JP2015055656A - 加圧部材、それを用いた画像加熱装置、画像形成装置、および加圧部材の製造方法 - Google Patents

加圧部材、それを用いた画像加熱装置、画像形成装置、および加圧部材の製造方法 Download PDF

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高田  成明
潤 三浦
Jun Miura
潤 三浦
由高 荒井
Yoshitaka Arai
由高 荒井
鈴木 健
Takeshi Suzuki
健 鈴木
勝久 松中
Katsuhisa Matsunaka
勝久 松中
田村 修一
Shuichi Tamura
修一 田村
大悟 松浦
Daigo Matsuura
大悟 松浦
直紀 秋山
Naoki Akiyama
直紀 秋山
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Yasuhiro Miyahara
康弘 宮原
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Abstract

【課題】固定された加圧部材である加圧パッドを使用した像加熱装置において、製造工程を簡略化し、できるだけ非通紙部昇温を抑制し、かつ、立ち上がり時間を短縮する。
【解決手段】多孔質53b2の弾性層35bを有する固定された加圧部材であって、該弾性層は、針状フィラー53b1を含み、該針状フィラーは、該弾性層の長手方向の熱伝導率が、該弾性層の厚み方向の熱伝導率に対して6倍以上、900倍以下となるように該弾性層中において配向していることを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、加圧部材、それを用いた画像加熱装置、画像形成装置、および加圧部材の製造方法に関する。
電子写真・静電記録・磁気記録等の画像形成装置に搭載される画像加熱装置である定着装置としては、近年、立ち上げ時間の短縮や省エネルギーの観点から加圧部材の熱容量を小さくすることが可能な、加圧パッド方式の定着装置が実用化されている。加圧パッド方式は定着ローラに低熱容量の加圧ベルトを介して、弾性体でできた加圧パッドを圧接させることで、画像を担持した記録材を挟持搬送して加熱するニップ(定着ニップ)を形成している。
装置の高速化を行うためにはニップ幅を大きくするのが効果的であるが、加圧ローラで十分なニップ幅を得るためには、大径のロールに厚い弾性層を形成する必要が有る。大径のローラで剛性を確保するためには、厚い芯金にする必要があり熱容量が大きくなってしまう。また、弾性層も芯金の周囲に厚く形成されるため、熱容量が大きくなってしまう。
加圧パッドは回転しないため、ニップ幅と同じ長さの弾性層で良いため、ニップ幅を大きくしても、熱容量を小さくすることが可能である。また、回転しないため、弾性層がニップ外に出ることがないため、弾性層起因の放熱が少なく、立ち上げ時間の短縮や省エネルギー性に有利である。
しかしながら、加圧パッドを採用した定着装置では、装置に使用可能な最大幅の記録材(以下、用紙と記す)よりも幅が小さい小サイズ用紙を大量に通紙した時や厚紙の小サイズ用紙を通紙した際に所謂非通紙部昇温が大きくなってしまうという問題がある。加圧パッドを使用した定着装置の場合、加圧パッドは熱容量が小さく、昇温しやすいため、非通紙部昇温が大きくなってしまう。
また、加圧パッドは回転しない固定部材ため、絶えずニップ内に存在する。したがって、ニップ外で端部昇温が緩和される加圧ローラに対して、絶えずニップ内に存在し非通紙部昇温が緩和されない加圧パッド方式の定着装置は非通紙部昇温が大きくなってしまう。
これに対し用紙サイズに対応した複数の加熱源を持つことで、非通紙部を加熱しないことにより、非通紙部昇温を低減させる手法が一般的に知られている。しかしながら、複数の発熱体を持つことで、装置の大型化、複雑化、コストアップを招く。また、すべての用紙サイズに対応することは困難である。
非通紙部昇温を低減させる手段として加圧ローラの熱伝導率を高くするという手法が一般的に知られている。これは、弾性層の伝熱性を積極的に良化させる事で非通紙部昇温温度の低下、つまり長手方向の熱の高低差が減少するという効果を得る事ができるというものである。
特許文献1には加圧部材の弾性層に、平均長さが100μm〜500μm、熱伝導率が300W/m・K以上である針状のピッチ系炭素繊維が12vol%〜26vol%分散することで、低硬度かつ熱伝導率の高い弾性体を有する加圧部材が記載されている。
特許文献2には次のような非通紙部昇温を低減させる方法が記載されている。即ち、加圧部材に高熱伝導ゴム複合体層を一体に形成し、高熱伝導ゴム複合体層の熱伝導率が異方性を有し、記録材搬送方向に交差する方向の熱の流れが他の方向の熱の流れより大きくなるように、加圧部材表面の熱の流れに異方性を生じさせる。これにより、非通紙部昇温を低減させる方法である。また、該弾性層の下層に多孔質の弾性層を設けて、弾性層厚み方向に低熱伝導化させることで、立ち上がり時間の短縮についても期待できることが記載されている。
特許第4508692号公報 特開2002−351243号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように加圧部材の弾性層の熱伝導率を高くすると、立ち上げ時間が長くなる傾向がある。加圧部材の弾性層の熱伝導率を上げると、立ち上げ時の定着部材から加圧部材への熱の移動量が多くなってしまうため、定着部材の温度が上がりにくくなり、立ち上げ時間が長くなる。
