JP2015071656A - ポリヨウ素化物複合体並びにポリヨウ素化物複合体分散液及びその製造方法 - Google Patents

ポリヨウ素化物複合体並びにポリヨウ素化物複合体分散液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】親油性又は撥水性を有する分散媒に分散可能なポリヨウ素化物複合体を提供する。【解決手段】ポリヨウ素化物と、前記ポリヨウ素化物の表面に配置される、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位及びポリシロキサンモノマー由来の構造単位を有する共重合体と、を含むポリヨウ素化物複合体である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリヨウ素化物複合体並びにポリヨウ素化物複合体分散液及びその製造方法に関する。
形状が棒状であるポリヨウ素化物は、交流電場を印加することで電場方向に配向し、かつ電場を切るとランダム配向に戻る性質がある。この性質を利用して可視光透過率を制御する調光硝子が、エドウィン ランド(Edwin Land)により最初に発明された。その形態は、狭い間隔を有する2枚の透明導電性基材の間に、ポリヨウ素化物を含む光調整懸濁液を注入した構造になっている(例えば、特許文献1参照)。エドウィン ランドの発明によると、2枚の透明導電性基材の間に注入されている光調整懸濁液においては、電界を印加していない状態では懸濁液中に分散されているポリヨウ素化物のブラウン運動により、入射光の大部分が、ポリヨウ素化物により反射、散乱又は吸収され、ごく一部分だけが透過することになる。
ロバート エル サックス(Robert L. Saxe)らは、ポリヨウ素化物を安定して媒体に分散させる方法として、ポリヨウ素化物と親和性の高いヒドロキシ基又はその他の官能基をもつモノマーを用いて合成した分散高分子を用いる方法を提案している(例えば、特許文献2及び3参照)。また、媒体としてトリメリット酸エステルが有効であることを提案している(例えば、特許文献4参照)。
米国特許第1,955,923号明細書 米国特許第4,164,365号明細書 米国特許第4,273,422号明細書 米国特許第5,461,506号明細書
ポリヨウ素化物は親水的な性質を有するため、ポリシロキサン樹脂、変性ポリシロキサン樹脂等の親油性又は撥水性を有する分散媒中に分散させようとすると、粒子同士が凝集してしまい、安定で均一的に分散させることは困難であった。
本発明は、親油性又は撥水性を有する分散媒に分散可能なポリヨウ素化物複合体並びに分散安定性に優れるポリヨウ素化物複合体分散液及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ポリヨウ素化物と、前記ポリヨウ素化物の表面に配置される、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位及びポリシロキサンモノマー由来の構造単位を有する共重合体と、を含むポリヨウ素化物複合体である。
<2> 前記(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位は、カルボキシ基、アルキルアミノ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基及びニトリル基からなる群より選択される少なくとも1種を有する構造単位を含む<1>に記載のポリヨウ素化物複合体である。
<3> 前記ポリシロキサンモノマーは、ポリシロキサンに由来する構造部位とエチレン性不飽和結合基とを有する<1>又は<2>に記載のポリヨウ素化物複合体である。
<4> 前記ポリシロキサンモノマーの重量平均分子量が500〜20,000である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポリヨウ素化物複合体である。
<5> 前記共重合体は、前記ポリシロキサンモノマー由来の構造単位に対する(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位の質量比((メタ)アクリルモノマー由来の構造単位/ポリシロキサンモノマー由来の構造単位)が、10/90〜50/50である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のポリヨウ素化物複合体である。
<6> 前記ポリヨウ素化物が下記一般式(A)及び下記一般式(B)からなる群より選択される少なくとも1種で表される<1>〜<5>のいずれか1つに記載のポリヨウ素化物複合体である。
CaI(C)・xHO (A)
CaI(C・rHO (B)
(式中、xは1又は2を示す。pは3〜7の整数を示す。qは1又は2を示す。rは1〜3の整数を示す。)
<7> ポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種と、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のポリヨウ素化物複合体と、を含有するポリヨウ素化物複合体分散液である。
<8> ポリヨウ素化物の表面に、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位及びポリシロキサンモノマー由来の構造単位を有する共重合体を付与してポリヨウ素化物複合体を得る工程と、得られたポリヨウ素化物複合体をポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種に分散してポリヨウ素化物複合体分散液を得る工程と、を有する<7>に記載のポリヨウ素化物複合体分散液の製造方法である。
本発明によれば、親油性又は撥水性を有する分散媒に分散可能なポリヨウ素化物複合体並びに分散安定性に優れるポリヨウ素化物複合体分散液及びその製造方法を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。更に、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」の少なくとも一方を意味する。同様に「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」の少なくとも一方を意味する。
<ポリヨウ素化物複合体>
本発明のポリヨウ素化物複合体は、ポリヨウ素化物と、前記ポリヨウ素化物の表面に配置される、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位(以下、第一の構造単位と称することがある)及びポリシロキサンモノマー由来の構造単位(以下、第二の構造単位と称することがある)を有する共重合体とを含む。本発明のポリヨウ素化物複合体は、ポリヨウ素化物の表面に特定構造の共重合体が配置されていることで、親油性又は撥水性を有する分散媒に優れた分散安定性で分散可能である。これは、例えば、以下のように考えることができる。
共重合体を構成する(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位が、親水性を有するポリヨウ素化物の表面と相互作用し、ポリシロキサンモノマー由来の構造単位が、ポリシロキサン樹脂、変性ポリシロキサン樹脂等の親油性又は撥水性を有する分散媒に相溶することで、ポリヨウ素化物複合体が親油性又は撥水性を有する分散媒に安定分散した分散液が得られると考えられる。
(共重合体)
前記共重合体は、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位の少なくとも1種と、ポリシロキサンモノマー由来の構造単位の少なくとも1種とを含む。ここで、構造単位とは、共重合体中に含まれるモノマー由来の部分構造をいう。前記共重合体において、第一の構造単位及び第二の構造単位は、ランダムに含まれていてもよく、またブロック状に含まれていてもよい。
