JP2015078495A - 補強構造の構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新設のRC構造物や既設のRC構造物において繊維補強コンクリートによる補強効果を好適に実現する補強構造の構築方法等を提供する。
【解決手段】柱部材20の基部のかぶり部分の内側の施工を行った後、かぶり部分に補強構造1を構築する。補強構造1を構築する際は、柱部材20の曲げ変形時にひび割れを発生させるためのひび割れ誘導目地部24をかぶり部分の施工箇所に設け、かぶり部分に繊維補強コンクリート28を施工する。繊維補強コンクリート28の硬化後、補強構造1が構築される。
【選択図】図2

Description

本発明は、山岳橋梁、都市内高架橋、鉄道高架橋の橋脚などの柱部材の新設あるいは耐震補強に係る補強構造の構築方法に関する。
単柱式の鉄筋コンクリート(以下、RCと称する)構造の橋脚では、大地震時に橋脚基部に損傷が集中し、いわゆる塑性ヒンジ区間が形成される。橋脚全体の耐震性はこの塑性ヒンジ区間に大きく依存する。1995年の兵庫県南部地震で見られたRC構造の各種橋脚の損傷原因として、橋脚基部に形成された塑性ヒンジ区間に大きな曲げ変形が集中し、その大きさが橋脚の変形性能を超えるものであったことが指摘されている。
このようなRC構造物の耐震性を向上させるためには、地震時に曲げ変形が集中する基部の耐震性を向上させることが不可欠となる。例えば、塑性ヒンジ区間のかぶり部分を高性能化する方法として、先行して施工されたRC構造物や既設のRC構造物のかぶり部分に、高強度繊維補強コンクリート等を左官工法で塗布する方法や吹き付ける方法などがある。
しかし、高強度繊維補強コンクリートは普通コンクリートよりも曲げ強度が高いため、基部へ部分的に塗布、吹付等した場合、曲げ変形時に普通コンクリートとの境界や最も曲げモーメントが大きくなる部分のひび割れが局所化して変形性能が低下する恐れがある。逆に繊維を混入させない場合は、局所的に応力が集中する箇所でかぶり部分のコンクリートが爆裂するような破壊性状を示すことが問題となるほか、かぶり部分による軸方向鉄筋の座屈拘束効果も期待できず、繊維を用いない場合に比べて耐震性が小さくなる。
さらに、高強度のコンクリートは一般に自己収縮が大きく、RC構造物と一体化した後で生じる収縮をRC構造物が拘束することで収縮ひび割れが生じ、長期の耐久性に問題が生じる可能性があった。
これらの点を鑑みて、近年、RC構造物の耐震性を高める構造形式として、繊維補強コンクリートからなるプレキャスト部材を用いた構造が開発されている。例えば特許文献1には、補強用短繊維を混入して成形されたプレキャスト部材を型枠にしてコンクリートを打設したコンクリート構造体が開示されている。
こうした構造をさらに発展させたものとして、特許文献2には、RC構造物の塑性ヒンジ区間に超高強度繊維補強コンクリート(以下、UFCと称する)からなるプレキャスト型枠を複数適用し、曲げ変形時にひび割れを誘導するためのひび割れ誘導目地をその間に設け、RC構造物のかぶり部分をUFCで形成することが開示されている。これによりコアコンクリートの圧壊と主鉄筋の座屈を抑制し、またひび割れを分散させて局所化を防ぐことで高い変形性能を実現できる。
さらに、特許文献3には、UFCからなるプレキャスト型枠を分割し、かぶり部分を除去した既設のRC柱部材の基部に設置して一体化させることで耐震性を向上させる方法が示されている。
特開平10−147976号公報 特開2008−025248号公報 特開2008−223225号公報
特許文献1に示された発明は、周方向に一体となったプレキャスト型枠を用いるものであり、新設の部材にしか適用することができず、既設の柱部材の耐震補強や補修を想定していない。特許文献2記載の発明も同様である。プレキャスト型枠の適用は、施工法としては合理的であるが、大型断面となる場合、現場への運搬が困難であり、コストの増加などの問題もあった。
