JP2015047124A - 人工海底山脈用ブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわちあらかじめ計画した位置に着底しやすい人工海底山脈用ブロックを提供することであり、より具体的には、海中の落下姿勢が安定しやすい人工海底山脈用ブロックを提供することである。【解決手段】本願発明の人工海底山脈用ブロックは、海底に造成される人工海底山脈を構成するものであり、本体部と、この本体部の内部を貫通する空洞部と、浮力を生じさせる浮力体を備えたものである。浮力体を設けることによって、海中落下姿勢における人工海底山脈用ブロックの重心位置と浮心位置との間に離隔が設けられ、その結果、回転に対する復元力を発揮することができる。【選択図】図1

Description

本願発明は、海底に造成される漁礁などの人工海底山脈に用いられるブロックに関するものであり、より具体的には、海中落下時において安定姿勢を保つことができる人工海底山脈用ブロックに関するものである。
我が国の食料自給率は、戦後間もない1960年頃には80%程度を確保していたものの、近年では40%程度まで落ち込み、先進国の中では最も低い数字といわれている。その中でも魚介類に関しては、四方を海に囲まれていることもあって、約60%という比較的高い水準の食料自給率を確保している。しかしながら、1960年頃の魚介類自給率が110%であったことを考えると魚介類の自給率も著しい減少傾向にあるといえ、将来にわたって高い水準の自給率を維持できるとは限らない。
そこで20年ほど前に、これまで以上に漁獲量を増大させるべく人工海底山脈を造成する試みが実施され、その結果、周辺の漁獲量が20倍に増加するという極めて高い効果が確認された。この人工海底山脈は、湧昇マウンド礁とも呼ばれ、水深100m程度の海底に幅50〜100m、延長100〜200m、高さ10〜20m規模のマウンド状のものであり、2m大の既成ブロックを積み上げて造成される。
ここで、人工海底山脈によって漁獲量が増大する(つまり、基礎生産力が向上する)仕組みについて説明する。一般的な成層した海洋の海底に人工海底山脈を設置すると、流速条件が適当な場合に地形性内部波が発生する。地形性内部波は下流および上方に伝播し、海洋の中上層において不安定化することにより鉛直混合を促進する。一般に海洋中の栄養塩類の濃度は水深が深くなるにしたがって大きくなることから、この鉛直混合が栄養塩類の下部から上部への拡散を促進し、栄養塩類の不足している上層へ栄養塩類を供給する。つまり、太陽光が届く有光層に存在する植物プランクトンが、鉛直混合により豊富な栄養塩を得るとその光合成活動は活発となり、その結果、植物プランクトンが増殖する。植物プランクトンが増えると、この植物プランクトンを餌とする動物プランクトンが増殖し、そして動物プランクトンを餌とする魚介類が増殖するわけである。
図9は、人工海底山脈を構成するブロック(以下、「人工海底山脈用ブロック」という。)の一般的な形状を示す斜視図である。この図に示すように一般的な人工海底山脈用ブロックは、「本体部」と、その中央部を貫通する「空洞部」からなり、本体部の外形は1辺2m程度の略六面体である。通常、人工海底山脈用ブロックは工場で製造され、例えば型枠内にコンクリートを打設したコンクリート製品として出荷される。なお本願の出願人は、石炭灰を用いたコンクリートであるアッシュクリート(登録商標)を開発しており、人工海底山脈用ブロックにもこのアッシュクリートを利用して好適な結果を得ている。なぜならアッシュクリートは、経済性、耐海水性、安全性、小さな比重といった人工海底山脈用ブロックにとって好適な特長を備えているからである。
人工海底山脈用ブロックを構成する空洞部は、次の2つの理由から設けられている。本体部は、コンクリートやアッシュクリートなどセメント系材料を固化させたものであり、しかも1辺が2m程度と比較的大きな塊状の構造物である。仮に空洞部を設けないとすると、本体部はいわゆるマスコンクリートとなり、材料が硬化する過程において内部拘束に伴う温度応力が発生することになる。つまり、温度応力の発生を防ぐことが、空洞部を設ける第1の理由である。第2の理由は、より良い漁礁を構築するためである。人工海底山脈用ブロックを沈設した際、その空洞部が魚にとって好適な隠れ場所となり、その結果、多くの魚がこの人工海底山脈に集まるわけである。
