JP2015084649A - リゾリン脂質シグナル制御による幹細胞の維持増殖培養法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、幹細胞の体外での培養において、幹細胞の機能を保持したまま、幹細胞の分裂回数を向上するための、簡便な培養方法を提供することを主な課題とする。
【解決手段】斯かる課題を解決する手段として、幹細胞を、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】斯かる課題を解決する手段として、幹細胞を、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、主に幹細胞の培養方法に関する。また、幹細胞の細胞老化抑制剤、並びに幹細胞用組成物及び皮膚外用組成物にも関する。
近年、幹細胞を用いた細胞療法が、疾患等の治療方法として注目されている。特に、間葉系幹細胞(marrow stromal cells(MSC)、またはmesenchymal stem cellsとも呼ばれる。)は、骨や軟骨などの間葉系細胞への多分化能、および組織修復を促す液性因子の産生分泌能を有する細胞であり、細胞治療に用いるバイオツールとして大いに注目されている。
間葉系幹細胞などの幹細胞は、例えば間葉系幹細胞の場合は骨髄や脂肪などから容易に採取できるものの、細胞療法を実施するために十分な数の幹細胞を直接採取することは困難である。そのため、採取した幹細胞を体外で培養を行い増殖させる必要がある。しかしながら、従来の細胞培養技術では、幹細胞を体外で培養すると、幹細胞の細胞分裂回数には上限があり、培養により細胞治療を実施するために必要な数の幹細胞を得ることができないとの問題があった。
間葉系幹細胞においては、体外での培養において分裂回数を伸ばす培養方法がこれまでに提案されている。例えば、低酸素濃度の条件下で間葉系幹細胞を培養する方法、増殖因子を添加する培養法、特定の遺伝子の改変を行う方法がある。しかしながら、これらの方法には、臨床応用を考える上で十分に実用的であるとはいえない。低酸素下培養法は、通常の細胞培養では用いない窒素ガスを培養器内に充填させるために特殊な培養器が必要である(非特許文献1)。増殖因子を添加する培養法は,上皮成長因子(epidermal growth factor)及び血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor)の存在下で培養する方法であり、上皮成長因子と血小板由来成長因子は高価な組換え蛋白質として添加する必要がある(非特許文献2)。また、遺伝子改変を行う方法をして、テロメラーゼ遺伝子(非特許文献3)またはヒトパピローマウイルス16のE6/E7遺伝子(非特許文献4)を間葉系幹細胞へ遺伝子導入する試みが報告されている。しかし,理論上無限に分裂するように遺伝子改変した間葉系幹細胞は,細胞治療に用いた後に生体内で癌化する危険性が強く懸念される。このように、臨床応用の観点から十分に実用的な、幹細胞の分裂回数を伸ばすための培養方法は知られていないのが現状である。
リゾホスファチジン酸(LPA)受容体は、リゾリン脂質の一種であるリゾホスファチジン酸(LPA)に対する受容体である。LPA受容体の主要なものとして、LPA1〜LPA5の5つのサブタイプが知られている。LPAはリン脂質から生成される化合物であり、生体内に広く存在してLPA受容体を介して様々な生理機能を発揮することが知られている。例えば、間葉系幹細胞を骨細胞へと分化させる際に、LPAを添加すると、骨細胞へと分化する効率が向上することが知られている(特許文献1、非特許文献5)。しかしながら、LPAが幹細胞、特に間葉系幹細胞において、幹細胞の自己複製能等の幹細胞機能の維持への関与は一切知られていなかった。
Blood 2011;117:459-69
Ann NY Acad Sci 2001; 938:231-233
J Biomed Sci 2010;17:64
Int J Cancer 2004;110:313-319
J Cell Biochem. 2010 Mar 1;109(4):794-800
本発明は、幹細胞の体外での培養において、幹細胞の機能を保持したまま、幹細胞の分裂回数を向上するための、簡便な培養方法を提供することを主な目的とする。また、このような培養技術を適用した幹細胞の細胞老化抑制剤、並びに幹細胞用組成物及び皮膚外用組成物等を提供することをも目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、幹細胞を、リゾホスファチジン酸受容体の機能を抑制する条件下で培養することで、幹細胞の機能を保持したまま、幹細胞の分裂回数が向上することを見出した。本発明は、斯かる知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を包含する。
項1.幹細胞を、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法。
項2.LPA受容体が、LPA1受容体およびLPA3受容体からなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の培養方法。
項3.LPA受容体の機能を抑制する条件下での培養が、LPA受容体アンタゴニストの存在下での培養である、項1又は2に記載の培養方法。
項4.幹細胞が、間葉系幹細胞、肺幹細胞または骨髄幹細胞である、項1〜3のいずれか1項に記載の培養方法。
項5.リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、幹細胞の細胞老化抑制剤。
項6.リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、幹細胞用組成物。
項7.リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、皮膚外用組成物。
項1.幹細胞を、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法。
項2.LPA受容体が、LPA1受容体およびLPA3受容体からなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の培養方法。
項3.LPA受容体の機能を抑制する条件下での培養が、LPA受容体アンタゴニストの存在下での培養である、項1又は2に記載の培養方法。
項4.幹細胞が、間葉系幹細胞、肺幹細胞または骨髄幹細胞である、項1〜3のいずれか1項に記載の培養方法。
項5.リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、幹細胞の細胞老化抑制剤。
項6.リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、幹細胞用組成物。
項7.リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、皮膚外用組成物。
本発明の培養方法により、従来知られていなかった、幹細胞の機能を保持したまま、幹細胞の分裂回数を向上するための、簡便な培養方法が提供される。すなわち、本発明の培養方法により、汎用の細胞培養を行うための設備を用いて、低廉に幹細胞の培養を行うことが可能となる。また、本発明の培養方法は遺伝子改変を伴わないため、本発明の培養方法により培養された幹細胞は、がん化の危険性が極めて小さい。
本発明により、従来は困難であった幹細胞の機能を保持したまま、細胞治療を行うために必要な数の幹細胞を得ることが可能となる。このことを通じて、細胞治療が幅広い患者群へ適用することが可能になると期待される。
また、本発明により幹細胞の細胞老化を抑制する方法も提供される。そして、このような方法を適用した、幹細胞用の培地および保存剤、化粧品、褥瘡を予防するための医薬組成物、創傷を治療するための医薬組成物等も提供される。
1.培養方法
本発明の培養方法は、幹細胞をリゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法である。以下、本発明の培養方法について詳述する。
本発明の培養方法は、幹細胞をリゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法である。以下、本発明の培養方法について詳述する。
本発明の培養方法において、幹細胞を体外で培養する。本発明で用いる幹細胞は、自己複製能及び分化能を有する細胞であれば特に限定されるものではない。本発明の培養方法は、幹細胞の機能を保持したまま、幹細胞の分裂回数を向上するとの効果を奏する観点から、上記幹細胞として、幹細胞としての機能を喪失する傾向や体外で細胞分裂回数が数元である幹細胞が好適である。このような幹細胞として、体性幹細胞が挙げられる。あるいは、LPA受容体を発現する幹細胞を好ましい幹細胞としてあげることもできる。LPA受容体については、後述する。
このような幹細胞として、間葉系幹細胞、肺幹細胞、骨髄幹細胞、上皮幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、造血幹細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞、毛包幹細胞、色素幹細胞等が挙げられる。これらのうち、好ましい例として、間葉系幹細胞、肺幹細胞及び骨髄幹細胞が挙げられ、中でも間葉系幹細胞が特に好ましい。
