JP2015038089A - 食事性グルテンを消化するための酵素併用療法 - Google Patents

食事性グルテンを消化するための酵素併用療法 Download PDF

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Abstract

【課題】グルテンを摂取による、セリアックスプルー疾患を治療する、またはこの疾患の影響を寛解させる、改善された方法の提供。【解決手段】グルテンを含有する食料と、グルテン毒性の解毒において相乗作用活性をもたらす比の有効量のグルタミンエンドプロテアーゼおよびプロリルエンドペプチダーゼとを接触させる工程を含む、グルテンを解毒する方法であって、グルタミン特異的エンドプロテアーゼおよびプロリルエンドペプチダーゼからなる、配合酵素産物を、凍結乾燥散剤または単純なカプセル/錠剤として投与する。【選択図】なし

Description

発明の背景
コムギ、オオムギ、およびライムギに存在する一般的な食事性タンパク質であるグルテンを摂取すると、感受性のある個体において、現在セリアックスプルーと呼ばれる疾患が引き起こされることが、1953年に初めて認められた。グルテンは、グルタミンおよびプロリンに富むグルテニン分子ならびにプロラミン分子の複合混合物であり、疾患誘導の原因となっているように思われる。感受性のある個体がこのようなタンパク質を摂取すると、ペプチドおよび他の栄養分の効率的かつ広範囲の最終消化を担うことが知られている、通常は豪華な敷物のような小腸上皮層が平らになる。セリアックスプルーの臨床症状には、疲労、慢性下痢、栄養分の吸収不良、体重減少、腹部膨満、貧血、ならびに骨粗鬆症および腸の悪性腫瘍(リンパ腫および癌腫)が発症するリスクの大幅な上昇が含まれる。この疾患の発症率は欧州人口の200人に約1人である。
関連疾患は、激しいかゆみを伴う水疱、丘疹、およびじんま疹様病変のかたまりを特徴とする慢性皮膚発疹である疱疹状皮膚炎である。IgA沈着物が、この疾患を有する個体の、正常に見え、かつ病変周囲にある皮膚のほぼ全てにおいて生じる。無症候性のグルテン感受性腸症が、患者の75〜90%、および患者の親族の一部において見られる。発症は、通常、徐々に進む。かゆみおよび炎症は重篤であり、多くの場合、ひっかき行動が一次病変と付近の皮膚の湿疹化を見えにくくし、湿疹の誤った診断につながる。無グルテン食を長期間厳密に守ると一部の患者では疾患を管理することができ、薬物療法が不要になるか、または薬物療法の必要が少なくなる。かゆみを緩和するために、時として、ダプソン、スルファピリジン、およびコルヒチンが処方される。
セリアックスプルーは自己免疫疾患と一般にみなされており、患者血清中に見られる抗体が、この疾患に免疫学的な性格があるという理論を裏付けている。組織トランスグルタミナーゼ(tTG)およびグリアジンに対する抗体が、活動性セリアックスプルー患者のほぼ100%において現れ、このような抗体、特に、IgAクラスの抗体の存在が、この疾患の診断に用いられてきた。
患者の大半は、HLA-DQ2[DQ(a1*0501,b1*02)]および/またはDQ8[DQ(a1*0301,b1*0302)]分子を発現する。特定のグリアジンオリゴペプチドとHLA-DQ2またはDQ8抗原との間で相互作用することによって腸の損傷が引き起こされ、次に、上皮下層においてTリンパ球の増殖が誘導されると考えられている。明らかに、Tヘルパー1細胞およびサイトカインが、小腸の絨毛萎縮につながる局所炎症プロセスにおいて主な役割を果たしている。
現在、この疾患には認可された薬物療法がなく、唯一の「治療法」は、グルテンを含有する食物を全て避けるように患者にアドバイスすることである。グルテンの使用中止は小児の予後を変え、成人の予後を実質的に改善したが、一部の人、主に、診断時に重篤な疾患があった成人は依然として、この疾患で死亡する。重要な死因はリンパ細網疾患(特に、腸リンパ腫)である。無グルテン食によって、このリスクが減るかどうかは分かっていない。見かけ上の臨床寛解は、調査生検(review biopsy)またはEMA価の増加でしか検出されない組織学的再発と関連していることが多い。
グルテンは、例えば、市販のスープ、ソース、アイスクリーム、ホットドック、および他の食物において、非常に広く用いられているので、患者は、忌避すべき食料の詳細なリストと、セリアック病(セリアックスプルーと呼ばれる時もある)に精通している栄養士からの専門アドバイスを必要とする。少量のグルテンの摂取でも寛解が妨げられる、または再発が引き起こされる場合がある。欠乏状態に応じて、サプリメントビタミン、無機質、および造血剤も必要とされる場合もある。診断が不正確であるか、または疾患が難治性であるために、少数の患者はグルテンの使用中止に十分に応答しないか、全く応答しない。疾患が難治性である場合、経口コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン10〜20mg、1日2回)が応答を誘導することがある。
セリアックスプルーの重篤性および広汎性を考慮すると、この疾患を治療する、またはこの疾患の影響を寛解させる、改善された方法が必要とされている。最近、この疾患の治療に有望な新手法、すなわち、グルテンがセリアックスプルー患者および疱疹状皮膚炎患者において毒性作用を発揮できる前に、グルテンを分解する経口摂取プロテアーゼを使用することが述べられた(米国特許第7,303,871号(特許文献1)および同第7,320,788号(特許文献2)を参照されたい、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)。この手法の効力を高めるために、現在利用可能なプロテアーゼ調製物と比較してグルテン分解能が高い新たなプロテアーゼ調製物が必要とされている。本発明はこの必要に対処する。
米国特許第7,303,871号 米国特許第7,320,788号
本発明は、食料中の毒性グルテンオリゴペプチドのレベルを、患者が摂取する前または摂取した後のいずれかに下げることによって、セリアックスプルーおよび/または疱疹状皮膚炎の症状を治療する方法を提供する。グルタミン特異的エンドプロテアーゼ(オオムギに由来するEP-B2)およびプロリルエンドペプチダーゼ(スフィンゴモナス-カプスラタ(Sphingomonas capsulata)に由来するSC-PEP)からなる配合酵素産物が提供される。両酵素とも胃内で活性があり、かつ十分な安定性があり、従って、凍結乾燥散剤または単純なカプセル/錠剤として、すなわち、腸溶コーティングなしで投与することができる。この2つの酵素は、グルテンをセリアックスプルー患者および疱疹状皮膚炎患者に対して無毒のペプチドおよびアミノ酸に分解するように相乗作用する。本発明は、相乗作用を達成するのに必要な最小量の各プロテアーゼを用いて、相乗作用を最大にするのに使用することができる、2つの酵素の比を提供する。
本発明は、組成物、およびこれらの酵素の製剤を投与する方法、ならびに患者への投与に適した単位用量剤形の製剤を提供する。このような製剤には、活性薬剤を腸に送達するのを可能にする腸溶コーティングの中にグルテナーゼが含有される製剤、および胃の酸性条件で消化を受けにくくなるように活性薬剤が安定化されている製剤が含まれてもよい。本発明の別の局面において、安定化型の酵素が患者に投与される。この安定化型は、胃内での消化、例えば、酸性条件に対して耐性がある。本発明の1つの局面において、食料は患者に消費される前に、これらの酵素を用いて処理される。本発明の別の局面において、酵素は患者に経口投与され、毒性グルテンオリゴペプチドを破壊するように内部で作用する。
本発明のこれらのおよび他の局面および態様を、以下でさらに詳細に説明する。
単一薬剤としてEP-B2を用いた全粒コムギパン中のグルテンの免疫解毒と、EP-B2およびSC PEPから構成される配合グルテナーゼを用いた全粒コムギパン中のグルテンの免疫解毒とを示す。全粒コムギパン中のタンパク質を、以下の模擬胃内条件下で消化した:(1)ペプシン(空白);(2)ペプシンと、パンタンパク質1mg当たり30単位のEP-B2(灰色の陰付き);(3)ペプシンと、タンパク質1mg当たり30単位のEP-B2および0.5mgのSC PEP(斜線の交差);(4)ペプシンと、タンパク質1mg当たり200単位のEP-B2 (チェッカーボード);(5)ペプシンと、タンパク質1mg当たり200単位のEP-B2および0.5単位のSC PEP (黒色の陰付き)。消化は全て下記のように37℃で60分間行った。血縁関係のないセリアックスプルー患者の小腸生検に由来する2種類のグルテン応答性ポリクローナルT細胞株(P28 TCL1およびP35 TCL1)を用いて、10分および60分で採取した試料の抗原含有量を測定した。VAVY細胞は、HLA-DQ2ホモ接合性抗原提示細胞として使用した。毎分の増殖カウント(CPM)は、VAVY細胞のみのCPMを差し引くことによって調節した。 全粒コムギパン中のグルテンの消化に対する単一薬剤酵素の効果の比較を示す。HPLCトレースは、ペプシンのみ(−)、EP-B2のみ(−)、およびペプシンとSC PEP(−)、を用いてインビトロで消化された全粒コムギパンタンパク質を表す。模擬胃内消化を開始する前に、EP-B2(30単位/mgタンパク質)、ペプシン(0.6mg/mL)、およびSC PEP(1.67単位/mgタンパク質)を添加した。消化は全て37℃で60分間行った。標準的なピークは図1の説明文において定義される。 全粒コムギパン中のグルテンの消化に対するEP-B2+PEPの効果を示す。HPLCトレースは、EP-B2のみ(−)、EP-B2+FM PEP(−)、およびEP-B2+SC PEP(−)、を用いて処理された全粒コムギパンに由来するタンパク質を表す。全ての場合で、EP-B2(30単位/mgタンパク質)、ペプシン(0.6mg/mL)、およびPEP(1.67単位/mgタンパク質)の用量を使用した。EP-B2のみ、およびEP-B2+SC PEPについては、模擬胃内消化の開始時に全ての酵素を添加し、60分の胃の結果を示す。対照的に、EP-B2+FM PEPの場合、60分の模擬胃内消化の後に、pHを調節して6にし、0.375mg/mLのトリプシンおよびキモトリプシンを添加した後に、FM PEPを添加した。EP-B2+FM PEPの場合については10分の腸の結果を示す。HPLC内部標準(N-a-p-トシル-L-アルギニンメチルエステル)を標識する。これらのHPLC条件下で、9残基、11残基、12残基、14残基、21残基、および28残基からなる代表的な抗原性グルテンオリゴペプチドは、それぞれ、12.5分、18.5分、21.5分、22.5分および22分に溶出する。 