JP2015040610A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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哲郎 小関
Tetsuro Koseki
哲郎 小関
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Abstract

【課題】動力伝達が継続される不完全なギヤ抜けでニュートラルへの戻し操作を実行した場合の車両の失速や停車を防止し、駆動力の伝達中のギヤ入れ操作を回避し、もって想定外の負荷によるシンクロ機構の破損やギヤ入れ不能の事態を防止できる自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】変速操作の完了によりシリンダが共に作動停止して判定時間Tが経過すると(S2がYes)、ギヤ入れ側のギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に代えて、よりギヤ抜け側に設定されたギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を選択する(S8)。その後に次の変速操作で何れかのシリンダが作動を開始すると(S6がYes)、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に戻す(S4)。変速段を達成中にはギヤ抜けストローク判定値Gst-out2が適用されるため、不完全なギヤ抜けが発生した場合には、再ギヤ入れ操作が防止される。
【選択図】図2

Description

本発明は自動変速機の制御装置に係り、詳しくはギヤ抜けが発生したときに元の変速段に入れ直す操作(以下、再ギヤ入れ操作という)を実行する自動変速機の制御装置に関する。
近年では乗用車のみならずトラックやバスなどの大型車両においても、運転者のアクセル操作量や車速などに応じて変速段を自動的に切り換える自動変速機が普及している。この種の自動変速機の形式としては、例えばトルクコンバータに遊星歯車機構を組み合わせた自動変速機やベルト式などの無段変速機の他に、従来からの有段式の手動変速機をベースとして、変速段の切換操作及び変速に伴うクラッチの断接操作をアクチュエータにより自動化した自動変速機が存在する。
このような手動変速機をベースとした自動変速機では、車両の走行中に所定のシフトマップに基づきアクセル開度や車速から目標変速段を決定し、この目標変速段を達成すべくアクチュエータにより適宜クラッチを断接操作しながら変速段を切り換える。従来からの手動変速機でも起こり得る現象であるが、この形式の自動変速機では、シフトストロークがギヤ入れ位置からギヤ抜け側に変位してしまう、所謂ギヤ抜けが発生する場合がある。
ギヤ抜けが発生する状況は主に2種に大別される。その一つは、目的の変速段への変速操作(より詳しくはギヤ入れ操作)直後に発生するものである。ギヤ入れ操作はアクチュエータによりシンクロ機構をギヤ入れ側に駆動するだけでなくギヤ抜け側にも駆動し、互いの駆動力の拮抗によりシフトストロークをギヤ入り位置で正確に停止させている。何れかの駆動力に過不足があると、一旦ギヤ入り位置に到達したシフトストロークがギヤ抜け側に変位してギヤ抜けに至ってしまうのである。
このような変速操作直後のギヤ抜けが発生した場合の対策として、シフトストロークがギヤ抜け側に変位して予め設定されたギヤ抜けストローク判定値に達すると、ギヤ抜け判定を下してアクチュエータにより元の変速段に入れ直す再ギヤ入れ操作を実行している。ギヤ抜けストローク判定値は比較的ギヤ入り位置に近い位置に設定され、ギヤ抜けの発生時に速やかにギヤ抜け判定が下されるように配慮されている。
また、他の一つのギヤ抜けは、変速段を達成中に発生するものである。この変速段を達成中のギヤ抜けは、シンクロ機構を構成する部品精度のバラツキなどに起因するものと考えられる。特に急登坂路の走行中のように自動変速機が大きな駆動力を伝達する状況では、ハウジングの歪みによりシンクロ機構の各部品間の相対位置がずれ、これによりシフトストロークがギヤ抜け側に変位してギヤ抜けに至ってしまうのである。
以上のような変速段を達成中のギヤ抜けに対しても、再ギヤ入れ操作が行われる。図6は変速段を達成中に生じたギヤ抜けに対する従来技術の再ギヤ入れ操作の実行状況を示すタイムチャートである。
例えば第2速による走行中にシフトストロークがギヤ抜け側に変位し、予め設定されたギヤ抜けストローク判定値Gst-outに達するとギヤ抜け判定が下される(図6のポイントA)。再ギヤ入れ操作が開始され、まずクラッチが切断された上でギヤ抜きシリンダが作動する(図6のポイントB)。これによりシフトストロークGstがニュートラル位置に戻され(図6のポイントC)、その後にギヤ入れシリンダが作動して元の変速段へのギヤ入れが開始される。シフトストロークGstはギヤ入れ側に変位し始め、ギヤ入れ完了判定値Gst-inに達するとクラッチが接続され(図6のポイントD)、その後に元の変速段へのギヤ入れが完了する(図6のポイントE)。このときに適用されるギヤ抜けストローク判定値Gst-outは、上記した変速操作直後のギヤ抜けに適用されるギヤ抜けストローク判定値と共通化されている。
