JP2015042761A - 石炭燃料 - Google Patents

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俊哉 多田
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Abstract

【課題】混炭効率よく灰付着性を抑制でき、粉砕機(ミル)での乾燥負荷を低減でき、発熱量が高い石炭混合燃料に含まれる石炭燃料を提供すること。
【解決手段】石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部を分離した際に残る固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して得られてなり、且つ、灰分に含まれる酸性成分に対する塩基性成分の比率が0.12未満であり、水分量が8wt%以下であり、且つ、灰分量が17wt%以上25wt%以下である石炭燃料。
【選択図】図1

Description

本発明は、石炭焚きボイラでの燃焼に使用される石炭混合燃料に用いられる石炭燃料に関する。
従来から、石炭焚きボイラでの燃焼に使用される石炭燃料として瀝青炭(高品位炭)が多く使用されている。ところが、近年では、資源枯渇問題や資源選択肢の拡大、燃料コストの低減化といった観点から、低品位炭(例えば、亜瀝青炭、褐炭等)を石炭焚きボイラでの燃焼に使用する試みが拡大している。
しかしながら、石炭焚きボイラでの燃焼に低品位炭を使用することには、以下のような問題点がある。まず、低品位炭の灰分は塩基性成分を多く含む。石炭焚きボイラでの燃焼においては、ボイラ内の炉壁や伝熱管等へ燃焼灰が付着する。そして、燃焼灰の付着は、灰分に含まれる塩基性成分の比率が高いほど生じやすい。その結果、熱吸収効率が低下するおそれがある。また、低品位炭は水分を多く含む。そのため、粉砕機(ミル)での乾燥負荷が増大するおそれがある。さらに、低品位炭は瀝青炭に比べて発熱量が低い。以上より、低品位炭は瀝青炭に比べて燃焼効率が悪い。
そこで、上記問題点の解決を試みた技術として、低品位炭に瀝青炭を混炭する方法が知られている。例えば、特許文献1に記載の石炭焚きボイラの灰付着性抑制方法では、灰分に塩基性成分を多く含む石炭(アダロ炭(低品位炭))に塩基性成分の少ない瀝青炭の燃焼灰を混合した混合物を石炭混合燃料として使用することが開示されている。その結果、塩基性成分が希釈され灰付着性が緩和される、と称されている。
特開平11−82990号公報
しかしながら、低品位炭に瀝青炭を混炭する場合、低品位炭の灰分に含まれる塩基性成分を希釈するために多くの瀝青炭が必要となる。その結果、低品位炭と瀝青炭とを混合してなる石炭混合燃料全体に対する瀝青炭の割合が高くなり混炭効率が悪い。また、特許文献1に記載の石炭焚きボイラの灰付着性抑制方法では、アダロ炭(低品位炭)に燃焼灰を混合しているので、十分な発熱量が得られない場合がある。さらには、粉砕機(ミル)での乾燥負荷を十分に抑制できない場合もある。
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、混炭効率よく灰付着性を抑制でき、さらに、粉砕機(ミル)での乾燥負荷を低減でき、発熱量が高い石炭混合燃料に用いられる石炭燃料を提供することである。
本発明の石炭燃料は、石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部を分離した際に残る固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して得られてなり、且つ、灰分に含まれる酸性成分に対する塩基性成分の比率が0.12未満であり、水分量が8wt%以下であり、且つ、灰分量が17wt%以上25wt%以下である。
本発明の石炭燃料は、低品位炭と混炭する石炭燃料に適する。
