JP6218648B2 - 潤滑剤組成物および潤滑剤組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明が解決しようとする課題は、耐腐食性および潤滑性に優れる潤滑剤組成物を提供することである。
すなわち、上記課題は、以下の構成の本発明によって解決される。
3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールとが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて得られる縮合反応混合物A2;
から選ばれる縮合反応混合物Aを含有する潤滑剤組成物であって、
潤滑剤組成物が、縮合反応混合物に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物を含有することを特徴とする潤滑剤組成物。
[2] [1]に記載の潤滑剤組成物は、縮合反応混合物に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物が、縮合反応混合物A1に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物であることが好ましい。
[3] [1]に記載の潤滑剤組成物は、縮合反応混合物に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物が、縮合反応混合物A2に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物であることが好ましい。
[4] [1]または[2]に記載の潤滑剤組成物は、縮合反応混合物A1は、3価以上の多価アルコールa1−1と、2価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体と、1価アルコールa1−3とが少なくとも縮合した縮合反応混合物であることが好ましい。
[5] [4]に記載の潤滑剤組成物は、1価アルコールa1−3が、分岐アルキル基を有することが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の潤滑剤組成物は、3価以上の多価アルコールa1−1とカルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも縮合した縮合物、および、3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールが少なくとも縮合した縮合物の少なくとも一方は、アルキレンオキシ構造を有する化合物を含むことが好ましい。
[7] 3価以上の多価アルコールa1−1と、カルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて、3価以上の多価アルコールa1−1とカルボン酸又はカルボン酸前駆体との縮合物を含む縮合反応混合物A1を得る工程と、
縮合反応混合物A1に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基を塩基で中和して、縮合反応混合物A1に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物を得る中和工程と
を含む潤滑剤組成物の製造方法。
[8] [7]に記載の潤滑剤組成物の製造方法は、縮合反応混合物A1を得る工程は、3価以上の多価アルコールa1−1と、多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体と、1価アルコールとが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させる工程であることが好ましい。
[9] 3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールとが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて、3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールとの縮合物を含む縮合反応混合物A2を得る工程と、
縮合反応混合物A2に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基を塩基で中和して、縮合反応混合物A2に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物を得る中和工程と
を含む潤滑剤組成物の製造方法。
[10] [7]〜[9]のいずれか一つに記載の潤滑剤組成物の製造方法は、塩基は、有機アミンまたは有機アンモニウム塩であることが好ましい。
[11] [7]〜[10]のいずれか一つに記載の潤滑剤組成物の製造方法は、縮合反応混合物A1または縮合反応混合物A2の酸価が1〜20mgKOH/gであることが好ましい。
[12] [7]〜[11]のいずれか一つに記載の潤滑剤組成物の製造方法により製造された潤滑剤組成物。
また、本発明によれば、耐腐食性および潤滑性に優れる潤滑剤組成物の製造方法を提供することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の潤滑剤組成物は、
3価以上の多価アルコールa1−1と、カルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて得られる縮合反応混合物A1;および
3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールとが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて得られる縮合反応混合物A2;
から選ばれる縮合反応混合物を含有する潤滑剤組成物であって、
上述の潤滑剤組成物が、縮合反応混合物に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
このような構成により、本発明の潤滑剤組成物は、耐腐食性および潤滑性に優れる。
本明細書中、反応混合物(reaction mixture)とは反応によって得られる組成物のことを言う。
