JP2015045471A - エバポレータ - Google Patents

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直久 東山
Naohisa Higashiyama
直久 東山
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Mahle Behr Thermal Systems Japan Ltd
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Keihin Thermal Technology Corp
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Abstract

【課題】圧縮機の省動力化を図りうるエバポレータを提供する。
【解決手段】エバポレータは、周縁部どうしが互いに接合された2枚のプレート15からなる複数の扁平中空体2を、厚み方向に積層状に配置することによって形成されている。扁平中空体2に、ヘアピン状の冷媒流通管部5と、冷媒流通管部5の両端に通じかつ風下側および風上側タンクを形成する2つのタンク形成部18と、冷媒流通管部5よりも下方の部分に位置する凝縮水排水部26とを設ける。隣り合う冷媒流通管部5どうしの間の通風間隙に配置されるフィンに、扁平中空体2の凝縮水排水部23間に位置する延長部を設ける。凝縮水排水部26に、フィンの延長部に接触した凸部27と、凝縮水を下方に排水する排水通路31,32とを設ける。
【選択図】図5

Description

この発明は、自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンに好適に用いられるエバポレータに関する。
この明細書および特許請求の範囲において、図1および図5の上下を上下というものとする。
カーエアコンに用いられるエバポレータとして、長手方向を同方向に向けた状態で通風方向に並んで配置された風上側タンクおよび風下側タンクと、両タンクの長手方向に間隔をおいて配置され、かつ一端が風下側タンクに通じさせられるとともに他端が風上側タンクに通じさせられたヘアピン状の冷媒流通管部と、隣り合う冷媒流通管部どうしの間に形成された通風間隙に配置されたフィンとを備えており、周縁部どうしが互いに接合された2枚の縦長金属プレートからなり、かつ長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平中空体が、厚み方向に積層状に配置されることによって形成されており、扁平中空体に、2枚の縦長金属プレート間に形成されて扁平中空体の厚み方向に膨出したヘアピン状膨出状冷媒流通管部と、2枚の縦長金属プレート間に膨出状冷媒流通管部の両端に通じるように形成されて扁平中空体の厚み方向に膨出し、かつ膨出状冷媒流通管部よりも膨出高さの高い2つの膨出状タンク形成部とが設けられ、隣り合う扁平中空体のタンク形成部どうしが接合されるとともに、全扁平中空体のタンク形成部により風下側タンクおよび風上側タンクが形成され、隣り合う扁平中空体の冷媒流通管部が設けられている部分の間が通風間隙となっているエバポレータが広く知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1記載のエバポレータは、圧縮機、冷媒冷却器としてのコンデンサおよび減圧器としての膨張弁などとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。このようなカーエアコンにおいては、圧縮機の作動時に、エバポレータのコルゲートフィンの表面に凝縮水が発生するので、熱交換性能の低下や凝縮水の飛散を抑制するために、凝縮水の排水性の向上が図られているのが一般的である。
ところで、上述したカーエアコンが搭載された自動車の燃費を改善するために、圧縮機の省動力化が要求されている。
特開2008−64362号公報
この発明の目的は、上記要求に応え、圧縮機の省動力化を図りうるエバポレータを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)長手方向を同方向に向けた状態で通風方向に並んで配置された風上側タンクおよび風下側タンクと、両タンクの長手方向に間隔をおいて配置され、かつ一端が風下側タンクに通じさせられるとともに他端が風上側タンクに通じさせられたヘアピン状の冷媒流通管部と、隣り合う冷媒流通管部どうしの間に形成された通風間隙に配置されたフィンとを備えているエバポレータであって、