2つの酵素の配合グルテナーゼにおけるEP-B2およびSC PEPの比の変更を示す。HPLCトレースは、様々な量のEP-B2およびSC PEPを用いて処理された全粒コムギパンに由来するタンパク質に対応する。(a)以下のHPLCトレースを示す:EP-B2(30単位)+SC PEP(0.5単位)(−);EP-B2(100単位)+SC PEP(0.5単位)(−);およびEP-B2(200単位)+SC PEP(0.5単位)(−)。(b)以下のHPLCトレースを示す:EP-B2(10単位/mgタンパク質)+SC PEP(0.17単位/mgタンパク質)(−);EP-B2(10単位)+SC PEP(1.67単位)(−);EP-B2(30単位)+SC PEP(0.17単位)(−);およびEP-B2(30単位)+SC PEP(1.67単位)(−)。全ての消化物は0.6mg/mlのペプシンを含み、下記の模擬胃内条件下で60分間行った。標準的なピークは、上記の図3の記載において定義される。 様々な比のEP-B2およびSC PEPを用いて処理された全粒コムギパン試料のT細胞分析を示す。一定の量のEP-B2(30単位/mgパンタンパク質)および様々な濃度のSC PEPを用いて、全粒コムギパンを消化した。消化は全て、0.6mg/mLのペプシンを用いた模擬胃内条件下で37℃で60分間行った。独立して得られた2種類のポリクローナルT細胞株(P28 TCL1およびP35 TCL1)を用いて、[シグナル−(VAVY+T細胞)]で表されるT細胞増殖データを得た。以下の試料のデータを示す:SC PEPなし(空白);タンパク質1mg当たり0.17単位のSC PEP(陰付き);タンパク質1mg当たり0.5単位のSC PEP(斜線の交差);およびタンパク質1mg当たり1.67単位のSC PEP(チェッカーボード)。 ラット胃におけるEP-B2+SC PEPの活性を示す。代表的なHPLCトレースは、全粒コムギパンおよび以下の酵素:ビヒクル(−)、EP-B2(−)、EP-B2+SC PEP(−)、が与えられたラットの胃から集めた、代表的な試料に対応する。それぞれの場合において(1コホートにつき3匹の動物)、動物に全粒コムギパン4gを与え、120分間飼料を消化させた後に、安楽死させた。胃内材料を集め、保存し、下記のように分析した。標準的なピークは、上記の図3の記載において定義される。
態様の詳細な説明
主な食事性タンパク質のうち、グルテンはプロリン残基を約15%、およびグルタミン残基を35%含有する点で独特である。プロリンおよびグルタミンの含有率が高いために胃酵素および膵臓酵素によるタンパク質分解が阻止され、その結果、セリアックスプルー患者および疱疹状皮膚炎患者に対して毒性のある、長いオリゴペプチドが小腸に蓄積する。プロリン特異的エンドプロテアーゼおよびグルタミン特異的エンドプロテアーゼはしばしばグルテナーゼと呼ばれ、タンパク質分解に耐性のあるグルテンエピトープを解毒する能力があるために、セリアックスプルーおよび疱疹状皮膚炎の治療薬剤として有用なことが示されている。
胃内で活性のあるグルタミン特異的エンドプロテアーゼ(EP-B2、発芽オオムギ種子に由来するシステインエンドプロテアーゼ)、および十二指腸において活性のあるプロリン特異的エンドペプチダーゼ(プロリルエンドペプチダーゼ;PEP)からなる、新たな併用療法が本明細書において提供される。この組み合わせは、模擬胃腸内条件下でグルテンを迅速に解毒することが示されている。これらの2つの酵素は、それぞれ、グルタミン残基およびプロリン残基に対して相補的な特異性があることで、個々の酵素のどちらか単独よりも迅速かつ徹底的にグルテンを解毒し、その結果、単独で投与されたどちらかの酵素の活性と比較して、特に、PEP活性と比較して、相乗作用のある組み合わせを提供する。PEP酵素単独でもインタクトなグルテンタンパク質に対して活性があるが、PEP酵素は、EP B2作用の結果としてのプロリンに富むペプチド産物を認識し、残りの免疫毒性エピトープを迅速に分解する。
ある態様において、酵素の組み合わせは、プロ酵素型で提供されてもよいEP-B2と、スフィンゴモナス-カプスラタPEP(SC-PEP)である。本発明は、活性が相乗作用するように2つの酵素の比が最適化された製剤を提供する。EP-B2およびSC-PEPの組み合わせの重要な利点は、両酵素とも、典型的には食後胃内で遭遇するpH値の範囲(pH3〜6)にわたって活性があることである。
胃の酸性環境(約pH2)はグルテン可溶化に有利であるので、食物が胃に入るとすぐに、グルテンに感受性な個体のグルテン解毒を始めることができる。耐酸性のあるPEPまたはグルタミン特異的プロテアーゼの胃への導入は、ペプシンの作用と相乗作用を示すと考えられるので、セリアックスプルー患者および/または疱疹状皮膚炎患者の小腸にグルテンが入ると、毒性ペプチドの破壊の加速につながる。
本明細書で使用する「グルテナーゼ」という用語は、単独で、または内因的もしくは外因的に添加された酵素と組み合わせて、コムギ、オオムギ、カラスムギ、およびライムギのグルテンタンパク質の(セリアックスプルー患者および/または疱疹状皮膚炎患者に対して)毒性のオリゴペプチドを切断して無毒断片にすることができる、本発明の方法および組成物において有用な酵素を指す。グルテンは、穀類生地の中のタンパク質画分であり、グルテニンおよびプロラミンにさらに分けることができ、プロラミンは、コムギのグリアジン、ライムギのセカリン、オオムギのホルデイン、およびカラスムギのアベニンにさらに分類される。グルテンタンパク質のさらなる解説については、参照により本明細書に組み入れられるWieser (1996) Acta Paediatr Suppl. 412:3-9による総説を参照されたい。
「プロテアーゼ」または「ペプチダーゼ」という用語がグルテナーゼを指すことがあり、ペプチド結合を切断する能力を有するタンパク質またはその断片について述べるために本明細書において用いられる。ここで、切断可能なペプチド結合は、オリゴペプチド、または、より大きなタンパク質の末端にあってもよく、内部にあってもよい。様々な態様において、プロテアーゼまたはペプチダーゼ酵素は胃内で活性がある。プロリル特異的ペプチダーゼおよびシステインエンドプロテアーゼが、本発明の実施において有用なグルテナーゼである。本明細書に記載のプロテアーゼはそれぞれ、毒性グリアジン配列に対する特異性の向上、より長い基質に対する耐性の改善、酸耐性、ペプシン耐性、膵臓酵素によるタンパク質分解に対する耐性、および貯蔵寿命の改善などの所望の特性を改善するように操作することができる。所望の特性は、標準的なタンパク質操作方法によって操作することができる。グルテナーゼのさらなる記載は、特に、米国特許第7,265,093号;同第7,303,871号;同第7,202,216号;および同第7,320,788号において見つけることができる。これらはそれぞれ参照により本明細書に特に組み入れられる。
グルテナーゼ、例えば、スフィンゴモナス-カプスラタPEP、またはホルデウム-ブルガレ(Hordeum vulgare)エンドプロテアーゼのアミノ酸配列は、本発明の製剤および組成物において有用な、配列の標的変化および変異体酵素を作製する当技術分野において公知の様々な方法で変えることができる。このような変異体は、典型的には、対応するネイティブタンパク質または親タンパク質とは通常配列は異なるが、グルテンを無毒のペプチドおよびアミノ酸に切断するという望ましい生物学的活性を依然として保持している、機能保存変異体であると考えられる。変異体には、酵素活性を保持しているグルテナーゼ断片も含まれる。当技術分野において公知の様々な方法、例えば、ファージディスプレイと、ランダム変異および標的変異との組み合わせ、スキャニング変異の導入などを用いて、標的変化を作製することができる。
変異体は、ネイティブ配列と実質的に類似してもよく、すなわち、少なくとも1つのアミノ酸が異なってもよく、少なくとも2つのアミノ酸だが通常約10以下のアミノ酸(ネイティブ配列のサイズに応じた差異の数)が異なってもよい。配列変化は置換、挿入、または欠失でもよい。系統的にアラニンまたは他の残基を導入するスキャニング変異を用いて、重要なアミノ酸を決定してもよい。保存的アミノ酸置換には、典型的には、以下のグループの中での置換が含まれる:(グリシン、アラニン);(バリン、イソロイシン、ロイシン);(アスパラギン酸、グルタミン酸);(アスパラギン、グルタミン);(セリン、スレオニン);(リジン、アルギニン);および(フェニルアラニン、チロシン)。
関心対象の酵素断片は、少なくとも約20個の連続したアミノ酸、さらに通常は、少なくとも約50個の連続したアミノ酸の断片を含み、100個またはそれ以上のアミノ酸から完全なタンパク質まで含んでもよく、かつ、さらなる配列を含むようにさらに伸長してもよい。それぞれの場合において、重要な基準は、断片が、セリアックスプルー症状の一因となる毒性オリゴペプチドを消化して、セリアックスプルー患者に対して無毒のアミノ酸およびペプチドにする能力を保持しているかどうかである。
一次配列を変えない関心対象の酵素改変には、タンパク質の化学的誘導体化、例えば、アセチル化またはカルボキシル化が含まれる。グリコシル化の改変、例えば、タンパク質の合成中およびプロセシング中またはさらなるプロセシング段階におけるタンパク質グリコシル化パターンを改変することによって作られる改変、例えば、タンパク質を、グリコシル化に影響を及ぼす酵素、例えば、哺乳動物グリコシル化酵素または脱グリコシル酵素に曝露することによって作られる改変も含まれる。リン酸化アミノ酸残基、例えば、ホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニンを有する配列も包含される。
分子生物学的技法および/または化学を用いて、タンパク質分解耐性および/または酸性条件、例えば、胃内で見られるような酸性条件に対する耐性を改善するように、ならびに溶解性を最適化するように、または治療薬剤としてさらに適するように改変されたタンパク質もまた、本発明の実施において有用である。例えば、安定性を高めるために、ペプチダーゼのバックボーンを環化することができる(Friedler et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:23783-23789を参照されたい)。このようなタンパク質の類似体には、天然L-アミノ酸以外の残基、例えば、D-アミノ酸または非天然の合成アミノ酸の残基を含有するタンパク質が含まれる。
