JP2015048674A - ドアクローザの構造 - Google Patents

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雅司 越川
Masashi Koshikawa
雅司 越川
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Abstract

【課題】低圧室から高圧室への空気の流入を阻止し、高圧室から低圧室へ流入する空気の噴射音を防止できるドアクローザの構造を提供する。【解決手段】ドアクローザ11の構造において、作動流体15を通過させるピストン貫通孔23を備え、シリンダ17の内部を高圧室25と低圧室27とに移動自在に仕切るピストン21と、ピストン貫通孔23に設けられる逆流防止弁29と、一端が高圧室25に通じ他端が低圧室27に向かって直線状に延在する基幹流路69と、基幹流路69を低圧室27に接続する調整流路45と、基幹流路69に同軸に配置される弁体支持杆63と、調整流路45よりも高圧室25側の弁体支持杆63の小径部71の外周に嵌着され基幹流路69を閉鎖し高圧室25側の大径部73へは可撓が規制される一方、低圧室27側の小径部71へは可撓が許容される3速用環状弁体67と、を設けた。【選択図】 図1

Description

本発明は、ドアクローザの構造に関する。
ドアの上端に取り付けられ出入口部の上枠との間をアームでつなぎ、内部に設けたばねの付勢力によりドアを自動的に閉じるようにしたドアクローザが知られている。このドアクローザには、扉の急激な閉動を防止する機能が備えられる(例えば特許文献1参照)。すなわち、作動流体を封入したシリンダの内部にピストンを設け、作動流体の速度調整流路の大きさを調整軸で外部より調整する。これにより、ピストンの移動により押される作動流体の流量を抑え、ドア閉動時にブレーキをかけるように構成されている。また、ドアクローザには、温度上昇に伴う作動流体の膨張を吸収して油漏れを防止するため、シリンダの内部に、作動流体体積の数%の空気が封入されている。
ところで、閉扉速度は、複数に設定されることがある。例えば全開からの閉扉開始時には速く、枠体接近時には指詰め防止のために低速とし、閉扉直前ではラッチを乗り越えるために再び速度を増加させる。この例では、3速となる。このような機能を実現される場合、通常3つの速度調整流路が設けられ、ピストンの移動に伴ってそれぞれの速度調整流路が機能(流量調整)するよう構成されている。
特開平4−16685号公報
しかしながら、上述の例における3速でシリンダに開口する速度調整流路の3速孔は、閉扉直前に速度を速めなければならないことから、流れの抵抗を小さくするため閉扉時点でも開放状態のままとすることが望ましい。3速孔は、開扉時から扉の開き角度約3度となったときに、移動するピストンによって塞がれる。その間、3速孔は低圧室と高圧室とを通じさせている。その結果、エアが低圧室から高圧室へ逆流してしまうことがある。高圧室に入った空気は、高圧となった高圧室の作動流体とともに、速度調整流路から低圧室へ流入する。この際、低圧室の空気中に噴射される空気は、噴射音を発生させる場合がある。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、低圧室から高圧室への空気の流入を阻止し、高圧室から低圧室へ流入する空気の噴射音を防止できるドアクローザの構造を提供することにある。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のドアクローザ11の構造は、作動流体15と空気19を封入して閉鎖されるシリンダ17と、
前記作動流体15を通過させるピストン貫通孔23を備えて前記シリンダ17に移動自在に設けられ、前記シリンダ17の内部を一端側の高圧室25と他端側の低圧室27とに仕切り、扉の開閉荷重が加えられるピストン21と、
前記ピストン貫通孔23に設けられ前記作動流体15の高圧室25側への流入を阻止する逆流防止弁29と、
一端が前記高圧室25に通じ他端が前記低圧室27に向かって直線状に延在する基幹流路69と、
前記基幹流路69を前記低圧室27に接続する調整流路45(43)と、
前記基幹流路69に同軸に配置される弁体支持杆63と、