冷媒流通管部の下端に連なって下方に延びる凝縮水排水部が設けられ、フィンに、冷媒流通管部の下端よりも下方に延びて凝縮水排水部間に位置する延長部が設けられ、凝縮水排水部に、フィンの延長部に接触した凸部と、凝縮水を下方に排水する排水通路とが設けられているエバポレータ。
2)周縁部どうしが互いに接合された2枚の縦長金属プレートからなり、かつ長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平中空体が、厚み方向に積層状に配置されることによって形成されており、
扁平中空体に、2枚の縦長金属プレート間に形成されて扁平中空体の厚み方向に膨出した膨出状冷媒流通管部と、2枚の縦長金属プレート間に膨出状冷媒流通管部の両端に通じるように形成されて扁平中空体の厚み方向に膨出し、かつ膨出状冷媒流通管部よりも膨出高さの高い2つの膨出状タンク形成部と、冷媒流通管部よりも下方の部分に位置する凝縮水排水部とが設けられ、冷媒流通管部が、長手方向を上下方向に向けた状態で通風方向に間隔をおいて形成された2つの直管部と、両直管部の下端部どうしを通じさせる連通部とよりなり、隣り合う扁平中空体のタンク形成部どうしが接合されるとともに、全扁平中空体のタンク形成部により風下側タンクおよび風上側タンクが形成され、隣り合う扁平中空体の冷媒流通管部が設けられている部分どうしの間が通風間隙となり、扁平中空体の凝縮水排水部に、両隣のフィン側に突出しかつ冷媒流通管部の膨出高さと等しい突出高さを有するとともに、排水通路を形成する凸部が設けられ、凸部の突出端部がフィンに接触させられている上記1)記載のエバポレータ。
3)扁平中空体の凝縮水排水部に設けられて排水通路を形成する凸部が、扁平中空体における冷媒流通管部よりも下方の部分に通風方向に並んで複数設けられており、各凸部が、扁平中空体を形成する両縦長金属プレートに上下方向に間隔をおいて形成されて通風方向にのびる2つのスリットからなるスリット対を通風方向に間隔をおいて複数対形成するとともに、縦長金属プレートの各スリット対の両スリット間の部分をフィン側に突出させることによって設けられており、凸部内が上下両端が開口した中空状であり、各凸部内および通風方向に隣り合う凸部間の部分が排水通路となっている上記2)記載のエバポレータ。
4)扁平中空体の凝縮水排水部に設けられて排水通路を形成する凸部が、扁平中空体における冷媒流通管部よりも下方の部分に点在するように複数設けられており、各凸部が、扁平中空体を形成する両縦長金属プレートをフィン側に膨出させることにより形成された膨出部よりなり、隣り合う凸部間の部分が排水通路となっている上記2)記載のエバポレータ。
上記1)〜4)のエバポレータによれば、冷媒流通管部の下端に連なって下方に延びる凝縮水排水部が設けられ、フィンに、冷媒流通管部の下端よりも下方に延びて凝縮水排水部間に位置する延長部が設けられ、凝縮水排水部に、フィンの延長部に接触した凸部と、凝縮水を下方に排水する排水通路とが設けられているので、圧縮機のオン時にフィンの表面に発生した凝縮水は、冷媒流通管部とフィンとの接触部を伝って下方に流れ、さらに凝縮水排水部に設けられた排水通路を通ってエバポレータの下方に排水される。そして、凝縮水が凝縮水排水部の排水通路を流れる間に、凝縮水の有する冷熱が凸部を介してフィンに伝わり、通風間隙を流れる空気に放冷される。したがって、凝縮水の有する冷熱を車室内の冷房に利用することが可能になり、全体の高さを特許文献1記載のエバポレータと等しくした場合、圧縮機の省動力化を図ることが可能になる。その結果、自動車の燃費を改善することができる。
また、圧縮機がオフに切り替わった直後には、圧縮機のオン時にフィンの表面に発生した凝縮水が、凝縮水排水部に設けられた排水通路を流れているので、凝縮水の有する冷熱が凸部を介してフィンに伝わることになり、圧縮機のオフ時に、排水通路を流れる凝縮水の冷熱によって、エバポレータの温度の急激な上昇を抑制することができる。その結果、圧縮機が、オフからオンに切り替わるまでの時間を延ばすことができ、圧縮機のオン、オフサイクルを長くすることが可能になって、自動車の燃費の向上を図ることができる。しかも、圧縮機のオフ時に、エバポレータの温度の急激な上昇を抑制することができるので、エバポレータを通過する空気の温度である吐気温の急激な上昇も抑制される。
上記2)〜4)のエバポレータの場合、フィンの延長部に接触した凸部および凝縮水を下方に排水する排水通路を有する凝縮水排水部を、両タンクおよび冷媒流通管部を形成するのと同時に、比較的簡単に形成することができる。
