以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態は本発明を限定するものではない。
本実施の形態の画像処理装置では、人間の眼に入力される光の波長に基づく錯視、もしくは人間の眼の光学系の色差、もしくはそれらの両方を利用して、画像表示装置に表示される立体画像を構成する要素画像の奥行距離、奥行位置、及び奥行き感を画像処理により調整し、立体視可能な画像を生成する機能を有する。なお、以下の説明では記載を簡略化するため、奥行距離及び奥行位置を「奥行距離(位置)」と称する。
一般的に、画像表示装置の画面の位置を奥行きの基準にした場合、表示される画像の色相が長波長であるほど、画面の手前側に浮き上がって見える。また、表示される画像の色相が短波長であるほど、画面の奥側に引っ込んで見える。なお、観察者の個人差により、奥行き感を感じる方向(奥行位置)が反転する場合や奥行き感が感じられない場合があるが、本実施の形態では、長波長の色相ほど、観察者の手前側に浮き上がって見え、短波長の色相ほど、観察者の奥側に引っ込んで見えるものとして説明する。
なお、本実施の形態において画像の「色相」とは、赤色、黄色、緑色、青色、及び紫色等のいわゆる色味のことを称しており、数量的には、主波長によって表される。例えば、レーザやLED等の単波長もしくは、ある波長を中心とした狭帯域な波長分布を有する光の場合、波長が短波長から長波長に変化するのに応じて色味は、青紫色から、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色、赤紫色に変化する。
また、本実施の形態において画像の「彩度」とは、色の鮮やかさのことを総称する。彩度は、単色のLEDの場合では、波長分布の幅に依存し、幅が狭いほど彩度が高くなる。
また、本実施の形態において画像の「明るさ」とは、光量、輝度、及び明度等単位系が異なるが明るさを意味するものも含めて総称する。
また、以下の説明では、複数種類の画像が登場するが、複数種類の画像について総称する場合及び種類を特定しない一般的な画像については、単に「画像」と称する。また、画像処理装置及び画像処理装置の各処理部(詳細後述)には、画像を表す画像信号が入力及び出力されるが、説明の便宜上、「信号」の記載を付加せずに単に「画像」と称する。
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態の基本となる画像処理装置の概略構成の一例の構成図を示す。
画像処理装置10は、画像入力部20、画像調整部26、画像合成部28、表示画像記憶部30、及びユーザインターフェース部32を備えている。
ユーザインターフェース部32には、画像処理装置10の外部から奥行距離(位置)及び奥行き感調整のための調整指示が奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を指示するユーザ(以下、単に「ユーザ」という)により入力される。入力された調整指示は、画像入力部20及び画像調整部26に出力される。
画像入力部20には、画像処理装置10の外部から奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する画像(以下、「入力画像」という)が入力される。画像入力部20に入力される入力画像の種類は、実写画像やコンピュータグラフィックス等でもよく、限定されるものではない。
また、画像入力部20には、ユーザインターフェース部32を介して、調整指示が入力される。画像入力部20は、調整指示に基づいて、入力画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する機能を有する。画像入力部20からは、調整指示に基づいて奥行距離(位置)及び奥行き感が調整された調整入力画像が画像調整部26に出力される。なお、画像処理装置10内の設定部(図示省略)に奥行き感の調整のために予め色相等が設定されている場合は、当該設定部から調整指示が画像入力部20に入力される。
なお、画像入力部20に入力される入力画像及び画像入力部20から出力される調整入力画像のカラーチャンネル数は、限定されるものではなく任意である。入力画像のカラーチャンネル数と調整入力画像のカラーチャンネル数とは、一致していてもよいし、異なっていてもよい。なお、RGB画像の場合は、チャンネル数は「3」になる。
本実施の形態の画像入力部20は、画像調整部22及び画像輪郭調整部24を有する。画像入力部20の画像調整部22には、画像処理装置10の外部から入力画像が入力される。画像調整部22は、入力画像に含まれる部分画像に対して調整指示に応じた画像処理を行うことにより、入力画像に対して奥行き感の調整を行う機能を有する。具体的には、画像調整部22は、調整指示に基づいて、部分画像の色相、彩度、及び明るさの少なくとも1つの調整を行うことにより、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行う。
本実施の形態の画像処理装置10では、輝度及び明度の少なくとも一方を調整することにより、部分画像の明るさを調整する。
画像調整部22からは、奥行距離(位置)及び奥行き感が調整された入力画像が画像輪郭調整部24に出力される。なお、本実施の形態の画像処理装置10では、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整内容によっては、画像調整部22による奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行わない場合がある(詳細後述)。この場合は、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行わずに入力された入力画像を出力する。
画像調整部22に入力される入力画像及び画像調整部22から出力される入力画像のカラーチャンネル数は、限定されるものではなく任意であり、一致していてもよいし、異なっていてもよい。
画像入力部20の画像輪郭調整部24には、画像調整部22から入力画像が入力される。画像調整部22は、入力画像に含まれる部分画像に対して調整指示に応じた画像処理を行うことにより、入力画像に対して奥行き感の調整を行う機能を有する。具体的には、画像輪郭調整部24は、調整指示に基づいて、部分画像に対して、当該部分画像に比べて低輝度かつ無彩色の輪郭を付与する。なお、本実施の形態において「輪郭の付与」とは、画像の外形に応じた画像(輪郭)の付与に加えて、外枠の付与及び陰影の付与等を含む。また、当該部分画像に比べて低輝度かつ低彩色の輪郭を付与するようにしてもよい。また、背景の付与や、背景の色相、彩度、及び明るさの調整を行うことにより、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行ってもよい。
画像輪郭調整部24からは、奥行き感が調整された調整入力画像が画像調整部26に出力される。なお、本実施の形態の画像処理装置10では、奥行き感の調整内容によっては、画像輪郭調整部24による奥行き感の調整を行わない場合がある(詳細後述)。この場合は、奥行き感の調整を行わずに入力された入力画像を調整入力画像として出力する。
画像輪郭調整部24から出力される調整入力画像のカラーチャンネル数は、限定されるものではなく任意であり、入力された入力画像のカラーチャンネル数と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