本明細書中、縮合反応混合物(reaction mixture of condensation)とは、縮合反応によって得られる組成物のことを言う。ここで、縮合反応混合物は、後述の原料の縮合反応により得られるポリエステル、エステルオリゴマー、低分子エステルなどの種々の縮合物、未反応のアルコール原料、カルボン酸原料の混合物を含んでいてもよい。縮合反応混合物中には未反応の水酸基、カルボキシル基またはカルボキシル基前駆体が存在していてもよい。
本明細書では説明の都合上、後述の本発明の潤滑剤組成物の製造方法における中和工程によって得られた組成物を、組成物Aと言う。組成物Aは、上述の縮合反応混合物と、上述の縮合反応混合物に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物と、任意に含まれていてもよい中和工程に用いられる成分と、からなる組成物である。
上述の組成物Aは、3価以上の多価アルコールa1−1と、カルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて得られる縮合反応混合物A1;および3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールとが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて得られる縮合反応混合物A2;から選ばれる縮合反応混合物A中に残存するカルボキシル基を塩基で中和することにより得ることができる。
上述の縮合反応混合物A1は、3価以上の多価アルコールa1−1と、カルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて得られ、かつ、3価以上の多価アルコールa1−1とカルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも縮合した縮合物を含む。
3価以上の多価アルコールa1−1としてはアルコール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基を分子内に3つ以上含有する化合物であり、アルコール性水酸基を3つ以上含有する化合物が好ましく、アルコール性水酸基を3〜6個有する化合物がより好ましい。
好ましい3価以上の多価アルコールとしては下記一般式(a1−1a)で表されるアルコールである。
一般式(a1−1a)中、Zはm1価の連結基であり、Zは言い換えるとm1価のアルコールからm1個のヒドロキシル基を取り去ることで形成される多価アルコール母核を意味する。
Zは、少なくとも1つの3価以上の連結基を含むm1価の連結基である。3価以上の連結基としては特に制限はないが、例えば三級炭素原子を含む3価の連結基、四級炭素原子などを好ましく挙げることができる。
三級炭素原子を含む3価の連結基としては、以下の構造が好ましく、下記構造中のRcは水素原子または置換基を表す。
2価の連結基上に他の置換基を有していてもよい。
好ましいZは3価以上の多価アルコールの好ましい例から水酸基を除いた残基である。
1,2,3,4−ブタンテトラオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビタン、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパンなどの4価アルコール;
アラビトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アロース、グロース、イドース、タロースなどの5価アルコール;
ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ガラクチトール、マンニトール、アリトール、イジトール、タリトール、イノシトール、クエルシトールなどの6価アルコール;
トリペンタエリスリトールなどの8価のアルコールが好ましい。
これらの中でもトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジまたはトリペンタエリスリトールがより好ましく、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが特に好ましい。
3価以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物が、3価以上の多価アルコールが有するヒドロキシル基の全てにそれぞれ独立なアルキレンオキサイドが付加してなることが好ましい。
付加したアルキレンオキサイド(アルキレンオキシ構造)の数としては上述の3価以上の多価アルコールa1−1中に平均で3〜200が好ましく、6〜100がより好ましい。より好ましいアルキレンオキサイドの付加数としては上記3価以上の多価アルコールの水酸基の数に対して平均で1〜20倍の数であり、更に好ましくは2〜10倍の数であり、特に好ましくは3〜7倍の数である。
一般式(a1−1b)
R11はアルキレン基であり、好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基であり、より好ましくはエチレン基、プロピレン基である。複数存在するR11は同一でも異なっていてもよい。
n1は1〜100の整数であり、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜7である。複数存在するn1は同一でも異なっていてもよい。
縮合反応混合物A1を得るために用いられる、3価以上の多価アルコールa1−1と、カルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも含まれる組成物に含まれる、カルボン酸またはカルボン酸前駆体について説明する。このようなカルボン酸またはカルボン酸前駆体としては、2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a1−2a、カルボキシル基を1つ有する1価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a1−2bが挙げられる。