この発明のエバポレータの全体構成を示す一部分を省略した斜視図である。 図1のエバポレータにおける冷媒の流れを示す図である。 図1のA−A線拡大断面図である。 図1のB−B線拡大断面図である。 図1のエバポレータに用いられる扁平中空体を示す一部分を省略した側面図である。 図1のエバポレータに用いられる扁平中空体を示す分解斜視図である。 図1のエバポレータに用いられる扁平中空体の変形例を示す図5の一部分に相当する図である。 図1のエバポレータに用いられる扁平中空体の他の変形例を示す図5の一部分に相当する図である。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
以下の説明において、通風方向下流側(図1および図2に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。また、後方から前方を見た際の左右、すなわち図1の左右を左右というものとする。
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1はこの発明によるエバポレータの全体構成を示し、図2はこの発明によるエバポレータにおける冷媒の流れを示す。また、図3〜図6はその要部の構成を示す。
図1および図2において、エバポレータ(1)は、縦長方形の複数のアルミニウム製扁平中空体(2)が、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を前後方向(通風方向)に向けた状態で左右方向に積層状に並べられるとともに、相互に接合されることにより形成されたものであり、長手方向を左右方向に向けるとともに通風方向に並んで配置された風下側タンク(3)および風上側タンク(4)と、両タンク(3)(4)の長手方向に間隔をおいて配置され、かつ一端が風下側タンク(3)に通じさせられるとともに他端が風上側タンク(4)に通じさせられたヘアピン状の冷媒流通管部(5)と、隣り合う冷媒流通管部(5)どうしの間に形成された通風間隙(6)に配置されたアルミニウム製コルゲート状アウターフィン(7)とを備えている。
風下側タンク(3)の右端に前後方向に長い長円形の冷媒入口(8)が形成されており、前後方向に長くかつ冷媒入口(8)から風下側タンク(3)内に冷媒を供給するアルミニウム製冷媒入口部材(9)が、両タンク(3)(4)の右端に跨るようにろう付されている。また、風上側タンク(4)の左端に冷媒出口(11)が形成されており、前後方向に長くかつ冷媒出口(11)から流出する冷媒を受け入れるアルミニウム製冷媒出口部材(12)が、両タンク(3)(4)の左端に跨るようにろう付されている。冷媒入口部材(9)の後端部に、エバポレータ(1)内に冷媒を供給するアルミニウム製入口パイプ(13)が接続され、冷媒出口部材(12)の後端部に、エバポレータ(1)内から冷媒を排出するアルミニウム製出口パイプ(14)が接続されている。
図3〜図6に示すように、大部分の扁平中空体(2)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを用いて形成され、かつ周縁部どうしが互いにろう付された2枚の縦長方形状アルミニウム製プレート(15)(金属プレート)よりなる。扁平中空体(2)に、2枚のプレート(15)間に形成されて扁平中空体(2)の厚み方向に膨出した膨出状冷媒流通管部(5)と、2枚のプレート(15)間に冷媒流通管部(5)の両端に通じるように形成されて扁平中空体(2)の厚み方向に膨出し、かつ冷媒流通管部(15)よりも膨出高さが高くなっているとともに、両タンク(3)(4)を形成する2つの膨出状タンク形成部(18)と、冷媒流通管部(5)よりも下方の部分に位置する凝縮水排水部(26)とが設けられている。
扁平中空体(2)のヘアピン状冷媒流通管部(5)は、前後方向に間隔をおいて形成された上下方向にのびる2つの膨出状直管部(16)および両膨出状直管部(16)を下端部で通じさせる膨出状連通部(17)よりなり、両膨出状直管部(16)の上端部がそれぞれ膨出状タンク形成部(18)に通じさせられている。膨出状直管部(16)および膨出状連通部(17)は左右両側に膨出するように形成されている。扁平中空体(2)の冷媒流通管部(5)の両膨出状直管部(16)内に跨るように、アルミニウム製コルゲート状インナーフィン(19)が配置されており、両プレート(15)にろう付されている。