なお、図1では、入力画像が1枚であり、画像入力部20が1つである画像処理装置10を示したが、複数枚の入力画像に対して画像処理を行う(複数枚の入力画像が入力される)場合は、画像入力部20を入力画像の枚数に応じて複数、備えてもよい(詳細後述)。画像入力部20から出力される複数枚の調整入力画像は、以降の処理においてレイヤー画像として扱われてもよいし、画像全体の一部領域として扱われてもよい。
画像調整部26には、画像入力部20から出力された調整入力画像が入力される。入力画像が複数枚有る場合は、複数枚(入力画像と同一枚数)の調整入力画像が入力される。また、画像調整部26には、ユーザインターフェース部32を介して調整指示が入力される。なお、画像処理装置10内の設定部(図示省略)に奥行距離(位置)及び奥行き感の調整のために予め色相等が設定されている場合は、当該設定部から調整指示が画像入力部20に入力される。
画像調整部26は、調整指示に基づいて、調整入力画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する機能を有する。本実施の形態の画像調整部26では、調整入力画像に対して、または、複数枚の調整入力画像が入力された場合は重ね合わせた複数の調整入力画像のそれぞれに対して、調整指示に基づいて色相、彩度、明るさ、及びコントラストの少なくとも1つの調整を行うことにより、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行う。画像調整部26からは、調整指示に基づいて奥行距離(位置)及び奥行き感が調整された調整画像が画像合成部28に出力される。なお、本実施の形態の画像調整部26では、入力された調整入力画像をレイヤー画像として処理するため、複数枚の調整入力画像が入力された場合は、複数枚の調整画像(調整入力画像と同一枚数)が画像合成部28に出力される。
また、画像調整部26は、必要に応じて、画像表示装置12の特性(表色系の特性)に合わせて画像信号値の変換を行うようにしてもよいし、変換用のプロファイルを画像に添付してもよい。
画像合成部28には、画像調整部26から調整画像が入力される。また、画像合成部28には、画像表示装置12の表色系の特性データ(原色スペクトルやトーンカーブ等)が画像処理装置10の外部から入力される。なお、特性データは、画像表示装置12から入力されるようにしてもよいし、その他の外部装置等から入力されてもよい。また、特性データは、予め画像合成部28内部に記憶しておいてもよい。
画像合成部28は、複数枚の画像を1枚の画像に合成する機能を有する。具体的に本実施の形態の画像合成部28は、複数のレイヤー画像を合成して1つのレイヤー画像とする。
また、画像合成部28は、合成した合成画像を画像表示装置12上で所望の色で表示するため、特性データを用いて表示用画像信号に変換する機能を有している。画像合成部28からは、合成画像が表示画像記憶部30に出力される。
表示画像記憶部30には、画像合成部28から合成画像が入力される。表示画像記憶部30は、入力された合成画像または後述の表示画像の少なくとも一方を記憶する機能を有する。また、表示画像記憶部30は、入力された合成画像に画像表示装置12の特性に応じた画像を生成するためのプロファイルが添付されている場合には、必要に応じ、当該プロファイルを用いて合成画像の画像信号を変換して立体画像である表示画像を生成する機能を有する。表示画像記憶部30からは、画像表示装置12に表示させるための表示画像が出力される。
なお、画像処理装置10におけるこれら各処理部は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータにより実現されており、CPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各処理部における処理が実行される。なお、当該プログラムは、ROMに予め記憶しておいてもよいし、画像処理装置10の外部の記憶媒体等から直接、または通信回線(有線及び無線)を介して取得してもよい。
画像表示装置12は、画像を表示する機能を有していれば特に限定されるものではなく、各種モニタ、ディスプレイ、及びプロジェクター等が上げられる。なお、プロジェクション方式やバックライト方式等を用いたレーザディスプレイ、直接表示方式やバックライト方式等を用いたLEDディスプレイ、及びシネマ用等の広色域プロジェクターに対して、より高い効果(奥行距離(位置)及び奥行き感)が得られる。また、多色モニタに対しても、より高い効果(奥行距離(位置)及び奥行き感)が得られる。
なお、単波長レーザを用いた場合が、人間が識別できる範囲では、最も彩度が高い画像が得られる。また、蛍光管のように鋭い輝線がある場合も画像の彩度が高くなる。
本実施の形態では、画像表示装置12の具体的一例として、赤色、青色、及び緑色の各色が独立した単色のLEDが使用された液晶モニタを用いている。図2には、画像表示装置12である液晶モニタの波長特性の具体例を示す。図2に示すように本実施の形態の画像表示装置12は、赤色、青色、及び緑色の各色が独立した波長のピークを有している。このように単色のLEDを画像表示装置12として使用する場合は、波長の半値幅が狭いほど画像の彩度が高くなる。
(実施例1)
本実施例では、入力画像の色相を調整することにより、画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する場合の画像処理装置10Aについて図面を参照して説明する。
図3には、本実施例の画像処理装置10Aの概略構成の一例の構成図を示す。図3に示すように本実施例の画像処理装置10Aは、画像入力部20、表示画像記憶部30、及びユーザインターフェース部32を備える。本実施例の画像処理装置10Aでは、画像入力部20で入力画像の色相を調整することにより、表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整するため、図3に示すように、基本となる画像処理装置10に備えられていた画像調整部26及び画像合成部28を備えていなくてもよい。
本実施例の画像処理装置10Aにおける画像処理について、図面を参照して説明する。図4には、本実施例の画像処理装置10Aにける画像処理の流れの一例を表すフローチャートを示す。なお、具体的一例として、画像処理装置10Aが入力画像の文字部分の部分画像(以下「文字部画像」という)の色相を調整する画像処理について説明する。図5には、画像処理装置10Aにおける画像処理の具体的一例を説明するための説明図を示す。
図4に示した画像処理は、例えば、画像入力部20に入力画像が入力されると実行される。また例えば、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行う旨の情報や調整指示等がユーザインターフェース部32に入力されると実行される。
ステップS100では、入力された入力画像が画像表示装置12に表示され、調整する部分画像及び調整する色相を指示する調整指示がユーザインターフェース部32に入力されたか否か判断し、調整指示が入力されるまで待機状態となる。一方、調整指示が入力された場合は、ステップS102へ進む。
ステップS102では、画像調整部22が調整指示に基づいて部分画像(文字部画像)の色相を調整し、文字部画像の奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行う。
図5に示した具体的一例では、色相が青色の文字部画像52及び黒色の背景部画像51を部分画像として含む入力画像が画像調整部22に入力される。画像調整部22は、文字部画像52を調整する部分画像として指示し、かつ、調整後の色相として赤色を指示する調整指示に基づいて、文字部画像52の色相を青色から赤色に調整する。
