JP2015078103A - 切断面強化ガラス基板 - Google Patents

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【課題】一方の面上に複数の単位機能性素子が形成された大型ガラス基板を切断して、前記単位機能性素子からなる単位ガラス基板を製造する上で、前記単位機能性素子にダメージを与えることなく、切断による切断面の強度劣化を著しく抑制したガラス基板を提供することを目的とする。【解決手段】大型ガラス基板30から切断して得られるガラス基板2の切断面に、Si−O結合を有する樹脂を含むガラス強化層13を形成してなることを特徴とする切断面強化ガラス基板である。【選択図】図1

Description

本発明は、大型ガラス基板を切断して得られる単位ガラス基板の切断面の強度向上に関するものである。
近年、携帯電話機や、携帯情報端末などの電子機器の操作部にはタッチパネルが採用されている。電子機器に用いられるタッチパネルセンサーには、フィルムタイプとガラスタイプがある。フィルムタイプには、軽量・割れにくい、製造コストが安い、柔軟性があるので他の表示装置やカバーガラスと貼り合せる際に気泡を除去し易く貼り合せ易いというメリットがあるものの、フィルムの光透過率がガラスに比べて低いことや、フィルム上に形成された配線パターンの位置精度がガラスに比べて劣るので、配線を覆う額縁部が大きくなり、表示エリアが狭くなるという問題や、表面の平滑性の差により、ガラスタイプより見栄えが悪いという問題がある。高精細で低消費電力が要求されるスマートフォンやタブレットコンピュータ等の携帯端末等の小型品では、ガラスタイプが多く使用されている。(特許文献1参照)
携帯電話などで使用されているタッチパネルセンサーは、一般的に大型ガラス基板上に額縁部、金属配線、X方向用及びY方向用の2層の透明電極、2層の透明電極間の層間絶縁層、表面の保護層が多面付けで形成された後、1ピースごとの個片基板に断裁されている。なおタッチパネルセンサーには、直接前面板に形成する構造も製造されており、そのような構造では周辺部の配線などを隠すための遮光性の高い材料からなる額縁部が形成される。この額縁部には、機器のデザインに応じて様々な色や模様を施すことができる。白や黒色などの色や模様を施した額縁部を形成することが一般的である。しかしながら、これらの方法で額縁部を形成しても断裁時に額縁部の外周部を断裁する場合や、断裁により額縁部のハガレが発生し、バックライトからの光漏れが発生する。そのため、断裁後の個片基板に遮光性を有するインキで遮光層を再度形成している。
また、携帯電話などに使用されている大型ガラス基板は、用途に合わせた組成で原料を溶融して製造される。その後、300℃以上で1種以上のアルカリ金属を含む溶融塩と接触させてイオン交換処理することでガラス基板を強化している。大型強化ガラスの切断方法として超硬合金からなるホイールカッター、レーザー、水ジェット流などが提案されている。(特許文献2参照) しかしながら、大型強化ガラス基板をこれらの方法で切断すると、強化ガラス自身の応力によって破損が生じる。また粉砕粉いわゆるカレットも生じる。このカレットにより視認性を損ない、透明導電層に付着して短絡を生じさせてしまう。
これらの対策として弗酸を含む1種以上の混合液で大型強化ガラスをエッチングによって切断することが提案されている。エッチングで断裁することで切断時の破損やカレットが生じることはない。しかし、化学強化されているのはガラスの表裏のみのため、切断後の個片基板の端面が化学強化されていない。そのため切断後の個片基板の端面は、ガラス強度が低いため端面を基点にガラス破損が生じてしまう。(特許文献3、4参照)
このため、従来は、強化処理前の大型ガラス基板を小型のガラス基板に切断した後、強化処理を行ない、焼成後、小型の強化ガラス基板を得るという方法が一般的である。(特許文献5)それ故、額縁部や配線材料などが強化処理液(溶融塩)に対する耐薬品性及び約300℃以上の耐熱性が必要となり課題となった。
特開2009−69321号公報 特開2011−164508号公報 特開2012−236764号公報 特開2006−282492号公報 特開2012−148957号公報
本発明には、一方の面上に複数の単位機能性素子が形成された大型ガラス基板を切断して、前記単位機能性素子からなる単位ガラス基板を製造する上で、前記単位機能性素子にダメージを与えることなく、切断による切断面の強度劣化を著しく抑制したガラス基板を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、大型ガラス基板から切断して得られるガラス基板の切断面に、Si−O結合を有する樹脂を含むガラス強化層を形成してなることを特徴とする切断面強化ガラス基板である。
