JP2015085358A - 車両用ホイールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ディスク面での湯境の発生を防ぎ、且つサイドゲートからの異物の侵入を防ぐことのできる車両用ホイールの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 リム部およびディスク部を有する車両用ホイールを鋳造するための車両用ホイールの製造方法において、ディスク部を形成するキャビティに開口されたセンターゲート、およびリム部を形成するキャビティに開口されたサイドゲートから、溶湯をそれぞれの前記キャビティに注湯する車両用ホイールの製造方法であって、サイドゲートに繋がる湯道に第1の多孔質フィルタを配置することで、サイドゲートから溶湯が注湯されるタイミングをセンターゲートから溶湯が注湯されるタイミングより遅くした車両用ホイールの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】 リム部およびディスク部を有する車両用ホイールを鋳造するための車両用ホイールの製造方法において、ディスク部を形成するキャビティに開口されたセンターゲート、およびリム部を形成するキャビティに開口されたサイドゲートから、溶湯をそれぞれの前記キャビティに注湯する車両用ホイールの製造方法であって、サイドゲートに繋がる湯道に第1の多孔質フィルタを配置することで、サイドゲートから溶湯が注湯されるタイミングをセンターゲートから溶湯が注湯されるタイミングより遅くした車両用ホイールの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、軽合金製の車両用ホイールに関し、特にディスク部を形成するキャビティとリム部を形成するキャビティに溶湯の注湯口を設けた金型を用いる低圧鋳造装置およびそれを用いた低圧鋳造方法に関する。
自動車のロードホイールには種々の材質、構造のものがあるが、自動車の軽量化及び外観や意匠性の向上を目的として、アルミホイールに代表される軽合金製ホイールを装着する比率が増大している。この軽合金製ホイールは、通常低圧鋳造法で製造されることが多い。即ち、低圧鋳造法では、溶湯が金型キャビティ内に低速で充填されるので、ガスの巻込み及び酸化物の発生が他の鋳造法に比べて極力抑制される。
一般に軽合金製ホイール30は、図3に示すようにボルトとナットにより車軸に取付けられる厚肉のハブ固定部31と厚肉部と薄肉部が混在するデザイン部32からなるディスク部33と、タイヤが取着される薄肉のリム部34から構成されている。図3(a)において、35はフロントフランジ部、36はリアフランジ部、37はリム部とディスク部が交差するクロス部、38はリム中央部である。なお、デザイン部32は図3(b)に示すように、スポーク部39と意匠穴39´からなる。車両の燃費向上の点から、ホイールの形状変更による軽量化が検討されている。この場合、ハブ部及びリム部は車体やタイヤとの取回しの点から大幅な形状変更はできないので、デザイン部の形状変更(例えば意匠穴の面積を大きくすることあるいはスポーク部を薄肉化すること)による軽量化が行われているが、大幅な軽量化は極めて困難である。
上記ホイールを低圧鋳造で製造する場合、ディスク部のハブ固定部31に堰(センターゲート)を設け、そこから溶湯を注入し、デザイン部からリム部34に向けて溶湯を注入する方法(センターゲート方案)がある。また、リム部34に複数(通常は2個)の堰(サイドゲート)を設け、そこから溶湯を注入する方法(サイドゲート方案)も採用されている。
センターゲート方案では、溶湯充填後の凝固形態として、センターゲートからの押し湯効果を十分に発揮させるために、リム部、デザイン部、ハブ固定部の順に指向性凝固を行わせている。しかしこの鋳造方法では、デザイン部は厚肉部と薄肉部が混在した複雑形状を有するので、リム部からディスク部に向かう指向性凝固を達成することが困難である。サイドゲート方案では、デザイン部自体が、凝固し易いハブ固定部への溶湯補給通路として機能するので、デザイン部での良好な湯流れを確保するために、デザイン部は厚肉となり、この鋳造方法でもホイール全体の大幅な軽量化は困難である。