本発明の石炭混合燃料に用いられる残渣炭の製造装置を示す概略図である。 本発明の石炭混合燃料を燃焼させる石炭燃焼装置を示す概略図である。 残渣炭の混炭率と水分量との関係を示すグラフである。 残渣炭の混炭率と灰分量との関係を示すグラフである。 残渣炭の混炭率と発熱量との関係を示すグラフである。 残渣炭の混炭率と融液割合との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための形態について説明する。
(石炭混合燃料の構成)
本発明の石炭混合燃料は、低品位炭と残渣炭とを混合してなる石炭混合燃料である。まず、この石炭混合燃料に用いられる低品位炭と残渣炭について説明する。
(低品位炭)
本発明の石炭混合燃料に用いられる低品位炭は、瀝青炭などの高品位炭と比較して石炭中の水分量の割合が多く、灰分量の割合が少ない石炭である。具体的には、石炭中の水分量が受け取りベース(AR(As Received)、以下、石炭中の水分量は全て受け取りベースで示す)で、20wt%以上35wt%以下で、且つ、石炭中の灰分量が乾燥ベース(DB(Dry Basis)、以下、石炭中の灰分量は全て乾燥ベースで示す)で、8wt%以下の石炭が低品位炭の目安となる。望ましくは、石炭中の水分量が20wt%以上35wt%以下で、且つ、石炭中の灰分量が4wt%以下である。
低品位炭としては、日本工業規格(JIS M 1002:1978)で規定される区分D、E、F1およびF2に分類される石炭、即ち、亜瀝青炭、褐炭が挙げられる。
区分Dに分類される石炭はいわゆる「亜瀝青炭」のうち、発熱量7800以上8100kcal/kg未満を示すものである。
区分Eに分類される石炭はいわゆる「亜瀝青炭」のうち、発熱量7300kcal/kg以上7800kcal/kg未満を示すものである。
区分F1に分類される石炭はいわゆる「褐炭」のうち、発熱量6800以上7300kcal/kg未満を示すものである。
区分F2に分類される石炭はいわゆる「褐炭」のうち、発熱量5800以上6800kcal/kg未満を示すものである。
但し、低品位炭は、石炭中の水分量の割合が多く、灰分量の割合が少ない石炭であれば、亜瀝青炭、褐炭以外の石炭であっても良い。
また、高品位炭としては、日本工業規格(JIS M 1002:1978)で規定される区分B1、B2、およびCに分類される石炭、即ち、瀝青炭が挙げられる。
区分B1およびB2に分類される石炭はいわゆる「瀝青炭」のうち、発熱量8400kcal/kg以上を示すものである。
区分Cに分類される石炭はいわゆる「瀝青炭」のうち、発熱量8100以上8400kcal/kg未満を示すものである。
なお、日本工業規格(JIS M 1002−1978)で規定される発熱量は以下の式に基づいて算出される値であり、無水無灰ベースの発熱量である。
発熱量(補正無水無灰ベース)=発熱量/(100−1.08×灰分−水分)×100
低品位炭は、一般に灰分に含まれる塩基性成分が多く、灰分に含まれる酸性成分に対する塩基性成分の比率(以下、Base(塩基性成分)/Acid(酸性成分)とも記載する)が高品位炭に比べて高い。Base/Acidは、灰分に含まれる塩基性成分の総和を灰分に含まれる酸性成分の総和で除算したものであり、スラッギング性評価指標とも言われる。灰分に含まれる塩基性成分とは、例えばFe2O3、CaO、Na2O、K2O、MgOである。一方、灰分に含まれる酸性成分とは、例えばSiO2、Al2O3、TiO2である。石炭中に含まれるこれら塩基性成分および酸性成分の比率は、ICP発光法、原子吸光法、吸光光度法、燃焼赤外線吸収法、蛍光X線分析法等を使用することにより測定される。
低品位炭は、このBase/Acidが0.15以上であることが多い。一方、高品位炭では、このBase/Acidが0.12未満であることが多い。スラッギング性評価指標(Base/Acid)による評価の閾値は様々であるが、Base/Acidが0.1未満では、灰付着(スラッギング)の程度が“小”と分類され、0.1以上0.3以下では“中”と分類され、0.3より大では“大”と分類される場合がある(大ほど灰付着が生じやすい)。この場合、低品位炭は、灰付着の程度が“中”〜“大”の評価となり、高品位炭は“小”〜“中”の評価となる。
