JP2015071686A - 複合ポリエステル組成物及び潤滑剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、優れた潤滑性能を発揮し得る複合ポリエステル組成物であって、基油への分散性に優れた複合ポリエステル組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、下記(A)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、下記(B)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、及び下記(C)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、の少なくとも1種を含むことを特徴とする複合ポリエステル組成物に関する。
(A)一般式(1)で表される化合物、多価アルコール及び1価カルボン酸の混合物
(B)多価アルコール、一般式(1)で表される化合物、多価カルボン酸及び1価アルコールの混合物。
(C)多価アルコール、多価カルボン酸、及び一般式(1)で表される化合物の混合物であって、前記多価カルボン酸は、ダイマー酸、トリマー酸又はエルカ酸ダイマーである混合物。
Figure 2015071686

【選択図】なし

Description

本発明は、複合ポリエステル組成物及び潤滑剤に関する。具体的には、本発明は、アルコキシシランと、カルボン酸と、アルコールとを縮合させることにより得られるポリエステルを含む複合ポリエステル組成物と、該複合ポリエステル組成物を含む潤滑剤に関する。
潤滑剤は、一般にベースオイルと種々の添加剤を含む。ベースオイルとしては、原油から得られる鉱物油、化学合成されるエステル系油、フッ素油、ポリαオレフィン系油などがある。これらの中でも、エステル系油は、低流動点、高粘度指数、高引火点、良好な潤滑性能、生分解性などから、ジェット機、自動車エンジン油、グリースなどに好適に用いられる。
エステル系油としては、脂肪族モノカルボン酸と一価アルコールとの反応から得られるモノエステル;脂肪族二塩基酸と一価アルコールとの反応から得られるジエステル;多価アルコールと脂肪族カルボン酸との反応から得られるエステル;及びポリオール、多塩基酸、脂肪族モノカルボン酸との反応から得られる複合エステル;等、様々なエステル類が開示されている(特許文献1〜5)。
また、特許文献6及び7には、多価アルコールと、多価カルボン酸と、1価アルコールとの反応から得られるポリエステル組成物が開示されている。特許文献6では、多価カルボン酸として、ダイマー酸又はトリマー酸が用いられており、特許文献7では、多価カルボン酸として、ダイマー酸が用いられている。これらの文献では、上記のようなポリエステル組成物を潤滑剤に用いることにより、潤滑性能を高めることが提案されている。
特開2002−097482号公報 特開2005−154726号公報 特開2005−232434号公報 特開2005−213377号公報 特開2005−232470号公報 特開平10−88170号公報 特開2010−150495号公報
近年、産業分野の多様化や高度化に伴い、潤滑剤には高い潤滑性能が求められるようになってきている。このため、より低い摩擦性を有し、優れた潤滑性能を発揮し得るポリエステル組成物の開発が求められており、潤滑剤に用いられるポリエステル組成物を改良することにより、潤滑性能を高めることが検討されている。
また、従来技術により得られたポリエステル組成物は、潤滑剤とする際に基油への分散性が十分ではない場合があった。すなわち、従来のポリエステル組成物においては、潤滑性能と分散性を両立させることが困難であるという問題があった。このため、優れた潤滑性能を発揮しつつも、基油への分散性に優れたポリエステル組成物が求められている。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、優れた潤滑性能を発揮し得るポリエステル組成物であって、基油への分散性に優れたポリエステル組成物を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、アルコキシシランと、カルボン酸と、アルコールを所定の組み合わせとし、これらの混合物を縮合させて複合ポリエステル組成物を得ることにより、複合ポリエステル組成物の潤滑性能と基油への分散性を高め得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]下記(A)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、下記(B)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、及び下記(C)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、の少なくとも1種を含むことを特徴とする複合ポリエステル組成物。
(A)一般式(1)で表される化合物、多価アルコール及び1価カルボン酸の混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは0〜2の整数を表す。
(B)多価アルコール、一般式(1)で表される化合物、多価カルボン酸及び1価アルコールの混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは0〜2の整数を表す。
(C)多価アルコール、多価カルボン酸、及び一般式(1)で表される化合物の混合物であって、前記多価カルボン酸は、ダイマー酸、トリマー酸又はエルカ酸ダイマーである混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは3である。
Figure 2015071686
[2]前記(A)の混合物において、前記一般式(1)で表される化合物のnは0又は1である[1]に記載の複合ポリエステル組成物。
[3]前記(A)の混合物において、前記多価アルコールの炭素数は、24〜48である[1]又は[2]に記載の複合ポリエステル組成物。
[4]前記(A)の混合物において、前記多価アルコールがダイマージオールである[1]〜[3]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[5]前記(B)の混合物において、前記一般式(1)で表される化合物のnは2である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[6]前記(B)の混合物において、前記多価カルボン酸の炭素数は、24〜48である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[7]前記(B)の混合物において、前記多価カルボン酸は不飽和脂肪酸の二塩基酸又は三塩基酸である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[8]前記(B)の混合物において、前記多価カルボン酸はダイマー酸、トリマー酸又はエルカ酸ダイマーである[1]〜[7]のいずれかの1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[9]前記(B)の混合物において、前記1価アルコールの炭素数は6以上である[1]〜[8]のいずれかの1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[10]前記(B)の混合物において、前記1価アルコールは少なくとも1つのオキシアルキレン基を有する[1]〜[9]のいずれかの1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[11]前記(B)及び前記(C)の混合物において、前記多価アルコールはそれぞれ独立に飽和脂肪族アルコールである[1]〜[10]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[12]前記(B)及び前記(C)の混合物において、前記多価アルコールはそれぞれ独立にペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン又はジペンタエリスリトールから選ばれる[1]〜[11]のいずれか1項に記載n複合ポリエステル組成物。
[13]有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物の少なくとも1種の有機金属化合物をさらに含む[1]〜[12]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[14]前記有機金属化合物は、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−オクチルジチオカルバメート、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−トリデシルジチオカルバメート、n−ブチル−n−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛又はイソプロピル−1−エチルブチルジチオリン酸亜鉛である[13]に記載の複合ポリエステル組成物。
[15]前記ポリエステルは、下記一般式(4)〜(6)で表されるポリエステルの少なくとも1種を含む[1]〜[14]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
Figure 2015071686
(一般式(4)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R2は(p+1)価の鎖状もしくは環状の脂肪族連結基又は芳香族連結基を表し、R3は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。pは1〜6の整数を表し、pが2以上の場合、p個のR3は同じであっても異なっていてもよい。また、nは0〜2の整数を表し、(4−n)個の−OR2−(OCOR3pは同じであっても異なっていてもよい。)
Figure 2015071686
(一般式(5)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R4はr価の原子団を表し、R5は(q+1)価の鎖状もしくは環状の脂肪族連結基又は芳香族連結基を表し、R6は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。qは1〜4の整数を表し、qが2以上の場合、q個のR6は同じであっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を表し、nが0又は1の場合、(3−n)個の−OCOR5−(COOR6qは同じであっても異なっていてもよい。また、rは2〜6の整数を表し、r個の−OSiRn−{OCOR5−(COOR6q3-nは同じであっても異なっていてもよい。)
Figure 2015071686
(一般式(6)中、R7はt価の原子団を表し、R8は、sが1の場合は、ダイマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基を表し、sが2の場合はトリマー酸残基を表す。R11〜R13は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表す。sが2の場合、2個のR11は同じであっても異なっていてもよく、2個のR12は同じであっても異なっていてもよく、2個のR13は同じであっても異なっていてもよい。また、tは2〜6の整数を表し、t個の−OCOR8−(COOSi(R11)(R12)(R13))sは同じであっても異なっていてもよい。)
[16]前記一般式(4)において、nは0又は1である[15]に記載の複合ポリエステル組成物。
[17]前記一般式(4)において、R2はダイマージオール残基である[15]又は[16]に記載の複合ポリエステル組成物。
[18]前記一般式(5)において、nは2である[15]〜[17]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[19]前記一般式(5)において、R5はダイマー酸残基、トリマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基である[15]〜[18]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[20]前記一般式(5)において、R6オキシアルキレン構造を有する基である[15]〜[19]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[21]前記一般式(5)及び(6)において、R4及びR7はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素からなる原子団である[15]〜[20]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[22]40℃における粘度が50〜1650mPasである[1]〜[21]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
