JP2015057080A - 体内組織焼灼システム - Google Patents
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Abstract
【課題】体内組織を効率良く焼灼し得る体内組織焼灼システムを提供する。
【解決手段】体内組織焼灼システム10は、長尺状の部材であって、先端側に予め形状付けられた形状に変形する変形部122と体内組織を焼灼するための焼灼部120とを有する本体部11と、本体部の基端側全周を被覆する非導電性部材からなる被覆部14と、本体部に接続され焼灼部にエネルギーを供給するための電源部15と、を有し、変形部は変形することにより体内組織をかき集め、焼灼部は該かき集められた体内組織を焼灼する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】体内組織焼灼システム10は、長尺状の部材であって、先端側に予め形状付けられた形状に変形する変形部122と体内組織を焼灼するための焼灼部120とを有する本体部11と、本体部の基端側全周を被覆する非導電性部材からなる被覆部14と、本体部に接続され焼灼部にエネルギーを供給するための電源部15と、を有し、変形部は変形することにより体内組織をかき集め、焼灼部は該かき集められた体内組織を焼灼する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、体内組織に生じた病変部を焼灼する体内組織焼灼システムに関する。
体内組織に生じた病変部が正常部へと伝搬する肺気腫等の疾患に対する処置として、病変部を焼く焼灼がある。例えば特許文献1のように、気腫化して膨らんだ肺実質を、ワイヤ形状を有するインプラントによって圧縮することによって一時的に肺の機能を回復させたとしても、いずれ病変部が伝搬して正常部が膨らむため、焼灼によって病変部を壊死させることが有効である。
しかしながら、病変部が広がっていると広範囲に体内組織を焼灼しなければならず、そのため、施術時間が長くなるとともに患者及び術者への負担増加を招く。特に肺気腫の場合、肺実質が気腫化して膨らんでいるため病変部が広がっており、その結果、施術時間が長くなり易く、また患者及び施術者への負担増加を招き易い。
また、高温の凝縮性蒸気では副側気道の存在等により正常部を損傷することのリスクが大きいことから選択的に対象部位を焼灼する必要がある。
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、体内組織を効率良く焼灼し得る体内組織焼灼システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための体内組織焼灼システムは、長尺状の部材であって、先端側に予め形状付けられた形状に変形する変形部と体内組織を焼灼するための焼灼部とを有する本体部と、本体部の基端側全周を被覆する非導電性部材からなる被覆部と、本体部に接続され焼灼部にエネルギーを供給するための電源部と、を有し、変形部は変形することにより体内組織をかき集め、焼灼部は該かき集められた体内組織を焼灼する、ことを特徴とする。
上記のように構成した体内組織焼灼システムによれば、体内組織がかき集められて焼灼されることによって体内組織の広い範囲が一度に焼灼されるため、体内組織を効率良く焼灼できる。
また、前記変形部が形状記憶合金から形成されるようにすれば、予め形状付けられた形状に復元しようとする形状記憶合金の性質によって変形部が変形するため、変形部を変形させるためにモータ等の機械要素を設けなくてもよい。よって装置の小型化を図り得る。
また、前記焼灼部がコイル状の金属部材からなり、前記本体部の先端に固着されているようにすれば、焼灼部が本体部の先端にともなわれて体内の所望の箇所へ配置されるとともに電源部からのエネルギーを受けて発熱する。従って体内の所望の箇所を良好に焼灼できる。
また、前記焼灼部が前記変形部上を被覆しているようにすれば、焼灼部が変形部の形状に変形するため、体内組織を変形部の形状に合わせて焼灼し易い。
また、前記本体部が先端側線材と先端側線材よりも剛性の高い基端側線材とを有し、前記先端側線材を分離するための分離手段を有するようにすれば、基端側線材が先端側線材と分離され、そして体内から回収されることによって、剛性の高い基端側線材が体内に残らないため、患者への負担を軽減できる。