上記幹細胞の由来生物は、特に限定されるものではない。ヒト、マウス、ラット、ウサギ等の哺乳類由来の幹細胞が好適である。特に、幹細胞をヒトの治療目的に使う場合は、ヒト由来の幹細胞を用いることが好ましく、治療対象のヒト(患者)由来の幹細胞が特に好ましい。
上記幹細胞の由来生物は、特に限定されるものではない。ヒト、マウス、ラット、ウサギ等の哺乳類由来の幹細胞が好適である。特に、幹細胞をヒトの治療目的に使う場合は、ヒト由来の幹細胞を用いることが好ましく、治療対象のヒト(患者)由来の幹細胞が特に好ましい。
上記幹細胞は、公知の手法により入手することができる。例えば、間葉系幹細胞は、骨髄穿刺により得られる骨髄液より遠心分離することで採取することができる(骨髄間葉系幹細胞)。また、肺幹細胞、骨髄幹細胞等の幹細胞は、当該幹細胞が含まれる組織由来の細胞群において、Hoechst33342にて染色した際に、400〜450nm及び580〜650nmの蛍光が検出されない細胞群(side population細胞)として採取することができる。
上記幹細胞は、予め採取した幹細胞の初代培養細胞を凍結保存したものを用いることもできる。上記幹細胞は、市販のものを購入、又はセルバンクなどの細胞頒布機関等から分与されたものであってもよい。
本発明の培養方法は、幹細胞をリゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む。なお、「LPA受容体の機能を抑制する条件下」とは、LPA受容体が属するシグナル伝達経路において、LPA受容体の下流へのシグナル伝達が有意に低減される状態を指す。当業者は、公知の手段を用いて、LPA受容体の下流へのシグナル伝達を測定することができる。
リゾホスファチジン酸(LPA)は、リゾリン脂質の一種であり、生体内に広く存在してLPA受容体を介して様々な生理機能を発揮することが知られている。LPA受容体としては、LPA1受容体(別名、EDG-2受容体)、LPA2受容体(別名、EDG-4受容体)、LPA3受容体(別名、EDG-7受容体)、LPA4受容体、LPA5受容体などが知られている。各々のLPA受容体のアミノ酸配列及びこれをコードする遺伝子の塩基配列は、例えば米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information;NCBI)が公開するデータベースにおいて登録されており、公知である。具体例として、ヒトのLPA受容体のアミノ酸配列及びこれをコードする遺伝子の塩基配列のアクセッション番号を下記に示す。
LPA1受容体(ヒト):NP_001392(アミノ酸配列)、NM_001401(塩基配列);
LPA2受容体(ヒト):NP_004711(アミノ酸配列)、NM_004720(塩基配列);
LPA3受容体(ヒト):NP_036284(アミノ酸配列)、NM_012152(塩基配列);
LPA4受容体(ヒト):NP_005287(アミノ酸配列)、NM_005296(塩基配列);
LPA5受容体(ヒト):NP_065133(アミノ酸配列)、NM_020400(塩基配列)。
LPA2受容体(ヒト):NP_004711(アミノ酸配列)、NM_004720(塩基配列);
LPA3受容体(ヒト):NP_036284(アミノ酸配列)、NM_012152(塩基配列);
LPA4受容体(ヒト):NP_005287(アミノ酸配列)、NM_005296(塩基配列);
LPA5受容体(ヒト):NP_065133(アミノ酸配列)、NM_020400(塩基配列)。
本発明において機能抑制の対象となるLPA受容体は、LPA1受容体及びLPA3受容体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、LPA1受容体であることが特に好ましい。
本発明の培養方法において、LPA受容体の機能を抑制する具体的な手段は、特に限定されるものではない。例えば、LPA受容体アンタゴニスト等のLPA受容体の機能を抑制できる化合物の存在下で培養を行う、RNA干渉法(RNAi法)によりLPA受容体をコードする遺伝子の発現を抑制するなどの手段が挙げられる。簡便性の観点から、LPA受容体アンタゴニストの存在下で培養を行うことが好ましい。
LPA受容体の機能を抑制できる化合物は、天然化合物(例えば、動物、植物、細菌等の微生物に由来する化合物)又は合成化合物のいずれであってもよい。無論、天然化合物に必要に応じた改変を加えた化合物であってもよい。LPA受容体の機能を抑制できる化合物には、LPA受容体の機能を抑制できるものである限り、ポリペプチド、タンパク質、核酸、糖類、脂質、有機化合物、無機化合物等、又はその組み合わせが含まれる。
LPA受容体の機能を抑制できる化合物の好適な例であるLPA受容体アンタゴニストとしては、LPA受容体アンタゴニストでありかつ本発明の効果を阻害しないものである限り、公知のものまたは今後新たに開発されるものを用いることができる。LPA受容体アンタゴニストとしては、ジオクチルグリセリルピロリン酸(dioctyl glyceryl pyrophosphate、DGPP)、ジオクチルホスファチジン酸(dioctylphosphatidic acid)、Ki16425 (3-(4-[4-([1-(2-chlorophenyl)ethoxy]carbonylamino)-3-methyl-5-isoxazolyl]benzylthio)propanoic acid)、VPC12249 (N-[(1S)-1-[4-(Benzyloxy)benzyl]-2-(phosphonooxy)ethyl]oleic amide)、VPC32183 (Phosphoric acid 2-(oleoylamino)-3-[4-(2-pyridylmethoxy)phenyl]propyl ester)、AM152(Amira Pharmaceuticals, Inc)、AM095 (sodium, {4'-[3-methyl-4-((R)-1-phenyl-ethoxycarbonylamino)-isoxazol-5-yl]-biphenyl-4-yl}-acetate、Amira Pharmaceuticals, Inc)、AM966(4'-{4-[(R)-1-(2-chloro-phenyl)-ethoxycarbonylamino]-3-methyl-isoxazol-5-yl}-biphenyl-4-yl)-acetic acid、Amira Pharmaceuticals, Inc)などの化合物又はその生理的に許容される塩が挙げられる。その他のLPA受容体アンタゴニストとして、リン酸モノテトラデカ-9-エニルエステル(Phosphoric acid monotetradec-9-enyl ester)、リン酸モノテトラデカ-11-エニルエステル(Phosphoric acid monotetradec-11-enyl ester)、チオリン酸O-テトラデシルエステル(Thiophosphoric acid O-tetradecyl ester)、チオリン酸O-テトラデカ-9-エニルエステル(Thiophosphoric acid O-dodec-9-enyl ester)、n-テトラデシル-ホスホネート(n-tetradecylphosphonate)、(1,1-ジフルオロ-ペンタデシル)ホスホン酸((1,1-Difluoro-pentadecyl) Phosphonic Acid)などの国際公開WO2005/032494で開示されるLPA受容体アンタゴニストも挙げられる。なお、これらのLPA受容体アンタゴニストは、LPA受容体の下流へのシグナル伝達が有意に低減することが公知である。あるいは、LPA受容体アンタゴニストは、LPA受容体の機能を抑制することができる抗体(中和抗体など)であってもよい。
LPA受容体の機能を抑制できる化合物の好適な例であるLPA受容体アンタゴニストとしては、LPA受容体アンタゴニストでありかつ本発明の効果を阻害しないものである限り、公知のものまたは今後新たに開発されるものを用いることができる。LPA受容体アンタゴニストとしては、ジオクチルグリセリルピロリン酸(dioctyl glyceryl pyrophosphate、DGPP)、ジオクチルホスファチジン酸(dioctylphosphatidic acid)、Ki16425 (3-(4-[4-([1-(2-chlorophenyl)ethoxy]carbonylamino)-3-methyl-5-isoxazolyl]benzylthio)propanoic acid)、VPC12249 (N-[(1S)-1-[4-(Benzyloxy)benzyl]-2-(phosphonooxy)ethyl]oleic amide)、VPC32183 (Phosphoric acid 2-(oleoylamino)-3-[4-(2-pyridylmethoxy)phenyl]propyl ester)、AM152(Amira Pharmaceuticals, Inc)、AM095 (sodium, {4'-[3-methyl-4-((R)-1-phenyl-ethoxycarbonylamino)-isoxazol-5-yl]-biphenyl-4-yl}-acetate、Amira Pharmaceuticals, Inc)、AM966(4'-{4-[(R)-1-(2-chloro-phenyl)-ethoxycarbonylamino]-3-methyl-isoxazol-5-yl}-biphenyl-4-yl)-acetic acid、Amira Pharmaceuticals, Inc)などの化合物又はその生理的に許容される塩が挙げられる。