上述した各方案の欠点を解消すべく、ディスク中心部(ハブ固定部)とリム部のそれぞれに溶湯を注湯するための堰を設け、これらの堰から金型内に注湯する方案(マルチゲート方案)が提案されている。この鋳造方法によれば、デザイン部の厚さを薄くしてもリム部からディスク部に向かう指向性凝固を達成できるので、ホイールの大幅な軽量化が可能となる。
しかし、このマルチゲート方案を用いた場合、溶湯はセンターゲートとサイドゲートから注湯されるため、各溶湯がディスク面で合流しやすい。つまりこのマルチゲート方案は、最も意匠性が重視されるディスク面で湯境が発生しやすく、外観不良を持つ車両用ホイールとなりやすいという問題がある。
この問題を解決するために特許文献1ではサイドゲートをセンターゲートよりも高い位置に設けることが記載されている。これは、低圧鋳造方法は溶湯の注湯方式がストークおよび金型内の湯道を介して静的に下側から充填させる方案であることを利用したものであり、各ゲートから溶湯が注湯されるタイミングを変えることが記載されている。センターゲートとサイドゲートを上記のように配置することで、センターゲートから注湯された溶湯がディスク部を満たした後、サイドゲートから注湯された溶湯が注ぎ込まれる。このため、湯境がディスク面で発生し難くなる。
しかしながら、特許文献1のようにセンターゲートとサイドゲートに高低差を付けても、ディスク面に湯境が発生する現象が若干ながら継続しており、鋳造不良を低減するためのさらなる検討が必要であった。
この点を更に検討して開発されたマルチゲート方案が特許文献2に開示されている。このマルチゲート方案は、ディスク部を形成するキャビティに開口されたセンターゲート、およびリム部を形成するキャビティにおけるディスク部キャビティの全体よりも高い位置に開口されたサイドゲートから、溶湯をそれぞれのキャビティに注湯する車両用ホイールの製造方法であって、サイドゲートに繋がる湯道に絞りを入れることで、大きな溶湯通過抵抗を発生させてサイドゲートから溶湯が注湯されるタイミングをセンターゲートから溶湯が注湯されるタイミングより遅くするものである。このマルチゲート方案によれば、センターゲートから溶湯が注湯されるタイミングとサイドゲートから溶湯が注湯されるタイミングとの差がさらに大きくなり、ディスク面での湯境の発生を従来より低減することが可能となった。
しかし、発明者らによる更なる検討の結果、特許文献2のマルチゲート方案は新たな問題を有することが分かった。サイドゲートに通じるストークの絞りは、そこで溶湯が凝固するのを防ぐため保持炉の溶湯液面より下の位置に設けられ保温される。注湯時にストーク中を上昇し、絞りを通過したアルミ溶湯は、溶湯液面から出るとその温度が低下し始める。注湯を繰り返すうちに絞りを通過した後のストーク内壁には介在物やドロス(酸化物)などの異物が徐々に付着する。さらに、絞りを通過した後の溶湯の流れは、流路の断面積が急激に増大するため乱流となる。そして、その乱流が、付着量が増えてストーク内壁から剥離しやすくなった異物を巻き込んで、その異物をキャビティ内に持ち込み製品不良の原因をつくることがあった。
よって本発明は、ディスク面での湯境の発生を防ぎ、且つサイドゲートからの異物の侵入を防ぐことのできる車両用ホイールの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る車両用ホイールの製造方法の一つの形態は、リム部およびディスク部を有する車両用ホイールを鋳造するための車両用ホイールの製造方法において、ディスク部を形成するキャビティに開口されたセンターゲート、およびリム部を形成するキャビティに開口されたサイドゲートから、溶湯をそれぞれの前記キャビティに注湯する車両用ホイールの製造方法であって、サイドゲートに繋がる湯道に第1の多孔質フィルタを配置することで、サイドゲートから溶湯が注湯されるタイミングをセンターゲートから溶湯が注湯されるタイミングより遅くしたことを特徴とする。