また、請求項2に係る発明は、前記Si−O結合を有する樹脂が、チオール基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、イソシアネート基、アミド基の少なくとも一つから選ばれる末端基を有することを特徴とする請求項1に記載の切断面強化ガラス基板である。
また、請求項3に係る発明は、前記大型ガラス基板の一方の面に複数の単位機能性素子が形成され、前記単位機能性素子からなる単位ガラス基板毎に切断してなることを特徴とする請求項1または2に記載の切断面強化ガラス基板である。
また、請求項4に係る発明は、前記単位機能性素子がタッチパネルセンサーであることを特徴とする請求項3に記載の切断面強化ガラス基板である。
また、請求項5に係る発明は、前記ガラス強化層が着色材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の切断面強化ガラス基板である。
本発明の請求項1に係る発明によれば、大型ガラス基板から切断して得られるガラス基板の切断面に、Si−O結合を有する樹脂を含むガラス強化層を形成することで、大型ガラス基板の切断前に有するガラス基板表裏の強度と同様の強度を切断面にも付与することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、前記ガラス強化層がチオール基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、イソシアネート基、アミド基の少なくとも一つから選ばれる末端基を有するSi−O結合を有する樹脂を含むことにより、ガラス端部の強度を向上することができる。
また、請求項3に係る発明によれば、単位機能性素子にダメージを与えることなく単位ガラス基板として製造することができる。
また、請求項4に係る発明によれば、単位機能性素子に用いられる有機層にダメージを与えることなく、タッチパネルセンサー用の単位ガラス基板として製造することができる
また、請求項5に係る発明によれば、前記ガラス強化層が着色材を含むことにより、ガラス切断面からの光の透過を抑制することができる。
上記のように本発明によれば、例えば、一方の面上に複数の単位素子が形成された大型ガラス基板を切断して、該単位機能性素子からなる単位ガラス基板を製造する場合、単位ガラス基板はその切断面に施されたガラス強化層により強度が向上し、効率よく、高い品質で製造することができる。
本発明に係る切断面強化ガラス基板を用いた一実施形態であるタッチパネルセンサー基板の断面概略図。 従来のガラス基板を用いたタッチパネルセンサー基板の断面概略図。
本発明は、大型ガラス基板から切断して得られるガラス基板の切断面に、Si−O結合を有する樹脂を含むガラス強化層を形成してなることを特徴とする切断面強化ガラス基板である。ついては、タッチパネルセンサー基板を例に、まず、従来のタッチパネルセンサー基板について説明し、次に本発明を説明する。
従来のタッチパネルセンサーは図2(a)に示すように、一般に、大型ガラス基板30に単位機能性素子であるタッチパネルセンサー1が多面付けで形成される。そしてこの大型ガラス基板30から単位タッチパネルセンサー1が切断されて、図2(b)に示すような単位タッチパネルセンサー基板が作製される。
図2(c)は大型ガラス基板30から切断された前記単位タッチパネルセンサー基板の断面概略図を示している。タッチパネルセンサー基板は、ガラス基板2の上に加飾層3、ジャンパ配線4、第1の絶縁膜、金属配線6、第1の透明電極7、第2の透明電極8、絶縁保護膜9からなり、表示領域10と非表示領域12とに区分される。
以下に、図2に基づき、従来のタッチパネルセンサー基板についてより具体的に説明する。
図2(b)は、単位タッチパネルセンサー基板1の平面図、図2(c)は図2(b)に示した2点破線(3a)に沿う断面図である。図2(b)では、図示を簡略化するために、X方向及びY方向のそれぞれに2ラインの電極パターンが模式的に示されているが、実際には、X方向及びY方向にさらに多くの電極が設けられる。
タッチパネルセンサー基板1は、液晶パネルや有機ELパネル等の表示デバイスと組み合わせて用いられる位置入力装置である。タッチパネルセンサー基板1は、X方向に延びる複数の電極及びY方向に延びる複数の電極を有し、指が接触または近接した電極の静電容量変化を検出することによって、指の接触位置の座標を特定する。
具体的には、タッチパネルセンサー基板1は、ガラス基板2と、加飾層3と、2番目以降にパターン形成される層に対する位置合わせマーク3aと、複数のジャンパ配線4と、第1の絶縁膜5と、金属配線6と、複数の透明電極7及び8と、絶縁保護膜9を備える。
ガラス基板2は、タッチパネルセンサー基板1の最表面となる透明な前面板であり、使用者によってタッチされる部材である。