また、前記電源部から前記焼灼部にエネルギーを供給し、前記焼灼部が加熱されることで前記変形部が変形するようにすれば、変形部を変形させるために加熱する構成を焼灼部と別に設ける必要がなく、よって装置構成を簡単にできる。
また、前記変形部は前記焼灼部の基端側に配置されているようにすれば、変形部の変形が焼灼部によって阻害され難く、そのため変形部が予め形状付けられた形状に変形し易い。
また、前記体内組織焼灼システムは更に長尺状の変形部矯正部材を有し、前記変形部は該変形部矯正部材から押し出されることにより、変形を開始するようにすれば、変形部を変形させるために電気等を使用する必要がなく、従って簡単な構成によって変形部を変形させることができる。
また、前記変形部矯正部材は加熱部と、該加熱部と前記電源部とを通電する通電部材とを有し、前記変形部は前記加熱部が加熱した状態で前記変形部矯正部材内に引きこまれることにより直線状になるようにすれば、変形部のくせが除去されるため、本体部を円滑に変形部矯正部材内に引き込める。
また、前記体内組織焼灼システムは、肺の気腫化した領域の体積を減少させ、さらに焼灼するようにすれば、肺の気腫化した領域における広い範囲が一度に焼灼されるため、肺の気腫化した領域を効率良く焼灼できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
図1において概説すると、第1実施形態の体内組織焼灼システム10は、長尺状の本体部11と、本体部11の基端側全周を被覆する被覆部14と、本体部11に電気的に接続した電源部15と、を有する。本体部11は、軸方向に並び且つ互いに連結した先端側線材12及び基端側線材13を有する。
図1において概説すると、第1実施形態の体内組織焼灼システム10は、長尺状の本体部11と、本体部11の基端側全周を被覆する被覆部14と、本体部11に電気的に接続した電源部15と、を有する。本体部11は、軸方向に並び且つ互いに連結した先端側線材12及び基端側線材13を有する。
先端側線材12は、可撓性を有する線材121と、線材121に配置された焼灼部120と、を有する。線材121は、予め形状付けられた形状に変形可能な変形部122を備える。変形部122は、例えば、線材121をNi−Ti系2元合金、Ni−Ti−Cu系3元合金、Ni−Zn−Al系3元合金等の形状記憶合金によって形成するとともに、線材121の一部に所定の形状を記憶させることによって形成される。本実施形態において、この所定の形状とは、渦巻き状に巻回された形状である。
変形部122は、外力及び熱が作用していない状態では、略直線形状又は緩やかに湾曲した形状を有しており、加熱されたとき、形状記憶合金が記憶した形状に復元しようとする性質によって、渦巻き状に巻回された形状に変形する。
焼灼部120は、コイル状の金属部材からなる。焼灼部120を形成する材料は、例えばニッケルクロム、鉄クロムである。焼灼部120は、ジュール熱によって体内組織を焼灼し得る。焼灼部120は、変形部122に配置されている。焼灼部120は、変形部122のまわりに螺旋状に巻回されて変形部122上を被覆している。焼灼部120の両端は、それぞれ線材121に接合されている。焼灼部120の端部と線材121との接合は、例えば溶接である。焼灼部120及び線材121はそれぞれX線造影性を有することが好ましい。
基端側線材13は、先端側線材12を分離する分離手段130と、分離手段130の操作に用いられる操作部131と、を有する。基端側線材13の剛性は、先端側線材12の剛性より高い。分離手段130は、基端側線材13の先端に設けられた開閉可能な把持部材である。分離手段130は、閉じて線材121の基端を把持することによって、先端側線材12と基端側線材13とを連結する。線材121の基端は球形状を有する。また、分離手段130は、開いて線材121の基端を放すことによって、先端側線材12と基端側線材13とを分離する。
操作部131は、径方向に突出したハンドル132と、軸方向に進退可能に設けられたプランジャ133と、を有する。術者がハンドル132に軸まわりのトルクを加えると、トルクは分離手段130及び先端側線材12へ伝わる。また、術者がプランジャ133を押し引きすると、これに連動して分離手段130が開閉する。プランジャ133と分離手段130とは、基端側線材13の内部に設けられたワイヤによって連結されている。