一方、特許文献3記載の発明は、分割したプレキャスト型枠を一体化させるものであるため、新設のみならず既設の柱部材にも適用できるが、縦方向の目地部が弱点となるほか、施工法の煩雑化、コストの増加などの問題があった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、新設のRC構造物や既設のRC構造物において繊維補強コンクリートによる補強効果を好適に実現する補強構造の構築方法等を提供することである。
前述した目的を達成するための第1の発明は、鉄筋コンクリート構造の柱部材の基部の側面のかぶり部分に対応する施工箇所に繊維補強コンクリートを施工し、前記繊維補強コンクリートを硬化させることにより前記かぶり部分を形成する際に、前記繊維補強コンクリートの施工前もしくは前記繊維補強コンクリートの硬化後に、前記施工箇所に、前記柱部材の変形時にひび割れを発生させるためのひび割れ誘導目地部を設けることを特徴とする補強構造の構築方法である。
本発明により、プレキャスト部材を用いることなく、かぶり部分に繊維補強コンクリートを施工してひび割れ誘導目地部を存置するので、柱部材の基部が繊維補強コンクリートによって好適に補強されるとともに、曲げ変形時にひび割れ誘導目地部を機能させて曲げひび割れを分散発生させることができる。こうして、プレキャスト型枠を用いることなく、繊維補強コンクリートによる補強効果と、変形性能の飛躍的な向上を実現することができる。
前記施工箇所に仮目地材を設けて前記繊維補強コンクリートを施工し、前記繊維補強コンクリートが硬化時収縮した後に仮目地材を撤去し、前記仮目地材を撤去した後の空隙に前記ひび割れ誘導目地部を設けることが望ましい。
これにより繊維補強コンクリートの自己収縮による収縮量を仮目地材で吸収し、繊維補強コンクリートの収縮ひび割れの発生を防ぐことができる。
前記かぶり部分を形成した後、前記かぶり部分の内側の前記柱部材を形成してもよい。また前記かぶり部分を形成する際、前記柱部材側の型枠の前記施工箇所に向かう面に凹凸を設けることが望ましい。
この場合、繊維補強コンクリートによるかぶり部分を先行して施工するため、同部分の自己収縮が終了した後で内部コンクリートを打設することで、繊維補強コンクリートの収縮ひび割れを防ぐことができる。また、先行して施工されたかぶり部分が、内側の柱部材のコンクリートを打設する際の型枠として機能するため、施工性の向上にも寄与する。さらに、かぶり部分が曲げ引張強度の高い材料で構成されるため、後施工で打設されるコンクリートの温度応力によるひび割れの抑制にも効果的である。また、かぶり部分を形成する際に型枠にシートを貼付するなどして凹凸を設けることで、かぶり部分に凹凸を形成でき、これによりかぶり部分と柱部材のコンクリートとの一体性が増す。
また、既設の前記柱部材の基部の側面のかぶり部分を撤去した後に、新たに前記かぶり部分を形成してもよい。
この場合、既設の柱部材に対して補強構造を構築して耐震性を向上させることができ、耐震補強工法として有効である。また、かぶり部分のみの改善であるため基礎の負担が変わらず別途の補強も不要であり、柱部材の塑性ヒンジ区間のかぶり部分という、限定された範囲の補強で部材全体の耐震性を向上させることができる。
また、前記ひびわれ誘導目地部は、ひび割れ誘導目地として機能する板状材に、取付けのための挿込部を設けたものであることが望ましい。
これにより、ひび割れ誘導目地部の設置が簡単になる。
また、前記かぶり部分と前記柱部材との境界に、時間経過により硬化する遅延硬化材が設けられることが望ましい。
これにより、繊維補強コンクリートが柱部材と縁切りされるため、繊維補強コンクリートの収縮ひび割れのリスクを低減できる。また、繊維補強コンクリートの収縮完了後に遅延硬化材が硬化することで、繊維補強コンクリートと柱部材のコンクリートの一体化をはかることできる。
本発明によれば、新設のRC構造物や既設のRC構造物において繊維補強コンクリートによる補強効果を好適に実現する補強構造の構築方法等を提供することができる。
補強構造1を示す図 補強構造1の構築方法を示す図 ひび割れ誘導目地部24の設置方法を示す図 補強構造1の構築方法を示す図 補強構造1の構築方法を示す図 遅延硬化材50を用いた補強構造について示す図 遅延硬化材50を用いた補強構造について示す図 補強構造1の構築方法を示す図 ひび割れ誘導目地部24の設置方法を示す図