[23][1]〜[22]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物と、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、清浄剤、分散剤,流動、硬化剤、腐食防止剤、シール適合剤、消泡剤、錆防止剤、腐食防止剤、摩擦調整剤、及び増ちょう剤から選択される1種又は2種以上の添加剤とを含有する組成物。
[24][1]〜[22]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物、又は[23]に記載の組成物と、鉱物油、油脂化合物、ポリオレフィン油、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル油、芳香族エステル油、及びポリオールエステル潤滑油から選択される1種又は2種以上の媒体とを少なくとも含有する組成物。
[25][1]〜[22]のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物、又は[23]又は[24]に記載の組成物を含む潤滑剤。
[26]グリース用潤滑油、離型剤、内燃機関用エンジンオイル、金属加工用(切削用)オイル、軸受け用オイル、燃焼機関用燃料、車両エンジン油、ギヤ油、自動車用作動油、船舶・航空機用潤滑油、マシン油,タービン油、軸受用オイル、油圧作動油、圧縮機・真空ポンプ油、冷凍機油、金属加工用潤滑油剤、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤、人工骨用潤滑剤、ショックアブソーバ油又は圧延油として用いられる[25]に記載の潤滑剤。
本発明によれば、優れた潤滑性能を発揮し得る複合ポリエステル組成物を得ることができる。さらに、本発明の複合ポリエステル組成物は、基油に対して優れた分散性を発揮することができる。このように、本発明の複合ポリエステル組成物は、高い潤滑性能と分散性を兼ね備えたものである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(複合ポリエステル組成物)
本発明は、アルコキシシランと、カルボン酸と、アルコールを所定の組み合わせとし、これらの混合物を縮合させることにより得られるポリエステルを含む複合ポリエステル組成物に関する。具体的には、下記(A)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、下記(B)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、及び下記(C)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステルの少なくとも1種を含む複合ポリエステル組成物に関する。
(A)一般式(1)で表される化合物、多価アルコール及び1価カルボン酸の混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは0〜2の整数を表す。
(B)多価アルコール、一般式(1)で表される化合物、多価カルボン酸及び1価アルコールの混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは0〜2の整数を表す。
(C)多価アルコール、多価カルボン酸、及び一般式(1)で表される化合物の混合物であって、前記多価カルボン酸は、ダイマー酸、トリマー酸又はエルカ酸ダイマーである混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは3である。
Figure 2015071686
本発明の複合ポリエステル組成物には、上記(A)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、上記(B)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、及び上記(C)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステルの少なくとも1種が含まれていればよく、2種又は3種が含まれていてもよい。本発明では、上記のような特定の組み合わせの混合物を用いてポリエステルを合成することにより、基油への分散性を高めることができ、かつ高い潤滑性能を発揮する複合ポリエステル組成物を得ることができる。
本発明において、一般式(1)で表される化合物はアルコキシシランである。上記(A)に記載の混合物において、一般式(1)で表される化合物のnは0〜2の整数であればよく、0又は1であることがより好ましい。すなわち、上記(A)に記載の混合物に含まれる化合物は、3価又は4価のアルコキシシランであることが好ましい。
また、上記(B)に記載の混合物において、一般式(1)で表される化合物のnは0〜2であればよく、nは2であることがより好ましい。すなわち、上記(B)に記載の混合物に含まれる化合物は2価のアルコキシシランであることが好ましい。
なお、上記(C)に記載の混合物において、一般式(1)で表される化合物のnは3であり、上記(C)に記載の混合物に含まれる化合物は1価のアルコキシシランである。
<多価アルコール>
ポリエステルの縮合に用いる多価アルコールは、少なくとも2つの水酸基を含む化合物である。多価アルコールは、R(OH)nで表される。Rはn価の脂肪族、脂環式又は芳香環基であり、R中の炭素原子の互いに隣接しない1以上の炭素原子が酸素原子に置換されていてもよい。中でも、Rは、脂肪族基であることが好ましい。
Rは、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10、さらにより好ましくは2〜7、特に好ましくは3〜5の炭素原子を含むn価の脂肪族基である。但し、この範囲に限定されず、用途によっては、炭素原子数はむしろ大きいほうが好ましい場合もある。
Rの好ましい例は、Cx2X+2-n(xは2〜20の数)又はCx2X+2-nm(xは2〜20の数、mはm<xを満足する数であり、m≦x/2が好ましい)で表される基であるのがより好ましい。
本発明で用いる多価アルコールは、2〜6価の多価アルコールのいずれか1種を用いることとしてもよく、複数種を用いることとしてもよい。
上記(A)に記載の混合物に含まれる多価アルコールは、2〜4価の多価アルコールであることが好ましく、2又は3価の多価アルコールであることがより好ましく、2価の多価アルコールであることがさらに好ましい。
また、上記(B)又は(C)に記載の混合物に含まれる多価アルコールは2〜6価の多価アルコールであることが好ましく、3又は4価の多価アルコールであることがより好ましい。なお、上記(B)又は(C)に記載の混合物に含まれる多価アルコールが2価の多価アルコールを含む場合、多価アルコールの全質量に対して、2価の多価アルコールの含有率は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
上記(A)に記載の混合物に含まれる多価アルコールの炭素数は、10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましく、24以上であることがよりさらに好ましい。また、多価アルコールの炭素数は、66以下であることが好ましく、60以下であることがより好ましく、54以下であることがさらに好ましく、48以下であることがよりさらに好ましい。中でも、多価アルコールの炭素数は、24〜48であること好ましく、ダイマージオールであることが特に好ましい。
上記(B)又は(C)に記載の混合物に含まれる多価アルコールは、飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。また、本発明で用いる飽和脂肪族アルコールは、分岐構造を有するものであることが好ましい。なお、飽和脂肪族アルコールの炭素数は、3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましい。
上記(A)〜(C)に記載の混合物に含まれる多価アルコールとして、例えば、以下の化合物を挙げることができる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、ダイマージオールのようなジオール;トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、グリセリンのようなトリオール;トリメチロールプロパンのようなテトラオール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールのようなマルチオール;キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、マルチトール、イソマルト、アルビニトール、リビトール、イジトール、ボレミトール、ペリセイトールのような糖アルコール;及びグルコースなどの糖;等が挙げられる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びキシリトールが好ましく;トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール等がさらに好ましく;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール等がよりさらに好ましく;ペンタエリスリトール及びトリメチロールプロパンが特に好ましい。なお、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン又はジペンタエリスリトールから選ばれる多価アルコールは、上記(B)及び(C)に記載の混合物に含まれる多価アルコールとして特に好ましく用いられる。
本発明で用いる多価アルコールは、高純度品である必要はなく、いわゆる工業銘柄でも好適に用いられる。例えば、ペンタエリスリトールの工業銘柄は、約88%のモノ−、10%のジ−及び1〜2%のトリ−ペンタエリトリトールからなるとされるが、当該ペンタエリスリトール等の工業銘柄を、本発明において、多価アルコールとして用いることができる。
下記に本発明で用いることができる多価アルコールの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2015071686
<多価カルボン酸>
ポリエステルの縮合に用いる多価カルボン酸は、少なくとも2つのカルボキシル基を含む化合物である。カルボキシル基は一分子中に2〜4個含まれていることが好ましく、2又は3個含まれていることがより好ましい。本発明で用いる多価カルボン酸は、特に限定がない場合は、2〜4価の多価カルボン酸のいずれか1種を用いることとしてもよく、複数種を用いることとしてもよい。例えば、2価のカルボン酸と3価のカルボン酸を混合したものを用いてもよく、2価のカルボン酸と3価のカルボン酸と4価のカルボン酸を混合したものを用いてもよく、3価のカルボン酸と4価のカルボン酸を混合したものを用いてもよい。
上記(B)に記載の混合物に含まれる多価カルボン酸の炭素数は、7以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、12以上であることが好ましく、18以上であることがより好ましく、24以上であることがさらに好ましい。また、多価カルボン酸の炭素数は、66以下であることが好ましく、60以下であることがより好ましく、48以下であることがさらに好ましい。中でも、多価カルボン酸の炭素数は、24〜48であることが特に好ましい。なお、本発明において、多価カルボン酸の炭素数とは、カルボキシル基を構成する炭素原子も含めた炭素数を表すものとする。このように多価カルボン酸の炭素数を上記範囲内とすることにより、複合ポリエステル組成物の潤滑性能をより高めることができる。
