JP2015054841A - 水中油型乳化化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 紫外線A領域に対してもB領域に対しても紫外線防御能が高く、しかも紫外線吸収剤が直接肌に触れることがないため肌への刺激が少なく、衣服を汚染することもなく、皮膚に塗布する際の感触に優れ、また、金属酸化物顔料を含有するにも関わらず皮膚に塗布する際の感触に優れ、さらに、水中油型の乳化化粧料のため油っぽさや塗布時の重い感触がない使用性に優れた水中油型乳化化粧料を提供する。【解決手段】 オルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするUVA吸収剤とUVB吸収剤を内包するマイクロカプセルと、酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる1種以上の金属酸化物顔料を含有させて水中油型乳化化粧料を構成する。水中油型乳化化粧料中でのUVA吸収剤の含有量は1〜20質量%、UVB吸収剤の含有量が5〜30質量%、金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%の範囲になるようにするのが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、A領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤(以下、UVA吸収剤という)とB領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤(以下、UVB吸収剤という)を内包するオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルと、金属酸化物顔料とを含有する水中油型乳化化粧料に関し、さらに詳しくは、紫外線A領域に対してもB領域に対しても紫外線防御能が高く、しかも有機紫外線吸収剤がオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルに内包されているため肌への刺激が少なく、金属酸化物顔料を含有するにもかかわらず、皮膚に塗布する際の感触に優れる、特に日焼け防止を目的とした水中油型乳化化粧料に関する。
従来から、日焼け防止を目的とした化粧料には、紫外線防御剤として、有機の紫外線吸収剤や酸化亜鉛などの金属酸化物顔料が用いられてきた(特許文献1,2など)。日焼けは、太陽光線中の波長が290〜320nmの紫外線B領域と言われる領域の紫外線(以下、UVBという)と、320〜400nmの紫外線A領域と言われる領域の紫外線(以下、UVAという)によって引き起こされ、UVBは皮膚に紅斑を引き起こして炎症後黒化をもたらす。UVAは紅斑をほとんど起こさないが皮膚を黒化すると言われていたが、近年、UVAは皮膚の深部にまで達し、皮膚の老化や皮膚癌を誘発する原因となることが分かってきた。
UVA防御能はPA(Protection Grade of UVA)、UVB防御能はSPF(Sun Protection Factor)で表され、日焼け止め化粧料の紫外線防御能の目安となっているが、UVAに関しては、上記のようにUVBに比べてそのエネルギーが低く紅斑を起こしにくいことや、UVA防御能の表示法が、段階基準が少なく比較がやや曖昧になってしまうということもあり、UVBに比べると余り対策は講じてこられなかった。
日本化粧品工業連合会はPAの表示基準をより細分化し、2013年1月1日からその基準が施行されたことで、UVAPFの数値をより詳しく比較できるようになり、UVAに対する紫外線防御力も、UVBに対するSPF値と同様に、重要視されるようになってきた。しかしながら、UVBに比べると、UVAに対する効果の高い紫外線防御力を有する化粧料の開発は遅れているのが現状である。特に、UVA吸収剤の多くは油溶性で常温では固体であり、溶解のために多量の油剤を必要とするため、化粧料も油性化粧料あるいは油中水型乳化化粧料の形態となり、皮膚に塗布すると油っぽさ、重さを感じるといった問題があった。
また、有機紫外線吸収剤は、皮膚に対して刺激性のあるものが多く、それらの紫外線吸収剤では吸収能が発揮できる量を配合しにくいという問題があり、さらに、紫外線吸収剤によっては二次付着によって衣服を汚染するという問題もあった。これらの問題を解決するために、紫外線吸収剤をカプセル中に封じて皮膚や衣服に直接紫外線吸収剤が接触するのを避ける試みがあり(特許文献3など)、本発明者らも、肌への親和性が高いシリル化ペプチドと、なめらかな感触を与えるオルガノポリシロキサンの重合物からなるマイクロカプセルに紫外線吸収剤を封じた紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを提案してきた(特許文献4)。
しかし、有機紫外線吸収剤の多くは刺激性を有することから、販売を目的としたり、日常的な使用を目的とした化粧品では、厚生労働省告示の化粧品基準で、紫外線吸収剤ごとに化粧品中での配合上限が定められている。そのため、無機の金属酸化物粉体のみで高い紫外線防御能を得ようとする試みや(特許文献5)、有機紫外線吸収剤と紫外線散乱効果を有する金属酸化物顔料を併用して、より高い紫外線防御能を得ようとする試みもあるが(特許文献6)、金属酸化物顔料は、化粧料に多量に配合すると皮膚に塗布した際に”白浮き現象”を起こす、塗布時にはざらつき感が生じる、という問題があり、顔料を微粒子化してこの現象を抑えるようにしているが、充分な紫外線防御能を得る量を配合すると、肌の白浮きだけでなく、塗布の際にきしみ感が出るという問題があった。
