JP2015095491A - 電子装置内における溶液濃度の監視方法とそのための液冷システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 装置稼働中の腐食防止剤の濃度を監視することを可能とする電子装置内における溶液濃度の監視方法とその装置を提供する。【解決手段】 一部に発熱体を備えた電子装置内において、発熱体で発生する熱を液体冷媒を用いて当該装置の外部に移動する液冷システムは、発熱体に熱伝的に接続され、当該発熱体の熱を吸熱する受熱ジャケットと、記受熱ジャケットからの冷媒を受入して当該発熱体の熱を装置の外部に放出する放熱手段と、内部に前記冷媒を貯留するためのリザーブタンクと、リザーブタンク内の前記冷媒を循環するための循環手段と、受熱ジャケット、前記放熱手段、リザーブタンク、循環手段を流体的に接続するための配管と、そして、表示手段とを備え、リザーブタンクの一部に、当該リザーブタンク内の冷媒の液位に基づいて、前記冷媒液に含まれる腐食防止剤の濃度変化を検出する手段を設け、更に、濃度変化検出手段により検出された腐食防止剤の濃度変化に基づいて、メッセージを、前記表示手段により表示する。【選択図】 図2
Description
本発明は、液冷方式を採用した電子装置における冷媒液の監視方法とそのための液冷システムに関するものである。
例えば、パーソナルコンピュータやサーバ、各種のデータ伝送装置など、所謂、電子装置における従来の液冷システムは、以下の特許文献等により知られるように、発熱体からの熱を吸熱する受熱ジャケット、外気との熱交換を行うラジエータとファン、冷媒液を循環させるポンプ、冷媒液を貯めておくリザーブタンク、これらの部品を接続する配管等から構成されている。
一般的に、かかるシステムを構成している受熱ジャケットやラジエータは、熱伝導率が良いことから、金属製であることが多い。また、冷却システムで使用される水管は、一般的に金属、または、ゴム製のものが使用されるが、特にゴム製の場合には、金属の腐食要因となる塩化物イオン等を生じることがある。なお、イオンは酸化還元反応を促進するため、金属が腐食し易く、かかる腐食が進行すると、場合によっては、システム内の金属部分に穴が空いて漏水し、電子装置が故障する恐れがある。そのため、液冷システムにおいては、金属の腐食対策を行うのが一般的である。
金属の腐食対策としては、冷媒液に腐食防止剤を溶解する方法と、イオン交換器を設置する方法がある。腐食防止剤は、金属表面に皮膜を形成して金属を保護し、また、イオン交換器は、腐食要因となるイオンを吸着させることで、冷媒液中のイオンを除去する働きをする。
このように、腐食防止剤は、金属と結合することで金属表面に皮膜を形成して金属を保護しているが、しかしながら、液冷システムでは、常時、冷媒液が循環しているため、金属表面の皮膜が剥がれることがあり、これに伴って、腐食防止剤が消費されることが知られている。また、冷媒液中の腐食防止剤は、剥離部に新たな皮膜を形成し、時間経過と共に消費されるため、腐食防止剤が枯渇すると、金属の腐食が進行する。
なお、上記の特許文献1では、かかる腐食に対する対策として、金属の腐食防止剤の使用と、イオン交換器による不純物イオンの除去を行っている。特に、腐食防止剤のイオン交換器への吸着による防食効果の低減を防ぐため、冷媒液中のイオンを分離し、イオンを含む溶液のみがイオン交換器の作用を受ける仕組みとしている。
即ち、上記の特許文献1では、腐食対策として、ゴム製の配管から溶出したイオンをイオン交換器に付着させた上で、冷媒液中に残っているイオン濃度を導電率の測定によって監視している。しかしながら、イオン濃度の監視では、腐食防止剤の濃度が不明であり、イオン濃度が上昇した時点で腐食防止剤が枯渇しており、系内の金属の腐食が進行している恐れがある。
また、導電率の測定には冷媒液への通電が必要であるため、系内の金属や不純物イオンの酸化還元反応が促進されてしまい、これでは、かえって腐食反応が進行する恐れもある。
そこで、冷媒液中の腐食防止剤の枯渇を防ぐためには、腐食防止剤の濃度監視を装置内で行う必要があるが、しかしながら、一般的な溶液の濃度測定方法としては、吸光光度法、滴定法、質量分析法など、いずれも分析装置を必要とするため、装置の定期メンテナンスの際に作業者が冷媒液サンプルを採取して濃度分析を行う必要があり、工数がかかると同時に、万一、急激な濃度低下が起きた場合には、迅速に対応できないという課題があった。