なお、上記では、部分画像として文字部画像52を抽出する方法として、調整指示によりユーザが文字部画像52の抽出を指示する場合を例に説明したが、調整指示に基づいて自動的に文字部画像52を抽出するようにしてもよい。
また、本実施例の画像処理では、文字部画像を手前側に浮き上がらせるために、一般的に画像が浮き上がって見える長波長側の色相である赤色に色相を調整しているが調整する色相は任意であり、限定されるものではない。例えば、青色から黄色に色相を調整する場合は、青色から赤色に色相を調整する場合に比べて、文字部画像の奥行き感は低減するが、赤色に色相を調整する場合と同様に手前側に浮き上がって見える(奥行距離(位置)が手前になる)。また例えば、赤色から青色に色相を調整する場合は、青色から赤色に色相を調整する場合に比べて、文字部画像の奥行き方向(奥行位置)が反転する。
またさらに、色相を調整する方法も特に限定されない。例えば、調整指示を行うための指示画面(図示省略)を、ユーザインターフェース部32を介してユーザに提示し、当該指示画面に応じてユーザが行った調整指示に基づいて調整を行うようにしてもよい。この場合の具体的例としては、色相を示したパレットをユーザに提示し、当該パレットからユーザが色相を指示することが挙げられる。その他の具体的例としては、色相の調整を表すための調整量を表す数値を指示するための指示画面をユーザに提示し、当該指示画面からユーザが色相の調整量を指示することが挙げられる。またその他の具体的例としては、どのように奥行き感を調整するかを指示するための指示画面をユーザに提示し、当該指示画面からユーザがどのように奥行距離(位置)及び奥行き感を調整するかを指示することが挙げられる。
色相を調整する方法としては、また例えば、予め定められた色相に調整するようにしてもよい。例えば、本実施例のように、最も手前側に浮き上がる色相に自動的に調整するようにしてもよい。この場合には、画像調整部22の内部または外部の設定部(図示省略)に予め定められた色相を設定しておき、当該設定部から予め定められた色相に調整するための調整指示が画像入力部20に出力される。
画像調整部22からは、黒色の背景部画像51、及び色相が赤色に調整された文字部画像56を含む入力画像が画像輪郭調整部24に出力される。本実施例の画像処理では、画像輪郭調整部24による画像処理は行われないため、画像輪郭調整部24に入力された入力画像はそのまま調整入力画像として表示画像記憶部30に出力される。なお、本実施例のように、画像輪郭調整部24での画像処理を行わないことが予め定められている場合は、画像入力部20は、画像輪郭調整部24を備えていなくてもよい。
次のステップS104では、表示画像記憶部30が入力された調整入力画像を表示画像記憶部30内部の記憶部(図示省略)に記憶する。次のステップS106では、表示画像記憶部30が画像表示装置12に応じた表示用処理を調整入力画像に対して行い表示画像を生成する。なお、ステップS104の処理及びステップS106の処理は、順番を入れ替えてもよい。この場合は、表示画像が表示画像記憶部30内部の記憶部に記憶される。
次のステップS108では、表示画像記憶部30が表示画像を画像表示装置12に出力する。画像表示装置12では、画像処理装置10Aの表示画像記憶部30から出力された表示画像が表示される。図5に示した具体的一例では、黒色の背景部画像51と色相が赤色の文字部画像56とを含む表示画像が画像表示装置12に表示される。ユーザは、画像表示装置12に表示された表示画像を確認し、必要に応じて奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を再度行うよう調整指示を行う。
次のステップS110では、本画像処理を終了するか否か判断する。上述のように、ユーザから奥行き感の調整を再度行うよう調整指示が入力された場合は、ステップS102に戻り本画像処理を繰り返す。一方、ユーザから奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を終了する旨の指示が画像処理装置10Aに入力された場合は、本画像処理を終了する。
このように本実施例の画像処理装置10Aでは、画像入力部20の画像調整部22により入力画像の文字部画像の色相を青色から赤色に調整することにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。当該奥行き感の調整により、色相が赤色の文字部画像56が画像表示装置12の画面から手前側に浮き上がって見えるようになる。
(実施例2−1)
本実施例では、入力画像の彩度の調整及び背景部画像の付与により、画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する場合の画像処理装置10Bについて図面を参照して説明する。本実施例は、上述した実施例1と同様の処理を含むため、同様の処理についてはその旨を記し詳細な説明を省略する。
図6には、本実施例の画像処理装置10Bの概略構成の一例の構成図を示す。図6に示すように本実施例の画像処理装置10Bは、画像入力部20、画像調整部26、表示画像記憶部30、及びユーザインターフェース部32を備える。本実施例の画像処理装置10Bでは、画像入力部20で入力画像に含まれる部分画像に背景部画像を付与し、また画像調整部26で調整入力画像の彩度を調整することにより、表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する。そのため、図6に示すように、基本となる画像処理装置10に備えられていた画像合成部28を備えていなくてもよい。
本実施例の画像処理装置10Bにおける画像処理について図面を参照して説明する。図7には、本実施例の画像処理装置10Bにける画像処理の流れの一例を表すフローチャートを示す。なお、具体的一例として、画像処理装置10Bが入力画像の文字部画像に背景部画像を付与し、また文字部画像の彩度を調整する画像処理について説明する。図8には、画像処理装置10Bにおける画像処理の具体的一例を説明するための説明図を示す。
ステップS200では、上記実施例1のステップS100と同様に画像処理装置10Bに調整指示が入力されたか否か判断し、入力されるまでは待機状態となる一方、例えば、調整する部分画像、付与される背景部画像、及び調整後の彩度を指示する調整指示がユーザインターフェース部32に入力された場合は、ステップS202へ進む。
ステップS202では、画像輪郭調整部24が調整指示に基づいて部分画像(文字部画像)に背景部画像を付与し、文字部画像の奥行き感の調整を行う。なお、本実施例の画像入力部20では、部分画像(文字部画像)に対する画像処理は行わないため、画像調整部22に入力された入力画像はそのまま画像輪郭調整部24に入力される。なお、本実施例のように画像調整部22で画像処理を行わないことが予め定められている場合は、画像入力部20は、画像調整部22を備えていなくてもよい。
図8に示した具体的一例では、背景部分が透明であり色相が赤色で低彩度の文字部画像62を含む入力画像が画像調整部22を介して画像輪郭調整部24に入力される。画像輪郭調整部24は、調整指示に基づいて文字部画像62に黒色の背景部画像65を付与する。
なお、画像輪郭調整部24により付与する背景部画像の色相(色)は任意であり、限定されるものではない。調整指示によりユーザが付与する背景部画像65の色相(色)を指示してもよいし、調整指示により自動的に所定の色相(色)の背景部画像65を付与するようにしもよい。