従って本発明は、UVAに対してもUVBに対しても紫外線防御能が高く、しかも紫外線吸収剤が、シリコーンを主体とする壁膜のマイクロカプセルに内包されているため肌への刺激が少なく、かつ衣服を汚染することがなく、金属酸化物顔料を含有するにも係わらず皮膚に塗布する際の感触に優れ、油っぽさのない感触に優れた水中油型化粧料、特に、紫外線から肌を防御することを目的とした水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、UVA吸収剤とUVB吸収剤をそれぞれ1種類以上内包するオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルと、金属酸化物顔料を含有する水中油型乳化化粧料では、UVAに対してもUVBに対しても紫外線防御能が高く、しかも紫外線吸収剤がオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルに内包されているため、肌への刺激が少なく、かつ衣服を汚染することがなく、金属酸化物顔料を含有するにも係わらず皮膚に塗布する際の感触がなめらかであり、さらに、剤形が水中油型であるため油っぽさがない化粧料となることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、UVA吸収剤とUVB吸収剤を内包するオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とマイクロカプセルと、酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる1種以上の金属酸化物顔料を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料を基本発明とするもので、これを請求項1に関わる発明とする。
UVAの紫外線を吸収する紫外線吸収剤としては、4−tert−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[4,6−bis(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルなどが化粧品に用いられているが、これらの中でも4−tert−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタンおよび2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルがUVAの吸収能が高く、かつ入手しやすい点から好ましい。
また、UVBの紫外線を吸収する紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシル(別名オクトクリレン)などが化粧品に用いられているが、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルがUVBの吸収能が高く入手しやすいことから好ましい。
そのため、UVA吸収剤が、4−tert−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタンまたは2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルであり、UVB吸収剤が、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルまたは2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルである請求項1に記載の水中油型乳化化粧料を請求項2に関わる発明とする。なお、以下、4−tert−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタンはt−ブチルメトキシベンゾイルメタンと略し、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルはジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと略して記し、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルを記述する場合は、別名のオクトクリレンと記す。
金属酸化物顔料としては、酸化亜鉛、二酸化チタンが紫外線防御効果が高く好ましいが、特に酸化亜鉛はUVAに対する紫外線散乱効果に優れるため、本発明の目的を達成するためには好ましい。そのため、金属酸化物顔料が酸化亜鉛である請求項1または2に記載の水中油型乳化化粧料を請求項3に関わる発明とする。
本発明の乳化化粧料は水中油型であるので、金属酸化物顔料は、油中水型乳化化粧料に比べると分散性はよいが、それでも配合量や併用する他の成分によっては分散性が下がり、保存中に凝集したり、塗布時にきしみ感を与えるおそれがある。そのため、金属酸化物顔料の分散性向上剤として、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマーなどのシリコーン系ポリマーを併用すると、金属酸化物顔料がより安定に保たれる水中油型乳化化粧料となる。よって、シリコーン系ポリマーを金属酸化物顔料の分散性向上剤として含有する請求項1〜3のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料を請求項4に関わる発明とする。
請求項5に関わる発明は、化粧料中でのUVA吸収剤の含有量が1〜20質量%であり、UVB吸収剤の含有量が5〜30質量%であり、金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料である。本発明の水中油型乳化化粧料中での紫外線吸収剤の含有量、金属酸化物顔料の含有量の好適な範囲は、化粧料の剤形、紫外線吸収剤量と金属酸化物顔料の配合割合、併用される他の成分の種類や量によって変動するが、通常は化粧料全質量に対して、UVA吸収剤の合計含有量が1〜20質量%であり、かつUVB吸収剤の合計含有量が5〜30質量%で、紫外線防御の性質を有する金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%であるのが好ましい。