通常の石炭の灰組成(Base/Acid<1の領域)において、塩基性成分は灰の融点を下げる作用があるため、一般にBase/Acidが高い低品位炭はBase/Acidが低い高品位炭と比較して灰の融点が低い。そのため、低品位炭は灰の融液割合が高くなる。その結果、低品位炭を微粉炭焚きボイラ2(後述、図2参照)内で燃焼させると、火炉6の炉壁(後述、図2参照)や伝熱管群7(後述、図2参照)への灰付着(スラッギング)が生じやすくなり、熱吸収効率が低下するおそれがある。
ここで、融液割合とは、一定量の固体状の灰のうち、ある温度、雰囲気条件において、液体状になった割合を意味する。燃焼場で液体状になった灰はボイラのガス気流に乗って浮遊し、火炉6の炉壁や伝熱管群7に付着する。この融液割合は、予め測定した石炭燃料の灰が、ある条件(温度、雰囲気ガス組成)において、熱力学的に最も安定する、つまり、ギブスの自由エネルギー(△G)が極小になる状態の組成や相を熱力学平衡計算により算出する。なお、融液割合の算出は、予め石炭燃料の灰を加熱し、各温度及び雰囲気ガス組成における融液割合を測定しておいても良い。これにより、実際のボイラの状況に合わせた融液割合を求めることができる。
低品位炭は、単独では既存の石炭燃焼装置(石炭焚きボイラを含む燃焼装置)での使用が難しい石炭である。これは、前記したとおり、石炭中の水分量が多く、Base/Acidが低いためである。石炭中の水分量が多いと、粉砕機4(ミル)(後述、図2参照)での乾燥負荷が増大すると共に、発熱量が下がる。また、Base/Acidが低いと、灰付着が生じやすい。その結果、低品位炭は高品位炭と比べて燃焼効率が低い。
(残渣炭)
本発明の石炭混合燃料に用いられる残渣炭は、無灰炭製造工程において副生される石炭である。無灰炭とは、石炭から灰分が除去された石炭のことである。無灰炭の製造方法は、例えば以下のとおりである。原料となる石炭と溶剤とを混合して調整されたスラリーを加熱して、溶剤に可溶な石炭成分(以下、溶剤可溶成分)を抽出する。その後、溶剤可溶成分を含む溶液部と、灰分等の溶剤に不溶な石炭成分(以下、溶剤不溶成分)を含む固形分濃縮液とに分離する。そして、当該溶液部から溶剤を蒸発分離して、無灰炭が製造される。一方、残渣炭は、残存した固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して製造される。なお、この残渣炭(及び無灰炭)の製造方法については後に詳しく説明する。
残渣炭の原料となる石炭は、発熱量が高く、灰分に含まれる酸性成分に対する塩基性成分の比率(Base/Acid)が低い石炭が好ましい。原料となる石炭として、日本工業規格(JIS M 1002:1978)で規定される瀝青炭が好適に使用される。
但し、残渣炭の原料となる石炭は、低品位炭に比べてBase/Acidが低いのであれば、瀝青炭以外の石炭を使用しても良い。
この残渣炭は、低品位炭と比較して石炭中の灰分量の割合が多いが、水分量の割合が少ない。具体的には、石炭中の水分量が8wt%以下で、且つ、石炭中の灰分量が17wt%以上25wt%以下であることが残渣炭の目安である。望ましくは、石炭中の水分量が5wt%以下で、且つ、石炭中の灰分量が17wt%以上22wt%以下である。
さらに、この残渣炭は、酸性成分に対する塩基性成分の比率(Base/Acid)が低品位炭よりも低い。具体的には、Base/Acidが0.12未満である。これは、残渣炭の原料となる石炭の灰性状が残渣炭に受け継がれるためである(即ち、無灰炭の製造工程において原料となる石炭の灰性状は変化しない)。
以上のように、残渣炭は、灰分量の割合が高いが、水分量の割合が低い。また、Base/Acidが低品位炭よりも低い。水分量の割合が低いので、低品位炭と比較して高い発熱量(高品位炭と同等程度の発熱量)を有している。また、Base/Acidが低いので、灰付着(スラッギング)が生じにくい。なお、残渣炭は、溶剤抽出工程(後述)後の溶剤不溶成分から製造される石炭であれば、無灰炭以外の製造工程から副生されるものを使用しても良い。
(残渣炭の製造方法)
ここで、残渣炭(及び無灰炭)の製造方法について図1を参照して詳しく説明する。図1は、本発明の石炭混合燃料に用いられる残渣炭の製造装置100を示す概略図である。残渣炭の製造方法は、スラリー調製工程、抽出工程、分離工程、無灰炭取得工程、及び残渣炭取得工程などを備えるものである。