扁平中空体(2)を構成する左側のプレート(15)は、上下方向に伸びかつ左方に膨出した前後2つの直管部形成用膨出部(21)および直管部形成用膨出部(21)の下端部どうしを通じさせ、かつ左方に膨出するとともに直管部形成用膨出部(21)と膨出高さの等しい連通部形成用膨出部(22)と、各直管部形成用膨出部(21)の上端に連なり、かつ左方に膨出するとともに両膨出部(21)(22)よりも膨出高さの高い2つのタンク形成用膨出部(23)とを備えている。連通部形成用膨出部(22)の頂壁には、頂壁を内側に凹ませることにより内方に突出した複数の円弧状リブ(24)が間隔をおいて形成されている。リブ(24)の突出高さは両膨出部(21)(22)の突出高さよりも大きくなっている。各タンク形成用膨出部(23)の頂壁は打ち抜かれて貫通穴(25)が形成されている。扁平中空体(2)を構成する右側のプレート(15)は、左側のプレート(15)を左右逆向きにしたものであって、同一部分には同一符号を付す。そして、2枚のプレート(15)を、インナーフィン(18)を介して膨出部(21)(22)(23)の開口どうしが対向するように組み合わせてろう付することにより、扁平中空体(2)が形成されている。なお、扁平中空体(2)を構成する両プレート(15)の補強リブ(24)は、他方のプレート(15)の補強リブ(24)とずれており、他方のプレート(15)の連通部形成用膨出部(22)の頂壁内面にろう付されている。
そして、隣り合う扁平中空体(2)のタンク形成部(18)どうしが、貫通穴(25)どうしが通じるようにろう付されており、これにより隣り合う扁平中空体(2)のタンク形成部(18)どうしが連通状に接合され、全扁平中空体(2)の前側タンク形成部(18)によって風下側タンク(3)が形成され、同じく後側タンク形成部(18)によって風上側タンク(4)が形成されている。さらに、隣り合う扁平中空体(2)の冷媒流通管部(5)が形成された部分どうしの間が通風間隙(6)となっている。
詳細な図示は省略したが、左右方向の適当な位置に配置された扁平中空体(2)のいずれかのプレート(15)の前側タンク形成用膨出部(23)には貫通穴(25)は形成されておらず、これにより風下側タンク(3)内が、仕切部材(3a)により左右方向に2つの区画に仕切られることになる。また、左右方向の適当な位置に配置された扁平中空体(2)のいずれかのプレート(15)の後側タンク形成用膨出部(23)には貫通穴(25)は形成されておらず、これにより風上側タンク(4)内が、風下側タンク(3)内の仕切部材(3a)よりも左側の位置において、仕切部材(4a)により左右方向に2つの区画に仕切られることになる。その結果、図2に示すように、入口パイプ(13)から冷媒入口部材(9)および冷媒入口(8)を通って風下側タンク(3)の右側区画内に入った冷媒が、全ての扁平中空体(2)の冷媒流通管部(5)および両タンク(3)(4)の全区画を通って冷媒出口(11)から流出し、冷媒出口部材(12)を通って出口パイプ(14)に送り出される。
図示は省略したが、右端に配置された扁平中空体(2)は、右側プレート(15)の前側タンク形成用膨出部(23)に貫通穴(25)に代えて冷媒入口(8)が形成されている点、および右側プレート(15)の後側タンク形成用膨出部(23)に貫通穴(25)が形成されていない点を除いては、上述した大部分の扁平中空体(2)と同様な構成である。また、左端に配置された扁平中空体(2)は、左側プレート(15)の後側タンク形成用膨出部(23)に貫通穴(25)に代えて冷媒出口(11)が形成されている点、および左側プレート(15)の前側タンク形成用膨出部(23)に貫通穴が形成されていない点を除いては、上述した大部分の扁平中空体(2)と同様な構成である。
扁平中空体(2)の凝縮水排水部(26)には、左右両隣のフィン(7)側に突出しかつ冷媒流通管部(5)の左右方向の膨出高さと等しい突出高さを有するとともに、長手方向を上下方向に向けた複数の凸部(27)が、前後方向に間隔をおいて設けられている。凸部(27)は、扁平中空体(2)を形成する両縦長金属プレート(15)に、上下方向に間隔をおいて形成されかつ通風方向にのびる2つのスリット(28)からなるスリット対を通風方向に間隔をおいて複数対形成するとともに、縦長金属プレート(15)の各スリット対の両スリット(28)間の部分を突出させることによって設けられた1対の半抜き部(29)からなる。したがって、凸部(27)内は上下両端が開口した中空状であり、各凸部(27)内および通風方向に隣り合う凸部(27)間の部分に、排水通路(31)(32)が形成されている。