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
(1.補強構造1)
図1は、本発明の実施形態に係る補強構造1を示す図であり、補強構造1の鉛直方向断面図である。
補強構造1は、柱部材20の基部の側面のかぶり部分に設けられる。柱部材20は、例えば山岳橋梁、都市内高架橋、鉄道高架橋の橋脚等であるが、これに限ることはない。
柱部材20はフーチング10上に設けられ、その基部は、曲げ変形時の塑性ヒンジ区間となる。柱部材20には、下端をフーチング10に埋設した鉛直方向の主筋22と、主筋22を平面において囲む帯筋21とが設けられる。
補強構造1は、フーチング10に設けた基礎部11上に構築される。また基礎部11には、基礎部11からフーチング10へ至るアンカー12が埋設される。
補強構造1は、高強度の繊維補強コンクリート28内に鉛直方向に間隔を空けてひび割れ誘導目地部24を複数設けたものである。ひび割れ誘導目地部24は水平方向に設けられ、曲げ変形時のひび割れの発生を誘導する。ひび割れ誘導目地部24を設けることで曲げ変形時のひび割れ発生箇所を制御でき、複数のひび割れ誘導目地部24によってひび割れ発生箇所を分散させ、ひび割れが局所的に発生し損傷が集中することを防いで変形性能が向上する。
(2.補強構造1の構築方法)
次に、この補強構造1の構築方法について、図2等を参照して説明する。
本実施形態では、補強構造1を構築する際、まず図2(a)に示すように、柱部材20の基部の側面のかぶり部分と基礎部11を除く部分を先行して構築する。
この時、かぶり部分の施工箇所には帯筋21を露出させ、かつ、その内側のコンクリート表面には、後に施工される繊維補強コンクリート28との一体性を増すための凹凸を設ける。凹凸は、例えば内側のコンクリートの硬化後にチッピングを行ったり、内側のコンクリート打設時における型枠の表面に凹凸を有するシートなどを設置しておくことで形成できる。なお、帯筋21に加えて主筋22をかぶり部分の施工箇所に露出させても良い。
また、基礎部11の施工箇所には、予めアンカー12を設置しておく。アンカー12の一端は、フックや機械式定着具等を用いてフーチング10に埋設する。他端も同じくフックや機械式定着具等を設けて基礎部11の施工箇所に露出させ、後施工による基礎部11との一体性を確保するようにする。
次に、図2(b)に示すように、かぶり部分の施工箇所に、ひび割れ誘導目地部24を設置する。ひび割れ誘導目地部24としては、例えば厚さが1mm程度のステンレス板や高強度繊維補強コンクリート板などの板状材を用いる。
本実施形態では、図3に示すように、ひび割れ誘導目地部24に予め棒状の挿込部25を設けておき、柱部材20のコンクリート表面に挿入孔20aを穿孔したうえで、この挿入孔20aに挿込部25を挿し込んで取り付ける。これによりひび割れ誘導目地部24の設置が簡単になる。挿込部25は例えばM10未満の全ねじ棒や鉄筋等とし、ひび割れ誘導目地部24に埋設、接合しておくのが良い。
なお、挿入孔20aと挿込部25の隙間は、エポキシ系接着剤や無収縮モルタルで埋めてひび割れ誘導目地部24を固定する。また、ひび割れ誘導目地部24と柱部材20のコンクリートの隙間は、繊維補強コンクリート28が回り込んで繊維が架橋することでひび割れの発生を阻害しないように、無収縮モルタル等で間詰めしておいてもよい。
以上のようにしてひび割れ誘導目地部24を設置すれば、図2(c)に示すように、かぶり部分の施工箇所に、繊維補強コンクリート28を塗布あるいは吹付にて施工する。また、フーチング10上面の基礎部11にも同様な材料を施工する。繊維補強コンクリート28が硬化すると、図1に示す補強構造1が構築される。
なお、繊維補強コンクリート28としては、例えば圧縮強度の大きいコンクリート(モルタルを含む)に鋼繊維や炭素繊維、あるいはガラス繊維、有機繊維などを混入した高強度の繊維補強コンクリートであって、圧縮強度が50N/mm以上250N/mm以下、曲げ引張強度が10N/mm以上40N/mm以下、曲げ変形時にひび割れが発生する引張強度(ひび割れ発生引張強度)が5N/mm以上15N/mm以下の程度のものを使用することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、プレキャスト部材を用いることなく、かぶり部分に繊維補強コンクリート28を施工してひび割れ誘導目地部24を存置するので、柱部材20の基部が繊維補強コンクリート28によって好適に補強されるとともに、曲げ変形時にひび割れ誘導目地部24を機能させて曲げひび割れを分散発生させることができる。こうして、プレキャスト型枠を用いることなく、繊維補強コンクリート28による補強効果と、変形性能の飛躍的な向上を実現することができる。
