JP2015044142A - 複合粒子及びその製造方法並びに有機物の吸着材及び有機物の分解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機物を吸着したり、吸着した有機物を分解して除去したりするのに有用な複合粒子及びその製造方法、並びに、その複合粒子を用いた、有機物の吸着材及び有機物の分解方法を提供する。【解決手段】基材と、その基材に分散して担持された光触媒と、基材及び/又は光触媒の少なくとも表面に存在するイオン性界面活性剤とを有すること複合粒子によって上記課題を解決する。その複合粒子は、基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤及び水を含む混合溶液を水熱処理する工程を含む方法により製造することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、有機物を吸着したり、吸着した有機物を分解して除去したりするのに有用な複合粒子及びその製造方法、並びに、その複合粒子を用いた、有機物の吸着材及び有機物の分解方法に関する。
有害な有機物等の汚染物質を除去するための吸着材料が、種々提案されている。中でも、有害な有機物の吸着能を高めた種々の吸着材料として、酸化チタンと界面活性剤との複合体が提案されている。
例えば、特許文献1には、水相中又は気相中に含まれる有機物を吸着するための吸着材として、多孔質金属酸化物と界面活性剤との複合体が提案されている。この複合体は、界面活性剤を鋳型として金属酸化物を生成させることにより、より簡便に製造可能であり、かつ吸着能に優れた吸着材を得ることができるとされている。このときの多孔質金属酸化物としては、多孔質酸化チタンや多孔質酸化ケイ素等が挙げられ、界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤等が挙げられている。非特許文献1と非特許文献2にも同様の技術が提案されている。
特許文献2には、高い分子選択性を有する複合多孔体及びその製造方法が提案されている。この技術は、界面活性剤水溶液中で複合多孔体を形成する複合多孔体の製造方法であり、多孔体の骨格が生成する前に、界面活性剤水溶液中に固体微粒子を混合分散させる工程と、多孔体の骨格が生成する前に、界面活性剤水溶液中にエタノールを混合させる工程と、固体微粒子が分散した該水溶液中で、多孔体の骨格を生成させることにより多孔体と固体微粒子とが複合化した複合多孔体を形成させる工程とを含むという技術である。
特開2010−227930号公報 特開2008−230916号公報
酒井俊郎、ALBAR DA LOVES、岡田友彦、三島彰司、柴田裕史、遠藤健司、酒井秀樹、阿部正彦、「酸化チタン/界面活性剤ナノスケルトンを用いた水中溶存有機物の吸着・除去」 J.Flux Growth,2009,4(2),48−53. Toshio Sakai, Arbar Da Loves, Tomohiko Okada and Shozi Mishima "Titania/CnTAB Nanoskeleton as Adsorbent and Photocatalyst for Removal of Alkylphenols Dissolved in Water" J. Hazardous Mater:,2013,248−249,487−495.
しかしながら、上記特許文献1等で提案された複合体は、製造過程で凝集して塊を形成しやすく、外表面積が小さいため、有機物の吸着性能や光触媒作用が満足できるものではなかった。また、上記特許文献2で提案された複合多孔体は、二酸化チタンが球状に多孔体に包まれていることから、光触媒作用が低いものと考えられる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、有機物を吸着したり、吸着した有機物を分解して除去したりするのに有用な複合粒子及びその製造方法、並びに、その複合粒子を用いた、有機物の吸着材及び有機物の分解方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る複合粒子は、基材と、該基材に分散して担持された光触媒と、前記基材及び/又は前記光触媒の少なくとも表面に存在するイオン性界面活性剤とを有することを特徴とする。
この発明によれば、基材に光触媒が分散して担持され、基材及び/又は光触媒の少なくとも表面にイオン性界面活性剤が存在するので、そのイオン性界面活性剤によって有機物を効率よく吸着することができる。また、吸着した有機物が光触媒の少なくとも表面に存在しているので、有機物を効率よく分解することができる。こうした複合粒子は、有機物の吸着性能を高めることができ、光触媒作用によって吸着した有機物を分解して除去する性能を高めることができる。
上記課題を解決するための本発明に係る複合粒子の製造方法は、基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤及び水を含む混合溶液を水熱処理する工程を含むことを特徴とする。