額縁部を形成する加飾層は、1層以上の層から形成され、機器にデザイン性を付与するとともにタッチパネルセンサーの周縁部に設けられる配線を隠す役割を果たす。好ましくは顔料で形成された加飾層は可視光を吸収し、かつ赤外線を透過する材料を用いてカバーガラスの一方の面の前面板側に形成される。可視光を吸収し、かつ赤外線を透過する材料を用いて形成されているため、赤外線通信窓部で赤外線通信が可能となる。センサーの断線を回避するため、形状は順テーパーが好ましい。順テーパーとは、テーパー部の角度が0°〜90°の範囲のことを示す。形成方法としては、フォトリソ、スクリーン印刷などから選択できる。
加飾層は、ガラス基板の周縁部に表示領域を区画するよう矩形枠状に形成されている。なお、額縁部の平面形状は、本実施形態のような矩形枠状に限定されず、ハート型、たまご型、丸型など、任意である。また、額縁部の外周縁形状(外形)と内周縁形状(表示領域の形状)とは相似であっても良いし、非相似でも良い。
図2(c)に示すように、従来のタッチパネルセンサー基板は大型ガラス基板30から切断された断面のままであるために、大型ガラス基板の表裏の強度に比べて切断時のダメージにより強度劣化による品質の低下の問題があった。本発明はこれらの従来の問題を解決するためのものである。
図1は本発明に係る切断面強化ガラス基板を用いタッッチパネルセンサー基板を示している。図1(a)は従来と同様に大型ガラス基板30に単位タッチパネルセンサーが複数形成された平面図である。しかしながら、図1(b)は前記大型ガラス基板30から単位タッチセンサー基板1を切断して作製されたものであり、図2(b)に示す従来の単位タッチパネルセンサー基板と異なり、ガラス切断面(端面)と表示領域以外の全体にガラス強化層13を形成したことを特徴とする平面図を示している。図1(c)はその断面図を示している。
本発明に係るタッチパネルセンサー基板は、図1(c)に示すように、ガラス強化層13が切断面と表示領域以外の全面に形成されているため、ガラス基板2の切断面の強度とガラス基板表裏の強度とが略同等することができ、従来の切断面の強度劣化による品質の低下を防ぐことができる。
一般にガラス基板は、1種類以上のアルカリ金属を含むガラス基板を、少なくとも一方の面に1種類以上のアルカリ金属を含む溶融塩と接触させてイオン交換処理するイオン交換処理工程と、イオン交換処理済みの板状ガラスの少なくとも一方の面上に、タッチパネルセンサーを形成する工程を含み、ガラス基板を任意に方法で個片になるよう断裁する切断工程と個片になったガラス基板の端部を強化する強化工程を少なくとも経ることにより作製することができる。以下に、各工程についてより詳細に説明する。
ガラス基板は、フロート法、スリットダウンドロー法、フュージョンダウンドロー法、リドロー法などの方法により作製される。本実施形態のガラス基板を構成するガラス材料としては、イオン交換処理が可能なアルカリ金属酸化物を含むガラス材料であれば如何様なガラス材料でも利用できる。ガラス基板の作製に用いられる材料として例えば、SiOと、Alと、LiOおよびNaOから選択される少なくとも1種類のアルカリ金属酸化物を含むアルミノシリケートガラス、もしくは、フロート法等を利用したガラス基板の作製に用いられるソーダライムガラスなど、公知のガラス材料を用いることが好適である。さらにダウンドロー法でガラス基板を作製した場合、表面の粗さがナノメータオーダとなるため、研磨工程を省略できる上、マイクロクラックの発生も少なくできる。
イオン交換処理工程で形成される圧縮応力層は、ガラス基板を構成するガラス材料に元々含まれるアルカリ金属の一部を、よりイオン半径の大きなアルカリ金属を含む溶融塩と接触させて形成された層である。たとえば、ガラス基板を構成するガラス材料に元々含まれるアルカリ金属がLiであれば、Na、K等に置換され、ガラス基板を構成するガラス材料に元々含まれるアルカリ金属がNaであれば、K等に置換される。溶融塩の組成および温度、ならびに、浸漬時間は、板状ガラスのガラス組成や、板状ガラスの表層部分に形成する圧縮応力層の厚み等に応じて適宜選択できる。たとえば、板状ガラスのガラス組成が、上述したアルミノシリケートガラスやソーダライムガラスであれば、溶融塩の組成および温度、ならびに、浸漬時間としては、一般的には、下記に例示する範囲から選択することが好ましい。溶融塩の組成として硝酸カリウム、または、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混塩などが好ましく、溶融塩の温度は、300℃〜500℃で3分〜600分浸漬することで強化層が形成される。
次に、本発明に係るガラス強化層について以下に説明する。