また、装置内での監視方法としては、導電率の測定による濃度監視方法も既に知られているが、しかしながら、導電率の測定はイオンが対象であり、腐食防止剤のように電気的に中性な物質の濃度を測定することが出来ない。そのため、装置内で腐食防止剤の濃度監視を行うことが課題となっていた。
そこで、本発明は、上述したように、電子装置内において腐食防止剤の濃度監視を行うという課題を解決するためになされたものであり、装置稼働中の腐食防止剤の濃度を監視することを可能とする電子装置内における溶液濃度の監視方法とそのための液冷システムを提供することをその目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、上述した課題を解決するため手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、例えば、以下にも記載される特許請求の範囲に記載の構成が採用される。即ち、少なくともその一部に発熱体を備えた電子装置内において、当該発熱体で発生する熱を、液体冷媒を用いて当該装置の外部に移動する液冷システムであって、前記発熱体に熱伝的に接続され、当該発熱体の熱を吸熱する受熱ジャケットと、前記受熱ジャケットからの冷媒を受入して当該発熱体の熱を装置の外部に放出する放熱手段と、内部に前記冷媒を貯留するためのリザーブタンクと、前記リザーブタンク内の前記冷媒を循環するための循環手段と、前記受熱ジャケット、前記放熱手段、前記リザーブタンク、前記循環手段を流体的に接続するための配管と、そして、表示手段とを備えたものにおいて、前記リザーブタンクの一部に、当該リザーブタンク内の冷媒の液位に基づいて、前記冷媒液に含まれる腐食防止剤の濃度変化を検出する手段を設け、更に、前記濃度変化検出手段により検出された腐食防止剤の濃度変化に基づいて、メッセージを、前記表示手段により表示する電子装置内における液冷システムが提供される。
また、本発明によれば、同様に上記の目的を達成するため、少なくともその一部に発熱体を備えた電子装置内の液冷システムの液体冷媒に含まれる腐食防止剤の濃度を監視する溶液濃度の監視方法であって、前記液冷システムは、少なくとも内部に前記冷媒を貯留するためのリザーブタンクを含んでおり、かつ、前記リザーブタンクの一部には、前記リザーブタンク内の冷媒に接する部位に半透膜を備えてその内部に基準濃度の基準溶液が入れられた基準溶液部を備えたものにおいて、当該基準溶液部における溶液の液面を監視することによって、前記冷媒液に含まれる腐食防止剤の濃度変化を監視する電子装置内における溶液濃度の監視方法が提供される。
上述した本発明になる電子装置内における溶液濃度の監視方法とそのためのシステムによれば、装置内で溶液の浸透圧の原理を利用し、具体的には、リザーブタンクに半透膜を有する基準溶液部を設置した構造とすると共に、当該基準溶液部には水位計を設置し、水位監視により、装置稼働中の腐食防止剤の濃度を監視することが可能となるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を用いながら詳細に説明する。
まず、図1は、本発明の溶液濃度の監視方法を採用した電子装置において、特に、その液冷システムの構成例を示す図である。即ち、パーソナルコンピュータやサーバ、各種のデータ伝送装置など、所謂、電子装置における液冷システムは、図にも示すように、例えば、CPU等、所謂、発熱体15からの熱を吸熱する受熱ジャケット16、外気との熱交換を行うラジエータ12とファン11、システム内に冷媒液を循環させるポンプ13、内部に、例えば、水等の冷媒液を貯めておくためのリザーブタンク1、そして、上述した各部品を接続する配管14から構成される。
なお、一般的に、当該システムを構成している受熱ジャケット16やラジエータ12は、例えば、銅やアルミニウム等、高い熱伝導率の金属部材で形成されている。また、当該冷却システムで使用される配管14は、ここでは、配管の自由度を高めるため、ゴム製のものが使用される。上記でも既に述べたが、特に、ゴム製の配管を使用する場合、金属の腐食要因となる塩化物イオン等を生じ、そして、当該イオンは酸化還元反応を促進するため、金属が腐食しやすい。そして、この腐食が進行すると、冷媒液がその内部を流れる、例えば、受熱ジャケット16やラジエータ12やリザーブタンク1等の金属部分に穴が空いて漏水を生じてしまい、電子装置が故障する恐れがある。
