JP2015072264A - 溶射膜の膜厚測定方法及び膜厚測定装置 - Google Patents

溶射膜の膜厚測定方法及び膜厚測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 広範囲の膜厚を精度よく測定することの可能な溶射膜の膜厚測定方法及び膜厚測定装置を提供すること。
【解決手段】 管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体2,3にセンサ11を当接させて渦流探傷法により溶射膜の膜厚を測定する。センサ11は、被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具40,40’に設けられる。溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に試験片に対するセンサ11のリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定し、これら基準渦流信号のリフトオフ距離が0の時の信号成分に基づいて3次多項式による検量線を予め作成する。治具40,40’を被検査体2,3の外面に当接させて渦流信号を測定する。測定した渦流信号の治具40,40’が被検査体2,3の外面に当接した時の信号成分と検量線に基づいて溶射膜の膜厚を測定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、溶射膜の膜厚測定方法及び膜厚測定装置に関する。さらに詳しくは、管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定方法及び膜厚測定装置に関する。
従来、上述の如き溶射膜の膜厚測定方法として、例えば特許文献1に示す如きものが知られている。この方法は、被測定材の下地合金と被膜材合金との組み合わせにより決定される二次曲線に応じた目盛を設定した目盛板を渦電流の測定メーターに装着し、標準試料等により目盛設定を行って、測定メーターの目盛からアルミニウム合金膜厚を求めている。作業者が目盛を読み取るため、作業者によりバラツキが生じ精度が低下する場合があった。また、二次曲線に応じた目盛を設定しているため、本文献に明示されているように、300μmが測定上限であり、さらに測定範囲の拡大が望まれていた。
特公平4−5324号公報
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、広範囲の膜厚を精度よく測定することの可能な溶射膜の膜厚測定方法及び膜厚測定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る溶射膜の膜厚測定方法の特徴は、管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する方法において、前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定し、これら基準渦流信号の前記リフトオフ距離が0の時の信号成分に基づいて3次多項式による検量線を予め作成しておき、前記治具を前記被検査体の外面に当接させて渦流信号を測定し、測定した渦流信号の前記治具が前記被検査体の外面に当接した時の信号成分と前記検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定することにある。
上記構成によれば、センサを被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けるので、センサを被検査体の外面に安定して当接させることができ、センサと被検査体との相対的な傾きが低減され、測定精度が向上する。また、湾曲面により、測定箇所でのセンサと被検査体との相対的な傾きによるバラツキを抑制できる。加えて、被検査体と同一材料、同一形状の試験片を用いて検量線を作成するので、被検査体の曲率形状や材料の相違による影響を排除でき、さらに測定精度が向上する。しかも、3次多項式により作成した検量線に基づいて膜厚を求めるので、比較的肉厚の溶射膜の膜厚までも同一検量線で高精度に測定することが可能となる。さらに、複数の試験片毎に試験片に対するセンサのリフトオフ距離が0となる信号成分により検量線を作成し、測定時は治具を被検査体の外面に当接させた時の渦流信号の信号成分を測定する。このように、リフトオフ距離が0の場合の渦流信号の出力値を用いるので、上述の治具形状と相まって安定した渦流信号が得られ、溶射膜の膜厚を精度よく測定することができる。
前記基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、前記基準信号軌跡から前記リフトオフ距離が0の時の信号成分を抽出し、前記治具を空中から前記被検査体の外面に近接させて前記外面に当接するまでの渦流信号を測定すると共にその信号の信号軌跡を生成し、前記信号軌跡における前記治具が前記被検査体の外面に当接した時の信号成分を抽出するようにしてもよい。軌跡から抽出する場合、その軌跡の終端がリフトオフ距離が0の信号成分となる。この場合においても、上記と同様に溶射膜の膜厚を精度よく測定することができる。
