JP2015071442A - 加飾性と保香性とに優れたプラスチック容器 - Google Patents

加飾性と保香性とに優れたプラスチック容器 Download PDF

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Yuichiro Kato
加藤  雄一郎
健二朗 田中
Kenjiro Tanaka
健二朗 田中
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Masashi Tanaka
政資 田中
美子 村屋
Yoshiko Muraya
美子 村屋
将 石川
Susumu Ishikawa
将 石川
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Yusuke Anzai
雄介 安齋
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Abstract

【課題】オレフィン系樹脂製の容器本体外面に厚みが漸次変化する部分を含むグラデーション層が形成され且つ最外面に透明なポリエステル系樹脂層が形成されている容器において、グラデーション層の剥離がに防止され、しかも加飾が精度よく発現し、保香性に優れた容器の提供。【解決手段】着色オレフィン系樹脂製容器本体1と、その外面に積層されている加飾層3と、内面に設けられた保香性樹脂層5とから成り、加飾層は、透明接着樹脂層3bと、外面層の透明ポリエステル系樹脂層3aと、その両者樹脂層間に形成され且つ厚みが変化する部分を含むグラデーション層3cとを有し、グラデーション層は、透明ポリエステル系樹脂に着色剤が配合された樹脂組成物から形成され、容器10の胴部の厚みは、容器本体と加飾層との合計厚みであり、グラデーション層の存在によって変化しないように、グラデーション層の厚み変化に対応して変化していることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、加飾性と保香性とに優れたプラスチック容器に関するものであり、より詳細には、容器本体の外面に形成されている加飾層内にグラデーション層が設けられているプラスチック容器に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂は、成形性が良好であると共に、安価であることから包装容器として広く使用されているが、容器の分野では、その外観の向上により、商品価値を向上させることが求められている。
このようなオレフィン系樹脂製容器に関して、例えば特許文献1には、オレフィン系樹脂からなる容器本体の外面に、表面平滑性の高い透明ポリエステル系樹脂層が接着樹脂層を介して設けられている容器が提案されている。かかる容器では、優れた光沢が発現しており、高い商品価値を有しているものの、模様が徐々に変化するグラデーション加飾までは考慮されておらず、容器外観の点でさらなる改善の余地が残されている。
一方、特許文献2には、容器本体の外面に、光輝膜と該光輝膜の上に形成された着色膜とからなる装飾層が設けられ、該装飾層の上に光沢層を設けることが提案されている。この容器では、着色膜と光輝膜との双方を容器の高さ方向に沿って徐々に厚みが変化するグラデーション層とし、光輝膜の厚みが徐々に薄くなる部分で、これに対面している着色膜の厚みを徐々に厚くすることにより、容器胴部の全体厚みを変化させないようにしている。
WO2008/090655 特許4391887号
特許文献2の容器では、その外面に光沢ばかりでなく、グラデーション加飾もなされており、その商品価値は著しく向上している。
しかしながら、特許文献2の容器でも改善すべき問題がある。即ち、グラデーションによる容器の厚み変化を回避するために、厚みの薄い装飾層を着色膜と光輝膜との2層で形成するばかりか、互いに対面しているこれらの層の双方をグラデーション層としているため、その成形が極めて難しく、例えば、これらのグラデーション層によって発現するデザインや模様にバラツキが生じてしまうという問題がある。
また、特許文献2の容器において、容器本体をオレフィン系樹脂により形成し、最外面の光沢材をポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂により形成した場合、オレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂とは接着性が乏しいため、装飾層と容器本体との間には接着樹脂層が形成されることとなる。このときグラデーション装飾層の厚み変化に伴い接着樹脂層の厚みが変化するとグラデーション装飾層と容器本体との接着強度が一定しないため、グラデーション装飾層の剥がれなどを生じ易くなってしまうという問題がある。
また、本出願人は、グラデーション層の剥離が有効に防止され、しかもグラデーション加飾がバラツキなく精度よく安定に発現している加飾性に優れたプラスチック容器を提案した(特願2012−088889号)。
しかしながら、本出願人が提案した上記のプラスチック容器も含め、オレフィン系樹脂により容器本体が形成されているプラスチック容器においては、容器内容物の香りが経時と共に徐々に失われていくという問題がある。特にこの問題は、容器内容物が化粧品のように香りが内容物の重要な要素となっているときには極めて重大である。
従って、本発明の目的は、オレフィン系樹脂製の容器本体の外面に厚みが漸次変化する部分を含むグラデーション層が形成されており且つ最外面に透明なポリエステル系樹脂層が形成されている容器において、グラデーション層の剥離が有効に防止され、しかもグラデーション加飾がバラツキなく精度よく安定に発現している加飾性に優れると共に、保香性にも優れたプラスチック容器を提供することにある。
本発明によれば、オレフィン系樹脂からなり且つ着色された容器本体と、容器本体の外面に積層されている加飾層とから成るプラスチック容器において、