そこで、本発明では、上述した金属の腐食対策として、冷媒液中に腐食防止剤を溶解する方法を採用したものであり、即ち、当該腐食防止剤は、金属表面に皮膜を形成して金属を保護する働きをする。なお、やはり既述のように、腐食防止剤は、金属と結合することで金属表面に皮膜を形成して金属を保護しているが、しかしながら、液冷システムでは、冷媒液が、常時、その内部を循環しているため、金属表面の皮膜が剥がれて腐食防止剤が消費されること、そして、冷媒液中の腐食防止剤は、剥離部に新たな皮膜を形成し、時間経過と共に消費されることから、当該腐食防止剤の冷媒液中での濃度を監視することとした。即ち、腐食防止剤が枯渇すると、金属の腐食が進行するためである。
図2には、本発明の実施例1になる溶液濃度の監視方法を採用した水冷システムの構成の一例を示す。
この水冷システムでも、発熱体15からの熱を吸熱する受熱ジャケット16、上記受熱ジャケット16からの冷媒(発熱体15からの熱を吸熱した冷媒)を受入し、外気との熱交換を行うことにより、装置の外部に当該熱を放出(熱)するラジエータ12とファン11、冷媒液を循環させるポンプ13、冷媒液を貯めておくリザーブタンク1、各部品を接続する水管14から構成されることは上記と同様であるが、特に、本実施例では、そのリザーブタンク1において、冷媒液中の腐食防止剤の濃度監視を行う。なお、受熱ジャケット16は、例えば、発熱体15であるCPUの表面に、伝熱性に優れたゲル状の材料等を介して、即ち、熱伝的に接続されている。
より具体的には、リザーブタンク1には、半透膜5を有する(又は、半透膜5により区画される)基準溶液部3を設置し、当該基準溶液部3における基準溶液4の水位(液位)を水位計(液位計)6で検出する構成としている。即ち、水位計6は、検出した基準溶液部3における基準溶液4の水位を監視回路9に伝え、そして、当該監視回路9により腐食防止剤の濃度の低下を検出し、例えば、ディスプレイ装置や警報発生装置を備えた監視システム18により、警報や濃度情報を伝える仕組みとなっている。
次に、上述したリザーブタンク1のより具体的な構成について、図3を用いて説明する。なお、本実施例1では、一例として、システムを構成する各構成要素は、液冷システムで一般的に使用されている金属である、例えば、銅により形成されている。また、冷媒液2としては、純水を用い、そして、金属に対する腐食防止剤として1H−ベンゾトリアゾール(BTA)を溶解したものを用いる。なお、この冷媒液2としては、上述した半透膜5を透過可能な溶媒であればよく、例えば、有機溶媒と水の混合溶液でもよい。また、システムの各構成要素を構成する金属材料は、上述した銅以外を使用してもよく、その場合、腐食防止剤は、使用される金属に対応した物質を用いる。
図からも明らかなように、リザーブタンク1は、その内部に冷媒液2を貯蓄しておくと共に、当該タンク本体内の一部には、略円筒形状の半透膜5により区画された基準溶液部3を備えており、その内部には、基準溶液4が満たされることとなる。
なお、リザーブタンク1の出液管7、入液管8は、フレキシブルで組み立て性の良いゴム製配管が用いられる。この場合、ゴム製の配管やその繋ぎ目から水分が透過や蒸発により外部に漏出し、冷媒液2の液量が減少する。そのため、本発明の様な冷媒液2の液量を監視する機構を持たないシステムや、冷媒液2の供給を行わないシステムにおいては、適宜、リザーブタンク1は水分透過量を考慮した容量(装置寿命や定期交換時期に見合った液量等)とすることが一般的である。
これに対し、本発明では、リザーブタンク1内における冷媒液2を監視する機構が設けられており、当該監視機構は、以下に述べるような動作を行うこととなる。
冷媒液2の溶液量は、以下の(式1)の様に変化する。
V1=V0−Vp−Vt ・・・(式1)
ここで、V1は、監視時点での冷媒液量を、V0は初期液量を、Vpは水分透過量を、そして、Vtは浸透圧による水移動量を、それぞれ、表わす。
V1=V0−Vp−Vt ・・・(式1)
ここで、V1は、監視時点での冷媒液量を、V0は初期液量を、Vpは水分透過量を、そして、Vtは浸透圧による水移動量を、それぞれ、表わす。