前記第一の構造単位を形成する(メタ)アクリルモノマーは特に制限されず、目的等に応じて通常用いられる(メタ)アクリルモノマーから適宜選択することができる。中でも第一の構造単位を形成する(メタ)アクリルモノマーは、ポリヨウ素化物複合体の分散安定性の観点から、親水性の官能基を有する(メタ)アクリルモノマーの少なくとも1種を含むことが好ましい。すなわち第一の構造単位は、親水性の官能基を有する構造単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。ここで親水性の官能基とは、水との間に水素結合を形成可能な官能基を意味する。
また、第一の構造単位を形成する(メタ)アクリルモノマーは、ポリヨウ素化物複合体の分散安定性の観点から、カルボキシ基、アルキルアミノ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基及びニトリル基からなる群より選択される少なくとも1種を有する(メタ)アクリルモノマーを含むことが好ましい。すなわち第一の構造単位は、カルボキシ基、アルキルアミノ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基及びニトリル基からなる群より選択される少なくとも1種を有する構造単位を含むことが好ましい。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーは、少なくとも1つのカルボキシ基を有するものであれば特に限定されない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸及び少なくとも1つのカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。
少なくとも1つのカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、少なくとも1つのカルボキシ基を有するアルキル基又はアリール基を含む(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基部分に少なくとも1つのカルボキシ基を有する(メタ)アクリレートであることがより好ましく、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリレートであることが更に好ましい。
一般式(I)中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数が2〜8のアルキレン基を示す。一般式(I)において、R11はメチル基であることが好ましい。またR12で示されるアルキレン基は、環状、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。中でもR12で示されるアルキレン基は、分岐鎖状又は直鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。またR12で示されるアルキレン基の炭素数は2〜8であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
11及びR12が、上述のような好ましい条件を満たすことにより、ポリヨウ素化物複合体の分散安定性をより高めることができる。
少なくとも1つのカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして具体的には、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシプロピル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等が挙げられる。
アルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーは、少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するものであれば特に限定されない。アルキルアミノ基は、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、環状アルキルアミノ基等のいずれであってもよい。また、アルキルアミノ基の総炭素数は、1〜8であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
アルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基部分に少なくとも1つのアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリレートを挙げることができ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基部分に1つのアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、下記一般式(II)で表される(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
一般式(II)中、R21は水素原子又はメチル基を示す。R22は炭素数が2〜8のアルキレン基を示す。R23はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基を示す。ただし、2つのR23が共に水素原子となることはない。また2つのR23は互いに連結してR23が結合する窒素原子とともに3員環〜6員環の複素環を形成していてもよい。
一般式(II)において、R21は、メチル基であることが好ましい。またR22で示されるアルキレン基は、環状、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。中でもR22で示されるアルキレン基は、分岐鎖状又は直鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。またR22で示されるアルキレン基の炭素数は2〜8であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。R23は互いに独立して炭素数が1〜4のアルキル基であることが好ましい。
21、R22及びR23が、上述のような好ましい条件を満たすことにより、ポリヨウ素化物複合体の分散性をより高めることができる。
一般式(II)で表されるアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリレートとして具体的には、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
アミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーは、少なくとも1つのアミノ基を有するものであれば特に限定されない。
アミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基部分に少なくとも1つのアミノ基を有する(メタ)アクリレートを挙げることができ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基部分に1つのアミノ基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、一般式(II)で表される(メタ)アクリレートにおいて、R23が共に水素原子である場合がより好ましい。
アミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーの好ましい例としての一般式(II)で表される(メタ)アクリレートにおけるR21及びR22の具体例並びに好ましい範囲は、アルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーの好ましい例としての一般式(II)で表される(メタ)アクリレートにおけるR21及びR22の具体例並びに好ましい範囲と同様である。
21及びR22が、上述のような好ましい条件を満たすことにより、ポリヨウ素化物複合体の分散性をより高めることができる。
23が共に水素原子である一般式(II)で表されるアミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーとして具体的には、アミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基を有する(メタ)アクリルモノマーは、少なくとも1つのアルコキシカルボニル基を有するものであれば、特に限定されない。アルコキシカルボニル基を有する(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、下記一般式(III)で表される(メタ)アクリレートであることがより好ましい。

一般式(III)中、R31は水素原子又はメチル基を示し、R32は炭素数が1〜20のアルキル基又は炭素数が1〜2のアルキレン基を有するアラルキル基を示す。一般式(III)において、R31は水素原子又はメチル基であり、メチル基であることが好ましい。またR32で示されるアルキル基は、環状、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。R32で示されるアルキル基の炭素数は1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。
31及びR32が、上述のような好ましい条件を満たすことにより、ポリヨウ素化物複合体の分散性をより高めることができる。
一般式(III)で表される化合物として具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリメチルヘプチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するものであれば、特に限定されない。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基部分に少なくとも1つのヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを挙げることができ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基部分に1つのヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、下記一般式(IV)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
一般式(IV)中、R41は水素原子又はメチル基を示し、R42は炭素数が2〜8のアルキレン基を示す。一般式(IV)において、R41はメチル基であることが好ましい。またR42で示されるアルキレン基は、環状、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。中でもR42で示されるアルキレン基は、分岐鎖状又は直鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。R42で示されるアルキレン基の炭素数は2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。
41及びR42が、上述のような好ましい条件を満たすことにより、ポリヨウ素化物複合体の分散性をより高めることができる。
一般式(IV)で表される化合物として具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
アミド基を有する(メタ)アクリルモノマーは、少なくとも1つのアミド基を有するものであれば特に限定されない。アミド基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、一般式(V)で表される(メタ)アクリレートであることが好ましい。
一般式(V)中、R51は水素原子又はメチル基を示し、R52は水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基又は炭素数が1〜2のアルキレン基を有するアラルキル基を示す。前記式(V)において、R51は水素原子又はメチル基であり、メチル基であることが好ましい。またR52で示されるアルキル基は、環状、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。R52で示されるアルキル基の炭素数は1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。
51及びR52が、上述のような好ましい条件を満たすことにより、ポリヨウ素化物複合体の分散性をより高めることができる。
一般式(V)で表される化合物として具体的には、アクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド等を挙げることができ、アクリルアミドであることが好ましい。
ニトリル基を有する(メタ)アクリルモノマーは、少なくとも1つのニトリル基を有するものであれば、特に限定されない。例えば、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを挙げることができる。
共重合体中に含まれる(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位は、1種単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。
共重合体に含まれる(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位の含有率は、共重合体の総質量中に10質量%〜70質量%であることが好ましく、15質量%〜60質量%であることがより好ましく、20質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
また共重合体の(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位に含まれる親水性の官能基を有する構造単位の含有率は、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位の総質量中に30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
前記第二の構造単位を形成するポリシロキサンモノマーは特に制限されず、目的等に応じて通常用いられるポリシロキサン由来の構造部位を有するモノマーから適宜選択することができる。中でも第二の構造単位を形成するポリシロキサンモノマーは、ポリヨウ素化物複合体の分散安定性の観点から、ポリシロキサンに由来する構造部位とエチレン性不飽和結合基とを有する化合物であることが好ましく、ポリシロキサンに由来する構造部位と(メタ)アクリル酸由来の構造部位とを有する化合物であることがより好ましく、ポリシロキサン由来の構造部位を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが更に好ましい。なお、ポリシロキサン由来の構造部位とは、ポリシロキサン及びその誘導体から少なくとも1つの水素原子を取り除いて形成される基を意味し、水素原子が取り除かれる位置は特に制限されない。