(スラリー調製工程)
スラリー調製工程は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製する工程であり、スラリー調製槽101で行われる。
溶剤は石炭を溶解するものであれば特に限定されないが、石炭由来の2環芳香族化合物が好適に用いられる。この2環芳香族化合物は基本的な構造が石炭の構造分子と類似していることから石炭との親和性が高く、比較的高い抽出率を得ることができる。石炭由来の2環芳香族化合物としては、例えば、石炭を乾留してコークスを製造する際の副生油の蒸留油であるメチルナフタレン油、ナフタレン油などを挙げることができる。
溶剤の沸点は、特に限定されないが、例えば抽出工程での抽出率および無灰炭取得工程での溶剤回収率の観点から、180〜300℃、特に230〜280℃のものが好適に用いられる。
溶剤に対する石炭の濃度は、特に限定されないが、乾燥炭基準で10〜50重量%の範囲が好ましく、15〜35重量%の範囲がより好ましい。
(抽出工程)
抽出工程は、スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して、溶剤可溶成分を抽出する工程であり、抽出槽102で行われる。スラリー調製槽101で調製されたスラリーは、ポンプ(不図示)等によって、抽出槽102に供給され、抽出槽102に設けられた攪拌機102aで攪拌されながら所定温度に加熱保持されて抽出が行われる。なお、スラリーは、一旦予熱器(不図示)に供給されて所定温度まで加熱された後、抽出槽102に供給されてもよい。
抽出工程でのスラリーの加熱温度は、溶剤可溶成分が溶解され得る限り特に制限されず、例えば溶剤可溶成分の十分な抽出の観点から、300〜420℃の範囲が好ましく、350〜400℃の範囲がより好ましい。加熱時間(抽出時間)もまた特に制限されるものではないが、十分な溶解と抽出率の観点から5〜60分間の範囲が好ましく、20〜40分間の範囲がより好ましい。なお、予熱器(不図示)で一旦加熱した場合の加熱時間は、予熱器での加熱時間および抽出槽102での加熱時間を合計したものである。
抽出工程は不活性ガスの存在下で行うことが好ましく、安価な窒素が好適に用いられる。また、抽出工程での圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜2.0MPaの範囲が好ましい。
(分離工程)
分離工程は、抽出工程で得られたスラリーを、重力沈降法によって分離する重力沈降槽103を用いて、溶液部と固形分濃縮液とに分離する工程である。溶液部は溶剤可溶成分が溶解された溶液部分であり、固形分濃縮液は溶剤不溶成分を含むスラリー部分である。なお、本実施形態においては、重力沈降法により分離したが、例えば濾過法や遠心分離法により分離しても良い。
(無灰炭取得工程)
無灰炭取得工程は、分離工程で分離された溶液部から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る工程であり、溶剤回収装置104で行われる。
蒸発分離とは、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を含む分離方法である。分離して回収された溶剤はスラリー調製槽101へ循環して繰り返し使用することができる。無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、また例えば原料炭よりも高い発熱量を示す。さらに、製鉄用コークスの原料として特に重要な品質である軟化溶融性が大幅に改善され、例えば原料炭よりも遥かに優れた性能(流動性)を示す。従って、無灰炭は、コークス原料の配合炭として使用することができる。
(残渣炭取得工程)
残渣炭取得工程は、前記分離工程で分離された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して残渣炭を得る工程であり、溶剤回収装置105で実施される。