なお、このとき、浸透圧による水移動量(Vt)によって冷媒液2の液量が減少する量をなるべく小さくするため、監視時点での冷媒液量(V1)に対して浸透圧による水移動量(Vt)が小さくなるよう、リザーブタンク1と比較して、基準溶液部3は極力小さくすることが好ましい。また、冷媒液2に対し、基準溶液4の液量を少なくすることで、基準溶液部3の水位変化の感度を高くすることも出来る。
上記でも述べたように、リザーブタンク1の冷媒液2と、基準溶液部3の基準溶液4は、半透膜5で区切られている。また、リザーブタンク1は、その内部に貯蔵している冷媒液2の水分透過が小さく、かつ、腐食され難い材質、または、腐食要因イオンを生じない材質とする。例えば、本実施例では銅に対する腐食防止剤を用いているので、リザーブタンク1は銅製とする。基準溶液部3は、基準溶液4の濃度変化を防ぐため、腐食防止剤が皮膜を形成しない金属以外の材質とする必要がある。また、プラスチックなどは水分を透過するため、濃度の変化を招く恐れがある。そこで、基準溶液部3の構造には、例えば、ガラスなどを用いることが考えられる。即ち、基準溶液部3には半透膜5を溶着する。また、半透膜5には、溶媒の分子のみ透過する材質とし、例えば、多孔質ガラスを用いる。
加えて、電子装置の輸送中における振動などにより、上記の基準溶液部3が外れることを防ぐため、基準溶液部留め具10で固定することが好ましく、また、当該基準溶液部留め具10は、腐食を防ぐため、リザーブタンク1と同様の材質とすることが好ましい。
冷媒液2の濃度は、前述の通り、溶液の浸透圧差による水の移動を利用することにより検出することが出来る。即ち、冷媒液2と基準溶液4の圧力は、半透膜5を挟んで、以下の(式2)の状態で平衡となっている。
Pa+Pp+Pot+Pf=Pa+Por+Pf ・・・(式2)
ここで、Paは大気圧を、Ppはポンプ圧力を、Potは冷媒液浸透圧を、Pfは水圧を、Porは基準溶液浸透圧を、それぞれ、表わす。
Pa+Pp+Pot+Pf=Pa+Por+Pf ・・・(式2)
ここで、Paは大気圧を、Ppはポンプ圧力を、Potは冷媒液浸透圧を、Pfは水圧を、Porは基準溶液浸透圧を、それぞれ、表わす。
冷媒液2と基準溶液4の濃度が等しい初期状態におけるリザーブタンク1内の様子を図4に示す。即ち、冷媒液2の濃度は、冷媒液浸透圧(Pot)と基準溶液浸透圧(Por)との差分による水位差によって求められる。そのため、PotとPorによる水位差のみが検出出来る条件とする必要がある。PotとPorの圧力差による水位変化を検出するためには、上記(式2)に示す大気圧(Pa)、ポンプ圧力(Pp)による水位変化の影響を取り除く必要がある。
例えば、Paを等しくするため、基準溶液部3の上部は開放としておき、リザーブタンク1の空気部分と共通の圧力としておく。また、Ppは常に一定となるような制御を行うなど、浸透圧に影響がない条件としておくことが必要となる。
このとき、上記の図4に示すように、初期状態では、基準溶液4は冷媒液2よりPp分だけ高い水位で平衡状態となる。そこで、この水位を初期水位とすることで、冷媒液浸透圧(Pot)と基準溶液浸透圧(Por)の差による水位変化を監視することが出来る。
なお、基準溶液部3の上部を開放としておくと、例えば、装置の輸送中などにおいて、冷媒液2と基準溶液4が混合する恐れがあるが、しかしながら、例えば、冷媒液2及び基準溶液4は、輸送後に、装置の稼動前に注水するようにすれば問題はない。また、このことによれば、輸送中の周囲温度低下による冷媒液2の凍結をも防ぐことが出来る。
なお、上述した実施例では、基準溶液部3は、リザーブタンク1内において1個だけ設置するものとして説明したが、これを複数設置してもよく、更には、例えば、それぞれ濃度の異なる基準溶液4が満たされた基準溶液部3を複数個設置することで、濃度の検出精度を更に向上することも可能であることは、当業者であれば容易に理解されるであろう。
水位監視は、基準溶液部3に設置した水位計6によって行う。
例えば、図5(a)に示すように、基準溶液部3内にフロート式水位計6を設置して水位を監視する。このフロート式水位計6は、腐食要因イオンの発生がない材質を選定することにより形成されており、ここでは、例えば、ポリフッ化ビニリデン製のものを用いる。