上記湯道とは、保持炉中のストーク下端部からゲートまでの溶湯が流れる通路全体を指すものとする。
上記車両用ホイールの製造方法において、センターゲートに繋がる湯道に第2のフィルタを配置してもよい。
さらに、上記車両用ホイールの製造方法において、第1の多孔質フィルタの気孔率(PPI)は第2の多孔質フィルタの気孔率(PPI)より大きいことが好ましい。
加えて、上記車両用ホイールの製造方法において、第1の多孔質フィルタの厚さは第2の多孔質フィルタの厚さより大きいことが好ましい。以下、多孔質フィルタを単に「フィルタ」と記載する。
本発明の車両用ホイールの製造方法により次の効果を得ることができる。
(1)ディスク面での湯境の発生を防ぐことができる。
(2)フィルタは絞りのように急激な内径の変化がないため乱流が生じにくく、そのためフィルタを通過した後のストーク内壁に介在物やドロスが付着しても巻き込みにくい。
(1)ディスク面での湯境の発生を防ぐことができる。
(2)フィルタは絞りのように急激な内径の変化がないため乱流が生じにくく、そのためフィルタを通過した後のストーク内壁に介在物やドロスが付着しても巻き込みにくい。
本発明に係る車両用ホイールの製造方法の一つの形態は、サイドゲートに繋がる湯道に第1のフィルタを入れることで溶湯通過抵抗を生じさせ、サイドゲートから溶湯が注湯されるタイミングをセンターゲートから溶湯が注湯されるタイミングより遅くしたことが特徴である。具体的には、本発明の車両用ホイールの製造方法は、リム部およびディスク部を有する車両用ホイールを鋳造するための車両用ホイールの製造方法において、ディスク部を形成するキャビティに開口されたセンターゲート、およびリム部を形成するキャビティに開口されたサイドゲートから、溶湯をそれぞれの前記キャビティに注湯する車両用ホイールの製造方法であって、サイドゲートに繋がる湯道に第1のフィルタを配置することで、サイドゲートから溶湯が注湯されるタイミングをセンターゲートから溶湯が注湯されるタイミングより遅くしたことを特徴とする。
本発明で使用するフィルタの材質は基本的に溶湯に対する耐熱性を有していれば特に限定されないが、セラミックス又は金属であることが好ましく、特にコージライト、アルミナ、ムライト、炭化珪素等のセラミックスが好ましい。本発明で使用するフィルタの構造は、材質がセラミックスである場合は連続気孔を有する三次元網状化骨格構造であることが好ましく、材質が金属である場合は金属粒子からなる成形体を焼結して得られる焼結金属体、金属繊維が不規則に絡み合った金属不織布、または金属繊維を織って得られる金属織布であることが好ましい。
本発明で使用するフィルタによる溶湯通過抵抗はフィルタの気孔率[単位:PPI(pore
per inch):1インチ当たりの気孔の数]と溶湯流れ方向のフィルタの厚さによって調整することができる。気孔率の大きいフィルタは、より細かい孔を有するため、より大きい溶湯通過抵抗を生じさせサイドゲートからの注湯タイミングを遅らせる。気孔率の小さいフィルタは、より大きい孔を有するため、より溶湯通過抵抗が小さくなり、サイドゲートからの注湯タイミングが早まる。また、フィルタの溶湯流れ方向の厚さが厚いほどその溶湯通過抵抗が大きくなり、薄いほど小さくなる。様々な気孔率やサイズを有するフィルタが市販されており、それらを適宜選択することで溶湯通過抵抗の調整は容易にできる。フィルタの気孔率(PPI)はフィルタの断面において長さ1インチ(25.4mm)の直線上に存在する孔の数である。
per inch):1インチ当たりの気孔の数]と溶湯流れ方向のフィルタの厚さによって調整することができる。気孔率の大きいフィルタは、より細かい孔を有するため、より大きい溶湯通過抵抗を生じさせサイドゲートからの注湯タイミングを遅らせる。気孔率の小さいフィルタは、より大きい孔を有するため、より溶湯通過抵抗が小さくなり、サイドゲートからの注湯タイミングが早まる。また、フィルタの溶湯流れ方向の厚さが厚いほどその溶湯通過抵抗が大きくなり、薄いほど小さくなる。様々な気孔率やサイズを有するフィルタが市販されており、それらを適宜選択することで溶湯通過抵抗の調整は容易にできる。フィルタの気孔率(PPI)はフィルタの断面において長さ1インチ(25.4mm)の直線上に存在する孔の数である。