ガラス強化層はガラス切断面の強度を向上させるものであり、Si−O結合を有する樹脂を含むガラス強化層形成用組成物からなる。ガラスは−Si−O−結合で構成されているため、ガラス切断面の強度を向上されるには、親和力、結合力に優れたSi−O結合を有する樹脂、特にチオール基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、イソシアネート基、アミド基の少なくとも一つから選ばれる末端基を有するSi−O結合を有する樹脂を含むことが好ましく、シロキサン結合を有する樹脂でもよく、シルセスキオキサンを有する樹脂でもよい。また、分子量は1000以上が好ましい。
また、前記ガラス強化層形成用組成物には、他にバインダー樹脂、遮光性を有する着色材、消泡剤等の添加剤、溶剤などが含まれる。
前記バインダー樹脂としては、前記Si−O結合を有する樹脂との相溶性や分散性に問題がなく、且つ塗布適正がある樹脂であれば特に限定するものではないが、なかでもアクリル樹脂が好ましい。
前記遮光性を有する着色材は切断面からの光の透過を抑制する効果と、さらには、タッチパネル前面に形成された表示領域以外の全面にガラス強化層13を形成することで、本来見えて欲しくない配線パターンを隠蔽する効果を供するものである。従って、遮光性を有する着色材としては、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料等を用いることができるが、中でも価格や遮光性の点からカーボンブラックが好ましい。また、黒色顔料に限らず、青色顔料や赤色顔料等を混合して用いることもできる。
本発明に係るガラス強化層の形成は、大型ガラス基板からの単位ガラス基板を切断(断裁)、研磨後に行われる。ガラス強化層を形成する方法としては特に限定するものではないが、ガラス切断面の強度向上と、光の透過性を防ぐ効果や配線などの隠蔽を効果的にするために必要な塗布厚が得られる方法であればよい。特に、表示領域以外の全面には、配線などの隠蔽を効果的にするために光学濃度(OD値)2以上が好ましく、スクリーン印刷法が望ましい。スクリーン印刷法に用いる版としては、スクリーンメッシュ150〜500が好ましい。
なお、大型ガラス基板30の切断方法としては特に限定するものではないが、エッチング法が好ましい。以下、エッチング法による切断(断裁)について記す。
断裁をエッチングで行なう場合、耐エッチング膜を形成する必要がある。耐エッチング膜形成工程では、タッチパネルセンサーが形成された少なくとも一方の面上、もしくは両面に耐エッチング膜を形成する。この耐エッチング膜は、通常、イオン交換処理済みの板状ガラスの両面に形成されるが、切断工程において、片面のみをエッチング溶液に接触させる場合には、当該片面にのみ耐エッチング膜が形成されていればよい。このような耐エッチング膜としては、少なくとも弗酸水溶液に対して難溶性または不溶性を示すフォトリソを用いて保護膜を形成するか、剥離可能な保護シートを用いることが好ましい。耐エッチング膜としては、パターニング工程において、パターニング処理により部分的に除去可能であり、かつ、切断工程において用いるエッチング溶液に対しては溶解・除去されない性質を有するものであれば、適宜選択できる。この場合、パターニング工程においては、レジスト膜をフォトマスクによって露光処理と現像液による現像処理とによってパターニング処理し、切断工程においてエッチング溶液を利用して切断を行うことができる。
切断(断裁)方法としては、例えば、ブレーク法、レーザーカット法、水ジェット流法を採用することができる。強化ガラスの切断方法として、より好ましくはイオン交換処理済みの板状ガラスのパターニングされた耐エッチング膜が設けられた面を、エッチング溶液に接触させてエッチングすることで、イオン交換処理済みの板状ガラスを小片に切断する。エッチング処理は、通常、板状ガラスをエッチング溶液に浸漬させて行う。エッチング溶液としては、少なくとも弗酸を含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、塩酸等のその他の酸や、界面活性剤等の各種の添加剤が添加されていてもよい。例えば、エッチング液として、弗酸、弗酸を主成分とする酸性溶液、弗酸に硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、ケイフッ酸のうちの少なくとも1つの酸を含む混酸の他、苛性ソーダや苛性カリ等のアルカリ類を使用することができる。また、エッチング温度は通常10℃〜80℃であり、好ましくは20℃〜40℃である。さらに、エッチング時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜10分である。これらのエッチングの条件は、使用するガラス基板の材質などに応じて、反応物が析出することのないように、適宜選択できるものである。