前記調整流路45(43)よりも高圧室25側の前記弁体支持杆63に形成される小径部71に嵌着され高圧室25側の大径部73へは可撓が規制されて前記基幹流路69を閉鎖する一方、低圧室27側の前記小径部71へは可撓が許容される環状弁体67と、
を具備することを特徴とする。
このドアクローザ11の構造では、ピストン21に開扉荷重が加わると、ピストン21が低圧室27側へ移動される。その際、低圧室27側の作動流体15は、ピストン21に設けられているピストン貫通孔23から逆流防止弁29を通り高圧室25側へと流入する。この際、開扉時から例えば扉の開き角度約3度となるまで、基幹流路69と調整流路45(43)とは、低圧室27と高圧室25とを通じさせている。このため、作動流体15は、ピストン貫通孔23以外に、基幹流路69と調整流路45(43)とを通り高圧室25側へ流れようとする。この流れが、基幹流路69の中途に位置する環状弁体67によって阻止される。すなわち、この流れに伴って低圧室27から高圧室25側へ移動しようとする空気19の移動が阻止される。扉の開き角度が例えば約3度となったときに、移動するピストン21によって調整流路45(43)は塞がれる。扉が全開状態で、ピストン21が低圧室27側へ移動され、作動流体15の殆どは高圧室25側へ移動されることになる。
空気19が流れ込んでいない高圧室25の作動流体15は、閉扉時、低圧室27へ噴射されても、気泡が噴射されず、噴射音は発生することがない。
なお、本構成は、速度調整流路を1本とした簡略構造の例である。従って、扉の閉扉速度は、1速で抑えられる。
本発明の請求項2記載のドアクローザ11の構造は、請求項1記載のドアクローザ11の構造であって、
前記小径部71には、軸線に平行な平面部75が形成されていることを特徴とする。
このドアクローザ11の構造では、小径部71に、外周を削る平面部75が形成されている。これにより、環状弁体67の小径部71側へ倒れるスペースがさらに拡がる。弁体支持杆63は、簡単な加工により、環状弁体67を倒れやすく構成できる。
本発明の請求項3記載のドアクローザ11の構造は、請求項1または2記載のドアクローザ11の構造であって、
前記基幹流路69を前記低圧室27に接続する複数の前記調整流路45,43が設けられ、
前記環状弁体67が、前記調整流路45,43よりも高圧室25側の前記弁体支持杆63の小径部71の外周に嵌着されることを特徴とする。
このドアクローザ11の構造では、ピストン21に開扉荷重が加わると、ピストン21が低圧室27側へ移動される。その際、開扉時から例えば扉の開き角度約3度となるまで、最も高圧室25に近い調整流路45は、低圧室27と高圧室25を通じさせている。このため、作動流体15は、この調整流路45を通り高圧室25側へ流れようとする。この流れが、基幹流路69の中途に位置する環状弁体67によって阻止される。扉の開き角度が例えば約3度となったときに、移動するピストン21によってこの調整流路45は塞がれる。また、他の調整流路43も、ピストン21が低圧室27側へ移動される際、低圧室27と高圧室25とを通じさせている。これらの調整流路43も、基幹流路69の中途に位置する環状弁体67によって、高圧室25側へ流れようとする作動流体15の流れが同様に阻止される。
本発明の請求項4記載のドアクローザ11の構造は、請求項1,2,3のいずれか1つに記載のドアクローザ11の構造であって、
前記弁体支持杆63の支持杆先端に、高圧室25側へ可撓が規制されて前記基幹流路69を閉鎖する一方、低圧室27側へは可撓が許容される先端側環状弁体65が設けられることを特徴とする。
このドアクローザ11の構造では、ピストン21に開扉荷重が加わり、ピストン21が低圧室27側へ移動される際、高圧室25側へ流れようとする作動流体15が、基幹流路69の中途に位置する環状弁体67と、支持杆先端に設けられる先端側環状弁体65とによっても阻止される。低圧室27のピストン移動方向に複数の速度調整流路が開口する場合、環状弁体67と低圧室27の間で開口する速度調整流路は環状弁体67によって高圧室25への作動流体15の流れが阻止される。先端側環状弁体65に対して環状弁体67の反対側に開口される速度調整流路は、先端側環状弁体65と環状弁体67によって高圧室25への作動流体15の流れが阻止される。