前記加飾層は、容器の内面側に位置する透明接着樹脂層と、容器の外面側に位置する外面層である透明ポリエステル系樹脂層と、該透明接着樹脂層と透明ポリエステル系樹脂層との間に形成されており且つ容器の高さ方向に沿って厚みが漸次変化していく部分を含むグラデーション層とを有しており、該グラデーション層は、透明ポリエステル系樹脂に着色剤が配合された樹脂組成物から形成されたものであり、
前記容器胴部における容器本体の厚みは、該容器本体の厚みと前記加飾層の厚みとの合計厚みである容器胴部の厚みが前記グラデーション層の存在によって変化しないように、該グラデーション層の厚み変化に対応して変化していると共に、
前記容器本体の内面には保香性樹脂層が設けられていることを特徴とするプラスチック容器が提供される。
本発明のプラスチック容器においては、
(1)前記グラデーション層は、前記外面層を形成している透明ポリエステル系樹脂に比して、含水率が低い透明ポリエステル系樹脂を用いて成形されたものであること、
(2)前記外面層は、含水率が500〜1500ppmの透明ポリエステル系樹脂を用いて成形され、前記グラデーション層は、含水率が50〜500ppmの透明ポリエステル系樹脂を用いて成形されたものであること、
(3)前記容器本体は、バージンのオレフィン系樹脂からなる未着色または着色層と、該容器の成形時に発生したスクラップにオレフィン系樹脂と着色剤とが配合されている着色リプロ層とからなっており、該着色リプロ層の厚みがグラデーション層の厚み変化に対応して変化していること、
(4)前記保香性樹脂層が、ポリエステル系樹脂により形成されていること、
(5)前記保香性樹脂層は、接着樹脂層を介して容器本体の内面に設けられていること、
が好ましい。
また、上記のプラスチック容器は、ダイレクトブロー成形によって得られるボトルであることが好適である。
本発明においては、加飾層中のグラデーション層の厚み変化が容器本体の厚み変化で調整していることが重要な特徴である。
即ち、容器胴部では、グラデーション層の厚みが漸次変化していく部分において、この厚み変化に対応して容器本体の胴部厚みが変化し、容器胴部の厚み(容器本体の胴部厚みと加飾層の厚みとの合計厚み)が一定に保持される。このことから理解されるように、本発明の容器においては、透明接着樹脂層の厚みが一定に保持され、従って、グラデーション層の厚み変化が生じる部分でも、加飾層と容器本体との間に一定の接着強度を確保することができ、加飾層の剥がれ等を有効に防止することができる。
また、本発明の容器では、容器本体がオレフィン系樹脂で形成され且つ着色剤の配合により着色されており、この容器本体の色とグラデーション層の色との組み合わせによりグラデーション加飾が発現する。即ち、グラデーション層が存在している部分は、グラデーション層の色が外部から観察されるが、その厚みの減少に伴って、次第に容器本体の色が外部から観察されるようになり、この結果、グラデーション加飾が発現するわけである。この場合、グラデーション加飾に寄与する容器本体とグラデーション層との間には透明接着樹脂層が介在しており、両者は直接接触しておらず、しかも、容器本体の厚みは、グラデーション層に比してかなり厚い。この結果、容器本体が厚いので色調が安定しており、グラデーション層の厚み変化を容器本体の厚み変化で調整して厚みが多少変化しても、グラデーション加飾への影響はごく小さい。例えば、2層のグラデーション層が直接対面しており且つ両層の厚みが薄いような場合には、一方の厚み変動が他方の厚み変動をもたらしてしまい、その厚み変動がグラデーション加飾に与える影響が極めて大きいが、本発明では、このような不都合を有効に回避することができる。
さらに、本発明においては、容器の内面に保香性樹脂層が設けられていることも重要である。
この保香性樹脂層は、例えばポリエステル系樹脂、特に非晶質ポリエステル樹脂により形成されるものであるが、かかる層を設けることにより、容器内容物の香りが経時と共に失われていくという不都合を有効に抑制することが可能となる。即ち、オレフィン系樹脂の容器本体が直接内容物と接触していると、この容器本体に内容物の香り成分が吸着等により捕捉されてしまい、この結果、内容物の香りが経時的に失われていくこととなる。特に内容物が、化粧品のように香料を含むものであるときには、香りの経時的低下を明確に認識することができる。しかるに、本発明によれば、オレフィン系樹脂製の容器本体の内面に保香性樹脂層が設けられているため、内容物と容器本体との接触が防止され、香り成分がオレフィン系樹脂製の容器本体に捕捉されるという不都合を有効に回避できる。
また、本発明においては、グラデーション層(以下、G層と呼ぶことがある)が、外面層を形成する透明ポリエステル系樹脂に比して、含水率の低い透明ポリエステル系樹脂を用いて成形されたものであることが好ましい。
即ち、この容器は、共押出によって、容器の層構造に対応するプリフォームを形成し、このプリフォームを2次成形することにより製造される。この場合、共押出に際して、G層形成用の透明ポリエステル系樹脂は、例えばギヤポンプにより徐々に押出量を絞っていき、最後にギヤポンプによる送りを停止することにより形成されることとなる。しかるに、ポリエステル系樹脂は含水率が大きいものほど溶融粘度が低く、従って、G層形成用の透明ポリエステル系樹脂の含水率が、これに接触する外面層のポリエステル系樹脂の含水率よりも高いと、ギヤポンプによる送りを停止したとしても、ギヤポンプの間を通過してしまうばかりか、外面層と透明接着樹脂層の間に浸透していってしまい、結局、部分的にグラデーション層が必要以上に延びてしまったり、或いは飛び地のような模様が形成されてしまうことが多くなり、さらには、グラデーション加飾に部分的なムラや滲みなども発生しやすくなる。しかるに、グラデーション層形成用の透明ポリエステル系樹脂として、外面層の透明ポリエステル系樹脂よりも含水率の低いものを使用することにより、その流動性を抑制し且つ外層の透明ポリエステル系樹脂の流動性を大きくすることにより、グラデーション層の押出し停止後における外面層と透明接着樹脂層との間への樹脂の流れ込みを有効に抑制することができ、より鮮明なグラデーション加飾を安定に発現させることが可能となる。
