JP2015084731A - 根菜類の水耕栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より簡単な方法で、根菜類の食用部が好適な形状へ成長することを促進する水耕栽培技術を提供することを課題とする。
【解決手段】根菜類の水耕栽培方法において、根菜類の食用部21が弾性体1で被覆された状態で、当該根菜類を栽培した。
【選択図】図6

Description

本発明は、根菜類の水耕栽培に関する。
土壌を使用せず、培養液で作物を栽培する水耕栽培では、植物工場等の施設において、温度、栄養、水分等の生育条件を容易に管理できる。そのため、水耕栽培は、作物の収穫時期の調整、生産量の向上等が土壌栽培と比較して容易であり、広く利用されている。
しかしながら、水耕栽培では土圧に相当する圧力が培養液から根等へ加わらないため、根菜類を水耕栽培しても、根等の食用部の成長が促進されない場合がある。根菜類の水耕栽培では、根等の食用部が、肥大せずに細長く伸長してしまうこと、伸長しないで肥大してしまうこと、複数又に分岐してしまうこと等が起こり、土壌栽培と比較して、食用部が食用に適さない形状に育成されてしまう場合があった。
このような状況に対し、合成ゴム等からなり弾性力を有する容器に麦飯石等の粒状物を充填し、粒状物等の中に根菜類の根等の食用部を入れて根菜類を支持する水耕栽培方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この方法では、水耕栽培装置で栽培される根菜類の食用部が肥大すると、粒状物が押されて、容器が外側へ膨らむように弾性変形し、容器からの弾性力が、粒状物を介して食用部に圧力を加えられる。
また、根等に圧力が加わり得る水耕栽培方法として、エアーバッグを利用した養液栽培方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この方法では、並列に配置されたエアーバッグの隙間に防根透水シート、ジャームガードを配置し、当該隙間を利用して直根植物、根菜類、または茎部食用植物などを生育させるために、エアーバッグ内の空気圧によって植物を挾持したまま、養液栽培を行う。
特開2011−217614号公報 特開平7−79651号公報
例えば、上述の容器に充填された粒状物を介して圧力を加える方法では、粒状物を容器に適量充填する作業が必要である。また、成長する根菜類だけでなく粒状物も支持可能な容積と構造を有する大型の水耕栽培装置を準備する必要がある。そのため、この方法は、必ずしも簡単な水耕栽培方法とはいえなかった。
また、例えば、上述のエアーバッグを利用した養液栽培方法では、成長後の根菜類の大きさに対応可能なエアーバッグや、圧力調整のためのエアーコンプレッサを備えた大型の装置を準備する必要がある。また、根菜類の成長に応じた圧力調整も必要である。そのため、この方法も、必ずしも簡単な水耕栽培方法とはいえなかった。
このような状況に鑑み、本発明は、より簡単な方法で、根菜類の食用部が好適な形状へ成長することを促進する水耕栽培技術を提供することを課題とする。
本発明では、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は次の根菜類の水耕栽培方法である。
根菜類の食用部が弾性体で被覆された状態で、前記根菜類を栽培する、
根菜類の水耕栽培方法。
ここで、弾性体は、常温付近で、弾性限界内の外力によって形や体積が変化しても、外力を取り去ると再び元の形状や体積に回復する性質をもつ固体をいう。弾性体は、ゴム等の弾性限界が大きい物質で形成された物体に限らず、食用部の被覆に基づく外力による変形によって、変形前と同一の形状や体積に完全には戻らずに塑性ひずみ等が発生する物体であってもよい。また、根菜類とは、土壌栽培において、地下にある根、地下茎、鱗茎等を、人または動物が食する植物である。根菜類は、例えば、根を食する大根、人参、オタネニンジン(朝鮮人参)等、地下茎を食するレンコンやワサビ等、鱗茎を食する玉ねぎやニンニク等である。食する部位を食用部と呼ぶ。なお、食用部は、食用以外に、飲用、薬用等の用途を更に有していてもよい。また、当該栽培をすることには、根菜類の定植から収穫までの間、食用部が継続的に弾性体で被覆された状態で栽培することだけなく、一時的に食用部が弾性体で被覆された状態で栽培することも含まれる。
