JP2015096804A - アスファルト混合材の検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスファルト混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を、製造又は作業の現場で簡便に、且つ、短時間で推定することによって、受入れ又は使用の可否を容易に判断できるアスファルト混合材の検査方法及びその装置を提供する。
【解決手段】検査方法は、成形又は加工が100℃以上で行われるアスファルト混合材において、成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた混合材を開放された面を有する型に入れる工程と、型内の混合材を押圧することによって予め設定した密度まで圧縮成形する工程と、圧縮成形された混合材の表面反射率又は明度を測定する工程と、測定した表面反射率又は明度から混合材の使用が可能と判断する工程を含む。また、本発明の検査装置は、混合材収納用の型と、混合材の押圧手段と、圧縮成形後の混合材の表面反射率又は明度を測定する手段とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、舗装等に使用するアスファルト混合材の品質を工事現場等で簡単に点検確認するために、アスファルト混合材に含まれる添加成分及び低分子量成分等による品質への影響の有無を、簡易的な方法によって迅速に、且つ精度良く判別することができるアスファルト混合材の検査方法及びその検査装置に関する。
道路舗装材、ルーフィング材、シーリング材及び接着剤等の分野で広く使用されているアスファルトやアスファルトコンクリート等は添加成分を含み、混合材の一種として使用される。これらアスファルト混合材等において、使用済みの舗装用廃材等になった劣化アスファルトは、従来は産業廃棄物とし処分されていたが、近年、廃棄用地不足や環境破壊等の問題及び省資源等の点から、その再利用が行われている。アスファルト舗装廃材はその中に含まれるアスファルト分の劣化が進行しており、それを再利用する場合には、一般的に再生用添加剤の混合がアスファルト舗装廃材の粉砕及び加熱軟化処理とともに行われる。再生用添加剤は、アスファルト舗装廃材中のアスファルトの針入度、伸度及びその他の性状を回復するために混合されるものであり、現状では最大で5%程度が配合されている。再生アスファルト単独で所望の特性が得られない場合は、所定の比率で新生材と混合したアスファルト混合材として実用に供せられる。
上記のような再生アスファルト又は再生材と新生材とのアスファルト混合材は、一般的に高温で成形又は加工を行うことによって、道路舗装材等として使用される。通常、アスファルト材は製造時やトラックへの積込時に140〜200℃の温度で取り扱われ、道路舗装施工時には作業性を向上させるため100〜160℃に保持した状態で作業が行われる。
このような100℃以上の高温での成形又は加工では、アスファルト混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分(有溶溶剤も含む)、及び成形又は加工の最中に熱分解によって生成した非結合性又は非分散性の低分子量成分等は揮発又は揮散が促進されるため、アスファルトの作業性及び品質に悪影響を与える場合がある。すなわち、これら非結合性又は非分散性の成分の揮発又は揮散が混合材中のボイド発生及び流動性や作業性の大幅な低下を招く結果となり、成形前又は加工前の混合材の特性や物性が成形又は加工の最中に予期できない程度に大幅に変わるため、所望のものが得られなくなるという問題が発生する。そのため、100℃以上の高温での成形又は加工の最中に、これら非結合性又は非分散性の成分の揮発又は揮散による影響がどの程度かを把握する必要があり、それに対応できる検査方法が求められている。特に、成形又は加工を行う実際の作業現場で簡便に行える検査方法を確立することが必要である。
アスファルト混合材は、日本工業規格JIS K2207「石油アスファルト」に記載されているように、針入度、伸度等で品質が規定されている。それ以外にも、薄膜加熱質量変化率、薄膜加熱針入度残留率、蒸発後の針入度比及び密度等によって品質が決められている。例えば、一般地域用及び寒冷地用の舗装用アスファルトは、針入度(25℃、1/10mm)及び伸度(15℃)が、それぞれ60を超え80以下及び100以上と規格化されている。
また、特許文献1には、アスファルトの製造、運搬及び使用時に煙の発生を少なくするために、常圧下で、180℃における蒸発量を90質量ppm以下に規定することによってアスファルト混合材の品質向上を図ることが提案されている。ここで、アスファルト又は再生アスファルトに含有される再生添加剤は、例えば、特許文献2及び3に例示されている。
さらに、アスファルト混合材に含まれる添加成分や低分子量成分の同定と定量分析は、一般的な分析手段である液体クロマトグラフィ(LC)やガスクロマトグラフィ(GC)等を用いて行うことも可能である(例えば、特許文献4を参照)。
特開2002−3858号公報 特開2009−126878号公報 特開2009−221381号公報 特開2004−109090号公報
前記特許文献1〜3に記載されている検査又は分析は、いずれも成形又は加工の前後にそれぞれ得られるアスファルト混合材を用いて、針入度試験、引張試験及び質量測定等の各種手段によって成形又は加工の作業から分離して行われる。その後、検査又は分析の結果に基づいて実際の成形又は加工の条件適正化及び材料組成の最適化を図るのが一般的な方法である。このような検査や分析は製造や作業のインラインで行われるものではないため煩雑であり、且つ、分析又は検査のための時間がかかる。そのため、材料組成の最適化及び製造や作業の条件適正化を迅速に行うことができないというのが実情である。また、前記特許文献4に記載されているように前記のLC又はGC等による分析の場合も、作業現場で簡易的に分析を行うことは非常に困難である。
さらに、従来の分析装置や試験方法による方法は、アスファルト混合材全体のマクロな検査を行うものであり、成形又は加工の最中に過渡的に変化するアスファルト混合材の性状や物性に影響を与える非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量及びその変動挙動を明確に把握することが困難である。仮に、製造や作業の最中に変化するこれら非結合性又は非分散性の成分の含有量を簡便に、且つ短時間で測定して推定することができれば、製造や作業の条件を迅速に適正化できるだけでなく、添加成分を含む混合材が適正に製造されたものなのか否かを容易に判定することができる。そのため、受け入れ検査方法としても活用することが可能となる。しかしながら、この技術課題を解決できる適当な試験又は検査の方法はこれまでほとんど報告されておらず、そのような試験又は検査の方法を確立するだけでなく、それを実現するための装置が強く求められている。
本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、添加成分を含む混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等について含有量及び発生量を、製造工程又は作業工程のインライン中で簡便に、且つ、短時間で推定できる検査方法及びその装置を適用することによって、前記添加成分を含む混合材の受け入れ又は使用の可否を容易に判断するための検査方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明は、添加成分を含むアスファルト混合材を高温、より具体的には100℃以上の温度で成形又は加工を行うときに、アスファルト混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の揮発又は揮散が促進され、その含有量が容易に変動することによって、流動性や成形性等の所望の作業性及び期待した製品の物性や特性を満足することが出来なくなるという知見に基づくものである。アスファルト混合材は成形又は加工のときの温度に近い温度で、成形又は加工のときと同じか又はそれに近い条件で圧力等の負荷をかけたときに、有機溶剤を含む非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等がアスファルト混合材の表面に浮き出て来やすい。この挙動に着目し、アスファルト混合材の受け入れ又は使用の可否を判断するために必要なこれら非結合性又は非分散性の成分の含有量を推定できる簡便な方法として、加熱しながら負荷をかけた後のアスファルト混合材について光学的な物理量である表面反射率又は明度を測定することによって上記の課題を解決できることを見出して本発明に到った。
すなわち、本発明の構成は次の通りである。