尚、ポリエステル樹脂の含水率は、後述する実施例にも示されているように、カールフィッシャー法によって測定される。
また、本発明のプラスチック容器では、外面層が透明ポリエステル系樹脂で形成されるため、この表面の平滑性を高めておくことにより、光沢性を付与することができ、加飾性をより向上させることができる。
本発明のプラスチック容器の胴部の層構造を示す断面図。
本発明のプラスチック容器の胴部の層構造を示す図1において、この容器10は、オレフィン系樹脂からなり且つ着色剤の配合により着色されている容器本体1を備えており、容器本体1の外面には、加飾層3が積層されている。
この加飾層3は、透明な外面層3aと透明接着樹脂層3bとを備えており、外面層3aと透明接着樹脂層3bとの間には、グラデーション層3cが形成されている。即ち、グラデーション層3cは、その厚みが漸次変化している領域Xを含む着色層であり、図1に示されているように、この容器10の胴部に、グラデーション層3cの厚みが漸次薄くなっていく領域Xが存在しており、容器本体1の色とグラデーション層3cの色とが透明な外面層3aを介して胴部の外部に反映することにより、グラデーション加飾が発現するものである。
また、このプラスチック容器10においては、容器本体1の内面側(内容物と接触する側)に保香性樹脂層5が、接着樹脂層7を介して設けられている。
<容器本体1>
容器本体1はオレフィン系樹脂から形成されるものであり、さらに着色剤の配合により着色されている。即ち、容器本体1は、オレフィン系樹脂を基材樹脂とするものであり、オレフィン系樹脂に特有の良好な生産性を示す。
このような容器本体1の基材樹脂として使用されるオレフィン系樹脂としては、それ自体公知のものを使用することができ、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、その他のα−オレフィンの重合体に加え、各種オレフィン同士の共重合体や、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系共重合体の何れも、それぞれ、1種単独或いは2種以上をブレンドして、容器本体1の基材樹脂として使用することができる。また、容器本体の基材樹脂は、容器10の用途に応じて、適宜のオレフィン系樹脂から選択され、例えば、スクイズボトルの形態の容器では、低密度ポリエチレン等が基材樹脂として好適に使用される。
また、このような容器本体の成形に使用されるオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR;JIS K7210;190℃、荷重2.16Kg)は、一般に0.1〜30g/10分の範囲にある。
また、着色のために使用される着色剤としては、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料及び染色レーキ系顔料等の有機顔料や、偏光パール顔料等のアルミ系光輝顔料、マイカ系光輝顔料、ガラス系光輝顔料等の光輝顔料等など、目的とする容器の外観のデザイン(グラデーション加飾など)に応じて、適宜の色の顔料を1種または2種以上を使用することができる。勿論、色味や物性調整などのために、炭酸カルシウム等の体質顔料を配合することもできる。勿論、これらの着色剤は、オレフィン系樹脂の成形や各種の物性を損なわない程度の量で、目的とする容器10の外観デザインが得られるような量で配合される。
尚、かかる着色剤として、アルミ系、マイカ系、ガラス系等の各種の光輝顔料を用いた場合には、特にメタリック調の光沢を付与することができる上で有利である。
容器本体1は、着色された色が外観に反映される限りにおいて、不透明或いは透明の何れであってもよく、また、複数の層から形成されおり、複数の層の何れかに着色剤が配合されていてもよく、例えば、着色剤が配合された着色層と、着色剤が配合されていない未着色層とを有していてもよい。さらには、中間にエチレン−ビニルアルコール共重合体等からなるガスバリア性樹脂層が適宜接着剤層を介して形成されていてもよい。これらのガスバリア性樹脂層や接着剤層は、透明であることが好ましく、容器本体1の色を阻害しないことが好ましい。
本発明においては、省資源、コストダウン等の観点から、成形時に発生したバリ等のスクラップを着色リプロ層として利用することが好ましい。例えば、図1に示されている例では、容器本体1は、容器内面側の層1aがバージンのオレフィン系樹脂により形成されており、容器本体1の外面側の層1bが、この容器を成形する過程で発生するバリ等のスクラップを回収し、これを用いて形成された着色リプロ層となっている。即ち、この着色リプロ層1bは、該容器の成形時に発生したスクラップにバージンのオレフィン系樹脂及び着色剤が配合された樹脂組成物により成形された着色層(着色リプロ層)であり、スクラップに含まれる着色剤に加えて更なる着色剤の配合により、着色剤の濃度が所定濃度に調整されている。
このような着色リプロ層1bの使用は、バージン層1aの特性に悪影響を及ぼさない範囲に限定されるものであり、一般に、着色リプロ層1bの厚みは、容器本体1の厚みの90%以内とするのがよい。
尚、バージン層1aは、着色剤の配合により着色されていてもよいし、着色剤が配合されず、未着色であってもよいが、一般には、ピンチング強度を大きくするため、バージン層1aは、未着色であるのがよい。
本発明においては、図1に示されているように、グラデーション層3cの厚み変化が容器本体1での厚み変化により調整され、これにより、他の層(特に透明接着樹脂層3b)の厚みを変化させることなく、容器10の胴部の厚みを一定に保持している。特に、図1に示されているように着色リプロ層1bが形成されている場合には、バージン層1aの厚みを一定とし、着色リプロ層1bの厚みをグラデーション層3cの厚み変化に応じて変動させるのがよい。
尚、容器10の胴部の厚みを一定に保持するとは、通常、容器10の側壁の最大厚みと最小厚みとの差が、最大厚みの70%以下の範囲内にあることを意味する。