ところで、変速段を達成中のギヤ抜けでは、図6中に太い破線で示すように、ギヤ抜け側に変位中のシフトストロークが動力伝達可能な限界値である伝達限界ストロークGst-lmtの手前で停滞する場合が多い(以下、不完全なギヤ抜けという)。この状態では、シンクロ機構のドグ同士が未だ噛合を保って動力伝達を継続しているため、再ギヤ入れ操作は不要であるが、従来技術では再ギヤ入れ操作が実行される。このためシフトストロークが一旦ニュートラル位置に戻されることにより動力伝達の中断が発生し、特に上記したような急登坂路の走行中には車両が失速してしまい、甚だしい場合には停車してしまう場合があった。
このような不具合の対策として、例えば特許文献1の技術では、シフトストロークがギヤ抜け側に変位したとしても、シンクロ機構のクラッチ側と駆動輪側とが回転同期している場合には、シフトストロークをニュートラル位置に戻すことなく、そのまま元の変速段へのギヤ入れを実行している。
特開2008−202684号公報
上記したようにギヤ抜けは、急登坂路を走行中のように自動変速機が大きな駆動力を伝達しているときに発生し易い。そして、特許文献1の技術では、このような大きな駆動力の伝達中に自動変速機をギヤ入れ側に操作、より具体的にはシンクロ機構のスリーブの移動を強制的に行うことになる。
このときのギヤ入れ操作は、クラッチ切断により動力を遮断しているときに実行する通常のギヤ入れ操作とは全く異なる。回転同期中のためシンクロメッシュは消耗しないものの、シンクロ機構のスリーブなどの各部品が大きな駆動力を伝達しながら作動するため、想定外の負荷がシンクロ機構に作用して破損する恐れがあった。また、駆動力の伝達中にはスリーブの移動が不確実なためギヤ入れ不能に陥る場合もあり、信頼性に乏しいという問題もあった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、動力伝達が継続される不完全なギヤ抜けでニュートラルへの戻し操作を実行した場合の動力伝達の中断による車両の失速や停車を防止した上で、駆動力の伝達中の自動変速機のギヤ入れ操作を回避でき、もって想定外の負荷に起因するシンクロ機構の破損やギヤ入れ不能の事態を未然に防止することができる自動変速機の制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、シンクロ機構により各変速段を達成する有段式の変速機を走行用動力源に対しクラッチを介して連結し、該クラッチの断接操作をアクチュエータにより自動化すると共に、上記変速機の変速操作をギヤ入れアクチュエータ及びギヤ抜きアクチュエータにより自動化し、該ギヤ入れアクチュエータ及びギヤ抜きアクチュエータによる各変速段への変速操作直後のギヤ抜け、及び何れかの変速段を達成中に生じたギヤ抜けを、シフトストロークと予め設定された第1のギヤ抜けストローク判定値との比較に基づきギヤ抜け判定手段によりそれぞれ判定し、該ギヤ抜け判定手段によりギヤ抜け判定が下されたときに、再ギヤ入れ制御手段により再び元の変速段にギヤ入れする再ギヤ入れ操作を実行する自動変速機の制御装置において、変速操作の完了によりギヤ入れアクチュエータ及びギヤ抜きアクチュエータが共に作動停止して予め設定された判定期間が経過したときに、第1のギヤ抜けストローク判定値に代えて、第1のギヤ抜けストローク判定値よりもギヤ抜け側で且つ動力伝達可能な限界値である伝達限界ストロークよりもギヤ入れ側に設定された第2のギヤ抜けストローク判定値を選択するストローク判定値切換手段を備え、ギヤ抜け判定手段は、ストローク判定値切換手段により選択されたギヤ抜けストローク判定値に基づきギヤ抜けを判定することを特徴とする。
変速操作のためにギヤ入れアクチュエータやギヤ抜きアクチュエータが作動を開始し、変速操作が完了するとギヤ入れアクチュエータ及びギヤ抜きアクチュエータが作動停止する。そして、これらのアクチュエータが作動停止して判定期間が経過すると、第1のギヤ抜けストローク判定値から第2のギヤ抜けストローク判定値に切り換えられる。
各変速段への変速操作直後のギヤ抜けは、変速操作の完了によりアクチュエータが作動停止して判定期間が経過する以前に発生する。このときには、よりギヤ入れ側に設定された第1のギヤ抜けストローク判定値が選択されているため、当該判定値とシフトストロークとの比較に基づき速やかにギヤ抜け判定が下され、再ギヤ入れ操作により目的の変速段が達成される。
また、変速段を達成中のギヤ抜けは、変速操作が完了して判定期間が経過した以降、換言すると、ギヤ入れされた変速段による動力伝達が開始された以降に発生する。このようなギヤ抜けの中には、完全なギヤ抜けの他に、ギヤ抜け側に変位中のシフトストロークが伝達限界ストロークの手前(ギヤ入れ側)で停滞する不完全なギヤ抜けが含まれる。不完全なギヤ抜けでは、シフトストロークが第2のギヤ抜けストローク判定値に到達しないため、ギヤ抜け判定が下されることなく再ギヤ入れ操作の実行が禁止される。この状況でも車両は動力伝達の継続により走行可能であり、且つ、何れかの時点で他の変速段への変速に伴って不完全なギヤ抜けは解消されるため、問題は生じない。そして、再ギヤ入れ操作の実行が禁止されることにより、それに付随するシフトストロークを一旦ニュートラル位置に戻す操作も実行されなくなり、動力伝達の中断に起因する車両の失速や停車を防止することができる。
また、不完全なギヤ抜けの発生時に再ギヤ入れ操作の実行を禁止するため、特許文献1の技術のように自動変速機を強制的にギヤ入れ側に操作することはない。よって、駆動力の伝達中のギヤ入れ操作によりシンクロ機構に想定外の負荷が作用する事態を防止でき、これに起因するシンクロ機構の破損などのトラブルを未然に防止することができる。
その他の態様として、次の変速操作のためにギヤ入れアクチュエータまたはギヤ抜きアクチュエータが作動を開始したときに、第2のギヤ抜けストローク判定値を第1のギヤ抜けストローク判定値に戻すように、ストローク判定値切換手段を構成することが望ましい。