ポリシロキサン由来の構造部位における構造単位は、ジアルキルシロキサン、ジアリールシロキサン、モノアルキルモノアリールシロキサン等のいずれに由来するものであってもよい。また、ポリシロキサン由来の構造部位は、1種の構造単位から構成されても2種以上の構造単位から構成されていてもよい。
ポリシロキサン由来の構造部位がアルキル基を有する場合のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。ポリシロキサン由来の構造部位がアリール基を有する場合のアリール基としては、フェニル基及びナフチル基を挙げることができ、フェニル基であることが好ましい。
ポリシロキサン由来の構造部位として具体的には、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体等に由来する構造部位を挙げることができる。
なお、ジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体の具体例として、下記化学式で表される化合物等が挙げられる。
上記化学式において、m及びnは、各々独立に、1以上の整数を表す。
ポリシロキサンモノマーは、ポリヨウ素化物複合体の分散安定性の観点から、下記一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(VI)中、R61は水素原子又はメチル基を示す。R62は炭素数が1〜3のアルキレン基を示す。R63はそれぞれ独立して炭素数が1〜3のアルキル基又はフェニル基を示す。R64は炭素数が1〜4のアルキル基を示す。nはシロキサン構造単位の繰り返し数であり、1〜200の数を示す。
一般式(VI)において、R61はメチル基であることが好ましい。R62は「−CHCHCH−」基及び「−CH(CH)CH−」基の少なくとも一方であることが好ましい。R63は炭素数が1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。R64は炭素数が1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
61〜R64が、上述のような好ましい条件を満たすことにより、ポリヨウ素化物複合体の分散性をより高めることができる。
ポリシロキサンモノマーとしては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20,000であることが好ましく、700〜15,000であることがより好ましく、1,000〜10,000であることが更に好ましい。ポリシロキサンモノマーの重量平均分子量がこの範囲にあることで、ポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種への相溶性により優れる共重合体が構成できる。
共重合体中に含まれるポリシロキサンモノマー由来の構造単位は、1種単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。
共重合体に含まれるポリシロキサンモノマー由来の構造単位の含有率は、共重合体の総質量中に90質量%〜30質量%であることが好ましく、85質量%〜40質量%であることがより好ましく、80質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
共重合体におけるポリシロキサンモノマー由来の構造単位の含有量に対する(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位の含有量の質量比(第一の構造単位/第二の構造単位)は、ポリヨウ素化物表面への作用点とポリシロキサン樹脂への相溶性とのバランスの観点から、10/90〜50/50であることが好ましく、15/85〜45/55であることがより好ましく、20/80〜40/60であることが更に好ましい。第一の構造単位の含有率が第一の構造単位及び第二の構造単位の総量中に10質量%以上であると、ポリヨウ素化物複合体の分散安定性がより良好になる傾向がある。一方、第一の構造単位の含有率が第一の構造単位と第二の構造単位の総量中に50質量%以下であると、共重合体のポリシロキサン樹脂への相溶性がより優れる傾向がある。
また共重合体における(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位及びポリシロキサンモノマー由来の構造単位の総含有率は、共重合体の総質量中に70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
前記共重合体は、必要に応じて前記第一の構造単位及び第二の構造単位以外のその他の構造単位を更に含んでいてもよい。その他の構造単位を形成するモノマーは、第一の構造単位を形成する(メタ)アクリルモノマー及び第二の構造単位を形成するポリシロキサンモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限されない。その他の構造単位を形成するその他のモノマーとしては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルエーテル、ビニルエステル等を挙げることができる。
前記共重合体の分子量は特に制限されない。共重合体については、ポリヨウ素化物複合体の分散安定性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が20,000〜100,000であることが好ましく、40,000〜90,000であることがより好ましい。
前記共重合体は、(メタ)アクリルモノマー、ポリシロキサンモノマー及び必要に応じて含まれるその他のモノマーを含むモノマー混合物を、通常用いられる重合方法で共重合することで調製することができる。例えば、前記共重合体は、モノマー混合物を重合開始剤を用いてラジカル重合することで調製することができる。
前記共重合体の調製に用いられる重合開始剤は、特に制限されず通常用いられる重合開始剤から適宜選択することができる。重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤等を挙げることができる。具体的には、アゾイソブチロニトリル、ジ−t−ブチルペルオキシド等の熱重合開始剤を挙げることができる。
上記のようにして得られる共重合体は、調製後に精製工程に付することが好ましい。精製方法として具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールを用いた分液精製、分子蒸留と呼ばれる10Pa以下の高真空下で蒸留して低分子成分を除去する方法等を挙げることができる。
(ポリヨウ素化物)
ポリヨウ素化物複合体を構成するポリヨウ素化物としては、前駆体であるピラジン−2,3−ジカルボン酸2水和物、ピラジン−2,5−ジカルボン酸2水和物及びピリジン−2,5−ジカルボン酸1水和物からなる群より選択される少なくとも1種の物質とヨウ素とヨウ化物とニトロセルロースとを反応させて得られるポリヨウ素化物の針状結晶が、好ましく用いられる。
ヨウ化物としては、ヨウ化カルシウム等が挙げられる。このようにして得られるポリヨウ素化物としては、例えば、下記一般式(A)及び下記一般式(B)からなる群より選択される少なくとも1種で表されるものが挙げられる。
CaI(C)・xHO (A)
CaI(C・rHO (B)
(式中、xは1又は2を示す。pは3〜7の整数を示す。qは1又は2を示す。rは1〜3の整数を示す。)
これらのポリヨウ素化物は針状結晶であることが好ましい。