[1]本発明は、成形又は加工が100℃以上で行われるアスファルト混合材の品質を検査するための検査方法であって、成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた前記混合材を、開放された面を少なくとも1面有する型に入れる工程と、前記型に入れられた前記混合材を、前記型の開放された面から押圧することによって予め設定した密度まで圧縮成形する工程と、前記圧縮成形された混合材を前記型に入れた状態又は前記型から取り出した状態で、前記混合材の表面反射率又は明度(L表示系のLで定義される明度)を前記押圧した面から測定する工程と、該測定した表面反射率又は明度が予め設定した値以下であるときに使用可能と判断する工程とを有するアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[2]本発明は、前記表面反射率又は明度の予め設定した値が、前記使用可能と判断された前記アスファルト混合材を用いて予め測定した表面反射率又は明度によって、若しくは前記アスファルト混合材に含まれる揮発成分又は揮散成分の含有量と表面反射率又は明度との関係から決められることを特徴とする前記[1]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[3]本発明は、前記混合材の表面反射率又は明度が、測定手段としてそれぞれ反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計を用い、前記の反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計を前記混合材の前記押圧した面の径方向に1回又は2回以上掃引して測定される表面反射率又は明度の平均値として求められることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[4]本発明は、前記型に入れられた前記混合材が、前記の予め設定した密度から決められる前記型の高さまで圧縮成形することを特徴とする前記[1]〜[3]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[5]本発明は、前記圧縮成形後の混合材を前記型から取り出した後、重量を測定することによって、前記の予め設定した密度が所望の範囲に含まれるか否かを判定する工程を含むことを特徴とする前記[1]〜[4]の何れかに記載の添加成分を含むアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[6]本発明は、前記の予め設定した密度が、2.35g/cmを基準にして、1.8g/cm〜2.5g/cmの範囲の何れかに含まれることを特徴とする前記[4]又は[5]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[7]本発明は、前記の成形又は加工は前記アスファルト混合材の舗装を行うときに実施されるものであり、該舗装が行われるときの温度に近い温度が140〜170℃の範囲の何れかであることを特徴とする前記[1]〜[6]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[8]本発明は、成形又は加工が100℃以上で行われるアスファルト混合材の品質を検査するための検査装置であって、開放された面を少なくとも1面有し、成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた前記混合材を収納するための型と、前記型に入れられた前記混合材を予め設定した密度まで圧縮成形するために、前記型の開放された面から押圧を行う手段と、前記圧縮成形された混合材の表面反射率又は明度(L表示系のLで定義される明度)を、前記型に入れた状態又は前記型から取り出した状態で、前記押圧した面から測定する手段とを有するアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[9]本発明は、前記表面反射率又は明度はそれぞれ反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計によって測定され、前記の反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計は前記混合材の押圧した面に沿って手動又は自動で掃引できる手段で保持されていることを特徴とする前記[8]に記載のアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[10]本発明は、前記[8]又は[9]に記載の検査装置が、前記の表面反射率又は明度の表示手段を有することを特徴とするアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[11]本発明は、前記[8]〜[10]の何れかに記載の検査装置において、さらに、前記の測定された表面反射率又は明度(L)が予め設定した値以下であるときに使用可能と判断するための演算手段を有することを特徴とするアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[12]本発明は、前記型が、型枠と該型枠を載せる台からなることを特徴とする前記[8]〜[11]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[13]本発明は、前記型に入れられた前記混合材が前記の予め設定した密度から決められる前記型の高さまで圧縮成形できるように、前記位置を知るための検出手段を有することを特徴とする前記[8]〜[12]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[14]本発明は、前記の検出手段が、距離計又は前記型の内部に設けられた目印であることを特徴とする前記[13]に記載のアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[15]本発明は、前記[8]〜[14]の何れかに記載の検査装置が、異物混入の防止、前記圧縮成形の工程で前記アスファルト材に含まれる添加成分又は低分子量成分の外部への揮発又は揮散の防止、及び安全性の向上の少なくとも何れかの機能を実現するために、前記型の周囲がカバーによって覆われていることを特徴とするアスファルト混合材の検査装置を提供する。
本発明の検査方法によれば、成形又は加工による製造や作業のインライン中で添加成分を含むアスファルト混合材中に存在する非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を、簡便に、且つ精度良く測定できる表面反射率又は明度から推定することができる。そのため、成形又は加工後に得られる混合材の物性や特性の低下を防止するための指針が得られるだけでなく、前記混合材の受け入れ又は使用の可否を判断するための検査方法として利用することができる。例えば、成形又は加工の作業中に揮発又は揮散しやすい非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等が許容値よりも多く含まれていると判断される場合は、そのアスファルト混合材の受け入れを拒否したり、使用を中止することができる。この測定及び検査は、製造や作業のインライン中で行うことができるため、実際の製造又は作業に適したものとして利用できる。また、アスファルト混合材の分析又は検査は製造や作業の工程から分離して別の場所で行う必要がなくなるため、検査を短時間に行えるだけでなく、検査システムを低コストで構築することができる。仮に、製造中や作業中に不具合やトラブルが起きた場合でも短時間で、且つ適切な対応が可能になる。さらに、本発明の検査方法は、検査される添加成分を含むアスファルト混合材が実際に製造や作業によって得られるものと同じ性状を有するように成形又は加工されたか否かを確認するためにその性状を反映する物理量、例えば、密度を測定する工程を含む。そのため、製造や作業の現場で加工又は成形されるアスファルト混合材の成形性や作業性及びその物性や特性を確実に反映する検査方法として利用することができる。
本発明の検査装置は十分な検査性能を保持しながら簡単な構成を有するため、、コンパクトで、且つ、低コストの装置を構築することができる。それによって、本発明による検査装置は、製造や作業の現場が各所に散らばっていてもインライン中で容易に利用することができるため、製造や作業の現場への導入が促進される。したがって、汎用性の高い装置として活用することができる。
本発明による検査方法の工程フローの説明図である。 本発明による検査方法において加熱したアスファルト混合材の型への注入工程で使用する型構造の例を示す図である。 本発明による検査装置においてその構成の一例を示す図である。 本発明による検査装置で使用する押圧装置において万力プレス機によって押圧する方式を適用した例を示す図である。 本発明による検出装置で使用する押圧装置において油圧シリンダによって押圧する方式を適用した例を示す図である。 本発明による検出装置で使用する押圧装置において油圧シリンダによって押圧するときに別方式を適用した例を示す図である。 本発明の実施例1において各アスファルト混合材の表面反射率を混合材に含まれる再生材量に対してプロットした図である。 本発明の実施例1において各アスファルト再生材の加熱による重量変化率の測定結果を示す図である。