本発明のグルテナーゼタンパク質を、インビトロ合成によって、当技術分野において公知の従来の方法を用いて調製してもよい。様々な市販の合成機器、例えば、Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA、Beckmanおよび他の製造業者による自動合成装置が利用可能である。望ましければ、他の分子または表面との連結を可能にする様々な基を、合成中にタンパク質に導入することができる。例えば、チオエーテルを作るのにシステインを使用することができ、金属イオン錯体との連結のためにヒスチジンを使用することができ、アミドまたはエステルの形成のためにカルボキシル基を使用することができ、アミドの形成のためにアミノ基を使用することができる。
本発明の実施において有用なグルテナーゼタンパク質はまた、従来の方法に従って組換え産生系および天然供給源から単離および精製してもよい。プロテアーゼは、確立された宿主-ベクター系を用いて、大腸菌(E.coli)、S.セレビシエ(S.cerevisiae)、P.パストリス(P.pastoris)、ラクトバチルス属(Lactobacilli)、バチルス属(Bacilli)、およびアスペルギルス属(Aspergilli)などの生物内で産生することができる。この目的のために、組込みベクターまたは自己複製ベクターを使用してもよい。これらの宿主の一部では、プロテアーゼは細胞内タンパク質として発現され、その後に精製されるが、他の宿主では、酵素は細胞外培地に分泌される。タンパク質の精製は、イオン交換クロマトグラフィー、Ni-アフィニティクロマトグラフィー(もしくはいくつかの代替クロマトグラフィー法)、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および/または他の精製技法の組み合わせによって実施することができる。典型的には、本発明の実施において用いられる組成物は、産物の調製方法および産物の精製に関連する混入物に対して、少なくとも20重量%の所望の産物を含み、さらに通常は少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、治療目的では、通常、少なくとも約99.5重量%の所望の産物を含むと考えられる。通常、百分率は総タンパク質に基づくものである。
本発明の産物の組み合わせの1つは、有効用量のEP B2およびPEPを含む。1つの態様において、EP-B2成分はプロEP-B2を含む。プロEP-B2は、ホルデウム-ブルガレ(オオムギ)において天然に生じる、プロ酵素型のシステインエンドプロテアーゼB,アイソフォーム2(EP B2)である。EP-B2がプロ酵素として送達される場合、胃の酸性環境に送達されると、迅速に自己活性化して成熟酵素(EP-B2)になり、インタクトなグルテンタンパク質を効率的にタンパク質分解してオリゴペプチドにする。本明細書で使用する「EP-B2」という用語は、特に定めのない限り、本明細書に記載のように成熟型を指してもよく、プロ酵素型を指してもよく、または改変変異体を指してもよい。EP-B2の使用には以下を含む利点がある:(i)影響を受ける器官にグルテンが到達する前に、またはグルテンが自己免疫応答を誘導できる前に、グルテンを完全に解毒することができる;(ii)腸溶コーティングによる製剤を必要としない;および(iii)胆汁酸の存在下での酵素安定性が重大な問題でない。EP-B2がプロ酵素として送達される場合、胃の酸性環境に送達されると、迅速に自己活性化して成熟酵素(EP-B2)になり、インタクトなグルテンタンパク質を効率的にタンパク質分解してオリゴペプチドにする。
いくつかの態様において、プロEP-B2は、ネイティブシグナル配列を欠失するようにさらに操作される。これにより、プロEP-B2は大腸菌内で封入体として高発現できるようになる。任意で、配列は、精製を容易にするアフィニティタグ、例えば、N末端ヘキサヒスチジンタグおよび/またはC末端ヘキサヒスチジンタグをさらに含む。ヘキサヒスチジンタグは、市販のニッケル親和性樹脂に対して高い親和性を有する。適切なプロEP-B2プロ酵素配列の一例をSEQ ID NO:1に示す。適切なネイティブEP-B2プロ酵素の一例をSEQ ID NO:3に示す。対応する成熟酵素の配列も本発明の組成物において使用することができ、SEQ ID NO:4として示される。
プロEP-B2の比活性は、成熟酵素型の活性によって規定される。1単位は、室温で1分間に、発色基質CBz-Phe-Arg-pNAから1μMのp-ニトロアニリンを放出する活性と規定される。比活性が少なくとも約500U/mg、少なくとも約1000U/mgまたはそれ以上の、酵素製剤が提供されてもよい。
PEPは、酵素のセリンプロテアーゼスーパーファミリーに属し、Ser残基、His残基、およびAsp残基から構成される保存された触媒トリアド(triad)を有し、F.メニンゴセプチカム(F. meningoscepticum)、アエロモナス-ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス-プンクタタ(Aeromonas punctata)、ノボスフィンゴビウム-カプスラタム(Novosphingobium capsulatum)、パイロコッカス-フリオサス(Pyrococcus furiosus)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、および哺乳動物供給源に由来する酵素を含み、これらは、生化学的に特徴付けられているPEPである。関心対象の特定のPEP酵素には、フラボバクテリウム-メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)PEP(GenBank ID # D10980);ミキソコッカス-キサンタス(Myxococcus xanthus)PEP(GenBank ID# AF127082);スフィンゴモナス-カプスラタPEP(GenBank ID#AB010298);ラクトバチルス-ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)PEP(GenBank ID#321529);およびペニシリウム-シトリナム(Penicillium citrinum)PEP(GenBank ID#D25535)が含まれるが、それに限定されるわけではない。
本発明の1つの態様において、PEPはスフィンゴモナス-カプスラタPEP(SC PEP)である。ある態様において、遺伝子配列は、大腸菌内で可溶性サイトゾルタンパク質として高発現するように最適化されたコドンを利用するように、ネイティブ配列から変えられている。任意で、配列は、精製を容易にするアフィニティタグ、例えば、N末端ヘキサヒスチジンタグおよび/またはC末端ヘキサヒスチジンタグをさらに含む。ヘキサヒスチジンタグは、市販のニッケル親和性樹脂に対して高い親和性を有する。適切なSC-PEP配列の一例をSEQ ID NO:2に示す。適切なネイティブSC-PEP配列の一例をSEQ ID NO:5に示す。
SC-PEPの比活性は、成熟酵素型の活性によって規定される。1単位は、室温で1分間に、発色基質CBz-Phe-Arg-pNAから1μMのp-ニトロアニリンを放出する活性と規定される。比活性が少なくとも約500U/mg、少なくとも約1000U/mgまたはそれ以上の、酵素製剤が提供され得る。
本発明の配合薬物産物は、投薬単位当たりの2つの酵素の活性単位に基づいて規定することができる。EP-B2:PEPの比は、活性に基づいて、通常、約10:1〜約1:10;約5:1〜約1:5;約5:1〜約1:1;約5:1〜約2:1であり、かつ、ある態様において、約4:1;約5:3;約5:2;または約3:1である。
2つの酵素の相乗作用活性を証明し、臨床研究のための適切な決まった用量比を確立するために、様々な量のプロEP-B2およびPEPが、模擬胃内条件下で全粒コムギパンに添加される(すなわち、パン1gが、0.6mg/mLのペプシンおよび適量の酵素を含有する0.01NのHCl 6.67mlと、37℃で10〜60分間インキュベートされた)。試料は、グルテンの胃腸内加水分解によって放出されたペプチドの全スペクトルを分離するように最適化された条件下で、逆相HPLCによって分析される。2つの酵素の組み合わせは、特に、示された酵素比で、グルテン解毒に対して強い相乗作用効果を有することが見出された。
1つの局面において、本発明は、本発明のEP-B2:SC-PEP製剤の単位用量剤形を提供する。1つの態様において、単位用量剤形は100〜1000mgの各グルテナーゼを含有する。1つの態様において、単位用量剤形は、100mg、300mg、900mg、1800mg、2000mgの総酵素を含有し、例えば、SC-pepは約2500単位/mgの比活性を有してもよく、プロEP-B2は4000単位/mgの比活性を有してもよく、酵素の比は本明細書に記載されている通りである。
1つの局面において、本発明は、グルテナーゼが組み合わされた精製調製物を提供する。この調製物は、凍結乾燥散剤原料として提供されてもよく、単位投薬量に処方されてもよく、その他でもよい。酵素は別々に提供されてもよく、組み合わされた製剤で提供されてもよい。「単位投薬量剤形」という用語は、ヒト被験者への単位投薬量として適切な、物理的に別個の単位を意味し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体、またはビヒクルと共同して所望の効果を生じるのに十分な、計算された量の所定量のグルテナーゼを含有する。本発明の単位投薬量剤形の仕様は、使用される特定の組み合わせ、および達成しようとする効果、ならびに宿主に関連する薬力学に依存している。
1つの局面において、薬剤は、薬学的に許容される適切な担体または希釈剤と組み合わせることによって薬学的組成物に処方され、錠剤、カプセル、散剤、顆粒剤、軟膏、溶液、懸濁液、エマルジョン、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、マイクロスフェア、およびエアゾール剤などの、固体、半固体、液体、懸濁液、エマルジョン、または気体の形態の調製物に処方される。従って、グルテナーゼおよび/または他の化合物は、様々なやり方で、通常、経口投与によって投与することができる。薬学的な投薬量剤形において、グルテナーゼは薬学的に許容される塩の形態で投与されてもよく、または単独で、もしくは他の薬学的に活性な化合物と適切に共同させて、ならびに他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用されてもよい。以下の方法および賦形剤は例示であり、本発明を限定すると解釈されるべきでない。