アウターフィン(7)は、通風方向にのびる波頂部、通風方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなり、連結部に、連結部の幅方向にのびる複数のルーバ(33)が、通風方向に間隔をおいて形成されたものである。アウターフィン(7)は、隣り合う扁平中空体(2)の冷媒流通管部(5)が設けられている部分どうしの間に位置する本体部分(7a)と、本体部分(7a)の下端に一体に設けられかつ冷媒流通管部(5)の下端よりも下方に延長させられて凝縮水排水部(26)間に位置する延長部(7b)とよりなる。アウターフィン(7)の延長部(7b)に、扁平中空体(2)の凝縮水排水部(26)に設けられた凸部(27)の突出端部がろう付されている。
上述したエバポレータ(1)は、車両のエンジンを駆動源とする圧縮機、圧縮機から吐出された冷媒を冷却するコンデンサ(冷媒冷却器)、コンデンサを通過した冷媒を減圧する膨張弁(減圧器)などとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして自動車に搭載される。そして、圧縮機のオン時には、圧縮機で圧縮されてコンデンサおよび膨張弁を通過した低圧の気液混相の2相冷媒が、入口パイプ(13)から冷媒入口部材(9)および冷媒入口(8)を通って風下側タンク(3)の右側区画内に入り、全ての扁平中空体(2)の冷媒流通管部(5)および両タンク(3)(4)の全区画を通って冷媒出口(11)から流出し、冷媒出口部材(12)を通って出口パイプ(14)に送り出される。冷媒が冷媒流通管部(5)内を流れる間に、通風間隙(6)を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
このとき、冷媒流通管部(5)内を流れる冷媒により冷却されて、アウターフィン(7)の表面に凝縮水が発生する。アウターフィン(7)の表面に発生した凝縮水は、アウターフィン(7)の連結部に形成されたルーバ(33)間の隙間を通って下方に流れ、冷媒流通管部(5)の連通部(17)を通り過ぎて凝縮水排水部(26)に至ると、排水通路(31)(32)内を下方に流れて排水される。
凝縮水が排水通路(31)(32)を流れる間に、凝縮水の有する冷熱が、アウターフィン(7)の延長部(7b)に接触した凸部(27)を介してアウターフィン(7)に伝わり、通風間隙(6)を流れる空気に放冷される。したがって、凝縮水の有する冷熱を車室内の冷房に利用することが可能になり、全体の高さを特許文献1記載のエバポレータと等しくした場合、圧縮機の省動力化を図ることが可能になる。その結果、自動車の燃費を改善することができる。
また、圧縮機がオフに切り替わった直後には、圧縮機のオン時にアウターフィン(7)の表面に発生した凝縮水が、凝縮水排水部(26)に設けられた排水通路(31)(32)を流れているので、凝縮水の有する冷熱が凸部(27)を介してアウターフィン(7)に伝わることになり、圧縮機のオフ時に、排水通路(31)(32)を流れる凝縮水の冷熱によって、エバポレータ(1)の温度の急激な上昇を抑制することができる。その結果、圧縮機が、オフからオンに切り替わるまでの時間を延ばすことができ、圧縮機のオン、オフサイクルを長くすることが可能になって、自動車の燃費の向上を図ることができる。しかも、圧縮機のオフ時に、エバポレータ(1)の温度の急激な上昇を抑制することができるので、エバポレータ(1)を通過する空気の温度である吐気温の急激な上昇も抑制される。
図7は、図1のエバポレータに用いられる扁平中空体の変形例を示す。
図7に示す扁平中空体(2)の場合、冷媒流通管部(5)の連通部(17)の下縁および凸部(27)の上縁は、風下側に向かって下方に傾斜している。
その他の構成は、扁平中空体(2)と同様である。
図8は、図1のエバポレータに用いられる扁平中空体の他の変形例を示す。
図8に示す扁平中空体(40)の場合、扁平中空体(2)の凝縮水排水部(26)において、両プレート(15)を左右方向外方に膨出させることによって、複数の凸部(41)が千鳥配置状に点在するように設けられている。そして、隣り合う凸部(41)間の部分が排水通路(42)となっている。
その他の構成は、扁平中空体(2)と同様である。
この発明によるエバポレータは、車両のカーエアコンを構成する冷凍サイクルに好適に用いられる。
(1):エバポレータ
(2):扁平中空体
(3):風下側タンク
(4):風上側タンク
(5):冷媒流通管部
(6):通風間隙
(7):アウターフィン