上述した構成において、冷媒液2の濃度が低下すると、図5(b)のように、基準溶液4の濃度が冷媒液2の濃度と等しくなるまで、基準溶液部3内へ水が流れ込み、これにより基準溶液部3の水位が上昇するため、水位監視によって濃度変化を監視出来る。即ち、冷媒液濃度<基準溶液濃度であれば、基準溶液への水の移動量が増大し、冷媒液濃度=基準溶液濃度となったところで平衡状態となる(釣り合う)。
なお、冷媒液2の水分透過、蒸発により液量が減少し、冷媒液2の濃度が上昇することも考えられるが、しかしながら、腐食対策としては、冷媒液2に腐食防止剤が残存していることが重要であるため、ここでは、水分透過、蒸発による濃度上昇については、特別考慮する必要はない。
また、冷媒液2の液量減少については、冷却性能に影響があるため、冷媒液2の腐食防止剤の濃度と関係なく、液量を監視する必要がある。冷媒液2の液量は、腐食防止剤濃度と同様、リザーブタンク1内に設置した他のフロート式水位計6’によって監視する。
次に、監視回路9の構成について、図6を用いて説明する。
上記基準溶液部3に設置したフロート式水位計6から出力された基準溶液4の水位情報は、監視回路9を構成する制御回路19に伝えられる。当該制御回路19は、入力された水位情報から、所定の計算によって、冷媒液2の濃度情報を求め、求めた冷媒液2の濃度情報を検出回路20に伝える。検出回路20は、伝達された濃度情報に基づいて、監視システム18を介して警報やメッセージにより装置の状況を伝える。
このとき、監視システム18は、例えば、装置外部から確認可能なLEDの点灯を行ったり、又は、遠隔操作によって装置を監視している場合は、遠隔操作用の端末となる。また、冷媒液2の水位監視を行っているリザーブタンク1内の水位計6’からの水位情報も同様に、基準溶液4の水位情報と同様に制御回路19に伝えられ、水位の監視に用いられる。
続いて、上記にその構成を説明した監視回路9の動作について、図7に示すフローチャートを用いながら、具体的な一例を挙げて、以下に詳細に説明する。なお、この動作は、例えば、上記監視回路9の一部を構成するCPU等により、予め記憶装置内に格納されたソフトウェアを実行することにより達成される。
(冷媒液2の濃度監視)
ここでは、一例として、基準溶液部3の断面積を1cm2、基準溶液4の初期容量を10mL(基準溶液4の高さ10cm)、冷媒液2及び基準溶液4の初期濃度を200ppmとする。この状態で運用を行い、濃度50ppmを閾値として設定し、冷媒液2の濃度が当該閾値以下となった場合に、リザーブタンク1に腐食防止剤を追加するか、又は、冷媒液2を交換しなければならないと判断することとした場合について説明する。
ここでは、一例として、基準溶液部3の断面積を1cm2、基準溶液4の初期容量を10mL(基準溶液4の高さ10cm)、冷媒液2及び基準溶液4の初期濃度を200ppmとする。この状態で運用を行い、濃度50ppmを閾値として設定し、冷媒液2の濃度が当該閾値以下となった場合に、リザーブタンク1に腐食防止剤を追加するか、又は、冷媒液2を交換しなければならないと判断することとした場合について説明する。
まず、監視が開始されると、基準溶液部3内に設置されたフロート式水位計6により、基準溶液4の水位を測定し、基準溶液4の容量が40mL(基準溶液4の高さ40cm)以下となったか否かを判定する(ステップS71)。その結果、容量が40mL以下でない(「No」)と判定された場合には、基準溶液4の濃度が50ppm以下となったと推定する。このとき、例えば、監視システム18を介して、メンテナンス要求を行う(ステップS72)。他方、容量が40mL以下である(「Yes」)と判定された場合には、冷媒液2の濃度は50ppm以上であると判断出来る。この場合、監視回路9への設定閾値は40cmとなる。
(冷媒液2の水位監視)
リザーブタンク1内に設置された水位計6’により、冷媒液2の水位が、例えば、出液管7から3cm(=リザーブタンク1の底面から8cm)以上高いか否かを判定する(ステップS73)。なお、この場合には、監視回路9へのアラーム水位の閾値を8cmに設定するものとする(即ち、この場合、リザーブタンク1内に設置されたフロート式水位計6’により冷媒液2の水位を測定し、8cm以下になったことを判定する)。その結果、出液管7から3cm以上高くはない(「No」)と判定された場合には、冷媒液不足と判断し、監視システム18を介して、上記と同様に、メンテナンス要求を行う(ステップS72)。即ち、監視回路9が検出した後、監視システム18に通知し、通知を受けた監視システム18が冷媒液2の注入が必要である旨のメッセージを表示する。
