JP2015063154A - 電動ブレーキ装置システム - Google Patents
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Abstract
Description
1.遊星ローラねじ機構を使用した電動式直動アクチュエータが提案されている(特許文献1)。
2.ブレーキペダルを踏み込むことで、モータの回転運動を直動機構を介して直線運動に変換して、ブレーキパッドをブレーキディスクに押圧接触させて制動力を負荷する(特許文献2)
3.プロポーショニングバルブによる、制動状態に応じた油圧ブレーキの制動力配分方法が提案されている(特許文献3)。
4.減速度に基づく制動力配分方法が提案されている(特許文献4)。
制動力配分方法を定めた前記3,4の技術では、4輪車両のブレーキの前後配分は、車両の重量や重心等から適切な制動特性となるよう決定される。また理想となる制動力配分は、車両の減速度や、積載の状態等によって変化する。このように車両の状況によって変化する制動力配分とすると、電動モータの電流損失を最小化を図ることが難しい。
電動モータ2と、この電動モータ2の回転運動を直線運動に変換する直動機構4と、この直動機構4に駆動されて車両の車輪にブレーキ荷重を与えるブレーキ部材とを有する電動ブレーキ装置A1,A2を、前記車両に複数設け、
これら複数の電動ブレーキ装置A1,A2の前記ブレーキ荷重と前記電動モータ2の損失との相関を互いに異ならせ、
前記複数の電動ブレーキ装置A1,A2の前記ブレーキ荷重を制御するブレーキ制御装置9を設け、
前記車両の速度を検出する車速検出手段44を設け、
前記ブレーキ制御装置9は、前記車速検出手段44で検出される車速に応じて、前記複数の電動ブレーキ装置A1,A2のブレーキ荷重の配分比率を決定するブレーキ荷重配分比率決定手段38を備え、
このブレーキ荷重配分比率決定手段38は、
車速が閾値より大である通常走行状態における、ブレーキ荷重の総和Fを発揮する際の電動モータ損失Pcに対して、
車速が前記閾値以下となる一定値以下であるみなし停車状態における、ブレーキ荷重の総和Fを発揮する際の電動モータ損失Pc´が、Pc´≦Pcとなるよう、
前記車速検出手段44で検出される車速から判断される前記みなし停車状態における、前記複数の電動ブレーキ装置A1,A2のブレーキ荷重の配分比率を決定することを特徴とする。
前記みなし停車状態は、車速が零のときつまり車両が停車中の状態および車両が極低速領域の状態も含む。
車速が一定値以下(車速数km/h以下)のみなし停車状態、例えば、赤信号にて車両を停車させるような場合、ブレーキ荷重を発揮している時間のうち、大半の時間において車両は停車している。この場合、制動力配分は略任意に決定できるため、電流損失を最小化する制動力配分とすることで、電動ブレーキ装置A1,A2の消費電力を低減することができる。
車速が閾値より大となる通常走行状態では、車両の重量、重心位置、減速度等の車両特性に基づく制動力配分とし、停車中等、車速が一定値以下であるみなし停車状態では、Pc´≦Pcとなるように、複数の電動ブレーキ装置A1,A2のブレーキ荷重の配分比率を決定する。このように電流損失の最小化と制動力配分の最適化を両立させることができる。前記閾値は、実車試験等により、例えば車速数十km/h以上に定められる。
前記ブレーキ荷重配分比率決定手段38は、
前記みなし停車状態における第1の電動ブレーキ装置群のブレーキ荷重F1および第2の電動ブレーキ装置群のブレーキ荷重F2の配分比率について、F1:F2=α2:α1となるように決定しても良い。
前記F1+F2=総ブレーキ荷重Fである。
この場合、みなし停車状態で、ブレーキ荷重F1およびブレーキ荷重F2は、電動ブレーキ装置A1,A2の電流損失が最小となる比率に変更される。つまりF1:F2=α2:α1のとき、総ブレーキ荷重Fを維持する際の電流損失が最小となる。
このブレーキ荷重配分比率決定手段は、車速が閾値より大である通常走行状態における、ブレーキ荷重の総和Fを発揮する際の電動モータ損失Pcに対して、車速が前記閾値以下となる一定値以下であるみなし停車状態における、ブレーキ荷重の総和Fを発揮する際の電動モータ損失Pc´が、Pc´≦Pcとなるよう、前記車速検出手段で検出される車速から判断される前記みなし停車状態における、前記複数の電動ブレーキ装置のブレーキ荷重の配分比率を決定する。このため、電流損失の最小化と制動力配分の最適化を両立させることができる。