本発明によれば、食用部を弾性体で被覆するだけで、食用部が弾性体から直接加圧され得る状態で、根菜類が栽培される。そのため、煩雑な作業、大型の装置等を要さずに、成長する食用部に対して適度に加圧可能である。そのため、より簡単な方法で、食用部が好適な形状へ成長することを促進することができる。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体は、少なくとも一部が弾性的に伸縮する。
ここで、本発明の水耕栽培方法は、栽培の間、常に弾性的に伸縮して食用部に圧力がかかっている必要はない。例えば、弾性体が、食用部に被覆された時点において弾性的に伸縮していなくてもよい。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体は、吸水性を有し、
前記弾性体の一部が培養液に浸った状態で、前記根菜類を栽培する。
本発明によれば、弾性体が培養液を吸収することで、毛細管現象等によって、弾性体で被覆された食用部に水分及び養分が行き渡らせることができる。そのため、食用部の乾燥を抑制することや、水分及び養分の好適な供給を行うことができる。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体が前記食用部の形状に合わせて変形することによって、前記食用部が加圧された状態で、前記根菜類を栽培する。
ここで、弾性体の変形は、例えば、弾性変形であるが、弾性体の一部が塑性変形する場合等も含む。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体が伸張することによって前記食用部が加圧された状態で、前記根菜類を栽培する。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記食用部が前記弾性体で巻かれた状態で、前記根菜類を栽培する。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体は、布を含む。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体は、織物、編み物、または不織布を含む。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体は、少なくともナイロンまたはポリウレタン糸の一方が編みこまれたものを含む。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体は、ゴムまたはプラスチックを含む。
また、本発明に係る水耕栽培方法は、次の特徴を有してもよい。
前記弾性体は、網状体を含む。
ここで、網状体は、編まれて造られたものに限定されず、方形やひし形等の目を有する形状のもの全般を含む。
本発明によれば、より簡単な方法で、根菜類の食用部が好適な形状へ成長することを促進する水耕栽培を行うことができる。
図1は、実施の形態に係る水耕栽培方法の流れを例示するフローチャートである。 図2は、実施の形態に係る弾性体を例示する斜視図である。 図3は、被覆対象の大根を例示する図である。 図4は、弾性体で被覆された大根の食用部を例示する図である。 図5は、大根の定植の態様を例示する図である。 図6は、食用部が弾性体で被覆された状態で栽培される大根を例示する図である。 図7は、水耕栽培装置を例示する模式図である。 図8は、実施例において弾性体で被覆して栽培した大根を例示する外観図である。 図9は、比較例において弾性体で被覆せずに栽培した大根を例示する外観図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的な方法に限定するものではない。本発明を実施するにあたっては、実施の形態に応じた具体的な方法が適宜採用されることが好ましい。
本実施形態では、主として大根または人参を栽培対象の根菜類として説明する。なお、本実施形態の栽培対象の根菜類は、大根、人参、オタネニンジン等の根を食する野菜に限られず、レンコンやワサビ等の地下茎を食する野菜、玉ねぎやニンニク等の鱗茎を食する野菜等、その他の根菜類であってもよい。