その他のLPA受容体アンタゴニストとして、リン酸モノテトラデカ-9-エニルエステル(Phosphoric acid monotetradec-9-enyl ester)、リン酸モノテトラデカ-11-エニルエステル(Phosphoric acid monotetradec-11-enyl ester)、チオリン酸O-テトラデシルエステル(Thiophosphoric acid O-tetradecyl ester)、チオリン酸O-テトラデカ-9-エニルエステル(Thiophosphoric acid O-dodec-9-enyl ester)、n-テトラデシル-ホスホネート(n-tetradecylphosphonate)、(1,1-ジフルオロ-ペンタデシル)ホスホン酸((1,1-Difluoro-pentadecyl) Phosphonic Acid)などの国際公開WO2005/032494で開示されるLPA受容体アンタゴニストも挙げられる。なお、これらのLPA受容体アンタゴニストは、LPA受容体の下流へのシグナル伝達が有意に低減することが公知である。あるいは、LPA受容体アンタゴニストは、LPA受容体の機能を抑制することができる抗体(中和抗体など)であってもよい。
上記のLPA受容体アンタゴニストのうち、LPA1受容体及びLPA3受容体のアンタゴニストとしては、例えば、DGPP、dioctylphosphatidic acid、Ki16425、VPC12249及びVPC32183が挙げられる。LPA1受容体アンタゴニストとして、例えば、上記のDGPP、dioctylphosphatidic acid、Ki16425、VPC12249及びVPC32183に加えて、AM152、AM095及びAM966が挙げられる。
LPA受容体アンタゴニストの存在下で培養を行う場合、例えば該アンタゴニストを含む培地を用いて培養を行うことができる。アンタゴニストの含有量は特に限定されるものではなく、LPA受容体の機能を抑制できる範囲内で当業者が適宜設定することができる。好ましい含有量としては、10nM〜1mM程度、より好ましくは0.1〜100μM程度、特に好ましくは1〜10μM程度の範囲を挙げることができる。
RNA干渉法(RNAi法)によりLPA受容体をコードする遺伝子の発現を抑制は、公知の手法を用いて行うことができる。具体的には、幹細胞にリポフェクション法などの手段で、siRNAなどのRNA干渉を起こすことができるRNA分子を導入する方法などが挙げられる。siRNA等の配列は、LPA受容体をコードする遺伝子の塩基配列に基づき、当業者が適宜設計することができる。
本発明の培養方法は、幹細胞をLPA受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む点以外は、通常の幹細胞の培養と同様にして行うことができる。なお、本発明の培養方法は、常に幹細胞をLPA受容体の機能を抑制する条件下で培養する物であることが好ましい。
培養は、通常培地を用いて行う。用いる培地は、幹細胞の培養に適した培地であれば特に限定されるものではない。このような培地として、Minimum Essential Medium(MEM)培地等が挙げられる。培地は、必要に応じて通常の幹細胞の培養の際に含める添加剤を含むものであってもよい。添加剤の具体例として、牛胎児血清(fetal bovine serum)、アミノ酸(例えば、L-グルタミン等)、抗生物質(例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン等)が挙げられる。
本発明の培養の好ましい態様として、継代培養が挙げられる。継代培養においては、コンフルエント状態に到達する前に幹細胞を回収し、例えば間葉系幹細胞の場合は60細胞/cm2程度となるように細胞を新しい培地に播種する。また、本発明の培養において、培地を適宜(例えば、2〜5日毎に、好ましくは3日毎に)交換することが好ましい。
上記培養は、例えば上記の培地を用いて、当業者に公知の手法で行なうことができる。好適な培養を行なう手法として、約37℃程度および二酸化炭素濃度約5 %程度の条件下で培養する手法が例示されるが、これに限定されるものではない。上記条件での培養は、例えば公知のCO2インキュベータを用いて行なうことができる。
かくして、本発明の培養方法により、幹細胞の機能を保持したまま、幹細胞の分裂回数を向上することが可能となる。当該効果は、幹細胞の自己複製能を維持する効果、幹細胞の細胞老化を抑制する効果とも換言することができる。すなわち、本発明は、幹細胞の自己複製能を維持する方法、及び幹細胞の細胞老化を抑制する方法をも提供する。
本明細書において、細胞老化は、当業者において公知の指標を基準に評価することができる。このような指標を測定する手段として、例えば、線維芽細胞コロニー形成単位(Colony forming unit-fibroblast、CFU-F)を測定する方法(CFU-Fアッセイ)、細胞の細胞老化関連βガラクトシダーゼ(senescence-associated β-galactosidase、SA-β-Gal)の活性を測定する方法(SA-β-Galアッセイ)、テロメア長を測定する方法、細胞老化に相関して発現量が変化するタンパク質(例えば、p16Ink4aタンパク質、Rbタンパク質、p53タンパク質、p21Cip1タンパク質等の細胞老化に相関して発現量が亢進するタンパク質)を定量する方法などが挙げられる。これら方法は公知であり、当業者は適宜実施することができる。具体的には、継代した細胞を初代培養細胞若しくはより若い世代の細胞を比較した場合の、CFU-Fアッセイにおけるコロニー形成数の減少、SA-β-GalアッセイにおけるSA-β-Gal活性の亢進、テロメア長の短縮、細胞老化に相関して発現量が変化するタンパク質の発現量の変化が細胞老化の指標となる。細胞老化を評価する際において、上記またはそれ以外の公知の指標から選ばれる少なくとも1つを用いることができる。簡便のために、SA-β-Galアッセイの結果のみを指標とすることもできる。
2.幹細胞の細胞老化抑制剤
前述の通り、幹細胞をリゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法により、幹細胞の細胞老化が抑制される。すなわち、本発明はLPA受容体の機能を抑制できる化合物を含む、幹細胞の細胞老化抑制剤をも提供する。「幹細胞の細胞老化抑制剤」は、「幹細胞の自己複製能維持剤」と換言することができる。また、本発明はLPA受容体の機能を抑制できる化合物の、幹細胞の細胞老化を抑制するための使用を提供するものでもある。
前述の通り、幹細胞をリゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法により、幹細胞の細胞老化が抑制される。すなわち、本発明はLPA受容体の機能を抑制できる化合物を含む、幹細胞の細胞老化抑制剤をも提供する。「幹細胞の細胞老化抑制剤」は、「幹細胞の自己複製能維持剤」と換言することができる。また、本発明はLPA受容体の機能を抑制できる化合物の、幹細胞の細胞老化を抑制するための使用を提供するものでもある。
LPA受容体の機能を抑制できる化合物としては、上記「1.」欄に記載のものを用いる。
上記幹細胞の細胞老化抑制剤が提供される形態は、LPA受容体の機能を抑制できる化合物を、現に幹細胞の細胞老化抑制を現に実施する際に、LPA受容体の機能を抑制できる化合物の有効含有量を10nM〜1mM程度、より好ましくは0.1〜100μM程度、特に好ましくは1〜10μM程度の範囲とすることができる形態であれば特に限定されるものではない。具体的な形態としては、例えば、上記の含有量でLPA受容体の機能を抑制できる化合物を含む液体、上記の含有量以上の量でLPA受容体の機能を抑制できる化合物を含む液体(濃縮液体)、LPA受容体の機能を抑制できる化合物を含む固形剤等が挙げられる。
幹細胞の細胞老化抑制剤は、提供される形態に応じて、LPA受容体の機能を抑制できる化合物の効果を阻害しない範囲で、通常の溶媒、基材を含むものであってもよい。
幹細胞の細胞老化抑制剤の具体的用途は、幹細胞の細胞老化抑制が必要とされる用途であれば特に限定されるものではないが、好適な例として後述の「3.」欄に記載の幹細胞用組成物及び「4.」欄に記載の皮膚外用組成物が挙げられる。
3.幹細胞用組成物
本発明の幹細胞用組成物は、有効成分としてLPA受容体の機能を抑制できる化合物として含む。上記幹細胞用組成物は、「2.」欄に記載の細胞老化抑制剤を含むものであってもよい。
本発明の幹細胞用組成物は、有効成分としてLPA受容体の機能を抑制できる化合物として含む。上記幹細胞用組成物は、「2.」欄に記載の細胞老化抑制剤を含むものであってもよい。
LPA受容体の機能を抑制できる化合物としては、上記「1.」欄に記載のものを用いる。上記幹細胞用組成物中のLPA受容体の機能を抑制できる化合物の含有量は、皮膚外用組成物の具体的用途に応じて適宜選択することができるが、例えば10nM〜1mM程度、より好ましくは0.1〜100μM程度、特に好ましくは1〜10μM程度の範囲を挙げることができる。