変速段を達成中のギヤ抜けは、次の変速段への変速操作が開始される以前、換言すると、ギヤ入れされた変速段による動力伝達が終了する以前に発生する。よって、次の変速操作のためにギヤ入れアクチュエータまたはギヤ抜きアクチュエータが作動を開始した時点で第1のギヤ抜けストローク判定値に戻せば、変速操作直後のギヤ抜け及び変速段を達成中のギヤ抜けをそれぞれ適切なギヤ抜けストローク判定値に基づき判定することができる。
別の態様として、変速操作が完了して上記判定期間が経過し、且つシフトストロークがギヤ抜け側に変位したときに、第2のギヤ抜けストローク判定値を選択するように、ストローク判定値切換手段を構成することが望ましい。
変速操作の完了後に判定期間が経過して変速段による動力伝達が開始されたとしても、シフトストロークがギヤ抜け側に変位しない限り、変速段を達成中のギヤ抜けは発生しない。このような場合に第1のギヤ抜けストローク判定値が継続され、無用なギヤ抜けストローク判定値の切換を防止することができる。
別の態様として、第2のギヤ抜けストローク判定値を、伝達限界ストロークのギヤ入れ側の近傍に設定することが望ましい。
不完全なギヤ抜けの発生時には、シフトストロークが伝達限界ストロークに到達する直前までギヤ抜け判定が下されずに再ギヤ入れ操作の実行が禁止される。よって、ニュートラル位置への戻し操作に起因する動力伝達の中断を最大限に防止することができる。
別の態様として、駆動力の伝達に伴って自動変速機に作用する伝達負荷が予め設定された負荷判定値を超え、且つ変速操作が完了して判定期間が経過したときに、第2のギヤ抜けストローク判定値を選択するように、ストローク判定値切換手段を構成することが望ましい。
変速操作の完了後に判定期間が経過して変速段による動力伝達が開始されたとしても、走行負荷が負荷判定値を超えない限り、変速段を達成中のギヤ抜けは発生しない。このような場合に第1のギヤ抜けストローク判定値が継続され、無用なギヤ抜けストローク判定値の切換を防止することができる。
別の態様として、伝達負荷が負荷判定値を超えたことを受けて第2のギヤ抜けストローク判定値を選択した後には、伝達負荷が上記負荷判定値以下になり、且つ次の変速操作のためにギヤ入れアクチュエータまたはギヤ抜きアクチュエータが作動を開始したときに、第2のギヤ抜けストローク判定値を第1のギヤ抜けストローク判定値に戻すように、ストローク判定値切換手段を構成することが望ましい。
例えば急登坂路から平坦路に移行すると走行負荷が低下して負荷判定値以下になるが、この時点では第2のギヤ抜けストローク判定値が継続される。そして、次の変速操作のためにアクチュエータの作動が開始された時点で、第1のギヤ抜けストローク判定値に戻される。
急登坂路の走行中に不完全なギヤ抜けが発生すると、第2のギヤ抜けストローク判定値の選択により再ギヤ入れ操作が禁止される。その後に平坦路に移行した時点で第1のギヤ抜けストローク判定値に戻すと、直ちにギヤ抜け判定が下されて無用な再ギヤ入れ操作が実行されてしまう。本発明では、ギヤ入れアクチュエータまたはギヤ抜きアクチュエータが作動開始しなければ、第1のギヤ抜けストローク判定値に戻されることがないため、このような無用な再ギヤ入れ操作、ひいてはそれに付随する動力伝達の中断を未然に防止することができる。
本発明によれば、動力伝達が継続される不完全なギヤ抜けでニュートラルへの戻し操作を実行した場合の動力伝達の中断による車両の失速や停車を防止した上で、駆動力の伝達中の自動変速機のギヤ入れ操作を回避でき、もって想定外の負荷に起因するシンクロ機構の破損やギヤ入れ不能の事態を未然に防止することができる。
実施形態の自動変速機の制御装置が適用されたトラックの駆動系を示す全体構成図である。 第1実施形態のECUが実行するギヤ抜けストローク判定値切換ルーチンを示すフローチャートである。 不完全なギヤ抜けが発生したときのギヤ抜けストローク判定値の切換状況を示すタイムチャートである。 第2実施形態のECUが実行するギヤ抜けストローク判定値切換ルーチンを示すフローチャートである。 第3実施形態のECUが実行するギヤ抜けストローク判定値切換ルーチンを示すフローチャートである。 変速段を達成中に生じたギヤ抜けに対する従来技術の再ギヤ入れ操作の実行状況を示すタイムチャートである。
以下、本発明を具体化した自動変速機の制御装置の実施形態を説明する。
図1は本実施形態の自動変速機の制御装置が適用されたトラックの駆動系を示す全体構成図である。
車両には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1の出力軸1bにはクラッチ装置2を介して自動変速機3の入力軸3aが接続され、クラッチ装置2の接続時にエンジン1の回転が自動変速機3に伝達されるようになっている。当該自動変速機3は、前進6段及び後退1段を備えた有段式の手動式変速機をベースとしたものであり、以下に述べるように、その変速操作及び変速に伴うクラッチ装置2の断接操作を自動化している。
クラッチ装置2は、フライホイール4にクラッチ板5をプレッシャスプリング6により圧接させて接続される一方、フライホイール4からクラッチ板5を離間させることにより切断される摩擦式クラッチとして構成されている。クラッチ板5にはアウタレバー7を介してクラッチシリンダ8(アクチュエータ)が連結され、クラッチシリンダ8には電磁弁9が介装されたエア通路10を介して圧縮エアを充填したエアタンク11が接続されている。
