JP2015061327A - モータ - Google Patents

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Yasunari Oguri
康徳 小栗
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Abstract

【課題】本明細書は、磁束の経路に大きな影響を与えずにロータの回転バランスを向上させるモータを提供する。【解決手段】本明細書が開示するモータ2は、ロータコア5と、ロータコア5に埋設されている複数の磁石6を備える。ロータコア5には、磁石6よりもロータコア半径方向の内側に形成された三角孔7が形成されている。さらに、三角孔7の内側に、軸線CLに沿って伸びるロータ回転バランス調整用の凸条8が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、ロータコアに永久磁石が埋め込まれたモータ(電動機)に関する。ロータコアに磁石が埋め込まれたモータは、IPM(Interior Permanent Magnet)モータと呼ばれる。なお、本明細書では、「IPMモータ」を単に「モータ」と称し、「永久磁石」を単に「磁石」と称する。
モータのロータの回転バランスを向上させる技術が特許文献1乃至3に例示されている。特許文献1が開示する技術は、ロータコアの軸線方向の端部であって軸線方向に見たときに磁石よりもロータコア半径方向の外側に、ロータ回転バランス調整用の孔を設ける。特許文献2が開示する技術は、ロータのエンドプレートに回転バランス調整用の突起を設ける。特許文献3の技術も、ロータコアの回転のアンバランスを相殺するように、エンドプレートの形状を軸線の周方向に非一様に形成する。
他方、特許文献1乃至3の技術とは別に、ロータコアを通過する磁束の経路を制御する目的でロータコアに軸線方向に伸びる空洞を設ける技術が知られている。例えば、特許文献4が開示する技術は、ロータの漏れ磁束を低減するためにロータコアに軸線方向に伸びる空洞を設ける。具体的には、軸線方向からみたときに周方向に隣接する磁石の間で磁石よりもロータコア半径方向の内側に空洞を設ける。空気はロータコアよりも透磁率が低いため、磁束(磁力線)は、空洞を避けるようにロータコアの内部を通過する。周方向に隣接する磁石の間に空洞を設けることによって、磁石の半径方向内側から外側に漏れる磁束を低減する。
特開2008−178233号公報 特開2012−165534号公報 特開2010−233450号公報 特開2013−102605号公報
特許文献4に例示されているように、ロータコアに孔あるいは空洞を設けると磁束の経路が影響を受ける。磁束の経路が変化するとモータの性能に影響を与える。ロータの回転バランスに応じてロータコアに孔を設けたり、エンドプレートに突起を設けたりすると、孔や突起を設ける場所によっては、磁束の経路が個々のモータでばらついてしまう虞がある。本明細書は、磁束の経路に大きな影響を与えずにロータの回転バランスを向上させる技術を提供する。
本明細書が開示するモータは、ロータコアに永久磁石が挿通されているモータであって、以下の特徴を有する。ロータコアに、磁石よりもロータコア半径方向の内側に孔が設けられているとともに、その孔の内側にロータ回転バランス調整用の突起が設けられている。
ロータの回転バランスを調整するには、回転バランスを確認しながら、突起の先端を削り、その部分の慣性モーメントを小さくする。そのような工程を繰り返し、回転バランスを向上させる。なお、ロータコアの半径方向で磁石よりも内側の孔は、好ましくは、ロータコアを貫通する貫通孔であり、突起は、その貫通孔内をロータ軸線に沿って伸びている凸条である。貫通孔は、ロータコアを軽くするいわゆる肉抜き用の孔であってもよいし、磁束の経路を調整するために設けられるものであってもよい。