<水耕栽培方法の流れ>
図1は、本実施形態に係る水耕栽培方法の流れを例示するフローチャートである。この流れにおける各工程の全部または一部は、人によって実施されてもよいし、機械等によって実施されてもよい。
まず、ステップS101では、根菜類に関して、播種し、苗を育てる。このステップは、公知の育苗方法を含む様々な育苗方法のいずれによって行われてもよい。栽培対象の根菜類が大根または人参である場合、例えば、根の直径が1cm(センチメートル)を超えた程度まで育苗する。
次に、ステップS102では、ステップS101で育てられた根菜類の食用部を、弾性体で被覆する。ここで、弾性体は、弾性的に伸縮するものである。例えば、栽培対象の根菜類が大根や人参である場合、食用部である主根全体を弾性体で被覆する。弾性体や被覆の詳細については、後述する。
次に、ステップS103からS104では、食用部が弾性体で被覆された状態で、根菜類を栽培する。弾性体は、吸水性を有し、弾性体の一部が培養液に浸った状態で、根菜類が栽培される。また、弾性体が食用部の形状に合わせて変形することによって、食用部が加圧された状態で、根菜類は栽培される。この際、弾性体が伸張することによって、食用部が加圧された状態となる。
まず、ステップS103では、食用部が弾性体で被覆された根菜類を、水耕栽培装置に定植する。このとき、根菜類は、弾性体が水耕栽培装置の培養液に浸った状態で定植される。次に、ステップS104では、食用部が弾性体で被覆された状態で、水耕栽培装置を用いて根菜類を栽培する。定植や栽培の詳細については、後述する。
ステップS105では、根菜類の十分な成長が確認された場合に、根菜類を収穫する。成長の確認は、目視等により行われる。栽培対象の根菜類が大根または人参である場合、例えば、定植から90日後に収穫する。
以上の水耕栽培方法の流れによって、食用部が好適な形状に成長した根菜類を得ることができる。
<弾性体>
図2は、本実施形態に係る弾性体を例示する斜視図である。弾性体1は、薄手の筒状である。弾性体1の長さLは、収穫時の食用部の理想的な長さよりも長く、大根や人参に関しては、例えば25〜30cmである。弾性体1の上端11の径は、下端12の径より大きい。なお、弾性体1の形状や大きさは、栽培対象にとって好適な食用部の形状や大きさへの成長を促進できるように、栽培対象の種族、品種等に応じて適宜調整された形状であってよい。例えば、大根の栽培に用いる弾性体と、人参の栽培に用いる弾性体とは、異なる形状や大きさであってよい。また、弾性体1の形状は、本実施形態のような筒状に限られない。弾性体1は、厚手であってもよい。また、弾性体1は、シート状、帯状、袋状、その他の形状であってもよい。また、弾性体1は、網状体を含んでもよい。
本実施形態の弾性体1は、ナイロンとポリウレタン糸とが編みこまれた編み物であり、布で形成される。弾性体1は、例えば、ストッキングやタイツ等の衣料に用いられる、伸縮性及び柔軟性を有する生地で形成される。弾性体1として、ストッキングやタイツの一部または全部がそのまま用いられてもよい。なお、弾性体1は、その他の繊維からなる織物、編み物、不織布、その他の布で形成されてもよい。また、弾性体1は、ゴムまたはプラスチックで形成されてもよい。また、弾性体1は、その他の繊維、樹脂、その他の素材
で形成されてもよい。また、弾性体1は、複数の素材の組み合わせで形成されてもよい。
本実施形態の弾性体1は、弾性的に伸縮する。具体的には、弾性体1は、外力を加えると、筒状の周が広がる方向や上下方向等に伸張する。弾性体1は、食用部の好適または理想的な形状及び大きさまで、弾性限界を超えずに伸張して変形可能である。弾性体1は、伸張すると繊維間の隙間が広がり、透明度が高まる。また、弾性体1は、加えた外力を取り除くと、縮まり、伸張前の形状に戻ろうとする性質を有する。
また、弾性体1は、吸水性を有する。弾性体1は、水耕栽培における培養液を吸収可能である。また、弾性体1は、通気性を有する。これらの性質は、弾性体1の繊維の隙間等により実現される。
<被覆>
本実施形態では、根菜類の食用部を弾性体1で被覆する(図1のステップS102)。図3及び図4に基づいて、被覆の詳細を説明する。