電磁弁9の開弁時にはエアタンク11からエア通路10を介してクラッチシリンダ8に圧縮エアが供給され、クラッチシリンダ8が作動してアウタレバー7を介してクラッチ板5をフライホイール4から離間させ、クラッチ装置2が接続状態から切断状態に切り換えられる。一方、電磁弁9が閉弁すると、圧縮エアの供給中止によりクラッチシリンダ8が作動しなくなることから、クラッチ板5はプレッシャスプリング6によりフライホイール4に圧接され、クラッチ装置2は切断状態から接続状態に切り換えられる。このように電磁弁9の開閉に応じてクラッチシリンダ8が作動して、クラッチ装置2を自動的に断接操作可能になっている。
自動変速機3には変速段を切り換えるためのギヤシフトユニット14が設けられている。ギヤシフトユニット14は、自動変速機3内の各変速段をギヤ入れ側に作動させる複数のギヤ入れシリンダ14a(アクチュエータ)、各変速段をギヤ抜き方向に作動させる複数のギヤ抜きシリンダ14b(アクチュエータ)、及び各シリンダ14a,14bを作動させる図示しない複数の電磁弁を内蔵している。ギヤシフトユニット14はエア通路12を介して上記したエアタンク11と接続されており、各電磁弁の開閉に応じてエアタンク11からの圧縮エアが対応するギヤ入れシリンダ14a或いはギヤ抜きシリンダ14bに供給される。これによりシリンダ14a,14bが作動して対応するシフトフォークを切換操作し、それに応じて自動変速機3の変速段が切り換えられる。このようにギヤシフトユニット14の電磁弁の開閉に応じてギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bが作動して、自動変速機3を自動的に変速操作可能になっている。
車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップなどの記憶に供される記憶装置(ROM,RAMなど)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタなどを備えたECU(制御ユニット)21が設置されており、エンジン1、クラッチ装置2、自動変速機3の総合的な制御を行う。
ECU21の入力側には、エンジン1の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ22、自動変速機3の入力軸3aの回転速度Ninを検出する入力軸回転速度センサ23(回転速度検出手段)、運転席に設けられたチェンジレバー13の操作位置を検出するレバー位置センサ24、自動変速機3の各変速段のシフトストロークGst(結果としてギヤ位置を表す)を検出するシフトストロークセンサ25、アクセルペダル26の操作量θAccを検出するアクセルセンサ27、自動変速機3の出力軸3bの回転速度Nout(車速Vに比例する)を検出する出力軸回転速度センサ28、フットブレーキ29の操作を検出するブレーキスイッチ30、及びクラッチ装置2のクラッチストロークCstを検出するクラッチストロークセンサ31などのセンサ類が接続されている。
また、ECU21の出力側には、上記したクラッチ装置2の電磁弁9、ギヤシフトユニット14の各電磁弁などが接続されると共に、図示はしないが、エンジン1の燃料噴射弁などが接続されている。なお、このように単一のECU21で総合的に制御することなく、例えばECU21とは別にエンジン制御専用のECUを備えるようにしてもよい。
そして、例えばECU21は、エンジン回転速度センサ22により検出されたエンジン回転速度Ne及びアクセルセンサ27により検出されたアクセル操作量θAccに基づき、図示しないマップからエンジン1の各気筒への燃料噴射量を算出すると共に、エンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qに基づき図示しないマップから燃料噴射時期を算出する。そして、これらの算出値に基づき各気筒の燃料噴射弁を駆動制御しながらエンジン1を運転する。
また、ECU21は、レバー位置センサ24によりチェンジレバー13のDレンジへの切換が検出されているときには自動変速モードを実行し、アクセル操作量θAcc及び出力軸回転速度センサ28により検出された出力軸回転速度Noutに基づき、図示しないシフトマップから目標変速段を算出する。そして、クラッチ装置2の電磁弁9を開閉してクラッチシリンダ8によりクラッチ装置2を断接操作させながら、ギヤシフトユニット14の所定の電磁弁を開閉してギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bにより対応するシフトフォークを切換操作する。これにより自動変速機3の変速段を目標変速段に切り換え、常に適切な変速段をもって車両を走行させる。
ところで、[背景技術]で述べたように、本実施形態のような有段式の手動式変速機をベースとした自動変速機3では、変速操作直後のギヤ抜けや変速段を達成中のギヤ抜けが発生することがあり、このような場合にはギヤ抜け判定を下す(ギヤ抜け判定手段)。そして、変速段を達成中のギヤ抜けに対しては、シフトストロークGstを一旦ニュートラルに戻した上で再び元の変速段に入れ直す再ギヤ入れ操作により対処している(再ギヤ入れ制御手段)。また、変速段を達成中のギヤ抜けの中でも特に不完全なギヤ抜けに対しては、特許文献1の技術のように、シンクロ機構の回転同期を条件として、シフトストロークGstをニュートラル位置に戻すことなく、そのまま元の変速段へのギヤ入れを実行することもある。
しかしながら、この場合には動力伝達中に自動変速機3をギヤ入れ側に操作することになるため、想定外の負荷によりシンクロ機構が破損する恐れがあり、また、ギヤ入れの信頼性が乏しいという問題もあった。