上記(B)に記載の混合物に含まれる多価カルボン酸の分子中のカルボキシル基は、鎖状もしくは環状の2価以上の脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素で連結されている。脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素連結基の炭素原子の互いに隣接しない1以上の炭素原子は酸素原子に置換されていてもよい。中でも、本発明では、分子中のカルボキシル基を連結する基は、炭素数は20〜46の脂肪族炭化水素であることが好ましい。
上記(B)に記載の混合物に含まれる多価カルボン酸の分子中のカルボキシル基を連結する脂肪族炭化水素には、不飽和結合が含まれていることが好ましい。すなわち、多価カルボン酸は不飽和脂肪酸であることが好ましく、不飽和脂肪酸の二塩基酸又は三塩基酸であることがより好ましい。
上記(B)に記載の混合物に含まれる多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、トリメリット酸、ダイマー酸、トリマー酸、エルカ酸ダイマー等を挙げることができる。中でも、ダイマー酸、トリマー酸、エルカ酸ダイマーを用いることが好ましい。なお、ダイマー酸、トリマー酸、エルカ酸ダイマーは、その水添体を用いてもよい。
なお、上記(C)に記載の混合物に含まれる多価カルボン酸は、ダイマー酸、トリマー酸又はエルカ酸ダイマーである。
ここでダイマー酸とは、不飽和脂肪酸(通常は、炭素数18)が重合またはDiels−Alder反応等によって二量化して生じる脂肪族または脂環族ジカルボン酸(大部分の2量体の他、3量体、モノマー等を数モル%含有するものが多い)をいい、そのうち、主成分が3量体のものをトリマー酸と定義する。
ダイマー酸またはトリマー酸の具体例としては、築野食品工業株式会社製 ツノダイム(登録商標)205、216、228、395がダイマー酸として挙げられ、ツノダイム345などはトリマー酸の例として挙げられる。他にコグニス社、ユニケマ社製の製品も挙げられる。
エルカ酸ダイマーは、炭素数が22である不飽和脂肪酸(エルカ酸)が2量化した炭素数が44のジカルボン酸である。エルカ酸ダイマーの2量化に好ましく用いられるエルカ酸としては、例えば、CAS番号112−86−7等の化合物を挙げることができる。また、エルカ酸ダイマーの代表的なものとしては、商品名 Pripol 1004(Croda社製)等がある。
本発明では、上記(B)に記載の混合物に含まれる多価カルボン酸の代わりとして、多価カルボン酸の無水物を用いることもできる。多価カルボン酸の無水物は、上記の多価カルボン酸の二つのCOOHが分子内あるいは分子間脱水縮合したものである。その好ましい形態は上記と同様である。その無水物の例には、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ナド酸、無水メチルナド酸、無水ヘキサヒドロフタル酸及び混合された多塩基酸の無水物が含まれる。
下記に本発明で用いることができる多価カルボン酸の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2015071686
<1価カルボン酸>
上記(A)に記載の混合物に含まれる1価カルボン酸は、分子中に1つのカルボキシル基を含む化合物である。1価カルボン酸としては、1価の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸であって、直鎖状、分岐鎖状又は環状のものを用いることができる。中でも1価カルボン酸は、1価の飽和脂肪酸であるか芳香族カルボン酸であることが好ましい。
1価カルボン酸の炭素数は、2〜36個であることが好ましく、炭素数2〜36個の1価の飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ヘプタデカン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、モンタン酸、イソプロピオン酸、2−エチルブタン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソテトラコサン酸、イソヘキサコサン酸及びシクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
また、炭素数2〜36個の1価の不飽和脂肪酸としては、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸、アラキドン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸等を挙げることができる。
芳香族カルボン酸は、芳香環に結合した水素のうち少なくとも1つがカルボキシル基に置換した化合物を意味し、ナフタレンやその他縮合多環芳香族にカルボキシル基が置換しているものも含まれる。芳香族カルボン酸化合物としては、ベンゼン環、ナフタレン環またはビフェニル環を芳香環として含むものが好ましく、好ましい具体例としては、安息香酸、1−ナフトエ酸、トランス桂皮酸、4−ビフェニルカルボン酸を挙げることができる。
下記に本発明で用いることができる1価カルボン酸の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2015071686
<1価アルコール>
上記(B)に記載の混合物に含まれる1価アルコールは、一分子内に水酸基を1つ含む化合物である。1価アルコールは、R(OH)で表される。Rは、1価の脂肪族、脂環式又は芳香環基である。Rの炭素数は3以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、8以上であることがさらに好ましい。1価アルコールの炭素数を上記範囲内とすることにより、縮合反応時に1価アルコールが揮散することを抑制することができ、効率よくポリエステルの縮合反応を進めることが可能となる。
1価アルコールは少なくとも1つのオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基は、アルキレン鎖中に酸素原子が導入された構造を言う。アルキレン鎖は直鎖でも、分岐でも、環状でもよい。またアルキレン鎖の炭素数は1〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、導入される酸素数は1〜10が好ましく、1〜6が好ましく、1〜4がさらに好ましい。
本発明で用いる1価アルコールは、下記一般式(2)で表されるものであることが好ましい。
Figure 2015071686
ここで、一般式(2)中、Raは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基であり、Xa1及びXa2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。また、na1は1〜4の整数を表し、na2は1〜12の整数を表す。na1が2以上の場合、na1個のXa1は同じであっても異なっていてもよく、na1個のXa2は同じであっても異なっていてもよい。また、na2が2以上の場合、na2個の−(O(CXa1a2na1−は同じであっても異なっていてもよい。
aで表される置換基を有してもよいアルキル基のアルキル基部分の炭素数は、3〜17であることが好ましく、4〜13であることがより好ましく、5〜9であることがさらに好ましい。Raが表すアルキル基は直鎖であっても分岐であってもよい。また、Raはシクロアルキル基であってもよい。
aで表される置換基を有してもよいアルケニル基のアルケニル基部分の炭素数は、3〜17であることが好ましく、4〜13であることがより好ましく、5〜9であることがさらに好ましい。Raが表すアルキル基は直鎖であっても分岐であっても環状であってもよい。
aで表される置換基を有してもよいアリール基またはヘテロアリール基のアリール基部分の炭素数は、6〜17であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。Raが表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。また、Raが表すヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子であることが好ましい。
中でも、一般式(2)において、Raは置換基を有してもよいアルキル基であることがより好ましい。ここで、アルキル基は、分岐を有するアルキル基であってもよい。また、Xa1及びXa2はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
一般的(2)において、na1は1〜3の整数であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。また、na2は、1〜8の整数であることがより好ましく、1〜6の整数であることがさらに好ましく、1〜3の整数であることが特に好ましい。
一般的(2)で表される1価アルコールの炭素数は、3以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、8以上であることがさらに好ましい。このような1価アルコールを用いることにより、縮合反応時に1価アルコールが揮散することを抑制することができ、効率よくポリエステルの縮合反応を進めることが可能となる。
aが有し得る置換基の例には、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基(例えば、メチル、エチル、以後いずれも直鎖状もしくは分枝鎖状の、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、又はテトラコシル);炭素原子数2〜35のアルケニル基(例えば、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル);炭素原子数3〜10のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル);炭素原子数6〜30の芳香族環基(例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントラセニル)、複素環基(窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む複素環の残基であるのが好ましく、例えば、ピリジル、ピリミジル、トリアジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアジアリル、オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル);又はそれらの組み合わせからなる基を表す。これらの置換基は、可能な場合はさらに1以上の置換基を有してもよく、置換基の例には、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、エ−テル基、アルキルカルボニル基、シアノ基、チオエ−テル基、スルホキシド基、スルホニル基、アミド基などが挙げられる。
下記に本発明で用いることができる1価アルコールの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2015071686
<アルコキシシラン及びシラノール>
ポリエステルの縮合に用いられるアルコキシシラン及びシラノールは、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2015071686
一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は水素原子又は炭素数が1〜6の有機基を表す。なお、上記(A)及び(B)に記載の混合物に含まれる化合物では、nは、0〜2の整数であり、上記(C)に記載の混合物に含まれる化合物では、nは3である。
上記(A)に記載の混合物において、一般式(1)で表される化合物のnは0〜2の整数であればよく、0又は1であることがより好ましい。すなわち、上記(A)に記載の混合物に含まれる化合物は3価又は4価のアルコキシシラン又はシラノールであることが好ましい。
また、上記(B)に記載の混合物において、一般式(1)で表される化合物のnは0〜2であればよく、nは2であることがより好ましい。すなわち、上記(B)に記載の混合物に含まれる化合物は2価のアルコキシシラン又はシラノールであることが好ましい。
なお、上記(C)に記載の混合物において、一般式(1)で表される化合物のnは3であり、上記(C)に記載の混合物に含まれる化合物は1価のアルコキシシラン又はシラノールである。
一般式(1)で表される化合物は、アルコールやカルボン酸などの活性水素を持つ化合物と交換反応することにより上記(A)〜(C)の混合物中に取り込まれる。交換反応に際しては必ずしも全てのアルコキシ基および水酸基が反応する必要はないが、なるべく多くのアルコキシ基および水酸基が反応していることが好ましい。反応したアルコキシシランおよびシラノールは、上記(A)〜(C)の混合物中の他の化合物と縮合反応をする。
Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表す。好ましくは、Rはアミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基である。Rがアミノ基を有さない場合は、アルコキシシランを加水分解する際に、生成するシラノール同士で脱水縮合が促進することを抑制することができる。このため、混合物の安定性を高めることが可能となる。
また、炭素数が1〜15の有機基は、脂肪族、脂環式又は芳香環基であることが好ましく、中でも、Rは、脂肪族基又は脂環式基であることが好ましい。なお、Rで示す有機基は、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有しても良い。
一般式(1)において、R1は炭素数1〜6の有機基を表す。下記一般式(1)で表される化合物にR1が複数個含まれる場合、R1は全てが同一の有機基であってもよく、異なる有機基であってもよい。また、R1は直鎖状のものであっても良いし、分枝を有していても良い。炭素数1〜6の有機基は、脂肪族、脂環式又は芳香環基であることが好ましく、中でも、Rは、脂肪族基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。R1で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert―ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。R1で表されるアルキル基の炭素数を1〜6とすることにより、アルコキシシランの加水分解性を高めることができる。なお、加水分解の容易さからは炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基が特に好ましい。
下記に本発明で用いることができるアルコキシシランの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2015071686
(有機金属化合物)
本発明の複合ポリエステル組成物は、上述した組み合わせで各化合物を反応させ、縮合させることにより得られるポリエステルに加えて、有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物の少なくとも1種の有機金属化合物をさらに含んでもよい。
本発明で用いる有機モリブデン化合物としては、モリブデンジチオホスフェート(MoDTPと言われることもある)、モリブデンジチオカーバメート(MoDTCと言われることもある)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物;無機モリブデン化合物(例えば、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸、(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩、アンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデン、ポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩またはアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等)と;硫黄含有有機化合物(例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイド、硫化エステル等)あるいはその他の有機化合物とモリブデンとの錯体等、あるいは、上記硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。
また、有機モリブデン化合物としては、構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物を用いることもできる。構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物としては、具体的には、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩などが挙げられ、中でも、モリブデン−アミン錯体、有機酸のモリブデン塩およびアルコールのモリブデン塩が好ましい。
上記MoDTPの製造方法としては、例えば、特開昭61−87690号公報及び特開昭61−106587号公報に記載された方法を用いることが好ましい。すなわち、三酸化モリブデン若しくはモリブデン酸塩と、硫化アルカリ或いは水硫化アルカリとを反応させ、次いでP2 5 と二級アルコールとを加えて適当な温度で反応させることにより得ることができる。MoDTCの製造方法としては、例えば、特公昭56−12638号公報に記載された方法を用いることが好ましい。すなわち、三酸化モリブデン若しくはモリブデン酸塩と、硫化アルカリ或いは水硫化アルカリとを反応させ、次いで二硫化炭素と二級アミンを加えて適当な温度で反応させることにより得ることができる。
本発明に用いられる有機亜鉛化合物であるジンクジチオホスフェート(ZDTP)は、一般式(3)で表わされる。
Figure 2015071686
一般式(3)中、Q1、Q2、Q3、Q4は各々同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立にイソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、ミスチル基、パルミチル基、ステアリル基等の炭素数4〜20のアルキル基を表すことが好ましい。
有機金属化合物は金属塩又は金属−配位子錯体を含んでもよい。ここで、金属はモリブデン又は亜鉛であることが好ましい。配位子には、アルコール、ポリオール、グリセロール、部分エステルグリセロール、チオール、カルボキシレート、カルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、アミド、イミド、アミン、チアゾール、チアジアゾール、ジチアゾール、ジアゾール、トリアゾールのヒドロカルビル誘導体、及び有効量のO、N、S又はPを個々に又は組み合わせて含む他の極性分子官能基を挙げることができる。例えば、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−オクチルジチオカルバメート(C8−Mo(DTC))、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−トリデシルジチオカルバメート(C16−Mo(DTC))、n−ブチル−n−ペンチルジチオリン酸亜鉛(C4/C5 ZnDTP)、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛(C8 ZnDTP)又はイソプロピル−1−エチルブチルジチオリン酸亜鉛(C3/C6 ZnDTP)であることが好ましい。その他、Mo−ジチオホスフェート[Mo(DTP)]、Mo−アミン[Mo(Am)]、Mo−アルコレート、Mo−アルコール−アミドなどのMo含有化合物を例示することができる。
本発明の複合ポリエステル組成物において、有機モリブデン化合物を用いる場合、その含有量は、組成物全質量に対して、10〜1000ppm含まれていることが好ましく、50〜800ppm含まれていることがより好ましく、100〜600ppm含まれていることがさらに好ましい。また、有機亜鉛化合物を用いる場合、その含有量は組成物全質量に対して、0.01〜5質量%含まれていることが好ましく、0.05〜3質量%含まれていることがより好ましく、0.08〜1質量%含まれていることがさらに好ましい。有機金属化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、複合ポリエステル組成物の安定性を高めることができ、より優れた潤滑性能を発揮することを可能とする。
(その他の化合物)
本発明では、上述したような化合物に加えて他の成分を縮合反応に用いてもよく、得られるポリエステルを含む複合ポリエステル組成物も好ましく用いられる。また、上述した有機金属化合物に加えて他の化合物を混合することとしてもよい。
(ポリエステル)
本発明の複合ポリエステル組成物は、下記一般式(4)〜(6)で表されるポリエステルの少なくとも1種を含むことが好ましい。上記(A)に記載の混合物を縮合させることで得られるポリエステルの少なくとも一部は下記一般式(4)で表され、上記(B)に記載の混合物を縮合させることで得られるポリエステルの少なくとも一部は下記一般式(5)で表され、上記(C)に記載の混合物を縮合させることで得られるポリエステルの少なくとも一部は下記一般式(6)で表される。本発明の複合ポリエステル組成物には、下記一般式(4)〜(6)で表されるポリエステルの少なくとも一種が含まれることが好ましく、下記一般式(4)〜(6)で表されるポリエステルの複数種が含まれていてもよい。
Figure 2015071686
一般式(4)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R2は(p+1)価の鎖状もしくは環状の脂肪族連結基又は芳香族連結基を表し、R3は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。pは1〜6の整数を表し、pが2以上の場合、p個のR3は同じであっても異なっていてもよい。また、nは0〜2の整数を表し、(4−n)個の−OR2−(OCOR3pは同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2015071686
一般式(5)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R4はr価の原子団を表し、R5は(q+1)価の鎖状もしくは環状の脂肪族連結基又は芳香族連結基を表し、R6は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。qは1〜4の整数を表し、qが2以上の場合、q個のR6は同じであっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を表し、nが0又は1の場合、(3−n)個の−OCOR5−(COOR6qは同じであっても異なっていてもよい。また、rは2〜6の整数を表し、r個の−OSiRn−{OCOR5−(COOR6q3-nは同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2015071686
一般式(6)中、R7はt価の原子団を表し、R8は、sが1の場合は、ダイマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基を表し、sが2の場合はトリマー酸残基を表す。R11〜R13は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表す。sが2の場合、2個のR11は同じであっても異なっていてもよく、2個のR12は同じであっても異なっていてもよく、2個のR13は同じであっても異なっていてもよい。また、tは2〜6の整数を表し、t個の−OCOR8−(COOSi(R11)(R12)(R13))sは同じであっても異なっていてもよい。
一般式(4)において、nは0又は1であることが好ましい。また、pは、2〜4の整数であることが好ましく、2又は3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。
一般式(4)において、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表す。なお、Rの好ましい範囲は、一般式(1)中のRと同様である。
一般式(4)において、R2は(p+1)価の鎖状もしくは環状の脂肪族連結基又は芳香族連結基を表す。R2は鎖状もしくは環状の脂肪族連結基であることが好ましく、鎖状の脂肪族連結基であることがより好ましい。中でも、R2はダイマージオール残基であることが特に好ましい。
3は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。中でもR3は置換基を有してもよいアルキル基であることがより好ましい。ここで、アルキル基は、分岐を有するアルキル基であってもよい。なお、R3の具体例や置換基は、一般式(2)においてRaが取り得る具体例や、有し得る置換基例を例示することができる。