さらに、図1の例では、着色リプロ層1bが、バージン層1aよりも容器外面側に位置しているが、この着色リプロ層1bを容器内面側に位置せしめることもできる。即ち、本発明の容器10では、容器本体1の内面側に保香性樹脂層5が設けられているため、一旦使用された樹脂を含む着色リプロ層1bを容器本体1の内面側に形成したとしても、容器内容物が着色リプロ層1bに接触する恐れがないからである。
<加飾層3>
加飾層3は、透明ポリエステル系樹脂から形成される外面層3aと、加飾層3を容器本体1に接着固定するための透明接着樹脂層3bと、これらの層の間に配置されているグラデーション層3cとから形成されている。
このような加飾層3は、オレフィン系樹脂を基材樹脂とする容器本体1の基本的な特性を損なわない範囲の厚みで形成されるものであり、一般的には、加飾層3の厚みは容器本体1と加飾層3の合計厚みである容器胴部の厚みの50%以下、特に35%以下の範囲に維持されているべきであり、この範囲内で、グラデーション層3cの存在や厚み変化に応じて、加飾層3の厚みや容器本体1の厚みが増減するようにするのがよい。
外面層3a;
外面層3aを形成するポリエステル系樹脂は、容器本体1やグラデーション層3cの色を反映し得るような透明性を有していることが必要であるが、一般には、容器への成形性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリナフタレンテレフタレート(PNT)等の熱可塑性ポリエステル類を使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好適に使用される。
本発明においては、透明性や柔軟性などの観点から、非晶性のポリエステルが好ましく、例えばエチレンテレフタレート単位に少量のコポリエステル単位が導入されているものが好適に使用される。このようなコポリエステル形成用の共重合成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフエノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸またはこれらのアルキルエステル誘導体などのジカルボン酸成分;プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロへキサンジメタノール、ビスフエノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール成分を挙げることができる。
また、本発明の容器は、前述したオレフィン系樹脂との共押出によるラミネートを経て製造されることを考慮して、外面層3aのポリエステルの固有粘度[η]が0.5(dl/g)以上、特に0.6(dl/g)以上であることが好ましく、さらに流動性に影響を与える含水率が500〜1500ppm、特に600〜900ppm程度に調整されていることが好ましい。即ち、この含水率が大きいと、外面層3aに発泡などを生じ易くなるため光沢性が劣るおそれがあり、含水率が下回ると、外面層3aを溶融押出しにより形成するときの溶融粘度が大きなものとなり、流動性低下が要因となって、シャークスキンと呼ばれるポリエステル系樹脂層の表面荒れが発生し易くなるからである。
また、かかる外面層3aには、その透明性が損なわれず、容器本体1やグラデーション層3cの色が外観に反映される限りにおいて、滑剤などの添加により、表面に平滑性が付与され、例えば、その平均表面粗さRa(JIS B−6010)が0.2μm以下に調整されていることが好ましい。この表面平滑性を高めることにより、光沢を付与することができる。さらに、透明性や成形性を損なわない程度の少量で、熱可塑性エラストマー、他の熱可塑性樹脂、ゴム樹脂、無機フィラー、顔料、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、滑剤、染料等を適宜配合することも可能である。
上述した外面層3aの厚みは、容器の用途や形態などによっても異なるが、加飾層3の厚みが前述した範囲を満足することを条件として、一般に、20乃至500μm程度の範囲にあることが好ましい。
透明接着樹脂層3b;
上述した外面層3aを形成するポリエステル系樹脂は、容器本体1の基材樹脂であるオレフィン系樹脂に対しての接着性が乏しいため、透明接着樹脂層3bを設ける必要があるが、特に、本発明では、グラデーション加飾のために、容器本体1の色を外部に反映させる必要がある。このため、透明接着樹脂層3bも透明であることが必要である。
このような層3bを形成する透明接着樹脂としては、ポリエステル系樹脂とオレフィン系樹脂の両者に接着性のある公知の樹脂を使用できる。例えば、エチレン・α−オレフィン共重合樹脂及びそれらの酸変性樹脂や、オレフィン系樹脂の酸変性樹脂、グリシジル基含有樹脂等が1種単独で、又は2種以上のブレンド樹脂が使用できる。
尚、エチレンとα−オレフィンとの共重合形態は、ランダム、ブロック、グラフト等、どのような形態であってもよい。また、酸変性は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸;又はこれらの無水物によるグラフト変性が一般的である。
また、低密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂に粘着剤をブレンドしたものを用いて透明接着樹脂層3bを形成することもできる。このような粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂などを例示することができ、これらは、1種単独で或いは2種以上が透明接着樹脂層3bにブレンドされていてよい。
勿論、上記の粘着付与剤を、ポリエステル系樹脂とオレフィン系樹脂の両者に接着性のある前述した公知の樹脂にブレンドして接着力を高めることもできる。
さらに、透明性や接着性が損なわれず、さらには容器本体1の色の外部への反映が損なわれない限り、それ自体公知の各種添加材、例えば、熱可塑性エラストマー、他の熱可塑性樹脂、ゴム樹脂、無機フィラー、顔料、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、アンチブロッキング剤などが、透明接着樹脂層3bに配合されていてもよい。