前記信号成分は、前記センサのインピーダンスにおけるリアクタンス成分(Y成分)であるとよい。発明者らの実験によれば、図5に示すように、X成分(抵抗成分)よりもY成分(リアクタンス成分)が膜厚変動に対し感度がよく、渦流出力と膜厚との相関も高いことが見出された。しかも、Y成分の方がより厚い膜厚を測定できることが判明した。すなわち、インピーダンスにおけるリアクタンス成分を用いることで、さらに精度よく広範囲の膜厚測定が可能となる。
上記目的を達成するため、本発明に係る溶射膜の膜厚測定方法の他の特徴は、管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する方法において、前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、これら基準信号軌跡から第一信号成分毎に抽出した第二信号成分に基づいて複数の検量線を予め作成しておき、前記治具を前記被検査体の外面に当接させて渦流信号を測定し、測定した渦流信号の第一信号成分から対応する検量線を選択し、前記測定した渦流信号の第二信号成分と選択した検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定することにある。
ここで、リフトオフ距離を変化させることで得られる渦流信号の信号軌跡は、例えば図7に示すように、溶射膜の膜厚により一意に定まる。そして、そのインピーダンス平面上の任意の点は、ある膜厚における信号軌跡上に存在するといえる。従って、上記構成の如く、センサのインピーダンスの各信号成分を決定することで溶射膜厚の測定が可能となる。しかも、リフトオフ距離が0でなくてもよく、溶射膜上に他の付着物が形成されていても、その上から溶射膜厚の測定が可能である。
また、前記治具を空中から前記被検査体の外面に近接させて前記外面に当接するまでの渦流信号を測定すると共にその信号の信号軌跡を生成し、前記信号軌跡における前記治具が前記被検査体の外面に当接した時の第一信号成分から対応する検量線を選択するようにしてもよい。この場合においても、上記と同様に溶射膜の膜厚を精度よく測定することができる。
前記第一信号成分は、前記センサのインピーダンスにおける抵抗成分(X成分)であり、前記第二信号成分は、前記センサのインピーダンスにおけるリアクタンス成分(Y成分)であるとよい。X成分(抵抗成分)よりもY成分(リアクタンス成分)が膜厚変動に対し感度がよく、渦流出力と膜厚との相関も高いことが見出された。しかも、Y成分の方がより厚い膜厚を測定できることが判明した。すなわち、インピーダンスにおけるリアクタンス成分を用いることで、さらに精度よく広範囲の膜厚測定が可能となる。
上記目的を達成するため、本発明に係る溶射膜の膜厚測定方法のさらに他の特徴は、管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する方法において、前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、これら基準信号軌跡から求めた軌跡の基準傾きに基づいて検量線を予め作成しておき、前記治具を空中から前記被検査体の外面に近接させて前記外面に当接するまでの渦流信号を測定すると共にその信号の信号軌跡を生成し、前記信号軌跡から軌跡の傾きを求め、求めた軌跡の傾きと前記検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定することにある。
ここで、リフトオフ距離を変化させることで得られる渦流信号の信号軌跡は、例えば図7に示すように、溶射膜の膜厚により一意に定まる。よって、信号軌跡の傾きは膜厚に対して一意に決まる。従って、上記構成の如く、信号軌跡の傾きを用いることで溶射膜厚の測定が可能となる。しかも、リフトオフ距離が0でなくてもよく、溶射膜上に他の付着物が形成されていても、その上から溶射膜厚の測定が可能である。
前記被検査体は、前記溶射膜上にさらに非導電性の付着物を有していても構わない。上記いずれかに記載の方法においては、溶射膜の上に他物が存在していた場合であっても溶射膜の膜厚の測定が可能である。
前記治具は、前記センサを前記被検査体の外面に押圧する押圧部材を有するとよい。これにより、センサを被検査体に当接させる際に一定に押圧することができ、センサと被検査体との相対的な傾きがさらに低減でき、さらに測定精度を向上する。また、センサと被検査体との距離(リフトオフ)による影響を抑制でき、さらに精度が向上する。
前記被検査体としては、例えば、LNG気化器の伝熱管や下部ヘッダーである。
