図1に、本発明の実施形態に係る電気機器制御システムの一例を示す。電気機器30は、例えば、居室内や車内に設置される空調機、居室内や車内に設置される照明器具、端末装置及び無線機等が該当する。端末装置には、パーソナルコンピュータ、携帯端末機器、ゲーム機、いわゆるスマートフォン、PDA及びタブレット端末等が含まれる。電気機器制御装置10は、電気機器30の出力を制御する。例えば、電気機器30が空調機の場合、電気機器制御装置10は、冷房運転時及び暖房運転時の空調機の設定温度を制御し、また、加湿時及び除湿時の空調機の設定湿度を制御する。また、電気機器30が照明器具の場合、電気機器制御装置10は、照明器具の輝度を制御する。また、電気機器30が端末装置の場合、電気機器制御装置10は、端末装置のディスプレイの輝度を制御する。また、電気機器30が無線機の場合、電気機器制御装置10は、無線の発信頻度を制御する。上記の電気機器30の例は一例であり、電気機器制御装置10は上記以外の電気機器の出力を制御してもよい。
電気機器制御装置10は、操作部12と、設定値変更部14と、ユーザ許容値設定部16と、演算部18とを含む。
操作部12は、電気機器30に対するユーザの操作を受け付ける。例えば、ユーザは操作部12を用いることで、電気機器30の電源のON/OFF操作、電気機器30の設定値の変更、及び、その他の操作を行うことができる。
設定値変更部14は、ユーザによって電気機器30が操作されない場合、電気機器30の消費電力が少なくなるように電気機器30の消費電力に関する設定値を待機時間毎に変更する。待機時間は、設定値変更部14が設定値を1つ変更するまで待機する時間であり、後述する演算部18によって求められる。例えば、電気機器30が単位時間の間、ユーザによって操作されなかった場合、設定値変更部14はトリガイベントの発生を検知する。設定値変更部14は、単位時間が経過する度にトリガイベントの発生を検知し、トリガイベントの発生回数をカウントする。そして、発生回数が待機回数となった場合、設定値変更部14は、電気機器30の消費電力が少なくなるように電気機器30の設定値を変更する。なお、単位時間は、1トリガイベント当たりの待機時間に相当し、待機時間と待機回数との関係は以下の式(1)で規定される。
待機時間=待機回数×単位時間(1トリガイベント当たりの待機時間)・・・式(1)
例えば電気機器30が空調機の場合、設定値は電気機器30の設定温度である。空調機が冷房運転している場合、設定値変更部14は、待機時間毎に空調機の設定温度(設定値)を所定温度だけ上げる。一方、空調機が暖房運転している場合、設定値変更部14は、待機時間毎に空調機の設定温度を所定温度だけ下げる。例えば、待機時間が1分であり、所定温度が1℃であり、空調機が冷房運転している場合、設定値変更部14は、1分毎に空調機の設定温度を1℃上げ、空調器が暖房運転している場合、1分毎に空調機の設定温度を1℃下げる。
また、電気機器30が照明器具や端末装置の場合、設定値は電気機器30の設定明るさ(設定輝度)である。この場合、設定値変更部14は、待機時間毎に照明器具の設定輝度を所定値だけ下げる。
ユーザ許容値設定部16は、電気機器30の消費電力がより多くなるように設定値がユーザによって変更された場合、ユーザによって変更される前の設定値を、ユーザ許容値として設定する。例えば、ユーザ許容値設定部16は、ユーザによって変更される直前の設定値を、ユーザ許容値として設定する。このユーザ許容値は、電気機器30の設定値に対してユーザが許容できる限界の値に相当する。本実施形態では、設定値変更部14によって設定値が自動的に変更されており、ユーザが設定値を変更しなかった場合、設定値変更部14によって設定された設定値にユーザは満足している可能性が高い。一方、ユーザが設定値を変更した場合、変更時点の設定値にはユーザは満足していないが、変更直前の設定値にはユーザは満足していた可能性が高い。従って、直前の設定値が、ユーザが許容できる(満足できる)限界の値であると推測される。具体例を挙げて説明すると、電気機器30が空調機であって冷房運転している場合に、設定値変更部14が、空調機の設定温度を27℃から28℃に変更したとする。設定温度が28℃の時点で、ユーザが電気機器30の設定温度を26℃等の温度に変更した場合、ユーザ許容値設定部16は、28℃の直前の設定温度である27℃を、ユーザ許容値として設定する。すなわち、空調機の設定温度が27℃の時点では、ユーザによって設定温度が変更されなかったのであるから、ユーザは27℃の温度に満足していたと推測される。一方、設定温度が28℃の時点で、ユーザが設定温度を変更したのであるから、ユーザは28℃の温度に満足していないと推測される。従って、ユーザ許容値設定部16は、ユーザによって変更される直前の設定温度である27℃を、ユーザ許容値として設定する。
演算部18は、上記の待機時間(待機回数)を計算する。また、ユーザ許容値設定部16によって同じユーザ許容値が連続して(繰り返して)設定された場合、演算部18は、その連続回数(繰り返し回数)が多くなるほど待機時間を長くする。このように待機時間が求められると、設定値変更部14は、連続回数が多くなるほど待機時間を長くして設定値を変更することになる。同じユーザ許容値が連続して設定されたということは、同じ設定値の時点でユーザによって設定値が繰り返して変更されたことになる。すなわち、同じ環境が続いているにも関わらずユーザによる設定値変更が行われていることになるので、ユーザ操作の発生を防止するために、演算部18は、連続回数が多くなるほど待機時間を長くする。