この発明によれば、基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤及び水を含む混合溶液を水熱処理する工程を含むので、基材に光触媒が分散して担持され、基材及び/又は光触媒の少なくとも表面にイオン性界面活性剤が存在した複合粒子を製造することができる。その結果、有機物の吸着性能を高めることができ、光触媒作用によって吸着した有機物を分解して除去する性能を高めることができる複合粒子を容易に製造することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る有機物の吸着材は、上記本発明に係る複合粒子又は上記本発明に係る複合粒子の製造方法により得られる複合粒子を含有することを特徴とする。
この発明によれば、本発明に係る複合粒子又は本発明に係る複合粒子の製造方法により得られる複合粒子を含有するので、基材及び/又は光触媒の少なくとも表面に存在するイオン性界面活性剤によって有機物を効率よく吸着することができる。その結果、この吸着材で吸着した有機物を、光触媒作用によって効果的に分解して除去することも可能になる。
上記課題を解決するための本発明の有機物分解方法は、上記本発明に係る複合粒子又は上記本発明に係る複合粒子の製造方法により得られる複合粒子に有機物を接触させる工程と、光を照射する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によれば、本発明に係る複合粒子又は本発明に係る複合粒子の製造方法により得られる複合粒子に有機物を接触させる工程と、光を照射する工程とを含むので、複合粒子が有するイオン性界面活性剤の存在により有機物を効果的に吸着することができ、吸着した有機物を複合粒子が有する光触媒によって効果的に分解して除去することができる。
本発明に係る複合粒子及び吸着体によれば、基材に光触媒が分散して担持され、基材及び/又は光触媒の少なくとも表面にイオン性界面活性剤が存在するので、そのイオン性界面活性剤によって有機物を効率よく吸着することができる。また、吸着した有機物が光触媒の少なくとも表面に存在しているので、有機物を効率よく分解することができる。
走査型電子顕微鏡により撮影した本発明に係る複合粒子のSEM写真である。 X線回折装置により測定した本発明に係る複合粒子のX線回折結果である。 イソライト(吸着材A)、水熱処理法によるイソライト/TiOの複合粒子(吸着材B)、本発明に係る水熱処理法によるイソライト/TiO/CTABの複合粒子(吸着材C)、ゾル−ゲル法によるイソライト/TiO/CTABの複合粒子(吸着材D)を充填した各クロマトグラフ管に、フェノール水溶液を注入して、各複合粒子又はイソライトにフェノールを吸着させ、吸着後に回収されたフェノール水溶液におけるフェノールの濃度を測定した結果を示す図である。
以下、本発明に係る複合粒子及びその製造方法並びに有機物の吸着材及び有機物の分解方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
[複合粒子及びその製造方法]
本発明に係る複合粒子は、基材と、該基材に分散して担持された光触媒と、前記基材及び/又は前記光触媒の少なくとも表面に存在するイオン性界面活性剤とを有する。この複合粒子は、そのイオン性界面活性剤によって有機物を効率よく吸着することができる。また、吸着した有機物が光触媒の少なくとも表面に存在しているので、有機物を効率よく分解することができる。こうした複合粒子は、有機物の吸着性能を高めることができ、光触媒作用によって吸着した有機物を分解して除去する性能を高めることができる。
本発明に係る複合粒子の製造方法は、基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤及び水を含む混合溶液を水熱処理する工程を含む。この製造方法では、光触媒の前駆体を水熱処理することにより、光触媒を合成でき、合成した光触媒を基材に分散して担持させることができる。また、イオン性界面活性剤は、基材及び/又は光触媒の少なくとも表面に存在し、その結果、有機物の吸着性能を高めることができ、光触媒作用によって吸着した有機物を分解して除去する性能を高めることができる複合粒子を容易に製造することができる。
以下、複合粒子及びその製造方法の構成について詳しく説明する。
(基材)
基材は、光触媒を分散状態で担持する。基材としては、表面に光触媒を担持できるものであれば特に制限されるものではない。具体的には、イソライト、シリカゲル、メソポーラスシリカ、ハイドロキシアパタイト、ヘクトライト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、流動パラフィン、雲母、タルク、カオリン、ベントナイト等の化粧品基材を挙げることができる。なお、後述の実施例では、代表例としてイソライトを使用している。