図3は、被覆対象の大根を例示する図である。本実施形態において、被覆対象となる大根2Aは、食用部21の直径が1cmを超えた程度の太さに成長した苗の段階の大根である。大根2Aは、食用部21、側根22、及び葉23を有する。大根2Aにおける食用部21は、主根である。ここで、食用部21と葉23との境である、食用部21の上端を、根元部24と呼ぶことにする。また、主根の先端である食用部21の下端を、先端部25と呼ぶことにする。なお、被覆対象の根菜類は、このような根の太さを有する苗の段階のものに限定されるものではない。
図4は、弾性体1で被覆された大根2Aの食用部21を例示する図である。図4の大根2Aは、図3で説明した苗の大根2Aである。本実施形態では、図4(a)に示すように、大根2Aの食用部21全体が、筒状の弾性体1の内側に入れられ、弾性体1で包囲される。この際、弾性体1の下端12付近には、食用部21を包囲しない部分が存在する。このように被覆することで、食用部21が成長して伸長しても食用部21全体が覆われた状態が維持される。また、側根22には、弾性体1で覆われない部分があってもよい。定植時には、食用部21は、図4(b)に示すように、根元部24付近に固定部材4が取り付けられる。固定部材4は、ウレタンよって形成される。定植時、固定部材4は、食用部21を包囲している弾性体1とともに食用部21の根元部24を押圧する(詳細は後述する)。そのため、弾性体1の上端11は、食用部21の根元部24付近に固定される。なお、本実施形態の弾性体1には、伸縮していない状態の径が1cmよりも大きいものが採用される。そのため、弾性体1は、苗に被覆した時点で伸張していない状態にある。
なお、本実施形態では、弾性体1が被覆時点で伸張しないように被覆されるが、例えば、被覆対象の食用部21の径よりも小さい径を有する弾性体1を被覆する等、弾性体1が伸張するような被覆が行われてもよい。また、根菜類の根元部24の近傍等、根菜類の食用部21の一部は、弾性体1に被覆されなくてもよい。ただし、好ましくは、食用部21の大部分が被覆される。
また、シート状や帯状である弾性体1が採用される場合には、伸縮性が損なわれないように弾性体1を巻きつけることで食用部21を被覆してもよい。この場合、例えば、らせん状に巻く方法や医療用包帯を巻く方法が採用されてもよい。
<定植>
本実施形態では、食用部21が弾性体1で被覆された根菜類が、水耕栽培装置に定植される(図1のステップS103)。図5に基づいて、定植の詳細を説明する。
図5は、大根2Aの定植の態様を例示する図である。図5(a)には、水耕栽培装置の栽培容器31に定植途中の大根2Aが示されている。栽培容器31の前面は、透明なプラスチックで形成され、栽培容器31の内部の大根2Aが外部から観察可能である。栽培容器31の上面は、遮光性を有するパネル32である。パネル32には、根菜類を固定する箇所である孔部33が設けられている。弾性体1で被覆された大根2Aは、根元部24が孔部33の位置になる高さになるように垂直に孔部33に通される。そして、弾性的に圧縮変形する部材である固定部材4が、大根2Aの根元部24付近と孔部33との隙間を埋めるように取り付けられる。
図5(b)には、固定部材4が取り付けられ、定植された大根2Aが示されている。固定部材4は、孔部33の壁面との間の押圧及び摩擦によりパネル32に固定されるとともに、大根2Aの根元部24付近を挟持する。大根2Aは、根元部24を固定部材4に押圧されて、パネル32に固定されることになる。大根2Aは、垂直に吊り下げられた姿勢となる。当該姿勢において、大根2Aの葉23は栽培容器31の外側に位置し、大根2Aの食用部21は、栽培容器31の内側に位置する。固定部材4は、食用部21に被覆された弾性体1の上から根元部24を押圧する。固定部材4による押圧は、大根2A等の根菜類の成長を阻害しない程度の圧力である。なお、固定部材4は、本実施形態ではウレタンで形成されるが、不織布、その他の素材によって形成されてもよい。また、定植における固定の態様は、このような固定部材4を用いた固定に限定されるわけではない。