経口調製物の場合、薬剤は、単独で、または錠剤、散剤、顆粒剤、もしくはカプセルを作るための適切な添加物と組み合わせて、例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、またはバレイショデンプンなどの従来の添加物;結晶性セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤;コーンスターチ、バレイショデンプン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤;タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;望ましければ、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、および着香剤と組み合わせて使用することができる。
ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤は市販されている。さらに、例えば、pH調節剤および緩衝剤、張性調節剤、安定剤、湿潤剤などの薬学的に許容される補助物質が市販されている。本発明の方法および組成物において有用な任意の化合物を、薬学的に許容される塩基添加塩として提供することができる。「薬学的に許容される塩基添加塩」は、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にもその他の点でも望ましくないものではない塩を指す。これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に添加することによって調製される。無機塩基から得られる塩には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩などが含まれるが、これに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩である。有機塩基から得られる塩には、一級アミン、二級アミン、および三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環式アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂の塩などが含まれるが、これに限定されない。例示的な有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフェインである。
必要とはされないが、経口製剤は任意で、活性薬剤が腸管に送達されるように腸溶コーティングを含む。腸溶コーティングされたタンパク質を小腸管腔に効率的に送達するために、多数の方法が当技術分野において利用可能である。ほとんどの方法が、食物が胃から十二指腸に放出された時にpHが突然上昇する結果としてタンパク質が放出されることに頼っているか、または食物が小腸に入った時に十二指腸に分泌される膵臓プロテアーゼの作用に頼っている。PEPおよび/またはグルタミン特異的プロテアーゼを腸に送達する場合、通常、これらの酵素は、適切な緩衝剤(例えば、リン酸、ヒスチジン、イミダゾール)および賦形剤(例えば、スクロース、ラクトース、トレハロースなどの凍結防御物質)の存在下で凍結乾燥される。凍結乾燥された酵素ケーキは賦形剤とブレンドされ、次いで、胃の酸性環境ならびに胃内のペプシンの作用からタンパク質を保護するポリマーコーティングで腸溶コーティングされているカプセルに充填される。または、タンパク質微小粒子を保護層でコーティングすることもできる。例示的な薄膜は、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ポリ酢酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、ならびに酢酸フタル酸セルロースである。他の腸用製剤は、胃腸粘液および細胞内層と強力な接着相互作用を示し、粘膜吸収上皮と、パイエル板のリンパ組織を覆っている濾胞関連上皮を両方とも通過することができる、生物学的に腐食可能なポリマーから作られた、操作されたポリマーマイクロスフェアを含む。このポリマーは、腸上皮との接触を長期間維持し、実際に、上皮に進入し、細胞間を通り抜ける。例えば、Mathiowitz et al. (1997) Nature 386 (6623):410-414を参照されたい。Dorkoosh et al. (2001) J Control Release 71 (3):307-18により述べられたように、薬物送達系はまた、超多孔性ヒドロゲル(SPH)およびSPH複合材料(SPHC)のコアも利用することができる。
様々な投与方法、好ましくは、経口投与を使用してもよく、例えば、食事と一緒に経口投与してもよい。治療製剤の投薬量は、疾患の性質、投与頻度、投与の様式、宿主からの薬剤のクリアランスなどに応じて大きく変えることができる。用量は、典型的には、毎日、食事と一緒に、またはグルテンを含有すると疑われる食事とだけ一緒に投与されると考えられる。別の態様において、グルテナーゼは食物と混合されるか、グルテンを含有する食料を前処理するのに用いられる。食物中に存在するグルテナーゼは、摂取前または摂取中に酵素活性があることが可能で、カプセル化されてもよく、または活性のタイミングを制御するように他の方法で処理されてもよい。または、グルテナーゼは、摂取後の、例えば、腸管内での放出のタイミングを合わせるためにカプセル化されてもよい。
本発明の方法は、予防目的ならびに治療目的に使用することができる。本明細書で使用する「治療する」という用語は、疾患の予防、および疾患または既存の状態の治療の両方を指す。本発明は、患者の臨床症状を安定させるか、または改善するように、進行中の疾患の治療を大きく進歩させる。このような治療は、望ましくは、影響を受けた組織が機能を消失する前に行われるが、消失した機能を回復するのに、または機能のさらなる消失を阻止するのに役立てることが可能である。治療効果の証拠は、特に、疲労、慢性下痢、栄養分の吸収不良、体重減少、腹部膨満、貧血、ならびにセリアックスプルーおよび/または疱疹状皮膚炎の他の症状などの症状の重篤度によって測定される、疾患の重篤度の任意の減少でよい。他の疾患の徴候には、グルテン特異的抗体の存在、組織トランスグルタミナーゼ特異的抗体の存在、炎症促進性T細胞およびサイトカインの存在、組織学的検査または他の検査によって証明されるような小腸の絨毛構造への損傷、腸透過性の上昇、皮膚病変などが含まれる。
本発明の方法によって治療しうる患者には、血清学的検査、例えば、抗グリアジン抗体、抗トランスグルタミナーゼ抗体、抗筋内膜抗体;内視鏡による評価、例えば、セリアック病変を特定するための内視鏡による評価;小腸粘膜の組織学的評価、例えば、絨毛萎縮、陰窩過形成、上皮内リンパ球の浸潤を検出するための小腸粘膜の組織学的評価;ならびに食事の中のグルテンの含有に左右される任意のGI症状の、1つまたは複数によって、セリアックスプルーと診断された患者が含まれる。厳密な無グルテン食を導入すると上記の症状が改善することは、この疾患の重要な特徴である。しかしながら、セリアックスプルー患者の分析から、寛解期にあると考えられていた患者の多くが、実際は、キシロース吸収検査、糞便脂肪分析、ラクツロース/マンニトール透過性検査などを含むが、それに限定されるわけではない徴候によって証明されたように、吸収不良にかかっていることが分かっている。本発明のある態様において、患者は、初回の診断、評価、ならびに/または治療中および治療後のモニタリングのための腸吸収不良検査によって評価される。
経口投与プロテアーゼの安全性を考えれば、経口投与プロテアーゼは、高リスク集団、例えば、I型糖尿病、セリアックと診断された患者の家族、HLA-DQ2陽性個体、および/または正式診断をまだ受けていないグルテン関連症状のある患者でも、予防的に用いられる。このような患者は、通常の用量または低用量(通常の用量の10〜50%)の酵素で治療しうる。同様に、例えば、糞便脂肪排泄アッセイにより判断されるように、消化管機能がまだ正常に戻っていない、グルテンによる腸症から回復している患者には、このような薬剤を一時的に高用量で使用することも予想される。
本発明から利益を得ることができる患者はどの年齢の患者でもよく、成人および小児を含む。毒性グルテンペプチドへの早期曝露の防止によって疾患の初回発症が予防できるので、特に、小児は予防的療法から利益を得る。予防に適した小児は、素因の遺伝子検査、例えば、HLAタイピングによる遺伝子検査;家族歴、T細胞アッセイ、または他の医学的手段によって特定することができる。当技術分野において公知のように、投薬量は小児用に調節しうる。
治療効果は、臨床成績によって測定可能、もしくは免疫学的検査または生化学的検査によって判断可能である。有害なT細胞活性の抑制は、反応性Th1細胞を計数することによって、病変部位でのサイトカイン放出を定量することによって、または当技術分野において公知の、自己免疫T細胞の存在についての他のアッセイを用いて、測定することができる。または、疾患の症状の軽減を調べることができる。
本発明の1つの態様において、セリアックスプルー患者には、本方法に従って処理されたグルテナーゼまたは食物が提供されることに加えて、組織トランスグルタミナーゼ阻害剤、抗炎症剤、抗潰瘍剤、マスト細胞安定化剤、および/または抗アレルギー剤が提供される。このような薬剤の例には、抗炎症性特性を有するHMG-CoA還元酵素阻害剤、例えば、コンパクチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、およびアトルバスタチン;抗アレルギー性ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、例えば、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、エバスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、およびミゾラスチン;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えば、モンテルカストおよびザフィルルカスト;COX2阻害剤、例えば、セレコキシブおよびロフェコキシブ;p38 MAPキナーゼ阻害剤、例えば、BIRB-796;ならびにマスト細胞安定化剤、例えば、クロモグリク酸ナトリウム(クロモリン)、ペミロラスト、プロキシクロミル、レピリナスト、ドキサントラゾール、アンレキサノクス、ネドクロミル、およびプロビクロミルが含まれる。