添加成分を含むアスファルト混合材を用いて道路舗装又は構造建築物等の社会インフラの形成を行う場合、物性及び特性を予め規格化したものを受け入れてから、成形又は加工による作業が行われる。添加成分を含む混合材が品質規格の合致しているか否かは、通常、供給元で検査されており、品質保証されたものが供給されるようになっている。また、添加成分を含むアスファルト混合材を作業前に抜き取り検査を行い、成形性又は加工性及び混合材の品質等を点検する場合もある。異常時や非定常時においては、輸送時、移動時又は保管時、さらに作業中において供給先から受け入れたアスファルト混合材が物性変動を起こし、結果的に施工後に信頼性や耐久性の低下等がみられる場合がある。抜き取り検査は、その悪影響を未然に防止するためである。仮に、顕著な物性変動を起こすおそれのある混合材が供給されたと判明したときには、使用が中止され、廃棄又は供給先に返却されて交換が行われる。
本来であれば、供給先から受け入れたアスファルト混合材のすべてについて受け入れ検査を行えば、不具合や不良は未然に防止できる。しかしながら、上記で述べたように、従来の検査方法は分析及び解析が煩雑であり処理時間も長くなることから作業現場での検査が非常に困難である。そのため、通常は、供給先からの品質保証書に基づいて混合材をそのまま受け入れて使用しているのがほとんどである。
添加成分を含むアスファルト混合材は、輸送時、移動時又は保管時だけでなく、高温で成形又は加工等を行う場合に物性変動が大きくなる傾向にある。添加成分を含むアスファルト混合材は、高温、より具体的には100℃以上の温度で成形又は加工を行うときに、前記混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分(有溶溶剤も含む)、及び成形又は加工の最中に熱分解によって生成した非結合性又は非分散性の低分子量成分を含めた様々な成分の揮発又は揮散が促進される。これが流動性や成形性等の作業性及び製品の物性や特性の低下を招くためである。
本発明は、この知見に基づいて、添加成分を含むアスファルト混合材を100℃以上の高温に保持した状態で、且つ、成形又は加工のときと同じか又はそれに近い条件で圧力等の負荷をかけたときに、有機溶剤等を含めて非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等が前記混合材の表面に浮き出て来やすいという挙動に着目してなされたものである。そして、前記混合材の表面に浮き出てくるこれら非結合性又は非分散性の成分の含有量を表面反射率又は明度という光学的な手法による簡便な検査装置を用いて、迅速に、且つ、精度良く測定することによって、成形中又は加工中にみられるこれら成分の含有量の変動を、作業現場に居ながら短時間で把握することができるという点に大きな特徴を有する。
アスファルトの再生添加剤としては、例えば減圧蒸留残渣油や鉱油等がある。それらは、主に炭素数の異なる各種の脂肪族炭化水素から構成されており、アスファルト混合材中において一部の成分が非結合性又は非分散性の状態で遊離して存在する場合がある。また、100℃以上の成形又は加工をおこなうときに熱分解して、低分子量成分に変性することもある。また、この低分子量成分は、分子量が140以下で、沸点が常圧下で150℃以下の低沸点を有するものが考えられる。対象となるのは、例えば、炭素数9であるノナン(C20)又はそれ以下の炭素数を有する飽和炭化水素、又はそれらの誘導体又はその変性物である。さらに、前記の低分子量成分が他と会合又は結合することによって揮発又は揮散の成分となる場合もある。アスファルト混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等は、熱天秤やガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)等の分析測定手段によって揮発量測定や成分同定を行うことができる。
本発明による検査方法の工程フローを、図1を用いて説明する。図1の右側には、添加成分を含む混合材のサンプリング(工程S2)〜表面反射率の測定(工程S5)までの各工程を模式図で示している。
(1)混合材の加熱(工程S1)
添加成分を含むアスファルト混合材1は製造又は作業の現場に輸送又は移動されて搬入された後、その現場で100℃以上の加熱が行われる。加熱温度は、後に行う成形又は加工の温度に応じて決められる。まず、アスファルト混合材は、トラック等によって搬入された後、フィニッシャー等に移されてから道路舗装作業時の温度である100〜160℃に加熱される。再生アスファルト等は、製造時やトラックへの積込時に140〜200℃の温度で取り扱われるため、作業温度にできるだけ近づけるという意味で140℃以上の温度で保持することが好ましい。また、工程S1における加熱温度は、道路舗装時の温度の上限が約160℃であるので、その温度よりもやや高い170℃を上限にすることが好ましい。
(2)混合材のサンプリング(工程S2)
加熱後の添加成分を含むアスファルト混合材から、次の工程S3において型へ注入するための必要量をサンプリングする。サンプリングは、均一に混合した状態のアスファルト混合材であれば、任意の場所から行う。また、組成均一性を調べるために、アスファルト混合材の異なる場所からサンプリングすることもできる。アスファルト混合材のサンプリング量は、材料の種類、形態及び密度に応じて変わるが、容量的に10〜1000cmの範囲である。サンプリング量が10cm未満では後の工程で行う表面反射率の測定領域が狭くなるだけでなく、サンプリング量が少ないため使用する混合材の平均的な物性を反映することが難しくなり、測定値のバラツキが大きくなる。また、サンプリング量が1000cmを超えると、検査のための処理量が多くなり、取扱いが困難になる。さらに、1000cmを超える量のサンプリングによって表面反射率又は明度の測定を行っても、表面反射率の平均値はほとんど変動しないことが分かった。
(3)加熱した混合材の型への注入(工程S3)
S2の工程で必要量をサンプリングした混合材は、型2へ注入される。本工程S3で使用する型構造の例を図2に示す。図2の(a)は、型枠3が型の底部4と接合した一体型の型である。また、図2の(b)は、型枠3をはめ込み式で底部の台5に装着できるようにした型である。本発明で使用する型としては、型の装着、移動及び掃除等の点から、図2の(b)に示す構造が好適である。図2に示す型の材質としては、金属製、木製、セラミック製、ガラス製及び高強度の耐熱性繊維強化プラスチック製の何れか一つを使用することができる。それらの中で、耐熱性、型形状の自由度、型製作の容易さ及びコストの点から木製又は金属製が好適である。また、図2の(b)に示す底部の台5としては、測定の簡略化をはかるために、地面や土砂状の路盤で代用しても良い。
本発明において使用する型は、直径が1〜30cmの範囲で好ましいが、より好ましくは5〜10cmである。直径が1cm未満では、サンプリング量が少なくなるため使用する混合材の平均的な物性を反映することが難しくなるとともに、表面反射率又は明度の測定を行う範囲が狭くなるため、測定値のバラツキが大きくなる。また、直径が30cmを超えると、サンプリング量が多くなりすぎるため、検査のための処理量が多くなり、取扱いが困難になる。さらに、直径が30cmを超える型を用いて表面反射率又は明度の測定を行っても、それらの平均値はほとんど変動しない。表面反射率又は明度の測定バラツキの低減及び検査処理の迅速さのバランスを最適化するためには、型の直径を5〜10cmの範囲に設定するのが好適である。
図2の(a)及び(b)に示すように、本発明で使用する型枠3にはガス穴6を設けても良い。ガス穴6は、次の工程で行う押圧による圧縮成形においてガスが発生した場合にそのガスを抜かすための通路として機能する。ガス穴6が無い場合は、圧縮成形中に押圧によって内部圧が高くなり、混合材を所望の高さで圧縮成形できなくなる場合がある。ガス穴6の形状及びその径は、圧縮成形中に発生するガス量及びガス圧に応じて任意に選ぶことができるが、検査の準備及び処理を容易に行うために、直径が2〜10mmの範囲で、円形又は楕円の形状にするのが実用的である。ガス穴6の径の下限値は、アスファルト混合材に含まれる滑材が最大で2〜3mmの径であることから、その大きさに基づいて決められる。
前記のガス穴6は、ガス収納容器と接続することによって圧縮成形時に発生するガスを捕集した後、ガス分析をGC−MS等で測定しても良い。ガス分析の結果は、仮に不具合や問題が発生した場合に原因の究明に活用することができる。
工程S3においては、所定の温度に加熱したアスファルト混合材を型に注入することが一般的に行われる。また、本発明においては温度調整機能を有する型を用いて、あらかじめ加熱した型に添加成分を含む混合材を注入した後で加熱を行う方法を採用しても良い。その場合、アスファルト混合材の加熱に要する時間が必要となるが、前記の工程S1を省略することができるため、工程の簡略化を図ることができる。また、添加成分を含むアスファルト混合材の加熱温度を厳密に設定する必要がある場合は、あらかじめ加熱した型に混合材を注入する方法が好適である。
(4)押圧による圧縮成形(工程S4)