本発明の幹細胞用組成物は、上記LPA受容体の機能を抑制できる化合物を含有することで、幹細胞を培養、保存等の取り扱いの際に、幹細胞の老化を抑制することができる。すなわち、本発明の幹細胞用組成物の好ましい態様としては、幹細胞用培地、幹細胞用保存剤が挙げられる。
本発明の幹細胞用組成物が幹細胞用培地である場合は、上記LPA受容体の機能を抑制できる化合物以外に、幹細胞の培養に適した培地を含む。また、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で通常の幹細胞の培養の際に含める添加剤を含むものであってもよい。培地及び添加剤の具体例については、上記「1.」欄において例示したとおりである。
本発明の幹細胞用組成物が幹細胞用培地である場合は、上記LPA受容体の機能を抑制できる化合物以外に、幹細胞の培養に適した保存剤を含む。また、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で通常の幹細胞の保存の際に含める添加剤を含むものであってもよい。
4.皮膚外用組成物
本発明の皮膚外用組成物は、有効成分としてLPA受容体の機能を抑制できる化合物として含む。上記幹細胞用組成物は、「2.」欄に記載の細胞老化抑制剤を含むものであってもよい。
本発明の皮膚外用組成物は、有効成分としてLPA受容体の機能を抑制できる化合物として含む。上記幹細胞用組成物は、「2.」欄に記載の細胞老化抑制剤を含むものであってもよい。
LPA受容体の機能を抑制できる化合物としては、上記「1.」欄に記載のものを用いる。上記幹細胞用組成物中のLPA受容体の機能を抑制できる化合物の含有量は、皮膚外用組成物の具体的用途に応じて適宜選択することができるが、例えば10nM〜1mM程度、より好ましくは0.1〜100μM程度、特に好ましくは1〜10μM程度の範囲を挙げることができる。
本発明の皮膚外用組成物は、上記LPA受容体の機能を抑制できる化合物を含有することで、皮膚において幹細胞老化抑制が必要とされる疾患、症状に対して効果を発揮する。例えば、皮膚に存在する間葉系幹細胞などの幹細胞の老化を防止することで、皮膚の再生が必要である皮膚の損傷(例えば創傷、咬傷、熱傷、凍傷、放射線障害、紫外線照射など)を治療、皮膚の老化によって生じる褥瘡(床ずれ)を予防、審美的外観(ハリ、ツヤの喪失、シミ、ソバカスの増加等)の劣化を予防などの美容効果を発揮することができる。毛母幹細胞、毛包幹細胞等の老化によって生じる脱毛、薄毛の治療および予防の効果も発揮することができる。
本発明の皮膚外用組成物は、上記のLPA受容体の機能を抑制できる化合物以外に、通常使用される基剤又は担体等を含むものであることが好ましい。基剤又は担体等は、皮膚外用組成物が提供される剤形に応じて当業者が適宜選択することができる。本発明の皮膚外用組成物は、化粧品組成物(メーキャップ化粧料、基礎化粧料、化粧品)、医薬組成物(医薬品、医薬部外品)等として提供されることが好ましい。
本発明の皮膚外用組成物は、創傷治癒剤、褥瘡の予防剤若しくは治療剤、脱毛予防剤若しくは治療剤(育毛剤)、化粧品などとして提供されるものであってもよい。
本発明の皮膚外用組成物は、創傷治癒剤、褥瘡の予防剤若しくは治療剤、脱毛予防剤若しくは治療剤(育毛剤)、化粧品などとして提供されるものであってもよい。
皮膚外用組成物が提供される剤形は特に限定されるものではなく、湿布剤、テープ剤、パッチ剤などの貼付剤;液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤などの塗布剤が好適な例として挙げられる。
また、本発明の皮膚外用組成物は、生理的に許容される添加剤を必要に応じて1種または2種以上含むものであってもよい。このような添加剤としては、増粘剤、ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、色材、防腐剤等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明の皮膚外用剤は、これを1日1〜数回皮膚に塗布、貼付等の経皮投与手段で投与すればよい。医薬組成物として使用する場合は、LPA受容体の機能を抑制できる化合物を成人1日あたり例えば0.01〜1000mg、好ましくは0.1〜100mg程度となるように投与すればよい。
本発明は、LPA受容体の機能を抑制できる化合物を投与する工程を含む、上記の皮膚の損傷の治療方法、褥瘡の予防若しくは治療方法、脱毛の予防若しくは治療方法をも提供するものである。また、LPA受容体の機能を抑制できる化合物を投与する工程を含む、美容方法をも提供する。
本発明は、LPA受容体の機能を抑制できる化合物の、創傷治癒剤、褥瘡の予防剤若しくは治療剤、脱毛予防剤若しくは治療剤(育毛剤)、化粧品等を製造するための使用をも提供する。
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記実施例において、測定値は、別途記載がない限り、平均値±標準誤差として求めた。差の統計的有意の判定はスチューデントのt検定を用いて行い、P値が0.05以下(P<0.05)である場合に、統計的有意差があると判定した。
[実施例1]
間葉系幹細胞において、継代培養を通じて自己増殖能が失われることを確認した。
間葉系幹細胞において、継代培養を通じて自己増殖能が失われることを確認した。
<実験方法>
(1)間葉系幹細胞
ヒト由来の間葉系幹細胞の初代細胞(1世代目、passage 1)は、Texas A&M Health Science Center for the Preparation and Distribution of Adult Stem Cells(米国テキサス州テンプル市)より入手した。
(1)間葉系幹細胞
ヒト由来の間葉系幹細胞の初代細胞(1世代目、passage 1)は、Texas A&M Health Science Center for the Preparation and Distribution of Adult Stem Cells(米国テキサス州テンプル市)より入手した。
(2)培養条件
間葉系幹細胞は、37℃、二酸化炭素濃度5%の条件下で、下記組成の培地中で維持した。
培地:Minimum Essential Medium Alpha(インビトロジェン社製);添加剤として 17 % 牛胎児血清(fetal bovine serum)(ニチレイ社製)、100 units/ml ペニシリン(インビトロジェン社製)、100 μg/mlストレプトマイシン(インビトロジェン社製)、及び2 mM L-グルタミン(インビトロジェン社製)を含む。
間葉系幹細胞は、37℃、二酸化炭素濃度5%の条件下で、下記組成の培地中で維持した。
培地:Minimum Essential Medium Alpha(インビトロジェン社製);添加剤として 17 % 牛胎児血清(fetal bovine serum)(ニチレイ社製)、100 units/ml ペニシリン(インビトロジェン社製)、100 μg/mlストレプトマイシン(インビトロジェン社製)、及び2 mM L-グルタミン(インビトロジェン社製)を含む。
(3)継代培養
凍結チューブ中の間葉系幹細胞の初代培養細胞1×106細胞を素早く融解し、150mm径の培養皿(Corning社製)に播種した。24時間培養を行い、非接着性である死滅細胞を除去するために、常法に従いトリプシン−EDTA溶液を用いて接着性の細胞を回収し、細胞の密度が1cm2あたり60細胞となるように再び播種した。3日毎に培養液を交換し培養を行った。
凍結チューブ中の間葉系幹細胞の初代培養細胞1×106細胞を素早く融解し、150mm径の培養皿(Corning社製)に播種した。24時間培養を行い、非接着性である死滅細胞を除去するために、常法に従いトリプシン−EDTA溶液を用いて接着性の細胞を回収し、細胞の密度が1cm2あたり60細胞となるように再び播種した。3日毎に培養液を交換し培養を行った。
9日間の培養後(すなわち、培養状態がコンフルエント状態に到達する前を意味する。)、細胞を回収し、新しい培養皿に、細胞の密度が1cm2あたり60細胞となるように再び播種し、継代を行った(2世代目(passage 2))。
以後、3日毎に培養液を交換しながら9日間の培養後に継代を繰り返した。
(4)繊維芽細胞コロニー形成単位(Colony-forming unit-fibroblast、CFU-F)の測定
細胞がコロニーを形成できる数により表されるCFU-Fは、細胞の分化能及び自己複製能の指標の一つとして知られている。
細胞がコロニーを形成できる数により表されるCFU-Fは、細胞の分化能及び自己複製能の指標の一つとして知られている。
CFU-Fアッセイを行う細胞について、100mm径の培養皿に、1培養皿あたり100細胞となるように細胞を播種した。3日毎に培養液を交換しながら15日間培養を行い、コロニーを形成させた。その後、クリスタルバイオレット染色溶液(Crystal violet staining solution、Kanto Chemicals社製)を用いて、培養した試料を室温で20分間染色した。染色した試料を水洗し、乾燥させた。
コロニー数を肉眼で測定し、培養皿あたりのコロニー数を求めた。
(5)老化関連β−ガラクトシダーゼ(Senescence associated β-galactosidase、SA-β-gal)活性の測定