各電動ブレーキ装置A1,A2は、ハウジング1と、電動モータ2と、この電動モータ2の回転を減速する減速機構3と、直動機構4と、ロック機構5と、ブレーキロータ6と、ブレーキパッド(ブレーキ部材)7とを有する。ハウジング1の開口端に、径方向外方に延びるベースプレート8が設けられ、このベースプレート8に電動モータ2が支持されている。ハウジング1内には、電動モータ2の出力によりブレーキロータ6、この例ではディスクロータ6に対して制動力を負荷する直動機構4が組み込まれている。ハウジング1の開口端およびベースプレート8の外側面は、カバー10によって覆われている。
直動機構4は、減速機構3で出力される回転運動を直線運動に変換して、ブレーキロータ6に対してブレーキパッド7を当接離隔させる機構である。この直動機構4は、スライド部材11と、軸受部材12と、環状のスラスト板13と、スラスト軸受14と、転がり軸受15,15と、回転軸16と、キャリア17と、すべり軸受18,19とを有する。ハウジング1の内周面に、円筒状のスライド部材11が、回り止めされ且つ軸方向に移動自在に支持されている。スライド部材11の内周面には、径方向内方に所定距離突出して螺旋状に形成された螺旋突起11aが設けられている。この螺旋突起11aに、後述する複数の遊星ローラ20が噛合している。
キャリア17のインナ側ディスク17bと、遊星ローラ20の軸方向一端部との間には、ワッシャおよびスラスト軸受(いずれも図示せず)が介在されている。ハウジング1内において、インナ側ディスク17bと軸受部材12との間には、環状のスラスト板13およびスラスト軸受14が設けられている。
図2に示すように、減速機構3は、電動モータ2の回転を、回転軸16に固定された出力ギヤ23に減速して伝える機構であり、複数のギヤ列を含む。この例では、減速機構3は、電動モータ2のロータ軸2aに取付けられた入力ギヤ24の回転を、ギヤ列25,26,27により順次減速して、回転軸16の端部に固定された出力ギヤ23に伝達可能としている。
ロック機構5は、直動機構4の制動力弛み動作を阻止するロック状態と許容するアンロック状態とにわたって切換え可能に構成されている。前記減速機構3に、ロック機構5が設けられている。ロック機構5は、ケーシング(図示せず)と、ロックピン29と、このロックピン29をアンロック状態に付勢する付勢手段(図示せず)と、ロックピン29を切換え駆動するアクチュエータであるリニアソレノイド30とを有する。前記ケーシングは、ベースプレート8に支持され、このベースプレート8には、ロックピン29の進退を許すピン孔が形成されている。
(1)みなし停車状態である。
(2)車両を加速させる指令入力が検知されたとき、または、加速度センサ40等で車両を加速させる前後加速度が検出されたとき。
前記通常の配分比率とは、車両の重量、重心位置、減速度等の車両特性に基づく制動力配分比率とする。この配分比率は、実車試験やシミュレーション等により適宜に定められる。例えば、通常の走行中は、複数の電動ブレーキ装置A1,A2のブレーキ荷重の配分比率を、前記のような車両特性に基づく制動力配分比率とする。
図6は、電動ブレーキ装置システムのブレーキ比率と電流損失との相関を示す図である。同図は、総ブレーキ荷重Fが一定のときにおける、ブレーキ荷重F1とブレーキ荷重F2の配分比率と電流損失との相関を示す。同図によると、F1:F2=α2:α1のとき、総ブレーキ荷重Fを維持する際の電流損失が最小となる。
Pc:車速が閾値より大における、ブレーキ荷重の総和Fを発揮するときの電動モータの電流損失。
Pc´:車速が一定値以下であるみなし停車状態における、ブレーキ荷重の総和Fを発揮するときの電動モータの電流損失。
例えば、赤信号にて車両を停車させるような場合、ブレーキ荷重を発揮している時間のうち、大半の時間において車両は停車している。この場合、制動力配分は略任意に決定できるため、電流損失を最小化する制動力配分とすることで、電動ブレーキ装置A1,A2の消費電力を低減することができる。
例えば、通常の走行中は、車両の重量、重心位置、減速度等の車両特性に基づく制動力配分とすることで、制動距離の短縮を図り、制動時の車両の安定性を高めることができる。