また、演算部18は、ユーザ許容値を基準にして待機時間の長さを変える。例えば、演算部18は、電気機器30の消費電力が、設定値がユーザ許容値のときの消費電力以下となる状況下では、電気機器30の消費電力が、設定値がユーザ許容値のときの消費電力を超える状況下よりも、待機時間を長くする。また、演算部18は、電気機器30の消費電力が、設定値がユーザ許容値のときの消費電力よりも少なくなるほど、待機時間を長くする。例えば、電気機器30が空調機であって冷房運転しているものとする。この場合、設定温度がユーザ許容値以上になると、消費電力は、設定温度がユーザ許容値のときの消費電力以下となる。一方、設定温度がユーザ許容値未満となると、消費電力は、設定温度がユーザ許容値のときの消費電力を超える。設定温度がユーザ許容値未満であれば、設定温度はユーザの許容の限度を超えていないため、ユーザによって設定温度が変更される可能性は低い。一方、設定温度がユーザ許容値以上となる場合、設定温度がユーザの許容の限度を超えているため、ユーザによって設定温度が変更される可能性が高くなる。従って、設定温度がユーザ許容値未満の場合、消費電力をより削減して省エネ効果を向上させるために、設定温度がユーザ許容値以上の場合よりも待機時間を短くして設定温度を変更する。一方、設定温度がユーザ許容値以上の場合、ユーザによる設定温度の変更回数を減らし、ユーザの操作負担を軽減するために、設定温度がユーザ許容値未満の場合よりも待機時間を長くして設定温度を変更する。また、設定温度がユーザ許容値以上となる場合、設定温度とユーザ許容値との差分が大きくなるほど、ユーザによって設定温度が変更される可能性が高くなるので、演算部18は、差分が大きくなるほど待機時間を長くする。
具体的には、演算部18は以下の条件(1)及び(2)に従って待機時間を求める。
(1)ユーザ許容値の連続回数(繰り返し回数)=0(初回)の場合、待機時間=単位時間とする。この場合、設定値変更部14は、単位時間毎に設定値を変更する。
(2)連続回数(繰り返し回数)>0の場合は、以下の条件に従って待機時間を求める。
(2−1)差分値≧0の場合、
待機時間=(差分値+1)×2n(2のn乗)×単位時間・・・式(2)
(2−2)差分値<0場合、待機時間=単位時間とする。
ここで、nは連続回数(繰り返し回数)である。
また、差分値=設定値−ユーザ許容値である。
なお、差分値は、設定値をユーザ許容値から、より消費電力が少なくなるように変更した回数に相当する。設定値がユーザ許容値のときは、差分値は0となり、設定値がユーザ許容値よりも消費電力が大きい値のときは、差分値は負となる。
なお、待機時間を待機回数で表すと、上記の条件は以下のように表される。
(1)ユーザ許容値の連続回数=0の場合、待機回数=1回のトリガイベントとする。
(2)連続回数>0の場合、以下の条件に従って待機回数を求める。
(2−1)差分値≧0の場合、
待機回数=(差分値+1)×2n(2のn乗)・・・式(3)
(2−2)差分値<0の場合、待機回数=1回のトリガイベントとする。
上記の条件(2)は、設定値が大きくなるほど電気機器30の消費電力が少なくなる場合に用いられる条件である。例えば、電気機器30が空調機であって冷房運転している場合に、条件(2)に従って待機時間が求められる。
一方、設定値が小さくなるほど電気機器30の消費電力が少なくなる場合、条件(2)は以下の条件(3)に変更される。例えば、電気機器30が空調機であって暖房運転している場合に、条件(3)に従って待機時間が求められる。
(3)連続回数(繰り返し回数)>0の場合は、以下の条件に従って待機時間を求める。
(3−1)差分値≦0の場合、
待機時間=(差分値+1)×2n(2のn乗)×単位時間・・・式(4)
(3−1)差分値>0の場合、待機時間=単位時間とする。
次に、図2を参照して、電気機器制御装置10の動作の概要を説明する。一例として、電気機器30が空調機であって冷房運転しているものとする。図2(a)に示すように、例えば、空調機の設定温度(設定値)が設定最小値(22℃)に設定されているものとする。空調機の設定温度がユーザによって変更されない場合にトリガイベントが発生し、設定値変更部14は、トリガイベントが発生する度に設定温度を上げる。例えば単位時間(1トリガイベント当たりの待機時間)が1分の場合、設定値変更部14は、1分毎に設定温度を1℃上げる。そして、図2(b)に示すように、設定温度が28℃に変更された時点で、ユーザが設定温度を24℃に変更した場合、ユーザ許容値設定部16は、28℃の直前の設定温度である27℃を、ユーザ許容値として設定する。その後、図2(c)に示すように、設定値変更部14は、24℃から設定温度を上げていく。この場合も、設定値変更部14は、トリガイベントが発生する度に(1分毎に)設定温度を1℃上げる。そして、設定温度がユーザ許容値以上となった場合(設定温度≧27℃)、設定値変更部14は、設定温度がユーザ許容値未満の場合(設定温度>27℃)よりも、待機時間を長くして設定温度を変更する。さらに、設定温度がユーザ許容値以上となる状況下では、設定値変更部14は、設定温度とユーザ許容値との差分が大きくなるほど、待機時間を長くして設定温度を変更する。
このように、設定温度がユーザ許容値未満となる場合、消費電力をより削減して省エネ効果を高めるために、設定値変更部14は、トリガイベントが発生する度に(単位時間毎)に設定温度を変更する。例えば、設定値変更部14は、1分毎に設定温度を1℃上げる。一方、設定温度がユーザ許容値以上となる場合、設定温度は、ユーザが許容できる温度を超えているので、ユーザによって設定温度が変更される可能性が高くなる。このときに、トリガイベントが発生する度に(単位時間毎)に設定温度を変更すると、ユーザによる設定温度の変更操作が頻繁に発生し、ユーザの操作負担が増加する。そこで、本実施形態では、設定値変更部14は、設定温度がユーザ許容値以上となる場合、設定温度がユーザ許容値未満の場合よりも、待機時間を長くするとともに、設定温度とユーザ許容値との差分が大きくなるほど、待機時間を長くして設定温度を変更する。これにより、設定温度がユーザ許容値以上となった場合に、ユーザによって設定温度が頻繁に変更されることが防止される。