日焼け防止を目的とする化粧料では、UVA防御能のPAとUVB防御能のSPFをもとに紫外線防御能が比較されるが、UVAでは、UVAPF値が16以上のものは、「PA++++」で表示されて防御能が最高を意味する。また、UVBでは、SPF値が50以上のものは「SPF50+」で表し、SPF表示ではこれが最高値である。従って、UVAPF値が16以上で、SPF値が50以上の請求項1〜5のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料を請求項6に関わる発明とする。
本発明の水中油型乳化化粧料は、UVAに対してもUVBに対しても優れた紫外線防御能を発揮するため日焼け防止効果が高く、しかも紫外線吸収剤がオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルに内包されているため肌への刺激が少なく、かつ衣服を汚染することがなく、また、金属酸化物顔料を含有するにも係わらず皮膚に塗布する際の感触に優れ、さらに、水中油型の乳化化粧料のため油っぽさや塗布時の重い感触がない。
本発明の水中油型乳化化粧料は、UVA吸収剤とUVB吸収剤をそれぞれ1種以上内包するオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルを含有させるが、UVA吸収剤とUVB吸収剤の組み合わせが異なる紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを2種以上含有させてもよい。
マイクロカプセルの壁膜となるオルガノポリシロキサンの原料としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリメチルクロロシランなどが挙げられる。また、シリル化ペプチドとしては、例えば、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解タンパク、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解タンパクなどが挙げられ、加水分解タンパク部分は、加水分解シルク、加水分解コラーゲン、加水分解セリシン、加水分解ケラチンなど天然タンパクをアミノ酸重合度が10〜50程度に加水分解したものが用いられる。
カプセル中に含有させるUVA吸収剤としては、例えば、4−tert−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[4,6−bis(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、UVB吸収剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、オクトクリレンなどが挙げられる。
マイクロカプセルに内包させる紫外線吸収剤の量は、特に限定はないが、内包量が少ないと多量のマイクロカプセルを化粧料に配合する必要がある上にマイクロカプセル壁膜が厚くなって紫外線吸収効果が低くなる。そのため、マイクロカプセル全量に占める内包物質の質量の割合を示す内包率が40%以上であるのが好ましい。内包率は高くなるほど紫外線に対する防御能は高くなるが、壁膜が薄くなってマイクロカプセルが壊れやすくなるため、内包率の上限は92%程度が好ましい。
本発明の水中油型乳化化粧料に用いる紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルは、UVA吸収剤とUVB吸収剤を同時に含有することが必須であり、UVA吸収剤、UVB吸収剤の一方が極端に少ない場合は、それぞれの紫外線領域の紫外線に対する防御力が不足することになる。そのため、UVA吸収剤とUVB吸収剤の存在割合は、使用する紫外線吸収剤の組み合わせによって異なるが、概ね質量比で1:20〜4:1の範囲に保つ必要がある。
本発明の水中油型乳化化粧料に用いるオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルは、本発明者らの発明である特許文献4や特開2000−225332号公報などに記載の方法で容易に製造できる。例えば、UVA吸収剤のt−ブチルメトキシベンゾイルメタンとUVB吸収剤のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルとを質量比で1:4で内包する内包率90%のマイクロカプセルの製造方法は、上記の特許公報の他、特開2001−106612号公報にも詳しく記載されている。また、その他のUVA吸収剤とUVB吸収剤の組み合わせのマイクロカプセルも同様に製造することができる。
UVA吸収剤とUVB吸収剤を内包するオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルは、水分散液の形で(株)成和化成から販売されていて、それらを利用することができる。市販品の具体例を示せば、UVA吸収剤のt−ブチルメトキシベンゾイルメタンとUVB吸収剤のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルとを質量比で1:4で内包する内包率90%のマイクロカプセルを60質量%含む水分散液;シラソーマMEA(商品名)およびシラソーマMEA(L)(商品名)、UVA吸収剤であるt−ブチルメトキシベンゾイルメタンとUVB吸収剤のオクトクリレンを質量比で1:3で内包する内包率90%のマイクロカプセルを含む水分散液;シラソーマREA(S)(商品名)、UVA吸収剤のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルとUVB吸収剤のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルとを質量比で44:56で内包する内包率90%のマイクロカプセルを60質量%含む水分散液;シラソーマEP(S)(商品名)などが挙げられる。