本発明者は、このような不完全なギヤ抜けでは、ギヤ抜け側に変位したシフトストロークGstが伝達限界ストロークGst-lmt(動力伝達可能な限界値)の手前(ギヤ入れ側)で停滞しており、自動変速機3を介した動力伝達が継続されていることに着目した。即ち、この状況の車両は動力伝達の継続により走行可能であり、且つ、不完全なギヤ抜けが発生し易い急登坂路などは長くは続かず、何れかの時点でシフトアップ方向への変速に伴って不完全なギヤ抜けが解消されるはずである。よって、この状況のまま車両の走行を継続しても問題はない。
以上の知見の下に本実施形態では、変速段を達成中のギヤ抜けが発生した場合に、動力伝達が中断する完全なギヤ抜けに対しては通常通りに再ギヤ入れ操作を実行する一方、不完全なギヤ抜けに対しては再ギヤ入れ操作の実行を禁止している。以下、この対策のためにECUが実行する処理を第1実施形態として説明する。
[第1実施形態]
図2は本実施形態のECU21が実行するギヤ抜けストローク判定値切換ルーチンを示すフローチャートである。
まず、ステップS2で何れかの変速段への変速操作が完了してギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bが共に作動を停止し、その後に予め設定された判定時間T(判定期間)が経過したか否かを判定する。判定がNo(否定)のときにはステップS4に移行してギヤ抜けストローク判定値Gst-out1を選択し、その後に一旦ルーチンを終了する。
例えば図3に示すように第2速のギヤ入れシリンダ14aが作動を開始し(図3のポイントa)、これにより自動変速機3がニュートラル位置から第2速に切り換えられる(図3のポイントb)。変速操作の完了によりギヤ入れシリンダ14aは作動を停止し、その後に判定時間Tが経過すると(図3のポイントc)、ECU21はステップS2でYesの判定を下してステップS6に移行する。ステップS6では何れかのシリンダ14a,14bが作動を開始したか否かを判定する。
当該ステップS6の処理は、次の変速操作のためのシリンダ14a,14bの作動を判定するものであるため、全ての変速段のギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bが対象となる。よって、全ての変速段のシリンダ14a,14bの内の何れか一つでも作動した場合には、ステップS6の判定がYesになる。ステップS6の判定がNoのときにはステップS8に移行してギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を選択し(ストローク判定値切換手段)、その後にルーチンを終了する。
例えば第2速から第3速への変速操作が実行されると、まず、ギヤ抜きシリンダ14bの作動により第2速からニュートラル位置に切り換えられる。その後にギヤ入れシリンダ14aの作動によりニュートラル位置から第3速に切り換えられる。このときのギヤ抜きシリンダ14bの作動開始により、ECU21はステップS6でYesの判定を下し、ステップS4に移行してギヤ抜けストローク判定値Gst-out2をギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に戻す(ストローク判定値切換手段)。
図3に示すようにギヤ抜けストローク判定値Gst-out1は、動力伝達可能な限界値である伝達限界ストロークGst-lmtよりも十分に手前側(ギヤ入れ側)の値に設定されている。このギヤ抜けストローク判定値Gst-out1の値は、図4に示す従来技術のギヤ抜けストローク判定値Gst-outに相当し、ギヤ抜けの発生時に動力伝達の中断に至る以前に速やかにギヤ抜け判定を下して再ギヤ入れ操作を実行できるように配慮したものである。このようなギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に比較してギヤ抜けストローク判定値Gst-out2は大幅にギヤ抜け側の値に設定され、ほとんど伝達限界ストロークGst-lmtの直前(ギヤ入れ側の近傍)に位置している。
以上のように、変速操作の完了によりギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bが作動を停止して判定時間Tが経過した時点で、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out1からギヤ抜けストローク判定値Gst-out2に切り換えられる。その後に、次の変速操作のためにギヤ入れシリンダ14aまたはギヤ抜きシリンダ14bの何れかが作動を開始すると、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out2からギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に戻される。そして、シフトストロークGstがギヤ抜け側に変位したときには、現在選択されているギヤ抜けストローク判定値Gst-out1,Gst-out2に基づき、ギヤ抜けの有無、ひいては再ギヤ入れ操作の要否が判定される。
各変速段への変速操作直後のギヤ抜けは、変速操作の完了によりギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bが作動停止して判定時間Tが経過する以前に発生する。このときには、よりギヤ入れ側に設定されたギヤ抜けストローク判定値Gst-out1が選択されている。よって、このギヤ抜けストローク判定値Gst-out1にシフトストロークGstが到達した時点で速やかにギヤ抜け判定が下され、再ギヤ入れ操作により目的の変速段が達成される。