なお、背景部画像の彩度及び輝度が低い(例えば黒色)ほど、上述の現象(画像の色相の波長が長波長であるほど手前側に浮き上がって見え、短波長であるほど奥側に引っ込んで見える)が顕著となる。そのため、付与する背景部画像は、本実施例のように黒色(または彩度が低く低輝度)であることが好ましい。また、表示画像における文字部画像の色相を考慮して付与することが好ましい。例えば、文字部画像と離れた波長の色相の色の背景部画像を付与することにより、文字部画像の奥行き感が強調されるようになる。
背景部画像の付与の方法は任意であり、限定されるものではなく、例えば、実施例1の画像調整部22における色相の調整方法と同様にしてもよい。
なお、本実施例の画像輪郭調整部24では、背景部画像を付与しているが、背景部画像の付与に替えて、または背景部画像の付与に加えて輪郭や陰影の付与を行うようにしてもよい。図9には、「A」を表す文字部画像62に輪郭や陰影を付与する場合を説明するための説明図を示す。図9(1)は文字部画像62に黒色の輪郭67を付与した場合を示している。また、図9(2)は文字部画像62に黒色の陰影69を付与した場合を示している。画像輪郭調整部24において輪郭や陰影を付与する場合は、上述の背景部画像の付与と同様にすればよい。
画像輪郭調整部24からは、黒色の背景部画像65、及び色相が赤色の低彩度の文字部画像62を含む調整入力画像が画像調整部26に出力される。
次のステップS204では、画像調整部26が調整指示に基づいて調整入力画像の文字画像の彩度を調整し、文字部画像の奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行った調整画像を表示画像記憶部30に出力する。図8に示した具体的一例では、画像調整部26は、調整指示に基づいて文字部画像62の彩度を高くする。
なお、彩度が高いほど、上述の現象(画像の色相の波長が長波長であるほど手前側に浮き上がって見え、短波長であるほど奥側に引っ込んで見える)が顕著となる。そのため、本実施例では、画像を表示する奥行距離(位置)及び奥行き感を強調したい部分の画像(文字部画像)の彩度を高くするように調整している。
彩度を調整する方法は任意であり、限定されるものではない。例えば、実施例1の画像調整部22における色相の調整方法と同様にしてもよい。なお、上述のように高彩度とすることにより奥行距離(位置)及び奥行き感が強調されるため、画像表示装置12に表示可能な彩度の最高値に調整するようにしてもよい。このように調整する場合は、画像表示装置12の表色系等の特性にかかわらず、高彩度の画像に調整することができるようになる。
次のステップS206〜ステップS210の各処理は、実施例1のステップS104〜ステップS108の各処理に対応している。実施例1と同様に、表示画像記憶部30が調整入力画像(または表示画像)を記憶し、また、画像表示装置12に応じた表示用処理を行った表示画像を画像表示装置12に出力する。
次のステップS212も実施例1のステップS110と同様の処理である。奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を再度行う場合は、ステップS202に戻り本画像処理を繰り返す。一方、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を終了する場合は、本画像処理を終了する。
このように本実施例の画像処理装置10Bでは、画像入力部20の画像輪郭調整部24により入力画像の文字部画像に背景部画像を付与することにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。また、本実施例の画像処理装置10Bでは、画像調整部26により調整入力画像の文字部画像の彩度を高くする調整を行うことにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。当該奥行距離(位置)及び奥行き感の調整により、色相が赤色の高彩度の文字部画像68が画像表示装置12の画面から手前側に浮き上がって見えるようになる。
(実施例2−2)
本実施例では、実施例2−1における奥行距離(位置)及び奥行き感の調整に加えて、部分画像(文字部画像)の色相を調整することにより表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する場合について説明する。なお、本実施例の画像処理装置は画像入力部20の画像調整部22が必須であるが、他の構成は、図6に示した実施例2−1の画像処理装置10Bと構成が同一であるため、説明を省略する。また、本実施例は、実施例2−1と同様の処理を含むため、同様の処理についてはその旨を記し詳細な説明を省略する。
本実施例の画像処理装置10Bにおける画像処理について図面を参照して説明する。図10には、本実施例の画像処理装置10Bにける画像処理の流れの一例を表すフローチャートを示す。また図11には、画像処理装置10Bにおける画像処理の具体的一例を説明するための説明図を示す。
図10に示すように、本実施例の画像処理装置10Bにおける画像処理では、実施例2−1の画像処理(図7参照)のステップS200とステップS202との間に、ステップS201が設けられている。本実施例の画像処理では、ステップS200において、例えば、調整する部分画像、付与される背景部画像、及び調整後の色相と彩度を指示する調整指示が入力された場合は、ステップS201へ進む。
ステップS201では、上述した実施例1の画像処理装置10Aにおける画像処理のステップS102と同様に、画像調整部22が調整指示に基づいて部分画像(文字部画像)の色相を調整し、文字部画像の奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行った後、ステップS202へ進む。
図11に示した具体的一例では、背景部分が透明であり色相が青色で低彩度の文字部画像64を含む入力画像が画像調整部22に入力される。画像調整部22は、実施例1と同様に調整指示に基づいて文字部画像64の色相を青色から赤色に調整する。
以降のステップS202〜ステップS212の各処理は、実施例2−1と同様である。
このように本実施例の画像処理装置10Bでは、画像入力部20の画像調整部22により入力画像の文字部画像の色相を調整し、さらに、画像輪郭調整部24により文字部画像に背景部画像を付与することにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。そのため、本実施例の画像処理装置10Bでは、奥行距離(位置)及び奥行き感が強調されるように調整を行うことができる。また、本実施例の画像処理装置10Bでは、画像調整部26により調整入力画像の文字部画像の彩度を高くする調整を行うことにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。当該奥行距離(位置)及び奥行き感の調整により、色相が赤色の高彩度の文字部画像68が画像表示装置12の画面から手前側に浮き上がって見えるようになる。
(実施例3−1)
本実施例では、複数の入力画像に対して、彩度の調整により、画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する場合の画像処理装置10Cについて図面を参照して説明する。本実施例は、上述した各実施例と同様の処理を含むため、同様の処理についてはその旨を記し詳細な説明を省略する。