基材の形状は特に限定されないが、粒子であることが好ましい。粒子の形態は、球状であっても、楕円形状であっても、鱗片状等であってもよいが、好ましくは球状又はそれに近い形状であることが好ましい。また、基材は、多孔質材料であっても中実材料であっても中空材料であってもよい。特に、表面積が大きい多孔質材料が好ましい。なお、基材の大きさも特に限定されないが、球状である場合は、平均粒径で1μm〜3000μmの範囲内であることが好ましい。
基材は、後述するイオン性界面活性剤を少なくとも表面に存在させることができるものであることが好ましい。そうした基材は、イオン性界面活性剤に親和性がある等、イオン性界面活性剤と相互作用して吸着等しているものであることが好ましい。「少なくとも表面」とは、基材が多孔質等の場合に、イオン性界面活性剤がその内部に浸透していてもよいことを意味している。また、基材の表面に正や負のイオンを有する場合には、負や正のイオンを有するイオン性界面活性剤と相互作用して、基材の表面にイオン性界面活性剤を吸着させることができる。
こうした基材は、上市されているものを購入して準備してもよいし、合成して準備してもよい。例えば、イソライトは、イソライト工業株式会社製のものを購入して準備することができる。
(光触媒)
光触媒は、基材に担持されて複合粒子を構成する。光触媒は、光触媒作用を有する物質であれば特に制限はない。なお、光触媒作用とは、光(例えば、紫外線や可視光等)のエネルギーを吸収することにより、価電子帯の電子を伝導帯に励起する作用である。
光触媒としては、例えば、酸化チタン(チタニアともいう。TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、セレン化カドミウム(CdSe)、タンタル酸カリウム(KTaO)、硫化カドミウム(CdS)、ジルコニア(ZrO)、リン化ガリウム(GaP)、酸化タングステン(WO)等を挙げることができる。なお、括弧内は、化学量論組成である。酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト(Brookite)型のいずれの結晶構造であってもよい。
光触媒の形状は、粒子状であることが好ましい。粒子の形態は、球状であっても、楕円形状であっても、鱗片状等であってもよいが、好ましくは球状又はそれに近い形状であることが好ましい。また、光触媒は、多孔質材料であっても中実材料であっても中空材料であってもよい。特に、表面積が大きい多孔質材料が好ましい。なお、光触媒の大きさも特に限定されないが、球状粒子である場合は、平均粒径で10μm〜100μmであることが好ましい。
光触媒が基材に担持されているかどうかの確認は、例えば、X線回折装置(XRD)により光触媒の結晶が存在するかどうかを調べることにより行うことができる。また、光触媒の結晶が分散して形成されていることの確認は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて複合粒子を観察し、表面に粒形状又は球形状の光触媒の結晶が形成されているかどうかを調べることにより行うことができる。光触媒の粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて測定することができる。
光触媒も、基材と同様、後述するイオン性界面活性剤を少なくとも表面に存在させることができるものであることが好ましい。そうした光触媒は、イオン性界面活性剤に親和性がある等、イオン性界面活性剤と相互作用して吸着等しているものであることが好ましい。「少なくとも表面」とは、光触媒が多孔質等の場合に、イオン性界面活性剤がその内部に浸透していてもよいことを意味している。また、光触媒の表面に正や負のイオンを有する場合には、負や正のイオンを有するイオン性界面活性剤と相互作用して、光触媒の表面にイオン性界面活性剤を吸着させることができる。
光触媒は、水熱処理(水熱合成ともいう。)により形成される。光触媒の前駆体としては、例えば、上記した各種の光触媒を構成する金属イオンを含む化合物を用い、その化合物を所定の水熱処理条件の下で水熱処理して得ることができる。前駆体の化合物としては、水和物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、オキシ硫酸塩等を挙げることができる。光触媒の前駆体を水熱処理することにより、光触媒を合成でき、合成した光触媒を基材に分散して担持させることができる。
(イオン性界面活性剤)
イオン性界面活性剤は、基材及び/又は光触媒の少なくとも表面に存在する。「及び/又は」とは、基材及び光触媒の一方又は両方の意味であり、「少なくとも表面」とは、基材や光触媒が多孔質等の場合に、イオン性界面活性剤がその内部に浸透していてもよいことを意味している。
イオン性界面活性剤は、基材及び/又は光触媒と相互作用して吸着等するものであることが好ましい。イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。一例としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤等を挙げることができる。これらのイオン性界面活性剤は、基材や光触媒の種類に応じて1種又は2種以上が用いられる