既述のとおり人工海底山脈は、その延長が100〜200mに及ぶなど数万m規模の大きな施設であり、使用する人工海底山脈用ブロックも大量に(10,000個程度)必要となる。したがって、人工海底山脈用ブロックを沈設する際は、一つひとつ個別に行うのではなく、一度にまとめて沈設するのが主流となっている。図10は、人工海底山脈用ブロックを沈設するための底開式バージを示す説明図である。このような底開式バージは、多くの人工海底山脈用ブロックを搭載して目的地まで進み、船倉を徐々に開いて人工海底山脈用ブロックを海中に投下する。なお、人工海底山脈用ブロックを投下する地点は、現地の潮流の速度や方向による影響を考慮したうえで定められるのが一般的であり、投下中の底開式バージの位置は押船や曳船などによって維持される。
底開式バージから一度に投下された多くの人工海底山脈用ブロックは、水深100m程度の海底まで落下していく。このとき、計画した位置に着底する人工海底山脈用ブロックもあれば、計画位置から大きく外れた場所に着底するものある。人工海底山脈用ブロックが計画位置から外れて着底する原因は種々あり、揚力の発生やその変化による落下姿勢に起因するもの、非定常なブロック後渦流による動揺に起因するもの、などが挙げられる。いずれにしろ、人工海底山脈用ブロックが一定の姿勢(例えば、貫通孔である空洞部が鉛直方向となるような姿勢)を維持したまま海中を落下すると計画位置に着底しやすいが、水深100m程度を回転しながら落下していくと計画位置から外れて着底する傾向にある。
計画位置から外れて着底する人工海底山脈用ブロックが多いほど、計画数量を超えて大量の人工海底山脈用ブロックを使用することになり、経済性に劣るうえ全体工程もその分長くなる。したがって、一定の落下姿勢を維持することのできる、つまり落下中に回転や搖動しない人工海底山脈用ブロックが求められており、従来からこれに関するいくつかの提案がなされてきた。例えば特許文献1では、重心位置を下方寄りとした人工海底山脈用ブロックを提案しており、これにより落下姿勢の安定化を図っている。
特開2011−250747号公報
特許文献1の人工海底山脈用ブロックは、その重心位置が低いことから、地上で支持されている状態では転倒し難い形状といえる。しかしながら、海中落下状態においては鉛直下方からの支持が得られず、潮流による側方荷重も受けやすいため、やはり回転や搖動は生じやすい。しかも、一旦回転を生じると、これを復元する機構を持たないため、落下中はその回転が続くこととなる。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち計画した位置に着底しやすい人工海底山脈用ブロックを提供することであり、より具体的には、海中の落下姿勢が安定しやすい人工海底山脈用ブロックを提供することである。
本願発明は、重心位置と浮心位置との間に離隔を設けることによって、回転に対する復元力を発揮させ、これにより人工海底山脈用ブロックの落下姿勢を安定させるという点に着眼したものであり、これまでになかった発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の人工海底山脈用ブロックは、海底に造成される人工海底山脈を構成するものであり、本体部と、この本体部の内部を貫通する空洞部と、浮力体を備えたものである。浮力体を設けることによって、海中落下姿勢における人工海底山脈用ブロックの重心位置と浮心位置との間に離隔が設けられ、その結果、回転に対する復元力を発揮することができる。
本願発明の人工海底山脈用ブロックは、空洞部の内部又は端部に設置される2枚の締切り板によって形成される密閉空間を浮力体として備えることもできる。
本願発明の人工海底山脈用ブロックは、本体部と空洞部を備えたものとし、この本体部を比重の異なる2層以上で形成することもできる。この場合、2層以上の比重の相違によって重心位置と浮心位置との間に離隔が設けられ、その結果、回転に対する復元力を発揮することができる。
本願発明の人工海底山脈用ブロックは、本体部と、空洞部と、本体部より比重の大きな沈子体を備えたものとすることもできる。この場合、沈子体と本体部の比重の相違によって重心位置と浮心位置との間に離隔が設けられ、その結果、回転に対する復元力を発揮することができる。
本願発明の人工海底山脈用ブロックは、本体部や空洞部等のほか、空洞部の一方を塞ぐ外蓋を設けたものとすることもできる。
本願発明の人工海底山脈用ブロックには、次のような効果がある。
(1)海中を落下する際に回転を生じた場合であっても、重心位置と浮心位置との間に離隔が設けられているため回転に対する復元力が発揮され、再び所定の姿勢に戻って落下することができる。その結果、計画位置から外れて着底するケースが減少し、従来に比べると余分な材料(人工海底山脈用ブロック)を必要とせず、また工期を短縮させることもできる。