上記目的を達成するため、本発明に係る溶射膜の膜厚測定装置の特徴は、管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する構成において、前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定し、これら基準渦流信号の前記リフトオフ距離が0の時の信号成分に基づいて3次多項式による検量線を予め作成しておき、前記治具を前記被検査体の外面に当接させて渦流信号を測定し、測定した渦流信号の前記治具が前記被検査体の外面に当接した時の信号成分と前記検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る溶射膜の膜厚測定装置の他の特徴は、管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する構成において、前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、これら基準信号軌跡から第一信号成分毎に抽出した第二信号成分に基づいて複数の検量線を予め作成しておき、前記治具を前記被検査体の外面に当接させて渦流信号を測定し、測定した渦流信号の第一信号成分から対応する検量線を選択し、前記測定した渦流信号の第二信号成分と選択した検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る溶射膜の膜厚測定装置のさらに他の特徴は、管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する構成において、前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、これら基準信号軌跡から求めた軌跡の基準傾きに基づいて検量線を予め作成しておき、前記治具を空中から前記被検査体の外面に近接させて前記外面に当接するまでの渦流信号を測定すると共にその信号の信号軌跡を生成し、前記信号軌跡から軌跡の傾きを求め、求めた軌跡の傾きと前記検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定することにある。
上記本発明に係る溶射膜の膜厚測定方法及び膜厚測定装置の特徴によれば、広範囲の膜厚を精度よく測定することが可能となった。
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
LNG気化器の概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 検査対象となる伝熱管及び下部ヘッダーの概略図である。 伝熱管及び下部ヘッダーの層構造の概略断面図である。 本発明に係る膜厚測定装置のブロック図である。 X成分とY成分の膜厚値と渦流出力との相関を示すグラフである。 リフトオフ距離と信号軌跡との関係を説明する図である。 溶射膜厚と信号軌跡との関係を説明する図である。 本発明の第一実施形態における検量線の作成を説明する図である。 本発明の第一実施形態における膜厚の算出を説明する図である。 治具の概略図である。 伝熱管に相当する試験片による検量線を示すグラフである。 下部ヘッダーに相当する試験片による検量線を示すグラフである。 本発明の第二実施形態における図8相当図である。 本発明の第二実施形態における図9相当図である。 本発明の第三実施形態における図8相当図である。 本発明の第三実施形態における図9相当図である。
次に、図1〜12を参照しながら、本発明の第一実施形態について詳しく説明する。
[LNG気化器]
本発明に係る溶射膜の膜厚測定方法は、例えば、図1,2に示す如き、例えば、海水を熱源としてLNGを気化するオープンラック式のLNG気化器1における伝熱管2及び下部ヘッダー3を検査対象(被検査体)とする。同図に示すように、LNG気化器1は、LNGが供給される下部ヘッダー3と、下部ヘッダー3から鉛直方向に複数設けられた伝熱管2とを備える。伝熱管2の上部外周面にはフィン2aが設けられ、上端は上部ヘッダー4に接続されている。トラフ5には配管6を介して海水Wが供給されており、トラフ5から溢れた海水Wが伝熱管2外面を伝って下部ヘッダー3まで流下する。この海水Wとの熱交換によってLNGが気化されNGとなり、上部ヘッダー4を介して回収される。
[伝熱管]
ここで、伝熱管2は、図3に示すように、母材21としてアルミニウム合金が用いられ、その母材21の表面にアルミニウム溶射により溶射膜22が形成されている。なお、本実施形態において、母材21にはアルミニウム合金材としてA6063が用いられ、アルミニウム溶射に用いられるアルミニウム合金としては、例えばA7072が用いられる。
[下部ヘッダー]
また、下部ヘッダー3も、伝熱管2と同様の層構造を呈し、アルミニウム合金材よりなる母材31の表面にアルミニウム溶射による溶射膜32が形成されている。なお、本実施形態において、母材31にはアルミニウム合金材としてA5083が用いられ、アルミニウム溶射に用いられるアルミニウム合金としては、例えばA7072が用いられる。
ところで、このアルミニウム溶射による溶射膜22,32は、母材21,31のアルミニウム合金材の犠牲陽極として機能し、母材21,31の腐食、損傷を抑制する(犠牲防食作用)。また、伝熱管2及び下部ヘッダー3の溶射膜22,32は、トラフ5から流下する大量の海水Wによって摩耗(損傷)する。一方、溶射は、LNG気化器1が設置された後に施工される。作業者によって膜厚にバラツキが大きく、溶射前のブラスト処理により外観上溶射の有無の識別が困難で施工漏れ等の恐れも生じる。また、膜厚が大きい場合、溶射膜22,32の接着強度が低下し剥離する恐れもある。従って、この溶射膜22,32の広範囲の膜厚管理が重要であり、膜厚が所定の管理値範囲内であるかを判定(測定)する必要がある。