イオン性界面活性剤の存在は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)によって評価することができる。この装置によれば、イオン性界面活性剤が、基材表面に存在すること、基材の内部にも存在すること、光触媒の表面に存在すること、光触媒の内部にも存在することを確認することができる。なお、イオン性界面活性剤の存在量は、0.5質量%〜5質量%の範囲内の程度で複合粒子に存在することが好ましい。
なお、本発明に係る複合粒子は、基材と光触媒とイオン性界面活性剤とを有するが、「有する」とは、複合粒子が基材、光触媒及びイオン性界面活性剤以外の物質を、その作用効果を阻害しない範囲で含んでいてもよいことを意味している。そうした物質の一例としては、例えば、種々の高分子化合物等を挙げることができる。
(製造方法)
本発明に係る複合粒子は、基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤及び水を含む混合溶液を水熱処理して製造することができる。混合溶液の調製手順は特に制限されるものではなく、例えば、水に、基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤等を順に投入することにより調製してもよいし、基材と、光触媒前駆体の水溶液と、イオン性界面活性剤の水溶液とを混合して調製してもよいし、イオン性界面活性剤の水溶液に基材を加えた後、光触媒前駆体の水溶液を加えて調製してもよい。
水熱処理は、高温高圧の熱水の存在下で行われ、上記した光触媒前駆体から光触媒を合成(水熱合成)する処理である。後述の実施例では、オートクレーブ中に混合溶液を投入し、容器を密閉した状態で加熱して行っている。本発明では、この水熱処理を行って光触媒を合成するのと同時に、複合粒子を製造することができる。
水熱処理の温度は、光触媒を水熱合成できる温度範囲であればよく、例えば、100℃〜180℃の範囲内であることが好ましい。この温度範囲は、イオン性界面活性剤にも悪影響を与えないので好ましい。水熱処理の時間は、特に限定されないが、通常24時間〜120時間程度である。
水熱処理によって製造された本発明に係る複合粒子は、ろ過により回収され、水やアルコール等で洗浄された後、乾燥することにより得ることができる。こうした製造方法によれば、従来例のような焼成処理が必要ないため、複合粒子を低コストで効率よく製造することができる。また、低温の水熱処理によって複合粒子を製造することができるので、省エネルギー化を図ることができる。
複合粒子を主に構成する基材と光触媒の体積割合や質量割合は、特に限定されないが、一例としては、体積割合で、基材:光触媒が100:1〜10:1の範囲内とすることができる。
本発明に係る複合粒子の吸着対象となる有機物は、特に限定されないが、例えば、疎水基を有する有機化合物等を挙げることができる。そうした有機物としては、例えば、フェノール等の水溶性有機物;アルカン、アルケン等の炭化水素;ベンゼンやその誘導体;高級アルコール;アルデヒドやその誘導体;エステルやその誘導体等の有害有機物又は有機汚染物質、等を挙げることができる。その他、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤等を挙げることもできる。
[有機物の吸着材]
本発明に係る有機物の吸着材は、基材と、該基材に分散して担持された光触媒と、前記基材及び/又は前記光触媒の少なくとも表面に存在するイオン性界面活性剤とを有する複合粒子であり、あるいは、基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤及び水を含む混合溶液を水熱処理する工程を含む方法で製造された複合粒子である。こうした吸着材は、既に説明した本発明に係る複合粒子の作用効果を奏するので、基材及び/又は光触媒の少なくとも表面に存在するイオン性界面活性剤によって有機物を効率よく吸着することができる。その結果、この吸着材で吸着した有機物を、光触媒作用によって効果的に分解して除去することも可能になる。
また、本発明に係る有機物の吸着材は、有機物を含むガスから有機物を除去するのに有用であり、さらに、有機物を含む溶液から有機物を除去するためのカラムの充填剤として有用である。なお、本発明の吸着材をカラムの充填剤として使用する場合には、有機物を含む溶液等を通過させた際に詰らないようにするため、数ミクロン〜数ミリメートルサイズの粒子を基材として用いることが好ましい。
吸着材は、光触媒活性の大小により種々の用途に適用することができる。例えば、複合粒子を構成する光触媒が光触媒活性が強い物質(例えば、アナターゼ型酸化チタン等)である場合には、光を照射することにより、吸着材に吸着した有機物を光触媒作用により効果的に分解することができるので、吸着材の再生が可能で経済的に有用である。また、このような吸着材は、大気、廃水、土壌等に含まれる有機物(特に有害有機物や有機汚染物質等)を吸着して分解し、浄化することができる。また、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドを吸着して分解することができる。また、液体製剤の除菌や殺菌に用いることもできる。また、ガラス、外壁、カーブミラー等の汚れのセルフクリーニング等を行うこともできる。