また、光調整懸濁液に用いるポリヨウ素化物として、米国特許第2,041,138号明細書(E.H.Land)、米国特許第2,306,108号明細書(Landら)、米国特許第2,375,963号明細書(Thomas)、米国特許第4,270,841号明細書(R.L.Saxe)及び英国特許第433,455号明細書に開示されているポリヨウ素化物も、使用することができる。これらの特許によって公知とされたポリヨウ素化物の結晶は、ピラジンカルボン酸、又はピリジンカルボン酸の1つを選択して、ヨウ素、塩素又は臭素と反応させることにより、ポリヨウ素化物、ポリ塩素化物、ポリ臭素化物等のポリハロゲン化物とすることによって作製されている。これらのポリハロゲン化物は、ハロゲン原子が無機質又は有機質と反応した錯化合物で、これらの詳しい製法は、例えば、サックスの米国特許第4,422,963号明細書に開示されている。
ポリヨウ素化物の粒子サイズは、光調整懸濁液としたときの印加電圧に対する応答時間と、光調整懸濁液中の凝集及び沈殿との関係から、以下のサイズが好ましい。
ポリヨウ素化物の粒子の平均長径は、225nm〜625nmが好ましく、250nm〜550nmがより好ましく、300nm〜500nmが更に好ましい。
ポリヨウ素化物の粒子の短径に対する長径の比率、すなわちアスペクト比の平均値は3〜8が好ましく、3.3〜7がより好ましく、3.6〜6が更に好ましい。
前記ポリヨウ素化物の粒子の長径と短径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡でポリヨウ素化物の粒子を撮影し、撮影した画像より任意に50個のポリヨウ素化物の粒子を抽出し、各ポリヨウ素化物の粒子の長径及び短径のそれぞれの算術平均値として算出することができる。ここで、長径とは、上記撮影した画像により二次元視野内に投影されたポリヨウ素化物の粒子について、最も長い部分の長さとする。また、短径とは、上記長径に直交する最も長い部分の長さとする。
また、前記ポリヨウ素化物の粒子径を評価する方法として、光子相関法又は動的光散乱法の原理を用いた粒度分布計を用いることができる。この方法では粒子の大きさ及び形状を直接計測するのではなく、粒子を球状と仮定して相当径を評価することになり、SEM観察とは異なる値となる。特に、マルバーン社のゼータサイザーナノSを用い、Zaverage値として出力される相当径を粒子径とした場合に、ポリヨウ素化物の平均粒子径(以下、「粒度分布測定により求められる平均粒子径」ともいう)は135nm〜220nmが好ましく、140nm〜210nmがより好ましく、145nm〜205nmが更に好ましい。
なお、粒度分布測定により求められる平均粒子径は、小径側からの体積累積50%に対応する粒子径として求められる。
このZaverage値は、例えば、光子相関法又は動的光散乱法に基づいた、ゼータサイザーナノSとは異なる粒度分布計の測定値、並びに上述の透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡で測定されるポリヨウ素化物の粒子の長径及び短径とよい相関を示すことが知られており、粒子径を評価する指標として適当である。
製造されたポリヨウ素化物は、未反応物又は副生成物、サイズが小さい粒子又は大きい粒子、アスペクト比が小さい粒子又は大きい粒子が含まれる場合がある。通常は精製して用いることが好ましい。この精製方法としては、例えば、遠心分離を行う方法がある。遠心分離の条件は処理する量にもよるが、3000G〜20000Gが好ましい。また処理回数は2回以上が好ましい。遠心後は上澄みを傾斜して廃棄し、粒子が凝集せずに分散可能な有機溶剤を加えるとよい。このとき、加える有機溶剤に制限はないが、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルケトン等が挙げられ、中でも、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソアミル及び酢酸ヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種を好適に使用することができる。これら溶媒は1種のみでもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、遠心分離処理を2回以上行う場合、最初の遠心分離処理にはニトロセルロースを溶解させた溶剤を用いてもよい。このとき、ニトロセルロースの濃度は、例えば、3質量%〜20質量%であり、好ましくは5質量%〜15質量%である。また、溶剤を加えた後は、ポリヨウ素化物が溶剤中で分散できるように、ホモジナイザー又は超音波で処理するとよい。
以上のようにしてポリヨウ素化物の溶剤分散液を得ることができる。得られるポリヨウ素化物の溶剤分散液は、以下に述べるポリヨウ素化物複合体分散液の製造方法に好適に適用することができる。
ポリヨウ素化物複合体は、前記ポリヨウ素化物の表面の少なくとも一部の領域に前記共重合体が配置されていればよく、ポリヨウ素化物の表面全体に前記共重合体が配置されていてもよい。
ポリヨウ素化物複合体におけるポリヨウ素化物に対する共重合体の質量比(共重合体/ポリヨウ素化物)は、分散安定性の観点から、20/10〜100/10であることが好ましく、30/10〜80/10であることがより好ましく、40/10〜60/10であることが更に好ましい。
ポリヨウ素化物複合体におけるポリヨウ素化物に対する共重合体の質量比は、共重合体の分子量を予めGPCで測定しておき、ポリヨウ素化物複合体の元素分析から、例えば、CaとSiの質量比を比較することで算出することができる。
<ポリヨウ素化物複合体分散液及びその製造方法>
本発明のポリヨウ素化物複合体分散液は、ポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種と、本発明のポリヨウ素化物複合体と、を含有する。
本発明のポリヨウ素化物複合体分散液は、ポリヨウ素化物の表面に、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位及びポリシロキサンモノマー由来の構造単位を有する共重合体を付与してポリヨウ素化物複合体を得る工程と、得られたポリヨウ素化物複合体をポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種に分散してポリヨウ素化物複合体分散液を得る工程と、を有する本発明のポリヨウ素化物複合体分散液の製造方法により製造されたものであってもよい。ポリヨウ素化物複合体分散液の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に含んでいてもよい。
ポリヨウ素化物の表面に前記共重合体を付与する方法としては、共重合体の溶液と前記ポリヨウ素化物の溶剤分散液とを混合し、溶剤の少なくとも一部を除去する方法を挙げることができる。また、共重合体が表面に付与されたポリヨウ素化物複合体をポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種に分散する方法としては、ポリヨウ素化物複合体の溶剤分散液とポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種とを混合して、溶剤の少なくとも一部を除去する方法を挙げることができる。具体的には以下のようにして、ポリヨウ素化物複合体分散液を調製することができる。