次に、図3から図6に示すフローチャートを参照して、電気機器制御装置10の詳細な動作について説明する。一例として、電気機器30が空調機であって冷房運転しているものとする。図3に全体の動作を示す。図3に示すように、まず、ユーザが空調機を操作した場合(S01)、電気機器制御装置10はログイン処理を行う(S02)。例えば、ユーザが空調機の電源をONした場合に、電気機器制御装置10はログイン処理を行う。図4にログイン処理の流れを示す。まず、ユーザ許容値がユーザ許容値設定部16によって既に設定されている場合(S10,Yes)、設定値変更部14は、空調機の設定温度(設定値)を当該ユーザ許容値に設定する(S11)。ユーザ許容値が設定されていない場合(S10,No)、ユーザ許容値設定部16は、空調機の設定最大値をユーザ許容値に設定する(S12)。冷房運転においては、設定最大値は例えば30℃等の値に設定される。そして、設定値変更部14は、トリガイベントの発生回数を零(0)に設定する(S13)。以上で、ログイン処理が終了する。なお、設定値(設定温度)が小さくなるほど電気機器30の消費電力が小さくなる場合、ステップS12では、空調機の設定最小値がユーザ許容値に設定される。例えば、空調器が暖房運転している場合には、設定最小値(例えば18℃等)がユーザ許容値に設定される。
図3に戻って説明すると、ログイン処理後、電気機器制御装置10はトリガイベントの発生を待つ(S03)。そして、トリガイベントが発生した場合、電気機器制御装置10は、トリガイベント発生時の処理を実行する(S04)。図5にトリガイベント発生時の処理の流れを示す。例えば、空調機の設定温度が、単位時間の間(例えば1分間)、ユーザによって変更されなかった場合、設定値変更部14はトリガイベントの発生を検知する(S20)。このとき、設定温度(設定値)がユーザ許容値以上ではない場合(S21,No)、つまり、設定温度がユーザ許容値未満となる場合、設定値変更部14は、空調機の設定温度を、所定温度(例えば1℃)上げる(S25)。一方、設定温度がユーザ許容値以上の場合(S21,Yes)、設定値変更部14は、トリガイベントの発生回数を増やす(インクリメントする)(S22)。そして、トリガイベントの発生回数が、演算部18によって求められた待機回数と等しくなった場合(S23,Yes)、設定値変更部14は、イベントトリガの発生回数を零(0)にし(S24)、空調機の設定温度を1℃上げる(S25)。すなわち、演算部18によって求められた待機時間の間、ユーザによって空調機の設定温度が変更されなかった場合、設定値変更部14は、空調機の設定温度を1℃上げる(S25)。一方、トリガイベントの発生回数が待機回数に至らない場合(S23,No)、つまり、設定温度がユーザによって変更されなかった時間の長さが待機時間よりも短い場合(S23,No)、トリガイベント発生時の処理は終了する。このように、設定温度(設定値)がユーザ許容値以上の場合、ユーザによる設定温度の変更が頻繁に発生するのを防止するために、設定値変更部14は、待機回数分のトリガイベントが発生してから設定温度を上げる。そして、図3に戻って説明すると、電気機器制御装置10は、トリガイベントの発生を待つ(S03)。なお、設定値(設定温度)が小さくなるほど電気機器30の消費電力が小さくなる場合、ステップS21の判断条件は「設定温度(設定値)≦ユーザ許容値」で規定され、ステップS25の処理では「設定温度(設定値)を下げる」ことになる。
図3に戻って説明すると、ユーザが操作部12を用いて空調機の設定温度(設定値)を変更した場合、電気機器制御装置10は、ユーザ設定変更時の処理を実行する(S05)。図6にユーザ設定変更時の処理の流れを示す。ユーザによってより消費電力が多くなる温度に設定温度が変更された場合、つまり、設定温度がより低い温度に変更された場合(S30)、ユーザ許容値設定部16は、ユーザによって変更される直前の設定温度を、ユーザ許容値として設定する(S31)。また、設定値変更部14は、トリガイベントの発生回数を零(0)にする(S32)。これにより、ユーザ設定変更時の処理が終了する。図3に戻って説明すると、電気機器制御装置10は、トリガイベントの発生を待ち(S03)、ステップS03〜S05の処理を繰り返す。なお、ユーザによって、より消費電力が少なくなる温度に設定温度が変更された場合、設定値変更部14は、トリガイベントの発生回数を零(0)にする。以降、電気機器制御装置10は、ステップS03〜S05の処理を繰り返す。
次に、図7を参照して、電気機器制御装置10の動作の具体例について説明する。一例として、電気機器30が空調機であって冷房運転するものとする。図7は、時間に対する設定温度の変化、ユーザ操作のタイミング、及び、ユーザ許容値(温度)を示す。図7において、横軸は時間(分)を示し、縦軸は設定温度(℃)を示す。例えば、単位時間を1分とし、設定値変更部14による設定温度の上げ幅は1℃とする。また、黒丸は、ユーザが設定温度を変更したタイミングと、変更時の設定温度とを示す。黒丸から出る矢印の先は、ユーザによって変更された後の設定温度を示す。白丸は、ユーザ許容値を示す。