工程S3で注入された混合材は、工程S4において、型2の開放された面から錘7によって押圧することによって圧縮成形が行われる。錘7の代わりに、プレスパンチ型を用いて手動又は自動で機械的に押圧を行っても良い。圧縮成形するときの押圧は0.1〜10Mpa(1〜100kg/cm)の範囲とする。実際に道路舗装工事でアスファルトに押圧するときの圧力は10MPaよりも低いことから、0.1〜5MPaの範囲が好適である。
加熱されたアスファルト混合材は、図1に示す型2の高さ方向において、予め設定した成形後又は成形後の混合材の密度と同じか、又はそれに近くなるような位置、すなわち押圧する前の混合材表面の位置からHの高さを設定し、その位置まで押圧して圧縮される。実際の成形又は加工によって圧縮成形後に得られる混合材の密度は従来の知見から設定できるので、押圧によって圧縮される高さHまでの位置は型2の径から計算で容易に求まる。この位置の確認は、押圧の終了後にレーザ距離計等の距離計によって確認することができる。あるいは、型2の内部に予めその位置を表す目印を設けることによって、その目印の位置まで押圧する方法を採用しても良い。目印は、型2の内部にけがき線、溝又は微小の突起を形成することによって設けることができる。圧縮成形後に混合材の最上部が型2の内部に形成したけがき線、溝又は微小の突起の位置に到達したときに、混合材が予め設定した密度まで圧縮されることになる。
成形後又は成形後のアスファルト混合材の予め設定した密度は、混合材の種類に応じて変わるが、再生アスファルト又は新生材と再生材とのアスファルト混合材の場合は、2.35g/cmを基準にして、1.8g/cm〜2.5g/cmの範囲である。この範囲は、実際の舗装道路工事において押圧後のアスファルトの密度に基づいて決められる。
(5)混合材の表面反射率又は明度の測定(工程S5)
圧縮成形後の混合材の表面は、反射率計(又は光沢度計)又は分光光度計の光学測定装置8によって、それぞれ表面反射率又は明度が測定される。明度は、物体色のみに適用される明るさの尺度であり、物理属性としては反射率に対応する。本発明において測定を行う明度はL表示系においてLで定義される物理量である。明度としては、これ以外にもマンセル10色相環を用いて表してもよい。
アスファルト混合材の表面には圧縮成形によって混合材に含まれていた非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等が浸み出てくる。これらの成分の浸み出し量が多いと表面の光沢性が増し、表面反射率又は明度の測定値は高くなる傾向にある。本発明者等の実験によれば、表面反射率又は明度と非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の揮発量又は揮散量との間には、相関関係が成立することが分かった。すなわち、表面反射率又は明度によって混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を推定することが可能となる。非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量は表面反射率又は明度の測定のみで求めることはできないが、これらの成分の混合材に与える様々な影響を表面反射率又は明度の測定から容易に、且つ短時間で把握することが可能になる。
表面反射率又は明度の測定は、圧縮成形された混合材を前記型に入れた状態又は前記型から取り出した状態で、錘7等によって押圧した面から行う。また、表面反射率又は明度の測定は混合材1の表面の1点だけでなく、図2に示すように、反射率計(若しくは光沢度計)又は分光光度計の光学測定装置8を前記混合材の前記押圧した面の径方向に、手動又は自動で1回又は2回以上掃引して測定される表面反射率又は明度の平均値として求めても良い。図2には、反射率計(又は光沢度計)又は分光光度計の光学測定装置8の掃引を水平及び垂直方向に2回行う例を示している。それによって、混合材1の表面のほぼ全域にわたって非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の浸み出し量の程度を把握することができる。測定温度は、加熱した混合材を押圧後に空気中で冷却を行い、100℃未満、好ましくは60℃以下の一定の温度で行う。押圧後の冷却によって、混合材の表面に浸み出てくる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の揮発又は揮散が抑えられ、表面反射率又は明度の測定において安定した測定値が得られるようになる。測定温度を室温近くまで下げることは検査時間がやや長くなることから、測定温度を100℃未満とすることで検査時間の短縮化を図ることができる。
(6)混合材の表面反射率の判断(工程S6)
工程S6において、工程S5で測定された表面反射率又は明度を予め設定した値と対比して、設定値以下であるときに使用可能とする判断を行う。設定した値との厳密な対比を行うために、表面反射率又は明度の測定値及び設定値は同じ条件で測定した値同志を比較することが好ましい。同じ条件にするためには、錘7による押圧面の平坦性、表面反射率又は明度の測定温度、表面反射率又は明度の測定装置、測定装置の測定位置とアスファルト混合材表面からの距離及び測定方法等を極力一致させることが必要である。表面反射率又は明度の測定は、表面の平坦性及び測定位置と距離等によって影響を受けるためである。
前記の表面反射率又は明度の設定値は、実際に成形又は加工を行った後のアスファルト混合材の作業性及び物性や特性に基づいて決められるものである。図1のS1〜S5の工程を経て実際に製品や構造物として適用できたアスファルト混合材の表面反射率又は明度の値を、判断のための設定値とする。表面反射率又は明度の設定値はある程度の幅があるため、適用可能と判断できる許容範囲に基づいて安全率を見込んで設定することが好ましい。
例えば、再生アスファルト又は新生材と再生材とのアスファルト混合材は黒色を呈するため、表面反射率の測定値は非常に小さい値を示す。表面反射率の測定においては、表面反射率が0.4%を超えると加工作業後に固められたアスファルトに亀裂等が発生しやすくなる傾向にある。表面反射率が0.4%以下の場合はアスファルト混合材の表面への非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の浸み出し量が少ないことを意味する。そこで、0.4%を予め設定した値として決める。
また、アスファルト混合材の明度(L)も、黒色の濃度が濃くなるに伴い低くなる傾向にあり、20に近い値を示すようになる。明度(L)は、表面反射率と異なり、アスファルト混合材の種類等によって影響を受けやすいため、品質を評価する際の厳密な設定値を一律に決めることができない。しかしながら、組成が同じアスファルト混合材であれば前記の設定値はほぼ一定している。事前検討の結果では、一般的なアスファルト混合材を使用する場合は明度(L)が22を超えると加工作業後に固められたアスファルトに亀裂等が発生しやすくなる傾向にあることが分かった。そこで、一般的なアスファルト混合材を使用するときは、とりあえず22を予め設定した明度(L)の暫定値として決めてもよい。
圧縮成形後の表面への浸み出し量は、アスファルト混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を反映する量であるため、表面反射率又は明度はこれらの成分の含有量を推定するために適当な物理量であることが分かる。ここで、非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量は、熱天秤等の測定装置を用いてアスファルト混合材の加熱によって測定される重量減少による重量変化率から推定することもできる。加熱重量減少による重量変化率の測定は、本発明の検査方法と比べて操作が煩雑で測定時間が長くなるが、表面反射率又は明度の予め設定する値を決めるときの対比データとして使用することができる。したがって、予め設定する表面反射率又は明度の値は、アスファルト混合材の表面反射率又は明度と、アスファルト混合材の加熱重量減少による重量変化率の測定から求まる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量との関係から決めることも可能である。
工程S6において、表面反射率又は明度の測定値が設定値以下の場合は、次の工程S7に移る。一方、表面反射率又は明度の測定値が設定値を超える場合は、アスファルト混合材の使用が不可であると判断してサンプリングしたものと同一ロットはすべて返却又は廃棄される。
(7)成形又は加工のための作業開始(工程S7)
前記の工程S6によって表面反射率又は明度の測定値が予め決めた設定値以下であるときに、工程S7において添加剤を含む混合材を用いて成形又は加工のための作業を開始する。その後、所定の作業が行われたことを確認してから作業を終了する。
(8)圧縮成形後混合材の密度測定(工程S8〜S9)
工程S8〜S9は、前記の工程S1〜S6を経て行う検査方法の妥当性を確認するために付加的に追加される工程である。S6の工程によって表面反射率が測定された後の混合材は、圧縮成形によって所望の圧縮物が得られているか否かを点検するために型2から取り出されて、工程S8で圧縮成形後のアスファルト混合材の重量を測定し、密度が求められる。次に、工程S9において、圧縮成形後のアスファルト混合材が実際の作業で得られたもの、すなわち設定値の範囲内であると確認された場合は、そのまま成形又は加工のための作業を開始する工程S7に移される。仮に、設定値の範囲外であることが判明した場合は、工程S2の混合材のサンプリング工程に戻って本発明の検査方法を繰り返す。