SA-β-galは、細胞老化に相関して活性が上昇するため、細胞老化を評価するためのバイオマーカーの一つとして知られている。
SA-β-galは、細胞老化に相関して活性が上昇するため、細胞老化を評価するためのバイオマーカーの一つとして知られている。
アッセイを行う間葉系幹細胞の細胞単層を、0.2%グルタルアルデヒド溶液を用いて室温で20分間固定した。PBS緩衝液で2回洗浄した後に、SA-β-gal染色溶液(4 mM K3[Fe(CN)6]、4 mM K4[Fe(CN)6]、2 mM MgCl2、及び1 mg/ml X-galを含むPBS緩衝液 (pH 6))を用いて37℃で24時間染色した。染色した細胞は、目視および明視野顕微鏡下(倍率:100倍)で観察した。
また、各ウェルあたりのSA-β-Galの全活性量は、Beta-Glo Assay System (Promega, 社製)を用いても測定した。測定は、製造者が提示する手順に従って行った。概略は以下の通りである。間葉系幹細胞の細胞単層をpassive lysis bufferを用いて溶解したライセートに、Beta-Glo Assay Reagentを添加した。30分後、SA-β-Galと比例する蛍光シグナルを、Luminescencer PSN luminometer(ATTO社製)を用いて2秒間測定した。
(6)テロメア長の測定
間葉系幹細胞のテロメア長の平均値は、公知のゲノムDNAを鋳型としたリアルタイムPCR法により求めた。リアルタイムPCRは、DNA Engine Opticon 2 System(Bio-Rad Laboratories社製)及びSYBR GreenER qPCR SuperMix Universal(Invitrogen)を用いて行った。リアルタイムPCRにおいて、テロメアを検出するプライマーセット、又は単一コピー存在することが知られている36B4遺伝子座を検出するプライマーセットを用いた。プライマーセットの塩基配列を下記に示す。
間葉系幹細胞のテロメア長の平均値は、公知のゲノムDNAを鋳型としたリアルタイムPCR法により求めた。リアルタイムPCRは、DNA Engine Opticon 2 System(Bio-Rad Laboratories社製)及びSYBR GreenER qPCR SuperMix Universal(Invitrogen)を用いて行った。リアルタイムPCRにおいて、テロメアを検出するプライマーセット、又は単一コピー存在することが知られている36B4遺伝子座を検出するプライマーセットを用いた。プライマーセットの塩基配列を下記に示す。
テロメア:
5’-GGTTTTTGAGGGTGAGGGTGAGGGTGAGGGTGAGGGT-3’ (配列番号1)、
5’-TCCCGACTATCCCTATCCCTATCCCTATCCCTATCCCTA-3’ (配列番号2)。
5’-GGTTTTTGAGGGTGAGGGTGAGGGTGAGGGTGAGGGT-3’ (配列番号1)、
5’-TCCCGACTATCCCTATCCCTATCCCTATCCCTATCCCTA-3’ (配列番号2)。
36B4遺伝子座:
5’-CAGCAAGTGGGAAGGTGTAATCC-3’ (配列番号3)、
5’-CCCATTCTATCATCAACGGGTACAA-3’ (配列番号4)。
5’-CAGCAAGTGGGAAGGTGTAATCC-3’ (配列番号3)、
5’-CCCATTCTATCATCAACGGGTACAA-3’ (配列番号4)。
36B4遺伝子座のPCR産物に対するテロメアのPCR産物の量比(telomere/36B4比)は、テロメア長の平均値に比例することを前提として、対照試料のtelomere/36B4比に対する試料のtelomere/36B4比の相対比を、相対テロメア長として求めた。
<結果及び考察>
図1に、継代培養を行った2世代目(passage 2)、3世代目(passage 3)及び4世代目(passage 4)の間葉系幹細胞についての各測定の結果を示す(各測定において、各世代についてn=3)。
図1に、継代培養を行った2世代目(passage 2)、3世代目(passage 3)及び4世代目(passage 4)の間葉系幹細胞についての各測定の結果を示す(各測定において、各世代についてn=3)。
図1Aは、CFU-Fアッセイの結果を示す。世代の経過に従い、CFU-Fは減少した。ただし、passage 2のCFU-Fに対して、passage 3及びpassage 4のCFU-Fは統計学的な有意差は見られなかった(passage 3:P=0.06、passage 4:P=0.05)。
図1Bは、SA-β-galアッセイの結果を示す。世代の経過に従い、SA-β-gal活性は緩やかに増加した。SA-β-gal活性の増加は、統計学的に顕著な有意差が見られた。(passage 2対passage 3:P<0.01、passage 3対passage 4:P<0.01、passage 2対passage 4:P<0.01)。
図1Cは、テロメア長の測定結果を示す。世代の経過に従い、テロメア長は継代培養に伴う細胞老化と相関しており、特にpassage 3とpassage 4との間で顕著なテロメア長の短縮が観察された(P<0.05)。
これらの結果は、間葉系幹細胞を通常の条件下で継続して継代培養を行うと、特にテロメア長の短縮及びコロニー形成能の低下に基づく、細胞老化が進行することを示している。
[実施例2]
LPA受容体アンタゴニストの存在下で間葉系幹細胞を培養することによる、間葉系幹細胞の老化抑制の効果を検証した。
LPA受容体アンタゴニストの存在下で間葉系幹細胞を培養することによる、間葉系幹細胞の老化抑制の効果を検証した。
<実験方法>
(1)LPA受容体アンタゴニストの存在下での培養
ヒト間葉系幹細胞の培養は、5% Ki16425/0.1% DMSO溶液を培地に添加した条件下で培養を行った以外は、実施例1に記載の方法と同様に行った。Ki16425は、LPA1受容体及びLPA3受容体に対すると特異的なアンタゴニストである。0.1% DMSO溶液を添加した培地で培養を行ったものを、対照群とした。
(1)LPA受容体アンタゴニストの存在下での培養
ヒト間葉系幹細胞の培養は、5% Ki16425/0.1% DMSO溶液を培地に添加した条件下で培養を行った以外は、実施例1に記載の方法と同様に行った。Ki16425は、LPA1受容体及びLPA3受容体に対すると特異的なアンタゴニストである。0.1% DMSO溶液を添加した培地で培養を行ったものを、対照群とした。
一定期間における細胞倍加数(number of population doubling)は、次式により求めた:log10(Ne/Ns) / log102。ただし、Nsは測定期間の開始時に播種した細胞数を表し、Neは測定期間の終了時における細胞数を表す。
(2)ウェスタンブロット解析
ヒト間葉系幹細胞を、Protease Inhibitor Cocktail及びPhophatese Inhibitor Cocktail を添加したRIPA buffer(各々、Sigma-Aldrich社製)を用いて溶解した。
ヒト間葉系幹細胞を、Protease Inhibitor Cocktail及びPhophatese Inhibitor Cocktail を添加したRIPA buffer(各々、Sigma-Aldrich社製)を用いて溶解した。
タンパク質をNovex 10% Tris-Glycine ゲルを用いてSDS-PAGE法により分離し、iBlotを用いてPVDF膜へと転写した(各々、Invitrogen社製)。タンパク質を転写したPVDF膜は、2.5% skim milk及び0.05% Tween-20を含むPBS緩衝液を用いてブロッキング処理を施した後に、後述の特異的1次抗体、及び1次抗体に対応するセイヨウワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase、HRP)標識2次抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)を用いてイムノブロットを行った。シグナルの検出は、ECL Detection System(GE Healthcare社製)を用いて行った。
用いた1次抗体は下記の通りである。
anti-phosphorylated cPLA2 (Ser505)(Cell Signaling Technology社製)、
anti-total cPLA2(Cell Signaling Technology社製)、
anti-p16INK4a(Abnova社製)、
anti-Rb (retinoblastoma-associated protein /RB1)(Acris Antibodies社製)、
anti-p53 (Thermo Fisher Scientific社製)
anti-p21Cip1(Signalway Antibody,社製)
anti-β-actin (clone AC-15,)(Sigma-Aldrich社製)。
anti-phosphorylated cPLA2 (Ser505)(Cell Signaling Technology社製)、
anti-total cPLA2(Cell Signaling Technology社製)、
anti-p16INK4a(Abnova社製)、