2価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a1−2aとしては、カルボキシル基またはカルボン酸前駆体構造を2個以上有する化合物であり、好ましくはカルボキシル基またはカルボン酸前駆体構造を2〜4個、より好ましくは2又は3個、更に好ましくは2個有する化合物である。ここで前駆体とは、3価以上の多価アルコールa1−1、あるいは、1価または2価のアルコールのアルコールと反応してエステル結合を形成できる基を表し、カルボン酸ハライド、カルボン酸エステル(好ましくはメチルエステル、エチルエステル)、カルボン酸無水物(好ましくは無水コハク酸)、カルボン酸と他の酸(好ましくはメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などのスルホン酸、トリフロロ酢酸などの置換カルボン酸)の混合無水物が好ましい。以下、2価以上の多価カルボン酸の詳細な説明においてはその前駆体も含めることとする。
2価以上の多価カルボン酸の分子中のカルボキシル基は、鎖状もしくは環状の2価以上の脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素で連結されている。脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素連結基の炭素原子の互いに隣接しない1以上の炭素原子は酸素原子に置換されていてもよい。
2価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a1−2aが分岐アルキル基を有することが、潤滑性の観点から好ましい。
ここでダイマー酸とは、不飽和脂肪酸(通常は、炭素数18)が重合またはDiels−Alder反応等によって二量化して生じる脂肪族または脂環族ジカルボン酸(大部分の2量体の他、3量体、モノマー等を数モル%含有するものが多い)をいい、そのうち、主成分が3量体のものをトリマー酸と定義する。
ダイマー酸またはトリマー酸の具体例としては、築野食品工業株式会社製 ツノダイム(登録商標)205、216、228、395がダイマー酸として挙げられ、ツノダイム345などはトリマー酸の例として挙げられる。他にコグニス社、ユニケマ社の製品を用いてもよい。
これら2価以上の多価カルボン酸は更にアルキル基、アルケニル基で置換されているものも好ましく用いることができる。
本発明における1価カルボン酸または1価カルボン酸前駆体a1−2bとしては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸およびそれらのカルボン酸前駆体構造が挙げられ、脂肪族カルボン酸およびそれらのカルボン酸前駆体構造が好ましい。1価カルボン酸または1価カルボン酸前駆体の炭素数としては5以上であることが好ましく、8以上であることが潤滑性の観点からより好ましく、9以上であることが特に好ましい。
1価カルボン酸または1価カルボン酸前駆体a1−2bが分岐アルキル基を有することが、潤滑性の観点から好ましい。
更に好ましい1価カルボン酸または1価カルボン酸前駆体a1−2bとしては、炭素数9以上で且つ、分岐アルキル基を有する脂肪族の1価カルボン酸または1価カルボン酸の前駆体、あるいは、炭素数13以上の直鎖または分岐アルキル基を有する脂肪族の1価カルボン酸または1価カルボン酸の前駆体である。
ここで前駆体とは、アルコールと反応してエステル結合を形成できる基を表し、カルボン酸ハライド、カルボン酸エステル(好ましくはメチルエステル、エチルエステル)カルボン酸無水物、カルボン酸と他の酸(好ましくはメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などのスルホン酸、トリフロロ酢酸などの置換カルボン酸)の混合無水物が好ましい。以下、1価カルボン酸の詳細な説明においてはその前駆体も含めることとする。
好ましい1価カルボン酸の具体例としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸、ベヘン酸などの直鎖アルキル基を有する1価カルボン酸;2,3,4,8,10,10−ヘキサメチルウンデカン−5−カルボン酸、2−エチルヘキサン酸、2−ヘプチルウンデカン酸(イソステアリン酸)などの分岐アルキル基を有する1価カルボン酸;オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、モノマー酸などの不飽和脂肪酸が挙げられ、その中でもステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、2−ヘプチルウンデカン酸(イソステアリン酸)が好ましく、2−ヘプチルウンデカン酸(イソステアリン酸)がより好ましい。
1価アルコールa1−3は、R−OHで表される。Rは1価の脂肪族、脂環式又は芳香環基であり、R中の炭素原子の互いに隣接しない1以上の炭素原子が酸素原子に置換されていてもよい。Rの炭素数は4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、8以上であることがさらに好ましい。1価アルコールの炭素数を上記範囲内とすることにより、各種基油への溶解性が向上し、さらに摩擦特性も改良され、縮合反応時に1価アルコールが揮散することを抑制することができる。
1価アルコールa1−3として更に好ましくは、潤滑性の観点から、炭素数10以上のアルキル基を有している及び/又は分岐アルキル基を有している、及び/又はアルキレンオキシ構造を有しているものである。
また、Raは置換基を有してもよいシクロアルキル基であってもよい。
また、na2は、1〜20の整数を表し、1〜15の整数であることがより好ましく、1〜10の整数であることがさらに好ましく、1〜7の整数であることが特に好ましい。
2価アルコールa3としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオールなどのアルカンジオール類、キシイレングリコールなどの多価アラルキルアルコールなどが挙げられる。
これらの中でもアルカンジオール類が好ましい。
その他、縮合反応混合物A1は、未反応の3価以上の多価アルコールa1−1、未反応のカルボン酸またはカルボン酸前駆体および未反応のその他の原料(1価または2価のアルコールなど)を含んでいてもよい。
縮合反応混合物A1および縮合反応混合物A1中の縮合物の好ましい様態としては少なくとも以下のA1−(1)〜A1−(4)の態様を挙げることができる。
A1−(1):3価以上の多価アルコールa1−1と、1価カルボン酸a1−2bが縮合した縮合物およびこの縮合反応で得られる縮合反応混合物(好ましくは仕込みmol比で1/2〜1/8、より好ましくは1/2.5〜1/5)。