本発明の水中油型乳化化粧料に用いる金属酸化物顔料は、酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれるが、塗布時の感触や隠蔽力、紫外線の散乱効果の点から微粒子のものが好ましい。また、その表面がシリカ、アルミナ等の無機化合物、脂肪酸金属石鹸、シリコーン等の有機化合物で被覆されていてもよいが、水中油型乳化化粧料にシリコーン系の溶剤を用いる場合は、シリコーン系物質で表面処理されているものが好ましい。酸化亜鉛、二酸化チタンとも紫外線散乱効果に優れるが、本発明では、金属酸化物顔料としては、UVAに対する防御能力が高い酸化亜鉛が特に好ましい。
金属酸化物顔料が水中油型乳化化粧料中により均一かつ安定に分散するように、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマーなどのシリコーン系ポリマーを分散性向上剤として併用するのが好ましい。これらのシリコーン系ポリマー中でも、ポリグルセリル−3ポリジメチルシロキサンエチルジメチコン、(ハイドロゲンジメチコン/オクチルシルセスキオキサン)コポリマー、(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマーは、金属酸化物顔料を安定に分散させる効果により優れるため好ましい。
金属酸化物顔料の分散性向上剤としてのシリコーン系ポリマーの配合量は、金属酸化物顔料の量や併用する他の配合品、化粧料の剤形によって大きく変動するため明確な数値を示すことはできないが、概ね、金属酸化物顔料の0.1〜10質量%である。分散性向上剤の配合量が少ない場合には金属酸化物顔料を均一に分散させる効果が見られないおそれがあり、配合量が上記範囲より多くなっても配合量に見合う分散性の向上効果がみられないおそれがある。ただ、シリコーン系ポリマーは、金属酸化物顔料を含む化粧料の塗布時のきしみ感を軽減し、なめらかな感触を付与する効果を有するため、上記範囲以上に使用される場合もある。
金属酸化物顔料は、粉体そのものを本発明の水中油型乳化化粧料に配合してもよいが、他成分と混合してあるもを利用してもよい。そのようなものとしては、例えば、信越化学工業(株)から、酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンの混合物として販売されいるSPD−Z5(商品名)、酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、(ハイドロゲンジメチコン/オクチルシルセスキオサン)の混合物のSPD−Z6(商品名)、酸化チタン、シクロペンタシロキサン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、水酸化アルミニウム、ステアリン酸の混合物のSPD−T5(商品名)、酸化チタン、シクロペンタシロキサン、シリカ、(ハイドロゲンジメチコン/オクチルシルセスキオサン)、水酸化アルミニウムの混合物のSPD−T6(商品名)などが挙げられる。
本発明の水中油型乳化化粧料は、上記のように製造したUVA吸収剤とUVB吸収剤をそれぞれ1種以上内包するマイクロカプセルや市販品のUVA吸収剤とUVB吸収剤を内包するマイクロカプセルと、金属酸化物顔料、そして場合によっては金属酸化物顔料の分散性向上剤のシリコーン系ポリマーから構成され、特に紫外線から肌を防御することを目的とした水中油型乳化化粧料に適するが、毛髪用化粧品としてもよい。そして、化粧料の剤形としては、クリーム、ジェル、乳液などが使用の上からは好ましい。
水中油型乳化化粧料中での紫外線吸収剤および金属酸化物顔料の含有量は、紫外線吸収剤と金属酸化物顔料の配合割合によって変動するため明確な数値範囲を規定することはできないが、概ね、UVA吸収剤の含有量は1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%であり、かつUVB吸収剤の含有量が5〜30質量%、好ましくは7〜20質量%であり、金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%である。紫外線吸収剤と金属酸化物顔料の配合比率は、使用する紫外線吸収剤や金属酸化物の種類や併用する他の成分の影響を受けるため明確な配合比率を明示することはできないが、概ね50:1〜1:20である。なお、UVA吸収剤およびUVB吸収剤を内包するマイクロカプセルを2種以上含有する場合は、UVA吸収剤量、UVB吸収剤量とも化粧料中での合計量を意味する。また、金属酸化物顔料を2種以上用いる場合も化粧料中での合計量を意味する。
UVA吸収剤、UVB吸収剤および金属酸化物顔料の濃度が上記範囲以下では、UVA領域およびUVB領域に紫外線に対して充分な防御効果が得られない恐れがあり、含有量が上記範囲以上になっても配合量に見合う効果の増加が期待できないだけでなく、金属酸化物顔料の含有量が多くなると、皮膚に塗布した際ののびが悪くなる上に塗布後の肌が白っぽくなる恐れもある。
また、有機紫外線吸収剤の含有量については、厚生労働省告示の化粧品基準別表第4号で紫外線吸収剤ごとに配合上限が定められているため、販売を目的としたり、日常的な使用を目的とした化粧料には、その基準以上に含有させることはできない。例えば、化粧料100g中の最大配合量は、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンやオクトクリレンはすべての化粧品に対し10g、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルやパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルは、粘膜に使用されることがない化粧品に対しそれぞれ10g、20gである。そのため、販売を目的としたり、日常的な使用を目的とした水中油型乳化化粧料中に含有させることができる紫外線吸収剤の合計量の最大値は、各紫外線吸収剤の最大配合量を超えない値の合計値である。