一方、複合粒子を構成する光触媒が光触媒活性が弱い物質(例えば、ルチル型酸化チタン等)である場合には、吸着材は、有機物としてUVAやUVB等の紫外線を吸収する薬剤を吸着させることができるので、日焼け防止剤の構成材料として有用である。
[有機物分解方法]
本発明に係る有機物分解方法は、上記した複合粒子に有機物を接触させる工程と、光を照射する工程とを含む。この有機物分解方法によれば、複合粒子が有するイオン性界面活性剤の存在により有機物を効果的に吸着することができ、吸着した有機物を複合粒子が有する光触媒によって効果的に分解して除去することができる。複合粒子としては、既述したように、基材と、該基材に分散して担持された光触媒と、前記基材及び/又は前記光触媒の少なくとも表面に存在するイオン性界面活性剤とを有する複合粒子、あるいは、基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤及び水を含む混合溶液を水熱処理する工程を含む方法で製造された複合粒子を用いる。
この有機物分解方法は、大気の浄化、有機物を含む溶液や土壌の浄化(具体的には、工業廃水、生活廃水、土壌に通水させた水等の浄化)等に用いることができる。また、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドの除去;液体製剤の除菌又は殺菌;ガラス、外壁、カーブミラー等の防汚等の各用途に用いることができる。
複合粒子と有機物との接触方法は、上記した用途に応じて最適な手法を適宜用いればよい。例えば、有機物を含む溶液や土壌の浄化;液体製剤の除菌又は殺菌等に用いる場合は、工業廃水、生活廃水、土壌に通水させた水、液体製剤等の溶液に複合粒子を加えたり、該溶液を複合粒子を充填したカラムに通水させてもよい。また、大気の浄化;シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドの除去;ガラス、外壁、カーブミラー等の防汚等の用途に用いる場合は、複合粒子を塗料又は樹脂に分散させてこれを内装、ガラス、外壁、カーブミラー等に塗布して塗膜を形成させてもよい。
以下の実施例等によって、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の実施例においては、基材、イオン性界面活性剤、光触媒、及び有機物として、表面に多くのシラノール基を有するイソライト(SiOを主成分とする珪藻土の焼結体)、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)、アナターゼ型二酸化チタン、及び紫外線吸収を有する水溶性有機物であるフェノールをそれぞれ使用した例を中心として記載するが、これらは、イソライト、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)、アナターゼ型二酸化チタン、フェノール等に限定されるものではなく、上述したような各種の基材、イオン性界面活性剤、光触媒、有機物等が使用可能であることは、当業者であれば容易に理解できるものである。
[実施例1]
(水熱処理法によるイソライト/TiO/CTABの複合粒子の調製)
60mmol/LのCTAB(Aldrich社製、Cetyltrimethylammonium bromide)水溶液25mLに、イソライト(イソライト工業株式会社製;粒径2mm)5.0gを加えた後、3.0mol/LのTiO前駆体(Aldrich社製;TiSO×HSO×HO、Titanium oxysulfate sulfuric acid hydrate)水溶液を25mL加えて混合した。続いて、オートクレーブ中で、120℃で72時間水熱処理を行い、光触媒を合成するとともに複合粒子を製造した。その後、ろ過により複合粒子を回収し、水で洗浄した後、120℃で4時間乾燥させて、複合粒子を得た。
製造された複合粒子のSEM写真を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、型式:S−4100)により撮影するとともに、複合粒子のX線回折(XRD)をX線回折装置(株式会社RIGAKU製、型式:RINT−2200V PC)により測定した。図1に示すように、複合粒子は、イソライトの表面上に約100nm径の球状粒子が分散して担持されていた。図2に示すように、その球状粒子は、アナターゼ結晶であることが確認できた。また、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(JASCO社製、型式:FT/IR−4200)により、イオン性界面活性剤が、基材の表面と光触媒の表面に少なくとも存在していることが確認できた。