A1−(2):3価以上の多価アルコールa1−1と、2価以上の多価カルボン酸a1−2aと、1価アルコールa1−3が縮合した縮合物およびこの縮合反応で得られる縮合反応混合物(好ましくは仕込みmol比で1/2/2〜1/5/5、より好ましくは1/2.3/2.3〜1/4/4)。
A1−(3):3価以上の多価アルコールa1−1と、2価以上の多価カルボン酸a1−2aと1価カルボン酸a1−2bが縮合した縮合物およびこの縮合反応で得られる縮合反応混合物(好ましくは仕込みmol比で1/0.2/2〜1/3/8、より好ましくは1/0.4/2.5〜1/2/4)。
A1−(4):3価以上の多価アルコールa1−1と、2価以上の多価カルボン酸a1−2a、1価カルボン酸a1−2bと、1価アルコールa1−3が縮合した縮合物およびこの縮合反応で得られる縮合反応混合物(好ましくは仕込みmol比で1/0.2/0.2/0.2〜1/4/6/6)、より好ましくは1/0.2/0.3/0.3〜1/4/6/6)。
上述の縮合反応混合物A2は、3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールとが少なくとも縮合した縮合物を含む。
カルボン酸前駆体とは、アルコールと反応してエステル結合を形成できる基を表し、カルボン酸ハライド、カルボン酸エステル(好ましくはメチルエステル、エチルエステル)カルボン酸無水物、カルボン酸と他の酸(好ましくはメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などのスルホン酸、トリフロロ酢酸などの置換カルボン酸)の混合無水物が好ましい。
以下、3価以上の多価カルボン酸の詳細な説明においてはその前駆体も含めることとする。
3価以上の多価カルボン酸又はカルボン酸前駆体a2−1としては、分子内にカルボキシル基が3つ以上存在していればいずれのものでもよいが、分子内にカルボキシル基を3または4個有する化合物が好ましい。また、基油溶解性の観点から、脂肪族多価カルボン酸が好ましい。
3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1が分岐アルキル基を有することが、潤滑性の観点から好ましい。
縮合反応混合物A2を得るために用いられる1価または2価のアルコールとは、分子内に水酸基を1個有する1価アルコール、または、2個有する価アルコールである。
縮合反応混合物A2を得るために用いられる1価アルコールとしては、先述の縮合反応混合物A1を得るために用いられる1価アルコールa1−3で挙げた1価アルコールが好ましく、好ましい範囲、具体例も同一である。
縮合反応混合物A2を得るために用いられる2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオールなどのアルカンジオール類、キシイレングリコールなどの多価アラルキルアルコールなどが挙げられる。
これらの中でもアルカンジオール類が好ましい。
縮合反応混合物A2を得るために用いられるアルコールとしては少なくとも1価アルコールが用いられていることが好ましい。
その他、縮合反応混合物A2は、さらに未反応の3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1、未反応の1価または2価のアルコールを含んでいてもよい。
縮合反応混合物A2および縮合反応混合物A2中の縮合物の好ましい様態としては少なくとも以下のA2−(1)およびA2−(2)の態様を挙げることができる。
A2−(1):3価以上の多価カルボン酸又はカルボン酸前駆体a2−1と1価アルコールが縮合した場合に得られる縮合反応混合物およびこの縮合反応混合物に含まれる縮合物(好ましくは仕込みmol比で1/2〜1/7)。
A2−(2):3価以上の多価カルボン酸又はカルボン酸前駆体a2−1と1価アルコールと2価アルコールが縮合した場合に得られる縮合反応混合物およびこの縮合反応混合物に含まれる縮合物(好ましくは仕込みmol比で1/1/1〜1/4/3)。
上記のようにして仕込んだ3価以上の多価アルコールa1−1と、カルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも含まれる組成物、あるいは、3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールが少なくとも含まれる組成物を、触媒または縮合剤存在下もしくは無触媒で、縮合反応をすることで、縮合反応混合物A1またはA2がそれぞれ得られる。
組成物Aは、前述のようにして得られた縮合反応混合物A1;および縮合反応混合物A2;から選ばれる縮合反応混合物A中に残存するカルボキシル基を塩基で中和することにより得ることができる。
中和する場合に用いられる塩基としては、有機塩基でも無機塩基でもよいが、有機塩基であることが好ましい。
上述の有機塩基は、炭素数4以上のアルキル基を有する有機塩基であることがより好ましく、炭素数4以上のアルキル基を2個有する有機塩基、または、炭素数8以上のアルキル基を有する有機塩基であることが更に好ましい。
一方、上述の無機塩基としては、金属ヒドロキシド(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、金属カーボネート(炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなど)などが好ましい。
上述の有機アミンとしては、アルキルアミン類(例えばモノ、ジ、トリアルキルアミン、好ましくはトリアルキルアミン)、芳香族アミン類、アラルキルアミン類(例えばベンジルジアルキルアミン、トリベンジルアミン)、含窒素ヘテロ環化合物(例えばピリジン類、イミダゾール類)が好ましい。上記有機アミンは中和前の状態としてN−H結合を有さないことが酸化安定性の観点から好ましい。
上述の有機アンモニウム塩としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基で4置換されたアンモニウム塩(例えばテトラアルキルアンモニウム塩、ベンジルトリアルキルアンモニウム塩、ピペリジニウム塩、ピロリジニウム塩)、窒素原子上がアルキル基置換して4級アンモニウム構造となっている含窒素ヘテロ環化合物(例えばN,N’ジ置換イミダゾリウム塩類、ピリジニウム塩類)が好ましい。
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリオクチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アンモニウム塩であることが特に好ましい。