被覆部14は、焼灼部120の基端から操作部131まで伸びるとともに本体部11の全周を被覆する。被覆部14は、絶縁性を有する。また、被覆部14は、可撓性を有する。被覆部14は、本体部11に合わせて曲がる又は撓む。また、分離手段130が開いたとき、分離手段130と被覆部14とが接する可能性があるが、被覆部14が柔軟に変形するため、分離手段130の開閉動作が妨げられない。
被覆部14を形成する材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレフィンエラストマー、メタロセン触媒を用いた共重合体ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PVDC、PVDFなどのビニル系ポリマー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラストマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、SEBS樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン−コポリ−ビニルアルコール、エチレンビニルアセテーテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテート、ビニルポリスルホン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の各種熱可塑性樹脂やその高分子誘導体のほか、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化又は架橋性樹脂が挙げられる。更に、上記の熱可塑性樹脂及び熱硬化・架橋性樹脂のうちいずれかを含むポリマーアロイも利用可能であり、成形材料として溶媒に樹脂を溶解した樹脂溶液を用いても良い。
電源部15は、先端側線材12及び基端側線材13に電気的に接続している。電源部15は、基端側線材13及び線材121を介して焼灼部120と電気的に接続している。電源部15から供給される電気エネルギーが、基端側線材13及び線材121を通り焼灼部120に達することによって、焼灼部120が発熱する。
次に、肺気腫によって病変した肺実質を焼灼する場合を例に挙げて、本実施形態の体内組織の焼灼方法について述べる。
概説すると、本実施形態の体内組織の焼灼方法は、変形部122及び焼灼部120を体内に挿入する挿入工程と、挿入工程後、体内組織をかき集めるとともに焼灼する焼灼工程と、を有する。また、本実施形態の体内組織の焼灼方法は、焼灼工程後、先端側線材12と基端側線材13とを分離する分離工程を有する。
図2に示すように、挿入工程において、術者は、口又は鼻等の開口部から気道2(体内組織)を通じ、気腫化して膨らんだ肺実質1(体内組織)の内腔へ変形部122及び焼灼部120を挿入する。気道2は、気管、主気管支、葉気管支、気管支、細気管支、及び終末細気管支を含む。肺実質1は、呼吸細気管支、肺胞、肺胞道、及び肺胞嚢を含む。
術者は、気腫化して膨らんだ肺実質1を予備検査等によって予め特定しておき、そしてX線透視下で視認可能な変形部122及び焼灼部120の位置を確認しつつ目的とする肺実質1へとこれらを進める。術者は、本体部11を被覆部14ととともにガイドワイヤのように操作しつつ進める。
図3、図4に示すように、焼灼工程では、変形部122が変形しつつ肺実質1をかき集めるとともに、かき集められる肺実質1を焼灼部120が焼灼する。焼灼工程において、術者は、電源部15から焼灼部120へ電気エネルギーを供給する。焼灼部120は、電源部15からのエネルギーを受けて発熱する。焼灼部120は、肺実質1に接触し、そしてこれに熱を加えることによって焼灼する。
変形部122は、焼灼部120の発熱によって変形を開始する。変形部122は、気道2とともに肺実質1全体を巻き込むように変形しつつ気道2及び肺実質1をかき集める。変形部122が変形することによって、気腫化して膨らんでいた肺実質1は圧縮され、その結果、体積が減少する。また、変形部122が変形することによって、気道2が押し潰されて閉塞する。
焼灼部120は、体積の減少した肺実質1を焼灼する。肺実質1の体積が減少しているため、肺実質1内の焼灼部120から肺実質1の全体へと熱が伝わり易い。また焼灼部120は、肺実質1の内部から気道2へと引き出され、そして気道2とともに肺実質1を巻き込むように変形しているため、肺実質1の外からも肺実質1へと熱が伝わる。従って、焼灼部120は肺実質1を効率的に焼灼できる。また、肺実質1から気道2へと引き出されている焼灼部120は、肺実質1のまわりで変形部122によって変形させられている気道2も焼灼する。その結果、肺実質1のまわりで変形している気道2は、変形した状態で凝固壊死する。病変部が壊死するのに十分な熱量が焼灼部120から肺実質1へ供給された後、術者は電源部15から焼灼部120へのエネルギーの供給を停止する。