前記で説明したように、本発明の検査方法は基本的に工程S1〜S7を含むものである。さらに、検査方法に問題が無いかをチェックするために、確認の意味でS8及びS9の工程が含まれる。
次に、本発明の検査装置について図を用いて説明する。
図3は、本発明による添加成分を含むアスファルト混合材の検査装置においてその構成の一例を示す図である。図3に示す検査装置9は、添加成分を含むアスファルト混合材を錘7を用いて梃子の原理で押圧する検査装置であり、(a)に押圧前の状態、(c)に押圧中の状態及び(d)に押圧後に錘7を上方へ移動した状態をそれぞれ示す。また、図3の(b)に示す検査装置10は、加熱ステージ11を備え、加熱ステージ11が底部の台として機能するだけでなく、型枠3を同時に加熱することによって温度調整ができるように構成されている。検査装置10を用いる場合も、図3の(c)及び(d)に示す工程と同じような操作で押圧及び圧力解放が行われる。
図3に示す検査装置9、10は、成形又は加工が100℃以上で行われるアスファルト混合材1に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量の変動を調べるための検査装置であって、開放された面を少なくとも1面有し、成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた前記混合材を収納するために型枠3と底面の台5とからなる型2又は型枠3と加熱ステージ11とからなる型2と、この型2に入れられた混合材1を予め設定した密度まで圧縮成形するために、前記型の開放された面から押圧を行う手段である錘7と、圧縮成形されたアスファルト混合材1の表面反射率を型2に入れた状態で、押圧した面から測定する手段である反射率計(若しくは光沢度計)又は分光光度計の光学測定装置8とを基本構成として有する。ここで、圧縮成形後のアスファルト混合材1を型2に入れた状態での表面反射率又は明度を測定する場合には、図3の(d)に示すように、型2を移動しないで、反射率計(又は光沢度計)又は分光光度計8をアスファルト混合材1の中心方向へ水平に移動させることによって表面反射又は明度を測定する。また、アスファルト混合材1が入った型2を検査装置9から取り出してアスファルト混合材1の表面反射率又は明度を測定しても良い。本発明においては、検査時間を短くするために、アスファルト混合材1を型2から取り出した状態で別の場所でアスファルト混合材1だけを冷却してからその表面反射率又は明度を測定することができる。
前記で述べたように、表面反射率又は明度の測定はアスファルト混合材1の表面の1点だけでなく、図2に示すように、反射率計(又は光沢度計)又は分光光度計の光学測定装置8をアスファルト混合材1の押圧した面の径方向に1回又は2回以上掃引して測定される表面反射率の平均値として求めることが行われる。それを実現するために、本発明の検出装置は、反射率計を保持して混合材1の押圧した面に沿って手動又は自動で掃引できる手段を有することができる。
また、本発明の検出装置は、反射率計又は分光光度計の光学測定装置8によって測定した表面反射率又は明度を表示することによって作業関係者が周知できるように表示手段を有しても良い。さらに、図1に示す工程S6で行う判断を行うために、図3に示すように、測定された表面反射率又は明度が予め設定した値以下であるときに使用可能と判断するための演算手段12を検出装置の構成の一部とすることもできる。その場合、演算手段12は表示手段として表示モニターを有するものであっても良い。
図3に示すように、本発明の分析装置は型2に入れられた混合材1が前記の予め設定した密度から決められる高さまで圧縮成形できるように、錘7の到達位置を知るための検出手段としてレーザ距離計等の距離計13を有しても良い。この検出手段としては、距離計13に代えて、型2の内部に設けられた目印であっても良い、この目印としては、前記で述べたように、型2の内部に形成したけがき線、溝又は微小の突起によって設けることができる。混合材の最上部が圧縮成形後に型2の内部に形成したけがき線、溝又は微小の突起の位置に到達したときに、混合材が予め設定した密度まで押圧による圧縮が行われたと判断することができる。
また、本発明の分析装置は周囲がカバー14によって覆われている構成を含む。図3に示す検査装置は、カバー14によって覆われた例を示したものである。カバー14は、異物混入の防止、圧縮成形の工程でアスファルト混合材1に含まれる添加成分や低分子量成分の外部への揮発又は揮散の防止、及び安全性の向上の少なくとも何れかの機能を実現するために使用される。カバー14の材質としては、透明のガラス又はプラスチックを使用できるが、衝撃性、加工性、取扱い易さ及びコスト等の点から硬質透明プラスチックが好適である。また、透明ガラスの表面を軟質の透明プラスチックでカバーしたもの、若しくは透明ガラスを軟質の透明プラスチックで貼り合せた構造のものを使用しても良い。
本発明においては、押圧手段として図3に示す以外の別の方式を採用することができる。図4に本発明の検出装置で使用する別の押圧装置の例を示す。図4に示す押圧装置15は、ハンドル16の手動回転によってプレスパンチ17を上下に移動させる機構を有する万力プレス機を用いて押圧を行う方式である。図4の(a)、(b)及び(c)は、押圧装置15において、それぞれ押圧前の状態、押圧中の状態、及び押圧後にプレスパンチ17を上方へ移動した状態を示す図である。また、図4の(d)は、押圧装置15から取り出したアスファルト混合材1の表面反射率又は明度の測定を行っている様子を示す図である。
図4に示す押圧装置15は、プレスパンチ17の到達位置を知るための検出手段の例として型2の内部に微小の突起18による目印が設けられている。図4の(b)及び(c)に示すように、微小の突起18の位置までプレスパンチ17による押圧が行われた後、プレスパンチ17は上方へ移動される。それによって、アスファルト混合材1は表面が押圧前の位置から深さHの位置に移動するまで圧縮成形される。次に、アスファルト混合材1が注入された型2は、図4の(d)に示すように検出装置15から分離し冷却された後、反射率計8を用いて表面反射率又は明度の測定が行われる。本発明においては、アスファルト混合材1が注入された型2を押圧装置15から分離しないで、図4の(c)に示す状態で型2を冷却後、そのままアスファルト混合材1の表面反射率又は明度の測定を行っても良い。
図5は、本発明の検出装置で使用する押圧装置において油圧シリンダによって押圧する方式を適用した例を示す図である。図5に示す押圧装置19においては、ハンドポンプ20によって油圧シリンダ21と接続しているプレスパンチ17を可動させることによって押圧が行われる。図5の(a)、(b)及び(c)は、押圧装置19において、それぞれ押圧前の状態、押圧中の状態、及び押圧後にプレスパンチ17を上方へ移動した状態を示す図である。また、図5の(d)は、押圧装置19から取り出した混合材1の表面反射率又は明度の測定を行っている様子を示す図である。本発明においては、ハンドポンプ20を用いて手動で油圧シリンダ21を可動させる方法に代えて、電動式で油圧シリンダ21を可動させる方式を採用しても良い。
図5に示す押圧装置19は、プレスパンチ17の到達位置を知るための検出手段の例として型2の内部周囲に溝22による目印が設けられている。図4の(b)及び(c)に示すように、溝22の位置までプレスパンチ17による押圧が行われた後、プレスパンチ17は上方へ移動される。それによって、アスファルト混合材1は表面が押圧前の位置から深さHの位置に移動するまで圧縮成形される。次に、アスファルト混合材1が注入された型2は、図5の(d)に示すように検出装置19から分離し冷却された後、反射率計又は分光光度計の光学測定装置8を用いて表面反射率又は明度の測定が行われる。本発明においては、アスファルト混合材1が注入された型2を検出装置19から分離しないで、図5の(c)に示す状態で型2を冷却後、そのままアスファルト混合材1の表面反射率又は明度の測定を行っても良い。
図6は、本発明の検出装置に使用する押圧装置において油圧シリンダによって押圧するときに別方式を適用した例を示す図である。図6に示す押圧装置23においては、下パンチ24とダイ25とから構成される型をスペーサ26を介して設置し、前記の型の中に注入された添加成分を含むアスファルト混合材1の上面に上パンチ27を当接した後、油圧シリンダ21を可動させて上パンチ27を下方へ移動させることによって押圧が行われる。
図6の(a)、(b)及び(c)は、それぞれ押圧前の状態、押圧の初期状態、及び押圧の終期状態を示す図である。押圧時は、上パンチ27が下方へ移動するだけでなく、可動フレーム28が動いて下パンチ24を上方へ移動する。それによって、アスファルト混合材1の密度が所望の値になるまで押圧が進められる。下パンチ24及び上パンチ27の移動は、押圧後の混合材の密度から決められた所定の距離まで、それぞれ自動又は手動で制御して行うことができる。また、ダイ25の外側周囲に予め移動距離に相当する位置を表す目印を設けることによって、その目印の位置まで押圧する方法を採用しても良い。目印は、ダイ25の外側周囲にけがき線、溝又は微小の突起を形成することによって設けることができる。