一般式(5)において、nは2であること好ましい。また、qは2又は3であることが好ましい。rは2〜4であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。
一般式(5)において、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表す。なお、Rの好ましい範囲は、一般式(1)中のRと同様である。
一般式(5)において、R4は2〜6価の原子団を表し、2〜4価の原子団であることが好ましく、2又は3価の原子団であることがより好ましい。
4の炭素数は、それぞれ独立に2〜20であることが好ましく、2〜15であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜7であることがよりさらに好ましく、3〜5であることが特に好ましい。
原子団R4を構成する原子は、炭素、水素、酸素原子であることが好ましい。R4をは、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素原子団であるか、置換基を有してもよい芳香族炭化水素原子団であることが好ましい。中でも、R4は、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素からなる原子団であることが特に好ましい。R4を上記構成とすることにより、潤滑性能に優れた複合ポリエステル組成物を得ることができる。
一般式(5)において、R5は(q+1)価の鎖状もしくは環状の脂肪族連結基又は芳香族連結基を表し、多価カルボン酸の残基を表す。ここで、多価カルボン酸の残基とは、多価カルボン酸からカルボキシル基を除いた部分を構成する基のことをいう。特に、R5はそれぞれ独立に、ダイマー酸残基、トリマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基であることが好ましい。
5の炭素数は、7以上であることが好ましく、14以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。また、R5の炭素数は、64以下であることが好ましく、58以下であることがより好ましく、46以下であることがさらに好ましい。中でも、R1及びR3の炭素数の炭素数は、20〜46であることが好ましい。
一般式(5)において、R6は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。R6が取り得る具体的な基としては、一般式(1)中、Raで表される基を例示することができる。なお、R6が有し得る各基の置換基は特に制限されることはない。置換基としては、上記の置換基を同様に例示することができる。
6は、オキシアルキレン構造を有する基であることが好ましい。すなわち、R6は、分岐アルキル基、又は鎖中にエーテル結合を含むアルキル基であることが好ましい。また、R6の炭素数は3以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、8以上であることがさらに好ましい。
一般式(6)において、R7は2〜6価の原子団を表し、2〜4価の原子団であることが好ましく、2又は3価の原子団であることがより好ましい。
7の炭素数は、それぞれ独立に2〜20であることが好ましく、2〜15であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜7であることがよりさらに好ましく、3〜5であることが特に好ましい。
原子団R7を構成する原子は、炭素、水素、酸素原子であることが好ましい。R4をは、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素原子団であるか、置換基を有してもよい芳香族炭化水素原子団であることが好ましい。中でも、R7は、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素からなる原子団であることが特に好ましい。R7を上記構成とすることにより、潤滑性能に優れた複合ポリエステル組成物を得ることができる。
一般式(6)において、R8は、sが1の場合は、ダイマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基を表し、sが2の場合はトリマー酸残基を表す。中でも、R8は、sが1の場合であって、ダイマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基を表すことが好ましい。
11〜R13は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表す。R11〜R13は、各々異なる有機基であってもよく、同一の有機基であってもよい。なお、R11〜R13の好ましい範囲は、一般式(4)及び(5)のRと同様である。
本発明の複合ポリエステル組成物は、上記一般式(4)〜(6)で表されるポリエステルを少なくとも1種含むことにより、複合ポリエステル組成物の基油への分散性を高めることができる。これは、ポリエステル分子中にアルコキシシラン由来の残基を含むことにより、ポリエステル分子間にシリカ同士の反発が生じ、ポリエステル分子の分散性が高まるためであると考えられる。このように、本発明では、ポリエステル分子中にアルコキシシラン由来の残基を含むことにより、複合ポリエステル組成物の基油に対する分散性を効果的に高めることができる。
本発明の複合ポリエステル組成物には、上記一般式(4)〜(6)で表されるポリエステルの少なくとも1種が含まれればよいが、特に、一般式(5)又は(6)のいずれかが含まれていることが好ましい。これは、一般式(5)又は(6)のように、アルコキシシラン由来の残基がポリエステルの中心部(コア部)に含まれない場合の方が、ポリエステル分子間のシリカ同士の反発の影響が大きくなるためである。このように、複合ポリエステル組成物には一般式(5)又は(6)で表されるポリエステルが含まれていることが好ましい。
上記(A)に記載の混合物を得る際には、アルコキシシランに対して、多価アルコールを混合する当量比が1〜5であり、アルコキシシランに対して、1価カルボン酸を混合する当量比が0.5〜5であることが好ましい。すなわち、混合比率は、アルコキシシラン:多価アルコール:1価カルボン酸=1:1〜5:0.5〜5であることが好ましい。これらの混合比率は、1:2.0〜4.5:1.5〜5であることがより好ましく、1:2.2〜4:2.5〜5であることがより好ましい。特に、ポリエステルの側鎖は、エンドキャップされることが好ましいことから、アルコキシシランの当量より、多価アルコールと1価カルボン酸の合計の当量が、同じか大きいことが好ましい。
上記(B)に記載の混合物を得る際には、多価アルコールに対して、アルコキシシランを混合する当量比が1〜7であり、多価アルコールに対して、多価カルボン酸を混合する当量比が0.5〜7であり、多価アルコールに対して、1価アルコールを混合する当量比が0.5〜7であることが好ましい。すなわち、混合比率は、多価アルコール:アルコキシシラン:多価カルボン酸:1価アルコール=1:1〜7:0.5〜7:0.5〜7であることが好ましい。これらの混合比率は、1:2.0〜6.5:1.5〜6:1.5〜6であることがより好ましく、1:2.2〜5:2.5〜5:2.5〜5であることがより好ましい。特に、ポリエステルの側鎖は、エンドキャップされることが好ましいことから、多価アルコールの当量より、アルコキシシラン、多価カルボン酸、1価アルコールの合計の当量が、同じか大きいことが好ましい。
上記(C)に記載の混合物を得る際には、多価アルコールに対して、多価カルボン酸を混合する当量比が1〜7であり、多価アルコールに対して、アルコキシシランを混合する当量比が0.5〜9であることが好ましい。すなわち、混合比率は、多価アルコール:多価カルボン酸:アルコキシシラン=1:1〜7:0.5〜7であることが好ましい。これらの混合比率は、1:2.0〜6:1.5〜8.5であることがより好ましく、1:2.2〜5:2.5〜8.5であることがより好ましい。特に、ポリエステルの側鎖は、エンドキャップされることが好ましいことから、多価アルコールの当量より、多価カルボン酸、アルコキシシランの合計の当量が、同じか大きいことが好ましい。
本発明の複合ポリエステル組成物の40℃における粘度は、50〜1650mPasであることが好ましい。複合ポリエステル組成物の40℃における粘度は、50mPas以上であることが好ましく、70mPas以上であることがより好ましく、100mPas以上であることがさらに好ましい。また、複合ポリエステル組成物の40℃における粘度は、1650mPas以下であることが好ましく、1200mPas以下であることがより好ましく、1000mPas以下であることがさらに好ましい。複合ポリエステル組成物の粘度を上記範囲内とすることにより、複合ポリエステル組成物の摩擦係数を低く抑えることができ、これにより潤滑性能を高めることができる。
本発明の複合ポリエステル組成物は、通常の流体潤滑あるいは弾性流体潤滑領域から極圧領域にかけての摩擦係数の上昇が小さいという優れた特徴も有する。このような優れた効果は、本発明で得られるポリエステルが放射状に側鎖を配する立体構造を有することにより得られるものと考えられる。本発明で得られるポリエステルの少なくとも一部は、放射状に側鎖を配することが可能なコア部と、そのコア部に接続し放射状に伸びる連結部と、連結部に接続する末端部から構成される化合物である。すなわち、本発明で得られるポリエステルの少なくとも一部は、コア部−連結部−末端部といった3部構成を有する構造である。
上記(A)に記載の混合物を縮合させることにより得られたポリエステルは、コア部にアルコキシシラン、連結部に多価アルコール、末端部に1価カルボン酸を用い、縮合させたものである。
上記(B)に記載の混合物を縮合させることにより得られたポリエステルは、コア部に多価アルコール、連結部にアルコキシシラン、多価カルボン酸、末端部に1価アルコールを用い、縮合させたものである。
上記(C)に記載の混合物を縮合させることにより得られたポリエステルは、コア部に多価アルコール、連結部にダイマー酸、トリマー酸又はエルカ酸ダイマー、末端部にアルコキシシランを用い、縮合させたものである。
本発明では、上記のような組み合わせでコア部−連結部−末端部といった3部構成を有することで、その立体構造により大きな自由体積を確保することができる。これにより、高圧力下でも粘度及び摩擦係数の上昇を抑えることができる。
本発明では、所定のポリエステルに加えて、軽質分をさらに含んでもよい。ここで、軽質分とは、低分子量の成分をいい、多価カルボン酸の全てのカルボキシル基が1価アルコールと反応したエステルや、多価アルコールの全てのヒドロキシル基が1価カルボン酸と反応したエステルや、これより分子量が小さいものをいう。軽質分のようにさらに粘性の低い液体を共存させることで複合ポリエステル組成物の粘性をさらに低くすることができる。これにより、あらゆる条件下においても、高い潤滑性能を発揮することができる。
本発明の複合ポリエステル組成物において、所定のポリエステルと、軽質分との比率については特に制限はない。潤滑剤の用途に利用する態様では、軽質分の含有率は、所定のポリエステルに対して50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。なお、下限値については特に制限はないが、15質量%以上であることが好ましい。
所定のポリエステルと、軽質分との比率は、後述する製法において、3つの原料の仕込み比率でコントロールすることで達成することができる。また軽質分を蒸留等で分離し、残存したポリエステルと任意の比率で混合することで好ましい範囲に調整することもできる。
なお、所定のポリエステルと、ダイマージオールを含む軽質分との組成比率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定することで算出することができる。軽質分は、GPC分析のピークがシャープに出現し、その強度が大きいことから、判別しやすい。
本発明では、複合ポリエステル組成物中に含まれるポリエステルの側鎖には、カルボン酸中の未反応のCOOHが残存していてもよく、また、アルコール中の未反応OHが存在していてもよいが、OH及びCOOHが残存すると、水酸基価と酸価が上がり、用途によっては(例えば、潤滑剤の用途等)、好ましくない場合もある。このような場合、別途アシル化、及び/又はエステル化処理により、ポリエステル中のOH及びCOOHを消失させ、水酸基価と酸価を低減することもできる。