図5に示すように、分離工程では、術者は分離手段130を開いて先端側線材12と基端側線材13とを分離する。術者は、分離した基端側線材13を被覆部14とともに体内から抜去する。一方、先端側線材12は変形した状態のまま肺の内部に留置される。
本実施形態の作用効果を述べる。
本実施形態と異なり、気腫化した肺実質1がかき集められることなく焼灼される場合、術者は、電熱線等の発熱体を、図2のように膨らんで広がった肺実質1の内腔に挿入し、そして発熱体を動かしながら広範囲に肺実質1を焼灼しなければならない。
しかし本実施形態の体内組織焼灼システム10及び体内組織の焼灼方法によれば、肺実質1がかき集められて焼灼されることによって、肺実質1の広い範囲が一度に焼灼されるため、肺実質1を効率良く焼灼できる。
また、本実施形態と異なり高温の凝縮性蒸気によって肺実質1を焼灼しようとすると、副側気道を通じて高温の蒸気が正常な肺実質へと流入する虞があるため、正常な肺実質が損傷するリスクが大きい。これに対し、本実施形態では焼灼部120が発熱することによって肺実質1を焼灼するため、高温の蒸気が副側気道を通じて正常な肺実質へ流入しない。従って対象部位を選択的に焼灼でき、そのため高温の凝縮性蒸気によって焼灼する場合に比べ正常な肺実質が損傷するリスクを抑えられる。
また、気腫化して膨らんでいた肺実質1が、かき集められることによって圧縮されるため、正常な肺実質への圧迫が抑制され、その結果、肺の機能が改善する。
また、圧縮された肺実質1が焼灼によって凝固するため、肺実質1が元の膨らんだ状態に戻り難い。従って、改善した肺の機能が良好に維持される。
また、焼灼部120が病変した肺実質1を焼灼して壊死させるため、病変部の正常部への伝播が抑制される。従って、改善した肺の機能が良好に維持される。
また、変形部122が変形して気道2を閉塞させるため、圧縮した肺実質1へのガスの流入が防止され、その結果、肺実質1が元の膨らんだ状態に戻り難い。従って、改善した肺の機能が良好に維持される。
また、変形部122が形状記憶合金によって形成されており、そのため予め形状付けられた形状に復元しようとする形状記憶合金の性質によって変形部122が変形するので、変形部122を変形させるためにモータ等の機械要素を設けなくてもよい。よって装置の小型化を図り得る。
また、焼灼部120がコイル状の金属部材からなり、また本体部11の先端に固着されているため、焼灼部120が本体部11の先端にともなわれて所望の肺実質1の内腔へ配置されるとともに電源部15からのエネルギーを受けて発熱する。従って所望の肺実質1を良好に焼灼できる。
また、焼灼部120が変形部122上を被覆しており、そのため焼灼部120が変形部122の形状に変形するので、肺実質1及び気道2を変形部122の形状に合わせて焼灼し易い。
また、本体部11が分離手段130を有し、そして分離工程において先端側線材12に比べ剛性の高い基端側線材13が分離されて回収されるため、剛性の高い基端側線材13が体内に残らず、従って患者への負担を軽減できる。また、先端側線材12が、変形したまま肺の内部に留置されて肺実質1及び気道2をかき集められた状態で保持するため、肺実質1が元の膨らんだ状態に戻り難い。従って、正常な肺実質への圧迫が抑制されて肺の機能が良好に維持される。
また、変形部122が焼灼部120の熱によって変形するため、変形部122を変形させるために加熱する構成を焼灼部120と別に設ける必要がなく、よって装置構成を簡単にできる。
<第2実施形態>
図6において概説すると、第2実施形態の体内組織焼灼システム20は、長尺状の本体部21と、本体部21の基端側全周を被覆する被覆部23と、本体部21に電気的に接続した電源部24と、を有する。また、第2実施形態の体内組織焼灼システム20は、長尺状の変形部矯正部材22を更に有する。
図6において概説すると、第2実施形態の体内組織焼灼システム20は、長尺状の本体部21と、本体部21の基端側全周を被覆する被覆部23と、本体部21に電気的に接続した電源部24と、を有する。また、第2実施形態の体内組織焼灼システム20は、長尺状の変形部矯正部材22を更に有する。