まず、初期状態では、設定温度は23℃に設定されている。この状態から、設定値変更部14は、設定温度を待機時間毎に1℃上げる。「初回」で示される時間帯では、ユーザ許容値が連続して(繰り返して)設定されていないため、ユーザ許容値の連続回数(繰り返し回数)は零(0)である。この場合、上述した条件(1)に示すように、待機時間は単位時間と等しくなる。従って、設定値変更部14は、単位時間(1分)毎に設定温度を1℃上げる。そして、設定温度が27℃に変更された時点で、ユーザが設定温度を24℃に変更している。従って、ユーザ許容値設定部16は、27℃の直前の設定温度である26℃をユーザ許容値として設定する。
そして、設定値変更部14は、24℃から設定温度を上げていく。このときの待機時間について説明する。設定温度が27℃の時点で設定温度がユーザによって変更されているので、その時点でのユーザ許容値の連続回数(繰り返し回数)は「1」となる。この場合、演算部18は、上述した条件(2)に従って待機時間を求める。演算部18は、差分値(=設定温度−ユーザ許容値)≧0の場合、上記の式(2)に従って待機時間を求め、差分値<0の場合、単位時間(1分)を待機時間とする。例えば、設定温度が24℃の場合、差分値(=24℃−26℃)は−2℃(<0)となるため、演算部18は、設定温度を24℃から25℃に上げるための待機時間Aを、単位時間(1分)とする。同様に、設定温度を25℃から26℃に上げるための待機時間Bを、単位時間(1分)とする。従って、設定値変更部14は、設定温度がユーザによって24℃に変更された後、1分後に、設定温度を25℃に変更し、更に1分後に、設定温度を26℃に変更する。そして、設定温度が26℃に変更されると、差分値(=26℃−26℃)は0℃(≧0)となるため、演算部18は、上記の式(2)に従って待機時間Cを求める。この場合、差分値が零(0)であり、ユーザ許容値の連続回数(繰り返し回数)が1回であるため、式(2)に従うと、待機時間Cは2分(=2×単位時間)となる。従って、設定値変更部14は、設定温度が26℃に変更されてから2分後に、設定温度を27℃に変更する。「繰り返し1回目」で示される時間帯では、ユーザ許容値は26℃に維持される。
その後、設定温度が27℃の時点で、ユーザが設定温度を24℃に変更している。設定温度が27℃の時点でユーザによって再び設定温度が変更されたため、ユーザ許容値設定部16は、26℃をユーザ許容値として再び設定する。このように、同じユーザ許容値(26℃)が2回連続して(繰り返して)設定されたため、ユーザ許容値の連続回数(繰り返し回数)は「2」となる。この場合、演算部18は、上述した条件(2)に従って待機時間を求める。待機時間D,Eは、上記の待機時間A,Bと同様に単位時間(1分)となるので、設定値変更部14は、設定温度がユーザによって24℃に変更された後、1分後に、設定温度を25℃に変更し、更に1分後に、設定温度を26℃に変更する。そして、設定温度が26℃に変更されると、差分値は0℃(≧0)となるため、演算部18は、上記の式(2)に従って待機時間Fを求める。この場合、差分値が零(0)であり、ユーザ許容値の連続回数(繰り返し回数)が2回であるため、式(2)に従うと、待機時間Fは4分(=22×単位時間)となる。従って、設定値変更部14は、設定温度が26℃に変更されてから4分後に、設定温度を27℃に変更する。そして、設定温度が27℃に変更されると、差分値(=27℃−26℃)は1℃となるため、式(2)に従うと、待機時間Gは8分(=2×22×単位時間)となる。従って、設定値変更部14は、設定温度が27℃に変更されてから8分後に、設定温度を28℃に変更する。「繰り返し2回目」で示される時間帯では、ユーザ許容値は26℃に維持される。
その後、設定温度が28℃の時点で、ユーザが設定温度を24℃に変更している。設定温度が28℃の時点でユーザによって設定温度が変更されたため、ユーザ許容値設定部16は、27℃をユーザ許容値として設定する。従って、ユーザ許容値は26℃から27℃に変更したことになり、この時点ではユーザ許容値の連続回数は「1」となる。そして、演算部18は、上記の条件(1)及び(2)に従って待機時間を求め、設定値変更部14は、その待機時間に従って設定温度を変更する。以降も同様にして、処理が実行される。
なお、演算部18は、値の差が所定値以内となる複数のユーザ許容値を、同等のユーザ許容値として扱ってもよい。そして、ユーザ許容値設定部16によって同等のユーザ許容値が連続して(繰り返して)設定された場合、演算部18は、上記の条件(1)及び(2)に従い、その連続回数(繰り返し回数)に応じた待機時間を求める。例えば、所定値を1℃とすると、26℃と27℃とは同等のユーザ許容値として扱われる。従って、図7に示す「繰り返し2回目」の後の「繰り返し1回目」は、「繰り返し3回目」として扱われ、演算部18は、「繰り返し3回目」の時間帯では、ユーザ許容値の連続回数(繰り返し回数)を3回にして待機時間を求める。
以上のように、ユーザによって許容される設定温度(ユーザ許容値)が求められた場合に、設定温度をユーザ許容値に維持せずに、より高い省エネ効果が得られるユーザ許容値を探索するために、空調機(電気機器30)の消費電力がより少なくなるように設定温度を自動的に変更することで、空調機の省エネを向上させることが可能となる。空調器が冷房運転している場合、設定温度を自動的に上げることで、空調機の省エネ効果を向上させることができ、また、空調機が暖房運転している場合、設定温度を自動的に下げることで、空調機の省エネ効果を向上させることができる。例えば、空調機が設置されているエリア内の環境がより高い省エネ効果が得られる環境に変わった場合、設定温度をユーザ許容値に維持するよりも、空調機の省エネ効果を向上させることができる。