特許文献2に記載の加圧部材は、高熱伝導ゴム複合体と、断熱ゴムとが別々の工程で形成されており、製造工程が複雑になる場合があった。また、高熱伝導率な部材でも、充分な熱移動量を得るには、ある程度の厚みが必要であり、弾性層を複層で構成する場合には、弾性層が厚くなる場合があった。弾性層が厚くなることで、弾性層の変形量が大きくなり、厚分布の調整が難しくなる場合もある。
そこで、製造工程を簡略化し、できるだけ非通紙部昇温を抑制し、かつ、立ち上がり時間を短縮できる加圧部材が求められている。
本発明の目的はこの要望に応えることであり、製造工程を簡略化し、非通紙部昇温抑制と立ち上がり時間の短縮を両立できる加圧部材、それを用いた画像加熱装置、画像形成装置、および加圧部材の製造方法を提供するものである。
上記の目的を達成するための本発明に係る加圧部材の代表的な構成は、画像を担持した記録材を挟持搬送しつつ加熱するニップを加熱部材と共に形成する、弾性層を有し固定して配設される画像加熱装置用の細長い加圧部材であって、前記弾性層は針状フィラーを含んだ多孔質であり、前記針状フィラーは前記弾性層の長手方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率に対して6倍以上900倍以下となるように配向していることを特徴とする。
本発明によれば、製造工程を簡略化し、非通紙部昇温の抑制と立ち上がり時間の短縮を両立できる加圧部材、それを用いた画像加熱装置、画像形成装置、および加圧部材の製造方法を提供できる。
実施形態における画像形成装置の概略構成図 実施形態における定着装置の概略構成図 制御系統のブロック図 加圧部材としての加圧パッドの俯瞰図 図4の加圧パッドの弾性層の切り出しサンプルの拡大斜視図 (a)は図5の切り出しサンプルのa断面の拡大図、(b)は図5の切り出しサンプルbの断面の拡大図 針状フィラーの概略模式図 弾性層の切り出しサンプルの熱伝導率測定の説明図 定着装置の他の構成の概略図(その1) 定着装置の他の構成の概略図(その2) 定着装置の他の構成の概略図(その3)
以下、本発明を実施するための形態について、画像加熱装置に用いられる加圧部材に基づいて説明するが、本発明の範囲はこの形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で変更されたものも本発明に含まれる。
《第1の実施形態》
(1)画像形成部
図1は本発明に従う画像加熱装置を定着装置20として搭載した画像形成装置の一例である電子写真フルカラープリンタ100の概略構成を示す縦断面模式図である。まず、画像形成部の概略を説明する。
このプリンタ100は、制御回路部(制御基板:CPU)200と通信可能に接続した外部ホスト装置300からの入力画像情報に応じて作像動作して、記録材Pにフルカラー画像を形成して出力することができる。
記録材は画像形成装置によって画像が形成されるシート状の記録媒体であり、例えば、定型或いは不定型の普通紙、厚紙、薄紙、封筒、葉書、シール、樹脂シート、OHTシート、光沢紙等が含まれる。以下、用紙と記す。以下の説明では、便宜上、記録材の扱いを通紙、排紙、給紙、通紙部、非通紙部などの用語を用いて説明するが、記録材は紙に限定されるものではない。
外部ホスト装置300は、コンピュータ、イメージリーダー等である。制御回路部200は外部ホスト装置300と信号の授受をする。また各種作像機器と信号の授受をし、作像シーケンス制御を司る。
8は無端状でフレキシブルな中間転写ベルト(以下、ベルトと略記する)であり、二次転写対向ローラ9とテンションロ−ラ10との間に張架されていて、ローラ9が駆動されることにより矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。11は二次転写ローラであり、上記のローラ9に対してベルト8を介して圧接させてある。ベルト8とローラ11との当接部が二次転写部である。
1Y・1M・1C・1Bkは第1〜第4の4つの画像形成部であり、ベルト8の下側においてベルト移動方向に沿って所定の間隔をおいて一列に配置されている。各画像形成部はレーザ露光方式の電子写真プロセス機構であり、それぞれ、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと略記する)2を有する。各ドラム2の周囲には、一次帯電器3、現像装置4、転写手段としての転写ローラ5、ドラムクリーナ装置6が配置されている。
各転写ローラ5はベルト8の内側に配置してあり、ベルト8の下行き側ベルト部分を介して対応するドラム2に対して圧接させてある。各ドラム2とベルト8との当接部が一次転写部である。7は各画像形成部のドラム2に対するレーザ露光装置であり、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザ発光手段、ポリゴンミラー、反射ミラー等で構成されている。
制御回路部200は外部ホスト装置300から入力されたカラー色分解画像信号に基づいて、各画像形成部を作像動作させる。これにより、第1〜第4の画像形成部1Y・1M・1C・1Bkにおいて、それぞれ回転するドラム2の面に対して所定の制御タイミングで、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナー像が形成される。なお、ドラム2にトナー像を形成する電子写真作像原理・プロセスは公知に属するからその説明は省略する。
各画像形成部のドラム2の面に形成される上記のトナー像はそれぞれ一次転写部にて、各ドラム2の回転方向と順方向に、かつ各ドラム2の回転速度に対応した速度で回転駆動されているベルト8の外面に対して順次に重畳転写される。これにより、ベルト8の面に上記の4つのトナー像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー像が合成形成される。