本発明の水中油型乳化化粧料は、UVA吸収剤とUVB吸収剤をそれぞれ1種以上内包するオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜としたマイクロカプセルと、酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる1種以上の金属酸化物顔料を必須成分として構成されるが、これら以外に併用して配合できる成分としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、アニオン性ポリマーなどの合成ポリマー、半合成ポリマー類、動植物油、炭化水素類、エステル油、高級アルコール類、アミノ酸類、増粘剤、動植物抽出物、シリコーン類、防腐剤、香料、動植物由来及び微生物由来のタンパク質を加水分解したタンパク質加水分解物及びそれらタンパク質加水分解物のエステル化誘導体、第4級アンモニウム誘導体、シリル化誘導体、アシル化誘導体とその塩などが挙げられる。これら以外にも本発明の化粧品基材の特性を損なわない範囲で適宜他の成分を添加することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中などで表記されている%はいずれも質量%である。また、化粧品の処方を含む実施例では、配合量はいずれも質量部によるものであり、配合量が固形分量でないものについては、成分名のあとに括弧書きで固形分濃度を示す。
実施例1および比較例1
表1に示す組成のサンスクリーンクリームを調製し、UVAPFおよびSPFを測定した。実施例1では、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含むマイクロカプセルに、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液と、金属酸化物顔料として酸化亜鉛を用いている。比較例1では、実施例1で用いているt−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液のみを用い、金属酸化物顔料は用いていない。
表1に示す組成のサンスクリーンクリームを調製し、UVAPFおよびSPFを測定した。実施例1では、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含むマイクロカプセルに、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液と、金属酸化物顔料として酸化亜鉛を用いている。比較例1では、実施例1で用いているt−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液のみを用い、金属酸化物顔料は用いていない。
表1中、*1は(株)成和化成製のシラソーマMEA(L)(商品名)、*2はテイカ(株)製のMZY−303S(商品名)、*3は花王(株)製のレオドールMS−165V(商品名)で、*4はセタノールのポリエチレングリコールエーテルで日光ケミカルズ(株)製のBC−10(商品名)である。*5はジメチコン(ジメチルポリシロキサン)のメチル基の一部をポリエチレングリコールで置換したもの(ポリエチレングリコールの平均重合度は10)で、信越化学工業(株)製のKF−6017(商品名)、*6はSEPPIC社製の乳化増粘剤のSIMULGEL EG(商品名)であり、*7は(株)成和化成製のセイセプト−H(商品名)である。
上記のサンスクリーンクリームのUVAPFおよびSPFの測定は、紫外線吸収能の試験機関である、米国、ニューヨーク市のAMA Laboratories Inc.に依頼した。測定試験法は、UVAPFはISO24442に、SPFはISO24444に準拠し、それぞれ被験者数2で行った。それらの結果を表2に示す。
表2に示したように、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含有するマイクロカプセルと酸化亜鉛を含有する実施例1のサンスクリーンクリームは、UVAに対する防御能は17.0でPA表示では最高の「PA++++」であり、UVBに対する防御能はSPF表示で「SPF44」の高い値を示した。これに対し、実施例1から酸化亜鉛のみを除いた比較例1のサンスクリーンクリームでは、UVFPF値、SPF値とも実施例1のジェルサンスクリーンより低かった。すなわち、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルのみでは、UVFPF値、SPF値とも最高値には達しないが、酸化亜鉛を併用することでUVFPF値、SPF値とも最高値に近い値にまで紫外線防御能が向上するのが明らかであった。
実施例2および比較例2
表2に示す組成のジェルサンスクリーンを調製し、UVAPFおよびSPFを測定した。実施例2では、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含むマイクロカプセルに、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液と、金属酸化物顔料として酸化亜鉛のシクロペンタシロキサン分散物を用いている。比較例2では、実施例1で用いているt−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液のみを用い、金属酸化物顔料のシクロペンタシロキサン分散物は用いていないが、マイクロカプセルの配合量を2倍に増量している。