次いで、図6の(d)に示すように、押圧後にリムーバー29を用いて油圧シリンダ21を下方へ可動させることによってダイ25を下方に移動させ、上パンチ27を下パンチ24とダイ25とから構成される型から取り出せるような状態にする。その後、図6の(e)に示すように、アスファルト混合材1を内包する前記の型を押圧装置23から分離し冷却した後、反射率計(若しくは光沢度計)又は分光光度計の光学測定装置8を用いてアスファルト混合材1の表面反射率又は明度の測定が行われる。図6に示す押圧装置において、油圧シリンダ21を可動させる方法は手動式であっても、電動式であっても良い。
図4〜図6に示す押圧装置は、図3に示す本発明の検査装置の押圧装置として使用することができる。押圧装置以外の他の構成については、図3に示す検査装置と基本的には構造も含めて同じである。また、型2の型枠3に設けるガス穴6についても、必要に応じて、設けることができる。例えば、図6に示すダイ25の一部にガス穴を形成しても良い。押圧時にガスの発生が顕著であり圧縮成形が困難である場合には、ガス穴の形成は効果的である。
本発明の検査方法及び検査装置は、アスファルト混合材の他にも、添加成分を含む混合材において、該混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の影響が問題となる技術分野に広く使用できる。例えば、工業用プラスチックとして重要な役割を担う熱可塑性樹脂又はその複合体(コンパウンド)は、ある種の性質を付与するために流動付与剤、安定剤、顔料、離型剤及び耐炎剤等の各種の低分子量のオリゴマー添加剤を含有しており、本発明の検査方法を適用することが可能である。本発明は、その中でも特に、道路舗装等に使用するアスファルト混合材の検査に適用することによって大きな効果を得ることができる。作業現場において従来から行われている検査方法は、アスファルト混合材の材質を色・ツヤで感覚的に判断する方法である。この方法は正確な判断が出来ないだけでなく、個人差及び測定の環境差などによって判断に大きなバラツキが生じるという問題が避けられない。そのため、アスファルト混合材の材質を迅速に、且つ、より的確に判断するための方法として、その材質を左右する非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量の変動を簡易的で、且つ、迅速に精度良く行うことができる検出方法及びその装置に対するニーズが非常に高い。アスファルト混合材は使用量が大量であり、また、迅速な作業が必要であるばかりでなく、仮に不具合等が発生したときの損害や被害が安全性の点も含めると甚大となるためである。
本発明を実施例によって説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
アスファルト混合材について本発明の検査方法及び検査装置を適用した実施例を説明する。市販のアスファルト新生材と再生添加剤を含むアスファルト再生材とを用いて、新生材、再生材A及び再生材Bの3種類の測定用サンプルを調整した。新生材は再生アスファルトを含まないものである。再生材A及びBは、それぞれ新生アスファルト/再生アスファルト=65/35(質量%)及び新生アスファルト/再生アスファルト=35/65(質量%)の組成である。
測定用サンプルは、新生材、再生材A及び再生材Bのそれぞれを道路舗装温度とほぼ同じ160℃に加熱した後、土砂状の路盤に木製又は金属製の内径5cmの型枠に6cmの高さに盛り、図3に示す検査装置に用いて錘7で押圧することによって、底面から5cmの高さに締め固めた。このとき押圧のために使用した錘の重さは60kgであり、圧力としては約0.3MPa(3kg/cm)である。押圧によってアスファルト混合材の表面に再生添加剤が浸み出してくるのが分かった。このようにして作製されたサンプルを押圧終了時に60℃に冷却し、60℃に温度において各アスファルト混合材の表面反射率を測定した。表面反射率は、HORIBA製のハンディ反射率計(光沢度計)「グロスチェッカー」IG−320を用いて各アスファルト混合材表面の少なくとも5点を測定し、その平均値で表した。また、本実施例で締め固められた各アスファルト混合材を個別に取出して重量を測定し、それらの密度を求めた。その結果、新生材、再生材A及び再生材Bは、いずれの密度も2.35g/cm±0.100g/cmの範囲内であることが確認された。
各アスファルト混合材について測定した表面反射率を図7に示す。図7は、各アスファルト混合材の表面反射率(%)を混合材に含まれる再生材(再生アスファルト材)量(質量%)に対してプロットした図である。図7から、再生添加剤を含む再生アスファルトの配合量が多いアスファルト再生材ほど表面反射率が高くなることが分かる。再生材Bは表面反射率が最も高く、表面に非結合性及び又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の浸み出しが多いことが考えられた。この非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等は、再生添加剤だけでなく、再生アスファルト製造時に混合されることがある有機溶剤にも起因する。
上記で述べたように、アスファルト混合材の場合は、表面反射率が0.4%を超えると加工作業後に固められたアスファルトに亀裂等が発生しやすくなる傾向にある。これは、本実施例と同じ検査方法によって事前に行った表面反射率の測定値と、実際の道路舗装工事を行って調査されたアスファルトの品質との対比から得られた知見である。図7の結果によれば、新生材及び再生材Aは問題が発生しないのに対して、再生材Bは品質において何らかの不具合や問題が発生することが予想された。
そこで、新生材、再生材A及び再生材Bを用いて、実際に道路舗装作業を行い、固化された後のアスファルト状態を調査した。その結果、新生材及び再生材Aは亀裂が全く発生しないのに対して、再生材Bは亀裂が発生しており、アスファルト材として実用に耐えるものではなかったことが分かった。このように、図7に示す表面反射率の結果は、アスファルト混合材の品質を判断するための非常に有効な手段であることが確認された。
図8は、各アスファルト再生材の加熱による重量減少率の測定結果を示す図である。測定は熱天秤を用いて行い、140〜160℃の温度範囲で等温放置したときの放置時間に対する重量減少による重量変化率を求めた。図8には例として各アスファルト混合材を160℃の温度で放置したときの重量変化率の結果を示している。図8から分かるように、重量減少による重量変化率は再生材Bが最も大きく、再生材A、新生材の順に小さくなっており、再生材Bは非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の揮発成分又は揮散成分の含有量が多いことが確認された。図7の結果を図8の結果と対比することによって、再生材Bにおいて表面反射率が最も高くなった原因は、再生材Bに含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量に起因していることが分かる。このように、表面反射率は、アスファルト混合材に含まれる非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量とも関連付けて検討することができる。
〈実施例2〉
実施例1と同じ方法で調整した新生材、再生材A及び再生材Bの3種類の測定用サンプルを用いて、表面反射率の測定に代えて、明度(L)の測定を行うことによって、アスファルト混合材の品質を評価した。前記3種類の測定用サンプルの成形圧縮方法と条件は、実施例1で行ったものと同一である。押圧によってアスファルト混合材の表面に再生添加剤が浸み出してくるのが分かった。このようにして作製されたサンプルを押圧終了時に60℃に冷却し、60℃に温度において各アスファルト混合材の明度(L)を測定した。明度は、日本分光(株)製の紫外可視分光光度計V−570Hを用いて各アスファルト混合材表面の少なくとも5点を測定し、その平均値で表した。
新生材、再生材A及び再生材Bについて測定した明度(L)は、それぞれ20、22、25であった。この結果から、再生添加剤を含む再生アスファルトの配合量が多いアスファルト再生材ほど明度(L)が高くなることが分かる。再生材Bは明度が最も高く、表面に非結合性及び又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の浸み出しが多いことが考えられた。
実施例1で述べたように、前記の3種類のアスファルト混合材を用いて実際に道路舗装作業を行い、固化された後のアスファルト状態を調査した結果、新生材及び再生材Aは亀裂が全く発生しないのに対して、再生材Bは亀裂が発生しており、アスファルト材として実用に耐えるものではなかった。このように、成形圧縮後のアスファルト混合材の明度は、その品質と明確な相関関係があることが分かり、アスファルト混合材の品質を判断するための非常に有効な手段であることが確認された。
