JP2015038490A - 試料液体の誘電率測定装置及びそれを用いた誘電率測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】測定対象となる試料液体2を密閉状態で収納する単結晶サファイア管からなる容器8と、容器8の内部に設けられる電極6と、容器8の内部の試料液体2の温度を制御する温度制御手段5と、電極6に接続された誘電率測定器とを有し、容器8は細長い管状に形成された透明又は半透明のものであり、電極6は円柱状の保護電極を芯として、円筒状の主電極及び対電極が空隙を介して保護電極を覆うように構成されている。
【選択図】図1
Description
また、冷凍機が電動モーター駆動の圧縮機を備える場合には、冷媒と潤滑油の混合液体は、上述の幅広い温度領域において高い電気絶縁性を有することが求められている。そのため、このような圧縮機を備える、家庭用や業務用の冷凍機や、近年需要が増加しているハイブリッド車や電気自動車等においても、冷媒と潤滑油の混合液体について、電気絶縁性(体積抵抗率)等の電気特性に関する要求性能は益々高まることが予想される。従って、これらの電気特性を、より実機に近い温度条件や圧力条件下において、より高い精度で測定し得る測定装置が求められている。
一方、非特許文献2及び3には、試料セル内に試料を封入して体積抵抗率等の電気特性を測定する装置が記載されている。しかしながら、これらの試料セルの材質はステンレス鋼であるため内部が透視できないものであった。また、これらの測定装置は、潤滑油と冷媒との混合液体の温度を制御できるものではなかった。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高圧下において試料液体を視認しつつ、その温度を制御し、かつその電気特性を測定しうる電気特性測定装置を提供することを目的とするものである。
すなわち本発明は、
1.測定対象となる試料液体を密閉状態で収納する単結晶サファイア管からなる容器と、該容器の内部に設けられる電極と、該容器内の該試料液体の温度を制御する温度制御手段と、該電極に接続された誘電率測定器とを有し、前記試料液体は、冷媒と潤滑油の混合液体であり、前記容器は、細長い管状に形成された透明又は半透明のものであり、前記電極は、円柱状の保護電極を芯として、円筒状の主電極及び対電極が空隙を介して該保護電極を覆うように構成されていることを特徴とする誘電率測定装置、
2.前記容器が、その内部に収容された前記試料液体を測定対象とする、圧力センサ、温度センサ、屈折率センサ、密度センサ及び濃度センサの少なくとも一つを有する上記1に記載の誘電率測定装置、
3.前記冷媒が、炭素数1〜3の飽和ハイドロフルオロカーボン冷媒、炭素数2〜3の不飽和ハイドロフルオロカーボン冷媒及び二酸化炭素から選択される少なくとも一種を含有する上記1又は2に記載の誘電率測定装置、
4.内部に電極が設けられた単結晶サファイア管からなる容器に混合液体を密閉状態で収容する工程と、温度制御手段で該容器内の該試料液体の温度を制御する工程と、該電極及び該電極に接続された誘電率測定器で該混合液体の誘電率を測定する工程とを含み、前記試料液体は、冷媒と潤滑油の混合液体であり、前記容器は、細長い管状に形成された透明又は半透明のものであり、前記電極は、円柱状の保護電極を芯として、円筒状の主電極及び対電極が空隙を介して該保護電極を覆うように構成されていることを特徴とする誘電率測定方法、
を提供するものである。
容器8に用いられる単結晶サファイアは、従来の石英ガラスに比べ化学的安定性、機械的特性、透過波長領域に優れ、硬度が高いため傷つきにくいなどの特徴を有している。なかでも使用圧力範囲がガラス管の0〜3MPaに対して、0〜30MPaと広く、高圧領域まで使用可能である。単結晶サファイア管の好ましい使用圧力範囲は3〜25MPa、より好ましくは5〜20MPaである。
単結晶サファイア管は、チョクラルスキー(CZ)法、ベルヌーイ法等の通常用いられる方法を用いて製造することができるが、特開昭54−41281記載の方法によっても製造が可能である。