なお、本実施形態では、繊維補強コンクリート28を塗布、吹付によって施工するものとし、図2(b)に示すように、ひび割れ誘導目地部24は、予め必要な数を全て取り付けた。しかしながら、繊維補強コンクリート28は打設によって施工してもよい。この場合は、所定高さ打設を行うごとに、下段から上段へと順に、ひび割れ誘導目地部24の設置と外型枠の積み上げを行うとよい。その他、基礎部11をプレキャスト部材として、フーチング10の施工時に設置しておいても良い。
また、上記では板状のひび割れ誘導目地部24を用いたが、その代わりに、下方の繊維補強コンクリート28の硬化後に上方の繊維補強コンクリート28を施工することで繊維の不連続部を形成し、これをひび割れ誘導目地部24とすることもできる。また、下方の繊維補強コンクリート28の打設後に、繊維が混入されていない当該コンクリートや当該コンクリートと同等以上の強度を有する無収縮モルタルを薄く打設し、その上に繊維補強コンクリート28を打ち重ねることによっても繊維の不連続部を形成し、これをひび割れ誘導目地部24とすることもできる。
[第2の実施形態]
次に、図4等を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、補強構造1を構築する際、繊維補強コンクリート28の硬化後にひび割れ誘導目地部24を設ける例である。
第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様、まず図4(a)に示すように、柱部材20の基部の側面のかぶり部分と基礎部11以外の部分を先行して構築する。
ただし、第2の実施形態では、図4(b)に示すように、かぶり部分の施工箇所に低剛性で弾性を有する仮目地材26を水平方向に設けた後、図4(c)に示すように繊維補強コンクリート28を施工する。繊維補強コンクリート28の施工に伴い、施工当初は仮目地材26が上下に収縮した状態となる。
仮目地材26としては、例えば板状のウレタン材や発泡スチロール材を用いることができ、これにより、低剛性、かつ後述する繊維補強コンクリート28の硬化後の除去が容易となる。これらは軽量であることから、市販の接着剤などで柱部材20のコンクリート表面に設置することが可能である。
繊維補強コンクリート28が硬化し、収縮が完了すれば、仮目地材26の除去を行う。繊維補強コンクリート28の収縮に伴い仮目地材26は上下に伸長する。仮目地材26を除去することで、図5(a)に示すように、繊維補強コンクリート28に水平方向のスリット状の空隙27が形成される。
この空隙27に、図5(b)に示すようにひび割れ誘導目地部24を設置すると、補強構造1が構築される。この場合のひび割れ誘導目地部24としては、例えば高強度無収縮モルタルを間詰めし、ひび割れ誘導目地としての機能を確保しつつ、当該部分における耐久性と圧縮強度を確保することができる。
第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、仮目地材26が低剛性で弾性を有することから、繊維補強コンクリート28の施工当初には仮目地材26が縮んだ状態であり、繊維補強コンクリート28の硬化に伴う収縮時に、仮目地材26が伸びて収縮量を吸収するため、収縮に伴う引張応力が抑制され、繊維補強コンクリート28のひび割れのリスクを低減できる。
以上説明した第1、第2の実施形態は、既設の柱部材20に対しても適用可能である。すなわち、既設の柱部材20の基部の側面のかぶり部分を撤去した後に、この箇所に上記の第1、第2の実施形態の方法を適用して新たなかぶり部分を形成すれば良い。