[膜厚測定装置]
本発明に係る膜厚測定装置10は、図2に示すように、大略、センサ11が取り付けられた治具40と、検出した信号を処理し出力する渦流探傷装置50と、出力された信号の解析等を行う信号処理装置60と、測定結果等を表示する表示器70を備える。伝熱管2や下部ヘッダー3に治具40を介してセンサ11を近づけ、伝熱管2や下部ヘッダー3を励磁し、渦電流を発生させる。そして、渦電流により生成される磁束の変化に伴うセンサ11のインピーダンス変化を測定し、溶射膜22,32の膜厚を測定する。
図4に示すように、渦流探傷装置50は、大略、発振器51、ブリッジ52、移相器53、自動平衡器54、増幅器55、同期検波器56を備える。本実施形態において、例えばセンサ11としては試験コイル12と比較コイル13よりなる自己誘導自己比較型のプローブが用いられる。ブリッジ52は、これらコイル12,13と図示しない可変抵抗器により構成されるブリッジ回路である。
発振器51からの交流出力は、試験コイル12に加えられて伝熱管2や下部ヘッダー3を励磁し、渦電流に伴う磁束を検出する。自動平衡器54はブリッジ54出力を零とするものである。試験コイル12及び比較コイル13間の不平衡出力が増幅器55で増幅され、同期検波器56に送られて、移相器53の出力とあいまって検波される。そして、渦流信号をフィルタ57やA/D変換器58を介して信号処理装置60に取り込み、測定結果等を表示器70に表示する。信号処理装置60としては、例えば渦流探傷装置50に接続されたパーソナルコンピューター(PC)で構成される。
[信号成分]
ここで、センサ11での渦流信号として、リフトオフ(コイルと被検査体との相対的な距離)に起因するX成分(抵抗成分)と、電気的な物性(電気伝導度)に起因するY成分(リアクタンス成分)とが得られる。これらX成分及びY成分について各成分の相関係数を評価した結果の一例を図5に示す。同図に示すように、X成分では約600μmで値が飽和しており、それ以上の厚さについて評価することが困難である。一方、Y成分では約800μmでも直線的に変化している。また、相関係数R2については、X成分は0.8166であり、Y成分は0.9908であり、Y成分がよりよい相関を示すことが判明した。従って、アルミ溶射膜の膜厚測定において、X成分よりY成分の渦流出力値を用いて膜厚測定することがより広範囲を正確に測定できることが分かる。本実施形態では、信号成分として、Y成分の渦流出力値を用いる。なお、発明者らの実験によれば、試験周波数が10kHz〜400kHzにおいて、上記と同様の結果が得られた。
[信号処理装置]
信号処理装置60は、図4に示すように、大略、渦流信号の信号軌跡Tを生成する軌跡生成部61と、信号軌跡Tから信号成分Sを抽出する信号成分抽出部62と、抽出された信号成分Sに基づいて検量線Cを作成する検量線作成部63と、作成された検量線Cから膜厚tを算出する膜厚算出部64を有する。被検査体や試験片の情報(母材、膜厚、材質等)、生成された信号軌跡T、作成された検量線C、測定データ、解析結果等の各種データは、記憶部65に記憶される。
軌跡生成部61は、試験片での基準渦流信号の基準信号軌跡Tや被検査体2,3での渦流信号の信号軌跡T’を生成し、記録する。これら信号軌跡T,T’は、XY平面(インピーダンス平面)においてセンサ11のリフトオフ距離Dに応じて変化する。図6に示すように、センサ11を空中(リフトオフ距離大)から試験片や被検査体2,3の対象物100に近接させるに従い、リフトオフ距離Dは減少し且つ渦流信号のY成分も減少する。そして、センサ11が対象物100と当接する(リフトオフ距離D=0)と、Y成分は最小となり信号軌跡Tの終端(右端)となる。また、信号軌跡T,T’は、溶射膜102の膜厚tが小さい程Y成分が小さくなる。図7に示すように、溶射膜102a〜cの膜厚ta〜cが小さくなる(ta>tb>tc)に従い、それに応じて軌跡のY成分も小さくなる(Ta>Tb>Tc)。このように、信号軌跡T,T’は膜厚tに応じて一意に定まるものであり、リフトオフ距離D=0の信号成分を用いて膜厚の測定が可能となる。よって、予め既知の膜厚tのY成分に対する検量線を作成しておくことで、被検査体2,3のY成分を測定するだけで精度よく膜厚を測定することができる。
信号成分抽出部62は、軌跡生成部61で生成された信号軌跡T,T’から信号成分Sを抽出する。本実施形態では、図8に示すように、軌跡Tの終端(右端)に位置するリフトオフ距離Dが0の時のY成分(Sa,Sb,Sc)を信号軌跡Tから抽出する。そして、検量線作成部63は、信号成分抽出部62で抽出された信号成分Sから検量線Cを作成する。本実施形態では、図7,8に示すように、既知の膜厚(ta,tb,tc、図7)と抽出したY成分(Sa,Sb,Sc)とに基づき3次多項式による検量線Cを作成する。
膜厚算出部64は、被検査体2,3における渦流信号の信号成分の出力値を検量線Cに代入し膜厚tを算出する。本実施形態では、図9に示すように、信号成分抽出部62が信号軌跡T’の終端(右端)に位置するセンサ11が被検査体に接触(当接)した時(リフトオフ距離Dが0)のY成分(S’)が検量線Cに代入され膜厚tが算出される。