anti-Rb (retinoblastoma-associated protein /RB1)(Acris Antibodies社製)、
anti-p53 (Thermo Fisher Scientific社製)
anti-p21Cip1(Signalway Antibody,社製)
anti-β-actin (clone AC-15,)(Sigma-Aldrich社製)。
シグナル強度の定量は、Quantity One software (Bio-Rad Laboratories社製)を用いて行った。
(3)RT-PCR法
全量RNA(total RNA)は、RNeasy Plus kit(QIAGEN社製)を用いて抽出した。得られたRNAを鋳型として、SuperScriptIII first-strand synthesis system(Invitrogen社製)を用いて逆転写を行い、cDNAを得た。得られたcDNAを鋳型としたリアルタイムPCRは、実施例1に記載の方法と同様にして行った。
全量RNA(total RNA)は、RNeasy Plus kit(QIAGEN社製)を用いて抽出した。得られたRNAを鋳型として、SuperScriptIII first-strand synthesis system(Invitrogen社製)を用いて逆転写を行い、cDNAを得た。得られたcDNAを鋳型としたリアルタイムPCRは、実施例1に記載の方法と同様にして行った。
リアルタイムPCRによるmRNAの発現量の定量データは、glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)遺伝子の発現量により標準化した。LPA1遺伝子の発現量に対する発現量の相対比を、相対発現量として求めた。用いた。プライマーセットの塩基配列を下記に示す。
LPA1遺伝子:
5’-AATCGGGGATACCATGATGAGTCTT-3’ (配列番号5)
5’-CCAGGAGTCCAGCAGATGATAAA-3’ (配列番号6)。
5’-AATCGGGGATACCATGATGAGTCTT-3’ (配列番号5)
5’-CCAGGAGTCCAGCAGATGATAAA-3’ (配列番号6)。
LPA2遺伝子:
5’-CGCTCAGCCTGGTCAAGACT-3’ (配列番号7)、
5’-TTGCAGGACTCACAGCCTAAAC-3’ (配列番号8)。
5’-CGCTCAGCCTGGTCAAGACT-3’ (配列番号7)、
5’-TTGCAGGACTCACAGCCTAAAC-3’ (配列番号8)。
LPA3遺伝子:
5’-AGGACACCCATGAAGCTAATGAA-3’ (配列番号9)、
5’-GCCGTCGAGGAGCAGAAC-3’ (配列番号10)。
5’-AGGACACCCATGAAGCTAATGAA-3’ (配列番号9)、
5’-GCCGTCGAGGAGCAGAAC-3’ (配列番号10)。
LPA4遺伝子:
5’-AAAGATCATGTACCCAATCACCTT-3’ (配列番号11)、
5’-CTTAAACAGGGACTCCATTCTGAT-3’ (配列番号12)。
5’-AAAGATCATGTACCCAATCACCTT-3’ (配列番号11)、
5’-CTTAAACAGGGACTCCATTCTGAT-3’ (配列番号12)。
LPA5,遺伝子:
5’-CTCTCCTACTACGCACTGCACCACT-3’ (配列番号13)、
5’-GAAGCTCTCGAAGCATAGGCGCA-3’ (配列番号14)。
5’-CTCTCCTACTACGCACTGCACCACT-3’ (配列番号13)、
5’-GAAGCTCTCGAAGCATAGGCGCA-3’ (配列番号14)。
<結果及び考察>
図2に結果を示す。
図2に結果を示す。
図2Aは、継代培養における細胞増殖速度を示す。Ki16425を添加しない条件下で培養した間葉系幹細胞は、54日間(5世代)に渡り一定の細胞増加をした後に、増殖が停止し累積細胞倍加数(cumulat ive population doubling)の増加が見られなくなった。これに対して、Ki16425を添加した条件下で培養した間葉系幹細胞は、108日間(12世代)に渡りcumulative population doublingが増加を続け、観察を続けた全期間に渡り自己増殖能が維持された。
図2BはcPLA2タンパク質についてのウェスタンブロット解析の結果を示す。リン酸化型細胞質型ホスホリパーゼA2(cytosolic phospholipase A2、cPLA2)タンパク質が検出できることは、ヒト間葉系幹細胞において、細胞膜のリン脂質からリゾホスファチジン酸(LPA)を生成する主要な酵素であるcPLA2が、活性化していることを示している。
図2Cは、各LPA受容体遺伝子サブタイプの発現量について、リアルタイムPCR解析の結果を示す。ヒト間葉系幹細胞において、LPA1受容体遺伝子が、他のLPA2受容体遺伝子、LPA3受容体遺伝子、LPA4受容体遺伝子、及びLPA5受容体遺伝子と比べて顕著に高い発現量を示すことが明らかとなった(他のLPA受容体遺伝子に対して、それぞれP<0.001)。
図2Dは、CFU-Fアッセイの結果を示す。LPA1/LPA3受容体に対するアンタゴニストの処理によって、前述の自己増殖能の亢進とともに、ヒト間葉系幹細胞ではCFU-Fコロニー数の増加(P<0.01)が観察された。
図2Eは、SA-β-Galアッセイの結果を示す。対照群では大半の細胞では強いSA-β-Gal染色が観察されたが、Ki16425で処理したヒト間葉系幹細胞ではほとんどの細胞でSA-β-Gal染色は観察されなかった。このことに相関して、Ki16425で処理したヒト間葉系幹細胞において顕著なSA-β-Gal活性の低下が観察された(P<0.001)。
図2Fは、テロメア長の測定結果を示す。Ki16425で処理したヒト間葉系幹細胞において、テロメア長は対照群と比べて2.2倍長かった(P<0.005)。
図2Gは、p16Ink4a-Rb経路及びp53-p21Cip1経路の因子についてのウェスタンブロッティング解析の結果を示す。p16Ink4a-Rb経路及びp53-p21Cip1経路の活性化により、種々の幹細胞において幹細胞としての機能の喪失が生じることが示唆されている。Ki16425で処理したヒト間葉系幹細胞において、p16Ink4aタンパク質、Rbタンパク質、p53タンパク質、及びp21Cip1タンパク質の発現量が対照群と比較して低下することが観察された。また、処理群及び対照群で、培養9日目と比較して18日目ではp16Ink4aタンパク質、p53タンパク質、及びp21Cip1タンパク質の発現量の増大することが観察されたが、Rbタンパク質は培養9日目と比較して18日目では発現量の減少することが観察された。
図2A〜Cの結果は、Ki16425は自己分泌性及び傍分泌性のLPAシグナル経路の阻害を通じて、ヒト間葉系幹細胞における自己複製能の細胞老化に伴う低減を抑止することを示している。図2D〜Gの結果は、LPA1/LPA3受容体を通じたLPAシグナル経路はヒト間葉系幹細胞の機能維持の制御において、重要な働きを有することを示唆している。さらに、継代培養においてLPAの自己活性化が細胞老化を引き起こしていることも示唆している。
[実施例3]
LPA受容体アンタゴニストの存在下で間葉系幹細胞を培養して得られた細胞の表現型を観察した。
LPA受容体アンタゴニストの存在下で間葉系幹細胞を培養して得られた細胞の表現型を観察した。
<実験方法>
(1)蛍光染色
実施例2と同様にして培養したヒト間葉系幹細胞を4% パラホルムアルデヒド溶液を用いて30分間固定し、PBS緩衝液で洗浄した。次に、固定された細胞を、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate、FITC)標識ファロイジン(Phalloidin) 5 U/ml、ヨウ化プロピジウム(propidium iodide) 5 μg/ml、及びTween-20 0.1 %を含むPBS緩衝液で30分間染色した。BX51 蛍光顕微鏡(オリンパス社製)を用いて、染色した細胞の位相差像及び蛍光像を観察した。
(1)蛍光染色
実施例2と同様にして培養したヒト間葉系幹細胞を4% パラホルムアルデヒド溶液を用いて30分間固定し、PBS緩衝液で洗浄した。次に、固定された細胞を、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate、FITC)標識ファロイジン(Phalloidin) 5 U/ml、ヨウ化プロピジウム(propidium iodide) 5 μg/ml、及びTween-20 0.1 %を含むPBS緩衝液で30分間染色した。BX51 蛍光顕微鏡(オリンパス社製)を用いて、染色した細胞の位相差像及び蛍光像を観察した。
なお、ファロイジン(Phalloidin)は、糸状アクチン(filamentous actin、F-actin)に対して高い親和性を有するプローブであり、ヨウ化プロピジウムは核を染色することができる。
(2)細胞周期解析
実施例2と同様にして培養したヒト間葉系幹細胞を回収し、80%エタノール溶液用いて、回収した細胞を4℃で一晩固定した。固定された細胞を、ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin) 0.1%及び7-AAD(DNA染色試薬、Imgenex社製) 0.25 μg/mlを含むPBS緩衝液に再懸濁し、4℃で1時間恒温放置した。次いで、Pyronin Y(RNA染色試薬、Sigma-Aldrich社製)を最終濃度が2 μg/mlとなるように添加し、さらに1時間恒温放置した。試料は4℃で保管した。