エッチングのみで断裁されない場合、エッチング後、大型強化ガラス基板にブレークバーを当てて応力を加える。その結果、大型強化ガラス基板は、単品サイズの個片に切断される。耐エッチング膜を除去する前に個片基板の外周端部に研磨を行ない、突部を除去した後、エッチングを行なう。また、エッチングには、エッチング工程と同様、弗酸系エッチング液を用いたウエットエッチングを実施する。これにより個片基板の切断及び研磨時に発生していたマイクロクラックが除去される。エチング後、耐エッチング膜を除去する。
以下に、タッチパネルセンサー基板を実施例として、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
大型ガラス基板として、ダウンドロー法により成形された縦400mm×横500mm×厚さ0.7mmの平板ガラスを用い、KNO溶融塩(温度:400℃)に4時間浸漬した後、水洗して用いた。なお、上記の平板ガラスの組成は、酸化物基準のモル%表示で、SiO:65%、Al:10%、MgO:10%、NaO:14.5%、ZrO:0.5%であった。
上記の大型ガラス基板を用いて、以下の工程に従ってタッチパネルセンサー基板を作製した。
<1.加飾層の形成>
大型ガラス基板の一方面の上に、波長400nm〜波長750nmの光の透過率が30
%以下で、可視光を吸収し赤外線を透過する後述する顔料系レジストを仕上がり2.5μmとなるようにスピンコートにより塗布した。
次に、減圧乾燥機にて溶剤分を除去したのち、プロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)にて露光した。ここで、露光用フォトマスクとしてはソーダガラスにCr(クロム)でパターンを施したものを用いた。次に、アルカリ性現像液にて現像した。そして、235°C×20分の熱処理を行い、加飾層を形成した。
[アルカリ可溶性樹脂の合成]
反応容器に1−メトキシ−2−プロピルアセテート800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
スチレン 40部
メタクリル酸 60部
メチルメタクリレート 55部
ベンジルメタクリレート 45部
アゾビスイソブチロニトリル 10部
1,4−ジメチルメルカプトベンゼン 3部
滴下後十分に加熱した後、アゾビスイソブチロニトリル2部を1−メトキシ−2−プロピルアセテート50部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。
この樹脂溶液に固形分が30重量%になるように1−メトキシ−2−プロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、アルカリ可溶性樹脂溶液とした。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約20000であった。5μmフィルターで濾過後、顔料系レジストに用いた。
[顔料系レジスト]
下記組成の混合物を均一に拡販混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して顔料分散体を得た。
赤色顔料:C.I.ピグメントレッド254 50部
(BASF社製「イルガーフォーレッド B−CF」) 50部
青色顔料:C.I.ピグメントブルー15:6
(東洋インキ社製、LIONOGEN BLUE 7706)
分散剤 3部
(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)
下記のアルカリ可溶性樹脂溶液 183部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して第1の顔料系レジストを得た。
上記分散体 233部
アルカリ可溶性樹脂溶液
多官能重合性モノマー 50部
(東亜合成製「アロニックス M−400」)
光開始剤 25部
(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製「イルガキュアー369」)
増感剤4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 5部
(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB−F」)
シクロヘキサノン 186部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 333部
この顔料系レジストを用いて2.4μmの厚さに加飾層を形成したときの光学濃度(OD値)は、2.4であった。
<2.ジャンパ配線4の形成>