上記センターゲートに繋がる湯道に第2のフィルタを配置してもよい。この場合、第1のフィルタの溶湯通過抵抗は第2のフィルタの溶湯通過抵抗より大きくなるようにする。
上記のように、第1のフィルタの溶湯通過抵抗を第2のフィルタの溶湯通過抵抗より大きくする手段として、第1のフィルタの気孔率(PPI)を第2のフィルタの気孔率(PPI)より大きくすることが挙げられる。
上記のように、第1のムフィルタの溶湯通過抵抗を第2のフィルタの溶湯通過抵抗より大きくする別の手段として、第1のフィルタの溶湯流れ方向の厚さを第2のフィルタの溶湯流れ方向の厚さより厚くすることが挙げられる。
マルチゲートの低圧鋳造方案は、デザイン部の薄肉化やその組織の微細化が可能であり、軽量かつ高強度の車両用ホイールが得られる。溶湯を注湯するためのサイドゲートは、センターゲートよりも高い位置に配置することが好ましく、具体的にはサイドゲートのキャビティ開口部下端部の位置を、センターゲートより高くすることが好ましい。これにより、センターゲートから注入された溶湯とサイドゲートから注入された溶湯はデザイン面で合流せず、もって健全なデザイン面が得られる。当然ながら前記のように湯境が最も目立つのはデザイン面であるため、サイドゲートの位置はリム端やデザイン面よりも高くすることがより好ましい。さらにはディスク部キャビティの全体よりもサイドゲートが高いことが好ましい。
サイドゲートをクロス部よりも上側に設けることで、構造上サイドゲートが折り取りやすくなる。折り取る際に応力が車両用ホイールに与える影響が小さくなるので高い真円度のアルミホイールを鋳造することが可能である。クロス部とはリム部とディスク部とが交差している部分を指す。サイドゲートが、リム部の壁とクロス部の横壁の2辺でL字型に形成されていると、サイドゲートを座屈させて除去するには構造力学的に大きな力が必要となり、ホイールに多大な曲げ応力、せん断力がかかる。このホイールに熱処理を施すと、前記曲げ応力等の影響でホイールの真円度が悪化する可能性がある。よって、リム部の縦壁のみにサイドゲートの開口部を形成することが好ましい。
本発明において車両用ホイールを構成する材料の組成は特に限定されず、例えばJISに定めるAC4C,またはAC4CH材相当のアルミニウム合金材料を用いて鋳造を行うことができる。具体的には、Cu0.20質量%以下、Si6.5〜7.5質量%以下、Mg0.25〜0.45質量%以下、Zn,Fe,Mn,Ni,Ti,Pb,Sn,Crは不純物であり総量は0.8質量%以下、残部Alとなる組成のアルミ合金材料を用いることが好ましい。
本発明においては、上記アルミ合金材料より高い剛性を有するとともに十分な変形能を有する車両用ホイールを製造することのできるSi9.0〜11.8質量%、Mg0.20〜0.45質量%、Fe、Cu、Mn、ZnおよびTiの総量を0.1〜1.5質量%、残部Alならびに不可避不純物を含む組成のアルミ合金材料を用いてもよい。
以下、本発明の詳細を図面により説明する。図1は本発明を実施するための鋳造装置の要部を示す断面図である。図1において、金型は、ホイールデザインに対応した種々の表面形状を有する下型2と、その上方に位置する上型3と、下型2及び上型3と嵌合してキャビティを形成するように左右に摺動可能な横型4、5とを備えている。下型2は、下型プラテン7に固定された下型ベース8上に設置されている。上型3は、上型ベース9にボルト10で固定されている。キャビティは、ディスク部を形成するキャビティ(以下、ディスク部用キャビティと言う場合がある。他の部位を形成するキャビティについて同じ。)60とリム部用キャビティ61からからなる。