(2)従来品に対して浮力体や沈子体等を追加するだけで、あるいは本体部の一部の材料を変えるだけで製造できるので、これまでとほぼ同様のコストや手間で上記効果を得ることができる。
浮力体を備えた本願発明の人工海底山脈用ブロックを示す断面図。 海中落下姿勢における人工海底山脈用ブロックの浮心位置と重心位置との間に生じた離隔を説明するためのモデル図。 (a)は従来の人工海底山脈用ブロックに回転が生じた際に作用する力について説明するモデル図、(b)は本願発明の人工海底山脈用ブロックに回転が生じた際に作用する力について説明するモデル図。 本体部内に浮力体を埋設した場合の人工海底山脈用ブロックを示す断面図。 沈子体を備えた人工海底山脈用ブロックを示す断面図。 2層構造からなる本体部を備えた人工海底山脈用ブロックを示す断面図。 人工海底山脈用ブロックの着底時における分散を示す結果図。 人工海底山脈用ブロックの着底時における平均散らばり距離を示す結果図。 人工海底山脈用ブロックの一般的な形状を示す斜視図。 人工海底山脈用ブロックを沈設する底開式バージを示す説明図。
本願発明の人工海底山脈用ブロックの実施形態の例を、図に基づいて説明する。
1.全体概要
図1は、浮力体を備えた本願発明の人工海底山脈用ブロックを示す断面図である。この図に示すように、本願発明の人工海底山脈用ブロック100は、少なくとも本体部200と空洞部300を備えており、さらに海中における浮心位置と重心位置との間に所定の距離を生じさせる機構を具備している。なお、便宜上ここでは、浮心位置と重心位置との間の所定距離を「離隔」と呼び、この離隔を生じさせる機構を「偏心機構」ということとする。
例えば図1の人工海底山脈用ブロックは、偏心機構として浮力体400を設けている。後述するように、浮力体400を設けることで浮心位置と重心位置との間に離隔が生ずるので、この場合は浮力体400を具備することが偏心機構となるわけである。図1の浮力体400は、第1締切り板401、第2締切り板402、及び空気室403によって形成されている。また、この空気室403は、空洞部300の端部(図では上端)に取り付けられた第1締切り板401と、空洞部300内に取り付けられた第2締切り板402によって密閉された空間であり、海中内にあっても海水が浸入しない構造となっている。
図2は、海中落下姿勢における人工海底山脈用ブロック100の浮心位置Bと重心位置Gとの間に生じた、離隔δを説明するためのモデル図である。この図に示すように、人工海底山脈用ブロック100が海中を落下する際は、空洞部300が略鉛直方向を向く姿勢となり、しかも浮心位置Bが重心位置Gより上方となるように略鉛直方向に並び、そして浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δが設けられる。
ここで浮心位置Bは、人工海底山脈用ブロック100にかかる浮力の作用点である。浮力は、海中において海水と置き代わらない部分(以下、「浮力作用部」という。)の体積に海水の比重を乗じた値であるから、浮心位置Bは浮力作用部の図心として求められる。例えば図1に示す人工海底山脈用ブロック100の場合、浮力体400を除く空洞部300には海水が浸入するが、他の部分は海水と置き代わることがなく、つまり本体部200と浮力体400を合わせた形状の図心が浮心位置Bとなる。なお、一般的な人工海底山脈用ブロック100は、海中落下姿勢において略左右対称の形状となるので、浮心位置Bは人工海底山脈用ブロック100の概ね中心線上に置かれる。このように浮心位置Bは、人工海底山脈用ブロック100の重量に関係なく形状のみによって定められる浮力作用点である。
一方の重心位置Gは、人工海底山脈用ブロック100にかかる重力の作用点であって、その点において重力の釣り合いが取れる点であり、その点回りの1次モーメントの総計が0となる点である。1次モーメントが距離と重力の積で表されることからも分かるように、重心位置Gは形状のみでなく、形状とその重量配置によって定められる重力作用点である。なお重心位置Gの場合も、浮心位置Bと同様、人工海底山脈用ブロック100の概ね中心線上に置かれるのが一般的である。
次に、人工海底山脈用ブロック100に離隔δを設けたことによる効果的な作用について説明する。図3は、人工海底山脈用ブロックに回転が生じた際に作用する力について説明するモデル図であり、(a)は従来の人工海底山脈用ブロックに回転が生じた場合、(b)は本願発明の人工海底山脈用ブロック100に回転が生じた場合を表している。