本発明に係る請求項1記載のドアクローザの構造によれば、低圧室から高圧室への空気の流入を阻止し、高圧室から低圧室へ流入する空気の噴射音を防止できる。
本発明に係る請求項2記載のドアクローザの構造によれば、環状弁体の倒れる領域を、容易な加工によって得ることができる。
本発明に係る請求項3記載のドアクローザの構造によれば、弁体支持杆の中途に設けられた一つの環状弁体によって、それよりも低圧室側に設けられる複数の孔から高圧室へ流れようとする空気の逆流を阻止できる。
本発明に係る請求項4記載のドアクローザの構造によれば、調整流路から高圧室へ流入しようとする作動流体が、先端側環状弁体及び環状弁体の2つの弁によって確実に阻止できる。
本発明の実施形態に係るドアクローザの要部断面図である。 (a)は弁体支持杆の平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は(a)の側面図である。 扉全開時のドアクローザの要部断面を示した動作説明図である。 閉扉時の1速動作状態におけるドアクローザの要部断面を示した動作説明図である。 閉扉時の2速動作状態におけるドアクローザの要部断面を示した動作説明図である。 閉扉時の3速動作状態におけるドアクローザの要部断面を示した動作説明図である。 閉扉時の2速動作状態におけるドアクローザの要部拡大断面を示した動作説明図である。 閉扉時の3速動作状態におけるドアクローザの要部拡大断面を示した要部斜視図である。 開扉時の動作状態におけるドアクローザの要部断面を示した動作説明図である。 環状弁体のみが設けられて先端側環状弁体が省略されたドアクローザの要部断面図である。 (a)は図10に示した弁体支持杆の平面図、(b)は(a)のC−C断面図である。 閉扉時の動作状態において環状弁体が倒れるドアクローザの要部拡大断面を示した動作説明図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係るドアクローザの要部断面図、図2(a)は弁体支持杆の平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は(a)の側面図である。
本実施形態に係るドアクローザ11の構造は、一端を高圧側のシリンダキャップ部13により液密に閉塞し、内部に作動流体であるオイル15を充填したシリンダ17を備える。ドアクローザ11には、温度上昇に伴うオイル15の膨張を吸収して油漏れ等を防止するため、シリンダ17の内部に、オイル体積の数%の空気19が封入されている。
このシリンダ17の内部には、図示しないクローザばねの弾力によりシリンダキャップ部13に向う方向に付勢されたピストン21が、シリンダ軸線方向に移動可能に嵌装される。ピストン21には、扉の開閉荷重が加わる。ピストン21は、オイル15を通過させるピストン貫通孔23を備え、シリンダ17の内部を一端側の高圧室25と他端側の低圧室27とに仕切る。ピストン貫通孔23には、ボールチェックバルブよりなる逆流防止弁29が設けられる。逆流防止弁29は、オイル15の低圧室27側への流入を阻止する一方、オイル15の高圧室25側への流入を許容する。逆流防止弁29と低圧室27との間には、フィルタ31が介装される。
シリンダ17の壁部には、調整流路である1速用速度調整流路33と、2・3速用速度調整流路35とが、ピストン21の移動方向に沿って延在して形成される。1速用速度調整流路33は、1速用高圧ポート37を介して高圧室25に接続され、1速用低圧ポート39を介して低圧室27に接続される。2・3速用速度調整流路35は、2・3速用高圧ポート41を介して高圧室25に接続され、2速用低圧ポート43、3速用低圧ポート45を介して低圧室27に接続される。
1速用速度調整流路33には、1速用弁体支持杆47が配置される。1速用弁体支持杆47には一対のOリング装着溝49、雄ねじ部51、1速用環状弁体53が設けられる。それぞれのOリング装着溝49にはOリング55が装着され、Oリング55は1速用速度調整流路33と1速用弁体支持杆47の間を液密にシールする。雄ねじ部51は、1速用速度調整流路33の内周に形成される雌ねじ部57に螺合して、1速用弁体支持杆47の先端に形成されるオリフィス溝59と、シリンダ17の壁部に形成される調整溝61との位置を位置決め可能とする。調整溝61は、1速用高圧ポート37と1速用低圧ポート39を接続する。1速用環状弁体53は、1速用低圧ポート39から1速用高圧ポート37へのオイル15の流れを阻止し、1速用高圧ポート37から1速用低圧ポート39へのオイル15の流れを許容する。