尚、この透明接着樹脂層3bと外面層3a、容器本体1或いは後述するグラデーション層3cとの接着界面に微細な凹凸が発生し、この凹凸が容器10の外観に反映してしまい、目的とするグラデーション加飾が損なわれてしまうことがある。このような微細な凹凸の発生を防止するためには、この層3bの接着性を損なわない程度の微量の範囲、例えば、0.01〜0.5重量%程度、特に0.02〜0.1重量%程度の量で滑剤を配合することもできる。
このような滑剤としては、従来、公知のものを例示することができ、例えば、
(イ)流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス
、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、
(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、
(ハ)ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミ
ド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪族アミ
ド系のもの、
(ニ)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等
の脂肪酸エステル系のもの、
(ホ)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、
(ヘ)ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケン、
(ト)ポリオルガノシロキサン、
(チ)ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体、両末端または片末端にフルオロアルキ
ル基を有する重合体等のフッ素系重合体の粉末、
などを挙げることができ、これらは、1種単独或いは2種以上を混合して使用することもできる。このような滑剤は、層3bの厚みに応じて、0.5〜40μm程度の粒径で分散されていることが好ましく、特にフッ素系のものが好適である。
尚、成形性を考慮して、上記の透明接着樹脂に各種の添加材が適宜配合された透明接着樹脂層3bを形成する樹脂組成物のメルトフローレート(MFR;JIS K7210;190℃、荷重2.16Kg)は、0.1〜10.0g/10分の範囲にあるのがよい。
また、かかる透明接着樹脂層3bの厚みは、外面層3aや外面層3aとの間に介在するグラデーション層3cの厚みによっても異なるが、一般的には、加飾層3の厚みが前述した範囲内となることを条件として、10乃至500μm程度の範囲であることが好適である。
グラデーション層3c;
図1に示されているように、本発明における加飾層3では、外面層(透明ポリエステル系樹脂層)3aと透明接着樹脂層3bとの間にグラデーション層3cが設けられている。即ち、この容器10の胴部では、その高さ方向に沿ってグラデーション層3cの厚みが漸次変動している。例えば、図1では、上部に行くに従い、グラデーション層3cの厚みが漸次減少し、最終的にはゼロになっている。勿論、この逆に、グラデーション層3cの厚みが、下方に行くにしたがって減少するようにすることも可能であり、この場合、容器の底部には、グラデーション層3cが存在しないこととなる。
即ち、グラデーション層3cによって容器本体1の色が遮断されるが、その厚みの減少に伴い、徐々に容器本体1の色が発現していき、グラデーション層3cの色から容器本体1の色への変化が境界部を存在させることなく現れ、これがグラデーション加飾となるわけである。
従って、かかるグラデーション層3cは、透明ポリエステル系樹脂に着色剤を配合した層である。
用いる着色剤は、容器本体1についても述べたように、それ自体公知の顔料を目的とする模様やデザインに応じて使用すればよいが、この層3cでは、厚みを漸次減少する部分を形成しなければならず、このため、成形性を考慮して着色剤の量は、透明ポリエステル系樹脂当り30重量%以下の範囲するのがよい。この配合量が多いと、グラデーション層3cの厚みを漸次減少させることが困難となったり、或いはグラデーション層3cと外面層3aや透明接着樹脂層3bとの界面に凹凸が形成され、これが外観に反映してグラデーション加飾が損なわれてしまうおそれを生じるからである。
また、本発明において、グラデーション層3cの形成に用いる基材樹脂は、外面層3aとの接着性を考慮して、外面層3aを形成している透明ポリエステル系樹脂と同様の物性を有するものが使用されるが、好適には、外面層3aを形成している透明ポリエステル系樹脂よりも含水率の低い透明ポリエステル系樹脂が使用され、最も好適には、含水率が50〜500ppm、特に100〜300ppmのものが使用される。即ち、先に述べたが、含水率の低い透明ポリエステル系樹脂は、高含水率のものに比して高粘度であり、これにより、共押出に際してのグラデーション層3c形成用のポリエステル系樹脂の流動を効果的に制御することが可能となる。具体的には、この範囲を上回ると、グラデーション層3cが、不必要に長く、外面層3aと透明接着樹脂層3bとの間に浸透してしまい、グラデーション層3cが伸びてしまうあるいは飛び地のような部分ができ外観不良になるおそれがあり、この範囲を下回ると射出前の樹脂乾燥に時間がかかり生産性に劣るおそれがある。
尚、上記のようなグラデーション層3cの厚み変化領域Xにおける厚みの変化の程度は、目的とするグラデーション加飾の程度により、容器本体1の色等によって適宜の範囲で設定されるが、成形上の観点から、容器10の高さ方向1mm当りの厚みの減少量或いは増大量が0.1〜3.0μm程度となるような変化度合としてグラデーション加飾の設計を行うことが望ましい。
また、厚みが変化しない部分での厚み(即ち、最大厚みに相当)は、加飾層3の厚みが前述した範囲内となることを条件として、20乃至500μm程度の範囲とするのがよい。