一方、所定の給紙タイミングにて、それぞれ大小各種幅サイズの用紙Pを積載収容させた上下多段のカセット給紙部13A・13B・13Cのうちの選択された段位の給紙カセットの給紙ローラ14が駆動される。これにより、その段位の給紙カセットに積載収納されている用紙Pが1枚分離給紙されて縦搬送パス15を通ってレジストローラ16に搬送される。手差し給紙が選択されているときには、給紙ローラ18が駆動される。これにより、手差しトレイ(マルチ・パーパス・トレイ)17上に積載セットされている用紙が1枚分離給紙されて縦搬送パス15を通ってレジストローラ16に搬送される。
レジストローラ16は、回転するベルト8の上に形成された上記のフルカラートナー像の先端が二次転写部に到達するタイミングに合わせて用紙Pの先端部が二次転写部に到達するように用紙Pをタイミング搬送する。これにより、二次転写部において、ベルト8上のフルカラーのトナー像が一括して用紙Pの面に順次に二次転写されていく。
二次転写部を出た用紙Pは、ベルト8の面から分離され、縦ガイド19に案内されて、画像加熱装置としての定着装置(定着器)20に導入される。この定着装置20により、上記の複数色のトナー像が溶融混色されて用紙Pの表面に固着像として定着される。定着装置20を出た用紙Pはフルカラー画像形成物として搬送パス21を通って排紙ローラ22により排紙トレイ23上に送り出される。
二次転写部にて用紙分離後のベルト8の面はベルトクリーニング装置12により二次転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
モノ黒プリントモードの場合には、ブラックトナー像を形成する第4の画像形成部1Bkのみが作像動作制御される。
両面プリントモードが選択されている場合には、第1面プリント済みの用紙Pが排紙ローラ22により排紙トレイ23上に送り出されていき、後端部が排紙ローラ22を通過する直前時点で排紙ローラ22の回転が逆転に変換される。これにより、用紙Pはスイッチバックされて再搬送パス24に導入される。そして、表裏反転状態になって再びレジストローラ16に搬送される。以後は、第1面プリント時と同様に、二次転写部、定着装置20に搬送されて、両面プリント画像形成物として排紙トレイ23上に送り出される。
(2)定着装置
図2は本例における画像加熱装置としての定着装置20の概略構成を示す横断面模型図である。
ここで、本例の定着装置20若しくはその構成部材に関して、正面側とは定着装置20を用紙入口側から見た面、背面側とはその反対側の面(用紙出口側)である。左右とは定着装置20を正面側から見て左(一端側)または右(他端側)である。また、上流側と下流側は用紙搬送方向(記録材搬送方向)aに関して上流側と下流側である。長手方向(幅方向)や用紙幅方向とは、用紙搬送路面において、用紙Pの搬送方向aに直交する方向に実質平行な方向である。短手方向とは用紙搬送路面において、用紙Pの搬送方向aに実質平行な方向である。厚み方向とは用紙面に垂直な方向をいう。
本例の定着装置20においては、用紙Pの搬送は、用紙幅中心のいわゆる中央基準搬送でなされる。いわゆる片側基準搬送でなされてもよい。以下、装置に使用可能な最大幅の用紙を大サイズ用紙、それよりも幅が小さい用紙を小サイズ用紙と記す。
本例の定着装置20は、定着ローラ(加熱部材:加熱ローラ)51と、加圧ベルトユニット70を用いた、ローラ加熱−ベルト加圧方式の画像加熱装置である。
(2−1)定着ローラ51
定着ローラ51はその両端部が不図示の左右の支持部材間に回転可能に軸受け支持されて配設されており、制御回路部200で制御される駆動源M1(モータ:図3)により矢印R51の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される回転体である。
定着ローラ51はAl,Feなどからなる円筒状の剛性を有する芯金51aの外周面に弾性体層51bを有し、更にその表面にフッ素樹脂等からなる表層51cを有する複合層構成の中空体である。定着ローラ51の内部にはハロゲンヒータ等のヒータ(加熱源)58が配設されている。ヒータ58は制御回路部200で制御される電源部201から電力が供給されて発熱し、その発熱により定着ローラ51が内部から加熱される。
定着ローラ51の表面温度が定着ローラ51の表面に接触させて、または非接触に対向させて配設されている温度検知部材としてのサーミスタ60により検知される。このサーミスタ60で検知される温度に関する信号が制御回路部200に入力する。制御回路部200はサーミスタ60から入力する検知温度情報が所定の定着ローラ温度に昇温して維持されるようにヒータ58に対する供給電力を制御する。
また、定着ローラ51の外側にはローラクリーニング装置54が配設されている。本例ではクリーニングウエブ54aを用いた装置である。ウエブ54aはロール巻きの長尺ウエブであり、繰り出し部54bから押圧ローラ54cを経由して巻き取り部54dに間欠的に少しずつ巻き取られる。ウエブ54aは押圧ローラ54cにより定着ローラ51の表面に押し付けられて、定着ローラ表面の汚れを拭い取る。
また、定着ローラ51の外側には、後述する定着ニップNを出た用紙の定着ローラ51への巻き付きを防止する分離爪90が配設されている。
(2−2)加圧ベルトユニット70
ユニット70は定着ローラ51と共に、画像tを担持する用紙Pを挟持搬送しつつ加熱するニップ(定着ニップ)Nを形成する。ベルトユニット70は、可撓性を有するエンドレスベルトである加圧ベルト52と、この加圧ベルト52を懸回張設させた複数のベルト懸回部材(ベルト張架部材)としての第1〜第3のほぼ平行3本のローラ55、56、57を有する。また、加圧ベルト52を定着ローラ51へ加圧する固定(非回転)の、画像加熱装置用の加圧部材としての加圧パッド53を有する。