2・3速用速度調整流路35には、弁体支持杆としての2・3速用弁体支持杆63が配置される。2・3速用弁体支持杆63には、図2に示す一対のOリング装着溝49、雄ねじ部51、先端側環状弁体としての2速用環状弁体65、環状弁体としての3速用環状弁体67が設けられる。
それぞれのOリング装着溝49にはOリング55が装着され、Oリング装着溝49は2・3速用速度調整流路35と2・3速用弁体支持杆63の間を液密にシールする。雄ねじ部51は、2・3速用速度調整流路35の内周に形成される雌ねじ部57に螺合する。雄ねじ部51は、2・3速用弁体支持杆63の先端に形成されるオリフィス溝59と、シリンダ17の壁部に形成される調整溝61との位置を位置決め可能とする。調整溝61は、2速用低圧ポート43と2・3速用高圧ポート41を接続する。
2・3速用速度調整流路35は、一端が2・3速用高圧ポート41を介して高圧室25に通じ、他端が低圧室27に向かって直線状に延在する基幹流路69を有する。基幹流路69は、2速用低圧ポート43(調整流路)と、3速用低圧ポート45(調整流路)とによって低圧室27に接続する。2・3速用弁体支持杆63は、基幹流路69に同軸に配置される。
2速用環状弁体65は、高圧室25側の可撓が規制され基幹流路69を閉鎖する一方、低圧室27側の可撓が許容される。これにより、2速用環状弁体65は、2速用低圧ポート43から2・3速用高圧ポート41へのオイル15の流れを阻止し、2・3速用高圧ポート41から2速用低圧ポート43へのオイル15の流れを許容する。
3速用環状弁体67は、3速用低圧ポート45よりも高圧室25側の2・3速用弁体支持杆63の小径部71の外周に嵌着される。本実施形態の2・3速用弁体支持杆63は、この小径部71において、二部品に分割可能に形成されている。これにより、2・3速用弁体支持杆63の途中に位置する小径部71に、環状弁体である3速用環状弁体67が容易に装着できるようになっている。3速用環状弁体67は、高圧室25側の大径部73へは可撓が規制され、基幹流路69を閉鎖する。一方、3速用環状弁体67は、低圧室27側の小径部71へは可撓が許容される。
小径部71には、2・3速用弁体支持杆63の軸線に平行な平面部75が形成されている。
次に、上記構成を有するドアクローザ11の作用を説明する。
図3は扉全開時のドアクローザの要部断面を示した動作説明図、図4は閉扉時の1速動作状態におけるドアクローザの要部断面を示した動作説明図、図5は閉扉時の2速動作状態におけるドアクローザの要部断面を示した動作説明図、図6は閉扉時の3速動作状態におけるドアクローザの要部断面を示した動作説明図、図7は閉扉時の2速動作状態におけるドアクローザの要部拡大断面を示した動作説明図、図8は閉扉時の3速動作状態におけるドアクローザの要部拡大断面を示した要部斜視図、図9は開扉時の動作状態におけるドアクローザの要部断面を示した動作説明図である。
ドアクローザ11の構造では、扉の全開状態から閉扉が開始されると、図3に示すピストン21に閉扉荷重が加わる。閉扉荷重が加えられたピストン21は、高圧室25側へ移動され、高圧室25に充満するオイル15を加圧する。この際、ピストン21に備えられる逆流防止弁29は、ピストン貫通孔23を通ろうとするオイル15の低圧室27側への流入を阻止する。これにより、オイル15は、先ず、図4に示す1速用速度調整流路33を通って低圧室27へと流れる。この際に生じる流れの抵抗により、オイル15の流量が抑えられ、ピストン21の移動が抑えられる。その結果、扉は、閉扉動作にブレーキがかけられる。
ピストン21が高圧室25側に移動されると、図5に示す2速用低圧ポート43が開き、オイル15は、2・3速用速度調整流路35を通って低圧室27へと流れる。この際、図7に示すように、3速用環状弁体67と、2速用環状弁体65とが低圧室27側に倒れ、オイル15の通過が許容される。