DCマグネトロンスパッタ方式にて、170°Cにて加熱しながらスパッタする加熱スパッタによってITO膜を形成した。次に、一般的なノボラック系ポジレジストをスピンコートし、プレベーク後、露光したのち、アルカリ性現像液にてポジ現像を行った。ここで、露光はプロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)を使用し、露光用フォトマスクとしてはソーダガラスにCrでパターンを施したものを用いた。そして、シュウ酸((COOH)2)を主成分としたエッチング液を用いてエッチングし、ポジレジストを全面露光したのち、アルカリ性剥離液にてポジレジストを剥離して、ITO膜によりジャンパ配線を形成した。
<3.第1の絶縁膜5および第2の絶縁膜11の形成>
アクリル系絶縁材料をスピンコートにより塗布した。次に、プレベークして溶剤分を除去し、プロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)にて露光した。ここで、露光用フォトマスクとしてはクオーツガラスにCrでパターンを施したものを用いた。次に、アルカリ性現像液にて現像し、熱処理を行った。このようにして、ジャンパ配線4上の第1の絶縁膜5と、額縁部3上の第2の絶縁膜11とを、同時に形成した。
<4.金属配線6の形成>
マグネトロンスパッタ方式にて、真空中でMoの層、Alの層、Moの層を順次形成し、3層積層構造のMo/Al/Mo積層体を形成した。次に、一般的なノボラック系ポジレジストをスピンコートし、プレベーク後、露光したのち、アルカリ性現像液にてポジ現像を行った。ここで、露光はプロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)を使用し、露光用フォトマスクとしてはソーダガラスにCrでパターンを施したものを用いた。そして、燐酸・硝酸・酢酸の3成分系のエッチャント(エッチング液)にてエッチングし、ポジレジストを全面露光したのち、アルカリ性剥離液にてポジレジストを剥離して、第2の絶縁膜11上に金属配線6を形成した。
<5.透明電極7および8の形成>
DCマグネトロンスパッタ方式にて、170°Cにて加熱しながらスパッタする加熱スパッタによってITO膜を形成した。次に、一般的なノボラック系ポジレジストをスピンコートし、プレベーク後、露光したのち、アルカリ性現像液にてポジ現像を行った。ここで、露光はプロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)を使用し、露光用フォトマスクとしてはソーダガラスにCrでパターンを施したものを用いた。そして、シュウ酸を主成分としたエッチング液を用いてエッチングし、ポジレジストを全面露光したのち、アルカリ性剥離液にてポジレジストを剥離して、ITO膜により透明電極7、8を形成した。
<6.絶縁保護膜9の形成>
アクリル系オーバーコート材料をスピンコートにより塗布した。次に、プレベークして溶剤分を除去し、プロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)にて露光した。ここで、露光用フォトマスクとしてはクオーツガラスにCrでパターンを施したものを用いた。次に、アルカリ性現像液にて現像し、熱処理を行い、絶縁保護膜9を形成して、タッチパネルセンサーを作製した。
次に、上記で得た複数の単位タッチパネルサンサーからなる大型ガラス基板を以下のエッチング法で切断(断裁)した。
耐エッチング膜としてフッ素系シートに弱粘着性を付与した耐エッチング膜シートを、単位タッチパネルセンサーが複数形成されている大型ガラス基板の面と対向させて貼り合わせた。
次に、この状態で、6重量%の弗酸、4重量%の硫酸、12重量%の塩酸を含有するエッチング液に10分浸漬させ、ガラス基板の耐エチング膜を設けていない部分をエッチングして、溝を形成した。
次に、この大型ガラス基板にブレークバーを当てて応力を加え、単位タッチパネルセンサー基板サイズに切断した。その後、切断して得られた単位タッチパネルセンサー基板の外周端部を研磨し、突部を除去した後、エッチングし、耐エッチング膜を除去した。なお、このときのエッチング液は先のエッチング液と同様のものを用いた。
次に、上記で得られた単位タッチパネルセンサー基板の切断面とタッチパネルセンサー面の表示領域以外に、下記に示すガラス強化層形成用組成物をスクリーン印刷法にて形成して、実施例1〜7及び比較例1を作製した。なお、これらのガラス強化層形成用組成物は3本ロールを用いて調整した。
<ガラス強化層形成用組成物>
下記表1に記載のSi−O結合を有する樹脂、遮光性を有する着色材としてカーボンブラック、バインダー樹脂としてアクリル分散樹脂(日本化薬社製:ZCR1642)、消泡剤(ビックケミー社製:BYK−066N)、溶剤としてエチルカルビトールアセテートからなるガラス強化層形成用組成物を調整した。下記表2にその組成を記す。