ディスク部用キャビティ60はハブ固定部用キャビティとデザイン部用キャビティからなり、リム部用キャビティ61はインナーフランジ、アウターフランジ、リム中央部、クロス部などの各部を形成するキャビティからなる。ハブ固定部用キャビティにはセンターゲート11aが、リム中央部用キャビティには各々サイドゲート11b及び11cが形成され、各ゲートは、金型内の湯道12a、12b及び12cを介してストーク13a、13b及び13cに連通している。サイドゲート11b及び11cは、センターゲート11aの両側に対称位置、すなわち平面で見たときに各ゲートの中心が同一直線上に位置するように配置されている。これらのストークの下端部は、溶湯15が収容された保持炉16に挿入されている。サイドゲート11bおよび11cに各々繋がるストーク13bおよび13cのうち溶湯15に浸漬する部位には第1のフィルタ21がストーク13bおよび13cの内周面との隙間の無いように装着される。センターゲート11aに繋がるストーク13aのうち溶湯15に浸漬する部位には第2のフィルタ22がストーク13aの内周面との隙間の無いように装着される。この第2のフィルタ22の装着は必須ではないが、第2のフィルタ22を設ける場合には、第1のフィルタ21よりも溶湯通過抵抗を低くする必要がある。サイドゲート11bおよび11cに繋がる湯道12bおよび12cには、溶湯を加熱・保温するための発熱手段20を設け、湯詰まりが起こらないようにすることが好ましい。保持炉16は外部雰囲気に対して気密性を有する密閉容器17に収納されている。そして、バルブ18から圧入された気体により密閉容器17内の気圧が高まることで、溶湯15の湯面が押され、溶湯15は各ストーク13a〜13cを介してキャビティ内に注湯される。また、下型2には、デザイン部用キャビティ63に対応する位置に下型冷却通路14が設けられている。
上記構成による動作を説明する。まず密閉容器17内の気圧が上昇することにより、溶湯15はストーク13a、13b及び13cから金型内の湯道12a、12b及び12cを経て、ゲート11a、11b及び11cからキャビティ内に充填される。サイドゲート11bおよび11cへ繋がる湯道の溶湯通過抵抗は第1のフィルタ21が装着されているため、センターゲート11aへ繋がる湯道の溶湯通過抵抗より大きい。これにより溶湯15は、先ず、センターゲート11aからディスク部用キャビティ60への充填が開始し、次いで前記ディスク部用キャビティ60への充填の開始から所定時間経過の後にサイドゲート11bおよび11cからリム部用キャビティ61への充填が開始する。センターゲート11aへ繋がる湯道は、この図中ストーク13aの下端部からセンターゲート11aの開口部までである。また、サイドゲート11bおよび11cへ繋がる湯道12bおよび12cは、ストーク13bおよび13cの下端部から金型内の湯道12bおよび12cを介してサイドゲートの開口部までである。
(実施例1〜6,比較例1〜3)
本実施例では、図1に示す構成の低圧鋳造装置を用いて、湯道に装着した第1および第2のフィルタ21および22の溶湯通過抵抗を変えて図3に示す車両用ホイールを鋳造した。具体的には、第1および第2のフィルタ21および22の気孔率(PPI)と厚さTfの水準を変えることにより、その溶湯通過抵抗を変えた。第1および第2のフィルタの材質はいずれもセラミックスであるコージライトとし、アルミニウム合金材料はJIS−H5202のAC4CH材相当とし保持炉の溶湯温度は700℃とした。同一条件で1000本の車両用ホイールを鋳造し、そのうちの最後の5本の車両用ホイールのディスク面での湯境の有無を目視で確認した。何れの車両用ホイールにおいても湯境が確認できない場合を湯境「無」とし、湯境の確認された車両用ホイールが1本でもあれば湯境「有」とした。鋳造物に含まれる異物の含有量は周知のK−モールド法(例えば、社団法人日本ダイカスト協会 2007年12月3日開催 第42回ダイカスト技術交流会テキスト 第6〜7頁目参照)により推定した。すなわち、前記車両用ホイール1000本を鋳造した後、密閉容器17内を加圧してサイドゲート11b(11c)から出湯させた溶湯を金型に鋳込み、得られた試料を用いK−モールド法に準じて評価した。評価においては、投影面積円相当径が200μm以上の異物をカウントした。投影面積円相当径200μm未満の異物は機械的性質への悪影響が小さいことからカウントから除外した。異物の含有量の基準値を0.00050(個/mm2)とし、それ未満を良品とした。保持炉中の溶湯の異物の含有量も前記車両用ホイール1000本を鋳造した後にK−モールド法に準じて評価したところ約0.006(個/mm2)であった。