さらにピストン21が高圧室25側に移動されると、図6に示すように、2速用低圧ポート43に加え、3速用低圧ポート45が開く。これにより、図8に示すように、2・3速用高圧ポート41から流入したオイル15が、2速用低圧ポート43と3速用低圧ポート45の双方から低圧室27へと流れる。これにより、ピストン21の移動速度は、1速で早め、2速でゆっくり、3速で早めとなる。
高圧室25側のオイル15は、このようにして徐々に低圧室27側へと流れ、扉の閉扉状態において、殆どのオイル15は、低圧室27側へと移動することとなる。
閉扉状態から扉が開かれると、ピストン21に開扉荷重が加わり、ピストン21が低圧室27側へ移動される。その際、図9に示すように、低圧室27側のオイル15は、ピストン21に設けられているピストン貫通孔23から逆流防止弁29を通り高圧室25側へと流入する。逆流防止弁29は、高圧室25側へのオイル15の流入を許容する。
この際、開扉時から扉の開き角度約3度となるまで、基幹流路69と3速用低圧ポート45とは、低圧室27と高圧室25とを通じさせている。このため、オイル15は、ピストン貫通孔以外に、基幹流路69と3速用低圧ポート45とを通り高圧室25側へ流れようとする。この流れが、基幹流路69の中途に位置する3速用環状弁体67によって阻止される。すなわち、この流れに伴って高圧室25側へ移動する空気19の移動が阻止される。扉の開き角度が約3度となったときに、移動するピストン21によって3速用低圧ポート45は塞がれる。扉が全開状態で、ピストン21が低圧室27側へ移動され、オイル15の殆どは高圧室25側へ移動されることになる。
空気19が流れ込んでいない高圧室25のオイル15は、閉扉時、低圧室27へ噴射されても、気泡が噴射されず、噴射音の発生することがない。
また、ドアクローザ11の構造では、図2に示すように、大径部73と小径部71の境で、小径部71に嵌着した3速用環状弁体67が、大径部73に当接している。従って、3速用環状弁体67は、高圧室25側である大径部73側へは倒れず、3速用環状弁体67の厚み以上の距離で延在する小径部71側へは倒れる。この倒れにより、3速用環状弁体67は、低圧室27側へのオイル15の移動を許容する。この際、小径部71は、外周を削る平面部75が形成されている。これにより、3速用環状弁体67の小径部71側へ倒れるスペースがさらに拡がる。2・3速用弁体支持杆63は、簡単な加工により、3速用環状弁体67を倒れやすく構成できる。その結果、3速用環状弁体67の倒れる領域を、容易に得ることができる。
さらに、ドアクローザ11の構造では、ピストン21に開扉荷重が加わり、ピストン21が低圧室27側へ移動される際、高圧室25側へ流れようとするオイル15が、基幹流路69の中途に位置する3速用環状弁体67と、支持杆先端に設けられる2速用環状弁体65とによっても阻止される。低圧室27のピストン移動方向に複数の調整流路43,45が開口する場合、3速用環状弁体67と低圧室27の間で開口する調整流路45は3速用環状弁体67によって高圧室25へのオイル15の流れが阻止される。2速用環状弁体65に対して3速用環状弁体67の反対側に開口される調整流路43は、2速用環状弁体65と3速用環状弁体67によって高圧室25へのオイル15の流れが阻止されることになる。その結果、複数の調整流路43,45から高圧室25へ流入しようとするオイル15が、2速用環状弁体65及び3速用環状弁体67の2つの弁によって確実に阻止できる。
次に、本発明に係るドアクローザ11の構造の他の実施形態を説明する。
図10は環状弁体のみが設けられて先端側環状弁体が省略されたドアクローザの要部断面図、図11(a)は図10に示した弁体支持杆の平面図、(b)は(a)のC−C断面図、図12は閉扉時の動作状態において環状弁体が倒れるドアクローザの要部拡大断面を示した動作説明図である。なお、図1〜図9に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略することとする。
本実施形態に係るドアクローザ77の構造は、図10に示す2・3速用弁体支持杆63の支持杆先端に、2速用環状弁体65が設けられていない。また、図11に示す小径部71には平面部75が形成されていない。小径部71には平面部75に代えて段状小径部79が連設されている。その他の構成は上記のドアクローザ11の構造と同一である。