図12には、本実施例の画像処理装置10Cの概略構成の一例の構成図を示す。図12に示すように本実施例の画像処理装置10Cは、第1画像入力部201、第2画像入力部202、画像調整部26、画像合成部28、表示画像記憶部30、及びユーザインターフェース部32を備える。図12に示すように本実施例の画像処理装置10Cでは、2つ(2枚)の入力画像(入力画像1及び入力画像2)が入力されるため、各々に対して画像入力部20(第1画像入力部201及び第2画像入力部202)を備えている。本実施例では、第1画像入力部201及び第2画像入力部202の構成は同一としている。
本実施例の画像処理装置10Cにおける画像処理について図面を参照して説明する。図13には、本実施例の画像処理装置10Cにける画像処理の流れの一例を表すフローチャートを示す。なお、具体的一例として、画像処理装置10Cが調整入力画像1(レイヤー画像1)及び調整入力画像2(レイヤー画像2)を合成した後、入力画像1の文字部画像の彩度を調整する画像処理について説明する。図14には、画像処理装置10Cにおける画像処理の具体的一例を説明するための説明図を示す。
ステップS300では、画像処理装置10Cに調整指示が入力されたか否か判断し、入力されるまでは待機状態となる。一方、例えば、調整する部分画像、及び調整後の彩度を指示する調整指示が入力された場合は、ステップS302へ進む。
図14に示した具体的一例では、背景部分が透明であり色相が赤色で低彩度の文字部画像70を含む入力画像1が画像入力部201に入力される。また、黒色の画像(背景部画像71)である入力画像2が画像入力部202に入力される。
なお、本実施例の画像処理装置10Cにおける画像処理では、第1画像入力部201及び第2画像入力部202では奥行き感の調整を行わない。そのため、画像入力部201及び画像入力部202に入力された入力画像1及び入力画像2は、調整入力画像1及び調整入力画像2としてそれぞれ第1画像入力部201及び第2画像入力部202から画像調整部26へ出力される。
ステップS302では、画像調整部26が、図14に示すように調整入力画像1及び調整入力画像2を重ね合わせて合成する。なお、画像調整部26は、調整入力画像1及び調整入力画像2はレイヤー画像1及びレイヤー画像2として保持する。
次のステップS304では、画像調整部26が調整指示に基づいてレイヤー画像1の部分画像(文字部画像)の彩度を調整し、文字部画像の奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行い、調整画像を画像合成部28に出力する。なお、本実施例の画像調整部26では、レイヤー画像1全体の彩度を調整することにより文字部画像の彩度を調整する。背景部画像が透明(背景部画像を付与されていない場合)や、背景部画像が白色や黒色の無彩色である場合は、画像全体の彩度を調整しても背景部画像の彩度には影響を与えない場合がある。このような場合には、部分画像ではなく画像全体の彩度を調整してもよい。図14に示した具体的一例では、画像調整部26は、調整指示に基づいてレイヤー画像1(文字部画像70)の彩度を高くする。
なお、彩度を調整する方法は、上記実施例2の画像処理装置10Bにおける画像処理のステップS204と同様にすればよい。
次のステップS306では、画像合成部28が入力された合成画像のレイヤー画像1及びレイヤー画像2を合成し、合成画像を表示画像記憶部30に出力する。画像合成部28における合成により、レイヤー画像1及びレイヤー画像2は1つの画像(レイヤー)に統合される。
次のステップS308〜ステップS312の各処理は、表示画像記憶部30に入力される画像が合成画像であることが異なっているが、実施例1のステップS104〜ステップS108の各処理に対応している。実施例1と同様に、表示画像記憶部30が合成画像(または表示画像)を記憶し、また、画像表示装置12に応じた表示用処理を行った表示画像を画像表示装置12に出力する。
次のステップS314は実施例1のステップS110と同様の処理である。奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を再度行う場合は、ステップS302に戻り本画像処理を繰り返す。一方、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を終了する場合は、本画像処理を終了する。
このように本実施例の画像処理装置10Cでは、入力画像1が画像入力部201に、入力画像2が画像入力部202に入力される。画像処理装置10Cでは、画像調整部26により調整入力画像1(レイヤー画像1)の文字部画像の彩度を高くする調整を行うことにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。当該奥行距離(位置)及び奥行き感の調整により、色相が赤色の高彩度の文字部画像74が画像表示装置12の画面から手前側に浮き上がって見えるようになる。
なお、本実施例では入力画像2の背景部画像が無彩色の黒色であったため、背景部画像の彩度の調整は行っていないが、背景部画像が有彩色の場合は、背景部画像の彩度を低彩度に変更することにより、より文字部画像74の奥行距離(位置)及び奥行き感が調整される。
また、本実施例では入力画像が2つ(2枚)の場合について説明したがこれに限らず、3枚以上であってもよい。入力される入力画像の数に応じて画像入力部20を備えればよい。
(実施例3−2)
本実施例では、実施例3−1における奥行距離(位置)及び奥行き感の調整に加えて、部分画像(文字部画像)の色相を調整することにより表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する場合について説明する。なお、本実施例の画像処理装置は、図12に示した実施例3−1の画像処理装置10Cと構成が同一であるため、説明を省略する。また、本実施例は、実施例3−1と同様の処理を含むため、同様の処理についてはその旨を記し詳細な説明を省略する。
本実施例の画像処理装置10Cにおける画像処理について図面を参照して説明する。図15には、本実施例の画像処理装置10Cにける画像処理の流れの一例を表すフローチャートを示す。また図16には、画像処理装置10Cにおける画像処理の具体的一例を説明するための説明図を示す。
図15に示すように、本実施例の画像処理装置10Cにおける画像処理では、実施例3−1の画像処理(図13参照)のステップS300とステップS302との間に、ステップS301が設けられている。本実施例の画像処理では、ステップS300において、例えば、調整する部分画像、及び調整後の色相と彩度を指示する調整指示が入力された場合は、ステップS301へ進む。
ステップS301では、上述した実施例1の画像処理装置10Aにおける画像処理のステップS102と同様に、画像調整部221が調整指示に基づいて部分画像(文字部画像)の色相を調整し、文字部画像の奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行った後、ステップS302へ進む。
図16に示した具体的一例では、背景部分が透明であり色相が青色で低彩度の文字部画像76を含む入力画像が画像調整部221に入力される。画像調整部221は、実施例1と同様に調整指示に基づいて文字部画像76の色相を青色から赤色に調整する。
以降のステップS302〜ステップS312の各処理は、実施例3−1と同様である。