加圧ベルト52はポリイミド等の樹脂またはニッケル等の金属からなる基材の表面にフッ素樹脂等からなる表面層を有したものである。また、基材と表面層との間に弾性体層を用いても良い。
第1のローラ55は入口側ローラであり、定着ローラ51よりも用紙搬送方向aの上流側で定着ローラ51から所定に離間した位置において不図示の左右の支持部材間に回転可能に支持されて配設されている。入口側ローラ55はAl,Feなどからなる円筒状の金属ローラであり、内部にハロゲンヒータ等のヒータ(加熱体)59が配設されている。ヒータ59は制御回路部200で制御される電源部202から電力が供給されて発熱し、その発熱により入口側ローラ55が内部から加熱される。
入口側ローラ55の表面温度が入口側ローラ55の表面に接触させて、または非接触に対向させて配設されている温度検知部材としてのサーミスタ61により検知される。このサーミスタ61で検知される温度に関する信号が制御回路部200に入力する。制御回路部200はサーミスタ61から入力する検知温度情報が所定の入口側ローラ温度に昇温して維持されるようにヒータ59に対する供給電力を制御する。
分離ローラ56は金属ローラであり、加圧ベルト52を介して定着ローラ51に対して弾性体層51bの弾性に抗して所定の押圧力をもって当接されて不図示の左右の支持部材間に回転可能に支持されて配設されている。分離ローラ56は制御回路部200で制御される駆動源M2により矢印R56の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。分離ローラ56を加圧ベルト52を介して定着ローラ51に食い込むように加圧することにより定着ローラ51の弾性体層51bを変形させる。これにより、ニップNで挟持搬送されてニップNを出た用紙Pが定着ローラ51表面から分離される。
第3のローラ57はステアリングローラであり、入口側ローラ55と分離ローラ56との間で定着ローラ51から所定に離れたところにおいて不図示の揺動機構に回転可能に揺動機構に支持されて配設されている。ステアリングローラ56は加圧ベルト53の回転時におけるローラ軸線方向への寄り移動が所定の範囲内の移動となるように揺動機構により寄り移動制御される。
加圧パッド53は弾性体で形成されている。そして、入口側ローラ55と分離ローラ56との間において加圧ベルト52を定着ローラ外周に巻きつけるように加圧して定着ローラ51と加圧ベルト52との間に幅広いニップNを形成する固定(非回転)の加圧部材である。即ち、加圧パッド53はニップNにて加圧ベルト52の内側から定着ローラ51に向けて圧力を付与する。
加圧パッド53は、図4のように、剛性を有する基体53aと、この基体53aに支持させた弾性層53bを有する左右方向を長手とする横長の部材である。そして、加圧パッド53は弾性層53b側を加圧ベルト52を介して定着ローラ51に対向させて不図示の付勢部材により所定の押圧力Fで定着ローラ51に圧接されている。
以上のように定着ローラ51、加圧ベルト52、分離ローラ56、加圧パッド53によってニップ(圧接部)Nを形成すると、定着ローラ51の外周に加圧ベルト52が巻きつくように幅広いニップを形成することが可能となり、高速化に対して有利になる。
従来のローラ対による定着装置の場合はニップ幅を広くとる場合は大径のロールに厚い弾性層を形成する必要が有る。大径のローラで剛性を確保するためには、厚い芯金にする必要があり熱容量が大きくなってしまう。また、弾性層も芯金の周囲に厚く形成されるため、熱容量が大きくなってしまう。加圧パッド53は回転しないため、ニップ幅と同じ長さの弾性層で良いため、ニップ幅を大きくしても、熱容量を小さくすることが可能である。また、回転しないため、弾性層がニップ外に出ることがないため、弾性層起因の放熱が少なく、立ち上げ時間の短縮や省エネルギー性に有利である。
(2−3)定着動作
定着ローラ51及び分離ローラ56が駆動されて定着ローラ51と加圧ベルト52がそれぞれ矢印R51、R52の方向に所定の速度で回転する。定着ローラ51が所定の温度に立ち上げられて温調される。入口側ローラ55も所定の温度に立ち上げられて温調される。加圧ベルト52は入口側ローラ55の熱により所定の温度に加熱される。
上記の装置状態において、画像形成部側から定着装置20に未定着トナー画像tを担持した用紙Pが送り込まれてニップNで挟持搬送される。用紙PがニップNを通過する際に表裏両面から加圧、加熱され用紙表面上の未定着トナー画像tは溶融して定着され、用紙P上にフルカラー画像が形成される。画像が定着された用紙Pは分離ローラ56または分離爪90によって分離され、定着装置20から排出される。
上記の定着装置20において、加圧ベルト52は定着ローラ51の回転に従動回転させる装置構成にすることもできる。定着ローラ51や入口側ローラ55の加熱源はハロゲンヒータ58、59に限られない。赤外線ランプ、電磁誘導コイルなどの加熱源により内部加熱あるいは外部加熱する構成にすることもできる。定着ローラ51や入口側ローラ55に通電発熱層を設けてローラ自体を発熱させる構成にすることもできる。入口側ローラ55は加熱しない装置構成にすることもできる。
(3)加圧パッド
図4は加圧パッド53の俯瞰模型図である。加圧パッド53は、鉄やアルミニウム等からなる剛性を有する基体53aと、この基体53aに支持させたシリコーンゴムから弾性層53bを有する左右方向を長手とする横長の部材である。弾性層53bは、弾性層53bの長手方向に配向している針状フィラー(細長くとがった形態の充填材、添加材)53b1と、空隙53b2とを有する(図6)。
図5〜7を用いて、弾性層53bについてさらに詳しく説明する。図7は、直径D及び長さLの針状フィラー53b1の拡大斜視図である。針状フィラー53b1は、弾性層53b中で弾性層長手方向に配向して存在している。なお、針状フィラー53b1の物性等については後述する。