容器8は、細長い管状に形成されたサファイア管よりなる密閉耐圧容器である。また、容器8として透明又は半透明のものを用い、試料液体2を視認可能とすると、試料液体2の状態(層分離の有無等)を確認しつつ電気特性の測定を行うことができるため好ましい。
本発明の電気特性測定装置1の測定対象となる試料液体2は、特に限定されないが、高圧下での電気特性測定の需要が高い、潤滑油及び冷媒を含有する混合液体を測定対象とする場合、本発明の電気特性測定装置1は特に有用である。この冷媒としては、炭素数1〜3の飽和ハイドロフルオロカーボン冷媒、炭素数2〜3の不飽和ハイドロフルオロカーボン冷媒及び二酸化炭素から選択される少なくとも一種を含有することが好ましいが、毒性や可燃性がなく、また安全性や環境問題に全く問題の無い二酸化炭素を含有することがより好ましい。
上述のように、高圧領域まで使用可能な単結晶サファイア管を、試料液体2を密閉状態で収納する容器8として用いることにより、二酸化炭素を冷媒として用いることが可能となり、潤滑油との混合状態にある試料液体2の電気特性を、簡便かつ安全に直接測定することができる。
本発明の電気特性測定装置1に設けられる温度制御手段5としては、加熱手段51及び冷却手段52を、容器8を収納する恒温槽3内に設けることが好ましい。加熱手段51は、槽内の熱媒体4(例えば、ドライアイス+メタノール:−90℃程度まで冷却可能)中に位置するようにヒーターを配することにより構成し得る。また、冷却手段52は、槽外に配置した金属製デュワ瓶内で冷却された熱媒体4を槽内に送るための送液パイプ、パイプの途中に設置された、送るべき熱媒体4の量を制御する電磁弁等を設けることにより構成し、送液ポンプでデュワ瓶から恒温槽3へ熱媒体4を送り、この熱媒体4で容器内の試料液体2を所定の温度に冷却することができる。恒温槽3には、余分な熱媒体4を元のデュワ瓶に戻すための排液パイプ11を設けておく。このように、恒温槽3内に加熱手段51及び冷却手段52を設けることにより、恒温槽3内の熱媒体4の温度及び熱媒体4中に配されている容器8内の試料液体2の温度を任意に制御することが可能となる。また、熱媒体4の温度を検出する温度センサと、この温度センサの検出した温度に基づいて加熱手段51および冷却手段52をコントロールするコントローラとを設けてもよい。
さらに、本発明の電気特性測定装置1は、サファイア管からなる容器8の内部に、電気特性を測定する電極6を有することが好ましい。電極6としては、目的の電気特性を測定し得るものであれば特に限定されないが、主電極61、対電極62及び保護電極63を有するものが好ましく、より具体的には、図2に示すように、円柱状の保護電極63を芯として、これを円筒状の主電極61及び対電極62が空隙7を介して覆うように構成されているものが好ましい。
また、電極6に接続して試料液体2の電気特性を測定する測定器は特に限定されないが、体積抵抗率を測定する体積抵抗率測定器や、静電容量、誘電正接、誘電率等を測定する誘電率測定器が挙げられ、さらに複数の測定器を、チャンネル切替器を介して同時に接続してもよい。上記測定器の具体例としては、デジタル超高抵抗/微少電流計8340A(ADCMT社製)、電気絶縁材料Ctanδ測定器DAC−IM−D6(総研電気株式会社製)等が挙げられる。
また、本発明の電気特性測定装置1に、試料液体2を測定対象とする、圧力センサ、温度センサ、屈折率センサ、密度センサ及び濃度センサの少なくとも一つを設けることで、圧力、温度、屈折率、密度及び濃度の測定値が、電気特性の測定と同時に得られるようになり、得られた電気特性の測定値についての補正等が速やかに行える。
超音波による攪拌手段を有することで、手動による攪拌にくらべ操作が容易でかつ短時間に効率よく行なうことができ、電気特性の測定におけるバラツキを減少することができる。
まず、所定量の測定対象となる試料液体2を、試料注入部9よりサファイア管からなる容器8の中に入れる。試料液体2が冷媒及び潤滑油の混合液体である場合、冷媒と潤滑油が混合した状態で容器8の中に導入することもできるが、先に容器8内に所定量の潤滑油を導入することもできる。その場合、容器8に、耐圧(例えば、30MPa)仕様のT字型ジョイント、安全弁(例えば、作動圧力14MPa)及びニードル弁を装着し、熱媒体4の入った恒温槽3に浸し、次にニードル弁と冷媒採取ラインを、耐圧ホースを介して接続する。尚、熱媒体4の温度は、試料液体2に用いる冷媒の沸点以下(例えば、冷媒が液化二酸化炭素である場合には−59℃以下。)の温度に保持しておく。さらに、真空ポンプ(図示せず)を作動し容器8及び冷媒採取ライン内を脱気する。真空ポンプを止め、冷媒容器の元弁を開き容器8に冷媒を導入する。