蒸発分離とは、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を含む分離方法である。分離して回収された溶剤は、スラリー調製槽101へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離・回収により、固形分濃縮液からは灰分等を含む溶剤不溶成分が濃縮された残渣炭を得ることができる。残渣炭は軟化溶融性は示さないが、含酸素官能基が脱離されているため、配合炭として用いた場合に、この配合炭に含まれる他の石炭の軟化溶融性を阻害するようなものではない。従って、この残渣炭は、コークス原料の配合炭の一部として使用することもできる。
(石炭混合燃料)
次に、本発明の石炭混合燃料について説明する。本発明の石炭混合燃料は、前記したとおり、低品位炭と残渣炭とを混合してなる石炭混合燃料である。
残渣炭の混炭率(低品位炭と残渣炭とを混合してなる石炭混合燃料全体に対する残渣炭の割合)は、受け取りベースで、25wt%以上50wt%以下とすることが好ましく、より好ましくは35wt%以上50wt%以下である。混炭率を上記範囲とすることで、本発明の石炭混合燃料の水分量をおよそ20%以下、灰分量をおよそ15%以下、発熱量をおよそ5500kcal/kg−GAD以上、融液割合を60%以下とすることができる。したがって、一般的に微粉炭燃焼装置に使用しやすい石炭混合燃料が得られる。なお、GAD(Gross Air Dried)とは、気乾ベースの総発熱量を示す。
(石炭混合燃料の燃焼方法)
次に、本発明の石炭混合燃料の燃焼方法について図2を参照しつつ説明する。図2は、本発明の石炭混合燃料を燃焼させる石炭燃焼装置1を示す概略図である。石炭燃焼装置1は、図2に示すように、石炭焚きボイラ2(微粉炭焚きボイラ)(以下、ボイラ2と記載する)と、石炭サイロ3a、もしくは/及び、石炭パイル3b、及び石炭ホッパ3c等からなる貯炭設備3と、貯炭設備3から運ばれた石炭を熱風と接触させることで乾燥させながら粉砕して微粉炭とする粉砕機(ミル)4と、ボイラ2内で微粉炭を燃焼させるバーナ5などを備える。なお、石炭サイロ3a及び石炭パイル3bに貯炭された石炭は、例えば、ベルトコンベア3dによって石炭ホッパ3cへ運搬される。
貯炭設備3から運ばれた石炭混合燃料は、まず粉砕機(ミル)4で粉砕され微粉炭とされる。さらに、微粉炭となった石炭混合燃料は、ブロワ(不図示)等によって空気と共にボイラ2内に送り込まれバーナ5によって燃焼させられる。そして、ボイラ2内では燃焼により生じた熱を回収する。ボイラ2は、供給された微粉炭を、バーナ5によって燃焼させて熱を発生させる火炉6と、火炉6の上方から下流にわたって配置され、燃焼ガスと熱交換を行って蒸気を回収する伝熱管群7とを備えており、ボイラ2からでた燃焼ガスは煙突から排出されるようになっている。また、伝熱管群7は、火炉6の下流に所定の間隔で配置された過熱器、再熱器、節炭器などからなっている。なお、微粉炭燃焼式ボイラでなければ粉砕機(ミル)4によって微粉炭化する工程はなくても良い。
低品位炭と残渣炭は、粉砕機4に供給される前に混炭される。粉砕機4内で、水分量の割合が多い低品位炭を単独で乾燥させると乾燥負荷が増大するからである。低品位炭と残渣炭の混炭は、例えばベルトコンベア上で行っても良いし、貯炭設備3で行っても良いし、アンロード前に(例えば、石炭運搬船内)行うこともできる。なお、粉砕機4での乾燥負荷が増大するが、混合せずに別々に粉砕機4で乾燥させながら粉砕して微粉炭とした後、別々のバーナ5でこの微粉炭を燃焼させてボイラ2内に供給し、ボイラ2内で混炭するようにしても良い。
(実施例)
残渣炭として表1に示す石炭Aを用いた。ここで言う「石炭A」とは、税制上の「石炭」という意味では無く、便宜上の呼び方である。また、低品位炭として表1に示す石炭Bまたは石炭Cを用いた。石炭Aの原料となる石炭には、日本工業規格(JIS M 1002−1978)で規定される瀝青炭を用いた。そして、前記した製造方法(スラリー調製工程、抽出工程、分離工程、及び残渣炭取得工程を備える製法)により残渣炭である石炭Aを製造した。石炭BまたはCには、日本工業規格(JIS M 1002−1978)で規定される褐炭を用いた。なお、表1においては、総発熱量をkcal/kg(AR)で示す。AR(As Received)とは、受け取りベースでの石炭の発熱量であり、水分を含んだ状態での発熱量である。よって、日本工業規格(JIS M 1002−1978)で規定される発熱量よりも低い値となる。また、石炭BまたはCは、日本工業規格(JIS M 1002−1978)では褐炭と規定されるが、市場においては、亜瀝青炭と分類されることが多い石炭である。