栽培容器31には、培養液34が貯留される。培養液34は、栽培対象の根菜類の栽培に適した養分が溶けた水溶液である。貯留された培養液34の水位は、食用部21のうちの先端部25付近のみが培養液34に浸水するように調整される。また、弾性体1の下端12は、培養液34に浸水する。
弾性体1は上述したような吸収性を有する素材で形成されているため、浸水した部分から培養液34が吸収され、吸収された培養液34が毛細管現象により上昇して、弾性体1全体が培養液34によって適度に湿ることになる。そのため、弾性体1によって被覆された食用部21全体に、成長に適度な量の培養液34が行き渡ることになる。そのため、食用部21の乾燥を抑制でき、かつ水分及び養分を好適に供給できる。そのため、食用部21の成長を促進し得る。また、本実施形態の定植時には、固定部材4による押圧によって圧力が根元部24にかかる。そのため、食用部21の成長を促進し得る。
<栽培>
本実施形態では、食用部21が弾性体1で被覆された状態で、水耕栽培装置を用いて根菜類を栽培する(図1のステップS104)。図6及び図7に基づいて、栽培の詳細を説明する。
図6は、食用部21が弾性体1で被覆された状態で栽培される大根2Aを例示する図である。図6には、定植がされた後、成長過程にある大根2Aが示されている。図6において、被覆された弾性体1は、食用部21と密着し、肥大した食用部21の形状に合わせて弾性変形等の変形をし、伸張している。そのため、食用部21に圧力F10がかかった状態となっている。圧力F10は、食用部21の成長度合いに応じた大きさである。十分肥大した食用部21にかかる圧力F10は、数hPa(ヘクトパスカル)から数十hPaの大きさであると考えられる。なお、これ以外の大きさの圧力がかかってもよい。また、弾性体1は、収穫時の理想的な食用部21よりも長いため、食用部21全体が被覆された状態が維持されている。そのため、食用部21全体に圧力F10がかかった状態になっている。そのため、食用部21の成長が適切に促進され得る。
更に、被覆された弾性体1が肥大した食用部21の形状に合わせて変形するため、栽培容器31の前面から、食用部21の成長状況を把握することができる。また、弾性体1は伸張すると透明度が高まる素材であるため、食用部21の成長状況をより把握しやすい。
栽培容器31に貯留された培養液34の水位は、食用部21のうちの先端部25付近のみが培養液34に浸水するように継続的に調整される。そのため、食用部21全体が培養液34に浸水する場合等と比較し、根腐れ等の成長を阻害する要因を抑制することができる。
弾性体1の下端12は、培養液34に浸った状態で維持されて、大根2Aが栽培される。そのため、弾性体1が適度に湿った状態で大根2Aが栽培されることになり、食用部21の成長が継続的に促進され得る。
大根2Aは、固定部材4によって栽培容器31に固定された状態で栽培される。葉23が上方の光源から光を受けることで、大根2Aは、光合成を行って成長する。図6に図示されていないが、栽培容器31は、前面に遮光板を取り付けるための機構を有する。栽培中、栽培容器31の前面には、遮光板が取り付けられる。更に、栽培容器31の左側面、右側面、及び背面は、遮光性を有している。したがって、土壌栽培と同様に、食用部21に光があたらない状態で、大根2Aが栽培される。
図7は、水耕栽培装置を例示する模式図である。水耕栽培装置3は、栽培容器31、及び培養液34を貯水する培養液タンク35を備える。栽培容器31は、培養液タンク35よりも高い位置に設けられる。栽培容器31には、培養液34を注水するための注水口36が設けられている。また、栽培容器31には、培養液34を排水するための排水口37が、注水口36より低い位置に設けられている。
更に、水耕栽培装置3は、培養液34を培養液タンク35から汲み上げて栽培容器31へ注水するためのポンプ38、並びに、培養液34を栽培容器31から排水して培養液タンク35へ注水するための第1排水ホース39A、第2排水ホース39B、及び排水調整部39Cを備える。第1排水ホース39Aは、排水口37から上方に伸び、排水調整部39Cに接続する。第2排水ホース39Bは、排水調整部39Cから下方に伸び、培養液タンク35に接続する。