表2に示す組成のジェルサンスクリーンを調製し、UVAPFおよびSPFを測定した。実施例2では、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含むマイクロカプセルに、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液と、金属酸化物顔料として酸化亜鉛のシクロペンタシロキサン分散物を用いている。比較例2では、実施例1で用いているt−ブチルメトキシベンゾイルメタンとパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを質量比1:4で内包する内包率90%のオルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とするマイクロカプセルの水分散液のみを用い、金属酸化物顔料のシクロペンタシロキサン分散物は用いていないが、マイクロカプセルの配合量を2倍に増量している。
表1中、*1は既出で、*8は信越化学工業(株)製のSPD−Z6(商品名)で、酸化亜鉛の分散助剤としてポリグリセリル−3−ポリジメチルシロキシエチルジメチコンおよび(ハイドロゲンジメチコン/オクチルシルセスキオサン)コポリマーを含んでいる。また、*9は松本油脂製薬(株)製のマツモトマイクロスフィアー S−100(商品名)である。
上記のジェルサンスクリーンのUVAPFおよびSPFの測定は、実施例1などと同様に、AMA Laboratories Inc.に依頼し、実施例1と同じ方法で試験した。それらの結果を表4に示す。
表4に示したように、UVA吸収剤とUVB吸収剤を含有するマイクロカプセルと酸化亜鉛のシクロペンタシロキサン分散物を配合した実施例2のジェルサンスクリーンは、UVAに対する防御能は19.2でPA表示では最高の「PA++++」であり、UVBに対する防御能はSPF表示で「SPF50+」の最高値を示した。これに対し、酸化亜鉛のシクロペンタシロキサン分散物を含有せずその分マイクロカプセルの含有量を増やした比較例1のジェルサンスクリーンでは、UVFPF値、SPF値とも実施例1のジェルサンスクリーンより低かった。比較例1のジェルサンスクリーン中のUVB吸収剤であるパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルの含有量は17質量%以上であるが、化粧品基準によるパラメトキシケイ皮酸エチルヘキシルの最大配合量は、粘膜に使用されることがない化粧品で100g中20gで、配合上限に近い量である。すなわち、これらの結果から、有機紫外線吸収剤の含有量が比較例1の半分でも、酸化亜鉛のシクロペンタシロキサン分散物を併用することで、PA表示で「PA++++」、SPF表示で「SPF50+」にすることができるということが明らかであった。
日焼け止めを目的とする化粧品として使用できる。
Claims (6)
- オルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドの重合物を壁膜とし、A領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤とB領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤をそれぞれ1種以上内包するマイクロカプセルと、酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる1種以上の金属酸化物顔料を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料。
- A領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤が、4−tert−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタンまたは2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルであり、B領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤が、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルまたは2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルである請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
- 金属酸化物顔料が酸化亜鉛である請求項1または2に記載の水中油型乳化化粧料。
- さらに、シリコーン系ポリマーを金属酸化物顔料の分散性向上剤として含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
- 化粧料中でのA領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤の含有量が1〜20質量%であり、B領域の紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤の含有量が5〜30質量%であり、金属酸化物顔料の含有量が1〜30質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
- A領域の紫外線を防御する能力を表すUVAPF値が16以上で、B領域の紫外線を防御する能力を表すSPF値が50以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
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- 2013-09-12 JP JP2013189133A patent/JP2015054841A/ja active Pending
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