このドアクローザ77の構造では、高圧室25側から低圧室27側へ流れるオイル15の速度を2速とすることができる。すなわち、ピストン21が高圧室25側へ移動する過程において、図12に示すように、最初に2速用低圧ポート43(調整流路)が低圧室27に開放される。扉の閉扉に近づき、ピストン21が高圧室25の終端に接近すると、2速用低圧ポート43に加え、3速用低圧ポート45(調整流路)が開放される。これにより、高圧室25から低圧室27へのオイル15の流入量が増加され、ピストン21の移動速度、すなわち、扉の閉扉速度が速くなる。扉が閉扉状態で、オイル15の殆どは低圧室27へ移動されることになる。
この構成において、ピストン21に開扉荷重が加わると、ピストン21が低圧室27側へ移動される。その際、開扉時から例えば扉の開き角度約3度となるまで、3速用低圧ポート45は、低圧室27と高圧室25を通じさせている。このため、オイル15は、3速用低圧ポート45を通り高圧室25側へ流れようとする。この流れが、基幹流路69の中途に位置する3速用環状弁体67によって阻止される。扉の開き角度が例えば約3度となったときに、移動するピストン21によって3速用低圧ポート45は塞がれる。
また、2速用低圧ポート43も、ピストン21が低圧室27側へ移動される際、低圧室27と高圧室25とを通じさせている。この2速用低圧ポート43も、基幹流路69の中途に位置する3速用環状弁体67によって、高圧室25側へ流れようとするオイル15の流れが、同様に阻止される。つまり、2・3速用弁体支持杆63の中途に設けられた一つの3速用環状弁体67によって、それよりも低圧室27側に設けられる複数の孔(ポート)から高圧室25へ流れようとする空気19の逆流を全て阻止することができる。
従って、本実施形態に係るドアクローザ11、ドアクローザ77の構造によれば、低圧室27から高圧室25への空気19の流入を阻止し、高圧室25から低圧室27へ流入する空気19の噴射音を防止できる。
11…ドアクローザ
15…作動流体(オイル)
17…シリンダ
21…ピストン
23…ピストン貫通孔
25…高圧室
27…低圧室
29…逆流防止弁
43…調整流路(2速用低圧ポート)
45…調整流路(3速用低圧ポート)
63…弁体支持杆(2・3速用弁体支持杆)
65…先端側環状弁体(2速用環状弁体)
67…環状弁体(3速用環状弁体)
69…基幹流路
71…小径部
73…大径部
75…平面部

Claims (4)

  1. 作動流体と空気を封入して閉鎖されるシリンダと、
    前記作動流体を通過させるピストン貫通孔を備えて前記シリンダに移動自在に設けられ、前記シリンダの内部を一端側の高圧室と他端側の低圧室とに仕切り、扉の開閉荷重が加えられるピストンと、
    前記ピストン貫通孔に設けられ前記作動流体の高圧室側への流入を阻止する逆流防止弁と、
    一端が前記高圧室に通じ他端が前記低圧室に向かって直線状に延在する基幹流路と、
    前記基幹流路を前記低圧室に接続する調整流路と、
    前記基幹流路に同軸に配置される弁体支持杆と、
    前記調整流路よりも高圧室側の前記弁体支持杆に形成される小径部に嵌着され高圧室側の大径部へは可撓が規制されて前記基幹流路を閉鎖する一方、低圧室側の前記小径部へは可撓が許容される環状弁体と、
    を具備することを特徴とするドアクローザの構造。
  2. 請求項1記載のドアクローザの構造であって、
    前記小径部には、軸線に平行な平面部が形成されていることを特徴とするドアクローザの構造。
  3. 請求項1または請求項2記載のドアクローザの構造であって、
    前記基幹流路を前記低圧室に接続する複数の前記調整流路が設けられ、
    前記環状弁体が、前記調整流路よりも高圧室側の前記弁体支持杆の小径部の外周に嵌着されることを特徴とするドアクローザの構造。
  4. 請求項1,2,3のいずれか1つに記載のドアクローザの構造であって、
    前記弁体支持杆の支持杆先端に、高圧室側へ可撓が規制されて前記基幹流路を閉鎖する一方、低圧室側へは可撓が許容される先端側環状弁体が設けられることを特徴とするドアクローザの構造。
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