第1排水ホース39A、第2排水ホース39B、及び排水調整部39Cは、栽培容器31内の培養液34の水位下降を調整する機構として機能する。第1排水ホース39A内の培養液34は、水圧によって栽培容器31内の培養液34の水位まで上昇しようとする。水位調整部39Cの位置する高さが栽培容器31内の培養液34の水位より低い場合、第1排水ホース39A内の培養液34が第2排水ホース39B内へ流れ込み、栽培容器31内の培養液34の水位が、排水調整部39Cが位置する高さになるように調整される。排水調整部39Cはヒンジ等で固定され、調整された水位が維持される。
根菜類が栽培される間、栽培容器31の水位は、ポンプ38による注水及び排水調整部39Cの高さの調整による排水によって、食用部21のうち、先端部25付近のみが培養液34に浸水するように調整され続ける。つまり、食用部21の伸長に合わせて水位が下がるように調整される。
本実施形態では、大根2A等の根菜類が以上説明したような水耕栽培環境に置かれることで栽培される。なお、根菜類は、食用部21が弾性体1で被覆された状態で、食用部21の伸長に合わせた水位調整がされない水耕栽培環境に置かれて栽培されてもよい。
以上説明した本実施形態によれば、食用部21が弾性体1で被覆され、食用部21に圧力がかかった状態で、大根2A等の根菜類が育成される。育成の間、弾性体1が弾性変形等して、食用部21が加圧される。そのため、加圧のための、煩雑な作業、大型の装置、圧力調整のための電力等は不要である。したがって、より簡単な方法で、根菜類の食用部21が好適な形状及び大きさへ成長することを促進できる。なお、ここでいう好適な形状及び大きさとは、例えば、食する量が多い、調理や加工に適している、見栄え等がよく根菜類としての商品価値が高い等の性質を満たす形状及び大きさである。好適な形状及び大きさは、例えば、湾曲や分岐等せずに、十分に伸長し、肥大した形状及び大きさである。
また、本実施形態によれば、弾性体1が食用部21の形状に合わせて変形し、かつ栽培容器31の内部が外部から観察可能であるため、根菜類の生育状況を目視等で容易に把握できる。なお、背景技術で上述した容器に充填された粒状物を介して圧力を加える方法は、根等周辺の比較的多くの空間を粒状物が占めているため、温度等の生育条件の制御が容易でない場合がある。本実施形態の弾性体1は、布で形成されているため、食用部21周辺のわずかな空間だけを占める。したがって、温度等の生育条件の制御が阻害されづらい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1:被覆した大根2Aの栽培>
上述した実施形態の水耕栽培方法を用いて、根菜類を栽培した。栽培条件は、次のとおりである。(1)大根2Aを栽培対象とした。(2)根の直径が1cmを超えた程度の苗の段階で、食用部21全体を弾性体1で被覆して、水耕栽培装置3に定植した。(3)食用部21のうちの先端部25付近のみが培養液34に浸水するように水位調整を行って水耕栽培を行った。(4)定植から約90日後に収穫を行った。
当該条件で栽培した結果、食用部21が、長さ約40cmまで伸長し、太さ約7cmまで肥大した。食用部21は、図8に示されるように、概してまっすぐに伸長した。図8は、本実施例において弾性体1で被覆して栽培した大根2Aを例示する外観図である。
<比較例1:被覆しない大根2Aの栽培>
上述した実施形態の水耕栽培方法を用いずに、根菜類を複数栽培した。本比較例では、根の直径が1cmを超えた程度の苗の段階で、食用部21を弾性体1で被覆せずに、水耕栽培装置3に定植した。その他の栽培条件として、実施例1の(1)、(3)及び(4)と同様の条件を採用した。
当該条件で栽培した結果、食用部21が、太さ約1cmのまま肥大せずに細長く伸長したものがあった。また、食用部21が、伸長せずに太さ約8cmに肥大して丸みを帯びた形状になったものがあった。後者の例の形状は、図9に示される。図9は、本比較例において弾性体1で被覆せずに栽培した大根2Aを例示する外観図である。
以上説明した実施例1及び比較例1を比較すると、実施例1によって収穫された大根2Aの食用部21は、比較例1よりも食用に好適な成長をしたことが認められる。
<実施例2:上部のみ被覆した大根2Aの栽培>
上述した実施形態とは異なり、食用部21の上部のみを被覆して根菜類を複数栽培した。本実施例では、根の直径が1cmを超えた程度の苗の段階で、食用部21の上部のみを弾性体1で被覆して、水耕栽培装置3に定植した。その他の栽培条件として、実施例1の