前記共重合体をヘキサン等の低極性の有機溶剤に溶解した後、さらにアセトン等のポリヨウ素化物と親和性の高い有機溶剤を加えた溶液を添加して共重合体溶液を調製する。調製した共重合体溶液を前述のポリヨウ素化物の溶剤分散液に加えることで、共重合体をポリヨウ素化物の表面に作用させる。その後、エバポレーター等で有機溶剤の半分程度を留去した後、再びヘキサン等の低極性の有機溶剤を加える。この操作を数回繰り返すことにより、ポリヨウ素化物の溶剤分散液の溶剤をヘキサン等の低極性の有機溶剤に置換する。次いでポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を添加し、エバポレーター等でヘキサン等の低極性の有機溶剤を留去することで、ポリヨウ素化物複合体がポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種に分散されたポリヨウ素化物複合体分散液を得ることができる。得られるポリヨウ素化物複合体分散液に含まれる有機溶剤の含有率は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
ポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂としては特に制限はなく、目的等に応じて、通常用いられるポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂から適宜選択することができる。ポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂として具体的には、ポリジメチルシロキサン(KF−96)、ポリジメチルシロキサン−ポリジフェニルシロキサン共重合体(KF−50)、カルボキシ基変性ポリシロキサン(X−22−3701E、X−22−162C等)、アミノ基変性ポリシロキサン(KF−8008等)、メルカプト基変性ポリシロキサン(X−22−167B等)(いずれも信越化学工業株式会社)などを挙げることができる。ポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂の25℃における粘度は、1mPa・s〜5000mPa・sであることが好ましく、2mPa・s〜4000mPa・sであることがより好ましく、3mPa・s〜3000mPa・sであることが更に好ましい。ポリシロキサン樹脂等が二種類以上併用されている場合、25℃における粘度は、混合物の粘度を意味する。
ポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂の25℃における粘度の測定方法としては、回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
ポリヨウ素化物複合体分散液におけるポリヨウ素化物複合体の含有率は、目的等に応じて適宜選択される。ポリヨウ素化物複合体の含有率は、分散安定性の観点から、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.2質量%〜15質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
ポリヨウ素化物複合体分散液は、ポリヨウ素化物複合体並びにポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種に加えて、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、金属粒子、金属酸化物粒子等を挙げることができる。その他の成分として使用される金属粒子又は金属酸化物粒子は、ポリヨウ素化物複合体の補色となる色を示す粒子であることが無彩色化の観点から好ましい。金属粒子又は金属酸化物粒子がポリヨウ素化物複合体の補色となる色を示すとは、金属粒子又は金属酸化物粒子とポリヨウ素化物複合体とを混合したときに、無彩色となるような色を金属粒子又は金属酸化物粒子が示すことをいう。
従来技術では、ポリヨウ素化物をポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のような低極性の樹脂に安定的に分散することは困難であった。しかしながら、共重合体が表面に配置されたポリヨウ素化物複合体を用いることで、ポリヨウ素化物複合体が低極性の樹脂に分散された分散物を容易に調製することができる。また得られる分散物は、分散安定性に優れ、低温域(例えば、−20℃以下)から高温域(例えば、85℃以上)まで安定した分散状態が維持される。
また、従来技術であるポリヨウ素化物をアクリル樹脂に分散して調光フィルムを作製し、低温環境下(例えば、0℃以下)においたときに、電界を印加した時の着色状態から透明状態への変化及び電界を切った時の透明状態から着色状態への変化の速度が遅くなる、即ち電界のON/OFFによる透明状態と着色状態との間の相互変化の応答速度が遅くなる場合があった。本発明のポリヨウ素化物複合体分散液は、低温環境下でもポリシロキサン樹脂等の粘度上昇が小さいため、低温での応答速度を改善できる。
また、従来技術であるポリヨウ素化物をアクリル樹脂に分散して調光フィルムを作製した場合、ポリヨウ素化物の分散液とフィルム形成成分は相分離構造を取る必要があるため、フィルム形成成分にポリシロキサン樹脂を利用する必要があった。調光フィルムを製造する際に必要な樹脂の質量比は、ポリシロキサン樹脂/アクリル樹脂が100/60程度である。一方、本発明のポリヨウ素化物複合体分散液を使用すると、フィルム形成成分をアクリル樹脂にすることができ、調光フィルムを製造する際に必要な樹脂の質量比はポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合計量/アクリル樹脂を60/100程度に逆転することができる。一般的に、ポリシロキサン樹脂等はアクリル樹脂に比べて価格が高いので、本発明を利用することで調光フィルム製造における材料費を低減することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ポリヨウ素化物の酢酸イソアミル分散液の調製)
ヨウ素(JIS試薬特級、和光純薬工業株式会社)と酢酸イソアミル(試薬特級、和光純薬工業株式会社)から8.5質量%ヨウ素の酢酸イソアミル溶液を、またニトロセルロース1/4LIG(ベルジュラックNC社)と酢酸イソアミルから20.0質量%ニトロセルロースの酢酸イソアミル溶液を調製した。ヨウ化カルシウム水和物(化学用、和光純薬工業株式会社)を加熱乾燥して無水化して酢酸イソアミルに溶解させ、20.9質量%ヨウ化カルシウム溶液を調製した。20Lフラスコに撹拌機と冷却管を備え、ヨウ素溶液を6905g、ニトロセルロース溶液を8723g、を加え水浴温度を35℃〜40℃としてフラスコを加熱した。ニトロセルロース溶液中の水分比(質量%)は平沼産業株式会社、平沼水分測定装置AQ−7(発生液:ハイドラナールアクアライトRS、対極液:アクアライトCN)を用いて測定したところ、0.61質量%であり、加えた溶液質量からニトロセルロース溶液中の水分量は53.2gであった。フラスコ内容物の温度が35℃〜40℃となった後、脱水メタノール(試薬特級、和光純薬工業株式会社)を260g、精製水(和光純薬工業株式会社)を55.6g加えて撹拌した。ヨウ化カルシウム溶液を1643g、次いでピラジン−2,5−ジカルボン酸(日化テクノサービス株式会社)を390g加えた。水浴温度を42℃〜44℃として4時間撹拌した後、放冷した。
得られた合成液を9260Gで5時間遠心分離後、傾斜して上澄み液を除き、底部に残存した沈殿に、この沈殿の質量の5倍に相当する酢酸イソアミルを加え超音波で沈殿を分散した。次に710Gで10分間遠心分離後、上澄みを9260Gで3時間遠心分離した。再び傾斜して上澄みを除き、底部に残存した沈殿に、この沈殿の質量の5倍に相当する酢酸イソアミルを加え超音波で沈殿を分散してポリヨウ素化物の酢酸イソアミル分散液を調製した。
得られたポリヨウ素化物は、粒子径及び分子量特性評価装置((製品名:ゼータサイザーナノS、マルバーン社)で測定)で求められるZaverage値が198nm、SEM観察による平均長径は350nm、平均アスペクト比は7.0であった。なお、SEMによる観察では、50個のポリヨウ素化物から、長径及びアスペクト比の平均値を求めた。