実施例2と同様にして培養したヒト間葉系幹細胞を回収し、80%エタノール溶液用いて、回収した細胞を4℃で一晩固定した。固定された細胞を、ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin) 0.1%及び7-AAD(DNA染色試薬、Imgenex社製) 0.25 μg/mlを含むPBS緩衝液に再懸濁し、4℃で1時間恒温放置した。次いで、Pyronin Y(RNA染色試薬、Sigma-Aldrich社製)を最終濃度が2 μg/mlとなるように添加し、さらに1時間恒温放置した。試料は4℃で保管した。
細胞周期解析は、EPICS XL cytometer及びEXPO32 ADCソフトウェア(Beckman Coulter社製)を用いて、製造者が提示する手順に従い行った。具体的には、7-AADの染色強度が低い細胞群G0期又はG1期の細胞群として判定し、G0/G1期の細胞群のうちPyronin Yの染色強度が低い群をG0期の細胞群と判定した。
(3)ウェスタンブロット解析
実施例2に記載の方法と同様にして行って。用いた1次抗体は下記の通りである。
anti-c-Myc(Santa Cruz Biotechnology社製)、
anti-Fbw7(Abnova社製)、
anti-phosphorylated FAK (Tyr861)(Signalway Antibody社製)、
anti-total FAK(BioLegend社製)。
実施例2に記載の方法と同様にして行って。用いた1次抗体は下記の通りである。
anti-c-Myc(Santa Cruz Biotechnology社製)、
anti-Fbw7(Abnova社製)、
anti-phosphorylated FAK (Tyr861)(Signalway Antibody社製)、
anti-total FAK(BioLegend社製)。
<結果及び考察>
図3に結果を示す。
図3に結果を示す。
図3A及びBは、Ki16425を添加した条件下で48時間培養したヒト間葉系幹細胞、および溶媒のみを添加した条件下で培養した対照群(Control)の表現型を示す。細胞老化に伴い、ヒト間葉系幹細胞は細胞の形態が、太くかつ短く変化することが知られている。Ki16425を添加して培養した細胞は、対照群と比べて細くかつ伸長した形態を有していることが、位相差顕微鏡像において観察された(図3A)。また、糸状アクチン(F-actin)を染色したところ、Ki16425を添加して培養した細胞は、対照群と比べて細胞体広がるアクチン束の形成が少ないことが観察されたため、前記の形態の差は細胞骨格の変化に基づくものであることが示唆される。
図3Cは、Rhoタンパク質の活性化を通じたアクチン骨格の構築に関わる主要因子であるfocal adhesion kinase(FAK)タンパク質についてのウェスタンブロッティング解析を示す。Ki16425を添加して培養した細胞は、添加後数時間以内にFAKタンパク質のリン酸化が低減した。
図3Dは、細胞周期解析の結果を示す。Ki16425を添加して培養したヒト間葉系幹細胞には、Pyronin Y染色が弱いG0期の細胞集団が、対照と比べて多く含まれていることが明らかとなった(P<0.05)。このことは、Ki16425の存在下で培養することにより、ヒト間葉系幹細胞が細胞周期を脱出し休止期に入る傾向が高い可能性を示唆している。
図3Eは、細胞周期関連因子についてのウェスタンブロット解析を示す。Ki16425を添加して培養したヒト間葉系幹細胞では、対照と比べて、培養日数と相関した(すなわち、培養2日目と4日目とを比較した場合後者での)c-Mycタンパク質の発現量の低下及びFBW7(F-box and WD repeat domain-containing 7)タンパク質の発現量の増大が観察された。なお、c-Mycタンパク質は細胞周期状態の遷移に関与する転写因子であり、FBW7タンパク質は、SCF型ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットであり、c-Mycタンパク質のポリユビキチン化を媒介しプロテアソームでの分解を促進する。また、Ki16425を添加して培養したヒト間葉系幹細胞では、対照と比べて、培養日数と相関したリン酸化型Aktタンパク質の増大も観察された。Aktタンパク質は、GSK3(glycogen synthase kinase 3)タンパク質の抑制及び/又はeIF4E(eukaryotic initiation fafto 4E)タンパク質の活性化を通じてc-Mycタンパク質の発現量を増大しうる。また、Aktタンパク質の下流因子は細胞生存、成長、増殖などにも関与する。LPA1/LPA3受容体の阻害は、間葉系幹細胞における複数のシグナル経路を調整して、細胞増殖速度を損なうことなく、分裂休止期への突入を誘導している可能性が示唆される。
[実施例4]
LPA受容体アンタゴニストの存在下で間葉系幹細胞を培養することの、間葉系幹細胞の分化能への寄与を検証した。
LPA受容体アンタゴニストの存在下で間葉系幹細胞を培養することの、間葉系幹細胞の分化能への寄与を検証した。
<実験方法>
1.骨細胞への分化能の検証
(1)骨細胞への分化誘導
Ki16425を添加した条件下(Ki16425)、又は溶媒のみを添加した条件下(対照、Control)で6日間培養したヒト間葉系幹細胞を、Collagen I Cellware 6穴プレート(BD Biosciences社製)を用いて、下記組成の骨形成培地中で、3日毎に培地交換を行いながら2週間培養し、骨細胞へと分化誘導した。
骨形成培地:complete culture medium、1 nM dexamethasone、20 mM β-glycerophosphate、50 μg/ml ascorbate 2-phosphate。
1.骨細胞への分化能の検証
(1)骨細胞への分化誘導
Ki16425を添加した条件下(Ki16425)、又は溶媒のみを添加した条件下(対照、Control)で6日間培養したヒト間葉系幹細胞を、Collagen I Cellware 6穴プレート(BD Biosciences社製)を用いて、下記組成の骨形成培地中で、3日毎に培地交換を行いながら2週間培養し、骨細胞へと分化誘導した。
骨形成培地:complete culture medium、1 nM dexamethasone、20 mM β-glycerophosphate、50 μg/ml ascorbate 2-phosphate。
(2)骨細胞の検出
前記(1)で得られた細胞単層を、10%ホルムアルデヒド溶液を用いて15分間固定し、0.1%アリザリンレッドS水溶液(Wako Chemicals社製)で常法により20分間染色した。染色した細胞を、目視および明視野顕微鏡下(倍率:100倍)で観察した。
前記(1)で得られた細胞単層を、10%ホルムアルデヒド溶液を用いて15分間固定し、0.1%アリザリンレッドS水溶液(Wako Chemicals社製)で常法により20分間染色した。染色した細胞を、目視および明視野顕微鏡下(倍率:100倍)で観察した。
また、ウェル毎にPassive Lysis Buffer(Promega社製)0.5mlを添加して細胞を溶解し、細胞中に取り込まれた色素を抽出した。EMax microplate reader(Molecular Devices社製)を用いて得られた抽出液の570nmの吸光度を測定し、染色強度を定量した。
(3)Osteopontin遺伝子の発現量測定
実施例に記載の方法と同様の方法により、RT-PCR法によりOsteopontin遺伝子の発現量(転写量)を測定した。なお、Osteopontin遺伝子は骨細胞へと分化した細胞で特異的に発現量が亢進する遺伝子である。
実施例に記載の方法と同様の方法により、RT-PCR法によりOsteopontin遺伝子の発現量(転写量)を測定した。なお、Osteopontin遺伝子は骨細胞へと分化した細胞で特異的に発現量が亢進する遺伝子である。
Osteopontin遺伝子の発現量測定のために用いたプライマーセットは、下記の通りである:
5’-CTAGGCATCACCTGTGCCATACC-3’ (配列番号 15)
5’-CAGTGACCAGTTCATCAGATTCATC-3’ (配列番号 16)。
5’-CTAGGCATCACCTGTGCCATACC-3’ (配列番号 15)
5’-CAGTGACCAGTTCATCAGATTCATC-3’ (配列番号 16)。
2.脂肪細胞への分化能の検証
(1)脂肪細胞への分化誘導
Ki16425を添加した条件下(Ki16425)、又は溶媒のみを添加した条件下(対照、Control)で6日間培養したヒト間葉系幹細胞を、Collagen I Cellware 6穴プレート(BD Biosciences社製)を用いて、下記組成の脂肪形成培地中で、3日毎に培地交換を行いながら3週間培養し、脂肪細胞へと分化誘導した。
脂肪形成培地:complete culture medium、0.5 μM dexamethasone、0.5 μM isobutylmethylxanthine、50 μM indomethacin。