具体例を挙げて本実施形態の効果について説明する。例えば、図7に示す許容温度100(一点鎖線)は、エリア内に滞在しているユーザの実際の許容値(エリア内のユーザ許容値)を示している。例えば、設定温度が26.5℃で不快に感じるユーザ(エリア内の人の中で一番暑がりのユーザ)がエリア内に存在し、設定温度が27℃になると、そのユーザによって設定温度が下げられていたものとする。この場合、ユーザ許容値は26℃に設定される。このユーザが、例えばタイミングTの時点でエリアを退室し、27℃程度では不快に感じるユーザがエリア内に存在しなくなると、設定温度が27℃に変更されてもユーザによって設定温度は変更されずに、設定値変更部14によって設定温度は28℃に変更される。この時点で、例えば設定温度が27.5℃で不快に感じるユーザがエリア内に存在し、そのユーザによって設定温度が下げられると、ユーザ許容値は27℃に設定される。以上のように、タイミングT以降においては実際のユーザ許容値は27.5℃であるため、設定温度を27℃に上げても、ユーザによって設定温度が下げられることがないので、ユーザ許容値及び設定温度を26℃に維持するよりも、設定温度を27℃に上昇できる分、省エネ効果を向上させることができる。
また、本実施形態では、ユーザ許容値を基準にして待機時間の長さを変えることで、省エネ効果を向上させることができるとともに、ユーザの操作負担が増加するのを防止することができる。例えば、設定温度がユーザ許容値未満の場合、設定温度にユーザは満足している可能性が高い。この場合、単位時間毎に設定温度を上昇させても、ユーザによって設定温度が下げられる可能性は低いので、空調機の省エネ効果を向上させることができるとともに、ユーザの操作負担が増加するのを防止することができる。一方、設定温度がユーザ許容値以上の場合、ユーザによって設定温度が下げられる可能性は高い。この場合、設定温度を上昇させるまでの待機時間を長くすることで、ユーザによって設定温度が頻繁に変更されることを防止することが可能となり、その結果、ユーザの操作負担が増加するのを防止することができる。また、設定温度がユーザ許容値以上となる場合、設定温度とユーザ許容値との差分が大きくなるほど待機時間を長くすることで、ユーザによって設定温度が頻繁に変更されることを防止することができる。
また、同じ又は同等のユーザ許容値が連続して(繰り返して)設定される場合、その連続回数が多くなるほど待機時間を長くすることで、ユーザによって設定温度が頻繁に変更されることを防止することが可能となる。すなわち、同じ環境の下で、ユーザによって設定温度が頻繁に変更されることを防止することが可能となる。
次に、本実施形態と参考例とを比較しつつ、本実施形態の効果について説明する。まず、図8を参照して、エリア内の環境がより高い省エネ効果を得られる環境に変わった場合を例にとって、本実施形態と参考例とを比較する。図8(a)は、本実施形態における設定温度(設定値)、エリア内の実測温度(実測値)及び省エネ効果を示す図である。図8(b)は、参考例における設定温度(設定値)及びエリア内の実測温度(実測値)を示す図である。図8(a)及び(b)中、実測温度を実線で示し、設定温度を破線で示す。また、図8(a)及び(b)には、許容温度100(一点鎖線)が示されている。
図8(a)に示されている設定温度(設定値)は、図7に示す設定温度と同じものである。ここで、参考例について説明する。参考例では、単位時間(例えば1分)毎に設定温度を1℃上げ、ユーザによって設定温度が変更された場合、変更直前の設定温度(設定値)をユーザ許容値として設定する。そして、ユーザによって変更された後の設定温度からユーザ許容値まで、単位時間毎に設定温度を1℃上げていく。参考例では、ユーザ許容値が一度設定されると、次にユーザによって設定温度が変更されるまで、設定温度がユーザ許容値に維持される。例えば、設定温度が27℃のときにユーザによって設定温度が下げられると、ユーザ許容値は26℃に設定され、その後、ユーザによって設定温度が変更されるまで、設定温度はユーザ許容値である26℃に維持される。
図8(a)において、白色の領域(省エネ領域)は、参考例よりも本実施形態の方が省エネとなっている部分であり、黒色の領域(非省エネ領域)は、参考例よりも本実施形態の方が省エネとなっていない部分である。
例えばタイミングT以前では、一点鎖線の許容温度100で示すように実際のユーザ許容値は26.5℃であるため、設定値変更部14によって設定温度を自動的に上昇させると、設定温度が27℃になった時点で設定温度がユーザによって下げられる。そのため、参考例のように設定温度をユーザ許容値である26℃に維持する場合と比べて、省エネ効果が低下する。一方、タイミングT以降では、実際のユーザ許容値は27.5℃であるため、設定値変更部14によって設定温度を自動的に27℃に上昇させても、ユーザによって設定温度が下げられることはない。そのため、設定温度をユーザ許容値である26℃に維持するよりも、省エネ効果が上昇する。すなわち、エリア内の環境がより高い省エネ効果が得られる環境に変わった場合(例えば、暑がりの人が退室したことにより、エリア内の温度がより高くなっても快適性が損なわれない状況になった場合)において、設定値変更部14によって設定温度を自動的に上昇させることで、設定温度をユーザ許容値に維持する場合と比べて、空調機の省エネ効果を向上させることが可能となる。参考例では、エリア内の環境がより高い省エネ効果が得られる環境に変わった場合であっても、設定温度はユーザ許容値である26℃に維持されるので、本実施形態よりも高い省エネ効果は得られない。このように本実施形態では、参考例とは異なり、ユーザ許容値が発見された後であっても、より高い省エネ効果が得られる設定温度を積極的に探索することで、エリア内の環境変化に対応して、より高い省エネ効果を得ることが可能となる。