(7a):本体部分
(7b):延長部
(15):プレート
(16):膨出状直管部
(17):連通部
(18):膨出状タンク形成部
(26):凝縮水排水部
(27)(41):凸部
(28):スリット
(29):半抜き部
(31)(32)(42):排水通路

Claims (4)

  1. 長手方向を同方向に向けた状態で通風方向に並んで配置された風上側タンクおよび風下側タンクと、両タンクの長手方向に間隔をおいて配置され、かつ一端が風下側タンクに通じさせられるとともに他端が風上側タンクに通じさせられたヘアピン状の冷媒流通管部と、隣り合う冷媒流通管部どうしの間に形成された通風間隙に配置されたフィンとを備えているエバポレータであって、
    冷媒流通管部の下端に連なって下方に延びる凝縮水排水部が設けられ、フィンに、冷媒流通管部の下端よりも下方に延びて凝縮水排水部間に位置する延長部が設けられ、凝縮水排水部に、フィンの延長部に接触した凸部と、凝縮水を下方に排水する排水通路とが設けられているエバポレータ。
  2. 周縁部どうしが互いに接合された2枚の縦長金属プレートからなり、かつ長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平中空体が、厚み方向に積層状に配置されることによって形成されており、
    扁平中空体に、2枚の縦長金属プレート間に形成されて扁平中空体の厚み方向に膨出した膨出状冷媒流通管部と、2枚の縦長金属プレート間に膨出状冷媒流通管部の両端に通じるように形成されて扁平中空体の厚み方向に膨出し、かつ膨出状冷媒流通管部よりも膨出高さの高い2つの膨出状タンク形成部と、冷媒流通管部よりも下方の部分に位置する凝縮水排水部とが設けられ、冷媒流通管部が、長手方向を上下方向に向けた状態で通風方向に間隔をおいて形成された2つの直管部と、両直管部の下端部どうしを通じさせる連通部とよりなり、隣り合う扁平中空体のタンク形成部どうしが接合されるとともに、全扁平中空体のタンク形成部により風下側タンクおよび風上側タンクが形成され、隣り合う扁平中空体の冷媒流通管部が設けられている部分どうしの間が通風間隙となり、扁平中空体の凝縮水排水部に、両隣のフィン側に突出しかつ冷媒流通管部の膨出高さと等しい突出高さを有するとともに、排水通路を形成する凸部が設けられ、凸部の突出端部がフィンに接触させられている請求項1記載のエバポレータ。
  3. 扁平中空体の凝縮水排水部に設けられて排水通路を形成する凸部が、扁平中空体における冷媒流通管部よりも下方の部分に通風方向に並んで複数設けられており、各凸部が、扁平中空体を形成する両縦長金属プレートに上下方向に間隔をおいて形成されて通風方向にのびる2つのスリットからなるスリット対を通風方向に間隔をおいて複数対形成するとともに、縦長金属プレートの各スリット対の両スリット間の部分をフィン側に突出させることによって設けられており、凸部内が上下両端が開口した中空状であり、各凸部内および通風方向に隣り合う凸部間の部分が排水通路となっている請求項2記載のエバポレータ。
  4. 扁平中空体の凝縮水排水部に設けられて排水通路を形成する凸部が、扁平中空体における冷媒流通管部よりも下方の部分に点在するように複数設けられており、各凸部が、扁平中空体を形成する両縦長金属プレートをフィン側に膨出させることにより形成された膨出部よりなり、隣り合う凸部間の部分が排水通路となっている請求項2記載のエバポレータ。
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JP (1) JP2015045471A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017116166A (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー 蓄冷機能付きエバポレータ
JP2018035975A (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー 蓄冷機能付きエバポレータ

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JP2018035975A (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー 蓄冷機能付きエバポレータ

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