変位するため、当該構造によれば振れ周りモードの振動を低減させることが可能とされる。マスおよびゴム状弾性体は例えば円周上4等配で配置され、4個のマスは個別の運動を阻害しないよう互いに離間して配置される。
また、上記したようにマスおよびゴム状弾性体が軸方向に圧縮した状態でストッパおよびステー部間に介装される構造であるとこのマスおよびゴム状弾性体は互いに非接着で組み付けることが可能とされ、ゴム状弾性体はストッパおよびステー部に対しても非接着で組み付けることが可能とされる。したがってこのようにこれら各部品を非接着で組み付けることにより製品分解時にこれら各部品を容易に分解することが可能とされる。また、軸方向に圧縮されたゴム状弾性体は圧縮前と比較してゴム耐久性を向上させることが可能とされる。
本発明は、以下の効果を奏する。
すなわち本発明においては以上説明したように、曲げダンパ部に振れ周りモードの振動が入力したときに複数のマスおよびゴム状弾性体がそれぞれ個別に運動し、複数のマス全体としての中心位置が軸中心位置に対し径方向に変位するために、振れ周りモードの振動を低減させることが可能とされる。したがって本発明所期の目的どおり、トーショナルダンパに付加する曲げダンパ部が曲げ振動のみならず振れ周りモードの振動に対しても振動低減の作用効果を発揮するトーショナルダンパを提供することができる。
また、マスおよびゴム状弾性体を互いに非接着で組み付けるとともにゴム状弾性体をストッパおよびステー部に対しても非接着で組み付けることにより製品分解時にこれら各部品を容易に分解することが可能とされる。したがってトーショナルダンパの構成部品を容易に分解することができ、もって優れたリサイクル性を発揮するトーショナルダンパを提供することができる。
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1ないし図3は、本発明の実施例に係るトーショナルダンパ1を示している。尚、図3では、内部構造(曲げダンパ部21)を視認しやすくするため、ストッパ16を取り外している。
符号11は、クランク軸先端に取り付けられるハブであり、このハブ11の外周側にゴム状弾性体13を介して振動リング14が連結されることにより、クランク軸に発生する捩り振動を低減するトーショナルダンパ部12が設けられている。ハブ11は、ボス部11aの外周側に軸直角平面状のステー部11bを一体成形するとともにステー部11bの外周側に円筒状のリム部11cを一体成形したものであって、リム部11cの外周側に上記トーショナルダンパ部12が設けられている。振動リング14の外周面には無端ベルトを巻架するためのプーリ溝15が設けられ、よって振動リング14はプーリとも称され、トーショナルダンパ1はクランクプーリとも称される。ステー部11bには部品軽量化のため円周上複数の貫通穴が設けられることがある。
ハブ11のリム部11cの内周側に金属等剛性部材よりなる環状のストッパ(ストッパ環)16が嵌合され、このストッパ16およびハブ11のステー部11b間に、クランク軸に発生する曲げ振動を低減する曲げダンパ部21が設けられている。ストッパ16は、ハブ11のリム部11cの内周側に嵌合される筒状部16aの一端に径方向内方へ向けてフランジ部16bを一体成形したものであって、このストッパ16のフランジ部16bおよびハブ11のステー部11b間に曲げダンパ部21が設けられている。
曲げダンパ部21は、所定の質量を備えるマス22と、このマス22の軸方向両側に配置された所定のバネ定数を備える一対のゴム状弾性体23,24との組み合わせよりなり、このマス22およびゴム状弾性体23,24がストッパ16のフランジ部16bおよびハブ11のステー部11b間に軸方向に圧縮された状態で介装されている。
また、マス22およびゴム状弾性体23,24の組み合わせよりなる曲げダンパ部21は複数組(図では4組)が円周方向に等間隔で並んで設けられ、よってマス22およびゴム状弾性体23,24もそれぞれ複数(図ではマスは4個、ゴム状弾性体は4対8個)が円周方向に等間隔で並んで設けられている。マス22は長方体をなすブロック状に成形され、ゴム状弾性体23,24も長方体をなすブロック状に成形されている。また、円周上隣り合うマス22同士およびゴム状弾性体23,24同士はそれぞれ作動時に干渉することがないよう円周方向に間隔をあけて設けられ、よって互いに非接触とされている。また、上記したようにステー部11bに円周上複数の貫通穴が設けられている場合、ステー部11bは円周上複数のスポーク状とされるので、この場合にはフランジ部16bとこのスポーク部との間にマス22およびゴム状弾性体23,24が軸方向に圧縮された状態で介装されることになる。
上記曲げダンパ部21を構成するマス22およびゴム状弾性体23,24は接着剤を用いることなく互いに非接着で組み付けられている。また、ゴム状弾性体23,24についてはフランジ部16bおよびステー部11bに対しても接着剤を用いることなく互いに非接着で組み付けられている。上記したようにマス22およびゴム状弾性体23,24はストッパ16のフランジ部16bおよびハブ11のステー部11b間に軸方向に圧縮された状態で介装されているので、このように非接着であってもフランジ部16bおよびステー部11b間に保持されることが可能とされている。
また、一対のゴム状弾性体23,24については、同一仕様の部品を共用することが可能とされている。