さらに、このようなグラデーション層3cにおいても、グラデーション加飾に悪影響を与えない限りにおいて、それ自体公知の各種添加材、例えば、熱可塑性エラストマー、他の熱可塑性樹脂、ゴム樹脂、無機フィラー、顔料、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、アンチブロッキング剤などが適宜配合されていてもよい。
<保香性樹脂層5>
本発明においては、容器本体1の内面側には保香性樹脂層5が設けられ、これにより、容器内容物の香りの経時的低下が有効に抑制される。既に述べた通り、オレフィン系樹脂製の容器本体1に、直接容器内容物が接触すると、この容器本体1に内容物中の香気成分がトラップされてしまい、経時的に香りが失われていくことが経験的に知られている。
本発明では、容器本体1の内面側に保香性樹脂層5を設けることにより、内容物に含まれる香気成分の容器本体1内への侵入を有効に遮断し、この結果、内容物の香りの経時的低下を有効に防止し、長期間にわたって、内容物の香りを安定に保持することが可能となる。
このような保香性樹脂層5を形成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂やポリカーボネートが代表的であり、特に成形性などの観点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。
保香性樹脂層5の形成に使用するポリエステル系樹脂は、前述した加飾層3の形成に使用されるものと同様、PET、PBT、PNT等の熱可塑性ポリエステルであってよいが、成形性の点で、コポリエステル単位を含む非晶質ポリエステルが好適であり、特に、グリコール変性ポリエステルが好適である。このグリコール変性ポリエステルは、グリコール成分中の10〜50モル%が変性用のグリコールであり、特にシクロヘキサンジメタノール(CHDM)を全グリコール成分当り10〜50モル%含有するポリエチレンテレフタレートが好適であり、PETGの呼び名で知られている。
このような保香性樹脂層5は、着色されていてもよいし、着色されていなくともよいが、この層は、容器内容物の香りの消失を防止するために設けられるものであり、加飾性とは無関係であるため、基本的には着色剤の配合は不要である。
また、この保香性樹脂層5にも、保香性に影響を与えない限りにおいて、前述した各層と同様、それ自体公知の添加剤が配合されていてよい。
さらに、この保香性樹脂層5は、内容物の香気成分の容器本体1内への移行を遮断し得る程度の厚みを有していればよく、通常、3〜200μm、特に10〜80μm程度の厚みでよい。
また、保香性樹脂層5は、基本的にはオレフィン系樹脂製の容器本体1との接着性が乏しく、このため、保香性樹脂層5と容器本体1の内面との間に接着樹脂層7を介在させることが好ましい。
かかる接着樹脂層7は、前述した加飾層3中に設けられる接着樹脂層3bと同じでよい。即ち、エチレン・α−オレフィン共重合樹脂及びそれらの酸変性樹脂や、オレフィン系樹脂の酸変性樹脂、グリシジル基含有樹脂等が1種単独で、又は2種以上のブレンド樹脂により接着樹脂層7を形成することができる。また、低密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂に、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂等の粘着付与剤をブレンドしたものを用いて接着樹脂層7を形成することもできる。
このような接着樹脂層7も薄層でよく、通常、その厚みは10〜500μm程度である。
上述した本発明のプラスチック容器10は、図1に示す層構造のものに限定されず、その加飾性及び保香性が損なわれない限りにおいて、種々の設計変更が可能である。
例えば、ガスバリア性を高めるために、エチレンビニルアルコール共重合体や芳香族ポリアミド等に代表されるガスバリア性樹脂層や酸化性重合体及び遷移金属触媒などを含む酸素吸収性樹脂層を容器本体1の内部や容器本体1の内面側に設けた多層構造とすることもできる。このようなガスバリア性樹脂層や酸素吸収性樹脂層は、適宜、前述した接着樹脂層を介して積層される。
ガスバリア層を設ける場合には次の層構成が好適である。
(1)外面層3a/グラデーション層3c/透明接着樹脂層3b/着色リプロ層1b/
接着樹脂層/ガスバリア層/接着樹脂層/バージン層1a/接着樹脂層7/保香性
樹脂層5
(2)外面層3a/グラデーション層3c/透明接着樹脂層3b/着色リプロ層1b/
バージン層1a/接着樹脂層/ガスバリア層/接着樹脂層/接着樹脂層7/保香性
樹脂層5
また、容器本体1を形成するオレフィン系樹脂(バージンのオレフィン系樹脂層1aやリプロ層1b)中に光輝性顔料などを配合することもできる。
<容器の製造>
上述した層構造を有する本発明のプラスチック容器は、容器本体1、加飾層3(外面層3a,透明接着樹脂層3b及びグラデーション層3c)、接着樹脂層7及び保香性樹脂層5に対応する樹脂材料等を共押出しして容器用のプリフォームを成形し、これをブロー成形、プラグアシスト成形などの2次成形に供して容器の形態とすることにより製造される。この共押出に際しては、例えばギヤポンプにより押出し量が調節されるが、グラデーション層3cの厚み変化領域Xとなる部分では、グラデーション層3cの樹脂材料の押出し量を漸次絞っていき、これに対応して容器本体1(特に着色リプロ層1b)の樹脂材料の押出し量を漸次増大するが、他の層(例えばバージン層1a,外面層3a,透明接着樹脂層3b、接着樹脂層7及び保香性樹脂層5)についての押出し量はそのままとし、これにより、グラデーション層3cの厚み変化領域Xが形成されることとなる。この場合、グラデーション層3cの基材樹脂として、外面層3aの基材樹脂よりも含水率の低いもの(特に含水率が50〜500ppmの透明ポリエステル系樹脂)を使用することにより、精度よく、グラデーション層3cの厚み変化領域Xが形成されることとなる。
また、容器への成形においては、容器外面を規定する成形型(例えばブロー型)の表面粗さRaを0.2〜0.8μm程度に設定しておくことが、容器の外面層3aの表面を前述した平滑面とし、容器に優れた光沢性を発現させる上で好適である。