従来の人工海底山脈用ブロックには偏心機構が設けられていないので、図心と重心が一致し、すなわち浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δはない。したがって、図3(a)からも分かるように、人工海底山脈用ブロックを回転させる力Mに対して復元しようとする力が働く余地がない。一方、本願発明の人工海底山脈用ブロック100には、浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δが設けられているので復元力Reが働き、その結果、人工海底山脈用ブロック100は元の姿勢(空洞部300を略鉛直方向とする姿勢)に戻ろうとする。
人工海底山脈用ブロック100に働く復元力Reについて、図3(b)を参考にして説明する。この図では、潮流による側方からの外力が作用したため、人工海底山脈用ブロック100が重心位置G付近を中心とする時計回りの回転を生じている。その結果、人工海底山脈用ブロック100はやや右側に傾き、それに伴って浮心位置Bが回転中心から右にずれている。この“ずれ”と鉛直上向きの力である浮力によって、人工海底山脈用ブロック100を反時計回りに回転させようとする力、すなわち復元力Reが働くわけである。
以上説明したように、偏心機構を具備しない従来の人工海底山脈用ブロックは、浮心位置と重心位置が一致し、すなわち浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δがないことから、人工海底山脈用ブロックを回転させる力Mに対して復元しようとする力が働く余地がない。一方、本願発明の人工海底山脈用ブロック100は偏心機構を備えているので、浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δが設けられ、その結果、回転させる力Mに対して復元力Reが働く。
以下、本願発明の人工海底山脈用ブロック100を、それぞれ構成する要素ごとに詳述する。
2.本体部と空洞部
既述のとおり本体部200は、コンクリートやアッシュクリートといったセメント系材料を固化させたものであり、本体部200の内部には上下に貫通する空洞部300が設けられている。具体的には、工場等において型枠を組み立て、これにセメント系材料を打設し、硬化後に型枠を脱型して本体部200及び空洞部300を形成する。なお、本体部200及び空洞部300は、図9に示すような形状とすることができる。
3.偏心機構
本願発明の人工海底山脈用ブロック100は、浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δを生じさせる偏心機構を備えることが一つの技術的特徴である。この偏心機構としては種々の形態が考えられ、以下、それぞれの形態ごとに分けて説明する。
(浮力体)
浮力体400は、本体部200よりも比重が小さいものであり、この比重差によって浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δを生じさせることができる。例えば、図1に示す浮力体400は、第1締切り板401と第2締切り板402、これらによって密閉された空気室403とで構成されており、空気室403内の空気の比重が著しく小さいことから、浮力体400全体としての重量も小さい。したがって、この浮力体400を備えた人工海底山脈用ブロック100の重心位置Gは、本体部200の重心位置(この場合は本体部200の図心)と略変わらない位置である。一方、浮力体400は浮力作用部の一部を構成することから、浮力作用部の図心である浮心位置Bは、本体部200の図心よりも上方に位置することとなる。すなわち、図1の人工海底山脈用ブロック100は、浮心位置Bが重心位置Gよりも上方にあって、且つこれらの間に離隔δが生じている。
浮力体400は、第1締切り板401と第2締切り板402を構成要素とすると説明したが、これらは必ずしも板材である必要はない。特に、空洞部300内に設置される第2締切り板402に関しては、これを板材とした場合その設置に複雑な手間がかかるため、上部にフランジを設けたコップ型(いわば、なべ型)のものを用い、空洞部300の外側(つまり、本体部200上面)でフランジ部分を固定する構造とすることもできる。また、第1締切り板401を空洞部300の上端に取り付ける場合に限らず、第2締切り板402とともに空洞部300内に設置し、空洞部300内の上端よりもやや下方に空気室403を配置することもできる。ただし、離隔δが大きいほど大きな復元力Reが作用し、すなわち人工海底山脈用ブロック100の海中落下姿勢が安定することを考えれば、浮力体400は空洞部300の上端付近に配置するのが望ましく、第1締切り板401の設置手間という点からも空洞部300の上端に浮力体400を配置するのが望ましい。