もともと磁束は空気で満たされている貫通孔内部の空間は通らない。貫通孔内部に設けられた突起を削っても、磁束が通らない空間(即ち貫通孔)の形状は大きくは変化しないので、突起を削ったことによる磁束の経路の変化は小さい。即ち、突起を削っても磁束の経路に大きな影響を与えることがない。
本明細書が開示するモータは、磁束の経路に大きな影響を与えることなくロータの回転バランスを向上させることができる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
図1(A)は、実施例のモータ(ロータ)の縦断面図である。図2(B)は、図1(A)におけるB−B断面図である。 図2(A)は、図1(A)とは異なる切断面におけるモータ(ロータ)の縦断面図である。図2(B)は、図2(A)におけるB−B断面図である。 図1の破線領域IIIの拡大図である。
図面を参照して実施例のモータの構造を説明する。図1(A)は、モータ2の縦断面図(ロータの軸線CLを含む断面図)である。図1(B)は、図1(A)におけるB−B線に沿った断面図である。図2(A)は、図1(A)とは異なる切断面における縦断面図である。図2(B)は、図2(A)におけるB−B線に沿った断面図である。図1と図2は、ロータコア5に埋設された磁石6と磁石6の近傍に設けられた三角孔7の関係を理解し易くする目的で提示する。図1(A)の断面では磁石6が表れないが、図2(A)では、磁石6と三角孔7の双方が表れている。なお、図面では、モータ2のロータ3のみを示しており、ステータやケースの図示は省略している。モータ2は、ロータコア5に複数の磁石6(永久磁石)が挿通されたIPMモータである。
ロータ3の構造について説明する。ロータ3は、シャフト4とロータコア5と複数の磁石(永久磁石)6で構成される。ロータコア5は、円筒形状であり、軸線CLの方向に中央貫通孔5cを有する。中央貫通孔5cにシャフト4が挿通される。中央貫通孔5cの内側の対向する2箇所には軸線CL方向に伸びる凸条5aが設けられている。一方、シャフト4の周面には、2本の凸条5aの夫々と嵌合する溝4aが設けられている。シャフト4がロータコア5に挿通されると、凸条5aと溝4aが嵌合し、シャフト4とロータコア5の軸線回りの相対的位置が定まる。相互に嵌合する凸条5aと溝4aは、いわゆるキー構造に相当する。
ロータコア5は、軸線CL方向の両端がナット22a、22bにより締め付けられてシャフト4に固定されている。シャフト4は、軸線CL方向に伸びており、その両端が軸受21を介してモータのケース(不図示)に支持されている。符号23は、ロータ3の回転数を計測するレゾルバを示している。
ロータコア5は、円板状の複数の電磁鋼板15を積層して作られている。各電磁鋼板15は、絶縁被膜されており、隣接する電磁鋼板とは絶縁されている。ロータコア5が相互に絶縁された電磁鋼板の積層体で作られていることにより、磁力が通過するときに発生する渦電流が大きくならないようになっている。
ロータコア5には、軸線CLに沿って複数の磁石6が埋設されている。磁石6よりもロータコアの半径方向の内側に軸線CLに沿って三角孔7が設けられている。三角孔7は、ロータコア5を貫通している。三角孔7の内側には軸線CLに沿って伸びる凸条8(突起)が設けられている。
図3に、図1の破線IIIが示す範囲の拡大図を示す。複数の磁石は2個一対で一つの磁極を構成する、符号6aが一つの一対の磁石を示しており、符号6bは他の一対の磁石を示している。一対の磁石6a(6b)は、その長手方向が軸線CLに平行となるようにロータコア5に埋設されているとともに、ロータコア5の半径方向に山型となるように埋設されている。別言すれば、一対の磁石6a(6b)は、ロータコア5の中心CLから遠い側で両者の間隔が狭く、中心CLに近い側で両者の間隔が広くなるようにロータコア5に埋設されている。軸線CLの方向(図3のZ軸方向)からみたときに、山型に配置された一対の磁石6a(6b)の内側に三角孔7a(7b)が設けられている。別言すれば、三角孔7a(7b)は、磁石6よりもロータコア5の半径方向の内側(中心CL寄り)に設けられている。ロータコア5を貫通する三角孔7(7a、7b)は、ロータコア5を軽量化するためのいわゆる肉抜き孔である。