以上のように、本発明の検査方法によれば、成形又は加工による製造又は作業のインライン中で添加成分を含むアスファルト混合材に存在する非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を、簡便に、且つ精度良く測定できる表面反射率又は明度から容易に推定することができる。そのため、成形又は加工後に得られるアスファルト混合材の物性や特性の低下を防止するための指針が得られるだけでなく、アスファルト混合材の受け入れ又は使用の可否を判断するための検査方法として利用することができる。また、本発明の検査方法は、製造工程又は作業工程から分離して行う必要がなくなるため、検査時間の短縮化が図れるだけでなく、検査システムを低コストで構築することができる。
本発明の検査装置は、十分な検査性能を保持しながら、簡単な構成を有するためコンパクトで、且つ、低コストの装置を構築することができる。それによって、本発明による検査装置は、製造又は作業の現場が各所に散らばっていてもインライン中で容易に利用することができ、製造や作業の現場への導入が促進される。さらに、本発明の検査方法は、アスファルト混合材だけではなく、各種の添加成分を含む混合材、例えば、熱可塑性樹脂やその複合体(コンパウンド)を使用する技術分野にも適用できるため、その活用性は極めて高い。
1・・・アスファルト混合材、2・・・型、3・・・型枠、4・・・型の底部、5・・・底部の台、6・・・ガス穴、7・・・錘、8・・・光学測定装置、9、10・・・検査装置、11・・・加熱ステージ、12・・・演算手段、13・・・距離計、14・・・カバー、15・・・押圧装置、16・・・ハンドル、17・・・プレスパンチ、18・・・微小の突起、19・・・押圧装置、20・・・ハンドポンプ、21・・・油圧シリンダ、22・・・溝、23・・・押圧装置、24・・・下パンチ、25・・・ダイ、26・・・スペーサ、27・・・上パンチ、28・・・可動フレーム、29・・・リムーバー。
すなわち、本発明の構成は次の通りである。
[1]本発明は、成形又は加工が100℃以上で行われるアスファルト混合材中に存在する非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を推定することによって前記アスファルト混合材の品質を検査するための検査方法であって、成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた前記混合材を、開放された面を少なくとも1面有する型に入れる工程と、前記型に入れられた前記混合材を、前記型の開放された面から押圧することによって予め設定した密度まで圧縮成形する工程と、前記圧縮成形された混合材を前記型に入れた状態又は前記型から取り出した状態で、前記混合材の表面反射率又は明度(L表示系のLで定義される明度)を前記押圧した面から測定する工程と、該測定した表面反射率又は明度が予め設定した値以下であるときに使用可能と判断する工程とを有するアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[2]本発明は、前記表面反射率又は明度の予め設定した値が、前記使用可能と判断された前記アスファルト混合材を用いて予め測定した表面反射率又は明度によって、若しくは前記アスファルト混合材に含まれる揮発成分又は揮散成分の含有量と表面反射率又は明度との関係から決められることを特徴とする前記[1]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[3]本発明は、前記混合材の表面反射率又は明度が、測定手段としてそれぞれ反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計を用い、前記の反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計を前記混合材の前記押圧した面の径方向に1回又は2回以上掃引して測定される表面反射率又は明度の平均値として求められることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[4]本発明は、前記型に入れられた前記混合材が、前記の予め設定した密度から決められる前記型の高さまで圧縮成形することを特徴とする前記[1]〜[3]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[5]本発明は、前記圧縮成形後の混合材を前記型から取り出した後、重量を測定することによって求めた密度が、前記の予め設定した密度所望の範囲に含まれるか否かを判定する工程を含むことを特徴とする前記[1]〜[4]の何れかに記載の添加成分を含むアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[6]本発明は、前記の予め設定した密度が、1.8g/cm〜2.5g/cmの範囲に含まれることを特徴とする前記[4]又は[5]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[7]本発明は、前記の成形又は加工は前記アスファルト混合材の舗装を行うときに実施されるものであり、前記成形又は加工の温度に近い温度で保持された前記混合材の温度が140〜170℃の範囲に含まれる何れかの温度であることを特徴とする前記[1]〜[6]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[8]本発明は、成形又は加工が100℃以上で行われるアスファルト混合材中に存在する非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を推定することによって前記アスファルト混合材の品質を検査するための検査装置であって、開放された面を少なくとも1面有し、成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた前記混合材を収納するための型と、前記型に入れられた前記混合材を予め設定した密度まで圧縮成形するために、前記型の開放された面から押圧を行う手段と、前記圧縮成形された混合材の表面反射率又は明度(L表示系のLで定義される明度)を、前記型に入れた状態又は前記型から取り出した状態で、前記押圧した面から測定する手段とを有するアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[9]本発明は、前記表面反射率又は明度はそれぞれ反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計によって測定され、前記の反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計は前記混合材の押圧した面に沿って手動又は自動で掃引できる手段で保持されていることを特徴とする前記[8]に記載のアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[10]本発明は、前記[8]又は[9]に記載の検査装置が、前記の表面反射率又は明度の表示手段を有することを特徴とするアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[11]本発明は、前記[8]〜[10]の何れかに記載の検査装置において、さらに、前記の測定された表面反射率又は明度(L)が予め設定した値以下であるときに使用可能と判断するための演算手段を有することを特徴とするアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[12]本発明は、前記型が、型枠と該型枠を載せる台からなることを特徴とする前記[8]〜[11]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[13]本発明は、前記型に入れられた前記混合材が前記の予め設定した密度から決められる前記型の高さまで圧縮成形できるように、前記位置を知るための検出手段を有することを特徴とする前記[8]〜[12]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[14]本発明は、前記の検出手段が、距離計又は前記型の内部に設けられた目印であることを特徴とする前記[13]に記載のアスファルト混合材の検査装置を提供する。
[15]本発明は、前記[8]〜[14]の何れかに記載の検査装置が、異物混入の防止、前記圧縮成形の工程で前記アスファルト材に含まれる添加成分又は低分子量成分の外部への揮発又は揮散の防止、及び安全性の向上の少なくとも何れかの機能を実現するために、前記型の周囲がカバーによって覆われていることを特徴とするアスファルト混合材の検査装置を提供する。
すなわち、本発明の構成は次の通りである。