浮力体400は、空気室403を設ける構造に限らず、他の軽量体を利用することもできる。例えば、発泡スチロールなど合成樹脂素材からなる軽量体を浮力体400とし、空洞部300内に設置する。この場合、第1締切り板401と第2締切り板402を必要としないが、海中落下時に外れないよう浮力体400を堅固に取り付ける必要がある。なお、浮力体400として生分解性の素材を用いれば、自然環境保護といった面から好適となる。
また、浮力体400は、空洞部300内に設置する場合に限らず、本体部200に設置することもできる。図4は、本体部200内に浮力体400を埋設した場合の人工海底山脈用ブロック100を示す断面図である。この図に示す浮力体400は、本体部200の製造時から設けておく必要があり、例えば型枠組み立て時に箱抜き(もしくは軽量体の配置)を行った状態でアッシュクリートを打設して、浮力体400を含む人工海底山脈用ブロック100を形成する。なお、この図4の浮力体400は、平面的に連続する環状構造としてもよいし、それぞれ独立した浮力体400を複数配置する構造とすることもできる。また、空洞部300内に完全に埋設する場合に限らず、上部に貫通する空気室を本体部200に設け、その上部開放部を蓋材で密封して浮力体400を形成することもできる。
(沈子体)
図5は、沈子体500を備えた人工海底山脈用ブロック100を示す断面図である。沈子体500は、本体部200よりも比重が大きいものであり、この比重差によって浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δを生じさせることができる。例えば図5に示す人工海底山脈用ブロック100の場合、沈子体500の比重が本体部200よりも大きいため、人工海底山脈用ブロック100全体の重心位置Gは、本体部200と沈子体500を合わせた形状(以下、「躯体形状」という。)の図心よりも下方に位置される。一方、沈子体500も本体部200も浮力作用部を構成することから、人工海底山脈用ブロック100の浮心位置Bは、躯体形状の図心に位置される。すなわち、図5の人工海底山脈用ブロック100は、浮心位置Bが重心位置Gよりも上方にあって、且つこれらの間に離隔δが生じている。
(2層構造の本体部)
図6は、2層構造からなる本体部200を備えた人工海底山脈用ブロック100を示す断面図である。この図の本体部200は、上層200Aと下層200Bの2層構造となっており、これらの層はそれぞれ比重が異なる材料を用いている。この場合、上層200Aと下層200Bの比重差によって浮心位置Bと重心位置Gとの間に離隔δを生じさせることができる。例えば図6に示す人工海底山脈用ブロック100は、下層200Bの材料比重が上層200Aよりも大きくなっているため、人工海底山脈用ブロック100全体の重心位置Gは、本体部200の図心よりも下方に位置される。一方、本体部200は浮力作用部であるから、人工海底山脈用ブロック100の浮心位置Bは、本体部200の図心に位置される。すなわち、図6の人工海底山脈用ブロック100は、浮心位置Bが重心位置Gよりも上方にあって、且つこれらの間に離隔δが生じている。なお、図6では本体部200を2層構造としているが、本体部200を3以上の層からなる構造とし、それぞれ比重が異なる層とすれば、この場合も偏心機構を備えた人工海底山脈用ブロック100となる。
4.外蓋
後述する模型実験の結果、偏心機構を設けることなく空洞部に外蓋を設置しただけの人工海底山脈用ブロックも、従来の人工海底山脈用ブロックに比べると海中落下姿勢が安定することが分かった。本願発明の人工海底山脈用ブロック100は偏心機構を設けることで海中落下姿勢が安定するものであり、さらに外蓋を設置したものとすればより姿勢安定を図ることができるので好適となる。この場合、空洞部300の端部を閉塞させるような外蓋を設置することとなるが、図1に示すように第1締切り板401を設置する場合は、この第1締切り板401が外蓋を兼ねることができる。
5.水槽模型実験
本願の出願人は、本願発明の人工海底山脈用ブロック100の効果を確認すべく室内で水槽模型実験を行っている。図7と図8はその実験結果をまとめたものであり、図7は人工海底山脈用ブロックの着底時における分散を示す結果図、図8は人工海底山脈用ブロックの着底時における平均散らばり距離を示す結果図である。