この場合、既設の柱部材20に対して補強構造1を構築して耐震性を向上させることができ、耐震補強工法として有効である。またかぶり部分のみの改善であるため基礎の負担も変わらず別途の補強も不要となり、柱部材20の塑性ヒンジ区間のかぶり部分という、限定された範囲の補強で部材全体の耐震性を向上させることができる。
[第3の実施形態]
以上の実施形態では、繊維補強コンクリート28が柱部材20のコンクリートに付着することにより、繊維補強コンクリート28の収縮が内側の柱部材20により拘束され、繊維補強コンクリート28の外側部分で引張応力が大きくなることが考えられる。引張応力の大きさが繊維補強コンクリート28のひび割れ発生強度を超えると、収縮ひび割れが生じる。そこで、第3の実施形態としてこのような収縮ひび割れを防ぐ方法の例について説明する。
図6は、かぶり部分の繊維補強コンクリート28と柱部材20のコンクリートとの境界部を示す鉛直方向断面図であり、第1の実施形態のように、柱部材20のコンクリートを構築した後、かぶり部分の繊維補強コンクリート28を施工する場合の例である。
図6に示すように、第3の実施形態では、柱部材20のコンクリート表面に遅延硬化材50を塗布し、遅延硬化材50の硬化前にかぶり部分の繊維補強コンクリート28を施工する。これにより、繊維補強コンクリート28が柱部材20と縁切りされるため、繊維補強コンクリート28の収縮が内側の柱部材20によって拘束されず、前記した収縮ひび割れが防がれる。
遅延硬化材50は、温度や湿気などにより、時間経過によって硬化するもので、繊維補強コンクリート28の収縮が完了した後に硬化する。これにより、繊維補強コンクリート28と柱部材20のコンクリートが一体化される。遅延硬化材50としては、例えば、特開2000−145018号公報にあるような遅延剤を添加したセメント系材料を用いることができる。また、プレグラウトPC鋼材などで用いられるような熱硬化型樹脂などもある。
なお、図6の仮目地材40は、第2の実施形態の仮目地材26と同様であり、繊維補強コンクリート28の収縮完了後に撤去して高強度無収縮モルタルなどで間詰めを行うものである。これにより、繊維補強コンクリート28の上下の収縮量を吸収できる。
一方、図7は、既設の柱部材20のかぶり部分を帯筋21まで撤去し、その箇所に新たにかぶり部分を構築する場合の例である。
この場合も、かぶり部分の撤去後、柱部材20のコンクリートおよび帯筋21の表面に遅延硬化材50を塗布すれば前記と同様の効果が得られる。
このように、柱部材20のコンクリートと繊維補強コンクリート28との境界に遅延硬化材50を設けることで、繊維補強コンクリート28の収縮時に柱部材20と縁切りされるため、収縮ひび割れのリスクを低減できる。また、遅延硬化材50が硬化することで、柱部材20のコンクリートと繊維補強コンクリート28の一体化をはかることできる。
[第4の実施形態]
次に、図8等を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、柱部材20のかぶり部分を、繊維補強コンクリート28によって先行して現場施工する例である。
本実施形態では、図8(a)に示すように柱部材20の主筋22や帯筋21を組み上げた段階で、主筋22の内側から型枠板30(柱部材20側の型枠)を当てて、型枠板30にひび割れ誘導目地部24を取付ける。
図9に示すように、本実施形態では、第1の実施形態と同様、板状のひび割れ誘導目地部24に全ねじ棒等による挿込部25を設けておき、挿込部25を型枠板30の孔(不図示)に通して端部をナットなどの固定材29で型枠板30に固定できるようにしておく。
また、型枠板30の、かぶり部分の施工箇所側(図の上側に対応する)に向かう面には、凹凸を形成するための突起部を有する凹凸シート材30aを取り付けておく。これにより、かぶり部分の繊維補強コンクリート28に凹凸が形成され、後施工する柱部材20のコンクリートとの一体性が増す。
第1の実施形態と同様、ひび割れ誘導目地部24と型枠板30との間の隙間を介した繊維補強コンクリート28の部分的な架橋が問題となる場合は、ひび割れ誘導目地部24と型枠板30との間の隙間を、ウェスや粘土、ウレタン材等の間詰材(不図示)で間詰めしておき、繊維補強コンクリート28の施工後、型枠板30を取り外した後に間詰材を取り除き、残った空隙を高強度無収縮モルタルで間詰めするとよい。