(1)脂肪細胞への分化誘導
Ki16425を添加した条件下(Ki16425)、又は溶媒のみを添加した条件下(対照、Control)で6日間培養したヒト間葉系幹細胞を、Collagen I Cellware 6穴プレート(BD Biosciences社製)を用いて、下記組成の脂肪形成培地中で、3日毎に培地交換を行いながら3週間培養し、脂肪細胞へと分化誘導した。
脂肪形成培地:complete culture medium、0.5 μM dexamethasone、0.5 μM isobutylmethylxanthine、50 μM indomethacin。
(2)脂肪細胞の検出
前記(1)で得られた細胞単層を、10%ホルムアルデヒド溶液を用いて15分間固定し、0.18%オイルレッドOの60% イソプロパノール溶液(Sigma-Aldrich社製)で常法により20分間染色した。染色した細胞を、目視および明視野顕微鏡下(倍率:100倍)で観察した。
前記(1)で得られた細胞単層を、10%ホルムアルデヒド溶液を用いて15分間固定し、0.18%オイルレッドOの60% イソプロパノール溶液(Sigma-Aldrich社製)で常法により20分間染色した。染色した細胞を、目視および明視野顕微鏡下(倍率:100倍)で観察した。
また、ウェル毎にPassive Lysis Buffer(Promega社製)0.5mlを添加して細胞を溶解し、細胞中に取り込まれた色素を抽出した。EMax microplate reader(Molecular Devices社製)を用いて得られた抽出液の570nmの吸光度を測定し、染色強度を定量した。
(3)FABP4遺伝子の発現量測定
実施例に記載の方法と同様の方法により、RT-PCR法によりGADPH遺伝子に対するFABP4遺伝子の相対発現量(転写量)を測定した。なお、FABP4遺伝子は脂肪細胞へと分化した細胞で特異的に発現量が亢進する遺伝子である。
実施例に記載の方法と同様の方法により、RT-PCR法によりGADPH遺伝子に対するFABP4遺伝子の相対発現量(転写量)を測定した。なお、FABP4遺伝子は脂肪細胞へと分化した細胞で特異的に発現量が亢進する遺伝子である。
FABP4遺伝子の発現量測定のために用いたプライマーセットは、下記の通りである:
5’-ATGGGATGGAAAATCAACCA-3’ (配列番号17)、
5’-GTGGAAGTGACGCCTTTCAT-3’ (配列番号18)。
5’-ATGGGATGGAAAATCAACCA-3’ (配列番号17)、
5’-GTGGAAGTGACGCCTTTCAT-3’ (配列番号18)。
<結果及び考察>
図4に結果を示す。
図4に結果を示す。
図4Aは、骨細胞へと分化誘導したヒト間葉系幹細胞のアリザリンレッドS染色の結果を示す。Ki16425処理したヒト間葉系幹細胞は、対照と比べてよりリン酸カルシウム石化が観察された。また、細胞から抽出した色素量においても、顕著な差が観察された(P<0.005)。
図4Bは、脂肪細胞へと分化誘導したヒト間葉系幹細胞のオイルレッドO染色の結果を示す。Ki16425処理したヒト間葉系幹細胞は、対照と比べて強いオイルレッドO染色が観察されたため、細胞内に対照と比べて多くの脂肪を蓄積していることが明らかとなった。また、細胞から抽出した色素量においても、顕著な差が観察された(P<0.005)。
図4Cは、骨細胞へと分化誘導したヒト間葉系幹細胞におけるOsteopontin遺伝子の発現量の定量結果を示す。図4Dは、脂肪細胞へと分化誘導したヒト間葉系幹細胞におけるFABP4遺伝子の発現量の定量結果を示す。分化誘導前にKi16425処理を施したヒト間葉系幹細胞は、分化誘導後にOsteopontin遺伝子及びFABP4遺伝子の発現量が対照と比べて増大していることが観察された。すなわち、LPA受容体アンタゴニストは、ヒト間葉系幹細胞の自己増殖能だけではなく、分化能をも維持することに寄与する。
以上の結果は、Ki16425処理したヒト間葉系幹細胞は、対照と比べて骨細胞及び脂肪細胞への分化能が高いことを示している。
[実施例5]
間葉系幹細胞以外の幹細胞も、LPA受容体アンタゴニストの存在下で培養することにより細胞老化が抑制されることを検証した。
間葉系幹細胞以外の幹細胞も、LPA受容体アンタゴニストの存在下で培養することにより細胞老化が抑制されることを検証した。
<実験方法>
C57BL/6マウス(6週齢のメス)の肺及び骨髄から、常法に従い、Hoechst33342にて染色して、400〜450nm及び580〜650nmの蛍光が検出されない細胞群(side population細胞)を単離して、肺幹細胞及び骨髄幹細胞を得た。
C57BL/6マウス(6週齢のメス)の肺及び骨髄から、常法に従い、Hoechst33342にて染色して、400〜450nm及び580〜650nmの蛍光が検出されない細胞群(side population細胞)を単離して、肺幹細胞及び骨髄幹細胞を得た。
肺幹細胞又は骨髄幹細胞を用いる以外は実施例2と同様にして、Ki16425(5 μM)の存在下、又は溶媒のみ(DMSO 0.1%)の存在下(Control))で、それぞれ105個の細胞を直径10cmの円形皿で48時間培養した。その後、各々について実施例1と同様にしてSA-β-Gal活性を測定した。
<結果及び考察>
図5に結果を示す。肺幹細胞及び骨髄幹細胞のいずれにおいても、Ki16425を添加した条件下で培養した幹細胞は、対照と比べてSA-β-Gal活性が有意に低かった(それぞれ、P<0.05)。このことは、Ki16425は幅広い幹細胞に対して、細胞老化を抑制する効果を発揮することを示している。
図5に結果を示す。肺幹細胞及び骨髄幹細胞のいずれにおいても、Ki16425を添加した条件下で培養した幹細胞は、対照と比べてSA-β-Gal活性が有意に低かった(それぞれ、P<0.05)。このことは、Ki16425は幅広い幹細胞に対して、細胞老化を抑制する効果を発揮することを示している。
[実施例6]
間葉系幹細胞を、Ki16425以外のLPA受容体アンタゴニストの存在下で培養する場合でも、細胞老化が抑制されることを検証した。
間葉系幹細胞を、Ki16425以外のLPA受容体アンタゴニストの存在下で培養する場合でも、細胞老化が抑制されることを検証した。
<実験方法>
LPA受容体アンタゴニストとしてVPC12249又はVPC32183を用いる以外は実施例2と同様にして、LPA受容体アンタゴニスト(10 μM)の存在下、又は溶媒のみ(DMSO 0.1%)の存在下(Control))で、ヒト間葉系幹細胞を48時間培養した。その後、各々について実施例1と同様にしてSA-β-Gal活性を測定した。VPC12249及びVPC32183は、LPA1受容体及びLPA3受容体に対すると特異的なアンタゴニストである。
LPA受容体アンタゴニストとしてVPC12249又はVPC32183を用いる以外は実施例2と同様にして、LPA受容体アンタゴニスト(10 μM)の存在下、又は溶媒のみ(DMSO 0.1%)の存在下(Control))で、ヒト間葉系幹細胞を48時間培養した。その後、各々について実施例1と同様にしてSA-β-Gal活性を測定した。VPC12249及びVPC32183は、LPA1受容体及びLPA3受容体に対すると特異的なアンタゴニストである。
<結果及び考察>
図6に結果を示す。LPA受容体アンタゴニストとしてVPC12249及びVPC32183のいずれを用いた場合でも、対照と比べてSA-β-Gal活性の低下が見られた。(それぞれ、P<0.05及びP<0.1)。このことは、多様なLPA受容体アンタゴニストを用いて、間葉系幹細胞の細胞老化の抑制を行うことができることを示している。
図6に結果を示す。LPA受容体アンタゴニストとしてVPC12249及びVPC32183のいずれを用いた場合でも、対照と比べてSA-β-Gal活性の低下が見られた。(それぞれ、P<0.05及びP<0.1)。このことは、多様なLPA受容体アンタゴニストを用いて、間葉系幹細胞の細胞老化の抑制を行うことができることを示している。
Claims (7)
- 幹細胞を、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する条件下で培養する工程を含む、幹細胞の培養方法。
- LPA受容体が、LPA1受容体およびLPA3受容体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の培養方法。
- LPA受容体の機能を抑制する条件下での培養が、LPA受容体アンタゴニストの存在下での培養である、請求項1又は2に記載の培養方法。
- 幹細胞が、間葉系幹細胞、肺幹細胞または骨髄幹細胞である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の培養方法。
- リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、幹細胞の細胞老化抑制剤。
- リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、幹細胞用組成物。
- リゾホスファチジン酸(LPA)受容体の機能を抑制する化合物を含む、皮膚外用組成物。
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