また、変速段を達成中のギヤ抜けは、変速操作が完了して判定時間Tが経過してから次の変速段への変速操作が開始されるまでの期間中、換言すると、ギヤ入れされた変速段による動力伝達が開始されてから動力伝達が終了するまでの期間中に発生する。
このようなギヤ抜けの中には、完全なギヤ抜けの他に、ギヤ抜け側に変位中のシフトストロークGstが伝達限界ストロークGst-lmtの手前(ギヤ入れ側)で停滞する、所謂不完全なギヤ抜けが含まれる。
不完全なギヤ抜けは、例えば急登坂路の走行中のように自動変速機3が大きな駆動力を伝達している状況で発生し易い。このときには図3に示すように、ギヤ入り位置のシフトストロークGstがギヤ抜け側に変位してギヤ抜けストローク判定値Gst-out1を超えるものの(図3のポイントd)、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out1の近傍に停滞し続ける。よって、シフトストロークGstが伝達限界ストロークGst-lmtを超えないことは無論、その手前に設定されたギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を超えることもない。このため、第2速のシンクロ機構のドグ同士は噛合を保ち続けて動力伝達を継続する。一方で、急登坂路は長くは続かず、何れかの時点でシフトアップ方向への変速に伴って不完全なギヤ抜けが解消される。
そして、このときには、図4のステップS2,6を経てステップS8の処理によりギヤ抜けの判定にギヤ抜けストローク判定値Gst-out2が適用されている。このため、シフトストロークGstがギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を超えないことを受け、ギヤ抜け判定が下されることなく再ギヤ入れ操作の実行が禁止される。よって、再ギヤ入れ操作に付随するシフトストロークGstをニュートラル位置に戻す操作も実行されないため、当該操作による動力伝達の中断も発生しない。
結果として車両は、意図しない失速や停車に陥ることなく駆動力を発生し続けて急登坂路を走行し終える。なお、このように急登坂路の走行中にギヤ抜けストローク判定値Gst-out2が選択されていても、完全なギヤ抜けが発生すると、シフトストロークGstがギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を超える。よって、通常のギヤ抜けストローク判定値Gst-out1が選択されている場合と何ら変わりなく再ギヤ入れ操作が実行されることにより、ギヤ抜けが解消される。
特に本実施形態では、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out2が伝達限界ストロークGst-lmtの直前に設定されているため、シフトストロークGstが伝達限界ストロークGst-lmtに到達する直前までギヤ抜け判定が下されずに再ギヤ入れ操作の実行が禁止される。よって、ニュートラル位置への戻し操作に起因する動力伝達の中断を最大限に防止することができる。
一方、急登坂路の走行が終了すると、変速段はシフトアップ方向に切り換えられる。この時点で図4のステップS6からステップS4に移行し、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out2からギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に戻される。よって、上記のように変速操作直後のギヤ抜けが発生すると、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に基づきギヤ抜け判定が下されて速やかに再ギヤ入れ操作が実行される。
以上のように本実施形態の自動変速機3の制御装置では、変速操作の完了によりギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bが共に作動停止して判定時間Tが経過すると、ギヤ入れ側のギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に代えて、よりギヤ抜け側に設定されたギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を選択する。そして、その後に次の変速操作のためにギヤ入れシリンダ14aまたはギヤ抜きシリンダ14bの何れかが作動を開始すると、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out2をギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に戻している。
よって、変速段を達成中に不完全なギヤ抜けが発生したときには、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out2の適用によりギヤ抜け判定が禁止される。このためギヤ抜け判定に基づく無用な再ギヤ入れ操作、及びそれに付随するニュートラル位置への戻し操作は実行されず、自動変速機3を介した動力伝達が継続される。このため、動力伝達の中断に起因する車両の失速や停車を未然に防止することができる。