変形部矯正部材22は、可撓性を有する管体220と、管体220の内面に配置された加熱部221と、加熱部221及び電源部24を電気的に接続する通電部材222と、を有する。
管体220は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレフィンエラストマー、メタロセン触媒を用いた共重合体ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PVDC、PVDFなどのビニル系ポリマー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラストマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、SEBS樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン−コポリ−ビニルアルコール、エチレンビニルアセテーテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテート、ビニルポリスルホン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の各種熱可塑性樹脂やその高分子誘導体のほか、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化または架橋性樹脂が挙げられる。更に、上記の熱可塑性樹脂及び熱硬化・架橋性樹脂のうちいずれかを含むポリマーアロイも利用可能であり、成形材料として溶媒に樹脂を溶解した樹脂溶液を用いても良い。
管体220は、気道2及び肺実質1に挿入可能である。加熱部221は、好ましくは管体220の最先端に配置される。また、加熱部221は、好ましくは管体220の最先端で内面全周に配置される。加熱部221は管体220に固定されている。加熱部221は、電源部24から電気エネルギーを供給され、抵抗によって自己発熱する。加熱部221は、本体部21と絶縁されている。加熱部221は、例えば電熱線を絶縁材によって被覆した構成を有する。また、通電部材222も本体部21と絶縁されており、例えば導線を絶縁材によって被覆した構成を有する。通電部材222は、管体220の内部に配置される。また、通電部材222は管体220に固定される。通電部材222は可撓性を有し、従って管体220とともに柔軟に曲がる又は撓むことができる。
本体部21は、可撓性を有する線材211と、線材211に配置された焼灼部210と、を有する。線材211は、予め形状付けられた形状に変形可能な変形部212を備える。変形部212は、焼灼部210の基端側に配置されている。焼灼部210は、変形部212上に配置されるのではなく、変形部212の先端側に配置される点で第1実施形態と異なるが、材質等その他の構成については第1実施形態の焼灼部120と同様であるため、ここでの重複する説明は省略する。電源部24は、線材211を介して電気エネルギーを焼灼部210に供給する。
変形部212は、例えば、線材211をNi−Ti系2元合金、Ni−Ti−Cu系3元合金、Ni−Zn−Al系3元合金等の形状記憶合金によって形成するとともに、線材211の一部に所定の形状を記憶させることによって形成される。本実施形態において、変形部212に記憶された所定の形状とは、略直線形状又は緩やかに湾曲した形状である。
変形部212は、外力及び熱が作用していない状態では、渦巻き状に巻回された形状を有する。このような形状を有する変形部212は、変形部矯正部材22に沿うように形状を矯正した状態で、変形部矯正部材22内に配置される。
変形部212は、変形部矯正部材22内から押し出されたとき、弾性によって、予め形状付けられた形状に変形する。具体的には、変形部矯正部材22内から押し出されると、変形部矯正部材22から変形部212に加わっていた外力が除かれ、そして、変形部212は、変形部矯正部材22に沿った形状から、予め形状付けられた形状、この場合には渦巻き状に巻回された形状へと変形する。
また、変形部212は、加熱されたとき、形状記憶合金が記憶した形状に復元しようとする性質によって、予め形状付けられた形状に変形する。具体的には、変形部矯正部材22内から押し出されることによって渦巻き状に巻回された形状となっている変形部212は、加熱されることによって、予め形状付けられた形状、この場合には、略直線形状又は緩やかに湾曲した形状へと変化する。第1実施形態では、変形部212は、加熱されることによって、略直線形状又は緩やかに湾曲した形状から、渦巻き状に巻回された形状へと変形する。しかし、第2実施形態では、第1実施形態とは逆に、加熱されることによって、変形部212は、渦巻き状に巻回された形状から、略直線形状又は緩やかに湾曲した形状へと変形する。