本明細書で用いられる「市販の」化合物は商業的供給業者から入手しうる。商業的供給業者には、Acros Organics (Pittsburgh PA)、Aldrich Chemical (Milwaukee WI、Sigma ChemicalおよびFlukaを含む)、Apin Chemicals Ltd. (Milton Park UK)、Avocado Research (Lancashire U.K.)、BDH Inc. (Toronto, Canada)、Bionet (Cornwall, U.K.)、Chemservice Inc. (West Chester PA)、Crescent Chemical Co. (Hauppauge NY)、Eastman Organic Chemicals、Eastman Kodak Company (Rochester NY)、Fisher Scientific Co. (Pittsburgh PA)、Fisons Chemicals (Leicestershire UK)、Frontier Scientific (Logan UT)、ICN Biomedicals, Inc. (Costa Mesa CA)、Key Organics (Cornwall U.K.)、Lancaster Synthesis (Windham NH)、Maybridge Chemical Co. Ltd. (Cornwall U.K.)、Parish Chemical Co. (Orem UT)、Pfaltz & Bauer, Inc. (Waterbury CN), Polyorganix (Houston TX)、Pierce Chemical Co. (Rockford IL)、Riedel de Haen AG (Hannover, Germany)、Spectrum Quality Product, Inc. (New Brunswick, NJ)、TCI America (Portland OR)、Trans World Chemicals, Inc. (Rockville MD)、Wako Chemicals USA, Inc. (Richmond VA)、Novabiochem、ならびにArgonaut Technologyが含まれるが、これに限定されない。
化合物は当業者に公知の方法によって作ることもできる。本明細書で使用する「当業者に公知の方法」は、様々な参考図書およびデータベースによって特定することができる。本発明の化合物の調製において有用な反応物の合成について詳述している、またはその調製について述べた論文について言及している、適切な参考図書および学術論文には、例えば、「Synthetic Organic Chemistry」, John Wiley & Sons, Inc., New York; S. R. Sandler et al.,「Organic Functional Group Preparations」 2nd Ed., Academic Press, New York, 1983; H. O. House,「Modern Synthetic Reactions」, 2nd Ed., W. A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972; T. L. Gilchrist, 「Heterocyclic Chemistry」, 2nd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1992; J. March, 「Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure」, 4th Ed., Wiley-Interscience, New York, 1992が含まれる。特定の反応物および類似の反応物もまた、ほとんどの公共図書館および大学図書館において利用可能な、アメリカ化学会(American Chemical Society)のChemical Abstract Serviceによって作成された、公知の化学物質の目録によって、ならびにオンラインデータベース(さらなる詳細については、アメリカ化学会, Washington, D. C.に問い合わせることができる)によって特定することができる。公知であるが、カタログに載って市販されていない化学物質は、注文化学物質合成会社によって調製されてもよい。標準的な化学物質供給会社(例えば、上記で列挙した会社)の多くが注文合成サービスを提供している。
本発明は、概して、セリアックスプルー患者に対して毒性のオリゴペプチドを消化する酵素を用いた、グルテンを含有する食料の処理において有用な、方法および試薬に関する。特定の酵素が本明細書において例示されるが、本開示を考慮すれば当業者に明らかな、多数の代替の酵素および方法はいずれも、本発明の実施において等しく適用可能であり、本発明の実施おいて使用するのに適している。本発明の方法、ならびに特定の患者または用途における効力を確認する試験は、本明細書の教示に従い、当技術分野において標準的な手順を用いて実施することができる。従って、本発明の実施は、当業者の範囲内にある分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の、従来の技法を用いてもよい。このような技法は、文献、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」,第2版(Sambrook et al., 1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J. Gait, ed., 1984);「Animal Cell Culture」(R.I. Freshney, ed., 1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press, Inc.);「Handbook of Experimental Immunology」 (D.M. Weir & C.C. Blackwell, eds.); 「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」 (J.M. Miller & M. P. Calos, eds., 1987); 「Current Protocols in Molecular Biology」 (F.M. Ausubel et al., eds., 1987);「PCR: The Polymerase Chain Reaction」 (Mullis et al., eds., 1994);および「Current Protocols in Immunology」(J.E. Coligan et al., eds., 1991);ならびに前記の全ての最新版または改訂版において十分に説明されている。
以下の実施例は、当業者に、本発明の作製法および使用法を完全に開示および説明することを目的とし、本発明の範囲を限定することも、以下の実験が実施された全ての実験または唯一の実験であることを示すことも目的としない。使用された数値(例えば、量、温度など)に関する精度を保証するように努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差が存在してもよい。特に定めのない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧であるか、または大気圧に近い。
本出願は、特に、米国特許第7,320,788号;同第7,303,871号;同第7,265,093号;および同第7,202,216号を参考文献として引用する。これらはそれぞれ参照により本明細書に特に組み入れられる。
実施例1
材料および方法
材料:全粒コムギパン(Alvarado St Sprouted Whole Wheat Bread)は、Alvarado St Bakery (Rohnert Park, CA)から入手した。ペプシンは、American Laboratories(Omaha, NE)から入手した。トリプシン(ウシ膵臓由来, T4665)、α-キモトリプシン(II型, ウシ膵臓由来, C4129)、エラスターゼ(ブタ膵臓由来, E7885)、およびカルボキシペプチダーゼA(II型, ウシ膵臓由来, C-0386)は、Sigma(St. Louis, MO)から入手した。PEPの発色アッセイ基質(Z-Gly-Pro-p-ニトロアニリド)およびEP-B2の発色アッセイ基質(Z-Phe-Arg-pNA)はBachem(Torrance, CA)から入手した。動物試験において使用した材料は全て、食品等級またはそれ以上のものであった。バンコマイシンはSigmaから入手した。他の試薬は全て、食品等級または試薬等級であった。
EP-B2およびSC PEP酵素の製造ならびに試験:EP-B2は、2007年3月16日に出願された米国特許仮出願第60/895,413号に記載のように、酵素前駆体の状態で調製した。同日付で本明細書と共に出願された、同時係属中のPCT特許出願第 号(代理人整理番号STAN-549WO)も参照されたい。SC PEPは、以前に記載されたように(Shan et al. Biochem J 2004;383:311-8)調製した。EP-B2濃度は、100mMのTris-Cl、5mMのEDTA、2mMのβ-メルカプトエタノール、15%のスクロース、pH8中で、5.8〜15.5mg/mlであり、比活性は800〜5000単位/mgの範囲とした。SC PEPは、20mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7、またはリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4中で、濃度60〜90mg/mLとなるよう調製し、比活性は15〜20単位/mgとした。酵素活性アッセイは、Marti et al. J Pharmacol Exp Ther 2005;312:19-26に記載のように行った。
インビトロ全粒コムギパン消化:代替グルテナーゼの効力を評価するために、食品雑貨店から入手した全粒コムギパンの摂取および消化を模倣するインビトロ実験プロトコールを開発した。Alvarado St Sprouted Whole Wheat Breadは、そのタンパク質濃度が高いために選択した(ラベル説明では、1枚38gにつきタンパク質4g)。パン1枚の一部(典型的には1g)を、それぞれの緩衝液に溶解して処方された、所定の濃度のEP-B2溶液およびSC PEP溶液に予浸した。パン1gに全液体888μlが添加されるように、追加のEP-B2リフォールディング緩衝液(100mMのTris-Cl、5mMのEDTA、2mMのβ-メルカプトエタノール、15%のスクロース、pH8)をパンに添加した。この追加緩衝液は、EP-B2酵素投薬量の変動を可能にするために添加した。パンを6個の小片に分けた。