また、不完全なギヤ抜けの発生時に、特許文献1の技術のように自動変速機3を強制的にギヤ入れ側に操作していない。よって、駆動力の伝達中のギヤ入れ操作によりシンクロ機構に想定外の負荷が作用する事態を防止でき、これに起因するシンクロ機構の破損やギヤ入れ不能の事態を未然に防止することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明を別の自動変速機3の制御装置に具体化した第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態との相違は、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out1,Gst-out2の切換処理にあり、図1に示す基本的な構成については、第1実施形態と相違ない。そこで、構成が共通する箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
図4は本実施形態のECU21が実行するギヤ抜けストローク判定値切換ルーチンを示すフローチャートである。
ECU21は、ステップS2でギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bが作動停止して判定時間Tが経過したか否かを判定し、YesのときにはステップS12に移行してシフトストロークGstがギヤ抜け側に変位したか否かを判定する。ステップS12の判定がNoのときには、ステップS4でギヤ抜けストローク判定値Gst-out1を選択する(ストローク判定値切換手段)。また、ステップS12の判定がYesのときには、ステップS6で次の変速操作のためのシリンダ14a,14bの作動が未だ開始されていないことを条件として、ステップS8でギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を選択する。
即ち、第1実施形態では、判定時間Tの経過により不完全なギヤ抜けの可能性が生じると、無条件でギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を選択した。これに対して本実施形態では、シフトストロークGstがギヤ抜け側に変位しない限り、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out2に切り換えることなくギヤ抜けストローク判定値Gst-out1を継続している。判定時間Tが経過して変速段による動力伝達が開始されたとしても、シフトストロークGstがギヤ抜け側に変位しない限り、変速段を達成中のギヤ抜け、ひいては不完全なギヤ抜けは発生しない。本実施形態では、このような場合にギヤ抜けストローク判定値Gst-out1を継続することから、無用なギヤ抜けストローク判定値Gst-out1,Gst-out2の切換を防止することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明を別の自動変速機3の制御装置に具体化した第3実施形態を説明する。なお、基本的な構成は第1実施形態と相違ないため、相違点を重点的に述べる。
図5は本実施形態のECU21が実行するギヤ抜けストローク判定値切換ルーチンを示すフローチャートである。
ECU21は、まずステップS22で、自動変速機3の伝達負荷Ttrsが予め設定された負荷判定値Ttrs0を超えているか否かを判定する。伝達負荷Ttrsとは、駆動力を伝達中の自動変速機3に作用している負荷であり、エンジン1側から自動変速機3に入力されるエンジントルクに対して駆動輪側から自動変速機3に伝達される走行負荷(車両加速方向を正、減速方向を負として)を減算した値として算出される。周知のように走行負荷とは、車両重量や路面勾配、空気抵抗などのような走行中の車両に作用する負荷である。
不完全なギヤ抜けは、急登坂路の走行中のように自動変速機3が大きな駆動力を伝達する状況で発生し、この状況か否かは伝達負荷Ttrsを指標として判定できる。ステップS22の判定がNoのときには不完全なギヤ抜けが発生する可能性はないと見なし、ステップS24で何れかのシリンダが作動を開始したか否かを判定する。
そして、例えば車両が急登坂路に移行してステップS22の判定がYesになると、ステップS2でギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bが作動停止して判定時間Tが経過したか否かを判定する。ステップS2の判定がYesのときには、ステップS6で次の変速操作のためのシリンダ14a,14bの作動が未だ開始されていないことを条件として、ステップS8でギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を選択する(ストローク判定値切換手段)。
即ち、自動変速機3の伝達負荷Ttrsが負荷判定値Ttrs0を超えない限り、ギヤ入れシリンダ14a及びギヤ抜きシリンダ14bの作動停止に関するステップS2の判定処理は実行されない。伝達負荷Ttrsが負荷判定値Ttrs0を超えない場合には、変速段を達成中のギヤ抜け、ひいては不完全なギヤ抜けは発生しない。本実施形態によれば、このような状況での無用なステップS2の判定処理の実行を防止できると共に、この判定処理に基づく無用なギヤ抜けストローク判定値Gst-out1,Gst-out2の切換を防止することができる。
一方、ECU21は、車両が急登坂路から平坦路に移行して、伝達負荷Ttrsの低下によりステップS22の判定がNoになったとしても、何れかのシリンダ14a,14bが作動を開始してステップS24の判定がYesにならない限り、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out2を継続する。そして、シリンダ14a,14bの作動開始によりステップS24でYesの判定が下された時点で、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に戻す(ストローク判定値切換手段)。