上述の塩基はこれらの中でも有機アミンであることがより好ましく、トリオクチルアミンまたはトリドデシルアミンであることが基油溶解性の観点から特に好ましい。
上述の中和する工程としては、縮合反応混合物A(A1またはA2)を得るための縮合反応を行った後、縮合反応混合物A(A1またはA2)の酸価を測定して、縮合反応混合物A(A1またはA2)に残存するカルボン酸量を算出した後、このカルボン酸量を中和するのに必要な量の0.5〜2倍mol(好ましくは0.8〜1.2倍mol、より好ましくは0.9〜1.1倍mol)の上記塩基(好ましくは有機アミン及び/又は有機アンモニウム塩)を混合することにより残存するカルボキシ基の少なくとも一部を中和する工程であることが好ましい。
縮合反応混合物に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物は、
上述の縮合反応混合物A(A1またはA2)中に含まれる少なくとも1種の縮合物;
上述の縮合反応混合物A(A1またはA2)中に残存しているカルボン酸;および
上述の縮合反応混合物A(A1またはA2)中に残存しているカルボン酸前駆体;
のうち少なくとも1種の化合物由来であり、かつ、カルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物であることが好ましい。
組成物Aの製造方法の第1の態様は、3価以上の多価アルコールa1−1と、カルボン酸またはカルボン酸前駆体とが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて、縮合反応混合物A1を得る工程と;
前記縮合反応混合物A1に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基を塩基で中和して、縮合反応混合物A1に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物を得る中和工程と;を含む。
組成物Aの製造方法の第2の態様は、3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と1価または2価のアルコールとが少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて、縮合反応混合物A2を得る工程と;
前記縮合反応混合物A2に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基を塩基で中和して、縮合反応混合物A2に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物を得る中和工程と;を含む。
組成物Aの製造方法の第1の態様における中和工程は、上述の縮合反応混合物A1中に含まれる少なくとも1種の縮合物が有するカルボキシル基、および、上述の縮合反応混合物A1中に残存しているカルボン酸のカルボキシル基またはカルボン酸前駆体のカルボキシル基前駆体の少なくとも一つを塩基で中和することが好ましい。
組成物Aの製造方法の第2の態様における中和工程は、上述の縮合反応混合物A2中に含まれる少なくとも1種の縮合物が有するカルボキシル基、および、上述の縮合反応混合物A2中に残存している3価以上の多価カルボン酸のカルボキシル基またはカルボン酸前駆体のカルボキシル基前駆体の少なくとも一つを塩基で中和することが好ましい。
「HLC−8220GPC(東ソー(株)社製)装置」。カラムは「TSKgel、SuperHZM−H(東ソー(株)社製、4.6mmID×15cm)」、「TSKgel、SuperHZ4000(東ソー(株)社製、4.6mmID×15cm)」、TSKgel、SuperHZ2000(東ソー(株)社製、4.6mmID×15cm)」を3本用いた。
・溶離液 THF
・流速 0.35ml/min
・測定温度 40℃(カラム、インレット、RI)
・分析時間 20分
・試料濃度 0.1%
・サンプル注入量 10μl
本発明の潤滑剤組成物の製造方法は、上述の組成物Aの製造方法であってもよいし、上述の組成物Aの製造方法と上述の組成物Aに対して後述の組成物A以外の他の成分を添加する工程とを含んでいてもよい。
本発明の潤滑剤組成物は、上述の組成物Aからなる潤滑剤組成物であってもよいし、上述の組成物Aと上述の組成物A以外の他の成分からなる潤滑剤組成物であってもよい。上述の組成物A以外の他の成分としては、後述の各種添加剤や媒体などを挙げることができる。
本発明は、上述の組成物Aを少なくとも含有する潤滑剤組成物に関するものである。例えば、本発明の潤滑剤組成物には、上述の組成物Aと各種添加剤及び/または媒体を添加することができる。
上述の組成物Aの含有量は潤滑剤組成物全量に対し、0.01〜100質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.3〜10質量%が更に好ましい。上述の組成物Aは媒体に少量添加するだけで良好な潤滑特性を発現する。
本発明の潤滑剤組成物の特に好ましい様態としては、全潤滑剤組成物に対し、上述の組成物Aの割合が0.1〜20質量%、媒体の割合が70〜99.9質量%、上述の組成物Aおよび前記媒体以外の他の成分の割合が0〜29.9質量%である潤滑剤組成物である。
このような添加剤を添加することにより、摩耗抑制等の潤滑剤としての好ましい機能を付与することができる。本発明において用いることができる添加剤については、特開2011−89106号公報の段落〔0098〕〜〔0165〕の記載を参照することができる。
このような化合物としては、有機モリブデン化合物、無機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、リン酸誘導体、有機硫黄化合物などが挙げられる。その中でも有機モリブデン化合物および有機亜鉛化合物が好ましい。
また、亜鉛、モリブデン、硫黄およびリンのうち少なくとも1種を構成元素として有する化合物は、1種のみを本発明の潤滑剤組成物に添加してもよく、2種以上を組み合わせて本発明の潤滑剤組成物に添加してもよい。亜鉛、モリブデン、硫黄およびリンのうち少なくとも1種を構成元素として有する化合物の2種以上を組み合わせて本発明の潤滑剤組成物に添加する場合は、有機モリブデン化合物、無機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、リン酸誘導体および有機硫黄化合物のうち2種以上を組み合わせることが好ましく、有機モリブデン化合物および有機亜鉛化合物を組み合わせることがより好ましい。