なお、Zaverage値の測定条件は、25℃、酢酸イソアミルの屈折率1.399、粘度1.006mm/s(動粘性率)であった。
<実施例1>
(共重合体[G−1]の合成)
トルエン(試薬特級、和光純薬工業株式会社)50gに、メタクリル酸3g(試薬特級、和光純薬工業株式会社)、メタクリル末端ポリジメチルシロキサンFM0721(JNC株式会社、重量平均分子量:5,000)7g、アゾイソブチロニトリル(試薬特級、和光純薬工業株式会社)0.057gを加えて溶解させ、凍結脱気を3回行った後、窒素置換した。ウォーターバスで60℃に加熱し24時間重合反応を行った後、氷浴で冷却して重合を停止した。その後、凍結乾燥を1日間、常温で真空乾燥を3日間、60℃で真空乾燥を1日間行い、共重合体[G−1]を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量は69,000であった。なお、重量平均分子量は以下の条件で測定した。
(条件)
試料:10μL
検出器:株式会社日立製作所、RI−モニター、商品名「L−3000RI」
インテグレーター:株式会社日立製作所、GPCインテグレーター、商品名「D−2200」
ポンプ:株式会社日立製作所、商品名「L−6000」
カラム:日立化成株式会社、商品名「GL−R440」、「GL−R450」、「GL−R400M」をこの順番で連結して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:23℃
流速:1.75mL/分
(ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の調製)
ナスフラスコ中で1gの共重合体G−1を10gのヘキサンに溶解し、さらに20gのアセトンを加えて共重合体G−1の溶液を作製した。これを10gのポリヨウ素化物の酢酸イソアミル分散液(5質量%)に加え、さらに10gのヘキサンを添加した。湯浴でナスフラスコを50℃〜60℃に加温しながらエバポレーターで溶剤を留去し、溶剤量が初期の半分程度になったところで溶剤留去を止めた。ヘキサンを20g添加し、再び湯浴でナスフラスコを50℃〜60℃に加温しながらエバポレーターで溶剤を留去し、溶剤量が初期の半分程度になったところで溶剤留去を止めた。ヘキサン添加、溶剤留去の工程をさらに2回繰返し、溶剤を酢酸イソアミルからヘキサンに変換した。ポリジメチルシロキサン(KF−96、粘度10mPa・s、信越化学工業株式会社)10gを添加し、エバポレーターで溶剤を留去することで、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
(粒度分布測定)
得られたポリヨウ素化物複合体は、粒度分布測定(サブミクロン粒子アナライザ(製品名:N4MD、ベックマン・コールタ社)で測定)で求められる平均粒子径が220nmであり、酢酸イソアミルの分散液の場合とほぼ同等の分散性を示した。
なお、粒度分布測定における測定条件は、25℃、屈折率1.399、粘度10mPa・sとした。
(分散安定性)
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を以下のようにして評価した。
タービスキャンLab(Formulaction社(仏)(日本代理店:英弘精機株式会社))を用いて、分散液を入れたサンプル瓶の液面から5mmのところにおける、近赤外線(850nm)の後方反射率の経時変化を指標とした。
得られたポリヨウ素化物複合体分散液は、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例2>
(共重合体[G−2]の合成)
メタクリル酸の代わりにジメチルアミノエチルメタクリレート3g(共栄社化学株式会社)を用いたことを除いては実施例1と同様にして共重合体G−2を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−2の重量平均分子量は58,000であった。また、共重合体G−2を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は231nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例3>
(共重合体[G−3]の合成)
メタクリル酸の代わりにメチルメタクリレート3g(共栄社化学株式会社)を用いたことを除いては実施例1と同様にして共重合体G−3を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−3の重量平均分子量は65,000であった。また、共重合体G−3を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は241nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例4>
(共重合体[G−4]の合成)
メタクリル酸の代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレート3g(共栄社化学株式会社)を用いたことを除いては実施例1と同様にして共重合体G−4を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−4の重量平均分子量は55,000であった。また、共重合体G−4を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は222nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例5>
(共重合体[G−5]の合成)
メタクリル酸3gの代わりに、メタクリル酸1g、メチルメタクリレート0.5g、アクリロニトリル0.5g(試薬特級、和光純薬工業株式会社)を用いたことを除いては実施例1と同様にして共重合体G−5を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−5の重量平均分子量は68,000であった。また、共重合体G−5を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は245nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例6>
(共重合体[G−6]の合成)
メタクリル酸の代わりにメチルメタクリレート2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1gを用いたことを除いては実施例1と同様にして共重合体G−6を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−6の重量平均分子量は54,000であった。また、共重合体G−6を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は233nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例7>
(共重合体[G−7]の合成)
メタクリル酸の代わりにメチルメタクリレート2.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.5gを用いたことを除いては実施例1と同様にして共重合体G−7を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−7の重量平均分子量は66,000であった。また、共重合体G−7を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は233nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例8>