インビトロ消化プロトコールを開始するために、予浸したパン小片を、0.6mg/mLのペプシンを含有する0.01NのHCl溶液(pH2、37℃でプレインキュベート)に添加した。懸濁液中の最終タンパク質濃度が約15mg/mLとなるように、約6.67mLの0.01のHCl溶液を、パン1g(任意の液体を添加する前の出発重量)に添加した。パン小片を15分にわたって(3分間隔で)添加し、各小片を添加した後に、混合物をスパチュラを用いて手で攪拌した。摂取期の終わりには、pHは約4.5であった。
模擬胃内消化期の開始は、最後のパン小片を0.01NのHCl溶液に添加した時とした。材料を、37℃で、様々な時間(典型的には、短期の胃内消化の模倣には10分間、または長期の胃内消化の模倣には60分間)インキュベートした。試料(500μL)を0分、10分、30分、および60分で採取し、酵素を不活性化するために95℃を超える温度で少なくとも5分間すぐに加熱した。それぞれのサンプリング事象の前に、混合物をスパチュラを用いて手で攪拌した。
十二指腸消化を模擬した実験では、胃内消化期の終わりに、リン酸ナトリウム(パン消化物1gにつき15mg)ならびに1MのHClおよび/または1MのNaOHを添加することによって、pHを6.0に調節した。約50mg/mLの原液に調製した膵臓酵素(トリプシンおよびキモトリプシン、またはトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼおよびカルボキシペプチダーゼA)を、以下の最終濃度となるように添加した:0.375mg/mLのトリプシン、0.375mg/mLのキモトリプシン、0.075mg/mLのエラスターゼ、および0.075mg/mLのカルボキシペプチダーゼA。次いで、最終溶液を37℃で30分までインキュベートした。試料(500〜1000μL)を10分および30分で取り出し、上記のように熱処理した。
ラットにおけるインビボ全粒コムギパン実験:全粒コムギパンに対するEP-B2+SC PEPの効果を評価するために、ラットでのグルテン消化をモニタリングする既存の動物実験プロトコールを改変した。簡単に述べると、パンを2日間にわたって食べるようにラットを順応させた。実験を始める前に、このラットを最低12時間(最高24時間)絶食させた。次いで、特定の濃度のEP-B2(30単位/mgタンパク質)、EP-B2(30単位/mgタンパク質)+SC PEP(1.67単位/mgタンパク質)、または緩衝液のみ(100mMのTris-Cl、5mMのEDTA、2mMのβ-メルカプトエタノール、15%のスクロース、pH8)に予浸したパン4g(出発重量)を、ラットに与えた。120分間、ラットにパン食を与えて消化させ、次いで、CO2曝露によって安楽死させた。動物の胃内内容物を15mlのFalconチューブに集め、ドライアイス/エタノール浴を用いてすぐに凍結した。約250mgの凍結試料を取り出し、全ての酵素を不活性化するために250mgのアリコートを95℃を超える温度で少なくとも10分間加熱し、次いで、材料を15,000RPMで10分間遠心分離することによって、胃内材料を分析した。上清を集め、分析した。
逆相HPLC:インビトロ全粒コムギパン消化物からの試料またはラット胃から採取した試料は、Varian-Rainin Dynamax(Palo Alto, CA)SD-200ポンプ(1ml/分)、215nm に設定したVarian 340 UV検出器、およびVarian Prostar 430オートサンプラーを用いて、4.6x150mm逆相C18タンパク質およびペプチドカラム(Grace Vydac, Hesperia, CA)でクロマトグラフィー分離した。溶媒Aは、5.0%のアセトニトリルおよび0.1%のトリフルオロ酢酸を含む水であった。溶媒Bは、5.0%の水および0.1%のトリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルであった。注入する前に、試料を約14,000xgで10分間遠心分離し、0.2μmシリンジフィルターに通して濾過した。
グリアジンペプチドの間接的競合ELISA:各試料中のグリアジンの相対量を間接的競合ELISAによって求めた。コーティング溶液を調製するために、20mg/mlグリアジン(Sigma)を、0.01M HCl中で、0.6mg/mlのペプシンを用いて37℃で60分間消化した。次いで、反応物をNa2HPO4でpH6.0に調節し、0.375mg/mlトリプシンを添加して、グリアジンを37℃で120分間さらに消化した。10分間煮沸することによって反応を止め、使用するまで-20℃で凍結した。
ELISA法の1日目に、ペプシン-トリプシン消化グリアジン(PT-グリアジン)をコーティング溶液(50mMの炭酸ナトリウム/重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.6、0.02%のNaN3)で20mg/mlまで希釈し、96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc Maxisorp; Nalge Nunc International, Rochester, NY)に入れて、200ml/ウェルを4℃で一晩インキュベートした。試料をStartingBlock T20 TBSブロッキング緩衝液(Pierce, Rockford, IL)で1:100〜1:1,296,000に希釈し、同量の5.1mg/mlウサギポリクローナル抗グリアジン抗体(Sigma)と4℃で一晩インキュベートした。2日目に、ブロッキングの前、および後に続く全ての段階の間に、抗原コーティングプレートを1xのリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、0.05%のTween-20で3回洗浄した。プレートを、室温で2時間、200ml/ウェルブロッキング緩衝液でブロッキングした。抗体/試料混合物を3つ組みでウェルに添加し(200ml/ウェル)、4℃で一晩インキュベートした。3日目に、ヤギ抗ウサギIgG-アルカリホスファターゼ結合体(Sigma)をブロッキング緩衝液で1:250に希釈し、200ml/ウェルを室温で3時間インキュベートした。新たに調製した基質溶液(5mg/mlのpNPP、50mMの炭酸ナトリウム/重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.8、1mMのMgCl2、0.02%のNaN3)を添加し(200ml/ウェル)、405nmでの吸光度を5分間にわたって6秒毎に測定した。
各ウェルにおける初速度(mA405/分)を31のデータ点から求めた。各試料について、各希釈での平均初速度を、対応する希釈に対してプロットして、双曲線を得た。各試料について初速度の最大半量が減少するのに必要な希釈(IC50)を求めるために、カーブフィッティングプログラムOrigin 6.0(OriginLab Corporation; Northampton, MA)のHyperbolaGenモデルを用いて、各曲線の変曲点を求めた。示した値は、2回の別個の実験の平均±SDであり、各実験は、特に表示のない限り、同じことを3回、別の日に行った。
T細胞株および3HチミジンT細胞増殖アッセイ:Siegel et al. Chem Biol 2006;13:649-58に記載のように、T細胞株P28 TCL1およびP35 TCL1を作製および特徴付けした。T細胞増殖アッセイは、1μCi/ウェルの[メチル-3H]-チミジンを細胞採取の前に24時間パルスした以外は、Siegel et al.に記載のように、DQ2ホモ接合VAVY細胞を用いて行った。試料は2つ組で分析し、毎分のカウント(CPM)はVAVY細胞のみのCPMを差し引くことによって調節した。ブランクは、任意のグルテン試料非存在下での、T細胞+VAVY細胞のCPMに相当する。
結果
全粒コムギパンのインビトロ消化:個々のグルテナーゼ療法の効力と、配合グルテナーゼ療法の効力を評価するために、材料および方法の項において詳述したプロトコールに従って、全粒コムギパンをインビトロ消化した。消化物は、HPLC分析、間接的競合ELISA、およびT細胞増殖アッセイを用いて分析した。模擬胃内条件下でのパンのインビトロ消化は、未調理のホールグルテン(whole gluten)のインビトロ消化とは異なる。ホールグルテンの場合、タンパク質の大部分は模擬胃内条件下で溶解する。対照的に、パンに含まれるタンパク質を溶解するには、酸およびペプシンだけでは不十分であり、グルテンタンパク質を完全に可溶化するには膵臓酵素が必要である。
全粒コムギパンのEP-B2消化:以前の研究において、本発明者らは、模擬胃内条件下および模擬十二指腸内条件下で処理後の、ホールグルテンの逆相HPLCプロファイルを詳細に特徴付けている(Gass et al. Biotechnol Bioeng 2005; 92:674-84を参照されたい)。これらの分析条件下では、ほとんどの免疫毒性ペプチドの保持時間は12.5分より長い。例えば、9残基、11残基、12残基、14残基、21残基、および28残基からなる代表的な抗原性グルテンオリゴペプチドは、それぞれ、12.5分、18.5分、21.5分、22.5分、および22分で溶出する。未消化グルテンタンパク質の小さな画分は25分で溶出する(残りはガードカラムに強く結合している)。この比較的広い25分のピークは他の長いグルテン由来ペプチド(30残基を超える)も含んでいる。例えば、免疫原性の高い33マーのペプチドは25分で溶出する。
EP-B2のグルテナーゼ活性を、パンタンパク質1mg当たり、10〜200単位の範囲のEP-B2の用量で評価した。グルテンオリゴペプチドプロファイルを劇的に変えるには、低濃度のEP-B2(タンパク質1mg当たり、10単位のEP-B2)で十分であった。特に、ペプシンのみの対照と比較して、後期溶出ピーク(23〜25分)の存在量は著しく減少したが、12〜23分の曲線下面積は増加した。EP-B2:グルテン比が増加するにつれて、12分より後に溶出する全てのピークの曲線下面積は減少したが、初期溶出ピークはさらに増加した。興味深いことに、グルテンオリゴペプチド領域に対応する曲線下面積(12〜23分)の一定の減少が、評価したEP-B2最大用量まで観察された。対照的に、30単位/mgタンパク質を超えるEP-B2用量では、23〜25分で溶出するグルテン代謝産物が完全になくなった。このことは、EP-B2は、長いグルテンペプチドを優先的に消化することを示している。また、EP-B2の添加によっても、(ペプシンのみの対照と比べて)消化物に存在する可溶性タンパク質の量が増加した。