[治具]
図10に示すように、治具40は、伝熱管2の外面の曲率に沿う湾曲面41を有する当接部42を有し、センサ11の端部を貫通させる貫通孔43が設けられている。当接部42は把持部45と螺合し、把持部45の内部にはセンサ11を収容する筒状体44が収納されている。把持部45の外面には例えばゴム製のカバー45aに覆われ、外気温度等によるインピーダンスの変化を抑制している。筒状体44の一端には、押圧部材としてばね46が取り付けられ、ばね46の一端は把持部45と螺合する端部47の内部で掛止されている。これにより、作業者が把持部45を把持し当接部42を被検査体に押し当てた際に、センサ11は湾曲面41によって被検査体の表面に略垂直に配置され、且つばね46により押圧される。従って、センサ11の被検査体に対する傾きを抑制し、より高精度に膜厚を測定することができる。また、下部ヘッダー3には、下部ヘッダー3の外面の曲率に沿う湾曲面41’を有する当接部42’を有する治具40’が用いられる。なお、センサ11は、治具40内部を貫通するケーブル49を介して渦流探傷装置50に接続されている。
[検量線]
伝熱管2及び下部ヘッダー3と同一材料、同一形状で溶射膜22,32の膜厚を異ならせた複数の試験片(カットモデル)を用いて、測定前に予め検量線を作成する。検量線の作成に際しても、上記治具40,40’を用いる。
ここで、発明者らは、溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片を用いて渦流探傷を行い、渦流出力値としてY成分の値を抽出すると共に、溶射膜厚をマイクロメーター等により実測した。その結果に基づく検量線の比較を図11,12に、実測値を表1,2にそれぞれ示す。なお、図11及び表1が伝熱管2と同等の試験片によるもの、図12及び表2が下部ヘッダー3と同等の試験片によるものである。
Figure 2015072264
Figure 2015072264
図11,12及び表1,2に示すように、比較例1としての線形(直線近似)の検量線では一部で膜厚実測値に近似する値が得られるものの、多くの膜厚範囲において実測値から大きく外れ誤差が大きくなることが分かる。また、比較例2としての2次多項式(2次曲線近似)の検量線では、線形(直線近似)の検量線に比べ精度は向上するものの、実施例の3次多項式と比較すると、膜厚範囲の中間部分での誤差が大きくなる。なお、比較例の相関係数は、伝熱管2の場合で比較例1は0.934、比較例2は0.9845であり、下部ヘッダー3の場合で比較例1は0.97、比較例2は0.9783であった。また、比較例の誤差(標準偏差)は、伝熱管2の場合で比較例1は118、比較例2は57であり、下部ヘッダー3の場合で比較例1は47、比較例2は40であった。
他方、実施例の3次多項式(3次曲線近似)の検量線では、その相関係数は、伝熱管2の場合で0.9881、下部ヘッダー3の場合で0.9915となり、比較例1,2よりも高い。また、誤差(標準偏差)は、伝熱管2の場合で50、下部ヘッダー3の場合で25となり、比較例1,2よりも低い。このように、3次多項式の検量線を用いることで、より誤差を低減し且つ広範囲の膜厚を精度よく測定することができる。
[測定手順]
まず、予め、検査対象となる伝熱管2と同一形状、同一材料よりなり溶射膜の異なる試験片を複数用意し、図11に示す如き3次多項式による検量線を作成する。本実施形態では、各試験片において上述の治具40によりセンサ11の試験片に対するセンサのリフトオフ距離Dを変化させながらセンサ11を各試験片に押し当てて基準渦流信号を測定すると共に、軌跡生成部61がその信号の基準信号軌跡を生成し、記録する。次に、信号成分抽出部62が、生成した各基準信号軌跡からリフトオフ距離D=0のY成分の値を抽出する。そして、検量線作成部63が、図11,12に示す如き、横軸に渦流出力値として抽出したY成分の値を、縦軸に実測等した既知の膜厚値をプロットし、3次多項式により検量線を作成する。伝熱管2及び下部ヘッダー3は管状体であるため、その出力値は湾曲形状の影響を受ける。従って、予め検量線の作成に際し被検査体と同一形状同一材料の試験片を用いることでこれらの誤差要因を排除でき、精度が向上する。
次に、バランス調整用の試験片にセンサ11を近づけて、リフトオフノイズがX成分のみとなるように位相調整を行う。そして、伝熱管2の外面に治具40の湾曲面41を沿わせてセンサ11を伝熱管2に押圧し、渦流探傷を行う。上述と同様に、軌跡生成部61が渦流信号の信号軌跡を生成、記録し、信号成分抽出部62が生成した信号軌跡から治具40(センサ11)が伝熱管2の外面に当接した時のY成分の渦流出力値を測定する。そして、膜厚算出部64がその出力値に基づいて検量線から膜厚を求める。下部ヘッダー3については、治具を取り換えて同様に測定する。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