(1)、(3)及び(4)と同様の条件を採用した。なお、このような栽培において、必要に応じ、弾性体1の一部を下方に延長させ、培養液に浸かるようにしてもよい。あるいは、弾性体1とは別部材の布等の一端を弾性体1に繋げるとともに他端が培養液に浸かるようにしてもよい。
当該条件で栽培した結果、食用部21のうち被覆部分のみが肥大し、食用部21が株の様な丸みを帯びた形状になったものがあった。また、食用部21の被覆されていない部分が4又に分岐した、いわゆる岐根になったが、被覆部分が岐根にならなかったものがあった。
以上説明した実施例1、比較例1、及び実施例2を比較すると、弾性体1で被覆した大根2Aの食用部21の部分は、被覆しない食用部21の部分に比べ、食用に好適な成長をしたことが認められる。
<実施例3:被覆した人参の栽培>
上述した実施形態の水耕栽培方法を用いて、根菜類を栽培した。本実施例では、人参を栽培対象とした。その他の栽培条件として、実施例1の(1)、(3)及び(4)と同様の条件を採用した。
当該条件で栽培した結果、食用部21が、長さ約20cmまで伸長し、太さ約3cmまで肥大した。食用部21は、概してまっすぐに伸長した。
<比較例2:被覆しない人参の栽培>
上述した実施形態の水耕栽培方法を用いずに、根菜類を複数栽培した。本比較例では、人参を栽培対象とした。また、本比較例では、根の直径が1cmを超えた程度の苗の段階で、食用部21を弾性体1で被覆せずに、水耕栽培装置3に定植した。その他の栽培条件として、実施例1の(3)及び(4)と同様の条件を採用した。
当該条件で栽培した結果、食用部21が、太さ約1cmのまま肥大せずに細長く伸長したものがあった。また、食用部21が、伸長せずに太さ約5cmに肥大して丸みを帯びた形状になったものがあった。
以上説明した実施例3及び比較例2を比較すると、実施例3によって収穫された人参の食用部21は、比較例2よりも食用に好適な成長をしたことが認められる。
1 弾性体
11 上端
12 下端
2A 大根(根菜類)
21 食用部
22 側根
23 葉
24 根元部
25 先端部
3 水耕栽培装置
31 栽培容器
32 パネル
33 孔部
34 培養液
35 培養液タンク
36 注水口
37 排水口
38 ポンプ
39A 第1排水ホース
39B 第2排水ホース
39C 排水調整部
4 固定部材

Claims (11)

  1. 根菜類の食用部が弾性体で被覆された状態で、前記根菜類を栽培する、
    根菜類の水耕栽培方法。
  2. 前記弾性体は、少なくとも一部が弾性的に伸縮する、
    請求項1に記載の水耕栽培方法。
  3. 前記弾性体は、吸水性を有し、
    前記弾性体の一部が培養液に浸った状態で、前記根菜類を栽培する、
    請求項1または2に記載の水耕栽培方法。
  4. 前記弾性体が前記食用部の形状に合わせて変形することによって、前記食用部が加圧された状態で、前記根菜類を栽培する、
    請求項1から3の何れか一項に記載の水耕栽培方法。
  5. 前記弾性体が伸張することによって前記食用部が加圧された状態で、前記根菜類を栽培する、
    請求項1から4の何れか一項に記載の水耕栽培方法。
  6. 前記食用部が前記弾性体で巻かれた状態で、前記根菜類を栽培する、
    請求項1から5の何れか一項に記載の水耕栽培方法。
  7. 前記弾性体は、布を含む、
    請求項1から6の何れか一項に記載の水耕栽培方法。
  8. 前記弾性体は、織物、編み物、または不織布を含む、
    請求項1から7の何れか一項に記載の水耕栽培方法。
  9. 前記弾性体は、少なくともナイロンまたはポリウレタン糸の一方が編みこまれたものを含む、
    請求項1から8の何れか一項に記載の水耕栽培方法。
  10. 前記弾性体は、ゴムまたはプラスチックを含む、
    請求項1から9の何れか一項に記載の水耕栽培方法。
  11. 前記弾性体は、網状体を含む、
    請求項1から10の何れか一項に記載の水耕栽培方法。
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