様々な全粒コムギパン消化物中のグリアジンオリゴペプチドの相対的レベルを比較するために、ウサギ抗グリアジン抗体を用いた間接的競合ELISAアッセイを開発した。この結果はHPLC分析を裏付けており、EP-B2の使用によってグリアジン抗原レベルが減少可能であることを証明している(表1)。興味深いことに、低用量のEP-B2(10単位/mgタンパク質)のIC50値は、ペプシンのみの対照と類似している。グリアジン抗原レベルの減少はタンパク質1mg当たり30〜200単位のEP-B2から観察される。
(表1)EP-B2±SC PEPによる全粒コムギパンの消化の競合ELISA結果:
Figure 2015038089
様々なインビトロ全粒コムギパン消化物に対するIC50値を示した。消化は全て模擬胃内条件下で60分間行った。結果は、ペプシン対照およびEP-B2(30単位)消化物を除いて、2回の実験 (それぞれ、同じことを3回行った)の平均値として示す。これらの条件については、複数の消化物(ペプシンの場合、n=2;EP-B2(30単位)の場合、n=3)を試験し、全ての結果を平均した(±1 SD)。「グリアジンエピトープ(%)」は、ペプシン対照と比べた、試料中のエピトープ(すなわち、市販のポリクローナル抗グリアジン抗血清が認識する配列)の存在量に相当する。値は、ペプシン対照におけるグリアジンエピトープレベルを100%と規定することによって計算する。
上記の実験から選択された試料の残留グルテン毒性を評価するために、2種類の患者由来ポリクローナル細胞株を用いたT細胞増殖アッセイを使用した(図1)。60分の胃内消化後でもグルテンを解毒するには、タンパク質1mg当たり、低用量の30単位のEP-B2では不十分であった。ペプシンのみの対照と比べて、EP-B2処理パンの免疫毒性が見かけ上増加するのは、ペプシンがパン中のグルテンを十分にタンパク質分解して、このアッセイにおけるT細胞提示に適した長さのペプチド抗原を放出できないためである。さらに高い用量のEP-B2(200単位/mgタンパク質)では、残留グルテン毒性は著しく減少する。これらの結果は、未調理ホールグルテンに関する以前の研究に匹敵する。
EP-B2およびSC PEPによる全粒コムギパンの消化:胃内環境におけるEP-B2およびSC PEPの相乗作用能を評価するために、この配合産物と個々の酵素の両方とを、上記のインビトロパン消化プロトコールを用いて比較した。上記でまとめたように、EP-B2のみ(ペプシン非存在下)では、完全長グルテンタンパク質が、比較的短いオリゴペプチドへ効率的に分解されるが、全粒コムギパン中のグルテンを完全に解毒するには、この酵素の濃度が比較的高いことが必要とされる。対照的に、SC PEPの免疫毒性グルテンオリゴペプチドに対する特異性は高いが、単独で(またはペプシンと共に)グルテンを解毒する能力はわずかしかない(図2)。おそらく、長鎖基質に対するSC PEPの特異性が比較的低いためである。従って、配合グルテナーゼ薬剤が有効であるためには、EP-B2は、インタクトなグルテンタンパク質のグルタミン残基を迅速に切断しなければならず、他方で、SC PEPは、結果として生じたオリゴペプチドの内部プロリン残基を効率的に攻撃しなければならない(このような相乗作用の一例については、図4を参照されたい)。さらに、2つの酵素は互いの存在下で適度に安定していなければならない。
パンタンパク質1mg当たり、30単位のEP-B2および0.5単位のSC PEPという中程度の用量比では、EP-B2はSC PEPの安定性を有意に変えなかった。EP-B2が存在するかどうかに関係なく、60分の模擬胃内消化後に、最初のSC PEPの約40〜50%が保たれた。SC PEPの活性消失は、以前にも見られたように、この酵素が低pH条件に曝露されたためであった。同様に、SC PEPの存在はEP-B2活性に影響を及ぼさなかった。
EP-B2+SC PEPの活性と各酵素の個々の活性とを比較することに加えて、この新たな配合産物を、EP-B2(胃内消化期に添加した)およびフラボバクテリウム-メニンゴセプチカム由来のFM PEP(十二指腸内消化期に添加した)からなる、別の配合産物とも比較した(図3)。後者の配合は、以前の研究において広範に分析され、ホールグルテンを完全かつ迅速に解毒することが示されたので、本研究におけるベンチマーク対照として使用した。図3aおよび図3bのHPLC結果から、SC PEPは、EP-B2がコムギパンに作用することによって生じたグルテンオリゴペプチド(14〜24分)の存在量の減少に極めて有効であることが証明される。この減少は、初期溶出ピーク(2〜4分)の著しい増加を伴っている。この初期溶出ピークは、おそらく、小さな消化産物(すなわち、ジペプチドおよびトリペプチド)である。実際に、全粒コムギパンに対するEP-B2+SC PEPの組み合わせの模擬胃内作用は、少なくとも、EP-B2+FM PEPの組み合わせの模擬胃内作用に模擬十二指腸内作用を加えた作用と同じくらい十分であるように思われる。この比較は、後者の処理は膵臓酵素の作用も含むが、前者の処理は膵臓酵素の作用を含まないので注目に値する。
EP-B2およびSC PEPの最適用量比の特定:臨床試験において配合グルテナーゼを効率的に評価するためには、2つの活性成分の、ある決まった用量比を特定しなければならない。この最適用量比を決定するために、グルテンタンパク質1mg当たり0.17〜1.67単位の範囲の異なる量のSC PEPと、タンパク質1mg当たり10単位および200単位の用量のEP-B2を組み合わせた(図4)。本明細書に記載のEB-B2およびSC PEPの酵素製造プロセスによって、それぞれ、比活性が3500単位/mgを超える酵素、および30単位/mgを超える酵素が日常的に得られる。
注目すべきことに、EP-B2用量増大に関連する任意の利点を無効にするには、パンタンパク質1mg当たり30〜200単位のEP-B2用量では、0.5単位のSC PEP用量で十分であった(図4a)。この観察は、2つの酵素の相乗作用能を鮮やかに示している。EP-B2に、1重量相当量のSC PEPが添加されると、EP-B2用量を単に2倍にする場合よりも、EP-B2のグルテン解毒能がさらに有意に上昇する。これは、2つの酵素の基質特異性には、鎖の長さとアミノ酸配列の両方に関して、高い相補性があることに起因している可能性がある。
パンタンパク質1mg当たり30単位より低い用量のEP-B2のグルテン解毒能に及ぼす、SC PEPの影響を図4bに示す。EP-B2用量が、タンパク質1mg当たり30単位から、タンパク質1mg当たり10単位に減少すると、この酵素の活性は、配合薬剤のグルテン解毒能全体を制限し、SC PEP用量の単なる増加はほとんど影響を及ぼさない。限界以下のEP-B2:グルテン比では、より長いグルテンペプチドが蓄積し、それにより、2つの酵素のグルテナーゼ配合におけるSC PEPの相乗作用能が制限されるの可能性がある。
図4のHPLC結果を、T細胞増殖および間接的競合ELISA実験(図1および図5;表1)によって検証した。示したように、SC PEPを低用量または高用量のEP-B2に添加すると、グリアジンエピトープレベルは減少し、EP-B2のグルテン解毒能が高まる。パンタンパク質1mg当たり30単位という決まったEP-B2用量で、SC PEP用量を0.17〜1.67単位の間で変えた(図5)。2人のセリアックスプルー患者に由来するグルテン応答性T細胞株により評価されたように、最小のSC PEP用量でも全粒コムギパン中のグルテンの大幅な免疫解毒がもたらされた。SC PEPを追加することによって、グルテンの、一方のT細胞株に対する増加を可能にする能力がさらに低下したが、他方のT細胞株への影響は実質的に認められなかった。
EP-B2+SC PEPの配合グルテナーゼのインビボ活性:EP-B2+SC PEPの組み合わせのインビボ活性を、げっ歯類胃内消化モデルを用いて評価した。このモデルは、EP-B2のグルテナーゼ活性を評価するために以前に用いられている(Gass et al. J Pharmacol Exp Ther 2006;318: 1178-86)。この実験では、液体酵素製剤(またはビヒクルとして適切な緩衝液)を全粒コムギパンに添加し、絶食ラットに与えた。所定の時間に、ラットを安楽死させた。ラットの胃内内容物を集め、HPLCによって分析した。3つそれぞれの実験条件下で(ビヒクル、EP-B2のみ、EP-B2+SC PEP)、3匹のラットを試験した。代表的な一連の結果を図6に示す。これらの結果は全てインビトロ条件下で得られた類似データと非常によく似ていた。EP-B2を添加すると、グルテン由来オリゴペプチドに対応する曲線下面積(14〜24分の保持時間)は著しく増加したのに対して、SC PEPを含めると、初期溶出ペプチドのさらなる増加がもたらされ、それに伴って、HPLCトレースのオリゴペプチド領域が減少した。これらの定性的知見から、全粒コムギパン中のグルテンが小腸(すなわち、セリアックスプルー患者の患部器官)に移る前に、EP-B2およびSC PEPは、グルテンを消化するために互いに相補しうることが確かめられる。
全粒コムギパンのインビトロ消化:全粒コムギパンを、模倣胃内消化条件および模倣十二指腸内消化条件を用いてインビトロ消化し、結果として生じた試料をHPLCで分析した。グルテナーゼを用いた以前のインビトロ消化実験は、未調理ホールグルテンまたはグルテンオリゴペプチドの消化にのみ焦点を当てている。従って、全粒コムギパンのインビトロ消化と、ホールグルテンの消化を比較した。
全粒コムギパンの模擬胃内消化の間に、少量のグルテン由来タンパク質だけを可溶化し、HPLCで分離する。最大画分は約25分で溶出する広いピークであり、これは長いグルテンオリゴペプチド(30アミノ酸を超える)に相当する。未調理グルテンの場合、この後期溶出ピークが優勢なピークであり、全粒コムギパンに由来する対応ピークより極めて豊富にある。このことは、未調理グルテンとは対照的に、全粒コムギパンのグルテンは胃内条件下でより緩慢に消化することを示唆している。
ペプシン処理パンを模擬十二指腸内条件下で処理すると、全ピーク、特に、15〜23分の範囲に現れるグルテン由来オリゴペプチドが著しく増加した。未調理グルテンの場合、25分のピークが減少するのに対して、それより早い溶出ピーク(15〜23分)が増加する。30分の十二指腸内消化の終わりに、PTC処理全粒コムギパンとPTC処理グルテンの全プロファイルは両方とも類似し、約15〜23分に溶出する一連のピークと、約25分の同等の後期溶出ピークとを特徴とした。
本実施例は、EP-B2およびSC PEPからなる配合グルテナーゼの特性がグルテンの解毒に理想的であることを証明している。この配合産物の実用上の利点は、両酵素が胃内で活性および安定であり、従って、凍結乾燥散剤または単純なカプセル/錠剤として投与できることである。この配合において、EP-B2は、主に、複合グルテンタンパク質をグルタミン残基で加水分解して比較的短い(だが、依然として炎症性のある)オリゴペプチドにすることを担っているのに対して、SC PEPは、これらのオリゴペプチドを内部プロリン残基で分解して、無毒の代謝産物にする。