Figure 2015042761
表1に示すように、残渣炭である石炭Aは、水分量が少ないが、灰分量が多い。また、発熱量が高い(瀝青炭と同程度)。一方、低品位炭である石炭Bまたは石炭Cは、灰分量は少ないが、水分量が多い。また、灰分に含まれる酸性成分に対する塩基性成分の比率(Base/Acid)は、表1の各組成から前記した算出方法で算出すると石炭Aが0.11(評価が“小”に近い“中”)、石炭Bが0.17(評価“中”)、石炭Cが0.29(評価が“大”に近い“中”)である。残渣炭である石炭Aに比べて低品位炭である石炭Bまたは石炭Cの方がBase/Acidは高いことが分かる。
図3〜図6は、石炭Bまたは石炭Cに残渣炭である石炭Aを混炭した場合における、石炭Aの混炭率と石炭混合燃料の水分量、灰分量、発熱量、融液割合との関係を示したグラフである。石炭Aの混炭率が高いほど、石炭混合燃料の水分量及び融液割合が低下し(図3、図6参照)、発熱量は向上する(図5参照)。その結果、灰分量を瀝青炭並みに抑えたまま(図4参照)、灰付着性を抑制でき、粉砕機4(ミル)での乾燥負荷を低減でき、発熱量を向上させることができる、石炭混合燃料とすることができる。さらに、石炭Aの混炭率が25wt%以上50wt%以下であれば、石炭混合材料の水分量をおそよ20%以下、灰分量を15%以下、発熱量5500kcal/kg−GAD以上、融液割合60%以下とすることができる。その結果、微粉炭燃焼装置1に使用しやすい石炭混合燃料とすることができる。なお、図4において、DB(Dry Basis)とは、乾燥ベースの灰分量を示す。また、図5において、GAD(Gross Air Dried)とは、気乾ベースの総発熱量を示す。また、図6において、融液割合は、温度:1250℃、空気比:0.8の雰囲気条件において、液体状になった割合を示している。
(効果1)
次に、本発明の石炭混合燃料の効果を説明する。本発明の石炭混合燃料は、低品位炭と残渣炭とを混合してなる。残渣炭は、石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部を分離した際に残る固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して得られる。また、残渣炭は、灰分に含まれる酸性成分に対する塩基性成分の比率(Base/Acid)が低品位炭よりも低い。
(効果1−1)
残渣炭のBase/Acidは、低品位炭のBase/Acidよりも低い。よって、本発明の石炭混合燃料のBase/Acidは希釈され低品位炭のBase/Acidよりも低くなる。したがって、石炭混合燃料の融点が下がり、石炭混合燃料の灰分の融液割合が低下する。その結果、微粉炭焚きボイラ2内でこの石炭混合燃料を燃焼させても、火炉6の炉壁や伝熱管群7へのスラッギングが生じにくくなる。さらに、残渣炭は、瀝青炭などの高品位炭よりも灰分量の割合が多い。よって、低品位炭に瀝青炭などの高品位炭を混炭した場合よりも、より少ない混炭量で融液割合を低下させることができる。したがって、低品位炭に瀝青炭などの高品位炭を混合してなる石炭混合燃料に比べて、本発明の石炭混合燃料は混炭効率が高い。また、その結果、多くの低品位炭を使用することが可能となる。また、石炭混合燃料のコスト抑制にも繋がる。
(効果1−2)
残渣炭は、低品位炭と比べて水分量の割合が小さい。よって、本発明の石炭混合燃料の水分量は、低品位炭の水分量よりも少ない。したがって、粉砕機4(ミル)での乾燥負荷を抑制することができる。また、水分量が少ないので、この石炭混合燃料は低品位炭に比べて高い発熱量を有す。