ポリエステル中のOHを消失させるためには、側鎖にOHが残存するポリエステルを一旦得た後、その少なくとも一部をアシル化する処理を行うことができる。アシル化処理は、一塩基酸(R1COOH)又は一塩基酸無水物((R1CO)2O)を、OHが残存するポリエステルに添加し、加熱することで、残存のOHをOCOR1に変換させる処理である。アシル化処理により、水酸基価を低減すると、他の油性媒体と混合する場合、混合しやすくなるなどの点で好ましい。
また、ポリエステル中のCOOHを消失させる処理を行ってもよい。例えば、ジアゾメタンなどで処理してエステル化することができる。
ポリエステル中の未反応のOHの割合は、13C−NMRを測定することで判明する。潤滑剤の用途では、ポリエステルのOHの残存率は0〜40%であることが好ましく、0〜35%であることがより好ましく、0〜30%であることがさらに好ましい。また、同用途では、ポリエステルの酸価(サンプル1gを中和するのに要するKOHのmg数)は、0〜50であることが好ましく、0〜40であることがより好ましく、0〜30であることがさらに好ましい。但し、この範囲に制限されるものではない。
(複合ポリエステル組成物の製造方法)
本発明の複合ポリエステル組成物は、上述した組み合わせの混合物を仕込んで、脱水縮合させることにより得られる。すなわち、本発明の複合ポリエステル組成物の製造方法は、上記(A)〜(C)に記載の混合物の少なくともいずれかを各々得る工程と、混合物を脱水縮合しポリエステルを得る工程を含む。なお、製造工程では、2つの原料を先に反応させた後に、残りの原料を反応させることとしてもよい。
混合物の各原料の仕込み比率(混合比率)は、当量で決められる。ここでいう当量とは反応におけるCOOH基、OH基もしくはアルコキシ基の化学当量をいう。例えば、多価アルコール1分子中のOH数をn、モル数をM1とすると、多価アルコールの当量はn×M1で定義される。同様に、多価カルボン酸1分子中のCOOH数をm、モル数をM2とすると、多価カルボン酸の当量はm×M2で定義される。1価アルコールは1分子中にOHが1個なので、モル数をM3とすると、M3で定義される。1価カルボン酸は1分子中にCOOHが1個なので、モル数をM4とすると、M4で定義される。また、アルコキシシランの1分子中のアルコキシ基の数をp、モル数をM5とすると、p×M5で定義される。
上記(A)に記載の混合物を得る際の混合比率は、アルコキシシラン:多価アルコール:1価カルボン酸=1:1〜5:0.5〜5であることが好ましい。これらの混合比率は、1:2.0〜4.5:1.5〜5であることがより好ましく、1:2.2〜4:2.5〜5であることがより好ましい。
上記(B)に記載の混合物を得る際の混合比率は、多価アルコール:アルコキシシラン:多価カルボン酸:1価アルコール=1:1〜7:0.5〜7:0.5〜7であることが好ましい。これらの混合比率は、1:2.0〜6.5:1.5〜6:1.5〜6であることがより好ましく、1:2.2〜5:2.5〜5:2.5〜5であることがより好ましい。
上記(C)に記載の混合物を得る際の混合比率は、多価アルコール:多価カルボン酸:アルコキシシラン=1:1〜7:0.5〜7であることが好ましい。これらの混合比率は、1:2.0〜6:1.5〜8.5であることがより好ましく、1:2.2〜5:2.5〜8.5であることがより好ましい
上記のようにして仕込んだ各々の混合物を、触媒存在下もしくは無触媒で、脱水縮合反応をすることで、本発明の複合ポリエステル組成物が得られる。
脱水縮合の際は、加熱するか、水と共沸する溶媒を適量存在させることが望ましい。これにより生成物が着色することなく、脱水もスムーズに進行する。この溶媒は沸点100〜200℃の炭化水素系溶媒が好ましく、100〜170℃の炭化水素系溶媒がさらに好ましく、110〜160℃の炭化水素系溶媒が最も好ましい。これらの溶媒として、例えばトルエン、キシレン、メシチレンなどがあげられる。添加する量は、多すぎると液温がその溶媒付近となり、脱水縮合が進行しにくくなる。一方、少なすぎると、共沸がスムーズに行かない。したがって、添加量は、混合物の全量に対し、1〜25質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましく、3〜15質量%が特に好ましく、5〜12質量%も好ましい。
触媒を用いることで、反応が加速されるが、触媒除去の後処理が煩雑であり、生成物の着色の原因となることから、用いないことが望ましい。しかし、用いる場合は、通常の触媒で通常の条件と操作が使用される。これに関しては、特表2001−501989号公報、特表2001−500549号公報、特表2001−507334号公報、及び特表2002−509563号公報中の参考文献を参照することができる。
仕込み終了後、液温120〜250℃、好ましくは130〜230℃、さらに好ましくは130〜220℃、特に好ましくは140〜220℃で反応させる。これにより水を含む溶媒が共沸され、ディーンシュタークのごとき冷却部位で冷却され、液体となることで水と溶媒が分離される。この水は除去されればよい。
反応時間は、仕込みのモル数より理論発生水量が計算されるので、この水量が得られる時点まで反応を行うことが好ましいが、完全に反応を完結させることは困難である。理論水発生量が60〜90%の時点で反応を終了しても複合ポリエステル組成物の潤滑性は良好である。反応時間は1〜24時間であり、好ましくは3〜18時間、さらに好ましくは5〜18時間、最も好ましくは6〜15時間である。
脱水縮合と揮発分除去後、さらに残存するOHに対して、アシル化を行ってもよい。アシル化を行う場合は、一塩基酸(R1COOH)もしくは一塩基酸無水物((R1CO)2O)、好ましくは一塩基酸無水物((R1CO)2O)を適量添加し、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上、特に150℃以上加熱することで、残存のOHの少なくとも一部、好ましくはほぼ全てを、OCOR1に変換することができる。副生する揮発分は、後述の蒸留で除去することが好ましい。なお、R1は、炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基とされ、炭素原子数1〜6のアルキル基もしくはアリール基が好ましく、炭素原子数メチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基がさらに好ましく、メチル基もしくはフェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、脱水縮合と揮発分除去後、残存するCOOHを消失させるために、エステル化処理を行ってもよい。エステル化処理は、例えば、ジアゾメタンを添加して行うことができ、COOHの少なくとも一部、好ましくはほぼ全てを、メチルエステルに変換することができる。
この反応により、所定のポリエステルと、上記のように生成されたエステルを少なくとも含む軟質分を含む複合ポリエステル組成物が得られる。脱水縮合反応後、所望によりアシル化処理及び/エステル化処理を行った後、得られた複合ポリエステル組成物を、そのまま種々の用途、例えば潤滑剤として、用いることができる。また、用途に応じて、種々の処理を行ってもよい。
反応及び反応後の処理が終了した後、ろ過を行い、ゴミなどを除去することが好ましい。なお、複合ポリエステルが固体となった場合は、溶融してとりだすか、あるいは再沈殿により粉体として取り出すこともできる。
(組成物)
本発明は、複合ポリエステル組成物を少なくとも含有する組成物に関するものとしてもよい。例えば、組成物には、本発明の複合ポリエステル組成物と各種添加剤及び/または媒体を添加することができる。
添加剤としては、例えば、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、清浄剤、分散剤,流動、硬化剤、腐食防止剤、シール適合剤、消泡剤、錆防止剤、腐食防止剤、摩擦調整剤、及び増ちょう剤から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
このような添加剤を添加することにより、摩耗抑制等の潤滑剤としての好ましい機能を付与することができる。本発明において用いることができる潤滑剤については、特開2011−89106号公報の段落〔0098〕〜〔0165〕の記載を参照することができる。
また、媒体としては、鉱物油、油脂化合物、ポリオレフィン油、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル油、芳香族エステル油、及びポリオールエステル潤滑油から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
本発明において、「媒体」とは、一般的に「流動性液体」とよばれる媒体の全てを意味するものである。但し、室温又は使用される温度において、液状であることは必要とせず、液体以外にも固体及びゲル等のいずれの形態の材料も利用することができる。本発明において利用する媒体については特に制限はなく、用途に応じて種々の液体から選択することができる。本発明において用いることができる媒体については、特開2011−89106号公報の段落〔0067〕〜〔0096〕の記載を参照することができる。
媒体としては、原油を常圧蒸留および/または減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理のうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて精製した炭化水素系基油を用いることも好ましい。
炭化水素系基油としては、ガスクロマト蒸留により得られる炭素数分布の炭素数24以下の成分の割合(CA)と炭素数25以上の成分の割合(CB)の比(CA/CB)は2.0以上の基油が用いられることが好ましい。CA/CBは2.5以上であることが好ましく、より好ましくは3以上、最も好ましくは5以上である。CA/CBを上記範囲内とすることにより、十分低い80℃における高温高剪断(HTHS)粘度を得ることができる。
またガスクロマト蒸留により得られる炭素数分布の炭素数18以下の成分の割合(CC)と炭素数19以上の成分の割合(CD)の比CC/CDが0.3以下の炭化水素系基油であることが好ましい。好ましくはCC/CDが0.25以下、更に好ましくは0.2以下、最も好ましくは0.1以下である。CC/CDを上記範囲内とすることにより、発電機用エンジンでも潤滑油消費量を抑制することができる。
ここでいうガスクロマト蒸留は下記条件にて実施した。
Model:島津製作所社製 GC−2010
Column:ウルトラアロイ−1HT(30mm×0.25mmΦ)
キャリアガス:ヘリウム 200kPa
Detector:FID
Det.Temp.:350℃
Oven Temp.:80℃〜320℃(5min)
Temp.Rate:5℃/min
Inj.Vol:1μLトルエン溶液
媒体としては、以下に示す基油(1)〜(8)を原料とし、この原料油および/またはこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる鉱油系基油を用いることもできる。
(1)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留による留出油
(2)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)および/またはガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(4)基油(1)〜(3)から選ばれる1種または2種以上の混合油および/または当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(5)基油(1)〜(4)から選ばれる2種以上の混合油
(6)基油(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の脱れき油(DAO)
(7)基油(6)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(8)基油(1)〜(7)から選ばれる2種以上の混合油。
なお、上記所定の精製方法としては、水素化分解、水素化仕上げなどの水素化精製;フルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう;酸性白土や活性白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄などの薬品(酸またはアルカリ)洗浄などが好ましい。本発明では、これらの精製方法のうちの1種を単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。また、2種以上の精製方法を組み合わせる場合、その順序は特に制限されず、適宜選定することができる。