実施例2
用量比の選択
用量比の変更試験では、比活性が5500単位/mgのプロEP-B2ロット、および比活性が1270単位/mgのSC-PEPロットを使用した。これは酵素活性比4:1に対応する。2つの酵素の相乗作用活性を証明し、臨床研究のための適切な決まった用量比を確立するために、様々な量の酵素を全粒コムギパンに添加した。実験は全て模擬胃内条件下で行った(すなわち、パン1gを、0.6mg/mLのペプシンおよび適量の酵素を含有する0.01NのHCl 6.67mLと、37℃で10〜60分間インキュベートした)。試料は、グルテンの胃腸加水分解によって放出されたペプチドの全スペクトルを分離するように最適化された条件下で、逆相HPLCによって分析した。これらの分析条件下で、ほとんどの免疫毒性ペプチドは12分超の保持時間で溶出した。例えば、9残基、11残基、12残基、14残基、21残基、および28残基からなる代表的な抗原性オリゴペプチドは、それぞれ、12.5分、18.5分、21.5分、22.5分、および22分で溶出する。25分での広いピークは、さらに長いグルテン由来ペプチド(30残基を超える)を含んでいる。例えば、免疫原性の高い33マーのペプチドは25分で溶出した。従って、HPLCトレーシングにおいて、グルテンが徐々に解毒されるのにつれて12〜26分の間の曲線下面積は減少するのに対して、グルテンが解毒されるのにつれて2〜10分の間の曲線下面積は増加した。
以下にまとめたデータから、2つの重要な結論を導き出した。このデータは、75:1のグルテン:EP-B2重量比(パン1枚と共に約50mgのEP-B2を摂取したことに相当する)で集めた。第1に、EP-B2へのSC-PEPの添加にはグルテン解毒に対して強い相乗作用がある。具体的には、75:1:1のグルテン:EP-B2:SC-PEP重量比でのグルテン消化は、38:1のグルテン:EP-B2重量比で観察されたグルテン消化より著しく優れていた。実際には、EP-B2用量を単に2倍にした時と比較して、75:1:0.25の重量比では、より広範囲のグルテン消化が観察された。
第2に、SC-PEP:EP-B2比が増加するにつれてグルテンはさらに完全に切断されるが、SC-PEP増加の利益は、1:1のEP-B2:SC-PEP重量比でほぼ飽和する。従って、グルテンを無毒断片に消化するには、決まった用量比4:1または5:3(活性単位)のEP-B2:SC-PEPが最適である。
上記でまとめたデータは、胃内でパン1枚が約100mgの配合酵素産物に曝露されるのを模擬したものである。これらの結論は、1/2、1/4、ならびに2倍の酵素用量であった。パンを与えたラットにおける予備インビボ試験でも、EP-B2およびSC PEPの相補的な活性が確かめられている。これらの路線に沿って、EP-B2活性はカニクイザルの胃でも証明されている。
食事性タンパク質が腸上皮を無傷のまま吸収されるのを可能にする生物学的機構は今までに特定されていないが、活性のあるEP-B2およびSC-PEPの全身性バイオアベイラビリティが潜在的な懸案事項である。酵素の全身性バイオアベイラビリティに影響を及ぼす可能性のある重要な要因は、消化管管腔でのタンパク質の安定性である。小腸上部におけるEP-B2およびSC-PEPの半減期を評価するために、EP-B2およびSC-PEPを模擬腸液(米国薬局方に基づく製剤)の中でインキュベートし、ウエスタンブロットおよび2つのタンパク質に特異的な抗血清を用いて、タンパク質分解消化物を分析した。EP-B2およびSC-PEPはパンクレアチンの非存在下で比較的安定していたが、両タンパク質ともパンクレアチンによって効率的に分解され、半減期は5分未満であった。これらの結果から、どのタンパク質も血流に吸収されるほど長く小腸内に残存しないことが分かる。
SC-PEPの比活性は、成熟酵素型の活性によって規定される。1単位は、室温で1分間に、発色基質Cbz-Gly-Pro-pNAから1μMのp-ニトロアニリンを放出する活性と規定される。比活性が少なくとも約500U/mg、少なくとも約1000U/mgまたはそれ以上の、酵素製剤が提供され得る。
本発明のこれらのおよび他の局面および態様を、以下でさらに詳細に説明する。
[本発明1001]
グルテン毒性の解毒において、相乗作用活性をもたらす比で有効量のグルタミンエンドプロテアーゼおよびプロリルエンドペプチダーゼを含む、グルテン解毒のための酵素組成物。
[本発明1002]
グルタミンエンドプロテアーゼが、システインエンドプロテアーゼB,アイソフォーム2(EP-B2)である、本発明1001記載の酵素組成物。
[本発明1003]
グルタミンエンドプロテアーゼが、EP-B2に由来するプロ酵素である、本発明1002記載の酵素組成物。
[本発明1004]
プロリルエンドペプチダーゼが、スフィンゴモナス-カプスラタ(Sphingomonas capsulata)プロリルエンドペプチダーゼ(SC-PEP)である、本発明1002記載の酵素組成物。
[本発明1005]
EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約10:1〜約1:10である、本発明1004記載の酵素組成物。
[本発明1006]
EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約5:1〜約1:5である、本発明1005記載の酵素組成物。
[本発明1007]
EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約5:1〜約2:1である、本発明1005記載の酵素組成物。
[本発明1008]
EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約4:1〜約5:3である、本発明1005記載の酵素組成物。
[本発明1009]
薬学的に許容される賦形剤を含む単位用量で処方される、本発明1005記載の酵素組成物。
[本発明1010]
単位用量が、1mg〜2000mgの酵素を含む、本発明1009記載の酵素組成物。
[本発明1011]
グルテンを含有する食料と、グルテン毒性の解毒において相乗作用活性をもたらす比の有効量のグルタミンエンドプロテアーゼおよびプロリルエンドペプチダーゼとを接触させる工程を含む、グルテンを解毒する方法。
[本発明1012]
グルタミンエンドプロテアーゼが、システインエンドプロテアーゼB,アイソフォーム2(EP-B2)である、本発明1011記載の方法。
[本発明1013]
グルタミンエンドプロテアーゼが、EP-B2に由来するプロ酵素である、本発明1012記載の方法。
[本発明1014]
プロリルエンドペプチダーゼが、スフィンゴモナス-カプスラタ プロリルエンドペプチダーゼ(SC-PEP)である、本発明1012記載の方法。
[本発明1015]
EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約10:1〜約1:10である、本発明1014記載の方法。
[本発明1016]
接触させる工程が、インビボで行われる、本発明1011記載の方法。
[本発明1017]
グルテンを含有する食料の前に、またはグルテンを含有する食料と同時に、有効量が、インビボで投与される、本発明1016記載の方法。
[本発明1018]
有効量が、経口投与される、本発明1017記載の方法。
[本発明1019]
接触させる工程が、インビトロで行われる、本発明1011記載の方法。

Claims (19)

  1. グルテン毒性の解毒において、相乗作用活性をもたらす比で有効量のグルタミンエンドプロテアーゼおよびプロリルエンドペプチダーゼを含む、グルテン解毒のための酵素組成物。
  2. グルタミンエンドプロテアーゼが、システインエンドプロテアーゼB,アイソフォーム2(EP-B2)である、請求項1記載の酵素組成物。
  3. グルタミンエンドプロテアーゼが、EP-B2に由来するプロ酵素である、請求項2記載の酵素組成物。
  4. プロリルエンドペプチダーゼが、スフィンゴモナス-カプスラタ(Sphingomonas capsulata)プロリルエンドペプチダーゼ(SC-PEP)である、請求項2記載の酵素組成物。
  5. EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約10:1〜約1:10である、請求項4記載の酵素組成物。
  6. EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約5:1〜約1:5である、請求項5記載の酵素組成物。
  7. EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約5:1〜約2:1である、請求項5記載の酵素組成物。
  8. EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約4:1〜約5:3である、請求項5記載の酵素組成物。
  9. 薬学的に許容される賦形剤を含む単位用量で処方される、請求項5記載の酵素組成物。
  10. 単位用量が、1mg〜2000mgの酵素を含む、請求項9記載の酵素組成物。
  11. グルテンを含有する食料と、グルテン毒性の解毒において相乗作用活性をもたらす比の有効量のグルタミンエンドプロテアーゼおよびプロリルエンドペプチダーゼとを接触させる工程を含む、グルテンを解毒する方法。
  12. グルタミンエンドプロテアーゼが、システインエンドプロテアーゼB,アイソフォーム2(EP-B2)である、請求項11記載の方法。
  13. グルタミンエンドプロテアーゼが、EP-B2に由来するプロ酵素である、請求項12記載の方法。
  14. プロリルエンドペプチダーゼが、スフィンゴモナス-カプスラタ プロリルエンドペプチダーゼ(SC-PEP)である、請求項12記載の方法。
  15. EP-B2:SC-PEPの比が、比活性で約10:1〜約1:10である、請求項14記載の方法。
  16. 接触させる工程が、インビボで行われる、請求項11記載の方法。
  17. グルテンを含有する食料の前に、またはグルテンを含有する食料と同時に、有効量が、インビボで投与される、請求項16記載の方法。
  18. 有効量が、経口投与される、請求項17記載の方法。
  19. 接触させる工程が、インビトロで行われる、請求項11記載の方法。
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