以上のようにしてひび割れ誘導目地部24を設置した後、図8(b)に示すように、かぶり部分の繊維補強コンクリート28を、塗布や吹付にて施工する。前記と同様、繊維補強コンクリート28を打設して施工することも可能である。
繊維補強コンクリート28の硬化、収縮が完了すると、補強構造1が構築される。その後、図8(c)に示すように柱部材20のかぶり部分の内側のコンクリートを打設し、柱部材20を構築する。
なお、工程上、繊維補強コンクリート28の収縮完了を待たずに柱部材20のコンクリートを施工する必要がある場合は、上記のひび割れ誘導目地部24の代わりに第2の実施形態で述べたような仮目地材を設置しておき、繊維補強コンクリート28の収縮が完了し、柱部材20のコンクリートの施工も終了した後で仮目地材を撤去し、高強度無収縮モルタルなどで同部分を間詰めしてひび割れ誘導目地部24とするのが良い。
本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、繊維補強コンクリート28によるかぶり部分を先行して施工するため、繊維補強コンクリート28の柱部材20への付着による収縮ひび割れが起こらない。また、先行して施工されたかぶり部分が、内側の柱部材20のコンクリートを打設する際の型枠として機能するため、施工性の向上にも寄与する。さらに、かぶり部分が曲げ引張強度の高い材料で構成されるため、後施工で打設されるコンクリートの温度応力によるひび割れの抑制にも効果的である。また、かぶり部分を形成する際には、型枠板30に貼付した凹凸シート材30aなどによってかぶり部分に凹凸を形成でき、これによりかぶり部分と柱部材20のコンクリートとの一体性が増す。なお、前記と同様、凹凸はチッピングによって形成することも可能である。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1;補強構造
10;フーチング
11;基礎部
20;柱部材
20a;挿入孔
21;帯筋
22;主筋
24;ひび割れ誘導目地部
25;挿込部
26;仮目地材
28;繊維補強コンクリート
50;遅延硬化材

Claims (7)

  1. 鉄筋コンクリート構造の柱部材の基部の側面のかぶり部分に対応する施工箇所に繊維補強コンクリートを施工し、前記繊維補強コンクリートを硬化させることにより前記かぶり部分を形成する際に、
    前記繊維補強コンクリートの施工前もしくは前記繊維補強コンクリートの硬化後に、前記施工箇所に、前記柱部材の変形時にひび割れを発生させるためのひび割れ誘導目地部を設けることを特徴とする補強構造の構築方法。
  2. 前記施工箇所に仮目地材を設けて前記繊維補強コンクリートを施工し、
    前記繊維補強コンクリートが硬化時収縮した後に仮目地材を撤去し、前記仮目地材を撤去した後の空隙に前記ひび割れ誘導目地部を設けることを特徴とする請求項1に記載の補強構造の構築方法。
  3. 前記かぶり部分を形成した後、前記かぶり部分の内側の前記柱部材を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補強構造の構築方法。
  4. 前記かぶり部分を形成する際、前記柱部材側の型枠の前記施工箇所に向かう面に凹凸を設けることを特徴とする請求項3に記載の補強構造の構築方法。
  5. 既設の前記柱部材の基部の側面のかぶり部分を撤去した後に、新たに前記かぶり部分を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補強構造の構築方法。
  6. 前記ひびわれ誘導目地部は、ひび割れ誘導目地として機能する板状材に、取付けのための挿込部を設けたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の補強構造の構築方法。
  7. 前記かぶり部分と前記柱部材との境界に、時間経過により硬化する遅延硬化材が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の補強構造の構築方法。
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