[参考例1]
(ゾル−ゲル法によるTiO/CTABの複合粒子の調製)
上記特許文献1に記載の方法に準じて、ゾル−ゲル法によるTiO/CTABの複合粒子を調製した。より具体的には、60mmol/LのCTAB水溶液25mLに、3.0mol/LのTiO前駆体水溶液25mLを混合した後、60℃で24時間静置して複合粒子を形成させた。その後、ろ過により複合粒子を回収し、水で洗浄した後、120℃で4時間乾燥させ、複合粒子を得た。
[参考例2]
(水熱処理法によるイソライト/TiOの複合粒子の調製)
CTAB水溶液を加えないで、イソライトをTiO前駆体水溶液に直接加えて混合する他は、実施例1に記載の方法と同様にして複合粒子を調製した。この複合粒子のSEM写真を観察し、複合粒子のX線回折を実施例1と同様にして測定した。得られた複合粒子は、イソライトの表面上にサブミクロンサイズの球状粒子が分散して担持されており、その球状粒子がアナターゼ型の酸化チタンであることが確認できた(図示せず)。また、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(JASCO社製、型式:FT/IR−4200)より、得られた複合粒子には、イオン性界面活性剤を検出できなかった。
[参考例3]
(ゾル−ゲル法によるイソライト/TiO/CTABの複合粒子の調製)
120℃で72時間の水熱処理の代わりに、60℃で24時間静置すること以外は、実施例1に記載の方法と同様にして複合粒子を調製した。この複合粒子のSEM写真を観察し、該複合粒子のX線回折を測定したところ、イソライトの表面上にミクロンサイズの粒子が確認できたが、アナターゼ型の酸化チタンは確認できなかった(図示せず)。
[評価1]
実施例1及び参考例1により得られた各複合粒子の比表面積をBET法により測定した。その結果、実施例1及び参考例1により得られた各複合粒子の比表面積は、それぞれ4.43m/g及び2.00m/gであった。このことから、実施例1により得られた複合粒子は、参考例1により得られた複合粒子に比べ、有機物の吸着性能において優れていることが示唆された。なお、比表面積は、日本ベル株式会社製の型式:BELSORP−miniIIを用い、JIS Z 8830に準拠して測定した結果である。
[評価2]
フィルター付のクロマトグラフ管に、実施例1の複合粒子、参考例2,3の複合粒子、及びイソライト(対象粒子)を5.0g充填した後、1.0×10−3mol/Lのフェノール水溶液25mLを注入し、自然ろ過させた。次いで、それぞれのクロマトグラフ管を通過した溶液を回収し、12,000rpmで30分間遠心分離した。遠心分離後の液を、270nmの波長で吸光度を測定した。こうして、クロマトグラフ管に充填した各複合粒子又はイソライトにフェノールを吸着させ、吸着後に回収されたフェノール水溶液におけるフェノールの濃度を測定した。その結果を図3に示す。
図3において、吸着材Aは、対象粒子であるイソライトの結果であり、吸着材Bは、水熱処理法で得られたイソライト/TiOの複合粒子(参考例2)の結果であり、吸着材Cは、本発明に係る水熱処理法で得られたイソライト/TiO/CTABの複合粒子(実施例1)の結果であり、吸着材Dは、ゾル−ゲル法で得られたイソライト/TiO/CTABの複合粒子(参考例3)の結果である。実施例1の複合粒子(吸着材C)はフェノールを吸着できるが、参考例2,3の複合粒子(吸着材B,D)及びイソライト(吸着材A)はフェノールを吸着できないことが確認できた。このことから、水熱処理により、TiOだけでなく、CTABもイソライトと複合化できることが示された。実施例1の複合粒子は、有機物の吸着性能に優れており、複合粒子の表面に存在する光触媒により、吸着した有機物を効率よく分解できることが示唆された。

Claims (4)

  1. 基材と、該基材に分散して担持された光触媒と、前記基材及び/又は前記光触媒の少なくとも表面に存在するイオン性界面活性剤とを有することを特徴とする複合粒子。
  2. 基材、光触媒前駆体、イオン性界面活性剤及び水を含む混合溶液を水熱処理する工程を含むことを特徴とする複合粒子の製造方法。
  3. 有機物を吸着する吸着材であって、請求項1に記載の複合粒子又は請求項2に記載の製造方法により得られる複合粒子を含有することを特徴とする吸着材。
  4. 請求項1に記載の複合粒子又は請求項2に記載の製造方法により得られる複合粒子に有機物を接触させる工程と、光を照射する工程とを含むことを特徴とする有機物分解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018020310A (ja) * 2016-07-20 2018-02-08 学校法人梅村学園 光触媒複合体とその製造方法
CN113384967A (zh) * 2020-03-11 2021-09-14 夏普株式会社 光催化剂分散液以及光催化剂层的形成方法

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