図5は、図4の弾性層53bを切り出した切り出しサンプル53bsの拡大斜視図である。切り出しサンプル53bsは、図4に示したように、弾性層53bの長手方向及び用紙進行方向(弾性層53bの短手方向)に沿って切り出してある。
切り出しサンプル53bsの用紙進行方向断面(a断面)および長手方向断面(b断面)を観察すれば、a断面は、図6の(a)に示すように、針状フィラー4b1の直径Dの断面が主として観察できる。b断面は、図6の(b)に示すように、針状フィラー53b1の長さLの部分が主として観察できる。また、図6の(a)及び(b)いずれにも、均一に分布した空隙53b2を観察することができる。
次に、図4の弾性層53bを特徴的に表現するものとして、ベースポリマー、空隙52b2、針状フィラー53b1が挙げられる。以下順を追って説明する。
<ベースポリマー>
弾性層53bのベースポリマーは付加硬化型液状シリコーンゴムを架橋硬化することで得られる。即ち、弾性層4bは付加硬化型シリコーンゴムの混合物を含む。
付加硬化型液状シリコーンゴムはビニル基等の不飽和結合を有するオルガノポリシロキサン(A)と、Si−H結合(ヒドリド)を有するオルガノポリシロキサン(B)とを有する未架橋シリコーンゴムである。加熱等によりビニル基等の不飽和結合に対してSi−Hが付加反応することで架橋硬化が進行する。反応を促進する触媒として(A)には白金化合物を含有するのが一般的である。この付加硬化型液状シリコーンゴムは、本発明の目的を損なわない範囲で流動性を調節できる。
<空隙53b2>
弾性層53bの層中には、配向した針状フィラー53b1と空隙53b2とが共存する。そのため、針状フィラー53b1と空隙53b2とが相互に干渉しない状態で配置できることが重要である。
本発明者らによる検討の結果、発泡剤による空隙形成や、中空粒子による空隙形成等の空隙形成手段によっては空隙形成の際に針状フィラーの配向阻害を起こす場合があった。針状フィラーの配向状態は配向方向の熱伝導率を支配するため配向が阻害されると非通紙部昇温抑制の効果が低減することとなり好ましくない。
一方、吸水性ポリマーに水を含ませた含水材料を用いて空隙を形成した場合には、共存する針状フィラーの配向阻害を低減できる。針状フィラーの軸方向への配向と、空隙形成を両立できるメカニズムについては、明らかではない。針状フィラーと含水材料が分散した未架橋付加硬化型液体シリコーンゴム(以下、この液体を液体組成物と記す)に発現するチクソトロピー性により、液体組成物の流動時に低粘度化するため、針状フィラーの配向が阻害されにくいのではないかと想定している。
弾性層53bの空隙率は10体積%以上、70体積%以下が好適である。空隙率を上記範囲内とすることによって、立ち上がり時間のより一層の短縮を図ることができる。
<針状フィラー53b1>
本発明に用いられる針状フィラーとしては、図7に示すように、直径Dに対する長さLの比が大きい、すなわちアスペクト比が高い材料が使用できる。フィラー底面の形状は円状でも角状でも構わず、後述した成形方法で配向する材料で有れば適用可能である。
このような材料として、ピッチ系炭素繊維(炭素繊維:CF)が挙げられる。熱伝導率λが500W/(m・K)以上であるピッチ系炭素繊維を含有することにより、好適な加圧部材を提供することができる。更にこのピッチ系炭素繊維が針状であることにより、より好適な加圧部材としての加圧パッド53となる。
針状のピッチ系炭素繊維は、より具体的な形状として、図7において直径Dが5μm〜11μmでありかつ長さL(平均長さ)が50μm〜1000μm程度のものが例示でき、工業的に入手容易である。
針状(棒状)の炭素繊維を配向させると、配向した向きに熱の経路ができるため熱伝導が良くなる。従って、加圧パッド53の弾性層53bの長手方向の炭素繊維の配向を大きく、厚み方向の炭素繊維の配向を小さくする。これにより、加圧パッド53の弾性層53bの長手方向は熱伝導が大きく、厚み方向には熱伝導が小さくなるため、後述のように、非通紙部昇温の緩和と立ち上げ時間の短縮を両立できる。
なお、炭素繊維(の長手方向)の配向方向は、弾性層53bの長手方向に一致する形態だけでなく、後述する熱伝導率の関係を満たす範囲内において短手方向に交差する関係となっていても構わない。
ここで、針状フィラー53b1を弾性層53b中に5〜40体積%含むことが望ましい。針状フィラーの含有量を上記範囲内とすることで、本発明に係る弾性層53bの熱伝導率をより確実に改善することができる。また、針状フィラーの含有による弾性層53bの成形性にも大きな影響を与えにくい。
なお、本発明においては、発明の特徴の範囲を超えない限りは、弾性層53b中に、本発明に記載されていない他のフィラーや充填材や配合剤が、公知の課題の解決手段として含まれていても構わない。
(3−1)加圧パッドの製造方法
<液体組成物配合>
未架橋付加硬化型液状シリコーンゴムに上記の針状フィラー53b1と上記の含水材料を配合する。配合は、未架橋付加硬化型液状シリコーンゴムと針状フィラー53b1と含水材料を所定の量を秤量し、遊星式の万能混合攪拌機など、公知のフィラー混合撹拌手段により混合物を分散させることが可能である。
<液体組成物層形成>
液体組成物を公知の方法で型注型する。予め公知のプライマー処理を行った基体53aを配置した金型内の基体53a上に、液体組成物を基体53aの長手方向に流動を与えながら注型する。この流動により、針状フィラー53b1が弾性層長手方向に配向し、弾性層長手方向の熱伝導率を効果的に高めることができる。
なお、液体組成物を弾性層53bの長手方向に流動を与えながら層形成できる方法であれば、特に限定されない。
<シリコーンゴム成分架橋硬化>