尚、外面層3a、グラデーション層3c及び保香性樹脂層5形成用の樹脂材料は、一般に、溶融成形前のペレットの状態で50〜80℃程度の加熱で乾燥し、所定の含水率に調整される。
また、本発明は、容器本体1を形成するオレフィン系樹脂の特性を活かすという観点から、特にダイレクトブローボトルに適用することが好ましい。即ち、このボトルは、上述した共押出によりパイプ形状のプリフォーム(パリソン)を成形し、このプリフォームのボトルの底部となる部分をピンチオフして閉塞し、次いで圧縮エア等をプリフォーム内に吹き込むことにより成形される。
本発明のプラスチック容器は、優れたグラデーション加飾が施され、極めて商品価値が高く、しかも保香性に優れているため、シャンプーやリンス、或いはコーヒーなどの香りが重要な食品類や、各種の香料を含む化粧品類など、種々の内容物を充填した容器として使用される。
本発明を次の実験例で説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
(実験1)
図1に示す層構成を有するプラスチック容器を次のようにして製造した。層構成は、外面から順に、(1)外面層3a、(2)グラデーション層3c、(3)透明接着樹脂層3b、(4)着色リプロ層1b、(5)バージン層1a、(6)接着樹脂層7、(7)保香性樹脂層5である。
尚、各層の形成に用いる樹脂用の押出し機を、各層に対応して、それぞれ押出し機3a、3c、3b、1b、1aと呼ぶ。
また、(1)外面層3aと(7)保香性樹脂層5は同じ押出し機を用い、(3)透明接着樹脂層3bと(6)接着樹脂層7とは同じ押出し機を用いた。
まず、各層を形成するための樹脂材料として、以下のものを用いた。
(1)外面層3a形成用樹脂材料;
固有粘度0.7dl/gで含水率750ppmの透明非晶性シクロヘキサンジメ
タノール(CHDM)系共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)
(2)グラデーション層3c形成用樹脂材料;
固有粘度0.7dl/gで含水率250ppmの透明非晶性シクロヘキサンジメ
タノール(CHDM)系共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)にマイ
カ顔料25重量%を配合したもの
(3)透明接着樹脂層3b形成用樹脂材料;
粘着付与剤として石油樹脂が配合されているメルトフローレート(MFR)が
1.5(g/10min)の透明無色の低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)
(4)着色リプロ層1b形成用樹脂材料;
このプラスチック容器を成形する際に発生したスクラップ樹脂70重量%とバー
ジンの高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)30重量%に、光輝顔料であるパール
レッド(平均粒径21μmの雲母系顔料)が、着色リプロ層全体として0.5重量
%濃度となるように添加されたもの。
(5)バージン層1a形成用樹脂材料;
着色剤が配合されていない高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)
尚、外面層3a及びグラデーション層3cの形成用樹脂材料として使用した共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の含水率は、溶融前に乾燥温度70℃で乾燥し、所定の含水率としたものである。この含水率はカールフィッシャー法により測定した。
(6)接着樹脂層7形成用樹脂材料;
粘着付与剤として石油樹脂が配合されているメルトフローレート(MFR)が
1.5(g/10min)の透明無色の低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)
(前述した透明接着樹脂層3b形成用樹脂材料と同じである。)
(7)保香性樹脂層5形成用樹脂材料;
固有粘度0.7dl/gで含水率750ppmの透明非晶性シクロヘキサンジメ
タノール(CHDM)系共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)
(前述した外面層3a形成用樹脂材料と同じである。)
上記の各層形成用樹脂材料を使用し、外面層3a形成用樹脂材料及び保香性樹脂層5形成用樹脂を口径30mmの押出し機3a、グラデーション層3c形成用樹脂材料を口径30mmの押出し機3c、透明接着樹脂層3b形成用樹脂及び接着樹脂層7形成用樹脂を口径40mmの押出し機3b、着色リプロ層1b形成用樹脂材料を口径55mmの押出し機1b、バージン層1a形成用樹脂材料を口径40mmの押出し機1aにそれぞれ充填し、加熱しながら可塑化及び混練して多層ヘッドから押出してチューブ形状の多層パリソンを成形した。
ついで、キャビティーを有する金型でパリソンを挟み、圧縮空気を吹き込んで、ダイレクトブロー成形により、総高さ160mm、外径50mm、側壁高さ110mm、内容量200mlの円筒型中空のプラスチック容器を製造した。
製造にあたり各層の厚みはギヤポンプの押出し量で調節した。また、使用した金型の内表面粗度は、Ra=0.6μmであった。
グラデーション層3cは、底から20mmまでは一定の厚みとし、20mmから80mmにかけて厚みを徐々に減少させ、80mmより上では厚みをゼロとした。グラデーション層3cの作製にあたっては、グラデーション層3cの厚み変化領域Xとなる部分では、グラデーション層3cの樹脂材料の押出し量を漸次絞っていき、これに対応して着色リプロ層1bの樹脂材料の押出し量を漸次増大させ、バージン層1a,外面層3a,透明接着樹脂層3b、接着樹脂層7及び保香性樹脂層5の押出し量は一定とした。
この容器胴部の各層の厚みは、容器胴部の厚みは800μmで一定とし、外面層3a(40μm)、透明接着樹脂層3b(60μm)、バージン層1a(120μm)、接着樹脂層7(60μm)、保香性樹脂層7(40μm)とし、グラデーション層3cは底から20mmまでは150μm、80mmより上部では0μmとし、それに対応して着色リプロ層1bは底から20mmまでは330μm、80mmより上部では480μmとした。グラデーション層3cと着色リプロ層1bの厚み変化領域Xでは、一定の変化率で厚みを変化させた。