以下、有機モリブデン化合物、無機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、リン酸誘導体、有機硫黄化合物のそれぞれの好ましい態様について説明する。
別の有機モリブデン化合物としては、モリブデンジチオカーバメート(MoDTCと言われることもある)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物を挙げることができる。硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、例えば、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−オクチルジチオカルバメート(C8−Mo(DTC))、硫化オキシモリブデン−N,N−ジ−トリデシルジチオカルバメート(C16−Mo(DTC))などが好ましい。
その他の硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、無機モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物との錯体を挙げることができる。無機モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物との錯体である有機モリブデン化合物に用いられる無機モリブデン化合物としては、例えば、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸、(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩、アンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデン、ポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩またはアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等を挙げることができる。また、無機モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物との錯体である有機モリブデン化合物に用いられる硫黄含有有機化合物としては、例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイド、硫化エステル等を挙げることができる。
その他の硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。
有機モリブデン化合物としては、構成元素としてリンや硫黄を含まない有機モリブデン化合物を用いることができる。構成元素としてリンや硫黄を含まない有機モリブデン化合物としては、具体的には、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩などが挙げられ、中でも、モリブデン−アミン錯体、有機酸のモリブデン塩およびアルコールのモリブデン塩が好ましい。
一般式(4)で表わされるジンクジチオホスフェートとしては、具体的にはn−ブチル−n−ペンチルジチオリン酸亜鉛(C4/C5 ZnDTP)、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛(C8 ZnDTP)又はイソプロピル−1−エチルブチルジチオリン酸亜鉛(C3/C6 ZnDTP)であることが好ましい。
また、有機亜鉛化合物を用いる場合、その含有量は潤滑剤組成物全質量に対して、0.01〜5質量%含まれていることが好ましく、0.01〜3質量%含まれていることがより好ましく、0.01〜1質量%含まれていることがさらに好ましい。
本発明の潤滑剤組成物中の有機モリブデン化合物や有機亜鉛化合物などの有機金属化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、潤滑剤組成物の安定性を高めることができ、より優れた潤滑性能、磨耗抑制能を発揮することができる。
本発明において、「媒体」とは、一般的に「流動性液体」とよばれる媒体の全てを意味するものである。但し、室温又は使用される温度において、液状であることは必要とせず、液体以外にも固体及びゲル等のいずれの形態の材料も利用することができる。本発明において利用する媒体については特に制限はなく、用途に応じて種々の液体から選択することができる。本発明において用いることができる媒体については、特開2011−89106号公報の段落〔0067〕〜〔0096〕の記載を参照することができる。媒体の40℃における動粘度は1〜500mm2/sが好ましく、1.5〜200mm2/sがより好ましく、2〜50mm2/sが更に好ましい。
媒体の粘度指数は90以上であることが好ましく、より好ましくは105以上、更に好ましくは110以上である。また160以下であることが好ましい。粘度指数を上記範囲内とすることにより、粘度−温度特性および熱・酸化安定性、揮発防止性が良化し、摩耗防止性が向上する。
なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283−1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。
本発明の潤滑剤組成物は、40℃での動粘度が2000mm2/s以下であるのが好ましく、1000mm2/s以下であることがより好ましく、200mm2/s以下であることがさらに好ましく、50mm2/s以下であることが特に好ましい。粘性は、使用環境により適正な粘性が求められるため、それに合わせることが必要である。本明細書中、潤滑剤組成物の40℃での動粘度は具体的には、ウベローデ粘度計を用い、40.0℃の恒温水槽中で測定した値を採用する。