このように電流損失の最小化と制動力配分の最適化を両立させることができる。
前記各実施形態では、電動ブレーキ装置をディスクブレーキに適用しているが、ディスクブレーキのみに限定されるものではない。電動ブレーキ装置をドラムブレーキに適用しても良い。
4…直動機構
7…ブレーキパッド(ブレーキ部材)
9…ブレーキ制御装置
38…ブレーキ荷重配分比率決定手段
38a…判定手段
38b…通常時配分比率変更手段
38c…みなし停止状態配分比率変更手段
40…加速度センサ
43…後輪(車輪)
44…車速検出手段
44a…車輪速センサ
45…前輪(車輪)
A1,A2…第1,第2の電動ブレーキ装置
Claims (6)
- 電動モータと、この電動モータの回転運動を直線運動に変換する直動機構と、この直動機構に駆動されて車両の車輪にブレーキ荷重を与えるブレーキ部材とを有する電動ブレーキ装置を、前記車両に複数設け、
これら複数の電動ブレーキ装置の前記ブレーキ荷重と前記電動モータの損失との相関を互いに異ならせ、
前記複数の電動ブレーキ装置の前記ブレーキ荷重を制御するブレーキ制御装置を設け、
前記車両の速度を検出する車速検出手段を設け、
前記ブレーキ制御装置は、前記車速検出手段で検出される車速に応じて、前記複数の電動ブレーキ装置のブレーキ荷重の配分比率を決定するブレーキ荷重配分比率決定手段を備え、
このブレーキ荷重配分比率決定手段は、
車速が閾値より大である通常走行状態における、ブレーキ荷重の総和Fを発揮する際の電動モータ損失Pcに対して、
車速が前記閾値以下となる一定値以下であるみなし停車状態における、ブレーキ荷重の総和Fを発揮する際の電動モータ損失Pc´が、Pc´≦Pcとなるよう、
前記車速検出手段で検出される車速から判断される前記みなし停車状態における、前記複数の電動ブレーキ装置のブレーキ荷重の配分比率を決定することを特徴とする電動ブレーキ装置システム。 - 請求項1記載の電動ブレーキ装置システムにおいて、前記複数の電動ブレーキ装置が、前記ブレーキ荷重Fを静的に維持するときの電流損失について、損失係数α1およびブレーキ荷重Fの二乗F2に比例する一つ以上の第1の電動ブレーキ装置群と、損失係数α2およびブレーキ荷重Fの二乗F2に比例する一つ以上の第2の電動ブレーキ装置群とを備え、
前記ブレーキ荷重配分比率決定手段は、
前記みなし停車状態における第1の電動ブレーキ装置群のブレーキ荷重F1および第2の電動ブレーキ装置群のブレーキ荷重F2の配分比率について、F1:F2=α2:α1となるように決定する電動ブレーキ装置システム。 - 請求項2記載の電動ブレーキ装置システムにおいて、前記第1の電動ブレーキ装置群の損失係数α1、第2の電動ブレーキ装置群の損失係数α2について、α2<α1であり、前記第1の電動ブレーキ装置群が前輪に配置され、第2の電動ブレーキ装置群が後輪に配置される電動ブレーキ装置システム。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電動ブレーキ装置システムにおいて、前記車両が前記車輪1回転あたり定められたパルス信号を発生する車輪速センサを備え、前記ブレーキ荷重配分比率決定手段は、前記車輪速センサによるパルス信号が一定時間以上発生しないとき、前記みなし停車状態と判定する判定手段を有する電動ブレーキ装置システム。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電動ブレーキ装置システムにおいて、前記車両が前後加速度を検出する加速度センサを備え、前記ブレーキ荷重配分比率決定手段は、前記加速度センサによる前後加速度を発生しない車速から、前後加速度の積算値を減算した値が定められた値以下となったとき、前記みなし停車状態と判定する判定手段を有する電動ブレーキ装置システム。
- 請求項5記載の電動ブレーキ装置システムにおいて、前記みなし停車状態で、前記車両を加速させる指令入力が検知されたとき、または、前記車両を加速させる前後加速度が検出されたとき、前記ブレーキ荷重配分比率決定手段は、前記複数の電動ブレーキ装置のブレーキ荷重の配分比率を、通常の配分比率に変更する通常時配分比率変更手段を有する電動ブレーキ装置システム。
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