上記構成のトーショナルダンパ1においては、トーショナルダンパ部12がクランク軸に発生する捩り振動を低減するとともに曲げダンパ部21がクランク軸に発生する曲げ振動を低減するほか、以下の作用効果が発揮される。
すなわちハブ11のリム部11cの内周側に嵌合したストッパ16のフランジ部16bとハブ11のステー部11bとの間に曲げダンパ部21が設定され、この曲げダンパ部21がマス22およびマス22の軸方向両側に配置されたゴム状弾性体23,24の組み合わせよりなるものとされ、マス22およびゴム状弾性体23,24が軸方向に圧縮された状態でフランジ部16bおよびステー部11b間に介装され、マス22およびゴム状弾性体23,24がそれぞれ円周上複数並んで設けられているために、この複数のマス22およびゴム状弾性体23,24はそれぞれ個別に円周方向および径方向に運動することが可能とされている。したがって曲げダンパ部21に振れ周りモードの振動が入力したときに複数のマス22およびゴム状弾性体23,24がそれぞれ個別に運動して、その結果として複数のマス22全体としての中心位置が軸中心位置に対し径方向に変位するため、振れ周りモードの振動を低減させることが可能とされている。したがって上記捩り振動および曲げ振動のほかに振れ周りモードの振動を低減することができる。
また、マス22およびゴム状弾性体23,24が軸方向に圧縮した状態でストッパ16のフランジ部16bおよびハブ11のステー部11b間に介装され、マス22およびゴム状弾性体23,24が互いに非接着で組み付けられ、ゴム状弾性体23,24がストッパ16のフランジ部16bおよびハブ11のステー部1bに対しても非接着で組み付けられているために、図4に示すように曲げダンパ部21は製品分解時、各部品を容易に分解することが可能とされている。したがって各部品のリサイクル性を向上させることができる。
尚、当該実施例では、上記トーショナルダンパ部12においてゴム状弾性体13はハブ11のリム部11cおよび振動リング14間に軸方向一方から圧入される構造とされ、よってこのトーショナルダンパ部12も組み付けに際して接着剤を用いない非接着構造とされている。したがって当該トーショナルダンパ1はその全体としても接着剤を用いない非接着構造とされているため、リサイクル性が格段に優れたものとされている。
また、一対のゴム状弾性体23,24について同一仕様の部品を共用する場合には、部品点数は同じでも部品の種類が減じるため、部品の製作、管理および組み付けにかかる手間暇などを低減することができる。
1 トーショナルダンパ
11 ハブ
11a ボス部
11b ステー部
11c リム部
12 トーショナルダンパ部
13,23,24 ゴム状弾性体
14 振動リング
15 プーリ溝
16 ストッパ
16a 筒状部
16b フランジ部
21 曲げダンパ部
22 マス
11 ハブ
11a ボス部
11b ステー部
11c リム部
12 トーショナルダンパ部
13,23,24 ゴム状弾性体
14 振動リング
15 プーリ溝
16 ストッパ
16a 筒状部
16b フランジ部
21 曲げダンパ部
22 マス
Claims (2)
- ステー部の外周側にリム部を一体成形したハブを備え、前記リム部の内周側にストッパを嵌合し、前記ストッパおよび前記ステー部間に曲げダンパ部を設定し、
前記曲げダンパ部は、マスおよび前記マスの軸方向両側に配置されたゴム状弾性体の組み合わせよりなり、前記マスおよび前記ゴム状弾性体は軸方向に圧縮された状態で前記ストッパおよび前記ステー部間に介装され、さらに前記マスおよび前記ゴム状弾性体はそれぞれ複数が円周方向に並んで設けられていることを特徴とするトーショナルダンパ。 - 請求項1記載のトーショナルダンパにおいて、
前記マスおよび前記ゴム状弾性体は互いに非接着で組み付けられ、前記ゴム状弾性体は前記ストッパおよび前記ステー部に対しても非接着で組み付けられていることを特徴とするトーショナルダンパ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013241750A JP2015102121A (ja) | 2013-11-22 | 2013-11-22 | トーショナルダンパ |
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JP2013241750A JP2015102121A (ja) | 2013-11-22 | 2013-11-22 | トーショナルダンパ |
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JP2021173345A (ja) * | 2020-04-27 | 2021-11-01 | Nok株式会社 | 曲げダンパ付きトーショナルダンパ |
Citations (3)
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JPH0312645U (ja) * | 1989-06-21 | 1991-02-08 | ||
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2013
- 2013-11-22 JP JP2013241750A patent/JP2015102121A/ja active Pending
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