得られたプラスチック容器について、次の評価を行い、その結果を容器仕様と共に表1に示した。
(光沢性)
得られたプラスチック容器胴部の外観光沢性を視覚で評価した。次の基準で評価し、結果を表1に示した。
〇:良好
△:部分的に小さい凹凸があるが許容できる
×:全面に大きな凹凸がある
(グラデーション性)
得られたプラスチック容器のグラデーション部を視覚で評価した。次の基準で評価し、結果を表1に示した。
〇:良好
△:グラデーション模様が部分的にやや乱れがあるが許容できる
×:グラデーション模様になっていない
(剥離性)
得られたプラスチック容器の胴部を1回押し戻し(スクイズ)したのち、押し戻し部を視覚で評価した。次の基準で評価し、結果を表1に示した。
〇:良好
×:剥離がある
(保香性)
得られたプラスチック容器にd―リモネン(和光純薬工業株式会社製、一級)を5ml入れ、アルミニウム箔を容器口部天面にヒートシールして密封した。密封した容器を55℃で2週間保管した後アルミニウム箔を開け、パネラー5人が官能検査で臭気を評価し、保香性の評価とした。d―リモネンの臭いを感じない場合は×、d―リモネンの臭いを感じた場合は○にした。プラスチック容器にd―リモネンが吸着した場合には保管後に臭気を感じないため、保香性が悪いと判断した。5人中3人以上が○と判断した場合を保香性○、それ以外を保香性×と評点化した。結果を表1に示した。
(生産性)
プラスチック容器生産時に、外面層とグラデーション層の樹脂ペレットを乾燥させて含水率を所定の値にして押し出したが、両層とも所定含水率になるまでに要した時間を生産性の評価とした。次の基準で評価し、結果を表1に示した。
〇:乾燥時間が10時間未満
△:乾燥時間が10時間以上で20時間未満
×:乾燥時間が20時間以上
(実験2)
外面層1a形成用樹脂材料の含水率を1500ppmにした以外は実験1と同様にしてプラスチック容器を製造し、実験1と同様に評価した。容器仕様と評価結果を表1に示す。
(実験3)
外面層樹脂の含水率を500ppmにした以外は実験1と同様にしてプラスチック容器を製造し、実験1と同様に評価した。容器仕様と評価結果を表1に示す。
(実験4)
グラデーション層樹脂の含水率を500ppmにした以外は実験1と同様にしてプラスチック容器を製造し、実験1と同様に評価した。容器仕様と評価結果を表1に示す。
(実験5)
グラデーション層樹脂の含水率を50ppmにした以外は実験1と同様にしてプラスチック容器を製造し、実験1と同様にして評価した。容器仕様と評価結果を表1に示す。
(参考1)
透明接着樹脂層を設けなかった以外は実験1と同様にしてプラスチック容器を製造し、実験1と同様に評価した。容器仕様と評価結果を表1に示す。剥離性が不良であった。
(参考2)
外面層形成用樹脂材料とグラデーション層形成用樹脂材料として高密度ポリエチレン樹脂を使用し、透明接着樹脂層を設けなかった以外は実験1と同様にしてプラスチック容器を製造し、実験1と同様に評価した。容器仕様と評価結果を表1に示す。
その結果、光沢性が不良であった。また、外面層樹脂とグラデーション層樹脂の乾燥は行わず、含水率の測定はしなかった。
(参考3)
保香性樹脂7及び接着樹脂層7を設けなかった以外は実験1と同様にしてプラスチック容器を製造し、実験1と同様に評価した。容器仕様と評価結果を表1に示す。
保香性が不良であった。
Figure 2015071442
1:容器本体
1a:バージン層
1b:着色リプロ層
3:加飾層
3a:外面層(透明ポリエステル系樹脂層)
3b:透明接着樹脂層
3c:グラデーション層
5:保香性樹脂層
7:接着性樹脂層
10:容器

Claims (6)

  1. オレフィン系樹脂からなり且つ着色された容器本体と、容器本体の外面に積層されている加飾層とから成るプラスチック容器において、
    前記加飾層は、容器の内面側に位置する透明接着樹脂層と、容器の外面側に位置する外面層である透明ポリエステル系樹脂層と、該透明接着樹脂層と透明ポリエステル系樹脂層との間に形成されており且つ容器の高さ方向に沿って厚みが漸次変化していく部分を含むグラデーション層とを有しており、該グラデーション層は、透明ポリエステル系樹脂に着色剤が配合された樹脂組成物から形成されたものであり、
    前記容器胴部における容器本体の厚みは、該容器本体の厚みと前記加飾層の厚みとの合計厚みである容器胴部の厚みが前記グラデーション層の存在によって変化しないように、該グラデーション層の厚み変化に対応して変化していると共に、
    前記容器本体の内面には保香性樹脂層が設けられていることを特徴とするプラスチック容器。
  2. 前記グラデーション層は、前記外面層を形成している透明ポリエステル系樹脂に比して、含水率が低い透明ポリエステル系樹脂を用いて成形されたものである請求項1に記載のプラスチック容器。
  3. 前記外面層は、含水率が500〜1500ppmの透明ポリエステル系樹脂を用いて成形され、前記グラデーション層は、含水率が50〜500ppmの透明ポリエステル系樹脂を用いて成形されたものである請求項1あるいは2のいずれかに記載のプラスチック容器。
  4. 前記容器本体は、バージンのオレフィン系樹脂からなる未着色または着色層と、該容器の成形時に発生したスクラップにオレフィン系樹脂と着色剤とが配合されている着色リプロ層とからなっており、該着色リプロ層の厚みがグラデーション層の厚み変化に対応して変化している請求項1〜3の何れかに記載のプラスチック容器。
  5. 前記保香性樹脂層が、ポリエステル系樹脂により形成されている請求項1〜4の何れかに記載のプラスチック容器。
  6. 前記保香性樹脂層は、接着樹脂層を介して容器本体の内面に設けられている請求項1〜5の何れかに記載のプラスチック容器。
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