(共重合体[G−8]の合成)
FM0721の代わりにFM0725(JNC株式会社、重量平均分子量:10,000)を用いたことを除いては実施例2と同様にして共重合体G−8を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−8の重量平均分子量は85,000であった。また、共重合体G−8を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布は251nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例9>
共重合体G−3を用い、ポリシロキサン樹脂としてジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体(KF−50、粘度100mPa・s、信越化学工業株式会社)を用いたことを除いては実施例1と同様にしてポリヨウ素化物複合体のジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体分散液を得た。
得られたポリヨウ素化物複合体のジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は266nmであった。
なお、粒度分布測定における測定条件は、25℃、屈折率1.403、粘度100mPa・sとした。
得られたポリヨウ素化物複合体のジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例10>
共重合体G−7を用い、ポリシロキサン樹脂としてジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体(KF−50、粘度100mPa・s、信越化学工業株式会社)を用いたことを除いては実施例1と同様にしてポリヨウ素化物複合体のジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体分散液を得た。
得られたポリヨウ素化物複合体のジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は258nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンとの共重合体分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例11>
メタクリル酸の代わりにジメチルアミノエチルメタクリレート3g(共栄社化学株式会社)を用いたことを除いては実施例1と同様にして共重合体G−9を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−9の重量平均分子量は56,000であった。また、共重合体G−9を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は235nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<実施例12>
メタクリル酸の代わりにアクリルアミド3g(東京化成工業株式会社)を用いたことを除いては実施例1と同様にして共重合体G−10を合成し、ポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液を得た。
得られた共重合体G−10の重量平均分子量は61,000であった。また、共重合体G−10を用いたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液における粒度分布測定により求められる平均粒子径は228nmであった。
得られたポリヨウ素化物複合体のポリジメチルシロキサン樹脂分散液の分散安定性を実施例1と同様に評価したところ、分散液作製から21日経過した時の後方反射率の減少率が2%未満であり、安定性に優れていた。
<比較例1>
ポリヨウ素化物の酢酸イソアミル分散液10gに共重合体を用いずにポリジメチルシロキサン樹脂(KF−96、粘度10mPa・s)10gを添加したところ、ポリヨウ素化物の凝集体が沈降し、エバポレーターで酢酸イソアミルを留去してもポリヨウ素化物の凝集体がポリジメチルシロキサン樹脂に分散することは無かった。
以上から、本発明の共重合体が表面に配置されたポリヨウ素化物複合体を用いることにより、ポリヨウ素化物複合体をポリシロキサン樹脂等の親油性又は撥水性を有する分散媒に安定に分散可能であることが分かる。

Claims (8)

  1. ポリヨウ素化物と、
    前記ポリヨウ素化物の表面に配置される、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位及びポリシロキサンモノマー由来の構造単位を有する共重合体と、
    を含むポリヨウ素化物複合体。
  2. 前記(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位は、カルボキシ基、アルキルアミノ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基及びニトリル基からなる群より選択される少なくとも1種を有する構造単位を含む請求項1に記載のポリヨウ素化物複合体。
  3. 前記ポリシロキサンモノマーは、ポリシロキサンに由来する構造部位とエチレン性不飽和結合基とを有する請求項1又は請求項2に記載のポリヨウ素化物複合体。
  4. 前記ポリシロキサンモノマーの重量平均分子量が500〜20,000である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリヨウ素化物複合体。
  5. 前記共重合体は、前記ポリシロキサンモノマー由来の構造単位に対する(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位の質量比((メタ)アクリルモノマー由来の構造単位/ポリシロキサンモノマー由来の構造単位)が、10/90〜50/50である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリヨウ素化物複合体。
  6. 前記ポリヨウ素化物が下記一般式(A)及び下記一般式(B)からなる群より選択される少なくとも1種で表される請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のポリヨウ素化物複合体。
    CaI(C)・xHO (A)
    CaI(C・rHO (B)
    (式中、xは1又は2を示す。pは3〜7の整数を示す。qは1又は2を示す。rは1〜3の整数を示す。)
  7. ポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種と、
    請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のポリヨウ素化物複合体と、
    を含有するポリヨウ素化物複合体分散液。
  8. ポリヨウ素化物の表面に、(メタ)アクリルモノマー由来の構造単位及びポリシロキサンモノマー由来の構造単位を有する共重合体を付与してポリヨウ素化物複合体を得る工程と、
    得られたポリヨウ素化物複合体をポリシロキサン樹脂及び変性ポリシロキサン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種に分散してポリヨウ素化物複合体分散液を得る工程と、
    を有する請求項7に記載のポリヨウ素化物複合体分散液の製造方法。
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