さらに、媒体としては、上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(9)または(10)が特に好ましい。
(9)上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油
(10)上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化鉱油。
また、上記(9)または(10)の媒体を得るに際して、好都合なステップで、必要に応じて溶剤精製処理および/または水素化仕上げ処理工程を更に設けてもよい。
鉱油系基油の100℃における動粘度は4.5mm2/s以下であることが好ましく、より好ましくは4mm2/s以下、更に好ましくは3.5mm2/s以下、最も好ましくは3mm2/s以下である。一方、当該100℃動粘度は、1mm2/s以上であることが好ましく、より好ましくは1.5mm2/s以上、更に好ましくは2mm2/s以上、最も好ましくは2.3mm2/s以上である。
ここでいう100℃における動粘度とは、ASTM D−445に規定される100℃での動粘度を示す。
媒体としては、100℃における動粘度が下記の範囲にある鉱油系基油を蒸留等により分取し、使用することが好ましい。なお、(I)と(II)を混合して用いることも可能であるが、(I)を単独で使用することが好ましい。
(I)100℃における動粘度が1mm2/s以上、好ましくは2.3mm2/s以上、また3mm2/s未満、好ましくは2.9mm2/s以下の鉱油系基油
(II)100℃における動粘度が3mm2/s以上、好ましくは3.5mm2/s以上、また4.5mm2/s以下、好ましくは4.0mm2/s以下の鉱油系基油
鉱油系基油の粘度指数は90以上であることが好ましく、より好ましくは105以上、更に好ましくは110以上である。また160以下であることが好ましい。また鉱油系基油(I)の粘度指数は90以上であることが好ましく、より好ましくは105以上、更に好ましくは110以上、最も好ましくは120以上である。また160以下が好ましい。また鉱油系基油(II)の粘度指数は、110以上であることが好ましく、より好ましくは120以上、更に好ましくは130以上、最も好ましくは140以上である。また160以下が好ましい。鉱油系基油の粘度指数を上記範囲内とすることにより、度−温度特性および熱・酸化安定性、揮発防止性が良化し、摩耗防止性が向上する。
なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283−1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。
また、鉱油系基油の15℃における密度(ρ15)は、潤滑油基油成分の粘度グレードによるが、下記式で表されるρの値以下であること、すなわちρ15≦ρであることが好ましい。
ρ=0.0025×kv100+0.816
式中、kv100は潤滑油基油成分の100℃における動粘度(mm2/s)を示す。
なお、鉱油系基油の15℃における密度(ρ15)を上記範囲内とすることにより、粘度−温度特性および熱・酸化安定性、更には揮発防止性および低温粘度特性を向上させることができ、省燃費化できる。
具体的には、鉱油系基油の15℃における密度(ρ15)は、好ましくは0.835以下、より好ましくは0.828以下、更に好ましくは0.822以下、特に好ましくは0.815以下、最も好ましくは0.805以下であり、また好ましくは0.785以上である。なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K 2249−1995に準拠して15℃において測定された密度を意味する。
(組成物の性質)
本発明の組成物は、40℃での粘度が1650mPa・s以下であるのが好ましく、1200mPa・s以下であることがより好ましく、1000mPa・s以下であることがさらに好ましい。粘性は、使用環境により適正な粘性が求められるため、それに合わせることが必要である。
本発明の組成物は、構成元素が、炭素、水素、酸素及びケイ素から構成されることが好ましい。本発明の組成物は、リン、硫黄を含まなくても同等以上の性能を発揮することができる。
また、油性媒体として用いる油も、炭素、水素、酸素及びケイ素から構成されることが好ましい。
なお、現行の潤滑油は、通常、リン、硫黄、重金属を含んでいる。燃料と共に潤滑油も燃焼する2ストロークエンジンに用いられる潤滑油は、環境負荷を配慮して、リンと重金属は含まれないが、硫黄は4ストロークエンジンに用いられる潤滑油の半分量程度含まれている。即ち、現行の潤滑技術では、最低でも硫黄分による境界潤滑膜の形成は必須であると推察されるが、硫黄元素を含んでいることによって、排気ガス浄化のための触媒への負荷は非常に大きい。この排気ガス浄化触媒には、プラチナやニッケルが使用されているが、リンや硫黄の被毒作用は大きな問題になっている。その点からも潤滑油の組成物を構成する元素が、リンや硫黄を含まないことのメリットは非常に大きい。さらにリンや硫黄を含まないことはエンジンオイル以外の産業機械、特に食品製造関連機器の潤滑油には最適である。現行技術では、摩擦係数を犠牲にして環境に配慮した元素組成をとっている。これは、冷却のために大量の水を必要とする金属の切削・加工用潤滑油にも非常に好ましい技術である。
(組成物の調製方法)
本発明の組成物は、複合ポリエステル組成物を、油性媒体中もしくは水性媒体中に添加し、溶解及び/又は分散させることで調製することができる。溶解及び/又は分散は、加温下で行ってもよい。複合ポリエステル組成物の添加量は、油性媒体の質量に対して、10質量%以上で添加されるのが好ましい。但し、この範囲に限定されるものではなく、上記化合物が、摩擦低減作用を示すのに充分な量であれば、上記範囲外であってもよい。
(組成物の用途)
本発明の組成物は、潤滑剤として有用である。すなわち、本発明は、上述した複合ポリエステル組成物又は上述した組成物を含む潤滑剤に関するものでもある。
本発明の潤滑剤は、例えば、2つの摺動面間に供給され、摩擦を低減するために用いることができる。本発明の組成物は、摺動面に皮膜を形成し得る。摺動面の材質としては、鋼鉄では、具体的には、機械構造用炭素鋼、ニッケルクロム鋼材・ニッケルクロムモリブデン鋼材・クロム鋼材・クロムモリブデン鋼材・アルミニウムクロムモリブデン鋼材などの構造機械用合金鋼、ステンレス鋼、マルチエージング鋼などが挙げられる。
摺動面の材質としては、鋼鉄以外の各種金属、又は金属以外の無機もしくは有機材料も広く用いられる。金属以外の無機もしくは有機材料としては、各種プラスチック、セラミック、カーボン等、及びその混合体などが挙げられる。より具体的には、鋼鉄以外の金属材料としては、鋳鉄、銅・銅−鉛・アルミニウム合金、その鋳物及びホワイトメタルが挙げられる。
なお、摺動面の材質については、特開2011−89106号公報の段落〔0168〕〜〔0175〕の記載を参照することができる。
本発明の潤滑剤は、種々の用途に利用できる。例えば、グリース用潤滑油、離型剤、内燃機関用エンジンオイル、金属加工用(切削用)オイル、軸受け用オイル、燃焼機関用燃料、車両エンジン油、ギヤ油、自動車用作動油、船舶・航空機用潤滑油、マシン油,タービン油、軸受用オイル、油圧作動油、圧縮機・真空ポンプ油、冷凍機油、金属加工用潤滑油剤、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤、人工骨用潤滑剤、ショックアブソーバ油又は圧延油として用いることができる。さらに、往復動式や回転式の密閉型圧縮機を有するエアコンや冷蔵庫、自動車用エアコンや除湿機、冷凍庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラント等の冷却装置などにも用いられる。
塩素系化合物を含まない金属加工用潤滑油剤として、例えば鉄鋼材料やAl合金などの金属材料を熱間圧延したり、切削等の加工を行なう際に、またアルミニウムの冷間圧延油、切削油、研削油、引き抜き加工油、プレス加工油等の金属加工油や金属の塑性加工油として、特に高速、高負荷加工時の摩耗、破損、表面あれの抑止剤として、またブローチ加工,ガンドリル加工のような低速・重切削に適用可能な金属加工油組成物としても有用である。
また各種グリース用潤滑油、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤や人工骨用潤滑剤等に利用することができる。また、組成物の元素組成を炭水化物とすることができるため、例えば、乳化、分散化、可溶化剤としてケーキミックス、サラダドレッシング、ショートニングオイル、チョコレート等に広く利用されている、ポリオキシエチレンエーテルを含むソルビタン脂肪酸エステルを食用油を基油とした組成物を潤滑油とすることで、全く人体に無害の高性能潤滑油を食品製造ラインの製造機器や医療機器部材の潤滑に用いることができる。
さらに、本発明の組成物を水系に乳化して分散したり、極性溶媒中や樹脂媒体中に分散することで、切削油や圧延油として用いることができる。
また、本発明の組成物は離型剤としても、種々の用途に利用できる。例えば、ポリカーボネート樹脂、難燃性ポリカーボネート樹脂、電子写真装置や静電記録装置などで使用される画像形成用トナーの主成分である結晶性ポリエステル樹脂、各種成形用熱可塑性樹脂組成物及び半導体封し用エポキシ樹脂組成物などの離型剤として用いられる。離型剤の一態様は、ポリカーボネート樹脂等の樹脂100質量部に対して、複合ポリエステル組成物を0.01〜10質量部(好ましくは0.1〜5質量部)含有する態様である。
また、衣料などの繊維製品に予め練り込んだり、塗布することにより、該繊維製品に付着した汚れの離脱を促進して繊維製品の汚れを防止する防汚剤としても用いることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1〜29及び比較例1〜4)
<ポリエステルの合成>
表1に記載したカルボン酸、一般式(1)で表される化合物、多価アルコールおよび1価アルコールを、表1に記載したモル当量比となるように、ディーンスターク脱水装置がついた反応容器に仕込んだ。その後、液温160〜200℃で12時間攪拌した。攪拌中に発生した水は除去された。室温まで冷却し、黄色〜透明の液状物としてポリエステル組成物(化−1〜29及び比−1〜4)を得た。
なお、表1に示した成分中、CA−26は築野食品社製 ツノダイム395、CA−27は築野食品社製 ツノダイム346、CA−28はクローダ社製プリポール 1004、PA−23はSovermol 650NS(Croda社製)やPripol 2033(Croda社製)を使用し、それ以外の原料は和光純薬社製のものを使用した。
<複合ポリエステル組成物の調整1>
各々のポリエステル組成物(化−1〜29及び比−1〜4)と鉱油(100ニュートラル油、100℃における粘度4.4mm/s2)とを、任意の比率で混合し潤滑剤を調整した。潤滑剤の分散性を下記の方法により測定した。結果は表1に示す。
<評価1:分散性能>
ポリエステル組成物と鉱油の混合比率を1/99と30/70となるように2種類の潤滑剤を100質量部調整する際、液が均一に混合するまでの時間を目視評価することにより行った。
ポリエステル組成物の基油への分散性が高ければ、ポリエステル組成物を任意の量で混合・均一分散することができる。すなわち、ポリエステルに対する鉱油の混合比率が小さい場合でも大きい場合でも、分離することなくいずれも同等の混合時間で均一分散することができる。そこで、ポリエステル組成物と鉱油の混合比率を1/99又は30/70となるよう潤滑剤を調整する際、目視混合確認までの時間差を計測した。評価基準は下記の通りである。なお、評価がBランク以上のものを合格とした。結果を下記表1に示す。
Aランク:目視混合確認までの時間差が10秒未満
Bランク:目視混合確認までの時間差が10秒以上30秒未満
Cランク:目視混合確認までの時間差が30秒以上1分未満
Dランク:目視混合確認までの時間差が1分以上3分未満
Eランク:目視混合確認までの時間差が3分以上
<複合ポリエステル組成物の調整2>
実施例及び比較例で得られた各々のポリエステル組成物(化−1〜29及び比−1〜4)と鉱油(100ニュートラル油、100℃における粘度4.4mm/s2)とを、質量比率で25/75で混合し潤滑剤を調整した。潤滑剤の潤滑性能を下記の方法により測定した。結果は表1に示す。
<評価2:潤滑性能>
極圧条件下を想定した評価は、振動型摩擦磨耗試験機(Optimol Instruments Prueftechnik GmbH社製、商品名:SRV4)を用いて、振動数100Hz、振動幅2.0mm、荷重30N、温度60℃、試験片:点接触(ボール)、試験時間30分において摩擦係数を測定することにより行った。