上記第一実施形態において、基準信号軌跡Tからリフトオフ距離が0の場合におけるY成分を信号成分として抽出し検量線Cを作成した。しかし、伝熱管2や下部ヘッダー3の溶射膜22,23上に、図3の一点鎖線で示す如く、例えばガラス繊維強化プラスチックのFRP被膜等の非導電性塗膜等の付着物23,33(異物)が存在すると、リフトオフ距離が0とならず、そのリフトオフ距離によりX成分に影響が生じる。そのため、上記第一実施形態の如くリフトオフ距離D=0の信号成分を用いると、測定精度が低下する恐れがある。
そこで、第二実施形態では、検量線Cをセンサ11のインピーダンスにおける所定の抵抗成分(X成分)毎に複数作成する。本実施形態では、図13に示すように、例えば、信号成分抽出部62が基準信号軌跡(T1〜3)からX成分xkにおけるY成分(Sk1〜3)を抽出し、検量線作成部63が抽出したY成分から検量線Ckを作成する。これを任意の抵抗成分の範囲Rで所定のX成分(x1〜xn)毎に繰り返し行う。このように、リフトオフ距離によるX成分への影響を考慮して、予め複数の検量線を作成しておく。この例では、第一信号成分をセンサ11のインピーダンスにおける所定の抵抗成分(X成分)とし、第二信号成分をセンサ11のインピーダンスにおける所定のリアクタンス成分(Y成分)としている。なお、本実施形態における検量線の作成は、3次多項式により作成してもよく、2次や4次以上の多項式等の他の手法でもよく、特にその手法は限定されるものではない。
そして、測定に際しては、治具40が被検査体2,3の外面に当接した時のX成分を生成した信号軌跡T’から抽出して、抽出したX成分に基づいて作成した複数の検量線の中から対応する検量線を選択する。そして、治具40が被検査体2,3の外面に当接した時のY成分の値と決定した検量線により膜厚を測定する。本実施形態では、図14に示すように、信号成分抽出部62が信号軌跡T’の終端(右端)からX成分(S’x)及びY成分(S’y)を抽出する。また、膜厚算出部64は、抽出したX成分S’xが該当する検量線を決定する。例えば、抽出したX成分S’xが先のX成分xkに該当すれば、複数の検量線の中から図13の検量線Ckが選択される。そして、膜厚算出部64が信号軌跡T’から抽出したY成分S’yを選択した検量線Ckに代入して膜厚tを算出する。これにより、溶射膜22,32上に例えばFRP被膜23,33が形成されていても、その上から溶射膜厚を精度よく測定することができる。また、他の理由により検査時にセンサ11と被検査体2,3との間でリフトオフ距離D=0の状態を確保することが困難な場合であっても、測定精度の低下を防止できる。しかも、複数の検量線を予め作成しておくので、測定精度も向上する。そして、測定時に記憶部65を参照して検量線を決定すればよいので、リアルタイムでの膜厚測定も可能となる。
次に、本発明の第三実施形態について説明する。本実施形態も上記第二実施形態と同様に付着物23,33の上から溶射膜厚を測定する手法である。
上記第一、第二実施形態において、検量線Cの作成に際して渦流信号の信号成分(Y成分)を用いたが、本実施形態では信号軌跡T,T’の軌跡の傾きG,G’を用いる。本実施形態では、図15に示すように、例えば、複数の試験片毎に基準渦流信号を測定すると共に、軌跡生成部61がその信号の基準信号軌跡(T4〜6)を生成する。そして、信号成分抽出部62が各基準信号軌跡(T4〜6)において任意のX成分(xa、xb)における各Y成分(ya4〜6、yb4〜6)を抽出し、(yb−ya)/(xb−xa)により軌跡の基準傾きG1〜3をそれぞれ求める。そして、検量線作成部63が、求めた軌跡の基準傾きG1〜3に基づいて検量線Cgを予め作成する。なお、本実施形態における検量線の作成においても、3次多項式により作成してもよく、2次や4次以上の多項式等の他の手法でもよく、特にその手法は限定されるものではない。
そして、測定に際しては、信号軌跡T’から軌跡の傾きG’を求める。本実施形態では、図16に示すように、被検査体2,3の渦流信号を測定すると共に、軌跡生成部61がその信号の信号軌跡T’を生成する。そして、信号成分抽出部62が信号軌跡T’において先のX成分(xa、xb)における各Y成分(y’a、y’b)を抽出し、(y’b−y’a)/(xb−xa)により軌跡の傾きG’を求める。そして、膜厚算出部64が、求めた軌跡の傾きG’を検量線Cgに代入して膜厚tを算出する。これにより、上記第二実施形態と同様に検査時にセンサ11と被検査体2,3との間でリフトオフ距離D=0の状態を確保することが困難な場合であっても、測定精度の低下を防止できる。
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。
上記実施形態において、伝熱管2の母材21にアルミニウム合金材としてA6063が用いられ、下部ヘッダー3の母材31にA5058が用いられ、アルミニウム溶射に用いられるアルミニウム合金としてA7072が用いられた。しかし、これらアルミニウム合金材は一例に過ぎず、他の合金材料であっても同様に膜厚測定が可能である。
上記実施形態において、センサ11には自己誘導自己比較方式のコイル12,13を用いたが、コイルの態様は自己誘導自己比較方式に限らず、種々の方式のコイルを適用しても構わない。