本実施例では、図1に示す構成の低圧鋳造装置を用いて、湯道に装着した第1および第2のフィルタ21および22の溶湯通過抵抗を変えて図3に示す車両用ホイールを鋳造した。具体的には、第1および第2のフィルタ21および22の気孔率(PPI)と厚さTfの水準を変えることにより、その溶湯通過抵抗を変えた。第1および第2のフィルタの材質はいずれもセラミックスであるコージライトとし、アルミニウム合金材料はJIS−H5202のAC4CH材相当とし保持炉の溶湯温度は700℃とした。同一条件で1000本の車両用ホイールを鋳造し、そのうちの最後の5本の車両用ホイールのディスク面での湯境の有無を目視で確認した。何れの車両用ホイールにおいても湯境が確認できない場合を湯境「無」とし、湯境の確認された車両用ホイールが1本でもあれば湯境「有」とした。鋳造物に含まれる異物の含有量は周知のK−モールド法(例えば、社団法人日本ダイカスト協会 2007年12月3日開催 第42回ダイカスト技術交流会テキスト 第6〜7頁目参照)により推定した。すなわち、前記車両用ホイール1000本を鋳造した後、密閉容器17内を加圧してサイドゲート11b(11c)から出湯させた溶湯を金型に鋳込み、得られた試料を用いK−モールド法に準じて評価した。評価においては、投影面積円相当径が200μm以上の異物をカウントした。投影面積円相当径200μm未満の異物は機械的性質への悪影響が小さいことからカウントから除外した。異物の含有量の基準値を0.00050(個/mm2)とし、それ未満を良品とした。保持炉中の溶湯の異物の含有量も前記車両用ホイール1000本を鋳造した後にK−モールド法に準じて評価したところ約0.006(個/mm2)であった。
実施例1〜4ではサイドゲート側湯道とセンターゲート側湯道の両方にフィルタを設置した。フィルタの溶湯通過抵抗は何れもサイドゲート側を大とした。ディスク面での溶湯の湯境は確認されなかった。上記のようにK−モールド法に準じて作製した評価試料(以下、評価試料と言う場合がある。)中の異物は基準値未満であった。
実施例5,6ではサイドゲート側湯道のみにフィルタを設置した。ディスク面での溶湯の湯境は確認されなかった。評価試料中の異物は基準値未満であった。
比較例1,2ではサイドゲート側湯道とセンターゲート側湯道の両方にフィルタを設置した。フィルタの溶湯通過抵抗は何れもセンターゲート側を大とした。サイドゲートとセンターゲートとの高低差も設けた。ディスク面での溶湯の湯境が確認された。評価試料中の異物は基準値未満であった。
比較例3ではサイドゲート側湯道とセンターゲート側湯道の両方にフィルタを設置した。フィルタの溶湯通過抵抗は同じとした。サイドゲートとセンターゲートとの高低差も設けた。ディスク面での溶湯の湯境が確認された。評価試料中の異物は基準値未満であった。
(比較例4,5)
図2に示す低圧鋳造装置は、図1の低圧鋳造装置において第1のフィルタ21に代えて絞り部分19を装着し、第2のフィルタ22を取外したものである。センターゲート11aに繋がる湯道で、最大断面積S3となる部分はストーク13aとした。ストーク13aは一律同径の円筒状である。一方、最小断面積S4となる部分はセンターゲート11aのキャビティ開口部とした。サイドゲート11b,11cに繋がる湯道で、最大断面積S1となる部分はストーク13b,13cの中腹部とした。一方、最小断面積S2となる部分はストーク13b,13cの下端に設けられた絞り部分19とした。絞り部分19の厚さTOを一定とし内径を変えることによりS2を変えた。本比較例では、図2の低圧鋳造装置を用いて、サイドゲート11bおよび11cに連なる湯道の断面積S1およびS2を変えることにより溶湯通過抵抗を変えて図3に示す車両用ホイールを鋳造した。ディスク面での溶湯の湯境は確認されなかった。評価試料中の異物は基準値を超えていた。