被覆部23は、焼灼部210の基端から線材211の基端まで伸びるとともに本体部21の全周を被覆する。被覆部23は、絶縁性を有する。また、被覆部23は、可撓性を有する。被覆部23は、線材211に合わせて曲がる又は撓み、また、変形部212の変形に合わせて変形する。
被覆部23を形成する材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレフィンエラストマー、メタロセン触媒を用いた共重合体ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PVDC、PVDFなどのビニル系ポリマー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラストマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、SEBS樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン−コポリ−ビニルアルコール、エチレンビニルアセテーテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテート、ビニルポリスルホン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の各種熱可塑性樹脂やその高分子誘導体のほか、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化または架橋性樹脂が挙げられる。更に、上記の熱可塑性樹脂及び熱硬化・架橋性樹脂のうちいずれかを含むポリマーアロイも利用可能であり、成形材料として溶媒に樹脂を溶解した樹脂溶液を用いても良い。
次に、肺気腫によって病変した肺実質を焼灼する場合を例に挙げて、本実施形態の体内組織の焼灼方法について述べる。
概説すると、本実施形態の体内組織の焼灼方法は、焼灼部210及び変形部212を体内に挿入する挿入工程と、挿入工程後、体内組織をかき集めるとともに焼灼する焼灼工程と、を有する。また、本実施形態の体内組織の焼灼方法は、焼灼工程後、本体部21、被覆部23、及び変形部矯正部材22を体内から回収する回収工程を有する。
図7に示すように、挿入工程において、術者は、本体部21を変形部矯正部材22内に挿入した状態で、これらを、口又は鼻等の開口部から気道2を通じて、気腫化して膨らんだ肺実質1の内腔へ挿入する。術者は、X線透視下で変形部212及び焼灼部210の位置を確認して進めるとともに、目的とする肺実質1へ焼灼部210を配置する。
図8、図9に示すように、焼灼工程では、変形部212が変形しつつ肺実質1をかき集めるとともに、かき集められた肺実質1を焼灼部210が焼灼する。焼灼工程において、まず、術者は、本体部21に対し変形部矯正部材22を基端側へ引くことによって、変形部212を変形部矯正部材22から押し出す。変形部212の全体が変形部矯正部材22から押し出された後、術者は変形部矯正部材22を引くのを止める。
変形部212は、変形部矯正部材22から押し出されると、弾性によって変形を開始し、そして変形部矯正部材22に沿った形状から渦巻き状に巻回された形状へと変形する。変形部212は、気道2とともに肺実質1全体を巻き込むように変形しつつ気道2及び肺実質1をかき集める。変形部212が変形することによって、気腫化して膨らんでいた肺実質1は圧縮され、その結果、体積が減少する。また、変形部212が変形することによって、気道2が押し潰されて閉塞する。
変形部212の変形が完了した後、術者は、電源部24から焼灼部210へ電気エネルギーを供給する。焼灼部210は、電源部24からのエネルギーを受けて発熱する。焼灼部210は、体積の減少した肺実質1に接触し、そしてこれに熱を加えることによって焼灼する。肺実質1の体積が減少しているため、肺実質1内の焼灼部210から肺実質1の全体へと熱が伝わり易い。また、焼灼部210の熱は、肺実質1のまわりで変形部212によって変形させられている気道2へも伝わる。この熱によって、肺実質1のまわりの変形した気道2も焼灼され、その結果、変形した状態で凝固壊死する。病変部が壊死するのに十分な熱量が焼灼部210から肺実質1へ供給された後、術者は電源部24から焼灼部210へのエネルギーの供給を停止する。