上記第一実施形態において、信号成分としてY成分を用いたが、Y成分に代えてX成分を用いても構わない。但し、上述したように、測定精度の点で上記実施形態が優れている。また、上記第一実施形態では、軌跡生成部61により測定した試験片の基準渦流信号の基準信号軌跡T及び被検査体2,3の渦流信号の信号軌跡T’を生成、記録した。しかし、本実施形態では、センサ11が試験片や被検査体2,3に接触した状態での信号成分(すなわち、リフトオフ距離D=0)の値を用いればよく、必ずしも信号軌跡T,T’を生成する必要はなく、軌跡生成部61を省略することも可能である。また、例えば基準信号軌跡Tを生成してその軌跡Tの終端(右端)の信号成分により検量線を作成しておき、測定時に信号軌跡T’を生成することなくその時の信号成分の出力値(測定値)を検量線に代入するようにしても構わない。さらに、基準信号軌跡Tを生成することなく、試験片のリフトオフ距離D=0の時の出力値(測定値)により検量線を作成しておき、測定時に信号軌跡T’を生成してその軌跡T’の終端(右端)の信号成分の値を抽出し検量線に代入するようにしても構わない。
上記第二実施形態においても、第一信号成分としてX成分、第二信号成分としてY成分を用いたが、その逆とすることも可能である。但し、上述したように、測定精度の点で上記実施形態が優れている。また、上記第二実施形態では、軌跡生成部61により測定した被検査体2,3の渦流信号の信号軌跡T’を生成、記録した。しかし、本実施形態では、センサ11が被検査体2,3に接触した状態での信号成分(すなわち、リフトオフ距離D=0)の値を用いればよく、必ずしも信号軌跡T’を生成する必要はない。例えば測定時に信号軌跡T’を生成することなくその時の信号成分の出力値(測定値)を検量線に代入するようにしても構わない。
上記第二、第三実施形態において、図3に示すように、溶射膜22,32上に形成された非導電性の付着物として、FRP被膜を例に説明したが、これに限られるものではなく、例えば他の各種合成樹脂よりなる非導電性被膜であってもよい。
1:LNG気化器、2:伝熱管(被検査体)、2a:フィン、3:下部ヘッダー(被検査体)、4:上部ヘッダー、5:トラフ、6:配管、10:膜厚測定装置、11:センサ、12:試験コイル、13:比較コイル、21:母材、22:溶射膜、23:非導電性被膜(付着物)、31:母材、32:溶射膜、33:非導電性被膜(付着物)、40,40’:治具、41,41’:湾曲面、42,42’:当接部、43:貫通孔、44:筒状体、45:把持部、45a:カバー、46:ばね(押圧部材)、47:端部、49:ケーブル、50:渦流探傷装置、51:発振器、52:ブリッジ、53:移相器、54:自動平衡器、55:増幅器、56:同期検波器、57:フィルタ、58:A/D変換器、60:信号処理装置(パーソナルコンピューター)61:軌跡生成部、62:信号成分抽出部、63:検量線作成部、64:膜厚算出部、65:記憶部、70:表示器、100:対象物、101:母材、102:溶射膜、C,Cg,Ck:検量線、D:リフトオフ距離、G1〜G3:軌跡の基準傾き、G’:軌跡の傾き、S:信号成分、T,T1〜T6,Ta〜Tc:基準信号軌跡、T’:信号軌跡、t,ta〜tc:膜厚、W:海水

Claims (14)

  1. 管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定方法であって、
    前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、
    前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定し、これら基準渦流信号の前記リフトオフ距離が0の時の信号成分に基づいて3次多項式による検量線を予め作成しておき、
    前記治具を前記被検査体の外面に当接させて渦流信号を測定し、
    測定した渦流信号の前記治具が前記被検査体の外面に当接した時の信号成分と前記検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定方法。
  2. 前記基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、前記基準信号軌跡から前記リフトオフ距離が0の時の信号成分を抽出し、前記治具を空中から前記被検査体の外面に近接させて前記外面に当接するまでの渦流信号を測定すると共にその信号の信号軌跡を生成し、前記信号軌跡における前記治具が前記被検査体の外面に当接した時の信号成分を抽出する請求項1記載の溶射膜の膜厚測定方法。
  3. 前記信号成分は、前記センサのインピーダンスにおけるリアクタンス成分(Y成分)である請求項1又は2記載の溶射膜の膜厚測定方法。
  4. 管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定方法であって、
    前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、
    前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、これら基準信号軌跡から第一信号成分毎に抽出した第二信号成分に基づいて複数の検量線を予め作成しておき、
    前記治具を前記被検査体の外面に当接させて渦流信号を測定し、