上記したように急登坂路の走行中に不完全なギヤ抜けが発生すると、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out2の選択により再ギヤ入れ操作が禁止される。その後に平坦路に移行した時点でギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に戻すと、直ちにギヤ抜け判定が下されて無用な再ギヤ入れ操作が実行されてしまう。本実施形態では、ギヤ抜きシリンダ14bまたはギヤ入れシリンダ14aが作動開始しなければ、ギヤ抜けストローク判定値Gst-out1に戻されることがない。よって、このような無用な再ギヤ入れ操作、ひいてはそれに起因する動力伝達の中断を未然に防止することができる。
なお、本実施形態と第2実施形態とを組み合わせてもよい。具体的には、本実施形態の図5中のステップS2とステップS6との間に、第2実施形態の図4中のステップS12の処理を設けてもよい。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態ではトラックに適用したが、これに限ることはなくバスや乗用車に適用したりしてもよい。
また上記実施形態では、通常の有段式の手動式変速機をベースとした自動変速機3に適用したが、これに限るものではない。例えば、奇数変速段及び偶数変速段からある2系統の動力伝達系を備えた所謂デュアルクラッチ式自動変速機に適用してもよい。
1 エンジン(走行用動力源)
2 クラッチ装置(クラッチ)
3 自動変速機
8 クラッチシリンダ(アクチュエータ)
14a ギヤ入れシリンダ(アクチュエータ)
14b ギヤ抜きシリンダ(アクチュエータ)
21 ECU(ギヤ抜け判定手段、再ギヤ入れ制御手段、ストローク判定値切換手段)
23 入力軸回転速度センサ(回転速度検出手段)

Claims (6)

  1. シンクロ機構により各変速段を達成する有段式の変速機を走行用動力源に対しクラッチを介して連結し、該クラッチの断接操作をアクチュエータにより自動化すると共に、上記変速機の変速操作をギヤ入れアクチュエータ及びギヤ抜きアクチュエータにより自動化し、該ギヤ入れアクチュエータ及びギヤ抜きアクチュエータによる各変速段への変速操作直後のギヤ抜け、及び何れかの変速段を達成中に生じたギヤ抜けを、シフトストロークと予め設定された第1のギヤ抜けストローク判定値との比較に基づきギヤ抜け判定手段によりそれぞれ判定し、該ギヤ抜け判定手段によりギヤ抜け判定が下されたときに、再ギヤ入れ制御手段により再び元の変速段にギヤ入れする再ギヤ入れ操作を実行する自動変速機の制御装置において、
    上記変速操作の完了により上記ギヤ入れアクチュエータ及びギヤ抜きアクチュエータが共に作動停止して予め設定された判定期間が経過したときに、上記第1のギヤ抜けストローク判定値に代えて、該第1のギヤ抜けストローク判定値よりもギヤ抜け側で且つ動力伝達可能な限界値である伝達限界ストロークよりもギヤ入れ側に設定された第2のギヤ抜けストローク判定値を選択するストローク判定値切換手段を備え、
    上記ギヤ抜け判定手段は、上記ストローク判定値切換手段により選択されたギヤ抜けストローク判定値に基づき上記ギヤ抜けを判定することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 上記ストローク判定値切換手段は、次の変速操作のために上記ギヤ入れアクチュエータまたはギヤ抜きアクチュエータが作動を開始したときに、上記第2のギヤ抜けストローク判定値を上記第1のギヤ抜けストローク判定値に戻すことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 上記ストローク判定値切換手段は、上記変速操作が完了して上記判定期間が経過し、且つ上記シフトストロークがギヤ抜け側に変位したときに、上記第2のギヤ抜けストローク判定値を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 上記第2のギヤ抜けストローク判定値は、上記伝達限界ストロークのギヤ入れ側の近傍に設定されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の自動変速機の制御装置。
  5. 上記ストローク判定値切換手段は、駆動力の伝達に伴って上記自動変速機に作用する伝達負荷が予め設定された負荷判定値を超え、且つ上記変速操作が完了して上記判定期間が経過したときに、上記第2のギヤ抜けストローク判定値を選択することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の自動変速機の制御装置。
  6. 上記ストローク判定値切換手段は、上記伝達負荷が上記負荷判定値を超えたことを受けて上記第2のギヤ抜けストローク判定値を選択した後には、該伝達負荷が上記負荷判定値以下になり、且つ次の変速操作のために上記ギヤ入れアクチュエータまたはギヤ抜きアクチュエータが作動を開始したときに、上記第2のギヤ抜けストローク判定値を上記第1のギヤ抜けストローク判定値に戻すことを特徴とする請求項5に記載の自動変速機の制御装置。
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