この実験に用いた水槽模型は、縮尺を1/125としたもので、実際には水深150mに相当するモデルである。また、試料としては3タイプのものを用意し、従来の人工海底山脈用ブロック(図9)をType−1、従来の人工海底山脈用ブロックの空洞部に外蓋を設置したものをType−2、本願発明の人工海底山脈用ブロック100をType−3とし、それぞれ10回ずつ水中落下を行っている。なお、Type−3の人工海底山脈用ブロック100は、空気室403を有する浮力体400を偏心機構としている。
図7を見ると、Type−1の場合(×印)、着底の計画位置である原点(X=0、Y=0)に対して大きく外れて着底していることが分かる。図8に示すように、計画位置からの平均距離は約52mであり、最も外れたケースでは計画位置から約58mの位置で着底しており、最も計画位置の近くに着底したものでさえ約48mの距離があった。
Type−2の場合(◇印)、Type−1に比べると計画位置に比較的近い位置で着底している。計画位置からの平均距離は19mであり、最も外れたケースでは計画位置から約40mの位置で着底しているが、最も計画位置の近くに着底したものは約4mの距離であった。
Type−3の場合(●印)、概ね計画位置の近傍に着底していることが分かる。計画位置からの平均距離は11mであり、最も外れたケースでさえ計画位置から約19mの位置で着底しており、最も計画位置の近くに着底したものは約2mの距離であった。
図8では、計画位置からの距離の平均値である「平均散らばり距離」を示しており、誤差範囲として平均値の上下に±1σ(標準偏差)の範囲も表している。この標準偏差σは、10回の試行における結果のばらつきを示すものであり、Type−1では約4m、Type−2では約13m、Type−3は約5mである。このことから、Type−1は、ばらつきなく、いわば安定して計画位置から離れた位置で着底しており、Type−2は、平均すると計画位置から近い範囲で着底しているものの、10回の試行に大きなばらつきがあり、安定して計画位置付近に着底するとはいい難い。一方、Type−3は、平均的に計画位置付近に着底しており、標準偏差も小さい。したがって、本願発明の人工海底山脈用ブロック100は、安定して計画位置付近に着底させることできるといえる。つまり、人工海底山脈用ブロック100が偏心機構を具備することで海中落下姿勢を安定させ、これが計画位置付近への安定した着底に大きく寄与していることが推定できる。
本願発明の人工海底山脈用ブロックは、効果的な漁礁を提供するものであり、水産業に携わる者あるいは水産業を活発化させようとする者にとって有効に活用することができる。また、漁獲量を増加させることができるので、我が国における食料自給率向上に貢献するとともに、漁業の発展にも寄与することのできる発明である。
100 人工海底山脈用ブロック
200 本体部
200A (本体部の)上層
200B (本体部の)下層
300 空洞部
400 浮力体
401 第1締切り板
402 第2締切り板
403 空気室
500 沈子体
B 浮心位置
G 重心位置
M 回転させる力
Re 復元力
δ 離隔

Claims (5)

  1. 海底に造成される人工海底山脈を構成する人工海底山脈用ブロックにおいて、
    本体部と、該本体部の内部を貫通する空洞部と、浮力体と、を備え、
    前記浮力体によって、海中落下姿勢における重心位置と浮心位置との間に離隔が設けられたことを特徴とする人工海底山脈用ブロック。
  2. 前記浮力体が、前記空洞部の内部又は端部に設置される2枚の締切り板によって形成される密閉空間であることを特徴とする請求項1記載の人工海底山脈用ブロック。
  3. 海底に造成される人工海底山脈を構成する人工海底山脈用ブロックにおいて、
    本体部と、該本体部の内部を貫通する空洞部と、を備え、
    前記本体部は、比重の異なる2層以上で形成され、
    前記2層以上の比重の相違によって、海中落下姿勢における重心位置と浮心位置との間に離隔が設けられたことを特徴とする人工海底山脈用ブロック。
  4. 海底に造成される人工海底山脈を構成する人工海底山脈用ブロックにおいて、
    本体部と、該本体部の内部を貫通する空洞部と、該本体部より比重の大きな沈子体と、を備え、
    前記沈子体によって、海中落下姿勢における重心位置と浮心位置との間に離隔が設けられたことを特徴とする人工海底山脈用ブロック。
  5. 前記本体部を貫通する前記空洞部の一方を塞ぐ外蓋が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の人工海底山脈用ブロック。
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