液体組成物が充填されている型を密閉し、水の沸点以下の温度で5分〜120分熱処理し、シリコーンゴム成分を架橋硬化する。熱処理温度としては、60〜90℃が望ましい。密閉下であるので、含水材料中の水分を保持したまま、液体組成物の層中のシリコーンゴム成分を架橋硬化させることができる。
<脱型>
金型を適宜、水冷・空冷等した後、架橋硬化後液体組成物層が積層された基体53aを型から脱型する。
<脱水>
基体53aに積層した液体組成物層を加熱処理により含水材料中の水分を蒸発させて脱水し、空隙53b2を形成する。熱処理条件としては、100℃〜250℃、1〜5時間が望ましい。
空隙53b2を形成することで、弾性層53bの厚み方向の熱伝導率が低減する。一方、弾性層53bの長手方向の熱伝導率については弾性層53bの長手方向に配向した針状フィラー53b1が熱伝導パスとなり、厚み方向に比較して、熱伝導率が高く維持される。
以上により、長手方向については、熱伝導率が高く、厚み方向については熱伝導率が低い弾性層53bを形成することが可能となる。
(3−2)弾性層53bの熱伝導率
弾性層53bは、長手方向の熱伝導率λ1と厚み方向の熱伝導率λ2の比λ1/λ2(以下、この比をαと記す)が6〜900である。
熱伝導率比αが6未満だと非通紙部昇温抑制の効果が十分に得られない場合がある。また、900倍よりも大きくするためには針状フィラー量や空隙が増え、加工成形が困難である。
また、厚み方向の熱伝導率が0.08W/(m・K)以上0.4W/(m・K)以下であることが好ましい。0.08W/(m・K)より低い厚み方向熱伝導率では加工成形が困難である場合や、空隙の量が多く加熱装置に搭載する加圧用回転体としての強度が得られない場合がある。0.4W/(m・K)より高い厚み方向熱伝導率では立ち上がり時間の短縮の効果が十分に得られない場合がある。
(3−3)実施例
基体53aは厚み2mm、長手方向の長さ320mm、用紙進行方向(短手方向)の長さ20mmの鉄製板金を使用した。含水材料はレオジック250H(東亜合成株式会社製)に水を含水させたものである。レオジック250Hの量は含水材料に対して1wt%で調整した。針状フィラー53b1は以下に示したピッチ系炭素繊維を使用した。
<商品名:XN−100−05M(日本グラファイトファイバー(株)製)>
平均繊維直径D:9μm
平均繊維長L:50μm
熱伝導率900W/(m・K)
この針状フィラーを以下、100−05Mと記す。
<商品名:XN−100−15M(日本グラファイトファイバー(株)製)>
平均繊維直径D:9μm
平均繊維長L:150μm
熱伝導率900W/(m・K)
この針状フィラーを以下、100−15Mと記す。
<商品名:XN−100−01Z(日本グラファイトファイバー(株)製)>
平均繊維直径D:10μm
平均繊維長L:1mm
熱伝導率900W/(m・K)
この針状フィラーを以下、100−01と記す。
なお、本実施例では、弾性層53bと基体53a間を「DY39−051」(商品名、東レ・ダウコーニング株式会社製)のA液およびB液によって、接着を行っている。
また、液体組成物配合工程では、万能混合撹拌機を使用しており、シリコーンゴム成分の硬化工程では熱風オーブン内90℃、1時間の条件で熱処理を行った。弾性層53bの形成工程は前記の内径30(mm)のパイプ状筒型を使用した。さらに、脱水工程では、熱風オーブン内200℃、4時間の条件で熱処理を行った。
(実施例1)
未架橋付加硬化型液状シリコーンゴムに、針状フィラー「100−05M」を5体積%、含水材料を10体積%混合した。次に、内部に基体53aを設置済みの型に弾性層形成用の液体組成物を注型し、架橋・脱型・脱水の工程を経て、弾性層53bを形成した。このようにして、本実施例1の加圧パッド53を得た。
(実施例2〜5)
実施例1と同様の方法で、表1に示した処方により、本実施例2〜5の加圧パッドをそれぞれ得た。
(比較例1)
実施例1と同様な方法で、上記に挙げた液体組成物ではなく、弾性層53bに熱伝導率0.4W/(m・K)の付加硬化型シリコーンゴムを用いて、本比較例1の加圧用パッドを得た。
(比較例2)
実施例1と同様な方法で、針状フィラー「100−01」を45体積%、含水材料を45体積%混合した液体組成物を使用した場合では、成形上困難であり、評価に適した本比較例2の加圧パッドを得ることができなかった。
(比較例3)
実施例1と同様な方法で、針状フィラー「100−05M」を5体積%、含水材料を80体積%混合した液体組成物を使用した場合では、成形上困難であり、評価に適した本比較例3の加圧パッドを得ることができなかった。
(3−4)評価方法
<厚み方向及び長手方向の熱伝導率>
加圧パッド35の弾性層35bの切り出しサンプル53bsの熱伝導率測定を以下のように行った。
本測定例では、まず、弾性層35bの長手方向の熱伝導率測定を行った。図8を用いて、加圧パッド35の弾性層35bの長手方向及び厚み方向の熱伝導率測定について説明する。図8は、弾性層35bについて短手方向(15mm)×長手方向(15mm)×厚み(設定厚み)に切り出したサンプル53bsを重ね合わせて、厚みが約15mmになるよう作成した熱伝導率評価用試料である。熱伝導率を測定する際は図8に示すように厚さ0.07mm、幅10mmのテープTAで被測定試料を固定した。
次に被測定面の平面度を揃えるために剃刀にて被測定面及び被測定面裏面をカットする。そして、この被測定試料を2セット用意して、センサSを被測定試料で挟み、測定を行う。測定はホットディスク法熱物性測定装置TPA−501(京都電子工業株式会社製)を使用した。
厚み方向の熱伝導率の測定の際は、上記と同様の方法で被測定試料の向きを変えて測定した。なお、本測定例では軸方向および、厚み方向の熱伝導測定5回の平均値を用い、軸方向熱伝導率λ1と厚み方向熱伝導率λ2の比αを算出した。
<非通紙部昇温度>