更に具体例を挙げて説明する。例えば、空調機が設置されているエリア内に、暑がりのユーザA(例えば、温度が25℃を超えると不快と感じるユーザ)と、普通のユーザB(例えば、温度が28℃を超えると不快と感じるユーザ)とが滞在しているものする。そして、実施形態及び参考例のそれぞれの手法によって、ユーザ許容値が25℃であることが求められたとする。その後、暑がりのユーザAがエリアから退室した場合、ユーザBのみがエリア内に滞在することになるので、このエリアの適切な設定温度(省エネ効果が得られるとともにユーザが不快に感じない温度)は28℃となる。従って、設定温度は、28℃に変更されるべきである。しかしながら、参考例では、ユーザ許容値(25℃)が一度設定されると、ユーザBによる設定温度の変更操作が行われるまで、設定温度は25℃に維持される。これに対して、本実施形態では、ユーザ許容値(25℃)が一度設定されても、より高い省エネ効果が得られる温度に設定温度を変更するように(設定温度を上げるように)、設定値変更部14が動作するので、ユーザ許容値として28℃を求めることが可能となる。そのため、空調機の設定温度は28℃に設定され、より高い省エネ効果を得ることが可能となる。一方、ユーザ許容値が25℃に設定されているときに、より暑がりのユーザC(例えば、温度が22℃を超えると不快に感じるユーザ)がエリア内に入った場合、実施形態及び参考例のいずれにおいても、より暑がりのユーザCによる設定温度の変更操作に基づき、ユーザ許容値が22℃であることが求められる。この例のように、ユーザ許容値が一度求められた後、エリア内の環境がより高い省エネ効果が得られる環境に変わった場合、参考例よりも本実施形態の方が、より高い省エネ効果を実現することが可能となる。
また、本実施形態では、ユーザの操作によって、一時的に参考例よりも省エネではない部分が発生するが、同じ又は同等のユーザ許容値が連続して(繰り返して)設定される場合、その連続回数が多くなるほど待機時間を長くすることで、ユーザ操作が頻発するのを抑制し、参考例よりも省エネ効果を向上させることが可能となる。例えば、繰り返し2回目の時間帯では、待機時間が他の時間帯よりも長くなっているので、ユーザ操作の発生が抑制され、省エネ効果を向上させることが可能となる。
図9に、図8の続きのグラフを示す。図9(a)は図8(a)の続きのグラフであり、図9(b)は図8(b)の続きのグラフである。許容温度100で示すように、エリア内に滞在するユーザの実際の許容温度は、例えば27.5℃に維持されている。また、図8(a)と同様に、図9(a)において、白色の領域(省エネ領域)は、参考例よりも本実施形態の方が省エネとなっている部分であり、黒色の領域(非省エネ領域)は、参考例よりも本実施形態の方が省エネとなっていない部分である。
上述したように、本実施形態では、ユーザ許容値が設定された後であっても、消費電力が少なくなるように設定温度を変更するので(設定温度を上昇させるので)、設定温度がユーザ許容値を超えた場合、ユーザによって設定温度が下げられることになる。例えば図9(a)に示すように、同じ設定温度(例えば28℃)にて、ユーザによって設定温度が繰り返し下げられている。許容温度100で示すように、実際のユーザ許容値は27.5℃であるため、設定温度が28℃に達した時点で、ユーザによって設定温度が下げられることになる。図9(a)に示す例では、許容温度100が示す温度は27.5℃に維持されており、4回連続して、28℃にてユーザによって設定温度が下げられている。そのため、上記の式(2)に従い、連続回数(繰り返し回数)が多くなるほど待機時間が長く設定される。例えば、「繰り返し1回目」では待機時間は最長で2分となり、「繰り返し2回目」では待機時間は最長で4分となり、「繰り返し3回目」では待機時間は最長で8分となり、「繰り返し4回目」では待機時間は最長で16分となる。
一方、参考例では、ユーザ許容値が一度設定されると、次にユーザによって設定温度が変更されるまで、設定温度がユーザ許容値に維持される。従って、図9(b)に示すように、ユーザ許容値が26℃に設定された場合、設定温度は26℃に維持される。
本実施形態では、例えば図9(a)に示すように、ユーザ許容値は27℃に設定され、設定温度が28℃になるとユーザによって設定温度は下げられるが、設定温度が27℃のときには、ユーザによって設定温度は下げられず、待機時間の間、設定温度は27℃に維持される。一方、参考例では、ユーザ許容値は26℃に維持され、設定温度も26℃に維持される。本実施形態では、ユーザ許容値が設定された場合であっても、設定値変更部14が設定温度を自動的に上昇させているので、参考例のユーザ許容値(26℃)よりも低い温度にユーザによって設定温度が下げられる場合もある。この場合、参考例よりも省エネ効果が低下する。このように、本実施形態では、一時的に、参考例よりも省エネではない部分が発生する。しかしながら、本実施形態では、設定温度を自動的に上昇させた結果、26℃よりも高いユーザ許容値(27℃)が発見され、設定温度が27℃の時点では設定温度がユーザによって下げられることはないので、参考例よりも省エネ効果が向上する。また、27℃から28℃に設定温度を上げるまでの待機時間は、連続回数が多くなるほど長くなるので、連続回数が多くなるほど、設定温度が27℃に維持される時間が長くなり、その分、省エネ効果が向上する。このように、本実施形態では、同じ又は同等のユーザ許容値が連続して(繰り返して)設定される場合、その連続回数が多くなるほど待機時間を長くすることで、ユーザ操作が頻発するのを抑制することができるので、参考例よりも省エネ効果を向上させることが可能となる。