図10に示すように、回収工程では、まず、術者は、電源部24から電気エネルギーを供給することによって加熱部221を加熱しつつ、加熱部221の中を変形部212が通るように被覆部23とともに本体部21を変形部矯正部材22内に回収する。その後、術者は、被覆部23及び本体部21を変形部矯正部材22内に回収した状態で、これらを肺の内部から体外へと抜去して回収する。
変形部212が加熱部221を通過して変形部矯正部材22内に引き込まれるとき、加熱部221が変形部212を加熱する。このため、変形部212は、形状記憶合金が記憶した形状に復元しようとする性質によって、渦巻き状に巻回された形状から、略直線形状又は緩やかに湾曲した形状へと変化しつつ変形部矯正部材22内に引き込まれる。
本実施形態の作用効果を述べる。
本実施形態の体内組織焼灼システム20及び体内組織の焼灼方法によれば、肺実質1がかき集められて焼灼されることによって、肺実質1の広い範囲が一度に焼灼されるため、肺実質1を効率良く焼灼できる。
また、気腫化して膨らんでいた肺実質1が、かき集められることによって圧縮されるため、正常な肺実質への圧迫が抑制され、その結果、肺の機能が改善する。
また、圧縮された肺実質1が焼灼によって凝固するため、肺実質1が元の膨らんだ状態に戻り難い。従って、改善した肺の機能が良好に維持される。
また、焼灼部210が病変した肺実質1を焼灼して壊死させるため、病変部の正常部への伝播が抑制される。従って、改善した肺の機能が良好に維持される。
また、変形部212が変形して気道2を閉塞させるとともに、焼灼部210による加熱によって気道2が閉塞した状態で凝固するため、圧縮した肺実質1へのガスの流入が防止され、その結果、肺実質1が元の膨らんだ状態に戻り難い。従って、改善した肺の機能が良好に維持される。
また、変形部212が形状記憶合金により形成されていることによって奏される効果は、第1実施形態と同様であるため、ここでの重複する説明は省略する。また、焼灼部210がコイル状の金属部材からなり、また本体部21の先端に固着されていることによって奏される効果は、第1実施形態と同様であるため、ここでの重複する説明は省略する。
また、変形部212が焼灼部210の基端側に配置されており、そのため変形部212の変形が焼灼部210によって阻害され難いので、変形部212が予め形状付けられた形状に変形し易い。
また、変形部212が変形部矯正部材22から押し出されると、変形部212が自身の弾性によって変形を開始するため、変形部212を変形させるために電気等を使用する必要がなく、従って簡単な構成によって変形部212を変形させることができる。
また、変形部212は、加熱部221が加熱した状態で変形部矯正部材22内に引きこまれることにより略直線形状又は緩やかに湾曲した形状になるため、渦巻き状に巻回された変形部212のくせが除去され、その結果、本体部21を円滑に変形部矯正部材22内に引き込める。また、変形部212のくせが除去されるので、変形部212が回収されるときの変形部212と肺実質1との摩擦、及び変形部212と気道2との摩擦が抑制される。従って、本体部21の回収によって、変形した肺実質1及び気道2が元の状態に戻り難い。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変できる。
例えば、変形部は、変形することによって体内組織をかき集めるものであれば、どのように変形してもよい。従って、上記実施形態のように、渦巻き状に巻回されるように変形するものに限定されない。例えば、変形部は、S字状又はU字状に変形するものであってもよい。
また、上記実施形態では、体内組織焼灼システムを肺気腫の治療に適用した例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、体内組織焼灼システムを胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE),門脈圧高進症性胃疾患(PHG),放射線誘発性のプロクトパシー及び結腸疾患,動静脈の奇形および血管の異形成で起こるような、慢性的に出血する障害を根絶するための治療に適用してもよい。この場合、体内組織は、消化管である。