リザーブタンク1内に設置された水位計6’により、冷媒液2の水位が、例えば、出液管7から3cm(=リザーブタンク1の底面から8cm)以上高いか否かを判定する(ステップS73)。なお、この場合には、監視回路9へのアラーム水位の閾値を8cmに設定するものとする(即ち、この場合、リザーブタンク1内に設置されたフロート式水位計6’により冷媒液2の水位を測定し、8cm以下になったことを判定する)。その結果、出液管7から3cm以上高くはない(「No」)と判定された場合には、冷媒液不足と判断し、監視システム18を介して、上記と同様に、メンテナンス要求を行う(ステップS72)。即ち、監視回路9が検出した後、監視システム18に通知し、通知を受けた監視システム18が冷媒液2の注入が必要である旨のメッセージを表示する。
他方、出液管7から3cm以上高い(「Yes」)と判定された場合には、正常に稼働しているとして、正常稼働状態(例えば、冷媒液2の液量や濃度)を、監視システム18を介して表示する(ステップS74)。即ち、正常稼動状態においても、監視時点の冷媒液2の水位、及び、腐食防止剤の濃度は、監視システム18に表示させることで、装置状態を確認することが出来る。
以上の実施例では、冷媒液2の濃度を、基準溶液4の水位により推定して(即ち、所定の演算)により求めることにより、装置稼働中の腐食防止剤の濃度を監視することを可能とすることから、急激な濃度低下が起きた場合にも迅速に対応可能な水冷システムが提供されることとなる。
続いて、本発明の他の実施例(実施例2)になる水冷システムについて、添付の図8を用いて説明する。なお、この実施例2においても、上記の実施例における同様の構成部分については同じ参照を付しており、そのため、その詳細な説明は省略する。
本実施例2では、上記実施例1のフロート式水位計6、6’に代えて、リザーブタンク1の天井に設置可能な超音波式水位計18を用いたことを特徴とする。かかる構成によれば、やはり上記実施例1の水冷システムと同様の効果が得られると共に、超音波式水位計18は冷媒液2や基準溶液4に対して非接触でその水位を検出することが可能であることから、冷媒液2による水位計の腐食を考慮する必要がなく、そのリスクを抑えることが出来るという利点がある。なお、ここでは例示しないが、上記実施例1のフロート式水位計6、6’に代え、水位変化を検出することが出来る限りにおいて、更に他の方式の水位計を用いることも可能であることが言うまでもなかろう。
また、本発明の更に他の実施例(実施例3)になる水冷システムについて、添付の図9を用いて説明する。なお、この実施例3においても、上記の実施例における同様の構成部分については同じ参照を付しており、そのため、その詳細な説明は省略する。
この本実施例3になる水冷システムは、特に、基準溶液4の水位上昇が、そのタンクである基準溶液部3の高さ以上となり、当該基準溶液4がリザーブタンク1内に溢れ出すことにより、リザーブタンク1中の冷媒液2と混ざる恐れのある場合において、当該基準溶液4の漏出を防止するのに好適な構成を備えたものである。具体的には、図にも示すように、基準溶液部3の上部を(その径を)大きくする構造を特徴とするものである。
このとき、例えば、冷媒液2の腐食防止剤の初期濃度200ppmが、50ppmとなったとき警報を行うように設定する場合、警報が行われる前に、基準溶液4がリザーブタンク1内に溢れることを防ぐためには、基準溶液部3は、最低でも警報が行われるまでの間に、25mLが入る構造とする必要がある。
なお、メンテナンスを行う際に、基準溶液4がリザーブタンク1内に溢れている場合は、基準溶液部3を含むリザーブタンク1を全て交換する。また、交換後のリザーブタンク1、及び、基準溶液部3は新しい冷媒液2を注入することで、再利用することも可能である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、上記実施例では、表示部11を備えたTV1、TV2等を用いて実施例の説明を行ったが、表示部を外部に備えたレコーダ等によっても同様にして本発明を実施することができる。