図2に示す低圧鋳造装置は、図1の低圧鋳造装置において第1のフィルタ21に代えて絞り部分19を装着し、第2のフィルタ22を取外したものである。センターゲート11aに繋がる湯道で、最大断面積S3となる部分はストーク13aとした。ストーク13aは一律同径の円筒状である。一方、最小断面積S4となる部分はセンターゲート11aのキャビティ開口部とした。サイドゲート11b,11cに繋がる湯道で、最大断面積S1となる部分はストーク13b,13cの中腹部とした。一方、最小断面積S2となる部分はストーク13b,13cの下端に設けられた絞り部分19とした。絞り部分19の厚さTOを一定とし内径を変えることによりS2を変えた。本比較例では、図2の低圧鋳造装置を用いて、サイドゲート11bおよび11cに連なる湯道の断面積S1およびS2を変えることにより溶湯通過抵抗を変えて図3に示す車両用ホイールを鋳造した。ディスク面での溶湯の湯境は確認されなかった。評価試料中の異物は基準値を超えていた。
1 低圧鋳造装置
2 下型
3 上型
4,5 横型
7 下型プラテン
8 下型ベース
9 上型ベース
10 ボルト
11a センターゲート
11b,11c サイドゲート
12a センターゲートの湯道
12b,12c サイドゲートの湯道
13a センターゲートに繋がるストーク
13b,13c サイドゲートに繋がるストーク
14 下型冷却通路
15 溶湯
16 保持炉
17 密閉容器
18 バルブ
19 絞り
20 発熱手段
21 第1のフィルタ
22 第2のフィルタ
30 車両用ホイール
60 ディスク部キャビティ
61 リム部キャビティ
2 下型
3 上型
4,5 横型
7 下型プラテン
8 下型ベース
9 上型ベース
10 ボルト
11a センターゲート
11b,11c サイドゲート
12a センターゲートの湯道
12b,12c サイドゲートの湯道
13a センターゲートに繋がるストーク
13b,13c サイドゲートに繋がるストーク
14 下型冷却通路
15 溶湯
16 保持炉
17 密閉容器
18 バルブ
19 絞り
20 発熱手段
21 第1のフィルタ
22 第2のフィルタ
30 車両用ホイール
60 ディスク部キャビティ
61 リム部キャビティ
Claims (4)
- リム部およびディスク部を有する車両用ホイールを鋳造するための車両用ホイールの製造方法において、ディスク部を形成するキャビティに開口されたセンターゲート、およびリム部を形成するキャビティに開口されたサイドゲートから、溶湯をそれぞれの前記キャビティに注湯する車両用ホイールの製造方法であって、サイドゲートに繋がる湯道に第1の多孔質フィルタを配置することで、サイドゲートから溶湯が注湯されるタイミングをセンターゲートから溶湯が注湯されるタイミングより遅くしたことを特徴とする車両用ホイールの製造方法。
- センターゲートに繋がる湯道に第2の多孔質フィルタを配置する請求項1に記載の車両用ホイールの製造方法。
- 第1の多孔質フィルタの気孔率(PPI)は第2の多孔質フィルタの気孔率(PPI)より大きい請求項2に記載の車両用ホイールの製造方法。
- 第1の多孔質フィルタの厚さは第2の多孔質フィルタの厚さより大きい請求項2または3に記載の車両用ホイールの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2013226641A JP2015085358A (ja) | 2013-10-31 | 2013-10-31 | 車両用ホイールの製造方法 |
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