このように本実施例の画像処理装置10Cでは、画像入力部201の画像調整部221により入力画像1の文字部画像の色相を調整することにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。そのため、本実施例の画像処理装置10Cでは、奥行距離(位置)及び奥行き感が強調されるように調整を行うことができる。また、本実施例の画像処理装置10Cでは、画像調整部26により調整入力画像1(レイヤー画像1)の文字部画像の彩度を高くする調整を行うことにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。当該奥行き感の調整により、色相が赤色の高彩度の文字部画像68が画像表示装置12の画面から手前側に浮き上がって見えるようになる。
(実施例4−1)
本実施例では、複数の入力画像を重ね合わせた表示画像を生成する場合に、明るさ、彩度、輝度、及びコントラストの調整と、背景部画像及び輪郭の付与により、画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する場合の画像処理装置10Dについて図面を参照して説明する。本実施例は、上述した各実施例と同様の処理を含むため、同様の処理についてはその旨を記し詳細な説明を省略する。
図17には、本実施例の画像処理装置10Dの概略構成の一例の構成図を示す。図17に示すように本実施例の画像処理装置10Dは、第1画像入力部201、第2画像入力部202、第3画像入力部203、画像調整部26、画像合成部28、表示画像記憶部30、及びユーザインターフェース部32を備える。図17に示すように本実施例の画像処理装置10Dでは、3つ(3枚)の入力画像(入力画像1〜入力画像3)が入力されるため、各々に対して画像入力部20(第1画像入力部201〜第3画像入力部203)を備えている。本実施例では、第1画像入力部201〜第3画像入力部203の構成は同一としている。
本実施例の画像処理装置10Dにおける画像処理について図面を参照して説明する。図18には、本実施例の画像処理装置10Dにける画像処理の流れの一例を表すフローチャートを示す。なお、具体的一例として、画像処理装置10Dが各第1画像入力部201〜第3画像入力部203において奥行き感を調整するための所定の画像処理を行った後、レイヤー画像1〜レイヤー画像3を合成し、レイヤー画像1〜レイヤー画像3の輝度及び彩度を調整する画像処理について説明する。図19及び図20には、画像処理装置10Dにおける画像処理の具体的一例を説明するための説明図を示す。
ステップS400では、画像処理装置10Dに調整指示が入力されたか否か判断し、入力されるまでは待機状態となる。一方、例えば、調整する部分画像、付与される背景部画像と輪郭、及び調整後の明るさと輝度と彩度を指示する調整指示がそれぞれ入力された場合は、ステップS402へ進む。
図19及び図20に示した具体的一例では、背景部分が透明であり灰色(無彩色)の文字部画像80を含む入力画像1が画像入力部201に入力される。また、色相が青色で低彩度の画像(背景部画像85)である入力画像2が画像入力部202に入力される。さらに、黒色の画像(背景部画像87)である入力画像3が画像入力部203に入力される。
ステップS402では、調整指示に基づいて第1画像入力部201の画像調整部221により入力画像1の文字部画像の明るさを調整し、文字部画像の奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行う。
図19に示した具体的一例では、第1画像入力部201の画像調整部221が灰色の文字部画像80の明るさを調整指示に基づいて調整して、黒色の文字部画像82に調整して画像輪郭調整部241に出力する。本実施例では、入力画像1のみが文字部画像を含むため、第1画像入力部201では、文字部画像の明るさの調整を行うが、第2画像入力部202及び第3画像入力部203では、文字部画像の明るさの調整は行われない。そのため第2画像入力部202の画像調整部222及び第3画像入力部203の画像調整部223からは、入力された入力画像2及び入力画像3がそれぞれ画像輪郭調整部241及び画像輪郭調整部242に出力される。
なお、入力画像2や入力画像3が文字部画像を含む場合は、各々に対して文字部画像の明るさの調整を行うか否かは任意としてもよく限定されない。文字部画像に対して明るさの調整を行うか否かは、調整指示に基づいて行ってもよいし、予め調整を行う入力画像がいずれであるかを設定しておき当該設定に基づいて行うようにしてもよい。
また、文字部画像の明るさの調整方法も任意であり、限定されるものではなく、例えば、実施例1の画像調整部22における色相の調整方法と同様にしてもよい。
次のステップS404では、第1画像入力部201の画像輪郭調整部241〜第3画像入力部203の画像輪郭調整部243が調整指示に基づいて文字部画像には背景部画像を付与し、また背景部画像には輪郭として外枠を付与して奥行き感の調整を行う。
図19に示した具体的一例では、第1画像入力部201の画像調整部221が黒色の文字部画像82に赤色の背景部画像83を付与し、さらに背景部画像83に黒色の外枠84を付与した後、調整入力画像1として画像調整部26に出力する。また、第2画像入力部202の画像調整部222が青色の背景部画像85に黒色の外枠86を付与した後、調整入力画像2として画像調整部26に出力する。なお、本実施例では、入力画像1(レイヤー画像1)〜入力画像3(レイヤー画像3)を重ね合わせた際に、最下層となる入力画像3(黒色の背景部画像87)には、輪郭となる外枠を付与しない。そのため、第3画像入力部203の画像輪郭調整部243からは、入力された入力画像3が調整入力画像3として画像調整部26に出力される。
なお、文字部画像への背景部画像の付与や、背景部画像への外枠の付与の方法も任意であり、限定されるものではなく、例えば、実施例1の画像調整部22における色相の調整方法と同様にしてもよい。
次のステップS406では、画像調整部26が、調整入力画像1〜調整入力画像3を重ね合わせて合成する。なお、画像調整部26は、調整入力画像1〜調整入力画像3はレイヤー画像1〜レイヤー画像3として保持する。
図20に示した具体的一例では、画像調整部26は、調整入力画像1(レイヤー画像1)を最上層とし、調整入力画像2(レイヤー画像2)を中間層とし、調整入力画像3(レイヤー画像3)を最下層として合成する。合成する順番は、任意であり、限定されるものではなく、例えば、外部からユーザインターフェース部32を介して入力される調整指示に基づいた順番としてもよいし、画像処理装置10D内部の設定部(図示省略)に予め設定しておき当該設定部から出力された調整指示に基づいた順番としてもよい。
また、本実施例では、画像調整部26は、調整入力画像1〜調整入力画像3の位置や大きさを調整して重ねあわせる。位置や大きさの調整方法も任意であり、限定されるものではなく、例えば、外部からユーザインターフェース部32を介して入力される調整指示に基づいた位置や大きさとしてもよいし、画像処理装置10D内部の設定部(図示省略)に予め設定しておき当該設定部から出力された調整指示に基づいた位置や大きさとしてもよい。
次のステップS408では、画像調整部26が、レイヤー画像1〜レイヤー画像3の輝度及び彩度を調整して奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する。
画像のコントラストが高い部分は、コントラストが低いところに比べて奥行き感が向上し、より手前側に浮き上がって見える。また、高輝度の画像の方が低輝度の画像に比べて手前側に浮き上がって見える。そのため、本実施例の画像処理装置10Dでは、奥行き感を強調したい部分画像(レイヤー画像)のコントラストをその他の背景部画像(レイヤー画像)のコントラストより高くする調整を行う。コントラストを調整するため、本実施例では、レイヤー画像1〜3の輝度を調整する。なお、奥行き感を強調するためにコントラストを高くする場合には、背景部画像の輝度を高くする場合もあれば、低くする場合もある。輝度をいずれとするかは、表示画像全体を考慮して定めればよい。