また、各処理例で説明したプログラムは、それぞれ独立したプログラムでもよく、複数のプログラムが一つのアプリケーションプログラムを構成していてもよい。
1…リザーブタンク、2…冷媒液、3…基準溶液部、4…基準溶液、5…半透膜、6…水位計、7…出液管、8…入液管、9…監視回路、10…基準溶液部留め具、11…ファン、12…ラジエータ、13…ポンプ、14…配管、15…発熱体、16…受熱ジャケット、17…超音波式水位計、18…監視システム、19…制御回路、20…検出回路
Claims (8)
- 少なくともその一部に発熱体を備えた電子装置内において、当該発熱体で発生する熱を、液体冷媒を用いて当該装置の外部に移動する液冷システムであって、
前記発熱体に熱伝的に接続され、当該発熱体の熱を吸熱する受熱ジャケットと、
前記受熱ジャケットからの冷媒を受入して当該発熱体の熱を装置の外部に放出する放熱手段と、
内部に前記冷媒を貯留するためのリザーブタンクと、
前記リザーブタンク内の前記冷媒を循環するための循環手段と、
前記受熱ジャケット、前記放熱手段、前記リザーブタンク、前記循環手段を流体的に接続するための配管と、そして、
表示手段とを備えたものにおいて、
前記リザーブタンクの一部に、当該リザーブタンク内の冷媒の液位に基づいて、前記冷媒液に含まれる腐食防止剤の濃度変化を検出する手段を設け、更に、
前記濃度変化検出手段により検出された腐食防止剤の濃度変化に基づいて、メッセージを、前記表示手段により表示することを特徴とする電子装置内における液冷システム。 - 前記請求項1に記載した液冷システムにおいて、前記濃度変化検出手段は、前記リザーブタンクの一部に設けられ、前記リザーブタンク内の冷媒に接する部位に半透膜を備え、かつ、その内部に基準濃度の基準溶液が入れられた基準溶液部を備えており、当該基準溶液部における溶液の液面を監視することによって、前記冷媒液に含まれる腐食防止剤の濃度変化を検出することを特徴とする電子装置内における液冷システム。
- 前記請求項2に記載した液冷システムにおいて、前記基準溶液部の内部に、その基準溶液の液位を検出するためのロート式の液位計を設置したことを特徴とする電子装置内における液冷システム。
- 前記請求項3に記載した液冷システムにおいて、前記基準溶液部は、その上部が当該上部以下の部分の径よりも大きな径を有するように形成されていることを特徴とする電子装置内における液冷システム。
- 前記請求項2に記載した液冷システムにおいて、前記リザーブタンクの天井部に、超音波式の液位計を設置したことを特徴とする電子装置内における液冷システム。
- 前記請求項1に記載した液冷システムにおいて、前記表示手段には、表示するメッセージとして、装置稼働中の腐食防止剤の濃度を表示することを特徴とする電子装置内における液冷システム。
- 前記請求項1に記載した液冷システムにおいて、前記表示手段には、表示するメッセージとして、メンテナンスの要求を含むメッセージを表示することを特徴とする電子装置内における液冷システム。
- 少なくともその一部に発熱体を備えた電子装置内の液冷システムの液体冷媒に含まれる腐食防止剤の濃度を監視する溶液濃度の監視方法であって、前記液冷システムは、少なくとも内部に前記冷媒を貯留するためのリザーブタンクを含んでおり、かつ、前記リザーブタンクの一部には、前記リザーブタンク内の冷媒に接する部位に半透膜を備えてその内部に基準濃度の基準溶液が入れられた基準溶液部を備えたものにおいて、
当該基準溶液部における溶液の液面を監視することによって、前記冷媒液に含まれる腐食防止剤の濃度変化を監視することを特徴とする電子装置内における溶液濃度の監視方法。
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JP2013232471A JP2015095491A (ja) | 2013-11-08 | 2013-11-08 | 電子装置内における溶液濃度の監視方法とそのための液冷システム |
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JP2017207919A (ja) * | 2016-05-18 | 2017-11-24 | 株式会社Nttファシリティーズ | 発熱体冷却システム |
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