<評価>
実施例1〜7及び比較例1で作製したタッチパネルセンサー基板に対して、以下の光学濃度、ガラスのエッジ強度試験、落下試験、光漏れ試験を行った。結果を下記表3に示す。
[光学濃度(OD値)測定]
ガラス基板の一方面の上に、顔料系レジストを、スピンコートにより塗布し、減圧乾燥機にて溶剤分を除去したのち、プロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)にて200mJ全面露光した。次に、NaCO(炭酸ナトリウム)、NaHCO(炭酸水素ナトリウム)を混合したアルカリ水溶液にて現像し、235°C×20分の熱処理を行った。さらにその上に、カーボン系レジストを、スピンコートにより塗布し、減圧乾燥機にて溶剤分を除去したのち、プロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)にて200mJ全面露光した。次に、NaCO(炭酸ナトリウム)、NaHCO(炭酸水素ナトリウム)を混合したアルカリ水溶液にて現像し、235°C×20分の熱処理を行い、光学濃度(OD値)測定用基板を作製した。得られた基板を、マクベス社製D―200IIを用いて遮光性の指標となる光学濃度(OD値)測定を行った。
[ガラスのエッジ強度試験]
ガラスの端部分の強度を測定するため、「JIS R 1601 ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」に準じた、4点曲げ試験によって強度を測定する。加圧子を降下させる速度は10mm/分とした。このような強度測定をガラス基材10枚について行い、平均値を求めた。
[落下試験]
厚さ1cmのステンレス板の上にガラス面がステンレス側に来るようサンプルを置き、タッチパネルのタッチ面のガラス上に重量2.97gの鉄球を高さ30cmから落下させ、ガラスの破損状態を観察した。その結果、割れなし:○、ひび割れ:×とした。
[光漏れ試験]
ガラス強化層形成後に得られたタッチパネルセンサーとバックライト、カラーフィルタを配置した液晶パネルと貼りつけて一体化する。得られた電子機器から額縁部の配線が透けないものを○、配線が透けるものを×とした。
<比較評価>
実施例1〜6で得られた本発明品は、いずれも額縁部の遮光層のOD値が3以上となり、タッチパネルセンサーの配線見えはなく十分な遮光性が得られた。またガラス端部の強度も>800N以上あり、落下試験にて十分な耐久性が得られた。
一方、実施例7は、OD値が3以下のためタッチパネルセンサーの配線が見えた。また、比較例1は、ガラス強度が<800N以下であり、落下試験にて十分な強度不足のためガラス割れが発生した。
本発明は、大型ガラス基板に形成された単位機能性素子を切断しても、取り出した単位ガラス基板の切断面(端部)の強度を低下させないで単位ガラス基板を提供することができる。
1:単位タッチパネルセンサー基板
2:ガラス基板(単位ガラス基板)
3:加飾層
4:ジャンパ配線
5:第1の絶縁膜
6:金属配線
7:第1の透明電極
8:第2の透明電極
9:絶縁保護膜
10:表示領域
11:加飾層をカバーする絶縁膜
12:非表示領域
13:ガラス強化層
30:大型ガラス基板

Claims (5)

  1. 大型ガラス基板から切断して得られるガラス基板の切断面に、Si−O結合を有する樹脂を含むガラス強化層を形成してなることを特徴とする切断面強化ガラス基板。
  2. 前記Si−O結合を有する樹脂が、チオール基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、イソシアネート基、アミド基の少なくとも一つから選ばれる末端基を有することを特徴とする請求項1に記載の切断面強化ガラス基板。
  3. 前記大型ガラス基板の一方の面に複数の単位機能性素子が形成され、前記単位機能性素子からなる単位ガラス基板毎に切断してなることを特徴とする請求項1または2に記載の切断面強化ガラス基板。
  4. 前記単位機能性素子がタッチパネルセンサーであることを特徴とする請求項3に記載の切断面強化ガラス基板。
  5. 前記ガラス強化層が着色材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の切断面強化ガラス基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114346328A (zh) * 2021-12-29 2022-04-15 河北中瓷电子科技股份有限公司 一种封装用金属盖板的自动分割方法

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