次に、図10を参照して、エリア内の環境が変わらない場合を例にとって、本実施形態と参考例とを比較する。図10(a)は、本実施形態における設定温度、エリア内の実測温度(実測値)及び省エネ効果を示す図である。図10(b)は、参考例における設定温度(設定値)及びエリア内の実測温度(実測値)を示す図であり、図8(b)に示す図と同じものである。図10(a)及び(b)中、実測温度を実線で示し、設定温度を破線で示す。例えば、許容温度100(一点鎖線)で示すように、エリア内の実際のユーザ許容値は26.5℃に維持されている。
エリア内の実際のユーザ許容値が26.5℃に維持されているため、図10(a)に示すように、設定値変更部14によって設定温度が27℃に変更されると、ユーザによって設定温度が下げられることになる。図10(a)に示す例では、4回連続して、27℃にて設定温度が下げられている。本実施形態では、ユーザ許容値が求められた後であっても、消費電力が少なくなるように設定温度を上昇させているので、ユーザによって設定温度が下げられ、一時的に、参考例よりも省エネではない部分(黒抜きの部分)が発生する。しかしながら、上述したように、同じ又は同等のユーザ許容値が連続して設定された場合、その連続回数が長くなるほど待機時間を長くすることで、ユーザ操作が頻発するのを抑制できるので、一時的な省エネ効果の低下は、全体の省エネ効果に比べると大きな問題とならない。
なお、ユーザ許容値の連続回数(繰り返し回数)の上限値を設定してもよい。例えば、連続回数が当該上限値を超えた場合、設定値変更部14は、次にユーザによって設定温度が変更されるまで、又は、予め設定された時間が経過するまで、設定温度の変更を停止してもよい。これにより、設定値変更部14による設定温度の変更が制限されるので、一時的な省エネ効果の低下が防止又は軽減される。
次に、図11を参照して、エリア内の環境がより省エネできない環境に変わった場合を例にとって、本実施形態と参考例とを比較する。図11(a)は、本実施形態における設定温度、エリア内の実測温度(実測値)及び省エネ効果を示す図である。図11(b)は、参考例における設定温度(設定値)及びエリア内の実測温度(実測値)を示す図である。図11(a)及び(b)中、実測温度を実線で示し、設定温度を破線で示す。例えば、許容温度100(一点鎖線)で示すように、当初、エリア内の実際のユーザ許容値は26.5℃に維持され、タイミングTの時点で25.5℃に下がり、その後、25.5℃に維持されている。
当初、エリア内の実際のユーザ許容値は26.5℃に維持されているため、図11(a)に示すように、設定値変更部14によって設定温度が27℃に変更されると、ユーザによって設定温度が下げられることになる。また、実際のユーザ許容値が25.5℃に下げられた場合、設定値変更部14によって設定温度が26℃に変更されると、ユーザによって設定温度が下げられることになる。そのため、一時的に、参考例よりも省エネではない部分(黒色の領域)が発生する。しかしながら、上述したように、同じ又は同等のユーザ許容値が連続して設定された場合、その連続回数が長くなるほど待機時間を長くすることで、ユーザ操作が頻発するのを抑制できるので、一時的な省エネ効果の低下は、全体の省エネ効果に比べると大きな問題とならない。
なお、上記の実施形態では、電気機器30が空調機であって冷房運転をしている場合について説明したが、空調器が暖房運転している場合や、電気機器30が照明器具や端末装置等の場合であっても、空調機が冷房運転している場合と同じ効果が得られる。
次に、図12を参照して、本実施形態の適用例について説明する。図12は、オフィス内の在室人数の推移を示すグラフである。横軸は時刻を示し、縦軸は在室人数の割合(%)を示す。
例えば、定時前(9時前)では在室人数が増加していき、定時時間(9時〜17時30分)では昼食時を除き、在室人数(%)は最大となり、定時後(17時30〜)では在室人数は減少する。定時時間が最も時間が長く、環境が最も厳しい時間帯である。本実施形態では、より高い省エネ効果が得られる環境になった場合(例えば在室人数が少なくなった場合)に、参考例よりも省エネ効果を向上させることができるので、最も環境が厳しい定時時間を通常時として扱う。定時前では在室人数が増加しているので、通常時と比較して高い省エネ効果を達成することは困難であるが、昼食時や定時後では在室人数が減少するので、通常時よりも高い省エネ効果が得られる。また、定時時間内であっても、会議や出張等によって在室人数が減少している場合には、参考例と比較して、省エネ効果を向上させることができる。なお、人がいない時間帯には、本実施形態は適用されなくてもよい。
次に、図13から図16を参照して、変形例について説明する。図13に、変形例に係る電気機器制御装置10Aを示す。電気機器制御装置10Aは、図1に示す電気機器制御装置10の構成に加え、更に、環境予測部20を含む。環境予測部20以外の構成は、電気機器制御装置10の構成と同じであるため、以下では、環境予測部20について主に説明する。