非通紙部昇温評価には、上記方法にて作製した実施例1〜5、比較例1の加圧パッドをそれぞれ搭載した図2に記載の定着装置20を使用した。定着装置20に搭載された定着ローラ51の速度を234mm/secとなるように調整し、定着ローラ温度を180℃に設定した。定着装置20のニップNに用紙Pとして通紙した紙はA4縦サイズ紙(キヤノン(株)製GF−C081)である。連続500枚通紙した時の非通紙領域(A4縦サイズ紙が通過しない領域)の定着ローラ表面の温度を測定した。
<立ち上がり時間>
立ち上がり時間の評価には、上記の加熱装置20に、通紙を行わない空回転状態において、ヒータスイッチが入ってから、定着ローラ51の表面温度が180℃になるまでの時間を測定した。
<評価結果>
熱伝導率比α、非通紙部温度、立ち上がり時間の評価結果を表1に示した。
比較例1では非通紙部温度は250℃、立ち上がり時間は16.3秒であった。非通紙部温度は250℃と高温になり、耐久破壊温度である230℃を超えてしまい、所望の非通紙部昇温抑制の効果は得られなかった。
実施例1では、非通紙部温度が229℃であり、非通紙部昇温抑制を確認した。また、立ち上がり時間は15.7秒であり、立ち上がり時間の短縮効果についても確認した。
実施例2〜5についても、表1に示す結果の通り、非通紙部昇温抑制効果と立ち上がり時間の短縮効果を確認した。
加圧パッド53の弾性層53bは、定着ローラ51の回転軸線方向に平行な長手方向に針状フィラー53b1が配向しているため、長手方向の熱伝導率が高く、厚み方向の熱伝導は抑えられる。長手方向の熱伝導率が高いことが、非通紙部昇温抑制に寄与していると考えられる。また、針状フィラー53b1の配向の効果と、弾性層53bに空隙53b2を有すことから、弾性層53b厚み方向の熱伝導率が抑えられていることにより、立上時間の短縮が達成されたと考えられる。
更には、加圧パッド53の弾性層53bの硬度が高くなると、次のような問題が発生することがあった。即ち、小サイズ用紙を通紙した場合に、通紙部に加圧力が集中し、用紙Pのコバ部に当接する部分の定着ローラ51の表面及び加圧ベルト52の表面に傷がついたり、削れ量が多くなるという問題が発生することがあった。しかしながら、針状フィラーを使用することで、フィラーの含有量が抑えられるため、弾性層53bを低硬度に抑えることができる。また弾性層53bに空隙53b2があるため、弾性層を低硬度に抑えることができる。したがって,コバ傷、コバ削れの発生を低減できる。
更には弾性層53bを単層で構成していることから、製造工程が簡略化ができるだけでなく、弾性層53bが厚くなることで、弾性層53bの変形量が大きくなり、厚分布の調整が難しくなるといった問題を防止できる。
以上説明したように、多孔質の弾性層53bを有する固定された加圧部材であって、弾性層53bは、針状フィラー53b1を含む。そして、針状フィラー53b1は、弾性層53bの長手方向の熱伝導率が該弾性層の厚み方向の熱伝導率に対して6倍以上900倍以下となるように該弾性層中において配向している。このような構成で、固定された加圧部材にすることで、製造工程を簡略化し、非通紙部昇温抑制と立ち上がり時間の短縮が可能となった。
《第2の実施形態》
画像加熱装置20の構成は上記第1の実施形態のように加熱ローラ51と加圧ベルトユニット70を用いたものに限られない。図9、図10、図11に、それぞれ、他の装置構成例の概略図を示した。
(1)図9の装置は、加熱部材として可撓性を有するエンドレスベルト(加熱ベルト)81を用いている。このベルト81を複数の支持部材82〜84間に張りを与えて懸け回して支持させてモータMで駆動される駆動部材としての支持ローラ82により回転駆動させる。
そして、このベルト81の内側にヒータ支持部材としての固定のステー84に支持させた固定のヒータ(加熱源)85をベルト81の内面に接触させて配設する。このベルト81を介してヒータ85と共にニップNを形成する固定の加圧部材としての加圧パッド53を圧接させた装置構成にすることもできる。用紙PはニップNで挟持搬送されて加熱される。
ヒータ85は例えばセラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、電磁誘導発熱部材にすることができる。また、ベルト81に通電発熱層を設けてベルト自体を発熱させる構成にすることもできる。ベルト81や用紙Pが摺擦する加圧パッド53の表面はベルト81や用紙Pとの摩擦係数が小さい表面層を設けたり、シート材で覆った形態にすることもできる。
(2)図10の装置は、加熱部材として繰り出し部86から巻き取り部87に走行移動される可撓性を有する有端のウエブ状のベルト81を用いる。そして、繰り出し部86と巻き取り部87との間においてベルト81の内側に固定の支持部材83で支持させた固定のヒータ(加熱源)85をベルト81の内面に接触させて配設する。このベルト81を介してヒータ85と共にニップNを形成する加圧部材としての加圧パッド53を圧接させた装置構成にすることもできる。用紙PはニップNで挟持搬送されて加熱される。
(3)図11はツインベルト式の装置である。この装置は、可撓性を有するエンドレスベルト(加熱ベルト)81を用いた加熱ベルトユニット90と、可撓性を有するエンドレスベルト(加圧ベルト)52を用いた加圧ベルトユニット70とを有する。
加熱ベルトユニット90は、弾性層を有する定着ローラ91と、ステアリングローラ92と、加圧パッド53Aと、これらに懸回張設された、電磁誘導加熱される加熱ベルト81と、この加熱ベルト81を誘導加熱するコイル93と、を有する。加圧ベルトユニット70は金属製の加圧ローラ56と、ステアリングローラ57と、加圧パッド53と、これらに懸回張設された加圧ベルト52と、を有する。