なお、現行の潤滑油は、通常、リン、硫黄、重金属を含んでいる。燃料と共に潤滑油も燃焼する2ストロークエンジンに用いられる潤滑油は、環境負荷を配慮して、リンと重金属は含まれないが、硫黄は4ストロークエンジンに用いられる潤滑油の半分量程度含まれている。即ち、現行の潤滑技術では、最低でも硫黄分による境界潤滑膜の形成は必須であると推察されるが、硫黄元素を含んでいることによって、排気ガス浄化のための触媒への負荷は非常に大きい。この排気ガス浄化触媒には、プラチナやニッケルが使用されているが、リンや硫黄の被毒作用は大きな問題になっている。その点からも潤滑油の組成物を構成する元素が、炭素、水素、酸素及び窒素だけからなることのメリットは非常に大きい。さらに炭素、水素、酸素だけからなることはエンジンオイル以外の産業機械、特に食品製造関連機器の潤滑油には最適である。現行技術では、摩擦係数を犠牲にして環境に配慮した元素組成をとっている。これは、冷却のために大量の水を必要とする金属の切削・加工用潤滑油にも非常に好ましい技術である。
本発明の潤滑剤組成物は、潤滑剤として有用である。すなわち、本発明は、上述した組成物Aを含む潤滑剤組成物に関するものでもある。
本発明の潤滑剤組成物は、例えば、2つの摺動面間に供給され、摩擦を低減するために用いることができる。本発明の潤滑剤組成物は、摺動面に皮膜を形成し得る。摺動面の材質としては、鋼鉄では、具体的には、機械構造用炭素鋼、ニッケルクロム鋼材・ニッケルクロムモリブデン鋼材・クロム鋼材・クロムモリブデン鋼材・アルミニウムクロムモリブデン鋼材などの構造機械用合金鋼、ステンレス鋼、マルチエージング鋼などが挙げられる。
なお、摺動面の材質については、特開2011−89106号公報の段落〔0168〕〜〔0175〕の記載を参照することができる。
また各種グリース用潤滑油、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤や人工骨用潤滑剤等に利用することができる。また、組成物の元素組成を炭水化物とすることができるため、例えば、乳化、分散化、可溶化剤としてケーキミックス、サラダドレッシング、ショートニングオイル、チョコレート等に広く利用されている、ポリオキシエチレンエーテルを含むソルビタン脂肪酸エステルを食用油を基油とした組成物を潤滑油とすることで、全く人体に無害の高性能潤滑油を食品製造ラインの製造機器や医療機器部材の潤滑に用いることができる。
さらに、本発明の潤滑剤組成物を水系に乳化して分散したり、極性溶媒中や樹脂媒体中に分散したりすることで、切削油や圧延油として用いることができる。
また、衣料などの繊維製品に予め練り込んだり、塗布したりすることにより、該繊維製品に付着した汚れの離脱を促進して繊維製品の汚れを防止する防汚剤としても用いることができる。
a1−1fは、平均Mn=797、y31+y32+y33+y34=平均で15の化合物である。
a1−2a3は、C22不飽和カルボン酸の二量体、CRODA(株)製PRIPOL1004である。
B1:トリドデシルアミン
B2:トリオクチルアミン
B3:トリベンジルアミン
B4:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
B5:1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムヒドロキシド
B6:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
C1:鉱油(JX日鉱日石エネルギー社製スーパーオイルN46)
C2:PAO油(ANDEROL社製 ANDEROL FGC 32)
C3:エステル油(ANDEROL社製 ANDEROL 495)
(潤滑剤組成物A1−1Xの合成)
トリメチロールプロパンとオクタン酸を1/3のmol比でディーンシュターク脱水装置がついた反応容器に仕込んだ。窒素気流下、液温190℃で加熱し、5時間攪拌した後、更に220℃で4時間反応させた。この間反応系中より水が除去された。得られた縮合反応混合物を比較例c106の潤滑剤組成物A1−1Xとする。縮合反応混合物である組成物A1−1Xにはオクタン酸が残存し、縮合反応混合物、すなわち比較例c106の潤滑剤組成物の酸価は10mgKOH/gであった。
(潤滑剤組成物A1−1の合成)
縮合反応混合物である潤滑剤組成物A1−1Xの酸価を中和するのに必要な塩基量に対し、1当量のトリドデシルアミンを縮合反応混合物である潤滑剤組成物A1−1Xに加えて攪拌し、実施例117の潤滑剤組成物A1−1を得た。
(潤滑剤組成物A1−2Xの合成)
トリエチレングリコールモノエチルエーテル、無水コハク酸、ペンタエリスリトールを5/4/1のmol比でディーンシュターク脱水装置がついた反応容器に仕込んだ。窒素気流下、液温190℃で加熱し、5時間攪拌した後、更に220℃で4時間反応させた。この間反応系中より水が除去された。得られた縮合反応混合物を比較例c103の潤滑剤組成物A1−2Xとする。縮合反応混合物、すなわち比較例c103の潤滑剤組成物の酸価は5mgKOH/gであった。
(潤滑剤組成物A1−2の合成)
縮合反応混合物である組成物A1−2Xの酸価を中和するのに必要な塩基量に対し、1当量のトリオクチルアミンを縮合反応混合物である潤滑剤組成物A1−2Xに加えて攪拌し、実施例102の潤滑剤組成物A1−2を得た。
(比較用の潤滑剤組成物Yの合成)
上記合成例1で得られた縮合反応混合物である潤滑剤組成物A1−1Xを酢酸エチルに溶解させた。得られた溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄後の溶液をシリカゲルカラムを用いた精製を行うことで、縮合反応混合物である潤滑剤組成物A1−1X中に残存するオクタン酸を完全に除去し、比較用の潤滑剤組成物Yを合成した。潤滑剤組成物Yを比較例c105の潤滑剤組成物とした。潤滑剤組成物Yの酸価は0mgKOH/gであった。
実施例103、104、118〜127および比較例c107に用いたその他の縮合反応混合物および潤滑剤組成物についても、下記表2または表3に記載の原料を用い、上記の各合成例と同様の手法を用いて合成した。得られた潤滑剤組成物を、実施例103、104、118〜127および比較例c107の潤滑剤組成物とした。
塩基を添加する前の、各縮合反応混合物の酸価を各合成例と同様の方法で測定し、下記表2または表3に記載した。
潤滑剤組成物A1−1〜A1−A11および潤滑剤組成物A2−1〜A2−3にそれぞれ含まれる縮合物のポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは3000〜10000であった。