[1]本発明は、アスファルト混合材中に存在し、100℃以上での成形又は加工で揮発又は揮散が促進される非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を推定することによって前記アスファルト混合材の品質を検査するための検査方法であって、成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた前記混合材を、開放された面を少なくとも1面有する型に入れる工程と、前記型に入れられた前記混合材を、前記型の開放された面から押圧することによって予め設定した密度まで圧縮成形する工程と、前記圧縮成形された混合材を前記型に入れた状態又は前記型から取り出した状態で、前記混合材の表面反射率又は明度(L表示系のLで定義される明度)を前記押圧した面から測定し、前記非結合性又は非分散性の添加成分及び低分子量成分等の含有量を推定する工程と、該測定した表面反射率又は明度が予め設定した値以下であるときに使用可能と判断する工程とを有するアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[2]本発明は、前記表面反射率又は明度の予め設定した値が、前記使用可能と判断された前記アスファルト混合材を用いて予め測定した表面反射率又は明度によって、若しくは前記アスファルト混合材に含まれる揮発成分又は揮散成分の含有量と表面反射率又は明度との関係から決められることを特徴とする前記[1]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[3]本発明は、前記混合材の表面反射率又は明度が、測定手段としてそれぞれ反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計を用い、前記の反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計を前記混合材の前記押圧した面の径方向に1回又は2回以上掃引して測定される表面反射率又は明度の平均値として求められることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[4]本発明は、前記型に入れられた前記混合材が、前記の予め設定した密度から決められる前記型の高さまで圧縮成形することを特徴とする前記[1]〜[3]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[5]本発明は、前記圧縮成形後の混合材を前記型から取り出した後、重量を測定することによって求めた密度が、前記の予め設定した密度の所望の範囲に含まれるか否かを判定する工程を含むことを特徴とする前記[1]〜[4]の何れかに記載の添加成分を含むアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[6]本発明は、前記の予め設定した密度が、1.8g/cm〜2.5g/cmの範囲に含まれることを特徴とする前記[4]又は[5]に記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
[7]本発明は、前記の成形又は加工は前記アスファルト混合材の舗装を行うときに実施されるものであり、前記成形又は加工の温度に近い温度で保持された前記混合材の温度が140〜170℃の範囲に含まれる何れかの温度であることを特徴とする前記[1]〜[6]の何れかに記載のアスファルト混合材の検査方法を提供する。
(4)押圧による圧縮成形(工程S4)
工程S3で注入された混合材は、工程S4において、型2の開放された面から錘7によって押圧することによって圧縮成形が行われる。錘7の代わりに、プレスパンチ型を用いて手動又は自動で機械的に押圧を行っても良い。圧縮成形するときの押圧は0.1〜10Ma(1〜100kg/cm)の範囲とする。実際に道路舗装工事でアスファルトに押圧するときの圧力は10MPaよりも低いことから、0.1〜5MPaの範囲が好適である。

Claims (15)

  1. 成形又は加工が100℃以上で行われるアスファルト混合材の品質を検査するための検査方法であって、
    成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた前記混合材を、開放された面を少なくとも1面有する型に入れる工程と、
    前記型に入れられた前記混合材を、前記型の開放された面から押圧することによって予め設定した密度まで圧縮成形する工程と、
    前記圧縮成形された混合材を前記型に入れた状態又は前記型から取り出した状態で、前記混合材の表面反射率又は明度(L表示系のLで定義される明度)を前記押圧した面から測定する工程と、
    該測定した表面反射率又は明度が予め設定した値以下であるときに使用可能と判断する工程とを有するアスファルト混合材の検査方法。
  2. 前記表面反射率又は明度(L)の予め設定した値が、前記使用可能と判断された前記アスファルト混合材を用いて予め測定した表面反射率又は明度によって、若しくは前記アスファルト混合材に含まれる揮発成分又は揮散成分の含有量と表面反射率又は明度との関係から決められることを特徴とする請求項1に記載のアスファルト混合材の検査方法。
  3. 前記混合材の表面反射率又は明度は、測定手段としてそれぞれ反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計を用い、前記の反射率計(若しくは光沢度計)又は分光光度計を前記混合材の前記押圧した面の径方向に1回又は2回以上掃引して測定される表面反射率又は明度の平均値として求められることを特徴とする請求項1又は2に記載のアスファルト混合材の検査方法。
  4. 前記型に入れられた前記混合材は、前記の予め設定した密度から決められる前記型の高さまで圧縮成形することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のアスファルト混合材の検査方法。
  5. 前記圧縮成形後の混合材を前記型から取り出した後、重量を測定することによって、前記の予め設定した密度が所望の範囲に含まれるか否かを判定する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の添加成分を含むアスファルト混合材の検査方法。
  6. 前記の予め設定した密度が、2.35g/cmを基準にして、1.8g/cm〜2.5g/cmの範囲の何れかに含まれることを特徴とする請求項4又は5に記載のアスファルト混合材の検査方法。
  7. 前記の成形又は加工は前記アスファルト混合材の舗装を行うときに実施されるものであり、該舗装が行われるときの温度に近い温度が140〜170℃の範囲の何れかであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のアスファルト混合材の検査方法。
  8. 成形又は加工が100℃以上で行われるアスファルト混合材の品質を検査するための検査方法であって、
    開放された面を少なくとも1面有し、成形又は加工のときの温度に近い温度に保たれた前記混合材を収納するための型と、
    前記型に入れられた前記混合材を予め設定した密度まで圧縮成形するために、前記型の開放された面から押圧を行う手段と、
    前記圧縮成形された混合材の表面反射率又は明度(L表示系のLで定義される明度)を、前記型に入れた状態又は前記型から取り出した状態で、前記押圧した面から測定する手段とを有するアスファルト混合材の検査装置。
  9. 前記表面反射率又は明度はそれぞれ反射率計若しくは光沢度計、又は分光光度計によって測定され、前記の反射率計(若しくは光沢度計)又は分光光度計は前記混合材の押圧した面に沿って手動又は自動で掃引できる手段で保持されていることを特徴とする請求項8に記載のアスファルト混合材の検査装置。
  10. 請求項8又は9に記載の検査装置は、前記の表面反射率又は明度の表示手段を有することを特徴とするアスファルト混合材の検査装置。
  11. 請求項8〜10の何れかに記載の検査装置は、さらに、前記の測定された表面反射率又は明度(L)が予め設定した値以下であるときに使用可能と判断するための演算手段を有することを特徴とするアスファルト混合材の検査装置。
  12. 前記型は、型枠と該型枠を載せる台からなることを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載のアスファルト混合材の検査装置。
  13. 前記型に入れられた前記混合材が前記の予め設定した密度から決められる前記型の高さまで圧縮成形できるように、前記位置を知るための検出手段を有することを特徴とする請求項9〜12の何れかに記載のアスファルト混合材の検査装置。
  14. 前記の検出手段が、距離計又は前記型の内部に設けられた目印であることを特徴とする請求項13に記載のアスファルト混合材の検査装置。
  15. 請求項9〜14の何れかに記載の検査装置は、異物混入の防止、前記圧縮成形の工程で前記アスファルト材に含まれる添加成分又は低分子量成分の外部への揮発又は揮散の防止、及び安全性の向上の少なくとも何れかの機能を実現するために、前記型の周囲がカバーによって覆われていることを特徴とするアスファルト混合材の検査装置。
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