    測定した渦流信号の第一信号成分から対応する検量線を選択し、
    前記測定した渦流信号の第二信号成分と選択した検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定方法。
  5. 前記治具を空中から前記被検査体の外面に近接させて前記外面に当接するまでの渦流信号を測定すると共にその信号の信号軌跡を生成し、前記信号軌跡における前記治具が前記被検査体の外面に当接した時の第一信号成分から対応する検量線を選択する請求項4記載の溶射膜の膜厚測定方法。
  6. 前記第一信号成分は、前記センサのインピーダンスにおける抵抗成分(X成分)であり、前記第二信号成分は、前記センサのインピーダンスにおけるリアクタンス成分(Y成分)である請求項4又は5記載の溶射膜の膜厚測定方法。
  7. 管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定方法であって、
    前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、
    前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、これら基準信号軌跡から求めた軌跡の基準傾きに基づいて検量線を予め作成しておき、
    前記治具を空中から前記被検査体の外面に近接させて前記外面に当接するまでの渦流信号を測定すると共にその信号の信号軌跡を生成し、
    生成した信号軌跡の軌跡の傾きを求め、
    求めた軌跡の傾きと前記検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定方法。
  8. 前記溶射膜上には、さらに非導電性の付着物が形成されている請求項4〜7のいずれかに記載の溶射膜の膜厚測定方法。
  9. 前記治具は、前記センサを前記被検査体の外面に押圧する押圧部材を有する請求項1〜8のいずれかに記載の溶射膜の膜厚測定方法。
  10. 前記被検査体は、LNG気化器の伝熱管である請求項1〜9のいずれかに記載の溶射膜の膜厚測定方法。
  11. 前記被検査体は、LNG気化器の下部ヘッダーである請求項1〜9のいずれかに記載の溶射膜の膜厚測定方法。
  12. 管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定装置であって、
    前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、
    前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定し、これら基準渦流信号の前記リフトオフ距離が0の時の信号成分に基づいて3次多項式による検量線を予め作成しておき、
    前記治具を前記被検査体の外面に当接させて渦流信号を測定し、
    測定した渦流信号の前記治具が前記被検査体の外面に当接した時の信号成分と前記検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定装置。
  13. 管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定装置であって、
    前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、
    前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、これら基準信号軌跡から第一信号成分毎に抽出した第二信号成分に基づいて複数の検量線を予め作成しておき、
    前記治具を前記被検査体の外面に当接させて渦流信号を測定し、
    測定した渦流信号の第一信号成分から対応する検量線を選択し、
    前記測定した渦流信号の第二信号成分と選択した検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定装置。
  14. 管状のアルミニウム合金材上にアルミニウム合金の溶射膜が形成された被検査体にセンサを当接させて渦流探傷法により前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定装置であって、
    前記センサは、前記被検査体の外面に合致する湾曲面を有する治具に設けられ、
    前記被検査体と同一材料、同一形状で前記溶射膜の膜厚を異ならせた複数の試験片毎に前記試験片に対する前記センサのリフトオフ距離を変化させて基準渦流信号を測定すると共にその信号の基準信号軌跡を生成し、それら基準信号軌跡から求めた軌跡の基準傾きに基づいて検量線を予め作成しておき、
    前記治具を空中から前記被検査体の外面に近接させて前記外面に当接するまでの渦流信号を測定すると共にその信号の信号軌跡を生成し、
    前記信号軌跡から軌跡の傾きを求め、
    求めた軌跡の傾きと前記検量線に基づいて前記溶射膜の膜厚を測定する溶射膜の膜厚測定装置。
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