このようにして冷媒を容器8内に採取することによって、潤滑油と冷媒の混合比率を任意の値にすることができる。尚、試料液体2の量は、電極6が十分に浸る程度とするため、必要に応じて潤滑油と冷媒の量を調整する。
尚、上記操作に当っては、容器8内の温度及び圧力については特に注視する必要がある。ここで、安全弁の作動圧力はサファイア管の使用圧力(例えば、20MPa)の3分の2(例えば、14MPa)程度のものを使用することが好ましい。
所定量の冷媒が導入されたらニードル弁を閉じ、冷媒容器の弁を閉じ、耐圧ホースを切り離した後、予め温度制御手段5で内部の熱媒体4を所定の温度にした恒温槽3内に試料液体2を保持した容器8を静置する。また、事前に恒温槽3内に試料注入部9と接続した状態で容器8を静置しておき、溶媒を導入して容器8内に採取することもできる。
容器8全体が熱的に平衡状態になったら、試料液体2の電気特性の測定を開始する。
測定は、電極6に接続されたコネクタ(図示せず)に、体積抵抗率測定器や誘電率測定器を接続して自動計測させて行うことができる。
2:試料液体
3:恒温槽
4:熱媒体
5:温度制御手段
51:加熱手段
52:冷却手段
6:電極
61:主電極
62:対電極
63:保護電極
7:空隙
8:容器
9:試料注入部
10:蓋
11:排液パイプ
Claims (4)
- 測定対象となる試料液体を密閉状態で収納する単結晶サファイア管からなる容器と、
該容器の内部に設けられる電極と、
該容器内の該試料液体の温度を制御する温度制御手段と、
該電極に接続された誘電率測定器とを有し、
前記試料液体は、冷媒と潤滑油の混合液体であり、
前記容器は、細長い管状に形成された透明又は半透明のものであり、
前記電極は、円柱状の保護電極を芯として、円筒状の主電極及び対電極が空隙を介して該保護電極を覆うように構成されていることを特徴とする誘電率測定装置。 - 前記容器が、その内部に収容された前記試料液体を測定対象とする、圧力センサ、温度センサ、屈折率センサ、密度センサ及び濃度センサの少なくとも一つを有する請求項1に記載の誘電率測定装置。
- 前記冷媒が、炭素数1〜3の飽和ハイドロフルオロカーボン冷媒、炭素数2〜3の不飽和ハイドロフルオロカーボン冷媒及び二酸化炭素から選択される少なくとも一種を含有する請求項1又は2に記載の誘電率測定装置。
- 内部に電極が設けられた単結晶サファイア管からなる容器に混合液体を密閉状態で収容する工程と、
温度制御手段で該容器内の該試料液体の温度を制御する工程と、
該電極及び該電極に接続された誘電率測定器で該混合液体の誘電率を測定する工程とを含み、
前記試料液体は、冷媒と潤滑油の混合液体であり、
前記容器は、細長い管状に形成された透明又は半透明のものであり、
前記電極は、円柱状の保護電極を芯として、円筒状の主電極及び対電極が空隙を介して該保護電極を覆うように構成されていることを特徴とする誘電率測定方法。
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JPS59168322A (ja) * | 1983-03-14 | 1984-09-22 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | 潤滑油の測定方法およびその装置 |
JP2002277427A (ja) * | 2001-03-21 | 2002-09-25 | Kawata Mfg Co Ltd | 誘電物性測定装置 |
JP2007108045A (ja) * | 2005-10-14 | 2007-04-26 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 液体の粘度測定装置および測定方法 |
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