各三角孔7(7a、7b)の内部に、軸線CLと平行に伸びる凸条8(突起)が設けられている。この凸条8は、その先端を削ることで、ロータコア5の軸線CL周りの慣性モーメントを調整するために設けられている。即ち、凸条8は、ロータ3の回転バランスを調整するために設けられている。具体的には、ロータ3の慣性モーメントが大きい部位においては凸条8の先端を削って慣性モーメントを下げる。実際には、ロータ3を回転させてバランスを測定し、慣性モーメントが大きい部位を特定する。特定された部位に最も近い凸条8の先端を切削する。再びロータ3を回転させて回転バランスを測定する。回転バランスが予め定められた閾値以下となるまで、上記の工程を繰り返す。
実施例のモータ2の特徴をまとめると次の通りである。実施例のモータ2は、ロータコア5に軸線方向に沿って伸びる磁石6が埋設されており、磁石6よりもロータコア5の半径方向の内側にロータコア5を貫通する三角孔7が軸線CLに沿って設けられている。三角孔7の内側(内壁)には、軸線CLに沿って伸びる凸条8(突起)が設けられている。三角孔7はロータコア5を軽量化するために設けられている。凸条8は、ロータ3の回転バランスを調整するために設けられている。適宜に凸条8の先端を切削し、ロータ3の回転バランスを調整する。
三角孔7の内側に設けられた凸条8で回転バランスを調整することの利点を説明する。空気の透磁率は電磁鋼板15の透磁率よりも低く、三角孔7の内部は磁束がほとんど通らない。三角孔7の内部の凸条8の先端を切削しても、もともと磁束が通らない空間がわずかに拡がるだけであるから、ロータコア全体での磁束の変化は小さい。回転バランス調整のため、個々のモータで異なる位置で凸条8を切削しても、磁束の経路の変化は小さい。実施例もモータは、磁束の経路に大きな影響を与えずにロータの回転バランスを調整することができる。
実施例で説明したモータについての留意点を述べる。実施例のモータでは、ロータコア5は円盤状の電磁鋼板を積層したものであった。ロータコアは、そのようなタイプでなくともよく、例えば、絶縁被膜された磁性粉体と樹脂粉末を合わせて焼成したものであってもよい。
本明細書が開示する技術は、ロータコア自体に回転バランスを調整する凸条(突起)が設けられているため、エンドプレートを有しないモータに特に好適である。
実施例のモータ2では、一対の磁石6a(6b)が軸線CLの方向からみて山型となるように配置された。本明細書が開示する技術は、磁石が他の態様でロータコアに埋設されていてもよい。本明細書が開示する技術は、磁石よりもロータコアの半径方向内側に、内部に凸条を有する孔(三角孔7)を設ければよい。
回転バランス調整用の凸条を設ける孔(三角孔7)は、実施例では断面が三角である。回転バランス調整用の凸条を設ける孔の形状は三角形に限られない。また、三角孔7は、ロータコアを軽量化するためのいわゆる肉抜き孔である。突起(凸条)を設ける孔には別の機能があってもよい。例えば、特許文献4に開示されているように、突起(凸条)を設ける孔は、磁束の特定の経路を定めるために設けられるものであってもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:モータ
3:ロータ
4:シャフト
4a:溝
5:ロータコア
5a:凸条
5c:中央貫通孔
6(6a、6b):磁石
7(7a、7b):三角孔
8:凸条
15:電磁鋼板
21:軸受
22a、22b:ナット
23:レゾルバ
CL:軸線

Claims (1)

  1. ロータコアと、ロータコアの軸線方向に沿って前記ロータコアに挿通されている磁石と、を備えており、
    前記ロータコアに、磁石よりもロータコア半径方向の内側に孔が設けられているとともに、前記孔の内側にロータ回転バランス調整用の突起が設けられていることを特徴とするモータ。
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