図20に示した具体的一例では、画像調整部26は、レイヤー画像1の彩度及び輝度を高く変更して、背景部画像83を色相が赤色の高彩度及び高輝度の背景部画像91とする。このように調整することにより、レイヤー画像1がより手前側に浮き上がって見えるようになる。
また、画像調整部26は、レイヤー画像2の彩度を高く変更して、背景部画像85を色相が青色の高彩度の背景部画像92とする。このように調整することにより、レイヤー画像2がより奥側に引っ込んで見えるようになる。
さらに、画像調整部26は、レイヤー画像3の輝度を高く変更して、黒色の背景部画像87を灰色の背景部画像93とする。本実施例では、このように最下層であるレイヤー画像3の輝度を高くすることにより、表示画像全体を観察した際の背景部画像とのコントラストが下がるため、よりレイヤー画像1が手前側に浮き上がって見るようになる。
なお、彩度及び輝度の調整方法は任意であり、限定されるものではなく、例えば、実施例1の画像調整部22における色相の調整方法と同様にしてもよい。
画像調整部26は、このようにして奥行き感が調整されたレイヤー画像1〜レイヤー画像3を調整画像として画像合成部28に出力する。
次のステップS410〜ステップS416の各処理は、実施例3(図13参照)のステップS306〜ステップS312の各処理に対応している。実施例3と同様に、画像合成部28が入力された合成画像のレイヤー画像1〜レイヤー画像3を合成して1つの合成画像に統合し、合成画像を表示画像記憶部30に出力する。さらに、表示画像記憶部30が合成画像(または表示画像)を記憶し、また、画像表示装置12に応じた表示用処理を行った表示画像を画像表示装置12に出力する。
次のステップS418は実施例3のステップS314と同様の処理である。奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を再度行う場合は、ステップS402に戻り本画像処理を繰り返す。一方、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を終了する場合は、本画像処理を終了する。
このように本実施例の画像処理装置10Dでは、入力画像1が画像入力部201に、入力画像2が画像入力部202に、入力画像3が画像入力部203に入力され、3枚の入力画像(入力画像1〜入力画像3)を重ね合わせて1枚の表示画像を生成する。画像処理装置10Dでは、画像入力部201の画像調整部221により最上層の画像となる入力画像1の文字部画像80の明度を高くして文字部画像82とし、画像輪郭調整部241により色相が赤の背景部画像83を付与して奥行距離(位置)及び奥行き感を調整する。また、画像処理装置10Dでは、画像入力部202の画像輪郭調整部242により中間層の画像となる入力画像2の背景部画像85に黒色の外枠86を付与する。さらに画像処理装置10Dでは、画像調整部26によりレイヤー画像1〜レイヤー画像3の位置及び大きさを調整して重ね合わせて合成し、レイヤー画像1及びレイヤー画像2を高彩度に変更する。また、画像調整部26によりレイヤー画像3の輝度を高く変更して表示画像全体を観察した際の、背景部画像とのコントラストを下げる。これらの奥行き感の調整により、レイヤー画像1の文字部画像82が画像表示装置12の画面から手前側に浮き上がって見えるようになる。
なお、本実施例では入力画像が3つ(3枚)の場合について説明したがこれに限らず、4枚以上であってもよい。入力される入力画像の数に応じて画像入力部20を備えればよい。
(実施例4−2)
本実施例では、実施例4−1における奥行距離(位置)及び奥行き感の調整に加えて、部分画像(背景部画像)の色相を調整することにより表示画像の奥行き感を調整する場合について説明する。なお、本実施例の画像処理装置は、図17に示した実施例4−1の画像処理装置10Dと構成が同一であるため、説明を省略する。また、本実施例は、実施例4−1と同様の処理を含むため、同様の処理についてはその旨を記し詳細な説明を省略する。
本実施例の画像処理装置10Dにおける画像処理について図面を参照して説明する。図21には、本実施例の画像処理装置10Dにける画像処理の流れの一例を表すフローチャートを示す。また図22には、画像処理装置10Dにおける画像処理の具体的一例を説明するための説明図を示す。
図21に示すように、本実施例の画像処理装置10Dにおける画像処理では、実施例4−1の画像処理(図18参照)のステップS400とステップS402との間に、ステップS401が設けられている。本実施例の画像処理では、ステップS400において、例えば、調整する部分画像、付与される背景部画像と輪郭、及び調整後の色相と明るさと輝度と彩度を指示する調整指示が入力された場合は、ステップS401へ進む。
ステップS401では、上述した実施例1の画像処理装置10Aにおける画像処理のステップS102における文字部画像の色相の調整と同様に、画像調整部222が調整指示に基づいて部分画像(背景部画像)の色相を調整し、背景部画像の奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行った後、ステップS402へ進む。
図22に示した具体的一例では、画像入力部202の画像調整部222には、色相が赤色で低彩度の画像(背景部画像97)である入力画像2が入力される。画像調整部222は、実施例1と同様に調整指示に基づいて背景部画像97の色相を青色から赤色に調整して背景部画像85とする。
以降のステップS402〜ステップS418の各処理は、実施例4−1と同様である。また、図22に示した具体的一例以降の、当該各処理における具体的一例は、上記実施例4−1で説明した図20と同様になる。
このように本実施例の画像処理装置10Dでは、画像入力部202の画像調整部222により入力画像2の背景部画像の色相を調整することにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。そのため、本実施例の画像処理装置10Dでは、奥行距離(位置)及び奥行き感が強調されるように調整を行うことができる。また、本実施例の画像処理装置10Dでは、画像調整部221により文字部画像80の明るさを調整し、画像輪郭調整部241により色相が赤色の背景部画像83及び黒色の外枠84を付与し、また、画像輪郭調整部242により色相が青色の背景部画像85に黒色の外枠84を付与する。さらに、画像調整部26により、調整入力画像1(レイヤー画像1)を高彩度かつ高輝度に調整し、調整入力画像2を高彩度かつ高輝度に調整し、調整入力画像3の輝度を高くすることにより画像表示装置12に表示される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整している。当該奥行距離(位置)及び奥行き感の調整により、レイヤー画像1が画像表示装置12の画面から手前側に浮き上がって見えるようになる。