また、上記実施形態では、焼灼部が高温に加熱されるとともに体内組織に接触することによってこれを焼灼するが、本発明はこれに限定されない。例えば、焼灼部は、電源部からの電気エネルギーを受けてマイクロ波を体内組織に向かって放射することによって、非接触で体内組織を焼灼するものであってもよい。
1 肺実質(体内組織)、
2 気道(体内組織)、
10、20 体内組織焼灼システム、
11、21 本体部、
12 先端側線材、
13 基端側線材、
14、23 被覆部、
15、24 電源部、
120、210 焼灼部、
122、212 変形部、
130 分離手段、
22 変形部矯正部材、
221 加熱部、
222 通電部材。
2 気道(体内組織)、
10、20 体内組織焼灼システム、
11、21 本体部、
12 先端側線材、
13 基端側線材、
14、23 被覆部、
15、24 電源部、
120、210 焼灼部、
122、212 変形部、
130 分離手段、
22 変形部矯正部材、
221 加熱部、
222 通電部材。
Claims (10)
- 長尺状の部材であって、先端側に予め形状付けられた形状に変形する変形部と体内組織を焼灼するための焼灼部とを有する本体部と、
前記本体部の基端側全周を被覆する非導電性部材からなる被覆部と、
前記本体部に接続され前記焼灼部にエネルギーを供給するための電源部と、を有し、
前記変形部は変形することにより前記体内組織をかき集め、前記焼灼部は該かき集められた体内組織を焼灼する、ことを特徴とした体内組織焼灼システム。 - 前記変形部は形状記憶合金からなることを特徴とする請求項1に記載の体内組織焼灼システム。
- 前記焼灼部はコイル状の金属部材からなり、前記本体部の先端に固着されていることを特徴とする請求項1および2に記載の体内組織焼灼システム。
- 前記焼灼部は前記変形部上を被覆していることを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれか1つに記載の体内組織焼灼システム。
- 前記本体部は先端側線材と先端側線材よりも剛性の高い基端側線材とを有し、前記先端側線材を分離するための分離手段を有することを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか1つに記載の体内組織焼灼システム。
- 前記電源部から前記焼灼部にエネルギーを供給し、前記焼灼部が加熱されることで前記変形部が変形することを特徴とする請求項1ないし5のうちのいずれか1つに記載の体内組織焼灼システム。
- 前記変形部は前記焼灼部の基端側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれか1つに記載の体内組織焼灼システム。
- 前記体内組織焼灼システムは更に長尺状の変形部矯正部材を有し、前記変形部は該変形部矯正部材から押し出されることにより、変形を開始することを特徴とする請求項7に記載の体内組織焼灼システム。
- 前記変形部矯正部材は加熱部と、該加熱部と前記電源部とを通電する通電部材とを有し、前記変形部は前記加熱部が加熱した状態で前記変形部矯正部材内に引きこまれることにより直線状になることを特徴とする請求項7および8に記載の体内組織焼灼システム。
- 前記体内組織焼灼システムは、肺の気腫化した領域の体積を減少させ、さらに焼灼することを特徴とする請求項1ないし9のうちのいずれか1つに記載の肺組織焼灼システム。
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US7988690B2 (en) * | 2004-01-30 | 2011-08-02 | W.L. Gore & Associates, Inc. | Welding systems useful for closure of cardiac openings |
WO2007055521A1 (en) * | 2005-11-09 | 2007-05-18 | Korea University Industrial & Academic Collaboration Foundation | Radio frequency ablation electrode for selected tissue removal |
JP2007289674A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-11-08 | Shinshu Univ | 肺癌治療カテーテル |
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