環境予測部20は、ユーザによる設定値の変更のタイミングに基づいて、電気機器30が設置されている環境(エリア内の環境)の状態を予測する。例えば、環境予測部20は、変更タイミングが予め設定された基準タイミングより遅い場合、電気機器30が設置されている環境の状態を良好と予測し、変更タイミングが基準タイミングより早い場合、環境の状態を悪い状態と予測する。そして、環境予測部20は、予測結果を出力する。例えば、環境予測部20は、予測結果を示す情報をディスプレイ等の表示装置に表示させてもよいし、予測結果を示す情報をネットワーク等の通信経路を介して外部装置に出力してもよいし、予測結果を示す音声を出力してもよい。
例えば、空調機の設定温度が変更された場合、その変更時点で、エリア内の実際の温度が設定温度と同じになるわけではなく、周囲の環境(人の密度や空調器の性能等)に応じた速度で、実際の温度が設定温度に近づいていく。本実施形態では、設定温度に対する実際の温度の追従性に着目して環境の状態を予測する。
ここで、図14から図16に、それぞれ異なる環境における設定温度及び実測温度の推移を示す。図14から図16は、上述した本実施形態によって制御された設定温度、及び、エリア内の実測温度を示すグラフである。図14から図16において、実測温度を実線で示し、設定温度を破線で示す。図14は通常時のグラフであり、図15は良環境時のグラフであり、図16は悪環境時のグラフである。
例えば、エリア内の人の密度が予め設定された密度内に含まれる状態を通常時とする。この通常時において空調機(電気機器30)が冷房運転している場合の温度変化(温度上昇及び温度下降)を、基準とする。通常時においては、図14に示すように、設定温度の変化に追従して、実測温度(エリア内の実際の温度)が変化する。
一方、通常時よりもエリア内の人の密度が低い場合(人が少ない場合)、実測温度は、通常時と比べて、温度上昇時は上がり難くなり、温度下降時は下がり易くなる。本実施形態では、このような状態の環境が、通常時よりも良い環境であるとする。例えば図15に示すように、温度上昇時では、設定温度の変更に対して実測温度の追従が遅くなる。このように、温度上昇時において、通常時と比べて、設定温度に対する実測温度の追従性が悪くなる。従って、良環境時では、設定値変更部14によって設定温度が変更された後のユーザによる設定温度の変更タイミングが、通常時よりも遅くなる。例えば、一点鎖線の許容温度100で示すように、実際のユーザ許容値が26.5℃である場合、設定値変更部14によって設定温度が上限値(例えば30℃)に変更されると、ユーザによって設定温度が直ちに変更されそうであるが、設定温度に対する実測温度の追従性が悪いので、ユーザによって設定温度が直ちに変更されることはない。設定温度が上限値に変更された後、実測温度が26.5℃になったタイミングで、ユーザによって設定温度が下げられることになる。
また、通常時よりもエリア内の人の密度が高い(人が多い場合)、実測温度は、通常時と比べて、温度上昇時は上がり易くなり、温度下降時は下がり難くなる。本実施形態では、このような状態の環境が、通常時よりも悪い環境であるとする。例えば図16に示すように、温度上昇時では、設定温度の変更に対して実測温度の追従が早くなる。このように、温度上昇時において、通常時と比べて、設定温度に対する実測温度の追従性が良くなる。従って、悪環境時では、設定値変更部14によって設定温度が変更された後のユーザによる設定温度の変更タイミングが、通常時よりも早くなる。すなわち、悪環境時では、通常時と比べて、エリア内の人が感じる温度と設定温度との差が小さくなるので、ユーザ許容値よりも高い温度に設定温度が変更された場合、通常時と比べて、ユーザによる設定温度の変更タイミングが早くなる。
以上のように、通常時、良環境時及び悪環境時のそれぞれにおいて、設定値変更部14によって設定温度が変更された後のユーザによる設定温度の変更タイミングが異なる。環境予測部20は、その変更タイミングに基づいてエリア内の環境の状態を予測する。上記の例では、変更タイミングが予め設定された通常時の時間範囲に含まれる場合、環境予測部20は、エリア内の環境を通常時の環境であると予測する。また、変更タイミングが通常時よりも遅くなる場合、環境予測部20は、エリア内の環境を良環境であると予測する。また、変更タイミングが通常時よりも早くなる場合、環境予測部20は、エリア内の環境を悪環境であると予測する。このように、ユーザによる変更タイミングに基づいて、エリア内の環境を予測することが可能となる。
また、通常時、良環境時及び悪環境時のそれぞれにおいて、設定温度に対する実測温度の追従性が異なるので、環境予測部20は、変更タイミングに基づいて、実測温度の追従性を判定してもよい。上記の例では、変更タイミングが予め設定された通常時の時間範囲に含まれる場合、環境予測部20は、実測温度の追従性を通常(追従の早さが通常)と判定する。また、変更タイミングが通常時よりも遅くなる場合、環境予測部20は、実測温度の追従性が悪い(追従の早さが遅い)と判定する。また、変更タイミングが通常時よりも早い場合、環境予測部20は、実測温度の追従性が良い(追従の早さが早い)と判定する。このように、実測温度の追従性を予測した場合、その追従性に基づいて、エリア内の環境の状態を予測することが可能となる。
なお、電気機器制御装置10,10Aは、一例としてハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、電気機器制御装置10,10Aは、図示しないCPU等のプロセッサを備えている。当該プロセッサが、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、設定値変更部14、ユーザ許容値設定部16、演算部18及び環境予測部20のそれぞれの機能が実現される。上記プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。