加圧ローラ56は加圧ベルト53と加熱ベルト81を挟んで弾性層を有する定着ローラ91に圧接している。加圧パッド53は加圧ベルト53と加熱ベルト81を挟んで加圧パッド53Aに圧接している。これにより、加熱ベルトユニット90の加熱ベルト81と加圧ベルトユニット70の加圧ベルト53との間に用紙搬送方向に関して幅広のニップNが形成される。加熱ベルト81と加圧ベルト53はそれぞれ矢印R81とR52の方向に回転駆動される。加熱ベルト81はコイル93により所定の定着温度に立ち上げられて温調される。用紙PはニップNで挟持搬送されて加熱される。
図9から図11の各装置において、加圧部材としての加圧パッド53、53Aは第1の実施形態の装置20で説明した加圧パッド53と同様に構成される。
《その他の事項》
(1)本発明における画像加熱装置には、未定着トナー像(顕画剤像、現像剤像)を加熱して固着画像として定着又は仮定着する装置の他に、定着されたトナー像を再加熱してつや等の表面性を改質する装置も包含される。
(2)画像形成装置の画像形成部は電子写真方式に限られない。静電記録方式や磁気記録方式の画像形成部であってもよい。また、転写方式に限られず、記録材に対して直接方式でトナー像を形成する構成のものであってもよい。
(3)実施の形態において定着装置20は、実施の形態の電子写真カラープリンタ以外の画像形成装置、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等で実施されてもよい。即ち、実施の形態の定着装置及び電子写真カラープリンタは、上述した構成部材の組み合わせには限定されず、それぞれの代替部材で一部又は全部を置き換えた別の実施形態で実現してもよい。
20・・画像加熱装置(定着装置)、51・・加熱部材、53・・加圧部材、N・・ニップ、P・・記録材、t・・画像、53b・・弾性層、53b1・・針状フィラー、53b2・・空隙(多孔質)

Claims (16)

  1. 画像を担持した記録材を挟持搬送しつつ加熱するニップを加熱部材と共に形成する、弾性層を有し固定して配設される画像加熱装置用の細長い加圧部材であって、
    前記弾性層は針状フィラーを含んだ多孔質であり、前記針状フィラーは前記弾性層の長手方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率に対して6倍以上900倍以下となるように配向していることを特徴とする加圧部材。
  2. 弾性層中に前記針状フィラーを5〜40体積%含むことを特徴とする請求項1に記載の加圧部材。
  3. 前記針状フィラーが弾性層中において前記長手方向に配向していることを特徴とする請求項1または2に記載の加圧部材。
  4. 前記針状フィラーは平均長さが50μm〜1000μmであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の加圧部材。
  5. 前記針状フィラーの熱伝導率λが500W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の加圧部材。
  6. 前記針状フィラーが炭素繊維であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の加圧部材。
  7. 前記多孔質の弾性層の空隙率は10体積%以上、70体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の加圧部材。
  8. 前記弾性層の厚み方向の熱伝導率が0.08W/(m・K)以上0.4W/(m・K)以下であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の加圧部材。
  9. 前記弾性層が付加硬化型シリコーンゴムの混合物を含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の加圧部材。
  10. 前記弾性層は剛性を有する基体に支持されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の加圧部材。
  11. 請求項1乃至10の何れか一項に記載の加圧部材を有することを特徴とする画像加熱装置。
  12. 前記加熱部材が回転駆動される回転体であることを特徴とする請求項11に記載の画像加熱装置。
  13. 前記回転体が加熱ローラ又は加熱ベルトであることを特徴とする請求項12に記載の画像加熱装置。
  14. 前記回転体との間でニップを形成するベルトを有し、前記加圧部材が前記ニップにて前記ベルトの内側から前記回転体に向けて圧力を付与することを特徴とする請求項12又は13に記載の画像加熱装置。
  15. 請求項11ないし14の何れか一項に記載の画像加熱装置を有することを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項1乃至10の何れか一項に記載の加圧部材の製造方法であって、
    1)針状フィラーと吸水性ポリマーに水を含ませた含水材料とを分散させた未架橋付加硬化型液体シリコーンゴムの組成物を、加圧部材の基体をセットした型に前記基体の長手方向に流動を与えながら注型する注型工程と、
    2)前記組成物が充填されている前記型を密閉し水の沸点以下の温度で熱処理してシリコーンゴム成分を架橋硬化する架橋硬化工程と、
    3)前記型から前記組成物が注型され架橋硬化して積層されている基体を脱型する脱型工程と、
    4)脱型した基体に積層された前記組成物を加熱処理して含水材料中の水分を蒸発させて脱水し空隙を形成する脱水工程と、
    を有することを特徴とする加圧部材の製造方法。
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