上記の効果1−1及び効果1−2より、本発明の石炭混合燃料は、低品位炭に比べて燃料効率を向上させることができ、瀝青炭に近い石炭燃料とすることができる。また、低品位炭と残渣炭を混合することにより、石炭中の水分量が多く且つBase/Acidが高いという低品位炭の短所と、石炭中の灰分量が多いという残渣炭の短所とを打ち消しあった石炭混合燃料とできる。その結果、単独では石炭燃料として使用することが難しい低品位炭と残渣炭とを有効活用できる。
(効果2)
低品位炭は、水分量が20wt%以上35wt%以下、且つ、灰分量が8wt%以下である。さらに、残渣炭は、水分量が8wt%以下、且つ、灰分量が17wt%以上25wt%以下である。したがって、灰付着性の抑制、粉砕機4(ミル)での乾燥負荷を抑制、及び発熱量向上の効果が確実に得られる。
(効果3)
残渣炭の混炭率(低品位炭と残渣炭とを混合してなる石炭混合燃料全体に対する残渣炭の割合)は、25wt%以上50wt%以下である。その結果、本発明の石炭混合燃料の水分量をおよそ20%以下、灰分量を15%以下、発熱量をおよそ5500kcal/kg−GAD以上、融液割合を60%以下とすることができる。したがって、微粉炭燃焼装置1に使用しやすい石炭混合燃料が得られる。
(効果4)
低品位炭に日本工業規格(JIS M 1002:1978)で規定される褐炭または亜瀝青炭が使用されると共に、残渣炭の原料となる石炭に日本工業規格(JIS M 1002:1978)で規定される瀝青炭が使用される。よって、汎用性のある石炭材料が使用されるので、本発明の石炭混合材料を容易に製造できる。
(効果5)
本発明の石炭混合燃料の燃焼方法は、本発明の石炭混合燃料をボイラ2内に供給して燃焼させる燃焼方法である。したがって、灰付着性を抑制でき発熱量を向上させた、燃焼効率の良いボイラ2の運転(石炭燃料の燃焼)を行うことができる。
(効果6)
さらに、本発明の石炭混合燃料の燃焼方法は、石炭混合燃料を粉砕して微粉炭とした後に、空気と共にボイラ2内に吹き込む燃焼方法である。したがって、燃焼効率をより向上させることができる。
(効果7)
さらに、本発明の石炭混合燃料の燃焼方法は、粉砕して微粉炭とする前に石炭混合燃料を混合しておく燃焼方法である。よって、粉砕機4で乾燥させながら粉砕して微粉炭とする際に、低品位炭に比べて粉砕機4での乾燥負荷を低減することができる。
(効果8)
本発明の石炭混合燃料に含まれる石炭燃料である残渣炭は、石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部を分離した際に残る固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して得られる。さらに、残渣炭は、Base/Acidが0.12未満であり、水分量が8wt%以下であり、且つ、灰分量が17wt%以上25wt%以下である。よって、無灰炭製造工程において残存する固形分濃縮液を有効利用できる。また、Base/Acidが低く且つ灰分量の割合が高いので、少ない混炭量で低品位炭といったBase/Acidが高い石炭のBase/Acidを希釈することができる。その結果、混炭効率が高い。また、水分量が小さいので、粉砕機4(ミル)での乾燥負荷を低減でき、発熱量も高い。以上より、低品位炭と混炭する石炭燃料に適している。
1 石炭燃焼装置
2 石炭焚きボイラ(ボイラ)
3 貯炭設備
4 粉砕機
5 バーナ
6 火炉
7 伝熱管群
100 無灰炭製造装置

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  1. 石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部を分離した際に残る固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して得られてなり、且つ、灰分に含まれる酸性成分に対する塩基性成分の比率が0.12未満であり、水分量が8wt%以下であり、且つ、灰分量が17wt%以上25wt%以下である、石炭燃料。
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