一般的に、極圧条件下を想定して得られた摩擦係数は、通常の流体潤滑領域や弾性流体潤滑領域における摩擦係数よりも大きな値として得られる。このため、極圧条件下の摩擦係数が小さく、下記の評価が良好なものは、当然、通常の流体潤滑領域や弾性流体潤滑領域における摩擦係数が小さく、評価は良好である。なお、評価がCランク以上のものを合格とした。極圧条件を想定したSRV4試験機による摩擦係数の評価結果を下記表1に示す。
Aランク:摩擦係数<0.050
Bランク:0.050≦摩擦係数<0.053
Cランク:0.053≦摩擦係数<0.060
Dランク:0.060≦摩擦係数<0.070
Eランク:摩擦係数≧0.070
Figure 2015071686
表1からわかるように、実施例1〜29の複合ポリエステルは、基油への分散性に優れており、かつ、優れた潤滑性能を発揮している。
一方、比較例1〜4の複合ポリエステル組成物は、基油への分散性が十分ではないことがわかる。また、比較例1及び3では、基油への分散性が悪いことに加えて、潤滑性能も十分に発揮していないことがわかる。
(実施例34〜38)
<複合ポリエステル組成物の調製>
基油(100ニュートラル油、100℃における粘度4.4mm/s2)に、表2に示すポリエステル組成物と有機金属化合物を表2に示す割合で混合し、潤滑剤を調製した。潤滑剤の分散性能と潤滑性能を下記の方法により測定した。結果を表2に示す。
Figure 2015071686
表2からわかるように、実施例34〜38の潤滑剤の分散性と潤滑性は、有機金属化合物の種類によらずいずれも良好であることがわかる。
本発明によれば、優れた潤滑性能を発揮し得る複合ポリエステル組成物を得ることができる。さらに、本発明の複合ポリエステル組成物は、基油に対して優れた分散性を発揮することができる。このように、本発明の複合ポリエステル組成物は、高い潤滑性能と分散性を兼ね備えたものであり、産業上の利用可能性が高い。

Claims (26)

  1. 下記(A)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、下記(B)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、及び下記(C)に記載の混合物を縮合させることにより得られるポリエステル、の少なくとも1種を含むことを特徴とする複合ポリエステル組成物。
    (A)一般式(1)で表される化合物、多価アルコール及び1価カルボン酸の混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは0〜2の整数を表す。
    (B)多価アルコール、一般式(1)で表される化合物、多価カルボン酸及び1価アルコールの混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは0〜2の整数を表す。
    (C)多価アルコール、多価カルボン酸、及び一般式(1)で表される化合物の混合物であって、前記多価カルボン酸は、ダイマー酸、トリマー酸又はエルカ酸ダイマーである混合物。但し、一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R1は炭素数が1〜6の有機基を表す。nは3である。
    Figure 2015071686
  2. 前記(A)の混合物において、前記一般式(1)で表される化合物のnは0又は1である請求項1に記載の複合ポリエステル組成物。
  3. 前記(A)の混合物において、前記多価アルコールの炭素数は、24〜48である請求項1又は2に記載の複合ポリエステル組成物。
  4. 前記(A)の混合物において、前記多価アルコールがダイマージオールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  5. 前記(B)の混合物において、前記一般式(1)で表される化合物のnは2である請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  6. 前記(B)の混合物において、前記多価カルボン酸の炭素数は、24〜48である請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  7. 前記(B)の混合物において、前記多価カルボン酸は不飽和脂肪酸の二塩基酸又は三塩基酸である請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  8. 前記(B)の混合物において、前記多価カルボン酸はダイマー酸、トリマー酸又はエルカ酸ダイマーである請求項1〜7のいずれかの1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  9. 前記(B)の混合物において、前記1価アルコールの炭素数は6以上である請求項1〜8のいずれかの1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  10. 前記(B)の混合物において、前記1価アルコールは少なくとも1つのオキシアルキレン基を有する請求項1〜9のいずれかの1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  11. 前記(B)及び前記(C)の混合物において、前記多価アルコールはそれぞれ独立に飽和脂肪族アルコールである請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  12. 前記(B)及び前記(C)の混合物において、前記多価アルコールはそれぞれ独立にペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン又はジペンタエリスリトールから選ばれる請求項1〜11のいずれか1項に記載n複合ポリエステル組成物。
  13. 有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物の少なくとも1種の有機金属化合物をさらに含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  14. 前記有機金属化合物は、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−オクチルジチオカルバメート、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−トリデシルジチオカルバメート、n−ブチル−n−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛又はイソプロピル−1−エチルブチルジチオリン酸亜鉛である請求項13に記載の複合ポリエステル組成物。
  15. 前記ポリエステルは、下記一般式(4)〜(6)で表されるポリエステルの少なくとも1種を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
    Figure 2015071686
    (一般式(4)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R2は(p+1)価の鎖状もしくは環状の脂肪族連結基又は芳香族連結基を表し、R3は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。pは1〜6の整数を表し、pが2以上の場合、p個のR3は同じであっても異なっていてもよい。また、nは0〜2の整数を表し、(4−n)個の−OR2−(OCOR3pは同じであっても異なっていてもよい。)
    Figure 2015071686
    (一般式(5)中、Rは水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表し、R4はr価の原子団を表し、R5は(q+1)価の鎖状もしくは環状の脂肪族連結基又は芳香族連結基を表し、R6は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。qは1〜4の整数を表し、qが2以上の場合、q個のR6は同じであっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を表し、nが0又は1の場合、(3−n)個の−OCOR5−(COOR6qは同じであっても異なっていてもよい。また、rは2〜6の整数を表し、r個の−OSiRn−{OCOR5−(COOR6q3-nは同じであっても異なっていてもよい。)
    Figure 2015071686
    (一般式(6)中、R7はt価の原子団を表し、R8は、sが1の場合は、ダイマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基を表し、sが2の場合はトリマー酸残基を表す。R11〜R13は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜15の有機基を表す。sが2の場合、2個のR11は同じであっても異なっていてもよく、2個のR12は同じであっても異なっていてもよく、2個のR13は同じであっても異なっていてもよい。また、tは2〜6の整数を表し、t個の−OCOR8−(COOSi(R11)(R12)(R13))sは同じであっても異なっていてもよい。)
  16. 前記一般式(4)において、nは0又は1である請求項15に記載の複合ポリエステル組成物。
  17. 前記一般式(4)において、R2はダイマージオール残基である請求項15又は16に記載の複合ポリエステル組成物。
  18. 前記一般式(5)において、nは2である請求項15〜17のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  19. 前記一般式(5)において、R5はダイマー酸残基、トリマー酸残基又はエルカ酸ダイマー残基である請求項15〜18のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  20. 前記一般式(5)において、R6オキシアルキレン構造を有する基である請求項15〜19のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  21. 前記一般式(5)及び(6)において、R4及びR7はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素からなる原子団である請求項15〜20のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  22. 40℃における粘度が50〜1650mPasである請求項1〜21のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物。
  23. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物と、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、清浄剤、分散剤,流動、硬化剤、腐食防止剤、シール適合剤、消泡剤、錆防止剤、腐食防止剤、摩擦調整剤、及び増ちょう剤から選択される1種又は2種以上の添加剤とを含有する組成物。
  24. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物、又は請求項23に記載の組成物と、鉱物油、油脂化合物、ポリオレフィン油、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル油、芳香族エステル油、及びポリオールエステル潤滑油から選択される1種又は2種以上の媒体とを少なくとも含有する組成物。
  25. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の複合ポリエステル組成物、又は請求項23又は24に記載の組成物を含む潤滑剤。
  26. グリース用潤滑油、離型剤、内燃機関用エンジンオイル、金属加工用(切削用)オイル、軸受け用オイル、燃焼機関用燃料、車両エンジン油、ギヤ油、自動車用作動油、船舶・航空機用潤滑油、マシン油,タービン油、軸受用オイル、油圧作動油、圧縮機・真空ポンプ油、冷凍機油、金属加工用潤滑油剤、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤、人工骨用潤滑剤、ショックアブソーバ油又は圧延油として用いられる請求項25に記載の潤滑剤。
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