以上説明したように本実施形態の画像処理装置10では、画像調整部22及び画像輪郭調整部24を含む画像入力部20を少なくとも含み、実施例に応じて、さらに画像調整部26を含む。画像処理装置10は画像調整部22及び画像調整部26により調整指示に基づいて、奥行距離(位置)の変更及び奥行き感を強調したい部分画像の色相、彩度、及び明るさの少なくとも1つの調整を行うことにより、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整を行って表示画像を生成する。また、画像処理装置10は、画像輪郭調整部24により奥行き感を強調したい部分画像に背景部画像や輪郭を付与する。画像表示装置12に表示された表示画像を視認する観察者は、長波長の色相の色を有する画像は、手前側に浮き上がって見え、短波長の色相の色を有する画像は、奥側に引っ込んでみえる。そのため、色相を調整することにより表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整することができる。さらに、彩度、及び明るさの調整や背景部画像や輪郭の付与により奥行距離(位置)の変更及び奥行き感を強調することができる。
従って、本実施形態の画像処理装置10によれば、裸眼により視認される表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を画像処理により調整することができる。
また、本実施形態の画像処理装置10によれば、一般的な表示装置により観察者は、裸眼で視認することにより表示画像の立体視を行うことができ、また表示画像の奥行き感を得ることができる。表示画像を視認する観察者は、眼鏡等のデバイスを装着することなく立体視を行うことができるため、視認位置(視点)の変化に対しても、明るさの変化や、形の歪みが生じにくい。さらに、立体視画像を生成するのに用いられる視差画像の数が限定される従来技術により立体視を行う場合に比べて、観察者の眼の疲労が低減される。
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、表示画像の奥行距離(位置)及び奥行き感を調整するために調整指示を行うユーザが奥行距離(位置)及び奥行き感の確認を行う画像表示装置12の表色系等の特性データに応じた画像処理を行う画像処理装置10について説明した。本実施の形態では、ユーザが奥行き感の確認を行った画像表示装置12と異なる画像表示装置12により観察者が表示画像の立体視を行う場合に対応する画像処理を行う画像処理装置について説明する。
図23には、本実施の形態の基本となる画像処理装置11の概略構成の一例の構成図を示す。本実施の形態の画像処理装置11は、第1の実施の形態の画像処理装置10と比べて、さらに画像記憶部33を備える。
画像記憶部33は、いわゆるハードディスクやメモリ等の記憶部であり、画像調整部26から出力された調整画像を記憶する機能を有する。画像記憶部33では、調整画像が複数のレイヤー画像を重ね合わせた画像である場合は、レイヤー画像毎に記憶する。なお、画像合成部28で合成された合成画像や、表示画像記憶部30で生成された表示画像も記憶するようにしてもよい。
本実施形態の画像処理装置11では、奥行き感が調整された表示画像は、表示画像記憶部30に記憶されると共に、このように調整画像が画像記憶部33に記憶される。表示画像を画像表示装置12に表示させるようユーザインターフェース部32を介して観察者から指示が入力された場合に表示画像を表示させる画像表示装置12が、ユーザが奥行き感の確認を行った画像表示装置12と異なると、表色系等の特性データが異なる場合がある。このような場合は、表示画像を画像表示装置12に表示しても、適切な奥行距離(位置)及び奥行き感(ユーザが調整したのと同等の奥行距離(位置)及び奥行き感)が得られない懸念がある。
そのため、本実施の形態の画像処理装置11では、表示画像を出力する画像表示装置12の特性データに基づいて表示用処理を行うことにより適切な奥行距離(位置)及び奥行き感が得られるように調整する。
図24には、画像処理装置11における画像処理の流れの一例を表すフローチャートを示す。図24に示した画像処理は、一旦、例えば、上記第1の実施の形態の画像処理装置10と同様にして表示画像を生成し、画像記憶部33が、画像調整部26から出力された調整画像を記憶した状態にあり、当該表示画像の表示を観察者から指示された場合に実行される。
ステップS500では、ユーザが奥行距離(位置)及び奥行き感の確認を行った画像表示装置12と、観察者の指示により表示画像の表示を行う画像表示装置12とが同一であるか否か判断する。画像表示装置12が同一であるかの判断方法は、限定されず任意である。例えば、観察者の指示により表示画像の表示を行う画像表示装置12の特性データを取得して、当該特性データと、表示画像を生成した際の特性データを比較し、一致する場合は、同一であるとみなしてもよい。
画像表示装置12が同一である場合は、ステップS504へ進み、表示画像記憶部30または画像記憶部33に記憶されている表示画像を画像表示装置12に出力した後、本画像処理を終了する。
一方、画像表示装置12が異なる場合は、ステップS502へ進む。ステップS502では、観察者の指示により表示画像の表示を行う画像表示装置12の特性データに基づいて調整画像の表示用処理を行う。本実施の形態では、観察者の指示により表示画像の表示を行う画像表示装置12の特性データを画像調整部26が取得し、画像記憶部33から出力された調整画像に対して、取得した特性データに基づいて表示用処理を行う。なお、本実施の形態の画像処理装置11では、さらに画像合成部28及び表示画像記憶部30により表示用画像を生成する。
次のステップS504では、生成した表示用画像を28及び表示画像記憶部30を介して画像表示装置12に表示画像を出力した後、本画像処理を終了する。
なお、本実施の形態では、画像調整部26で表示画像を表示させる画像表示装置12の特性データに応じた表示用処理を行っているが、奥行距離(位置)及び奥行き感の調整に応じて、画像入力部20で特性データに応じた表示用処理を行うようにしてもよい。この場合は、画像記憶部33から調整画像が画像入力部20に出力される。また、画像記憶部33に表示用画像を記憶させ、画像記憶部33から画像表示装置12に表示用画像を出力するようにしてもよい。
このように本実施の形態の画像処理装置11では、ユーザが奥行距離(位置)及び奥行き感の確認を行った画像表示装置12と異なる画像表示装置12により観察者が表示画像の立体視を行う場合であっても、観察者は、適切な奥行き感を得ることができる。
なお、上記各実施の形態は一例であり、具体的な構成は本実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれ、状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。例えば、各実施の形態及び各実施例を組み合わせてもよい。
また、上記各実施の形態では、画像表示装置12に表示画像を表示する場合について説明したがこれに限らず、例えば、印刷装置等の画像形成装置により用紙等の記録媒体上に表示画像を形成することにより表示画像の表示を行う画像形成装置に表示画像を表示する場合に適用してもよい。
また、上述したように、背景部画像は、実写画像やコンピュータグラフィックス等でもよく、限定されるものではない。図25には、背景部画像が実写画像である場合の表示画像の具体的一例を示す。
図25に示した表示画像では、実写画像99上に色相が赤色で高彩度であり、黒色の陰影を有する文字部画像98が表示されている。このように表示を行うことにより、文字部画像98が実写画像99から手前側に浮き上がって見える。なお、上述したように、背景部画像が低彩度及び低輝度である場合に、奥行き感が強調されるため、実写画像99(少なくとも文字部画像98の背景となる実写画像99の部分画像)を低彩度及び低輝度に調整するようにしてもよい。