上述の各合成例で得られた潤滑剤組成物を実施例101、105〜116、比較例c102、c104およびc105では組成物Aとして用い、さらに媒体や添加剤を添加して、実施例101、105〜116、比較例c102、c104およびc105の潤滑剤組成物を調製した。具体的には、上述の各合成例で得られた各縮合反応混合物または組成物Aと、媒体とを、下記表2または表3に記載の比率で混合し、さらに、各縮合反応混合物または組成物Aおよび媒体の合計量に対して、カルシウムスルホネート1.0質量%、硫化オキシモリブデン−N,N−ジオクチルジチオカーバメート500ppm、イソプロピル−1−エチルブチルジチオリン酸亜鉛500ppmを添加して80℃でよく攪拌し、潤滑剤組成物を調製した。
得られた潤滑剤組成物を実施例101、105〜116、比較例c102、c104およびc105の潤滑剤組成物とした。
比較例c101の潤滑剤組成物は、縮合反応混合物を用いずに、媒体のみに対してその他の添加剤を添加して調製した。
<腐食性評価>
各実施例および比較例の潤滑剤組成物を、JIS K2513に従い、研磨したての銅版を試料油30mlに浸し、100℃で3時間加熱した後、銅版を取り出し、洗浄し、銅版の変色を下記表1の基準を用いて評価した。実用上、1aまたは1b評価であることが求められ、1a評価であることが好ましい。
各実施例および比較例の潤滑剤組成物について、振動型摩擦摩耗試験機(Optimol Instruments Prueftechnik GmbH社製、商品名:SRV 3)を用いて、振動数50Hz、振幅1.0mm、荷重200N、温度150℃にて試験時間30分における摩擦係数を測定した。上部試験片は10mmSUJ−2ボール、下部試験片24mmSUJ−2ディスクを用いた。摩擦係数が小さいほど良好な潤滑特性であることを表す。実用上、A、BまたはC評価であることが求められ、AまたはB評価であることが好ましく、A評価であることがより好ましい。
A:摩擦係数<0.12
B:0.12≦摩擦係数<0.15
C:0.15≦摩擦係数<0.18
D:0.18≦摩擦係数<0.20
E:摩擦係数≧0.20
下記表2および表3中、*1および*2は以下の内容を示す。
*1:比率は仕込みmol比
*2:縮合反応混合物の酸価から算出されたカルボン酸量を中和するのに必要な塩基量を1とした時、この塩基量に対する割合。
また、下記表2および表3中、組成物番号にXのついたものは塩基で中和していない縮合反応混合物を表す。
一方、比較例c101より、縮合反応混合物A1および縮合反応混合物A2から選択される縮合反応混合物を添加せずに媒体としてのベースオイルのみを用いた潤滑剤組成物は、潤滑性に劣ることがわかった。
比較例c102、c103、c104、c106およびc107より、縮合反応混合物に含まれる化合物のカルボキシル基またはカルボキシル基前駆体が塩基で中和されてない場合、腐食性が大きいことがわかった。
比較例d105より、カルボキシル基またはカルボキシル基前駆体を有さない縮合反応混合物を用いた潤滑剤組成物は、潤滑性に劣ることがわかった。
Claims (7)
- 3価以上の多価アルコールa1−1と、カルボン酸またはカルボン酸前駆体と、1価アルコールa1−3と、が少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて、前記3価以上の多価アルコールa1−1と、前記カルボン酸又はカルボン酸前駆体と、前記1価アルコールa1−3と、の縮合物を含む縮合反応混合物A1を得る工程と、
前記縮合反応混合物A1の酸価を中和するのに必要なmol量の0.5〜2倍molの有機アミンまたは有機アンモニウム塩を前記縮合反応混合物A1と混合して、前記縮合反応混合物A1に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物を得る中和工程と
を含む潤滑剤組成物の製造方法。 - 炭素数が8以下の3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と、1価または2価のアルコールと、が少なくとも含まれる組成物を縮合反応させて、前記3価以上の多価カルボン酸またはカルボン酸前駆体a2−1と、前記1価または2価のアルコールと、の縮合物を含む縮合反応混合物A2を得る工程と、
前記縮合反応混合物A2の酸価を中和するのに必要な量の0.5〜2倍molの有機アミンまたは有機アンモニウム塩を前記縮合反応混合物A2と混合して、前記縮合反応混合物A2に含まれる少なくとも1種の化合物のカルボキシル基の一部又は全てが塩基で中和された構造を有する化合物を得る中和工程と
を含む潤滑剤組成物の製造方法。 - 前記縮合反応混合物A1または前記縮合反応混合物A2の酸価を中和するのに必要なmol量の0.8〜1.2倍molの有機アミンまたは有機アンモニウム塩を前記縮合反応混合物A1または前記縮合反応混合物A2と混合する請求項1または2に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
- 前記有機アミンがトリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、ベンジルジブチルアミン、トリベンジルアミン、およびベンジルトリオクチルアミンからなる群より選択され、かつ前記有機アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリオクチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、および1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムヒドロキシドからなる群より選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
- 前記有機アミンまたは有機アンモニウム塩がトリオクチルアミンまたはトリドデシルアミンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
- 前記中和工程の前に前記縮合反応混合物A1または前記縮合反応混合物A2の酸価を測定する工程を含む1〜5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
- 前記縮合反応混合物A1または前記縮合反応混合物A2の酸価が1〜20mgKOH/gである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
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